凛「凛がなんでも解決しちゃうにゃ」
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〜西木野家別荘〜
ドライバー「お客さん、着きましたよ」
凛「ありがとうございました〜。料金は?」
ドライバー「先払いで頂いていますから、結構です」
凛「はぇ〜流石お金持ちにゃ」
ドライバー「ではお気をつけて」ブゥウン
凛「あぁ、確かに見えてきたにゃ」
凛「でっかいお家…ホントに別荘?」 凛「あれ?入り口どこ?」
凛「うぅ〜ん…」
海未「どちら様でしょうか」
凛「あっ探偵の星空です!」
海未「お嬢様から聞いております。どうぞ中へお入りください」ギィイ...
凛「どひゃ〜絢爛豪華!」
絵里「ようこそお越しくださいました。真姫お嬢様の秘書、絢瀬と申します。星空様でしたね?この家の事ならまず私にお聞きください」
凛「は、はい。よろしくお願いしま〜す」
凛(て、丁寧過ぎるにゃ…)
絵里「お嬢様は今外出中です。ご帰宅されるまでしばらくお待ちください」
凛「了解で〜す」
凛「とは言ったものの…)
凛(落ち着かないにゃ!何この面接の直前みたいな異様な緊張感…秘書の方も良い人そうなのになんかだんだん恐れの対象に見えてきたよ)
絵里「お暇でしたらある程度屋敷内を巡回なさっても構いませんよ」
凛「で、ではお言葉に甘えて…」 ハァ・・・こういうタイトルで安価ssじゃないの?
くっだらね 凛「ここは入っても大丈夫ですか?」
絵里「どうぞ、中に人がございますので」
絵里「希様、お客様です」
希「ほいよー今開けるからな」
ガチャ
希「遠くからわざわざご苦労様。ウチは真姫ちゃんの古い友人で風水占い師の東條希や、よろしく」
凛「探偵の星空凛です。よろしくお願いします」ペコ
希「別にウチに対してはそんなに畏まらんくても、気楽にしていいから」
凛「わかったよ、希ちゃん」
希「対応早いのはいい事やな。運気上がるで」
凛「本当⁉」
希「ウソ」
凛「なぁんだ〜」
希「凛ちゃんはこの部屋に何しに?」
凛「なんか…部屋で秘書の絢瀬さんと2人きりが気まずくて…」
希「あ〜わかる。ほんじゃこの部屋のわけわからん珍品観て時間潰せばいいよ」
凛「珍品?」 希「これはマザッチオの絵画や。もちろん複製品とか贋作やないで!正真正銘の本物」
凛「へぇ〜…マザッチオって誰?」
希「イタリアの初期ルネサンスの画家やな。宗教を題材とした作品が多いから何かと展覧会では見かけるよ」
凛「ふうぅん今度探してみるにゃ」
希「こっちは旧ローマ帝国の甲冑や!あ、これは本物やないから」
凛「それは流石にわかるよ…」
コンコン
絵里「お嬢様がご帰宅されました」
希「おっようやくかぁ。凛ちゃん、行くで」
凛「はーい!」 真姫「ちょっと!まさかこのちんちくりんが探偵だって言うの⁉」
凛「んなっ⁉心外だにゃ!」
絵里「お嬢様、お客様に失礼ですよ」
真姫「だってこんなのがあれを解決出来ると思う?」
凛「や、やってやるにゃ!凛だって挨拶もまずまず、開口一番に不躾な事言われたら黙っちゃいないよ」
真姫「あ、そんなことより絵里、今度にこちゃんが遊びに来るから部屋綺麗にしといて」
絵里「かしこまりました。早急に女給へ伝えます」
凛「そんなことよりって…」
真姫「冗談よ。食事の後部屋に来て。今日読んだ理由を話すから」
凛「よーし探偵星空凛、本気見せてやるにゃー!」
ことり「みなさ〜ん!食事のご用意が出来ましたよ〜」
凛「食事…!」 ことり「今日はなんとぉ!特別にイタリアンです〜」
凛「すご〜い!高級ホテルみたいにゃ!」
真姫「別に?普通よこれくらい」
凛「普通じゃないって!探偵業やっててこんなに良い事あったの初めてだよ」
ことり「明日もきっといい事ありますよ!えへへ〜」ニコ
絵里「ことり、すぐに掃除よ。お嬢様のご友人が近々来られるわ」
ことり「はーい!」
凛「美味しい〜!」
凛「これも!あとこれも!全部にゃ!」
凛「あ!もっもしかして食事中のお喋りはマナー違反…」
真姫「パパは食事の時間の団欒が好きだって言ってたから特にそういうお咎めはないわ。それに、そんなに厳しく言うのは今日日フレンチ以外はあまり見なくなったし」
凛「お父さんは今どうしてるの?」
真姫「…亡くなったわ。もう3年も経った。あっという間ね」
凛「あっ…ごめん…なさい…」
真姫「別にいいわよ。医者の不養生ってやつかしら…心不全だった。ホント、突然よ」
凛(強気な性格に見えるけど…瞳はすごく寂しそうにゃ…)
凛「…ご馳走さまでした。すっごく美味しかった!」
真姫「そう、それならよかった」
真姫「それじゃ来てよ」
凛「わかってまーす」 凛「さてさて、依頼の話を聞きましょうか」
真姫「実はね、私の寝室に邪気を払う力があるからって西洋の甲冑があるんだけど…」
凛「甲冑⁉」
真姫「な、なんでそんな驚くのよ」
凛「さっきも変わった部屋に置いてあるの見たんだよ?」
真姫「あーあれはパパのコレクション部屋ね。珍しい物がいっぱいあったでしょ?」
凛「うん、ちょっとした博物館だったにゃ」
真姫「そう、その甲冑がね…」
真姫「夜になると…動くのよ」
凛「ふ〜ん。それで?」
真姫「だからっ動くのよ!」
凛「ちょっと…何を言っているのかわからないにゃ」
真姫「本当なの!そのせいで夜怖くて眠れなくて…」
凛(凛はもしかしたらとんでもない依頼を受けてしまったのかもしれない…) 真姫「話したって小馬鹿にするようにみんな笑って信じてくれないし…だからこの家に関係ないあなたに頼んだの!」
凛「そうかぁ…とりあえず現物を確認したいから、甲冑のある寝室へ案内してほしいにゃ」
真姫「寝室は、この部屋のレースのカーテンの向こう側よ」
凛「なんかカリオストロの城のクラリスの部屋みたいだね」
凛「で、これを捲ると…うわぁ怖っ…⁉」
真姫「ほら言ったじゃない」
凛「なんでベッドの向かいに置くのかにゃ…確かに悪い者は入ってこなさそうだけれど」
真姫「パパがまだ生きてる時に希が置こうって提案したのよ。そうしたらパパも乗り気になっちゃって…」
凛「どかさないの?」
真姫「本当は怖いし他の場所へ置いてもいいんだけど…パパが遺したものって感じがするからなんだか動かさなくて…」
凛「なるほど。困ったにゃ…よし」
凛「この甲冑くまなく調べてもいいかにゃ?」
真姫「いいけど、壊さないでよ」
凛「当然!」 凛「ふむふむ…うーん」
凛「特に変わった所は見当たらないけど…いやこの甲冑そのものが特異な存在過ぎるけども」
凛「動くようには見えないにゃ。鎧や籠手も支柱に引っ掛けるタイプみたいだし」
凛「とりあえず今夜もいつもみたいに寝てみて、動き出したら呼んでほしいにゃ」
真姫「ダメ」
凛「にゃ?」
真姫「怖くて…金縛になっちゃうの。それでいつも怖いのに声が出せなくて…」
凛「ほうほう。じゃあどうしようかにゃ?」
真姫「ねぇ、このベッド広いでしょ?」
凛「そりゃ〜たいそうな大きさだと思うけど」
真姫「今日は一緒に寝てくれない?」
凛「えっ…凛が⁉」
真姫「他に誰がいるっていうのよ」
凛「わ、わかりましたですにゃ」 まず凛ちゃんの口調に違和感があるのを先に解決して? 真姫「じゃあ私お風呂入ってくるから」
凛「あっはははい!」
凛(どうした探偵星空凛!突然の展開に驚き過ぎて、初めて出来た彼女の家に急遽お泊りすることになった冴えない男みたいに無駄なドキドキが止まらないにゃ…)
凛「と、とりあえず風に当たってこよう…にゃっ⁉」
ドシ-ン!
花陽「いったたた…はぁっ!すみませんすみません‼」
凛「いやいや凛が前を向いていなかっただけだし…」
花陽「大変ご迷惑をおかけして申し訳ありません!私女給の小泉花陽と申します…えと、今日から勤めさせていただいてますっ」ペコ
凛「そうなんだ、おっちょこちょいだね。凛と一緒にゃ」
花陽「そうなんです。私とてもおっちょこちょいで…以前の勤め先でも怒られてばかりで」
凛「凛も同じだよ。なんでこんな性格で探偵になったんだっていっつも言われてもう耳にタコが出来ちゃったにゃ!」
花陽「くすっお互い頑張りましょうね」
凛「うん!お皿割っちゃダメだよ?」
花陽「気をつけます…」 海未「む、どうされましたか」
凛「ちょっと風に当たりたくて…」
海未「いつ頃戻られますか?」
凛「えっ⁉」
凛(こ、細かいなぁ…)
凛「ちょっと夜空を見るだけです」
凛「こんな綺麗な星空が見れるのはあまりないですから」
海未「そうですか。一時間後にはお戻りください。この家は門限が24時となっております」
凛「はい、わかりました」
凛「もうそんな時間かぁ…」
凛(そういえば、凛が探偵になろうと思った時もこんな静かな夜だったにゃ)
凛(あの日、ただの荷物持ちとして探偵の助手になっていた凛は、現場での師匠のかっこよさに痺れ、憧れ、それまでの安易な考えを持っていた自分に打ちひしがれたにゃ)
凛(全く出掛かりのない事件を解決した後、黒々とした中に銀の煌めく空の下、キセルに火をつける師匠はかっこよかったなぁ…)
海未「中へ入られますか?」
凛「はーい。おまたせしました」
凛(今はただの駄洒落過ぎな助平親父になっちゃったけど…) 凛「ふぅ〜良いお湯でした」
真姫「その割には早かったわね」
凛「そうかにゃ?だって、そろそろ寝る時間じゃないの?」
真姫「そうね、いつも大体これくらいかしら…」
凛「…!今になって気づいた!この家の違和感…それは」
凛「ねぇ真姫ちゃん、一つ聞きたいことがあるんだけど」
真姫「何?手短にね」
凛「この家の中には一切時計がないよね…どうしてかにゃ?」
真姫「ああ、そんなの決まってるじゃない」
凛「何なに〜?」
真姫「もう眠いから考えて…」
凛「えぇ〜大事な質問なのに」
凛「明日改めて聞こう」スッ
凛「あっ明日じゃなかった今日だった」 凛(寝たかな…ふぅ…それにしてもこの状態)
凛(抱き枕みたいに密着されて動けないにゃ…)
真姫「ん…」
真姫(トイレ行きたくなっちゃった…)
真姫(ダメ!我慢しなきゃ…またあの甲冑が…!」
ギュウウウウ
凛(いだだだだだ‼凛が金縛になるにゃ!)
真姫(やっぱ我慢出来ない!嫌だけど起き…)
真姫「きゃぁあああ‼」
凛「わっ!どうしたの?」
真姫「鎧!鎧が…‼」
凛「ぅわぁーっ⁉なんだこれぇ〜………へへ」
真姫「へっ?怖く、ないの…?」
凛「うん。それより真姫ちゃんおトイレは大丈夫かにゃ?寝る前に水二杯も飲んでいたけど」
真姫「なっどうしてわかったの?も、漏れそうなのよ…!」
凛「お腹に力を入れるにゃ!」
真姫「この歳で漏らさないわよ…」
凛「成る程ね。謎がわかれば怖くはないにゃ」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています