曜「……千歌ちゃんのことは梨子ちゃんに関係ないでしょ」

梨子「あるわよ」

曜「何で?」

梨子「私の好きな人だもの」

曜「……私だって好きだよ。きっと梨子ちゃん以上に」

梨子「知ってるわよ、そんなこと」

恋敵のことは恋敵が一番よく知っている。
そう言いたげな眼光を放っていた。

梨子「だから曜ちゃんには負けたくなかった。今までの時間分を取り返さなきゃって思ってた」

曜「今までの時間分―――」

梨子「圧倒的な曜ちゃんのアドバンテージを埋めるために私は必死に頑張ってきた。東京から来た転校生なんて幻想が剥がれ落ちる前に、私自身を認めてもらえるように」

そして、と梨子ちゃんは続ける

梨子「ここに来て、やっと肩を並べられた気がするの」

梨子ちゃんが私たちと最初からずっと居たような感覚。
二年生になるまで一緒に居なかったのが嘘みたいな感覚。
安心感。一体感。連帯感。対等感。