凛「真姫ちゃんはあの窓から月を眺めたことはあるかにゃ?」

真姫「当然よ。一番綺麗に月の見える場所を寝室にしてもらったんだから」

凛「ロマンチックだね!」

真姫「べっ別にいいでしょ?」

凛「でもその素敵な窓のカーテンをぜーんぶ閉じてもらっていいかにゃ?」

真姫「わかったわ」



真姫「閉めたわよ」

凛「よし、ある程度暗くなったね。それじゃあ再現してみよっか」

真姫「動く甲冑?」

凛「うん!ライトオンっ!」ピカ-ッ

真姫「あっ…‼甲冑の影…!」

凛「わかったかにゃ?これでさらにレースのカーテンを前後に動かすとっ」

真姫「あああ…動いてる…‼」

凛「これが謎の正体だよ。月明かりが甲冑に影を作って、カーテンが揺れると動いているように見えてしまう。これこそが真姫ちゃんの怖がってた夜に動く甲冑の謎なんだにゃ」

凛「人は夜や暗闇で恐怖に敏感になるのは、かつて人間がまだ猿だった頃、敵から身を守るために暗い洞穴に住むようになったことの名残だって言うにゃ」

凛「さらに、人は、無機物の配列の中から象形的なものを探して人に見えるように意識してしまう先天的な癖があるにゃ。コンセントとか空き缶が顔に見えたり、プラスチックの留め具を人の全身に見えたり…」

凛「それら真姫ちゃんのの本能的な人としての癖が、こうして甲冑が動いて見えるという錯覚を生み出したんだにゃ」

真姫「そういえば、さっき月日に関係があるって言ったけど…」

凛「真姫ちゃんは月半ばには甲冑は動いて見えなかったよね。それは何故か…」

凛「月半ばは新月にゃ!黒い羽衣の天女が15人、月を覆い尽くすから見えなくなるだなんて昔は言ったけど、今はちゃんと太陽の光によって説明がつくよね」

凛「月半ばの新月!新月はすっぽり月が隠れて光が見えないよね、だから…」

凛「月明かりのない新月の日には甲冑は動いて見えないんだにゃ」

真姫「探偵さん…!」

凛「明日は安心して寝られそうですか?」

真姫「ええ!もちろん‼」