実際のところ、梨子ちゃんに対して全く関心がないと言えばそれは嘘になる。
からかわれたくないから虚勢を張っている。

2年の春に東京からここ内浦にやって来て
その美貌と才能と経歴に千歌ちゃんが興味を示さないはずがなくて
それは言うなれば運命の出逢いで
Aquorsにとっての原点のようなもので
そこから1年生や3年生、Seint Snowも巻き込んでいって
どんどん強くなって
どんどん大きくなって
どんどん輝きが増していって
私と千歌ちゃんだけだったはずの小さな渦はいつのまにか竜巻のように広がって
その中心核には当たり前のように梨子ちゃんがいて

梨子ちゃんが居なくたって千歌ちゃんの夢を叶えてみせるなんて胸を張れるほど、私は愚かなやつじゃない。
だけど、そんな人に対して嫉妬も憎悪もなく心から大好きなんて言い張れるほど、私は良いやつじゃない。