梨子「海に還ったもの」
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梨子「…」
梨子「何で私はあんなことをしたのかな…」
梨子「ピアノが弾けないからって引っ越してきた先で海に飛び込んで、溺れそうになったところを助けてもらって!」
梨子「助けてくれた人が死んじゃったなんて…」
梨子「バカみたいじゃない……」
梨子「うぅっ…」
梨子「『海に還るもの』…」
梨子「海に還るもの…こんな冗談にもならないようなもの……!」
『うみにかえるもの?』 花丸「続いて、二つ目のお話です」
\ざわっ…/
ルビィ「新メンバーの紹介ですっ♪」
\ オオオオー!? /
梨子「新メンバーの名前は──
小原鞠莉ちゃんです♪ \ ワー!! /
鞠莉「え……」
ダイヤ「鞠莉さん、出番ですよ?」
鞠莉「私──?」
花丸「鞠莉ちゃん!」
果南「鞠莉!」
ルビィ「鞠莉ちゃん!」
善子「何やってるの?ほら、もしかして怖気づいたの!? マリー?」
鞠莉「そんなの……」
鞠莉「出て行くに決まってるじゃないッ♪」
ルビィ「ミュージックー……」
花丸「スタートォ♪」
\キャーーーーーーー!!! / ダイヤ「イベント、いかがでしたか?」
鞠莉「言うまでもないって言葉が日本にもあるでしょ?」
果南「あっはは、それは良かったよ」
梨子「……結局、私達の成績は参考扱いになっちゃいましたけどね ふふっ♪」
鞠莉「Oh.. それは悪いことをしたわね」
善子「運営に事前に報告してないパフォーマンス、明らかな持ち時間オーバー…… そりゃこうなるわよ」
ルビィ「でもでも!鞠莉ちゃんが出てきてくれてよかったです」
花丸「出てこなかったらどうしようかと思ってたずら〜」
鞠莉「あそこで出て行かないなんてロックじゃないわよ!」
ダイヤ「ふふっ、それでこそ鞠莉さんですわ」
善子「それで?」
鞠莉「それでって… 善子は人が悪いのね」
鞠莉「これからは私も入れてくれるのよね?」
善子「ふふっ♪」
梨子「これからよろしくお願いします♪」 鞠莉「それにしてもびっくりしたわ〜」
鞠莉「マリーにとびっきりの景色を見せてあげるからついてきなさいって言われて」
鞠莉「舞台袖で見られるなんて素敵♪って思ってたところに、あの呼び出しだもの」
鞠莉「結果的にとびっきりで最高の景色を見せてもらえたけどね♪」
ダイヤ「ふふっ」
鞠莉「やっぱりダイヤの差し金かしら?」
ダイヤ「いいえ、私ではありませんわ」
鞠莉「じゃあ果南?」
果南「私でもないよ?」
鞠莉「ワッツ? それだとしたら一体誰が……??」
善子「クックック…聞いて驚きなさい! 黒幕の正体はこの──
アキバレポーター「おーい!!」
ルビィ「あっ、司会のお姉さん!」 アキバレポーター「まだ会場付近に居てくれて良かった良かった〜」
アキバレポーター「皆さんお疲れ様〜」
アキバレポーター「あっはっは、いやー……浦の星女学院スクールアイドル部、はっちゃけ過ぎィ!!」
アキバレポーター「あんなにはっちゃけられちゃったら私の立場が無くなっちゃうよ〜」
アキバレポーター「じゃなくって、皆のパフォーマンスがあまりにも突然過ぎてフォローできなくてごめんね〜〜」
梨子「いえ、こちらこそすみません」
アキバレポーター「投票の結果なんだけど」
アキバレポーター「時間オーバーってことでランキングには反映させない、つまり参考って形にさせてもらうって上に言われちゃったもんで」
アキバレポーター「事前にああいったパフォーマンスをするって話があったらまた別の結果になってたと思うけどね〜」
アキバレポーター「はい、これが結果!」
アキバレポーター「皆の今後の活躍を期待してるよ〜 それじゃバイバ〜イ♪」 ダイヤ「参考記録、ですか 仕方ありません…」
果南「うん、あそこまで自由にしたらさすがにね」
ルビィ「観客が2000人居たとして…20票入っていたら得票率が1%だけど……」
花丸「参加グループが30組だから、70票以上入ってたらすごいのかな?」
善子「均等に割れてたらそうだけど、中にはラブライブ!の決勝に出たグループもいたんでしょ?」
善子「そっちに票が流れてたら20票でも十分じゃないの?」
鞠莉「それで、票はどれくらい入ってたの?」
梨子「ちょっとまってね」 梨子「えーっと、浦の星、浦の星は…」
梨子「えぇ!?」
ルビィ「ひゃ…ひゃくさんじゅうろく!?」
ダイヤ「そんなに多くの方々に支持していただいたのですか!?」
果南「これは鞠莉加入のインパクトが相当だったと思うね〜」
鞠莉「そう?私はほとんど踊れなかったから純粋に皆のことを評価してくれてるんじゃないの?」
果南「踊れなくってもちゃんと歌えてたじゃん」
鞠莉「あれは……」
鞠莉「善子がしつこくPVを見せるからいつの間にか覚えちゃったのよ……//」
善子「ふっ、堕天しちゃってのね♪ 私って罪な堕天使……」
梨子「良かった……」
梨子(鞠莉さんが電撃加入してくれてこれで7人だよ)
梨子(観客の皆もものすごく盛り上がってて、こんなにいっぱい投票してもらえたんだよ♪)
梨子(千歌ちゃんも……きっとどこかで観てくれたよね?)
梨子(私達、これからもっともっと頑張って千歌ちゃんが目指していた景色を見てくるね!) ──……
ルビィ「うん、だからこのイベントを鞠莉さんに見てもらうのはどうかなって思って……」
善子「いいわね、それ!」
果南「確かに!会場が盛り上がってたら鞠莉にも届くんじゃないかな?私達の気持ち!」
ダイヤ「ええ!」
花丸「うん!」
梨子「あの……」
ダイヤ「どうかしましたか?」
梨子「鞠莉さんにただ観てもらうだけではあんまり効果がないと思います」
果南「うーん、確かに観客が盛り上がってたらいいけどあんまり盛り上がらなかったら……」
ダイヤ「では一体どうするのです?」
花丸「観客席が駄目なら、マル達に見えている景色を観てもらうのがいいと思うな」
善子「どういうこと?」
花丸「角度はちょっと違うけど舞台袖からならマルたちがやってるライブ目線に近い光景で観てもらえるんじゃないかなって」
ルビィ「うん!ルビィ達のダンスでお客さんが盛り上がってたら心は熱くなると思う!」
梨子「それも考えたんだけど──」 ルビィ「ええ!?」
ダイヤ「イベント当日に舞台袖から鞠莉さんを舞台に上げる!?」
果南「あっはは それは確かにすごいと思うけど、東京のイベントでそんなことして許されるのかな?」
善子「それに舞台袖ってそもそも関係者以外立入禁止なんじゃないの?」
梨子「鞠莉さんがマネージャーってことにするとか、関係者だっていうことにすれば入れてもらえるんじゃないかな?」
梨子「運営にこういったパフォーマンスをしたいという話を事前にすれば大丈夫だと思うけど」
梨子「その場合はおそらく鞠莉さんにも伝わってしまうので、それだとインパクトは無くなるかな……」
梨子「アポ無しでやって途中で運営からストップが入ったら私達の評価は地に落ちるかと思いますけど……」
ダイヤ「一か八かというわけですか」
梨子「はい 最悪のケースはラブライブ!関連のイベントにも参加できなくなる可能性もありますが…」
ルビィ「……」
果南「まあ、やるしかないんじゃない?」
ダイヤ「果南さん!?」
ルビィ「うん!」
ダイヤ「ルビィまで……」 ルビィ「たぶん、鞠莉さんに加入してもらえる最後のチャンスなんじゃないかなって思うんだ……」
花丸「ライブ当日の、しかも本番中に突然加入してくださいって言われて、心が動かない人なんていないと思う」
ルビィ「ルビィだったら怖くて出られないかもしれないけど……」
善子「あの鞠莉だったら出てくるでしょうね」
果南「あっはは♪ 確かにそうだよ!」
ルビィ「それに……」
ルビィ「ルビィ達の見てる景色を見てもらうなら、舞台に立ってもらうのが一番だと思うんだ」
ルビィ「それで駄目だったら… もう……」
ダイヤ「…わかりました」
ダイヤ「もしかしたらこれが公の場で行う最後のライブになるかもしれないので心残りの無い様にしっかりと練習しましょう」
5人「はいっ!」
…── ……
梨子「おじゃまします」
美渡「今日も来てくれたんだ」
美渡「こんな時間まで部活?スクールアイドル?やったあとなのに」
梨子「いえ、私が来たくて来ているので…」
梨子「逆に迷惑だったら言ってください」
美渡「そんなことないって!」
美渡「はい、みかん」
梨子「ありがとうございます♪」 梨子「千歌ちゃん、先週は東京のスクールアイドルイベントに行ってきたの」
梨子「舞台で鞠莉ちゃんを呼んで無理やり7人目のメンバーにしちゃいました♪」
梨子「これからもっともっと頑張るから、見ててね」
梨子「周りのグループは歌もパフォーマンスもすごかった」
梨子「私達も負けないくらい頑張ったよ」
梨子「でも、私はどんなグループのダンスより、千歌ちゃんが練習してる姿が、一番好きだなぁ……」
梨子(もしも私が───)
梨子(もしかしたら一緒に千歌ちゃんと──?)
梨子「……」
梨子(どこにいったの千歌ちゃん……)
梨子「また会いたいよ…」
梨子「千歌ちゃん……」ポロポロ... 美渡「ん?あれ?」
美渡「どうしたの梨子ちゃん?」
梨子「いえ……なんでもありません……」
美渡「どーせ、千歌が生きてたら一緒にスクールアイドルできたのになぁ〜 とか思ってたんじゃない?」
梨子「……」ポロポロ...
美渡「ええ!?当たり!?」
志満「美渡? ちょっとこっちへおいで?」ニコッ
美渡「うげっ…!」
美渡「あっはは… ま、またね梨子ちゃん……」
志満「美〜渡〜?」
美渡「……もう会えないかもしれないけど」 ……
善子「暑いわね」
花丸「もう溶けそうずら〜」
ルビィ「たすけてぇ〜〜」
花丸「地球さん、もう少し地軸を傾けてほしいな……」
善子「ならば! このヨハネの魔力でポールシフトを起こして見せましょう!!」
善子「んむむむ〜〜…」
ルビィ「…」
花丸「……」
善子「むむむ………」
善子「って、あんた達何か言いなさいよ……」
善子「……」
善子「そうだわ!」
花丸「どうしたの善子ちゃん」 善子「このヨハネの前にエニグマは存在しない……っと♪」カチャ..
ルビィ「よ、善子ちゃん!これって不法侵入なんじゃ…!?」
花丸「これはさすがにだめだよ……」
善子「なによ!暑いから何とかしなさいって言ったのはアンタ達でしょ!」
善子「ほら、誰もいないプールよっ!」
善子「ついこの間プール掃除したばっかりのピッカピカのプール! しかもプール開き前に侵入」
善子「この背徳感 ス・テ・キ♪」
ルビィ「……うぅ……誰かに見つかっちゃったらどうしよう……?」 善子「ん〜〜、足を浸けるだけでも全然違うわね」
花丸「うん、足湯の逆みたいだね」
ルビィ「それじゃあ足冷?」
善子「なによそれ、冷え性みたいじゃない」
花丸「別に何だっていいずら〜〜♪」
ルビィ「えへへ〜♪」
善子「ちょうど曇ってきたし、こんな時期なのに涼しいわね♪」
ルビィ「うん、部活の時間までこうしていたいなぁ」
\コラー!/
よしまるびぃ「!?」 曜「コラー!部活は来週からだよー??」
曜「せっかくプール掃除したのに汚されたら困っちゃうよ!」
ルビィ「ご、ごめんなさいっ!」
曜「あれ?三人とも一年生??」
花丸「は、はい……」
曜「でも水泳部員じゃないよね? あっ、もしかして水泳部に入部したいとか?」
善子「いえ……」
曜「そっか〜 残念!」
曜「もしかしてこの曜ちゃんの泳ぎを見に来てくれたとか!?」
花丸「泳ぎ?」
善子「そういうわけでも無く……」
曜「う〜〜ん、残念!」 曜「あっ、そうそう、3人には『コレなら誰にも負けない!』っていうものある?」
善子「ふっ、このヨハネはダンスなら誰にも負けないわ」
ルビィ「ちょっと、善子ちゃん!」
曜「へ〜!ダンスかぁ……」
曜「私もやったことあるんだけど、結構楽しいよね!」
曜「でね、私ね、こう見えても水泳と飛び込みだけは誰にも負けないって自信があるんだ♪」
花丸「水泳と高飛び込み?」
曜「特に高飛び込みはインターハイに出られるくらいだし、曜ちゃん自信の競技であります!」
ルビィ「い…インターハイ……!」
曜「えっへへ♪ すごいでしょ?」 曜「高飛び込みはさすがに学校のプールでできないから沼津の方のスイミングスクールでやってるんだ」
曜「良かったら見に来てね!」
曜「明日! 土曜日! 朝10時から! やってるからね〜」
曜「来てくれないとプールに忍び込んだこと先生に言っちゃおうかな〜♪」
善子「え、ええ!?気が向いたら行きます…おそらくきっとたぶん……」
曜「きっとだよ〜」
曜「…!!」
曜「くんくん……」
曜「あっそうそう、涼むのもいいけどもうすぐ雨が降るから早く帰るんだよ〜?」
花丸「はい、ごめんなさい……」
曜「曜ちゃん天気予報に外れは無いってね♪」
曜「それじゃーねー」
ルビィ「……行っちゃった」 ルビィ「台風みたいな人だったね…」
花丸「うん、マル達も他の人に見つからないうちに部室に戻ろうね」
善子「別にもう少しいてもいいんじゃない?部活まであと20分はあるし」
ルビィ「で、でももうすぐ雨が降るって言ってたから…」
善子「あんなのデタラメに決まってるじゃない」
ルビィ「そうかなあ……」 ルビィ「ああっ!」
花丸「どうしたの?ルビィちゃん」
ルビィ「思い出した!さっきの人、2年生の有名な人だよ!渡辺曜さんだよ!」
善子「有名人?」
ルビィ「うん!テストはいつも赤点だけど、スポーツ万能で他校との交流運動会では出場個人種目で全部1位だったって!」
善子「へ〜、それならダンスとかも上手そうね」
ルビィ「うーん…そういえばさっき、ダンスもやったことあるって言ってたような……」
花丸「でも、ダンスなら誰にも負けない善子ちゃんには敵わないんじゃないかな?」
善子「うぐっ……」 ルビィ「それにしても、インターハイに出られるってすごいね」
善子「ふっ、このヨハネ率いるスクールアイドル部もラブライブ!の予選が来月に控えているのよ?」
花丸「正確には地方予選の予備予選だけどね」
善子「それにラブライブ!は私達にとってインハイみたいなものじゃない」
ルビィ「うん!頑張らなくっちゃ」
花丸「ダンスは誰にも負けない善子ちゃんにダンスのいろはを教えてほしいずら〜」
善子「クックック……下界の者がこのヨハネについて来られるかしら?」
ポツ.. ポツ...
善子「本当に降ってきたわ!?」
花丸「ど、どうしよう!?」
ルビィ「と、とりあえず校舎に戻ろう…!」 〜──〜〜─♪
ルビィ「……ピアノ?」
花丸「梨子ちゃんじゃないかな?」
善子「でも結構へたくそよね」
ルビィ「う、うん……梨子ちゃんのピアノには遠いと思う」
善子「吹奏楽部じゃないの?」
花丸「でも今日は沼津の方に演奏会の予行演習をしに行くって言ってたけど…」
〜──〜─〜♪
梨子(うーん、イメージと違うかなぁ……)
梨子(今の気持ちをメロディに乗せても躍動感も何も出てこない)
梨子(千歌ちゃんが居てくれた時が一番いい感じだったかも……)
梨子(千歌ちゃん── ──……
千歌『りーこーちゃん!』
梨子「どうしたの?」
千歌『ピ・ア・ノ♪ ピ・ア・ノ♪』
梨子「またぁ?」
千歌『だって〜、ピアノがこーんなに素敵だなんて思えたの、梨子ちゃんのおかげなんだよ?』
梨子「またそうやって……おだてても弾きません♪」
千歌『けち〜〜』 千歌『また『愛の夢』聴きたいな〜 あの日から1回も弾いてないよね?』
梨子「うん…でもその曲は……」
千歌『ううん』
千歌『梨子ちゃんの全部が詰まった素敵な曲だと思う』
梨子「私の全部?」
千歌『うん、ぜーんぶ!』
千歌『あの時は梨子ちゃんものすごく落ち込んでたのに、そんな気持ちが曲に入って無かったんだ』
千歌『悲しい気持ちとかそういうのが色々あったと思うのに』
千歌『愛の夢に込められてた気持ちは、梨子ちゃんが言ってた元にしたっていう詩の気持ちだけだったんだ』
梨子「うーん??」
千歌『だから聴きたい!』
梨子「今弾いても前みたいに弾けないかもしれないけど…」
千歌『良いの良いの!』
梨子「はぁ……結局弾くことになるのね」
千歌『やった!!』 千歌『グスッ……』
梨子「ち、千歌ちゃん!?」
千歌『本当に綺麗──』
千歌『絶対、梨子ちゃんには才能があると思うなあ……』
梨子「そんなこと……」
千歌『愛の夢がコンクールでも弾けたらたぶん梨子ちゃんが優勝だよ!』
梨子「それはさすがに言いすぎじゃないかな」
千歌『そんなことないよ〜』 千歌『というわけでもう一回!』
梨子「もうっ!」
梨子「別の曲でもいい?」
千歌『うん!』
千歌『できれば何かを元にして作曲された曲とかだったら嬉しいな〜』
梨子「じゃ、じゃあ…あんまり上手じゃないけど『マゼッパ』を弾いてみようかな」
梨子「ドラマとかでも使われたこともあるし、聴いたことあるかも?」
千歌『この前言ってたやつ? その曲はどんな内容を元に作られたの?』
梨子「ユーゴーって人の東方詩集っていう作品に載ってる『マゼッパ』を元にしたらしいんだけど」
梨子「ポーランドに居たマゼッパが不貞を働いて追放されたんだけど、ウクライナで兵士として雇われて英雄になる」
梨子「……って先生に聞いたから私はあんまり詳しくはないんだ」
千歌『おぉ〜!波乱万丈な人生だったんだね!』
梨子「ふふっ♪」
──♪ 千歌『なんとなく分かった気がしたかも!』
千歌『最後の方は、英雄!って感じだったかも?』
梨子「交響曲もあるからそっちの方がストーリーが分かりやすいと思うけど……」
千歌『ピアノがいい〜』
千歌『次はカンパ……ラ? アルパカ…? なんだっけ?』
梨子「教えません♪」
千歌『も〜〜』ギュッ
梨子「!」
千歌『あ、『ラ・カンパネラ』だ!』
梨子「千歌ちゃんずるい」
……── 梨子(『海に還るもの』……)
梨子(元は生きとし生けるもの全ては海に還る……そんな自然の偉大さをイメージしたんだけど)
梨子(でも、海に対する今のイメージは……)
梨子(千歌、ちゃん……)
─────♪ 花丸「あっ、やっぱり梨子ちゃんじゃないかな?」
善子「急に上手になるわけないじゃない」
善子「梨子と誰かが交代で弾いてるんじゃないの?」
ルビィ「それじゃあ誰と……?」
花丸「音楽室に行ってみない?部活までまだ時間があるし」
曜「ありゃ?あれはさっきの一年生ズ?」
曜「またどこかに涼みに行くのかな??」 梨子(生きてる頃の千歌ちゃんとお話ししたことは一度もないんだけど……)
梨子(幽霊の千歌ちゃんが来てくれて、私の気持ちを変えてくれた)
──♪
梨子(スクールアイドル、音楽に対する気持ちを変えてくれたのに……)
梨子(でも、今は千歌ちゃんがいない……)
───〜♪
梨子(やっぱりだめ……)
曜「音楽室……?」
曜「なるほど!エアコン使い放題ってことかな?」 花丸「ほら、やっぱり梨子ちゃんだよ」
善子「ホントだわ」
ルビィ「じゃあさっきのも全部梨子ちゃんなのかな??」
善子「そんなの本人に直接聞けば──」
花丸「善子ちゃん……今はだめだよ」
善子「どうしてよ?」
善子「……あっ」 梨子(千歌ちゃん……どうして戻ってきてくれないの)
梨子(もう絶対あのことで後悔なんかしないから……)
梨子(お願いっ……)
梨子「もう一度、会いたいよ……」ポロポロ
善子「……」
花丸「今はそっとしておこう?」
ルビィ「うん……」
曜「おーーーい♪」
善子「きゃあ!」 梨子「……!?」
梨子(ヨハネちゃん達……)
善子「ヤバッ!気付かれたわ!」
花丸「ど、どうしよう……」
ルビィ「覗いてたこと、謝った方がいいよね…」
花丸「うん……」
善子「有名人はどうすんのよ?何かこっち来てるわよ?」
梨子(そういえばヨハネちゃん達は私のことをどこまで知ってるんだろう…)
梨子(果南ちゃんが入ってくれた日にダイヤちゃんはどこまでお話ししたんだろう……)
梨子(泣いてるの見られちゃったと思うし、みんなにきちんとお話ししようかな…)
梨子(私が海に飛び込んだ理由──)
ルビィ「善子ちゃん!梨子ちゃんもこっちに来てるよ!?」
花丸「善子ちゃんどうするの!?」
善子「なんで私に聞くのよーーー!!」 もしかしてG′s版ベースの曜ちゃんかな?
それとも? 梨子「みんな、もしかしてピアノ聴きに来てくれたの──」
曜「今度は音楽室で涼むの?私もバスの時間まで一緒に──」
梨子「!」
曜「……あっ、桜内さん!なんで音楽室にいるの?」
梨子「えっと…… 音楽室を借りてピアノの練習をしてたんだけど……」
梨子「ほら、今日は吹奏楽部が沼津の方に行ってるから…」
曜「なるほどー そういえば来月のピアノコンクールに出るんだっけ?」
梨子「うん…… 一応エントリーはしたんだけど、さっきみたいに上手に弾けなくって…」
善子「そんなので大丈夫なの?」
梨子「……だからやっぱりコンクールの方は断ろうと思って……」 やっと追い付いた
みんないい子すぎて泣けた
度々出てくる みんながお互いを褒め合う描写に>>1の性格の優しさが現れてて本当に素敵だと思う
毎日の練習風景の描写や、物事を強引に押し通しちゃうところが、スポ根で青春を感じさせられてすごく好き
これぞ"ラブライブ!"って思わせてくれるSSだと思う
クサイ感想文だけど、>>1に伝えたかった 曜「あれ?桜内さんはダンスが上手なヨハネちゃんと知り合いなの?」
善子「ふっ、当然じゃない」
善子「梨子はこのヨハネ様率いる悪の眷属の一員……」
善子「浦の星スクールアイドル部の作曲担当なんだから!」
曜「……へ〜、桜内さんもスクールアイドルやってたんだ!」
梨子「う、うん……」
善子「何よ、同じクラスなのに知らないの?」
曜「うん、あんまり話さないし、おとなしい感じだったからちょっと意外だな〜って思って」
善子「思ったことズケズケと言うのね……」 曜「あっ、もうバスの時間だ!」
曜「って言うわけで、ごめんねっ!」
ルビィ「は、はい……」
曜「あっ!ダンスが上手いヨハネちゃん、ちゃんと高飛び込み見に来てね!」
善子「ええ!? だから気が向いたら行くわよ!」
曜「じゃーねー♪」
善子「相変わらず何考えてるのか分からない人だったわね……」
花丸「うん…バスの時間までまだあるし…」
梨子「……」
梨子(渡辺さんは……) 梨子「ところで三人はどうして音楽室に?」
ルビィ「そ、それは…」
花丸「えーっと……」
善子「クックック……無慈悲に命を刻む鐘の声を聞きなさい──」
梨子「えーっと……?」
\キーン コーン カーン コーン../
梨子「あっ… もう部活の時間!?」 鞠莉「ん〜… マリー達をこんなに待たせるなんて!」
鞠莉「ダイヤの堪忍袋の緒は引きちぎれてズタズタよ♪」
果南「あははっ」
ダイヤ「べ、別に怒ってなどいません」
ダイヤ「ただ、私達より早く授業が終わったみなさんがどこで何をしていたのかは気になりますが?」
梨子「すみません… 音楽室でピアノを弾いていたら花丸ちゃん達が迎えに来てくれて……」
果南「そうなの?花丸ちゃん」
花丸「えっと……」
梨子「ね?」
善子「ええ、そうよ」
ルビィ「善子ちゃん…」 善子「梨子が来月のピアノのコンクールに出るって言ってたじゃない?」
善子「で、今日は3年の授業が多いからその分空いた時間でぎりぎりまで練習させてあげたかったのよ」
ダイヤ「そういうことでしたか……」
ダイヤ「何事にも全力で取り組むその姿勢は素晴らしいですが、時間配分はきちんとするように」
梨子「はい」
ルビィ「善子ちゃんの嘘が……」
花丸「上手になってるずら〜〜」 ダイヤ「ラブライブ!予備予選が来月20日に行われます」
ダイヤ「予備予選を見事通過出来れば名古屋で行われる地区大会に出場することができます!」
ダイヤ「あと1カ月と少ししか無いので、個別練習より全体練習の時間を少しずつ増やしていきたいと思います」
ダイヤ「そのため、明日は土曜日ですが午後1時からだけでなく、午前からも練習を行っていきましょう」
ダイヤ「休日のため購買は閉まっています。 各自お昼ご飯を用意するように!」
善子「ちょ、ちょっと待って!明日の午前は忙しいのよ…」
ダイヤ「そうですか…しかしあまり時間は……」 鞠莉「ダイヤ、善子はこう言ってるのよ? 『梨子のために午前はピアノの練習の時間をとってあげないと』ってね」
ダイヤ「……そういうことですか」
善子「えっ え、ええ…も、もちろんそうよ!」
ルビィ(善子ちゃん、梨子ちゃんのこともあると思うけど先輩のところに行きたかったんでしょ?)ヒソヒソ
善子(ええ… プールに忍び込んだお詫びも含めてね)ヒソ..
花丸(マルも一緒に行こうかな)ヒソヒソ..
ルビィ(ルビィも…!)ヒソ..
ダイヤ「それでは明日はいつもどおり午後1時からの……」
梨子(結局、千歌ちゃんのこと言えなかったな)
梨子(ヨハネちゃんにも助けてもらったし……)
梨子(しっかりしなくっちゃ…!) ……
梨子「こんばんは」
志満「あら、梨子ちゃん 今日も遅かったのね」
梨子「はい 予選まであと1カ月もないので下校時間ぎりぎりまで練習を…」
志満「大変ね〜 ゆっくりしていってね♪」
梨子「はい、ありがとうございます!」
梨子「…あの、今日は美渡さんは?」
志満「あ、あの子ね〜 今日は残業なんだって」
梨子「そうですか…」
志満「お参りしてくれた後は千歌の部屋に行くの?」
梨子「はい」
志満「夕飯もうちで食べていく?」
梨子「いえ、そんな……」
志満「遠慮しなくていいのよ♪」 千歌『もうちょっとこうした方がいいかな〜??』
千歌『アレンジしちゃったり〜…ってわぁぁ〜〜!!』ドサッ
梨子(前に観た千歌ちゃんの練習動画……)
千歌『明日部活の申請書出してくるね!』
千歌『実はほかにも誘いたい人もいるんだよ♪』
千歌『えっとね〜、ほら、同じクラスの──』
千歌『ちょっとは手伝ってよ〜』
千歌『ほら、かな──…』
梨子(果南ちゃん…) ……
果南「千歌と一緒に練習してた動画?」
果南「うん、私が撮った動画もいくつかあると思うからそのうちの一つかな」
梨子「そうなんですね…」
梨子「あの、千歌ちゃんが言ってた『同じクラスの人』って…」
果南「あー、それは曜だよ」
梨子(渡辺さん……?)
果南「千歌が曜は絶対にスクールアイドルになった方がいいって説得してさ」
果南「そしたら曜もその気になって水泳部やめてスクールアイドルやるぞーとか言いだして」
果南「千歌は曜と私の三人の名前を書いてスクールアイドル部を設立するって生徒会室にいったんだ」
果南「人数が足りないってダイヤに怒られたみたいだけどね、あはは」
梨子「そうだったんですね…」 果南「曜が千歌の練習姿を撮ってたり、カメラを三脚に建てて3人で練習してる動画もあるかもしれないけど」
果南「ダンスの動画を撮ったのはほんの数日」
果南「千歌の家にある動画のほとんどは高1までのものだと思うよ」
梨子「ありがとうございます…」
果南「私にできることがあったら何でも協力するから」
梨子「渡辺さんは……」
果南「うーん、梨子ちゃんのことは特になんとも思ってないって言ってたよ」
果南「でも、スクールアイドルは千歌がいないとやらないって言うと思う」
果南「私が聞いてもいいんだけど、聞かなくても分かるでしょって言われちゃうかな」
梨子「いえ、そこまでは……」
果南「あはは」
果南「まあ、千歌のことなら美渡さんや私に何でも聞いてよ」
梨子「はい! ありがとうございます」
果南「……」
…… 梨子(……)
梨子(渡辺さんと千歌ちゃんが練習していた時はどんな感じだったんだろう……)
梨子(動画に映って無い千歌ちゃんは…?)
梨子(私達のダンスと比べてどうなのかな?)
梨子(来週、聞いてみようかな……) ……
ルビィ「おはよう♪」
花丸「ルビィちゃん、おはよう♪」
善子「来たわね二人とも」
善子「とっとと高飛び込みを見にいくわよ」
花丸「ねえ、高飛び込みってどんなスポーツなの?」
善子「良く分からないけど高いところからジャンプしてくるくるって回るやつでしょ?」
ルビィ「うん、昨日調べたんだけど…」
ルビィ「飛び込み台からの飛び方とか、プールに入るまでの技、入水の仕方とかで点数を決めてるみたいなんだ」
ルビィ「3メートルと10メートルの飛び込みがあって、先輩は『高飛び込み』って言ってたから10メートルの方かな…」
ルビィ「先輩のことも調べたら国際大会レベルっていううわさもあるみたいだし…」
善子「そ、そんなにすごい人だったのね……」 曜「あーーー!一年生ズ!」
善子「きゃあ!」
曜「本当に来てくれたんだ、ありがとう♪」
ルビィ「えへへ…昨日、先輩のこと色々調べてすごい人だって分かったし…」
花丸「昨日のお詫びも兼ねてきました」
善子「ま、まあ、他のスポーツもスクールアイドルの参考になるだろうし?」
曜「うんうん♪ じゃあ、二階席はどこでも見学できるから好きな場所で観ててよ!」
ルビィ「はいっ」
曜「席に着くまで適当に泳いでるから!」
花丸「ありがとうございます」 曜「おーーーい、一年生ズ〜〜!」
善子「あ、飛び込み台から手を振ってるわ……」
ルビィ「あはは…元気の塊みたいな人だね」
花丸「あんなところから飛び込むの!?」
ルビィ「10メートルだからそうみたいだね……」
曜「いっきまーす」
曜「前逆さ宙返り──」
善子「お〜…」
花丸「綺麗〜…」
ルビィ「わぁぁ〜♪」
\チャプン/ 善子「ええっ!?あんな高さから飛び込んだのに水しぶきが全然立たないの?」
花丸「すごく綺麗だったずら〜…」
ルビィ「おさかなさんみたいだったなぁ…♪」
ルビィ「泳いでいたのも綺麗だったし…」
花丸「うん、すごかったね」
ルビィ「もし、先輩がスクールアイドルやってくれたら……」
ルビィ「もっともっとみんなキラキラ輝けそう…」
花丸「ルビィちゃん…?」
ルビィ「そしたらお姉ちゃんや果南ちゃん達と一緒に〜…♪」プワプワー
花丸「…あはは……すっかり先輩の虜になってるずら」
善子「あっ、もう一回やるみたいね」
ルビィ「ええっ!? る、ルビィ、飲み物買ってくる!」
花丸「今から!?もうすぐ始まっちゃうよ!?」
ルビィ「すぐ戻るから…!! ね、花丸ちゃん!」
花丸「ルビィちゃん…?」
善子「まあ来週も来ればいいし、そんなに気にすることないんじゃない?」
曜「いっくよー!」 曜「ふぅ♪」
ルビィ「あっ…あの……」
曜「あっ、一年生ズの…えーっと、あはは」
ルビィ「くっ……黒澤ルビィといいます…」
曜「くろさわ ルビィちゃん!」
曜「宝石みたいで綺麗な名前だね〜」
ルビィ「はい…お姉ちゃんはダイヤって言います……」
曜「へ〜、お姉さんもいるんだ」
曜「ルビィちゃん?わざわざ下に降りてきてくれたのは?」
ルビィ「先輩の飛び込みを間近で見たかったのと…」
ルビィ「お話をしたくて──」
花丸「あれ?下で先輩とお話ししてるのって…」
善子「ルビィ!?」 ルビィ「あのっ…!!」
ルビィ「先輩の泳いでる姿、飛び込みをやってる姿…」
ルビィ「とっても綺麗でした…! まるで人魚みたいで……」
曜「えへへ、そんなに褒められると照れちゃうなぁ…♪」
ルビィ「ルビィ、そんな先輩と……」
ルビィ「──スクールアイドル、やってみたい…です……」
曜「えっ……」
ルビィ「あっ……」
ルビィ「ご、ごめんなさい!」
ルビィ「失礼します!!」 曜「待って!」
曜「ルビィちゃん…」
曜「私はスクールアイドルは出来ないんだ」
ルビィ「ど、どうしてですか……」
曜「ちょっと、ね……」
ルビィ「うぅ……ご、ごめんなさい……」
ルビィ「突然すみませんでした……」
曜「ルビィちゃん……」
曜「ルビィちゃんが謝る必要は…ないよ」
曜「……だって」
曜「私、もうスクールアイドルなんだ」 ルビィ「そ、そうなんですか!?」
ルビィ「で、でもスクールアイドルは原則として1つの学校に1つのはずです……」
ルビィ「同じ学校に複数の部活がある場合はその限りじゃないって規則はありますけど……」
ルビィ「でも、浦の星にはルビィ達の『浦の星女学院スクールアイドル部』しかないと思ったんですけど…」
曜「……」
曜「…私のスクールアイドルは……」
ルビィ「…?」
曜「……あっ、あはは♪」
曜「あー、えーっと……」
曜「実はさ、スイミングスクールでスクールアイドルをやってるんだ」
曜「名付けて、スイミングスクールアイドル!」
ルビィ「スイミング……スクールアイドル?」
曜「って言うわけで、ごめんねっ!」
曜「じゃーねー♪」 善子「こらー、ルビィ!」
ルビィ「あっ、善子ちゃんと花丸ちゃん…」
花丸「先輩とお話ししてたの?」
ルビィ「うん……」
花丸「ねえルビィちゃん、さっき、スイミングスクールアイドルって言ってたけど」
善子「なによそれ!そんなのあるの?」
ルビィ「ルビィは聞いたことないけど……」
善子「っていうか、先輩をスクールアイドルに誘ったの?」
善子「インハイレベルのスキルを持ってる人がそう簡単にやるわけないじゃない」
ルビィ「うん、そうだね…」
ルビィ「ご、ごめんね……」
花丸「ルビィちゃん…」
ルビィ「あっ、そういえば、本番っぽくやりたいから後2,3回飛ぶって言ってたよ!」
ルビィ「早く二階に行こう、花丸ちゃん♪ 善子ちゃん♪」
善子「全く、しょうがないわね…」
善子「せんぱーーーい!私達が二階に行くまで飛ぶの待っててくださーーい!!」
曜「!」
曜「オッケーー♪」 ルビィ「でね、飛び込みを5回やってその合計点で優劣を決めるんだって」
花丸「そうなんだ」
ルビィ「今のは逆立ちからの後ろ飛び込みの…」
善子「何回転してたの?」
ルビィ「うう…宙返りに加えて捻り…とにかくすごすぎてわからないよぉ……」
花丸「マルも全然わからなかったよ」
善子「これで最後なんだから本人に直接聞けばいいんじゃない?」
花丸「それもそっか」 曜「最後までみてくれてありがとう!一年生ズ!」
善子「ちょっと!その一年生ズってやめなさいよ!」
曜「うーん、それじゃあダンスが上手なヨハネちゃんと、くろさわルビィちゃんと…」
花丸「国木田花丸です、よろしくお願いしますずら」
曜「花丸ちゃん! よろしくね♪」
善子「最後の飛び込みは何ていうワザなの?」
曜「うーんと、『逆立ち後ろ飛び込み宙返り2回捻り1回転半自由型』だよ!」
善子「何の呪文よ!? うう、頭痛くなってきた」
花丸「未来ずら〜〜」
ルビィ「本当にすごかったです…!」
曜「ルビィちゃん、褒めすぎだって♪」
善子「まんざらでもない顔してるじゃない」
曜「えへへ♪」
曜「あっ、コーチに駄目だったところとか教えてもらうから、公開練習はこれでおしまい!」
曜「来週もやってるから来てね〜〜」
よしまるびぃ「「「ありがとうございました♪」」」 ……
梨子「おはよう、渡辺さん」
曜「あっ、桜内さんおはよー」
梨子(何から話そうかな……)
梨子(いきなり動画や千歌ちゃんの話をしても困るだろうし……)
梨子「今日はいつもより早いね」
曜「うん、何かよくわかんないけど今日は6時に起きたんだよね〜♪」
梨子「昨日は早く寝たとか?」
曜「いやー、色々やってて寝たのは12時過ぎてからなんだけどね」
梨子「色々? あっ、それってもしかして2限の数学の宿題とか3限の世界史の小テストの予習とか?」
曜「シュクダイ? テスト……??」
梨子「えっ、何でカタコトなの」
梨子「ほら、先週の金曜日に先生が言ってたと思うけど……」
曜「わああ〜〜!? そういえばぁ〜〜!? どうしよう……」
梨子「あ、あはは……」 \キーン コーン カーン コーン../
曜「あーあ、今日は散々だったな〜」
曜「数学の先生には廊下に立たされるし…」
梨子「あはは……」
梨子(宿題を忘れた言い訳が、毎回『家に忘れました』だとそうなるよね……)
曜「小テストは選択問題ほとんどなかったし!」
梨子(どんな回答をしたのか気になる……)
曜「でも今日から水泳部活動開始だし、部活がんばるぞ〜」
梨子「がんばってね」
梨子(そう、渡辺さんは水泳部だからスクールアイドル部には誘えないと思うんだけど…)
梨子(果南ちゃんは千歌ちゃんが説得したって言ってたけど、どうやって誘ったのかな…?) 梨子(千歌ちゃんと渡辺さんはどんな感じで練習していたのかな……)
曜「あっ、桜内さん」
梨子「どうしたの?」
梨子(渡辺さんが観ていたスクールアイドルの千歌ちゃんと、今の私達……)
曜「もしよかったらなんだけどさ」
梨子(どっちが輝いてるのかな……)
曜「水泳部の見学に来ない?」
梨子(私達のダンスを見学してほしい)
梨子「見学……」
曜「うん!」
梨子「……してほしい」
曜「えっ?」
梨子「あっ……」 梨子「……あの、ごめん」
曜「うーん、別に桜内さんやダンスが上手いヨハネちゃんのダンスも見てみたかったし」
曜「ルビィちゃんと花丸ちゃんも見学に来てくれたし、そのお礼かな♪」
曜「それに、さっき気がついたけど水着忘れてたし……」
梨子「あはは…」
曜「スクールアイドルだよね?楽しみだな〜」
梨子「練習しているところは地味かもしれないけど、それでも一人一人に素敵なところがあって…」
梨子「───みんなと一緒で良かったな、って思うんだ」
曜「そっか」 梨子「みんな、遅れてごめん!」
鞠莉「梨子ったら今日も遅刻?」
鞠莉「ダイヤの血圧を上げるのが得意なのね♪」
ダイヤ「鞠莉さん! 私はそんなに怒っていませんが?」
鞠莉「イッツジョーク♪」
果南「まあまあ、あれ?後ろに居るのは……」
曜「果南ちゃん……」
果南「曜…?」
花丸「あっ!先輩!今日はどうされたんですか?」
ルビィ「も、もしかして…!」
曜「あっ、ううん 今日は桜内さんのスクールアイドル姿を見学しに来たんだ♪」
曜「あと、ダンスが上手なヨハネちゃんもね えへへ♪」
善子「クックック… このヨハネの華麗な舞で先輩もリトルデーモンにしてあげるわ!」
曜「リトル…?うーん、よくわかんないけど、楽しみ!」 果南「それじゃ、いつものようにまずはストレッチからいくよ」
果南「曜はどうする?」
曜「うーん、ストレッチだけしてもね〜」
果南「じゃあ練習開始するまで待っててくれる?」
曜「うん!」
果南「梨子ちゃん、一緒にやろっか」
梨子「はい」 果南「曜を見学に誘ったの?」
梨子「…はい」
果南「そっか」
果南「曜には水泳部があると思ったんだけど」
果南「部活も今日からだったと思うけどなぁ」
梨子「えっと… 水着を忘れたみたいで…」
果南「あはは 相変わらずだなあ」
果南「曜は何か言ってた?」
梨子「いえ、特に何も…?」
果南「実はさ」
果南「あの日……私が入れてもらった次の日に曜に声をかけてたんだ、ごめん」
梨子「…!」 果南「私も千歌が目指していたものを見てみたい」
果南「私がスクールアイドルやってたら千歌も喜んでくれると思うし……」
果南「もしよかったら曜も一緒にどう? ってね」
梨子「そうだったんですね……」
果南「『私のスクールアイドルは果南ちゃんと千歌ちゃんだけだから』って言われちゃったけどね」
梨子「……」
果南「あっ… ごめん…」
梨子「いえ、いいんです……」 梨子「あの…」
果南「うん?」
梨子(私が海に飛び込んだ理由──)
梨子(果南ちゃんに伝えたい……)
梨子(けど、怖くて言えない)
梨子(ピアノが弾けないから、海のことを知りたかったから……)
梨子(ただ自分が何も出来なかっただけで、千歌ちゃんが──なんて)
梨子(言え、ない……)
梨子「いえ、なんでもないです……」
果南「そっか」
果南「梨子ちゃん ちょっと硬いね〜」
梨子「えっ…」
果南「少し強くいくよ〜」
梨子「ちょ、ちょっと待って!」
果南「ふふっ だーめ♪ 待たないよ〜♪」
梨子「ええっ!? あっ んんっ……!」 ダイヤ「それではラブライブ!地区大会予備予選に向けてライブ曲の練習を行いたいと思います」
ダイヤ「本日は梨子さんのクラスメイトの渡辺さんが見学に来られています」
ダイヤ「本番だと思ってしっかりと練習するように!」
6人「はいっ!」
ダイヤ「それでは、渡辺さんもいらっしゃることですし、早速通しでやってみましょう!」
鞠莉「いいわね♪ 曜にも楽しんでもらえると嬉しいんだけど」
曜「こんなに近くでライブが見られるなんて、それだけでも嬉しいよ〜」
鞠莉「うっふふ♪ もーっともーっと嬉しくしちゃうわよ〜」
果南「悪いね、動画撮ってもらって」
曜「ううん、お安い御用だよ!」
ルビィ「それでは、ミュージックスタート!」 ─……
────♪
ダイヤ「──♪」
曜「ルビィちゃんのお姉さんってあの生徒会長だったんだ」
曜「でも生徒会長は流石、家柄って感じだね〜」
曜「動画を何度観ても止まるところはブレずにピタッと止まってるし、指先まで張りつめられた意識は私にまで伝わってくる…」
曜「才能って言うのかな、踊ってるだけで絵になるってすごい……」
ルビィ「──♪」
曜「ルビィちゃんは、お姉さんと比べたらまだまだって感じだけど」
曜「アイドルが好きなのかな? 可愛く魅せようとする力は一番かも!」
曜「それに私の方…っていうかカメラの方を何度も向いてくれてるし♪」
花丸「──♪」
曜「花丸ちゃんはちょっと危なっかしい感じだけど…」
曜「歌声はすごく綺麗だし意外と周りを見てて自分より他の人を優先してる」
曜「ルビィちゃんが前に出やすいようにしてたり… 笑顔も可愛いかな♪」 善子「───♪」
曜「ダンスが上手なヨハネちゃんは、っと……」
曜「やっぱり生徒会長や果南ちゃんのダンスには適わない感じかな〜」
曜「でもたまに見えるクールなドヤ顔からの無邪気なスマイルはクセになるかも……?」
曜「こ、これがリトルデーモン…??」
鞠莉「───♪」
曜「鞠莉さんは…淡島のホテルの人だっけ」
曜「表情の豊かさは7人の中で一番♪」
曜「フォーメーションを間違えても修正…っていうか勝手にアレンジしてる感じがする」
曜「本番とかでも全く緊張しなさそう 私と似てるかも?」 果南「────♪」
曜「果南…ちゃん……」
曜「千歌ちゃんと三人で練習してた時よりずっと上手になってる」
曜「『千歌ちゃんが目指してたものを見てみたい──』か……」
曜「千歌ちゃんが死んじゃったのは……」
梨子「────♪」
曜「桜内さんを助けたからって聞いたけど…」
曜「桜内さんはどうして自殺しようとしたの?」
曜「どうして、助けられた後に千歌ちゃんがやろうとしてたスクールアイドルをやり始めたの?」
曜「……」
曜「私は続けられなかったのに。」 梨子「─────♪」
曜「桜内さんは歌は上手だけどダンスは……」
曜「でも、がんばろうって気持ちは伝わってくる」
曜「他の六人の誰よりも必死で、前を向いて」
曜「まるで…千歌ちゃんみたいに──」
曜「───」
曜「どうして……」 ……
梨子「はぁっ… はぁっ……」
梨子「私達のダンス、どうだった?」
曜「おつかれさま〜 すごく可愛かったよ!」
梨子「渡辺さん… ありがとう♪」
ダイヤ「すみません、見てもらうつもりが動画を撮ってもらってしまって…」
曜「いいえ! カメラ越しで見るとより真剣さが伝わってきたし」
曜「ルビィちゃんなんか何回もカメラ目線で応えてくれたし♪」
ルビィ「うぅぅ……//」
花丸「さすがルビィちゃん♪」
果南「その動画のコピーあげるから家でもみてほしいな」
曜「果南ちゃん…」
曜「いいの!?ありがとう♪」
曜「果南ちゃんの動きを何度も見て駄目だったところを指摘しちゃうからね!」
果南「あっはは♪ 曜のチェックは厳しいからな〜」 善子「ヨハネは!? 私のダンスはどうだったのよ!?」
曜「ドヤ顔からのスマイルはなかなか可愛かったよ!」
善子「ええっ! ま、まあ当然っちゃ当然よね…//」
曜「花丸ちゃんの可愛いスマイルとは違った味があったし」
花丸「えへへ、照れるずら〜」
鞠莉「私はどうだった?」
曜「鞠莉さんは自由気ままって感じで、パートナーがいる時は相手が振り回されてる感じかなぁ」
鞠莉「oh... まあ、でも悪いことじゃないわよね」
曜「桜内さんは……」
曜「一生懸命さが伝わってきたよ!」
曜「まるで…」
曜「………」
曜「応援したくなるような… そんな、感じ」
梨子「そっか……」
梨子「嬉しいな…♪」 ……
花丸「ピアノの調子はどうですか?」
梨子「ありがとう まあまあかな…」
ルビィ「そういえばコンクールのエントリーは……」
梨子「ううん、まだ断ってはないけど…」
梨子「今のままだと…参加しても到底入賞も出来ないと思う……」
花丸「…マルもそう思います」
ルビィ「花丸ちゃん!?」
花丸「曜さんと音楽室で会った日、梨子ちゃんのピアノはいつもの感じじゃ無かったから……」
梨子「そっか……」
花丸「正確にいえば、途中上手に聞こえるところもあったんだけど…」
梨子「……」
梨子「ルビィちゃんも…?」
ルビィ「……はい」 花丸「ライブの曲を弾いたりアレンジしてる時の梨子ちゃんはとっても輝いて見えるんだけど」
花丸「だけどコンクールの曲を弾いてた時は……」
花丸「…ごめんなさい」
花丸「でも、マルでよかったらいつでも相談に乗ります…!」
花丸「だから、コンクールの方も諦めないでほしいです……」
ルビィ「花丸ちゃん……」
花丸「梨子ちゃんが居てくれたおかげで、声をかけてくれたおかげで今のマル達があるから」
花丸「マルにできることがあれば何でも言ってください!」
梨子「私のおかげ…… ううん、逆だよ 花丸ちゃん」
梨子「皆が居てくれるから、今の私があると思うんだ…」
梨子「ありがとう、花丸ちゃん、ルビィちゃん」
梨子「おかげで元気が出てきた気がするな♪」
梨子「今日も練習頑張らなくっちゃ♪」 梨子(私のせいで皆に迷惑をかけてる気がする…)
ダイヤ「梨子さん?」
ダイヤ「梨子さんのせいで迷惑だ、などと思っている不届き者は浦の星女学院スクールアイドル部にはいないはずですが?」
梨子(……!)
梨子(そう、だよね……)
梨子(私がこんな気持ちだとみんな心配するだろうし)
梨子(この前も果南ちゃんに心配されちゃったし…)
梨子(みんなは私のこと信じてくれてるのに、私だけ逃げてる……)
梨子(私と千歌ちゃんのこと……)
梨子(知ってもらって…)
梨子(もし、みんな居なくなったら……)
梨子(でも、一番最初に話さないといけないのは……) ─……
志満「毎日ありがとう、はいみかん」
梨子「ありがとうございます」
志満「今日も夜遅くまで部活?」
梨子「はい」
梨子「そういえば、美渡さんは今日も残業ですか?」
志満「うーん、もう少しで帰ってくると思うんだけど…」
梨子「それなら待たせていただいてもいいですか?」
志満「いいけれど、美渡に何か用事?」
梨子「いえ…志満さんと美渡さんに話を聞いていただきたくて……」
志満「?」
梨子「……私が海に飛び込んだ理由──」
志満「…!」
志満「ちょっと待っててね」 梨子「私は小さいころからピアノが好きで、家でずっとピアノを弾いていました」
梨子「ひとつひとつ、簡単な曲から弾いていって…」
梨子「難しいと思った曲が弾けるようになった時も嬉しかったんですけど」
梨子「お母さんに聞いてもらって、『良くできたね』って褒められるのが一番嬉しかったかな……」
美渡「……」
梨子「だから、もっともっと聞いてほしくて色んな曲を弾けるようになりました」
梨子「そのうち自分でも作曲をするようになって」
梨子「ピアノを通じて世界が広がって行くのが分かりました」
志満「……」 ……
曜「こんばんはー♪ 千歌ちゃんのお参りに来ました〜」
曜「……」
曜「美渡さーん! 志満さーん!」
曜「今日お参りに行くっていったのにな〜」
曜「失礼しま〜す……」ガチャ
曜「ありゃ?開いてる」
曜「うーん、旅館の方が忙しいのかな?」
曜「あれ? この靴……うちの学校のだ」
曜「果南ちゃんかな?」
曜「美渡さん達と話ししてるのかな〜?」
曜「おじゃましまーす!」 梨子「小学校の頃は課題曲のコンクールで入賞もしました」
梨子「いつしか先生も見てくれるようになって」
梨子「中学校では創作コンクールで入賞して、音楽で有名だった音ノ木坂学院高校に推薦で入学しました」
梨子「でも…高校に入学してからは周りからの期待に応えられなくて……」
梨子「1年の冬のコンクールに出場した時は、舞台で弾くことができませんでした…」
梨子「それからは自分で作曲した曲は弾くことすらできなくなって…」
梨子「……どうしようって思っていました」
梨子「そんな中、お父さんの仕事の都合で海が見られる静かな町──内浦に引っ越すことになりました」 曜「あれ?部屋に居るのは美渡さんと志満さんと……」
曜「桜内、さん……?」
梨子「お母さんはコンクールのことを知っていたので、友達と離れるのは嫌かもしれないけど気分転換になっていいんじゃない?」
梨子「──って言ってくれたんですけど……」
梨子「やっぱり、気を遣わせていたんだなあって……」
梨子「そのせいかな… どうしよう、なんとかしなきゃって思いました……」
梨子「そう思って何日かピアノに向き合っていても、やっぱり弾けなくて……」
梨子「せっかく海の町に来たんだから外に出てみるのもいいかなって思いました」
梨子「……」 梨子「外に出てみたら、すごく綺麗で……」
梨子「海に映る太陽、海の香りを運んでくれる風、素敵なリズムで奏でられる波の音──」
梨子「私が出会ったことがない音楽が、この町にあったんです」
梨子「ずっと、海を眺めていました」
梨子「夕方になって少しずつ深い色になって行く海が綺麗で…」
梨子「……」
梨子「私、海のこと全然知らなかったんだなって……」
梨子「私が作曲した曲のタイトルは『海に還るもの』……」
梨子「この海のことが分かった時、曲が完成するんだろうなあって思って…」
梨子「だから、海の音、海の事が少しでも分かるなら何だってやりたいって…」
梨子「海に……」
志満「……」
梨子「それで、千歌ちゃんに助けられました……」 梨子「……なので…私は死にたかったわけではなく……」
梨子「ただ……」
梨子「自分が……弱くて、何も出来なかっただけ……」
梨子「……そのせいで……」
梨子「………ごめん、なさい……」
梨子「……本当に………ごめんなさい……」ポロポロ..
美渡「……」
志満「……」
曜「そんな……」 志満「そっか」
志満「一つだけ、教えてほしいな」
梨子「……」
志満「梨子ちゃんはもう、死にたいって思ってないのよね?」
梨子「……」
梨子「はい……」
志満「それならよかった」
志満「お葬式の時は本当に暗い顔をしていたから……」
志満「お葬式の後も何回か来てくれたけど、途中から顔色が良くなった気がして…」
梨子(たぶん、千歌ちゃんが私の家に来てくれた時からのことかな……)
志満「梨子ちゃんがみかんを持って帰った時かな?」
志満「あの頃からもう大丈夫だって思ってたんだけど、やっぱり、梨子ちゃんの口から聞きたくって…」
志満「自分で死のうと思ったのではないにしても、あの時の梨子ちゃんの顔を思い浮かべたら…」
志満「ううん、ごめんなさい」
梨子(みかんを持って帰った日……)
梨子(そっか……) 美渡「私も一つだけ」
梨子「……」
美渡「どうして『スクールアイドル』をやろうと思ったの?」
美渡「梨子ちゃんが自分から千歌の部屋に来てくれるようになったのはスクールアイドルを始めてからだと思ったんだけど」
美渡「それまでは果南ちゃんに連れられて行ってたくらいだし」
美渡「それだけで興味を持つのかな?だとしたらどこで興味を持ったのかな?って、単純な疑問なんだけどね」
梨子「それは…」
梨子(幽霊の千歌ちゃんが私のところに来てくれて…スクールアイドルに誘ってくれたから……)
梨子(でも……)
梨子(私とずっと一緒に居てくれた幽霊の千歌ちゃんは──)
梨子(多分、私が作り出した幻──) 梨子(千歌ちゃんが死んで、私は一生罪を背負ったまま生き続けようと思ってた)
梨子(でも──謝りたいって気持ちももちろんあった)
梨子(私がしたことは謝っても許されるものじゃないから……)
梨子(謝りに行ってちゃんと理由を説明して、もしも否定されて、蔑まされたら──)
梨子(──私が私じゃなくなる気がした)
梨子(だから私が一番最初に謝らないといけない人達に謝る前に…)
梨子(千歌ちゃんに謝って、許してもらおうって思った)
梨子(そうしたら私の目の前に千歌ちゃんが現れてくれた)
梨子(幻だったとしても……本当に千歌ちゃんの幽霊だったとしても!)
梨子(それで謝った気になってた……)
梨子(そんなこと、許されないよね……) 梨子(その代償として私はスクールアイドルを選んだのだけれど……)
梨子「一つは罪滅ぼしの様なものかと思います……」
美渡「……っ!」
梨子「もう一つは…」
梨子「千歌ちゃんがやろうとした、見ようとしたスクールアイドルの景色を見て……」
梨子「報告? したかったのかな…」
梨子「輝いてたよ、って」
梨子「千歌ちゃんがやろうとしていたこと、最初は私にはわからなかったけど」
梨子「スクールアイドルを始めて、もっと知りたいって思うようになりました」
梨子「だから千歌ちゃんの部屋に通ってスクールアイドルのことを…」
梨子「ううん、千歌ちゃんが好きだったスクールアイドルについてもっともっと知りたくなりました」
梨子「だから、千歌ちゃんが見たかった景色を、私も見たいと思いました」
曜「……」 梨子「………」
梨子「もしかしたら、私がもっと強くって、ちゃんとしていたら」
梨子「こんなことにはならなかったって思います」
梨子「もしかしたら、千歌ちゃんと一緒にスクールアイドルをやってたかもしれないって思うと…」
梨子「なんであんなことしちゃったんだろう……」
梨子「……」
梨子「うぅっ…… ごめん、なさい……」
志満「梨子ちゃん……」
志満「ありがとう」 梨子「…えっ……」
志満「今まで辛かったのよね」
志満「海に飛び込む前も、飛び込んでからも……」
志満「でも、いまはちゃんと前を向いてくれてる」
志満「だから…」
美渡「うん」
美渡「千歌がやったことは意味がなかったわけじゃなかった」
美渡「一人の少女を救った!」
美渡「命も、心もね」
美渡「これからも、気が向いたらうちに来てほしいな」
梨子「……ありがとう…ございます………」
曜「桜内さん……」
曜「桜内さんはあんなことがあっても前を向いていたんだ……」 ……
花丸「えぇっ!?スクールアイドル部に入ってくれるんですか!?」
ルビィ「ほ、ほんとうですか!?」
曜「うん!」
善子「ふっ、このヨハネのリトルデーモンがまた一人増えるのね! クックック…」
果南「っていうか、水泳部は? 高飛び込みは…??」
曜「あー、水泳部は、まあね♪」
果南「まあねって……」
鞠莉「また仲間が一人増えて面白くなっちゃうわね♪」
ダイヤ「ですが、本当によろしかったのでしょうか…?」
曜「水泳部の先生にめちゃくちゃ怒られたけど、逃げてきちゃった♪ てへっ」
梨子(……) 曜「飛び込みは沼津のスイミングスクールで練習できるし」
曜「お盆にインハイがあって、14日と15日はいないけど」
曜「それ以外は全力でスクールアイドルの練習をするであります!」
梨子(渡辺さん……)
曜「桜内さん…じゃなかった!梨子ちゃん!」
梨子「!?」
曜「これからよろしくね♪」
梨子「うん♪ よろしくね、曜ちゃん」 ルビィ「で、でも……」
ダイヤ「どうしたのです?」
ルビィ「ラブライブ!の予選に登録するのは1か月前が締め切りで」
ルビィ「登録する時に人数も申請すると思ったんだけど…」
曜「そっか……」
果南「あっそういえば…」
鞠莉「マリーを入れて7人で登録していたら曜はアウト……」
梨子「ごめんなさい……」
梨子「実は、浦の星女学院スクールアイドル部として登録した人数は8人なんです……」
ダイヤ「……」
果南「……!」
曜「そうなの!?」
梨子「うん……」 梨子「鞠莉ちゃんが加入して少し経ってラブライブ!の予選に登録したんだけど」
梨子「その時はその時の7人と……」
梨子「私にスクールアイドルを教えてくれた、千歌ちゃんの8人で……って思ってたから…」
梨子「ごめんなさい……」
梨子「実際にライブする時に事前登録した人数より少なくってもそれほど問題にはならないと思ったから……」
梨子「みんなに相談せずにこんなことをしたのは許されることじゃないと思ってます…」
ダイヤ「いえ…」
ダイヤ「少なくとも、私は解っていましたよ?」
梨子「えっ……?」
ダイヤ「私は生徒会長ですから。 生徒から出てくる校外向けの書類は全てチェックしていますので♪」
梨子「あっ…」
ダイヤ「ですから、梨子さんの意図を汲んだ上でそのまま先生方へ提出いたしました」
ダイヤ「ライブ前に皆さんに説明してほしかったのですが、していただけて良かったです」 梨子「ありがとうございます…」
ダイヤ「梨子さん、そろそろ皆さんに言わなければならないのではないでしょうか?」
梨子「はい……」
梨子「みんなに聞いてほしいことがあります──」 ──……
曜「おーい、梨子ちゃーん!」
梨子「はーい」
梨子「って、まだ移動しなくて大丈夫?」
曜「うん、一応今日の夜に移動すればいいから」
梨子「そっか、明日から頑張ってね!」
曜「梨子ちゃんこそピアノの練習は大丈夫?」
曜「ここのところずっとライブの練習ばっかりしてたからさ〜」
梨子「うん、ありがとう」
果南「ほーら、口より体動かす」
ようりこ「「は、はい!」」 美渡「三人とも手伝ってもらってありがとう」
志満「この時期だから結構忙しくって、準備が遅れそうだったから助かるわ」
梨子「いえ…」
曜「全然問題ないであります!」
果南「うん、千歌のためだからむしろ手伝わせてほしいって思ってたし」
美渡「ふふっ、みんなにこんなにやってもらってるんだから千歌にはお土産持ってきてもらわないといけないな〜」
志満「あの子が何か持ってくると思う?」
美渡「あー、絶対手ぶらだわ」
志満「ふふっ」 果南「梨子ちゃんはお盆の準備は初めてなんだ」
梨子「はい、いつもは母がほとんどやってくれていたので…」
曜「私のところはお墓参りくらいしかしないからな〜」
曜「だから迎え火っていうのは初めてかも」
梨子「そっか…」
果南「千歌が遅れてきたら、インハイのホテルに間に合わないかもね〜」
曜「だ、大丈夫だよきっと!」
梨子「あはは♪」
梨子「でも、お盆って御先祖様の霊を迎えるためにするものだって思ったけど」
美渡「地域によって客人とか神霊とか色々迎えるところもあるみたいだし」
志満「だからきっと千歌も来てくれると思うわ」
曜「そだね…」
果南「さあ準備準備♪」 志満「それじゃあ曜ちゃんを送ってくるから」
曜「よろしくお願いします」
美渡「うん、こっちはまかせて!」
果南「がんばってね って言わなくても大丈夫かな、あはは」
曜「もちろん!」
梨子「ネットで見られるみたいだから応援するね!」
梨子「本当は現地で応援したいんだけど……」
曜「ううん、梨子ちゃんにはピアノもあるし、仕方ないよ♪」
梨子「うん、ありがとう♪」
梨子「美渡さんもありがとうございました」
美渡「こちらこそありがとうね」
美渡「16日に送り火もするけどライブの準備で忙しいかな?」
梨子「いえ、手伝わせてもらいます」
果南「あっ 私も〜」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています