私の高校生活は、中学生時代の私からすれば想像がつかないほどに、そして大学時代の私からしても絵空事に聞こえるように、劇的なものだった。

劇的で、刺激的で、衝撃的で。

千歌ちゃんと一緒に何かが出来たらそれでいいや、なんて考えていた一年生時代が空虚に思えるほど、私を人生を狂わせることになるイベントが起きた。

イベントというよりはアクシデントというべきか。
言ってしまえば不慮の事故みたいなもんなんだけど。

二年生の春に、私は彼女に出遭った。

同じ人に惹かれ導かれ、同じ人を愛することになり、同じ人の夢の為に共に走った、そんな鏡写しに遭遇した。

その恋敵―――桜内梨子は、ピアニストという夢をぶら下げながら内浦を離れていった。