凛「凛がなんでも解決しちゃうにゃ」
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〜西木野家別荘〜
ドライバー「お客さん、着きましたよ」
凛「ありがとうございました〜。料金は?」
ドライバー「先払いで頂いていますから、結構です」
凛「はぇ〜流石お金持ちにゃ」
ドライバー「ではお気をつけて」ブゥウン
凛「あぁ、確かに見えてきたにゃ」
凛「でっかいお家…ホントに別荘?」 凛「あれ?入り口どこ?」
凛「うぅ〜ん…」
海未「どちら様でしょうか」
凛「あっ探偵の星空です!」
海未「お嬢様から聞いております。どうぞ中へお入りください」ギィイ...
凛「どひゃ〜絢爛豪華!」
絵里「ようこそお越しくださいました。真姫お嬢様の秘書、絢瀬と申します。星空様でしたね?この家の事ならまず私にお聞きください」
凛「は、はい。よろしくお願いしま〜す」
凛(て、丁寧過ぎるにゃ…)
絵里「お嬢様は今外出中です。ご帰宅されるまでしばらくお待ちください」
凛「了解で〜す」
凛「とは言ったものの…)
凛(落ち着かないにゃ!何この面接の直前みたいな異様な緊張感…秘書の方も良い人そうなのになんかだんだん恐れの対象に見えてきたよ)
絵里「お暇でしたらある程度屋敷内を巡回なさっても構いませんよ」
凛「で、ではお言葉に甘えて…」 ハァ・・・こういうタイトルで安価ssじゃないの?
くっだらね 凛「ここは入っても大丈夫ですか?」
絵里「どうぞ、中に人がございますので」
絵里「希様、お客様です」
希「ほいよー今開けるからな」
ガチャ
希「遠くからわざわざご苦労様。ウチは真姫ちゃんの古い友人で風水占い師の東條希や、よろしく」
凛「探偵の星空凛です。よろしくお願いします」ペコ
希「別にウチに対してはそんなに畏まらんくても、気楽にしていいから」
凛「わかったよ、希ちゃん」
希「対応早いのはいい事やな。運気上がるで」
凛「本当⁉」
希「ウソ」
凛「なぁんだ〜」
希「凛ちゃんはこの部屋に何しに?」
凛「なんか…部屋で秘書の絢瀬さんと2人きりが気まずくて…」
希「あ〜わかる。ほんじゃこの部屋のわけわからん珍品観て時間潰せばいいよ」
凛「珍品?」 希「これはマザッチオの絵画や。もちろん複製品とか贋作やないで!正真正銘の本物」
凛「へぇ〜…マザッチオって誰?」
希「イタリアの初期ルネサンスの画家やな。宗教を題材とした作品が多いから何かと展覧会では見かけるよ」
凛「ふうぅん今度探してみるにゃ」
希「こっちは旧ローマ帝国の甲冑や!あ、これは本物やないから」
凛「それは流石にわかるよ…」
コンコン
絵里「お嬢様がご帰宅されました」
希「おっようやくかぁ。凛ちゃん、行くで」
凛「はーい!」 真姫「ちょっと!まさかこのちんちくりんが探偵だって言うの⁉」
凛「んなっ⁉心外だにゃ!」
絵里「お嬢様、お客様に失礼ですよ」
真姫「だってこんなのがあれを解決出来ると思う?」
凛「や、やってやるにゃ!凛だって挨拶もまずまず、開口一番に不躾な事言われたら黙っちゃいないよ」
真姫「あ、そんなことより絵里、今度にこちゃんが遊びに来るから部屋綺麗にしといて」
絵里「かしこまりました。早急に女給へ伝えます」
凛「そんなことよりって…」
真姫「冗談よ。食事の後部屋に来て。今日読んだ理由を話すから」
凛「よーし探偵星空凛、本気見せてやるにゃー!」
ことり「みなさ〜ん!食事のご用意が出来ましたよ〜」
凛「食事…!」 ことり「今日はなんとぉ!特別にイタリアンです〜」
凛「すご〜い!高級ホテルみたいにゃ!」
真姫「別に?普通よこれくらい」
凛「普通じゃないって!探偵業やっててこんなに良い事あったの初めてだよ」
ことり「明日もきっといい事ありますよ!えへへ〜」ニコ
絵里「ことり、すぐに掃除よ。お嬢様のご友人が近々来られるわ」
ことり「はーい!」
凛「美味しい〜!」
凛「これも!あとこれも!全部にゃ!」
凛「あ!もっもしかして食事中のお喋りはマナー違反…」
真姫「パパは食事の時間の団欒が好きだって言ってたから特にそういうお咎めはないわ。それに、そんなに厳しく言うのは今日日フレンチ以外はあまり見なくなったし」
凛「お父さんは今どうしてるの?」
真姫「…亡くなったわ。もう3年も経った。あっという間ね」
凛「あっ…ごめん…なさい…」
真姫「別にいいわよ。医者の不養生ってやつかしら…心不全だった。ホント、突然よ」
凛(強気な性格に見えるけど…瞳はすごく寂しそうにゃ…)
凛「…ご馳走さまでした。すっごく美味しかった!」
真姫「そう、それならよかった」
真姫「それじゃ来てよ」
凛「わかってまーす」 凛「さてさて、依頼の話を聞きましょうか」
真姫「実はね、私の寝室に邪気を払う力があるからって西洋の甲冑があるんだけど…」
凛「甲冑⁉」
真姫「な、なんでそんな驚くのよ」
凛「さっきも変わった部屋に置いてあるの見たんだよ?」
真姫「あーあれはパパのコレクション部屋ね。珍しい物がいっぱいあったでしょ?」
凛「うん、ちょっとした博物館だったにゃ」
真姫「そう、その甲冑がね…」
真姫「夜になると…動くのよ」
凛「ふ〜ん。それで?」
真姫「だからっ動くのよ!」
凛「ちょっと…何を言っているのかわからないにゃ」
真姫「本当なの!そのせいで夜怖くて眠れなくて…」
凛(凛はもしかしたらとんでもない依頼を受けてしまったのかもしれない…) 真姫「話したって小馬鹿にするようにみんな笑って信じてくれないし…だからこの家に関係ないあなたに頼んだの!」
凛「そうかぁ…とりあえず現物を確認したいから、甲冑のある寝室へ案内してほしいにゃ」
真姫「寝室は、この部屋のレースのカーテンの向こう側よ」
凛「なんかカリオストロの城のクラリスの部屋みたいだね」
凛「で、これを捲ると…うわぁ怖っ…⁉」
真姫「ほら言ったじゃない」
凛「なんでベッドの向かいに置くのかにゃ…確かに悪い者は入ってこなさそうだけれど」
真姫「パパがまだ生きてる時に希が置こうって提案したのよ。そうしたらパパも乗り気になっちゃって…」
凛「どかさないの?」
真姫「本当は怖いし他の場所へ置いてもいいんだけど…パパが遺したものって感じがするからなんだか動かさなくて…」
凛「なるほど。困ったにゃ…よし」
凛「この甲冑くまなく調べてもいいかにゃ?」
真姫「いいけど、壊さないでよ」
凛「当然!」 凛「ふむふむ…うーん」
凛「特に変わった所は見当たらないけど…いやこの甲冑そのものが特異な存在過ぎるけども」
凛「動くようには見えないにゃ。鎧や籠手も支柱に引っ掛けるタイプみたいだし」
凛「とりあえず今夜もいつもみたいに寝てみて、動き出したら呼んでほしいにゃ」
真姫「ダメ」
凛「にゃ?」
真姫「怖くて…金縛になっちゃうの。それでいつも怖いのに声が出せなくて…」
凛「ほうほう。じゃあどうしようかにゃ?」
真姫「ねぇ、このベッド広いでしょ?」
凛「そりゃ〜たいそうな大きさだと思うけど」
真姫「今日は一緒に寝てくれない?」
凛「えっ…凛が⁉」
真姫「他に誰がいるっていうのよ」
凛「わ、わかりましたですにゃ」 まず凛ちゃんの口調に違和感があるのを先に解決して? 真姫「じゃあ私お風呂入ってくるから」
凛「あっはははい!」
凛(どうした探偵星空凛!突然の展開に驚き過ぎて、初めて出来た彼女の家に急遽お泊りすることになった冴えない男みたいに無駄なドキドキが止まらないにゃ…)
凛「と、とりあえず風に当たってこよう…にゃっ⁉」
ドシ-ン!
花陽「いったたた…はぁっ!すみませんすみません‼」
凛「いやいや凛が前を向いていなかっただけだし…」
花陽「大変ご迷惑をおかけして申し訳ありません!私女給の小泉花陽と申します…えと、今日から勤めさせていただいてますっ」ペコ
凛「そうなんだ、おっちょこちょいだね。凛と一緒にゃ」
花陽「そうなんです。私とてもおっちょこちょいで…以前の勤め先でも怒られてばかりで」
凛「凛も同じだよ。なんでこんな性格で探偵になったんだっていっつも言われてもう耳にタコが出来ちゃったにゃ!」
花陽「くすっお互い頑張りましょうね」
凛「うん!お皿割っちゃダメだよ?」
花陽「気をつけます…」 海未「む、どうされましたか」
凛「ちょっと風に当たりたくて…」
海未「いつ頃戻られますか?」
凛「えっ⁉」
凛(こ、細かいなぁ…)
凛「ちょっと夜空を見るだけです」
凛「こんな綺麗な星空が見れるのはあまりないですから」
海未「そうですか。一時間後にはお戻りください。この家は門限が24時となっております」
凛「はい、わかりました」
凛「もうそんな時間かぁ…」
凛(そういえば、凛が探偵になろうと思った時もこんな静かな夜だったにゃ)
凛(あの日、ただの荷物持ちとして探偵の助手になっていた凛は、現場での師匠のかっこよさに痺れ、憧れ、それまでの安易な考えを持っていた自分に打ちひしがれたにゃ)
凛(全く出掛かりのない事件を解決した後、黒々とした中に銀の煌めく空の下、キセルに火をつける師匠はかっこよかったなぁ…)
海未「中へ入られますか?」
凛「はーい。おまたせしました」
凛(今はただの駄洒落過ぎな助平親父になっちゃったけど…) 凛「ふぅ〜良いお湯でした」
真姫「その割には早かったわね」
凛「そうかにゃ?だって、そろそろ寝る時間じゃないの?」
真姫「そうね、いつも大体これくらいかしら…」
凛「…!今になって気づいた!この家の違和感…それは」
凛「ねぇ真姫ちゃん、一つ聞きたいことがあるんだけど」
真姫「何?手短にね」
凛「この家の中には一切時計がないよね…どうしてかにゃ?」
真姫「ああ、そんなの決まってるじゃない」
凛「何なに〜?」
真姫「もう眠いから考えて…」
凛「えぇ〜大事な質問なのに」
凛「明日改めて聞こう」スッ
凛「あっ明日じゃなかった今日だった」 凛(寝たかな…ふぅ…それにしてもこの状態)
凛(抱き枕みたいに密着されて動けないにゃ…)
真姫「ん…」
真姫(トイレ行きたくなっちゃった…)
真姫(ダメ!我慢しなきゃ…またあの甲冑が…!」
ギュウウウウ
凛(いだだだだだ‼凛が金縛になるにゃ!)
真姫(やっぱ我慢出来ない!嫌だけど起き…)
真姫「きゃぁあああ‼」
凛「わっ!どうしたの?」
真姫「鎧!鎧が…‼」
凛「ぅわぁーっ⁉なんだこれぇ〜………へへ」
真姫「へっ?怖く、ないの…?」
凛「うん。それより真姫ちゃんおトイレは大丈夫かにゃ?寝る前に水二杯も飲んでいたけど」
真姫「なっどうしてわかったの?も、漏れそうなのよ…!」
凛「お腹に力を入れるにゃ!」
真姫「この歳で漏らさないわよ…」
凛「成る程ね。謎がわかれば怖くはないにゃ」 真姫「ただいま」
凛「漏れてない?」
真姫「だから漏れてないって!」
凛「水飲むのは習慣?」
真姫「そうよ。健康の為にね、結構続けているけど今日はちょっと量が多かったわ」
真姫「よく気づいたわね。いつ見てたのよ」
凛「これでも探偵ですから。誰かの動くところとか部屋の変化はなるべく見てるよ。さっきは置いてなかったコップがいつのまにか二つ分増えてたから、ああ、お水を飲んだのかなって思って聞いてみたら当たっただけにゃ」
真姫「でもコップが増えただけじゃ水を飲んだなんてわからないじゃない?」
凛「縁を見てほしいにゃ」
真姫「縁?何よ…あっ!」
凛「口をつけないとそんな風にコップの縁に水滴が付くことはないよね?」
凛「さらに言うと、縁にはまだ秘密があってね、よ〜く匂いを嗅ぐと真姫ちゃんが寝ている間に乾燥しない為に塗る用のリップの香りもわずかに残っているんだけど…あっごめん、ちょっと気持ち悪いかにゃ?」
真姫「ううん、ごめんなさい。あなたのこと正直舐めてた」
凛「いえいえ…水飲む習慣ね。貴重な情報ありがとにゃ」
真姫「ねぇ、教えて。甲冑の秘密。あなたがいたら何故か怖くないの」
凛「教えてあげるよ。朝起きたらね」 真姫「んぅ…」
凛「あっ起きた?おはようございます」
真姫「おはよ…あっ!」
真姫「昨日のアレよ!甲冑の秘密、教えてくれるんじゃないの?」
凛「そうだったね、じゃあ教えてあげるにゃ」
凛「その前に、一つ問題です」
真姫「問題?」
凛「デデン!さぁて問題です!あのこわぁい甲冑、夜になると動くと真姫ちゃんは言っていましたね?」
真姫「え、ええ…そうよ」
凛「実はあの甲冑は動かない日もあります。さて、それはいつでしょうか⁉」
真姫「えっ動かない日?あっ…そういえば前、怖いから1日起きてたってときがあったんだけど、そのときは動いてなかったわね」
凛「それは大体何日頃か覚えていますか?」
真姫「3ヶ月くらい前だったわ」
凛「ふふふ…」
真姫「な、何よ」
凛「その日は…月半ばではありませんか?」
真姫「はっ…そう!そうよ!そうだったわ」
真姫「何で?何の関係があるのよ⁉」
凛「ふふっ実はね、真姫ちゃん。甲冑は動いてないんだにゃ」
真姫「……えっ?」
真姫「意味わかんない…私は動いているの見たのよ?それに、仮に動いてないとしても、月日と関係ある?」
凛「はいっ!今真姫ちゃん答え言った〜‼」
真姫「えっうそ⁉何?何⁉」
凛「月日…月…そう!月こそが甲冑の正体にゃ‼」 凛「真姫ちゃんはあの窓から月を眺めたことはあるかにゃ?」
真姫「当然よ。一番綺麗に月の見える場所を寝室にしてもらったんだから」
凛「ロマンチックだね!」
真姫「べっ別にいいでしょ?」
凛「でもその素敵な窓のカーテンをぜーんぶ閉じてもらっていいかにゃ?」
真姫「わかったわ」
真姫「閉めたわよ」
凛「よし、ある程度暗くなったね。それじゃあ再現してみよっか」
真姫「動く甲冑?」
凛「うん!ライトオンっ!」ピカ-ッ
真姫「あっ…‼甲冑の影…!」
凛「わかったかにゃ?これでさらにレースのカーテンを前後に動かすとっ」
真姫「あああ…動いてる…‼」
凛「これが謎の正体だよ。月明かりが甲冑に影を作って、カーテンが揺れると動いているように見えてしまう。これこそが真姫ちゃんの怖がってた夜に動く甲冑の謎なんだにゃ」
凛「人は夜や暗闇で恐怖に敏感になるのは、かつて人間がまだ猿だった頃、敵から身を守るために暗い洞穴に住むようになったことの名残だって言うにゃ」
凛「さらに、人は、無機物の配列の中から象形的なものを探して人に見えるように意識してしまう先天的な癖があるにゃ。コンセントとか空き缶が顔に見えたり、プラスチックの留め具を人の全身に見えたり…」
凛「それら真姫ちゃんのの本能的な人としての癖が、こうして甲冑が動いて見えるという錯覚を生み出したんだにゃ」
真姫「そういえば、さっき月日に関係があるって言ったけど…」
凛「真姫ちゃんは月半ばには甲冑は動いて見えなかったよね。それは何故か…」
凛「月半ばは新月にゃ!黒い羽衣の天女が15人、月を覆い尽くすから見えなくなるだなんて昔は言ったけど、今はちゃんと太陽の光によって説明がつくよね」
凛「月半ばの新月!新月はすっぽり月が隠れて光が見えないよね、だから…」
凛「月明かりのない新月の日には甲冑は動いて見えないんだにゃ」
真姫「探偵さん…!」
凛「明日は安心して寝られそうですか?」
真姫「ええ!もちろん‼」 まだまだ始まったばかりだけど
寝るから一旦ここまでね 穂乃果が出てきてないのかな?
どんな形で出てくるか 真姫「〜♪」
絵里「あら、今日はご機嫌なようで」
真姫「ええ、とても気分が晴れやかだわ」
絵里「いつまでも笑顔でいられたらいいのですがね…」
真姫「え?」
絵里「いいえ、なんでもありませんよ。ではこちらにお目を通してください」
真姫「はいはい…」
凛「おっ真姫ちゃん何してるの?」
真姫「仕事よ。当然全部キャンセルするってのに絵里がうるさいのよ」
絵里「これは失礼しました」
凛「あっそうそう!真姫ちゃんに聞きたいことがあったにゃ!」
真姫「何よ?」
凛「どうしてこの家には時計がないのか教えてよ」
真姫「それは…」 真姫「ここは別荘よ。逆に、どうして時計を置く必要があるのよ?」
凛「んん〜?」
凛「あっ時間を気にしないから!」
真姫「そう。日本人はプライベートにまで時間の概念を持ち込むから休めないのよ。のんびりするってことが最も効率のいい休暇なの」
凛「なぁんかお金持ちって感じにゃ」
真姫「んなっ!失礼ね‼」
絵里「お嬢様、星空様、どうぞこちら軽食になります」コト
凛「おお〜!ありがとうございます!」
凛「あんなカッコイイ女性になれたらなぁ〜」
真姫「一生無理ね」パクッ
凛「むう…カッコイイのは無理でも、せめて女の子らしく可愛い服着てみたいにゃ〜」
絵里「それなら、ウェディングドレスがございますが、お試しということでお召しになってはいかがでしょうか?」
凛「えぇーそんなのあるの⁉」
絵里「はい、お嬢様のお父様がいつか自分のデザインしたウェディングドレスを娘に、と生前幾度となくおっしゃっていましたから…必要以上に何着かございますので」
真姫「私は結婚なんて、絶対しないから!」バンッ!
凛「にゃ…真姫ちゃん!」 真姫「ついてこないで!」
凛「ダメって言ったって聞くまでついてくよ!」
真姫「なんでよ!関係ないでしょ⁉」
凛「関係あるよ」
真姫「はぁ?」
凛「関係あるよ!だって、凛はっ探偵としてここに来たんだから…事件を解決するためにここに来たんだから!」
真姫「意味わかんない…」
凛「わかんなくてもいいよ。でも、なんかモヤっとするにゃ…このモヤモヤを解決するまではこの家に泊まらさせてもらうよ。でも、モヤモヤは真姫ちゃんも感じているはず」
真姫「…っ⁉」
凛「だって依頼は解決したよ?それなのに凛を帰らさないって変じゃない?」
真姫「それは、そうだけど…なんでかしら」
真姫「私自身よくわからないわ…」
凛(昨日はなかった違和感に近い感覚…何かにゃ?何かが違う気がするんだけど…う〜ん)
真姫「あっ思い出した」
凛「えっ何ー?」
真姫「動く甲冑のことを解決したって今日来るにこちゃんに言う時にいてほしかったのよ!」
凛「…な〜んだそんな理由だったかにゃ!」
凛(違う!そうじゃないんだよ…凛の感じた違和感…何なのかわかんないよ) 凛「お友達のにこちゃんってどんな人?」
真姫「そうね、一言で言うならうるさい人よ」
凛「ええ〜…」
凛(もう機嫌直ってる…よかったにゃ)
真姫「騒がしい人なんて元来あんまり好きじゃなかったけど、あの人に会ってからは、たまにはうるさくてもいいかなって思えるようになったわ」
凛「ほうほう、そりゃあ大した人だにゃ」
真姫「付き合いもそんなに長くないのにね…不思議な魅力があるわ」
凛「そういう友達は大事にした方がいいよ」
真姫「そうね…」
真姫「ねぇ、なんか暇だし外歩かない?」
凛「賛成!」
真姫「家の周りをちょっと歩くだけよ?」
凛「散歩は大好きにゃ!何気ないことに思いがけない発見があるもんだよ」 チョキ...チョキ...
凛「ん?何か切ってるのかにゃ?」
真姫「ああ、あれは多分…
穂乃果「おっ!真姫ちゃん‼おっはよー‼」
凛「この方がにこちゃん?」
真姫「系統は似てけど別よ。こっちは穂乃果」
穂乃果「はじめまして!お話は聞いてるよ、探偵さん!私はここでは庭師をしてる高坂穂乃果‼」
凛「穂乃果さん、『ここでは』という表現はどういうことかにゃ?」
穂乃果「元々アーティストとして色んなもの作ってるんだ!時にはデッサン、時には金工みたいに幅広くやってるよ」
凛「じゃあ凛の似顔絵を描いてもらおうかにゃ〜」
穂乃果「お安い御用!」
凛「楽しみにしときま〜す!」
真姫「穂乃果、また家の中にいたずらしたでしょ?」
穂乃果「あっ…バレた?」
真姫「壁に掛けてあった絵が偽物にすり替わってたわ。今壁にあるの、あなたが描いたのでしょ⁉」
穂乃果「よく気づいたね〜」
真姫「すごいでしょ?何度も何度も目にしたものだから…ってこら!」
凛(妙なとこ天然だにゃ〜)
真姫「ほんっと昔からすぐいたずらするのよ!」
穂乃果「ごめんなさ〜い」
真姫「次はないわよ!」 真姫「ふぅ…全くもう!」
凛「ポップアート好き?」
真姫「パパがね…でも、その影響で私も好きよ。当然あの絵もお気に入りなんだから」
凛「穂乃果さんが描いた絵、どこが間違っていたか言える?」
真姫「えっと…髪型の向きと、唇の色と、あとは全体の色温度?」
凛「ほぼ正解、あとはそれとプラスで影の点が丸から斜線に一部変わっていたね」
真姫「それは気づかなかったわ……⁉な、なんでそこまでわかっているのよ⁉」
凛「えへへ、ちょっとズルかもしれないけど…」スッ
真姫「あの絵の写真じゃない。いつ撮ったのよ」
凛「甲冑調べた時にこっそりね」
真姫「なぁんだ。すごいと思ったのにただのインチキじゃない」
凛「もう〜用意周到って言ってほしいにゃ」
ピロ-ン♪
真姫「あ、連絡来たわ。にこちゃんそろそろ着くって」
凛「じゃあそろそろお家に戻ろっか」 にこ「久しぶり〜!」
真姫「一年ぶりだからそこまで久しぶりって感じでもないわね」クス
にこ「相変わらずでかいとこ住んでるわねぇ〜。これで別荘でしょ?」
真姫「まぁね。大したことないわよ」
にこ「ぐぬぬ…あ、そうだ!あのピアノまだある?」
真姫「当然よ。時々弾いてるわ」
にこ「初めて来た時あんたの演奏に合わせて歌ったわねぇ。あれはこの先もずっと忘れないわ、きっと」
真姫「ふふっ私もよ」
絵里「遠くからわざわざお越しくださいまして、ありがとうございます」
絵里「ランチの用意をさせます、今しばらくお待ちください」
にこ「これまた相変わらずゴージャスね…」
凛「わぁ〜いい香り!」
にこ「ん?私の他にもお客さんいたんだ」
真姫「ええ、紹介するわ。探偵の星空凛よ。見た目の割に中々仕事が出来るわ」
にこ「真姫が人褒めるなんて珍しいわね」
真姫「まぁ、結構お世話になったのよ…」 花陽「よっとと…」
凛「おっ頑張ってるね!」
花陽「あっ星空さ…
凛「凛でいいにゃ!年も近いと思うし!」
花陽「じゃあ、凛ちゃん」
凛「いいね。じゃあ凛はかよちんって呼ぶにゃー」
花陽「う、嬉しいです!そういう呼ばれ方、あまりされたことなかったので!」
凛「そっか。あ、かよちんもご飯作るんだ?」
花陽「うん、元々コックとして雇われるつもりだったんだけど…色々こなせた方がいいってことりさんが」
凛「あーあの女子力高いメイドさん!」
花陽「ふふっそうそう」
凛「もうすぐ出来そうかにゃ?」
花陽「そうだね、楽しみにしていて!」 にこ「ふぅ〜満足満足!」
凛「ねぇにこちゃ…あ、いや矢澤さ
真姫「そこまでいったらもうにこちゃんでいいじゃない」
凛「にこちゃんに質問いいかにゃ?」
にこ「なんでもいいわよ」
凛「真姫ちゃんと知り合ったのはいつかにゃ?」
にこ「えーと、6年くらい前だったかしら」
凛「どこで?」
にこ「結構細かく聞くのね。私がレストランでバイトしてた時の客だったのよ、この子」
真姫「今思えばにこちゃん、どうやってそこそこ高級なお店でバイト出来たのよ?」
にこ「偶然よ偶然。色々あんの」
凛「ま、詳しい詮索はしてほしくなさそうだし、これくらいにしとこうかな。ありがとにこちゃん」
にこ「どういたしまして。探偵も大変そうね」
凛「はは…否定は出来ないにゃ。でも依頼された仕事を終えた後に感謝の言葉をかけてもらえた時、力になれてよかったなって思うよ」
にこ「ふぅん。意外に真面目ね」
凛「なっ⁉意外には余計だよ‼」
にこ「冗談冗談、ムキにならなくたっていいじゃない」 穂乃果「あっ凛ちゃん!描けたよ〜!」
凛「おっ!どれどれ…へぇ〜やっぱり上手だね。ありがとう!」
穂乃果「へっへーん!良かったでしょ⁉」
凛「うん!あれ…?穂乃果ちゃん、真姫ちゃんのお部屋に何か用があるのかにゃ?」
穂乃果「うん、あの絵を戻しに…」
凛「高そうだしね」
穂乃果「ホント、すっごい怒られるんだから!」
凛「じゃあ辞めなよ…」
穂乃果「辞めたら辞めたで多分真姫ちゃんは退屈するよ!」
凛「そう、なのかなぁ?」 真姫「はぁ…こうも人が多いと時間が経つのはあっという間ね」
希「なぁなぁ真姫ちゃん、久しぶりに占いしてみん?」
真姫「えっ?ああ…そうね、お願いするわ」
希「了解〜じゃ張り切ってやるで〜」
シャッシャ
希「はい、この中から一枚カード引いてな」
真姫「どれにしようかしら…じゃあ、これ!」
希「よしっどれどれ…ほぉ、馬車に乗る貴族やな。これはなんらかの移動に関する変化を必要としているってことや」
希「これまでざっと同じ場所に置きっ放しにしてあったものを動かしたり、な。あっでも処分はしない方がいいかも」
真姫「なんか具体的なようで抽象的ね…」
希「部屋の模様替えでもしてみよか?ほら、この前騒いでた甲冑とか…」
真姫「そうね。未だに動かないとは言ってもなんか妙に怖いし、せめて対面に置くんじゃなくて、横にでも動かしましょ」
希「えりちに言っとく?」
真姫「ええ、お願い」 にこ「そういえばさ〜私どこで寝ればいい?」
真姫「どこでも好きなとこ使ってもいいわ」
にこ「これあんたの部屋…?広い…広すぎる…」
にこ「ふ…ふふ」
にこ「じゃあ〜真姫ちゃんの横がいいにこ〜!」
真姫「はぁ?」
にこ「ダメ〜?」
真姫「べっ別に…ダメなんて言ってない!」
にこ「あははっ照れてるじゃない!」
真姫「ふん!」
コンコン
真姫「誰?何よ」
絵里「お水飲まれますか?」
真姫「もちろん。気がきくじゃない」
絵里「お嬢様の習慣ですから…」
真姫「ありがと」
絵里「失礼しました…」バタン
真姫「あっ甲冑動かしたのね…」 にこ「難しそうな本…」
真姫「読む?」
にこ「いや、いいわ」
にこ「私ちょっとトイレ行ってくるから」
真姫「はい、いってらっしゃい…」
真姫「………」
にこ「ふぅ〜スッキリ…ってあれ?」
真姫「すぅ…すぅ…」
にこ「すっかり寝ちゃってる…もう!こんなソファの上で…風邪引くわよ」
にこ「うーん移動させるのもなんか可愛そうだし…このまま寝かせてあげましょ」
ファサ...
にこ「これで寒くないかしら?」
にこ「…にしても、デカいベッドねぇ。こんな広いとこで寝られるなんて夢のようだわ…」
にこ「おやすみ、真姫」 ガチャ...
………
カコン
キリキリキリ...
ザンッ!
………
ギイイ...
バタン... コンコン
花陽「あれっ?どうして出ないんだろう…いつもならお嬢様はこの時間には起きているはずなのに…」
花陽「昨日お客様と夜更かししちゃったのかな?ふふっ」
花陽「お嬢様〜?あっ今日はドアが開いてる…」
花陽「失礼しま〜す」ガチャ...
花陽「えっ…え…⁉」
花陽「き、きゃぁぁあああ!!!」
花陽「お嬢様、お嬢様!」 真姫「ん…朝から何よ…」
花陽「お嬢様!大変です‼」
真姫「…⁉どうしたの?」
花陽「お客様が…‼」
真姫「にこちゃんがどうしたの…⁉」
真姫「にこちゃん!にこちゃん‼」
花陽(どうすれば…あっこういう時こそ探偵さんに!)
花陽「私、探偵さん呼んできます‼」
真姫「にこちゃん起きて!にこちゃん‼」 花陽「はぁ…はぁ…!」
花陽「凛ちゃんっ!」
凛「どうしたの〜?」モグモグ
花陽「とにかく、ついてきて‼」
凛(動揺と焦燥…ワケありにゃ)
凛「今いくよ!」
凛(もしかして…昨日のモヤッとした胸騒ぎは)
凛(今この状況のことだったのかな…)
凛「来たよ、真姫ちゃん!」
真姫「うっうっにこちゃんが…にこちゃんが!うわぁぁあああ‼」
凛「落ち着いて!にこちゃんはどこに⁉」
花陽「ベッドの上で…」
凛「うっこれは…酷いにゃ…」
絵里「皆様、どうされましたか?」
凛「どうやら事件発生のようだね…」
絵里「…‼お客様が⁉」
凛「うん…斧で脇腹を…」
絵里「すぐに救助の者を手配致します‼」
凛「急いで!助かるかは…わからないけど…」
真姫「いやぁぁあああ!そんなの絶対ダメ‼」
真姫「あっ……」
ドサ...
花陽「お嬢様っ‼」
凛「どこか寝かせてあげて!ショックで失神しちゃったみたいにゃ」 絵里「緊急でヘリを手配し病院へ搬送させました」
凛「ありがとうございます。手際が良くて助かります」
希「どうしたどうした⁉なんかあったん?」
凛「うん、ちょっとね…」
希「これ⁉わわっ…だ、誰がこんな目に⁉」
凛「お客さんで来てたにこちゃんだよ」
希「せっかく遊びに来てくれてたんに…こんなん…」
凛「とりあえず、今は事件、事故の両面で調査します!それにあたってこちらの部屋へ関係者を全て集めるように協力お願いします‼」
絵里「かしこまりました。私が直ちに招集をかけます」 警察「周辺の指紋を採取しましたが、西木野さん、矢澤さんと見られるものの二つしか見当たりませんでした」
凛「ご苦労様。足跡鑑定もしたかにゃ?」
警察「はい。鑑定の結果ですが、そこそこの人数が直近に出入りしていたと見られ…」
凛「やっぱりね。実は昨日、この甲冑をここで働いてる人達で移動させたみたいだから…多分足跡では判断出来ないね」
警察「と、なりますと?」
凛「現段階ではなんとも言えないにゃ…」 穂乃果「さ、殺人ーーーっ⁉」
海未「こら!大きな声を出さない‼」
ことり「海未ちゃんもだよ…」
希「占いは悪い結果ではなかったはずなのに…なんでこんな事に…」
花陽「うっ…ぐすっ…」
絵里「これで全員です、星空様」
凛「絢瀬さん、感謝します。」
凛「真姫ちゃん、起きて」
真姫「う…ん…にこちゃんは?」
凛「とりあえず病院へ…」
真姫「にこちゃんは死んじゃったの?」
凛「………」
真姫「黙らないで‼」
絵里「お嬢様、一旦深呼吸なさってください」
真姫「すぅー…はぁー」
真姫「ごめんなさい…私ちょっと…頭の整理がつかなくて…ぐすっ」
凛「ごめんね、真姫ちゃん今から大事なお話するからちょっとだけ聞いてほしいにゃ」
凛「えー皆さん、この事件には非常に不可解な点があります!一つ目は、指紋が一切見当たらないこと!」
凛「犯行に使われたと見られる甲冑の保持していた斧からも指紋は検出されず、現時点では自殺とも他殺とも言えず、果ては事故の可能性も十分に考えられます」
凛「そこで、私は今回の調査の為にこの皆さんの中から1人、助手をお願いすることにしました」
凛「決め方はずばり、今日一日の過ごし方!私が色々な要素を見て決めようと思います」
凛「助手の発表は明日、この部屋で行います。それでは皆さん、今日一日はいつも通り普通に過ごしてください…」 コンコン
凛「入るね…」ガチャ
真姫「………」
凛「気分はどうかにゃ?」
真姫「ん……」ボ-
凛「…ごめん」
真姫「…!」ガタッ
真姫「なんであなたが謝るのよ!あなたがにこちゃんを殺したっていうの⁉」
凛「真姫ちゃん落ち着いて‼」
真姫「はぁ…はぁ…!」
真姫「…悪かったわ」
凛「でもね、これは探偵としての凛から観ても、誰も信じられない、信じてはいけないという事はよくわかるよ」
真姫「どういうこと?」
凛「極端な話、凛が犯人ってこともあり得るってことだにゃ」
真姫「そうね…でもあなたがにこちゃんを殺す理由はないわ」
凛「ほぉーどうしてかにゃ?」
真姫「だって凛が穂乃果に初めて会った時『この方がにこちゃん?』って言ったわ」
凛「良く覚えてたね!感心感心…」
凛「真姫ちゃん手、出して」
真姫「何…?」
ギュ
凛「ここに誓うよ。凛は絶対事件を解決してみせるにゃ!」
真姫「…ふふふ。お願いします、探偵さん」 凛「希ちゃ〜ん入っていいかにゃ?」
希「ええよ…ってもう入ってるやん」
凛「あははごめん。ねぇ希ちゃん、昨日一日何してた?」
希「ウチな〜昨日忙しくて…朝からちょっとした著名人の占いしてそのまま食事に誘われて、結局帰ってきたのは真姫ちゃんをタロットで占った時の1時間くらい前なんよ」
凛「へぇ〜大変だったね、お疲れ様」
希「えらい事になったけど、頑張ってな凛ちゃんも」
凛「うん!ありがと!」
凛「ん〜1日いなかったのかぁ…」 絵里「私は真姫様にお水を運び、消灯を確認した後すぐに就寝しました」
凛「ふぅぅん…」
絵里「お力になることが出来ず申し訳ありません」
凛「あっ!いやいやそんなことはないです!お忙しいところありがとうございました!」
絵里「では失礼します。本当の気持ちを打ち明けさせていただけましたら、ひすがら悲しみにくれていたいのですが立場上そういう訳にもいきません」
絵里「お嬢様を誰よりもそばで支えるのが私絢瀬の仕事ですから…今は山積みになった仕事を片付ける事を優先させていただきます」
凛「やっぱかっこいいねぇ〜仕事の出来る女性は…」
凛「なんかついジジくさい事言うようになっちゃったにゃ…師匠のが移っちゃったかな」 凛「この部屋って誰の何の部屋だったかな?」
花陽「あ!何か用事があるの?」
凛「おっかよちん!この部屋何〜?」
花陽「ここはことりさんが仕事に使うお部屋だったかな…」
キィ...
凛「あ、開いた」
ことり「ん?どうしたの2人とも」
花陽「あ、えと…」
凛「ことりさん、ちょっと質問いいですか?」
ことり「あっはい!何ですか〜?」
凛「単刀直入に聞きますと…昨日の夜、何をしていましたか?」
ことり「私はこの部屋でお嬢様のお召し物のデザインを考えるために色々と服を…ふわぁ」
ことり「あ!すみません!私…つい…」
凛「いえいえ気にしなくて大丈夫ですよ!それよりも睡眠不足はお肌の大敵ですから、よ〜く寝てくださいね」
ことり「ありがとうございます!そうさせていただきます…」
凛「ご協力ありがとうございました」 凛「う〜ん…」
花陽「アリバイを聞いて回ってるのかな?」
凛「そうだよ。かよちんは昨日夜何してたかにゃ?」
花陽「今朝のご飯の仕込みだよ。それが終わったら寝ちゃった。ごめんね、ポツポツとこんな少ない情報だけで…」
凛「ううん、その少ない情報が案外鍵を握ってたりするんだよ〜」
花陽「じゃあ私もお仕事戻るね。何か協力出来ることがあったらまたいつでも来てね」
凛「ありがと!」
凛「結構聞いたからあと残るのは2人だけ…それも一番気になる2人…」
凛「どうかな…何かあるかな」 海未「昨夜ですか?」
凛「うん、何していたのか聞いていまして」
海未「私の仕事は門番です。毎日深夜の日を跨ぐ時間…門限の時間にこの家の扉を閉めるのが使命です。そして何よりこの家を守る為の警備の担当に重きを置いてあります」
凛「そういえば、門限の時間って前後しないのですか?」
海未「ええ、原則変動は致しません。業務内容として決められていることですから」
凛「24時過ぎると門は開けないのですかね?」
海未「ええ、朝になるまでは完全に閉めてしまいます」
凛「そこは厳しいんですか。わかりました、ご協力ありがとうございました」
海未「ええ、こちらこそ」
凛(この前のモヤモヤの感じ…ちょっとわかったかもしれないにゃ)
凛(この門番の園田って人、多分堅気の人間じゃないね…話してるとピリッと異様な張り詰めた空気になる)
凛(そういう人なのに、あの人はちょっとしたミスをした)
凛(この家の決まりを尊重し過ぎてかえって凛に対して必要のない情報を喋ってしまった)
凛(門は24時に閉めて以降朝まで開かない、それなら何故昨夜は25時…午前1時に閉めたのかにゃ?)
凛(この家には時計は置かない、つまり外にいる園田さんだけが正確な時間を知っている…という定義は崩れることもある)
凛(それは…)
凛「家の人間以外が時計を身につけている時…」
凛「へへ…これはまだ誰にも言わないでおこ」 凛「ほ〜の〜か〜ちゃ…
穂乃果「がぁぁあああ‼」
凛「んにゃっ⁉」
穂乃果「すぅ…」
凛「い、イビキ…?デカ過ぎるでしょ…」
凛「なんかよくわからないものが机の上にたくさん…」
凛「これすごいにゃ。ぐるぐるってバネになるのかな…」
凛「ん?バネ…?」
凛「もしかして…!」
穂乃果「あれ〜凛ちゃんどうした?」
凛「あっあのね、昨日の夜何してたか…」
穂乃果「見ての通り作業だよ…」
穂乃果「また寝るから…ぐぉ〜…」
凛「わざとやってるんじゃないかってくらい激しいイビキ…体調悪いのかな…」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています