花丸「作詞するずら」
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年末のある日
-高海家 千歌ちゃんの部屋
千歌「………ウーン」カリカリ…
花丸「…………」
千歌「………はっ!?」バッ
花丸「…………」
千歌「…………」カリカリ…
花丸「…………」
千歌「………はっ!?」ババッ
花丸「…………」
千歌「ウーン………」グデ…
花丸「結局全部消しちゃったずら?」
千歌「うん……ちょっとイメージが曖昧で、違うなって…」
花丸「テーマは決まっても、なかなか難しいね…」
千歌「うん……花丸ちゃんのほうは?」
花丸「鞠莉ちゃん達から、今感じている将来の事についての想いを読ませてもらってたけど…」
千歌「将来か……」
花丸「少し大げさかなって思っていたけど、もう半年も残ってないずらね」
千歌「ん……」
千歌「これがアクアとして九人で歌う最後の曲になるのかな」
花丸「…………最後」
千歌「…………」
花丸「…………」
千歌「あーもう、この空気ダメー!」
花丸「千歌ちゃんが言ったんだよ!?」
千歌「そうだけど、それでも〜」
ピコンッ
千歌「あ、梨子ちゃんからLINE……げっ」
花丸「どうせ歌詞はまだかーって催促ずら?」
千歌「良くわかったね」ピコンッ
花丸「梨子ちゃんが今回は歌詞からイメージを作っていきたいって言ってたから」
千歌「曜ちゃん達もダンスの振付候補いくつか考えていたけど、衣装が決まらないと進まないって」
花丸「衣装のイメージは曲を聞いてから……」
千歌「曲は歌詞を見てから……」
花丸「が、がんばるずら」
千歌「そうだねー……」
千歌「鞠莉ちゃん達のメール、見せてもらっていい?」
花丸「うん、これ。やっぱり将来の事とかハッキリしている事より……」
千歌「今までみんなで走り抜けてきた時間……わかっていた終わりの時間……」
花丸「これからの自分達が進む道……同じ時は二度とないから…」
千歌「ん……やっぱり意識する…というか、ちゃんと向き合わないとね」
花丸「みんながいつか離れて、旅立つのはわかっていたことずら……」
千歌「ん、今の言葉いいね」
花丸「旅立つのはわかっていたこと?」
千歌「うん。その通りなんだけど、改めて実感する」
花丸「そうだね……」
千歌「ね、ちょっと歌ってみて」
花丸「え、だ、だから曲はまだ……」
千歌「メロディーとかは適当でもいいから、歌としてその言葉を聴いてみたい」
花丸「無茶ぶりずら〜」
千歌「おねが〜い」
花丸「むぅ……適当だからね?」
千歌「うん」
コホン…
花丸「みんな〜が、いつか離れて〜♪ 旅立つのはわかってーいた〜♪」
千歌「…………」
花丸「こ、こんな感じ?」
千歌「前から思ってたんだけど、花丸ちゃんて歌うとなんかすごいね」
花丸「え、急になんずら?」
千歌「歌声、すごいなって」
花丸「まるは聖歌隊に所属していたから、そこで発声とか習ってたから…」
千歌「それでも、なんか力強くて響くよ」
花丸「もう、そういうのはいいずら〜!」
千歌「照れなくても」
花丸「それで、歌詞としてはどうだったの?」
千歌「うん、ちょっとそのまま使うとクドい感じがするから精査するとしても、いいと思う」
花丸「今回のテーマとも合っていると思うずら」
千歌「とりあえず採用〜!」
千歌「そういえば善子ちゃんやルビィちゃんからは何か受け取ってる?」
花丸「ううん、なにも」
千歌「え、そうなの?」
花丸「同じグループ、学年を通じて感じた事はきっとみんな同じだからって」
千歌「ん?」
花丸「だからまるが想う言葉はきっと自分達もそうだから、まるにまかせるって」
千歌「え……すごい、おんなじだ」
花丸「二年生もそうなの?」
千歌「最初は丸投げか〜って思ったけど、でもそういう事なんだよね」
花丸「うん。きっと想いは一つずら」
千歌「……‥……」
花丸「ホントに、すごいスクールアイドルずら」
千歌「おー自分で言った」
花丸「そこに自信がなきゃ、前には進めないずらよ」
千歌「………うん」
花丸「それに、こういうふうに言えるのも千歌ちゃんやルビィちゃんのおかげずら」
千歌「ん、チカ?」
花丸「今までのまるは図書室で読む本の世界がすべてだったから、自分から何かするなんて考えもしなかった」
千歌「……………」
花丸「自ら行動する事でしか世界は変わらないんだって、知ったから……」
千歌「その言葉すごくいいね!」
花丸「え、どの部分ずら?」
千歌「自分で行動しなきゃ変わらないってところ」
花丸「これに関してはまるが実感してきたことだから、自信を持って言えるずら」
千歌「はい、じゃあ歌って〜〜」
花丸「またずら〜!?」
千歌「こうやって容にしていくのもなんかいいかも」
花丸「むぅ………」
コホン…
花丸「口で何を言っても変わらないー♪ だから、動け、動けばー変わるよ〜♪」
千歌「え………」
花丸「まるだけじゃないずら、千歌ちゃんも分かってるはずだよ」
千歌「口で言っても何も変わらない……」
花丸「そうやって実際行動する事によって今までがあるように、すべてはコレに通ずるずら」
千歌「そう……そうだよね」
花丸「だからこの部分は訴えかけるんじゃなくて、投げかけるように少し強めの表現にしてみたずら」
千歌「動け……動けば変わる……」
花丸「どうかな?」
千歌「うん、いいと思う。それにその前の口では何も変わらないっていうのも!」
花丸「そこは少し言いすぎな解釈もあるからやんわりにして欲しいずら」
千歌「……………」カリカリ……
花丸「……………」カリカリ……
千歌「……えっと、辞書……」パラ…
花丸「…………」カリカリ……
花丸「ねえ千歌ちゃん」
千歌「んー?」ペラペラ
花丸「千歌ちゃんは……その、三年生になっても…続けるの?」
千歌「………それって、スクールアイドル?」
花丸「……うん」
千歌「わかんない」
花丸「え……?」
千歌「正直何も考えてないし、意識もしてないよ」
花丸「そう……なんだ」
千歌「先をまったく考えてない奴だなーって思ったでしょ?」
花丸「か、考えてないよっ」
千歌「勿論、将来なにになりたいとか、どうしたいのかって具体的な事、考えないわけじゃないけど」
花丸「それはまるも……」
千歌「ただ、何がしたいかって聞かれれば、今は一つしかないんだよね」
花丸「それは……なに?」
千歌「今を楽しくしたい」
花丸「今?」
千歌「そう、今! 昨日や一昨日でも、明日や明後日でもない、今この瞬間!」
花丸「今を…楽しく……」
千歌「正直難しくてよくわかんないってのもあるけどね。ただ、今の積み重ねが明日になるなら、やっぱり楽しいほうがいいでしょ」
花丸「今の……この時の積み重ね……」
千歌「だから、今を楽しくしたいかな」
花丸「千歌ちゃん」
千歌「ん?」
花丸「その言葉、とってもいいずら」
千歌「え、そ、そうかな?」
花丸「うん。それにテーマにもとても合っているずら」
千歌「ん………あ、そうか」
花丸「はい、というわけで今の部分歌って〜」
千歌「えー!?」
花丸「当然ずら」
千歌「花丸ちゃん、晩御飯できたから下に降りてこいってさ」
花丸「ありがたいずら〜…実はお腹ぺこぺこで」
千歌「言ってくれればおやつでも用意するのに」
花丸「最初は作詞に集中していて気にならなかったけど、そろそろ限界ずら」
千歌「んふ、花丸ちゃんは食いしん坊さんだね〜」
花丸「食べる事は生きる事! まるは生への執着がすごいだけずら」
千歌「すごいのはいいんだ」
――――
花丸「いただきま〜〜す」アーン
志満「たくさんあるから遠慮しないで食べてねー」
花丸「ありがとずら」モグモグ
千歌「ホントおいしそうに食べるねー」
ガララ… タダイマー
志満「美渡が配達から帰ってきたみたいね」
千歌「美渡姉配達にでてたんだ」
花丸「モグモグ」
デーキールーカナー デーキールー♪
花丸「ん?」
美渡「叫ぶ〜心が〜〜〜っと、ただいまー」ガラッ
志満「お帰りなさい」
千歌「お帰り美渡姉ー」
美渡「あーお腹空いた〜」
花丸「こ、こんばんは……」
美渡「ん……………わ、わぁっ、は、花丸ちゃん!?」
花丸「どうも」
美渡「や、やだなーいたなら言ってよもぅ、恥ずかしい〜」
花丸「あは…は……」
千歌「美渡姉ってよくこんな感じでアクアの曲歌ってるんだよ」
美渡「こらっ、よけいな事言うんじゃないよっ」
千歌「えーいーじゃん、美渡姉花丸ちゃんの歌詞好きって言ってたじゃん」
花丸「え……」
美渡「好きだけど、本人の前で言うと恥ずかしいでしょうがーもー」
千歌「そうなの?」
志満「はいはい、騒いでないで早く食べなさい」
千歌「はーい」
美渡「むぅ」
花丸「………」
志満「………」
志満「私も好きよ、アクアの曲」
花丸「え?」
志満「メロディーもそうだけど、歌詞もとてもいいわよね」
美渡「花丸ちゃんの歌詞って心に響くよね〜」
千歌「チカも書いてるよー」
美渡「あんたのはオマケじゃん」
千歌「オマケじゃないよ〜!」
花丸「……………」
千歌「ん、どしたの花丸ちゃん?」
花丸「あ、その……なんだかよくわからないけど……」
千歌「んー?」
花丸「まるの歌詞が褒めてもらえたって……ことでいいのかな?」
千歌「そうだよー。花丸ちゃんの歌詞が好きなんだって、美渡姉も志満姉も」
志満「もちろん千歌ちゃんの歌詞も好きよ」
千歌「えへへ、ありがとう」
花丸「……………」
-千歌ちゃんの部屋
千歌「さて、あと少しがんばろう」
花丸「うん……」
千歌「どうしたの?」
花丸「え?」
千歌「晩御飯の時からなんだか様子が……あ、もしかして美渡姉に何か言われた?」
花丸「ううん、何も言われてないよ」
千歌「じゃあどうして元気ないの?」
花丸「元気がないというか、ちょっと落ち着かなくて…」
千歌「んん?」
花丸「さっき、美渡さんと志満さんに言われた事がずっと頭の中をグルグルしててね」
千歌「ん……もしかして歌詞を褒めてくれたこと?」
花丸「うん。今までまるの事を応援してくれる人達の声はたくさん聞いてきたけど…」
千歌「曲が好きだとか、衣装が可愛いとか、ダンスがカッコイイとか、色々言ってもらえたね」
花丸「勿論、歌詞が良かったって言ってもらえた事もあるけど、さっきみたいなのはなかったから…」
千歌「さっきみたいなの?」
花丸「その…直接まるの歌詞が好きだって……」
千歌「そうなの? 学校とかで話とかでないの?」
花丸「みんなよかったよって言ってくれるけど、歌詞はアクアとして作った事にしてあるから、そんなには…」
千歌「へーそうなんだ」
花丸「それで、なんだか変な感じなの」
千歌「変って言うと、褒められて嬉しいとかそういうのじゃなくて?」
花丸「嬉しいのは勿論なんだけど、なんというか……まるにもよくわかんないずら」
千歌「嫌な感じって事でもなく?」
花丸「そういうんじゃないずら。嬉しかったのはホントだし」
千歌「んー…なんだろね」
花丸「もやもやする〜」
千歌「だいじょぶ?」
花丸「うぅ…だいじょぶずら……ちゃんと作詞がんばる」
千歌「あと少しだもんね、がんばって書こう」
-翌日
チュンチュン… チチチ……
花丸「……………っ!?」バッ
千歌「すぴー…」Zzz…
花丸「………あれ…朝?」
千歌「ぐー……」Zzz…
花丸「そっか、徹夜で書いてて……」カサッ
花丸「新しい歌詞……できたずら」
花丸「ん〜〜〜〜」ノビ
花丸「千歌ちゃんはまだおやすみ中かな…」カタッ
ガララ…
花丸「おーいい天気ずら!」
梨子「あれ、花丸ちゃん?」
花丸「ん?」
梨子「おはよう、夕べは遅くまで作業してたみたいね」
花丸「梨子ちゃんおはよ〜ずらっ」
花丸「なるほど、お隣さんというのはこんな距離感でお話しできるんだね」
梨子「ふふ、いつも千歌ちゃんがいるところに花丸ちゃんがいるというのもなんだか新鮮ね」
花丸「まるも不思議な感じ」
梨子「千歌ちゃんは?」
花丸「まだ寝てるよ。お互い何時に寝たのか覚えてないずら」
梨子「お疲れ様。それで……」
花丸「できたずら」
梨子「歌詞、できたのね?」
花丸「うん。まる達がラブライブで歌う曲の歌詞……完成したずら」
-梨子ちゃんの部屋
花丸「お邪魔しますずら〜」
梨子「はやく、見せて見せてっ」
花丸「おぉ、梨子ちゃんがいつになく積極的」
梨子「私もね、昨日ずっとラブライブで歌う曲を作っていたの」
花丸「あれ、歌詞を見てからイメージ作りするって聞いたけど?」
梨子「今回の曲、みんなでテーマを決めてあったでしょ? だからいくつか思い描いてはいたの」
花丸「さすがずら」
梨子「テーマを元に作った曲が花丸ちゃん達の歌詞にどれだけ浸透するか、ドキドキしてたの」
花丸「実際曲が入ると印象が変わることもあるから、そこは楽しみだね」
花丸「いつもは千歌ちゃんが一番に聴いてる梨子先生の新曲を一番に聴けるのはいい気分ずら」
梨子「先生って……それなら花丸ちゃんも作詞家の先生ね」
花丸「んっ………」
梨子「どうしたの?」
花丸「またずら……」
梨子「え?」
花丸「昨日感じたこの感覚……なんなのかな?」
梨子「どういう事?」
花丸「まるにもよくわからないずら」
梨子「んん?」
花丸「ごめん、気にしないで欲しいずら」
梨子「う、うん……」
花丸「それより梨子ちゃんの曲、はやく聴きたいずら」
梨子「準備するね、ちょっと待ってて」
花丸「はーい」
ピロリロ…ピロリロ…
花丸「あ、千歌ちゃんから電話ずら」
梨子「起きたら花丸ちゃんがいなくなってるんだもん、驚いてるよ」
花丸「そういえばそうずら」ピッ
千歌「おはよー梨子ちゃん!」
梨子「ふふ、おはよう」
花丸「千歌ちゃん今から梨子ちゃんの新曲お披露目会だから座るずらよ」
梨子「そんな大袈裟にしないで」
千歌「え、もうできたの?」
梨子「いくつか候補があるから、歌詞とイメージを合わせましょ」
千歌「おーすごい」
花丸「ワクワクずら」
♪〜 ♪〜
花丸「……………」
千歌「……………」
♪〜 ♪〜
梨子「…っ………っ」〜♪
――――――
梨子「…………」
花丸「…………」
千歌「…………」
梨子「こんな感じなんだけど、どうかな?」
花丸「えと…………わっ」ドキ
千歌「」ボロボロ…
梨子「ち、千歌ちゃん!?」
花丸「千歌ちゃんも、泣いてるずらか?」ポロツ
梨子「花丸ちゃんまで…」
千歌「りぃこぉちゃーん……ズビッ」ボロボロ…
梨子「えっと…はいこれ、ティッシュ」サッ
千歌「ありがとっ…ズズ……ぅぅ」
梨子「大丈夫?」サッ
花丸「うん…ありがと」ズビッ
千歌「梨子ちゃん、これだよっ! この曲しかないよ!」
花丸「同意見ずらっ」
梨子「実は私もこの歌詞にはこれだって、弾きながら感じてたの」
千歌「よし、じゃあ花丸ちゃん歌って」
花丸「またぁ?」
梨子「ん?」
千歌「梨子ちゃん、サビの部分もう一度弾いて!」
梨子「そういうことね、わかった」
―――――――
千歌「……………」
梨子「……………」
花丸「……………」
千歌「出来た……ね」
梨子「うん……」
花丸「これが新曲……」
梨子「まだ完成じゃないけど、鞠莉さんとダイヤさんがアレンジをしてくれる事になってるの」
千歌「歌詞もそうだけど、みんなの意見を聞いてもう少しまとめていきたいね」
花丸「うん……でも……」
梨子「とてもいい形になったんじゃないかな」
千歌「そうだね」
梨子「それじゃ最初から演奏するから二人で仮歌録音しましょう!」
千歌「え、チカも!?」
花丸「当然ずら」
-新年 1月某日 海岸沿い
花丸「はひっ…ふひー……」グデ
曜「大丈夫ー?」
花丸「だ、だいじょ……ばない……」ガクッ
ルビィ「花丸ちゃ〜〜ん」
曜「ちょっと休憩しようか」
ルビイ「ルビイ、飲み物買ってくるね」タタッ
曜「ありがとー」
花丸「ふひー……」
曜「花丸ちゃんどうしたの? 最近なんだかハイペースだけど」
花丸「ん………だって……もうすぐ大会だし…」
曜「それはそうだけど、無理して体壊しちゃ意味ないよ」
花丸「うん……わかってるずら……」
曜「…………」ジー
花丸「な、なんずら?」
曜「どうしてそんなにがんばってるのかなーって」
花丸「だから……大会で優勝して……」
曜「それはみんな同じ。ラブライブで優勝する、優勝して学校の名前を残す」
花丸「そうだよ、だから…」
曜「でもそれはみんな同じで、花丸ちゃん一人に負担をかけるような事じゃないよ」
花丸「…………」
曜「みんな今のやり方を信じて、これでやっていくって決めたのに、どうして?」
花丸「…………」
曜「不安?」
花丸「そういうわけじゃ……ん、あのね」
曜「ん?」
花丸「曜ちゃんは将来何になりたいとか…あるずら?」
曜「パパのような船長さん」
花丸「だったずらね……」
曜「将来の事で悩んでるの?」
花丸「………悩んでいるというか、ずっともやもやしてるずら…」
曜「もやもやって?」
花丸「それがよくわからないから、気持ち悪くて……」
曜「それで無理してたの?」
花丸「体動かしてたら、スッキリするかなって思って」
曜「………それで、スッキリできた?」
花丸「疲れただけずら……」
曜「そっか……んしょっ」ゴロンッ
花丸「ん?」
曜「将来かー……正直思い描いてはいるけど、進んでるっていう実感はないよね」
花丸「うん……まだ早いっていう気もするし…でも…」
花丸「もうすぐ、ダイヤさん達三年生は卒業するずら」
曜「卒業だねー……」
花丸「みんな将来を見据えてそれぞれ別の道を歩き始める」
曜「なんだかすごいよね」
花丸「うん……でも、曜ちゃんにもまるにもその時はすぐやってくるずら」
曜「私ももうじき三年生だしねぇ」
花丸「1年なんてあっという間ずら」
曜「明確なビジョンがあればまだ早いって言う事はないんだろうけど……難しいね」
花丸「ビジョン……か……」
ルビィ「…………」
花丸「あれルビィちゃん?」
ルビィ「あ、えと……はいこれジュース」
曜「ありがとうルビィちゃん」
ルビィ「なんだか難しそうな話してたね」
花丸「将来について、ちょっとね」
ルビィ「将来……」
曜「ルビイちゃんは将来何になりたいとかある?」
ルビイ「え……んー……まだよくわかんないかな」
曜「そうだよねぇ」
ルビィ「何か気になる事があったの?」
花丸「うん……去年千歌ちゃんと作詞作業をしていたときにね」
曜「そういえば作詞合宿するんだーって言ってたね」
花丸「うん。思えばあの時からかな、ずっとなにかひっかかってるの…」
ルビィ「なにかあったの?」
花丸「あ………ごめん、ちょっと整理つかないから忘れて」
曜「いいの?」
花丸「なんだろなってくらいのもやもやだから」
ルビィ「でも花丸ちゃんは…」
花丸「今はよくわかんない事よりラブライブに集中しなきゃだよね」
曜「それも大事だけどさ……」
ルビィ「ぅゅ……」
花丸「きっとこのもやもやは今のまるには答えがでないものだと思うから」
曜「それでライブに集中できそう?」
花丸「そこは、しっかりするずら」
ルビィ「なにかあったら言ってね、ルビィに出来る事なんてそんなにないけど…」
花丸「ありがとルビィちゃん」
-3月某日 善子ちゃん家
善子「準備はいいわね、リトルデーモン達!」
ルビィ「持ったよ!」
花丸「はやくするずら〜!」
善子「えーそれでは……」コホン
善子「ラブライブ優勝を決め、その歴史に永遠に刻まれるであろう、浦の星女学院スクールアイドル…」
ルビィ「Aqours!」
花丸「輝きを求めて走り続けた一年間に……」
「「かんぱ〜〜〜い!」」チンツ
ルビィ「と、お疲れ様っ!」
善子「この流れ二回目とはいえ、やっぱりくるものがあるわね」
花丸「今日はまる達だけのお疲れさま会ずら♪」
花丸「さっそくおやつを開けるずら〜」ガサツ
ルビィ「さっき注文したピザの後でもいいんじゃない?」
善子「メインをおいしく食べられなくなるわよ?」
花丸「それとこれとは別腹ずらっ」
善子「ふ…またまたフラグね」
ルビィ「太るよ〜?」
花丸「練習で消費されるから平気〜」
善子「…………え、あんたまだ練習するの?」
ルビィ「花丸ちゃん」
花丸「ん…………あっ……」
善子「まあでもアクアじゃなくてもルビィが続けるなら……」
ルビィ「え、ルビィなの?」
花丸「まる達の中でその道を決めるとしたら、やっぱりルビィちゃんずら」
ルビィ「ぅぅ…正直なんにも考えてないよ…」
善子「あんたは続けたいの? スクールアイドル」
ルビィ「…………ルビィは……わからない」
花丸「ルビィちゃんスクールアイドルが大好きだよね」
ルビィ「そうだけど。実際にやってみて、スクールアイドルはキラキラしてるだけじゃないっていうのも分かったし…」
善子「人前にでるその一瞬のためにけっこうハードな事、してたもんね」
ルビィ「うん。全然甘い世界じゃなかったし、辛い事もたくさんあった」
花丸「雑誌やテレビで見たアイドルさんは影でものすごい努力をしてたずら」
ルビィ「それでも、ルビィが憧れたスクールアイドルの世界は確かにあったよ…でも」
善子「ん……でも?」
ルビィ「きっとルビィがやりたいからってやっていてもあの気持ちは生まれなかった、やっぱりみんな一緒だったから生まれたんだと思う」
花丸「気持ち……」
ルビィ「やりきった気持ちとか、満足した〜っていう達成感とか、言葉はよくわかんないけどそういうの」
善子「それはまぁ……なんとなくわかるわ」
花丸「まるも……」
ルビィ「ルビィにとってのスクールアイドルはAqoursの九人なの。だから、今は…いいかな」
善子「そう。今は…なのね」
ルビィ「何があるかわからないし、もしかしたらまたやりたくなるかもしれないし…」
花丸「理亞ちゃんはやるんだっけ?」
ルビィ「うん。セイントスノーは解散したけど、新しいグループを作るんだって言ってた」
善子「相変わらず仲いいのね」
花丸「理亞ちゃんには言ってあるの? スクールアイドルの事…」
ルビィ「うん、まだわかんないって。そしたら冗談っぽく函館に来ればいいのにって言われちゃった」
善子「どんだけルビィ好きなのよあいつ」
花丸「ルビィちゃんモテモテずら」
ルビイ「あはは……」
prrrrr……
花丸「あ、まるの携帯ずら。ちょっとゴメン」ピッ
ピンポーン…
善子「ピザが来たようね、ルビィ!」ビシッ
ルビィ「はいはい」タタッ
花丸「…………えっ?」
善子「?」
花丸「わ、わかったずら……明日そっちにいくね」ピッ
善子「どうかしたの?」
花丸「まると千歌ちゃんを訪ねてお客さんがくるそうなの」
善子「へぇ」
花丸「東京から」
善子「む、魔都東京からの刺客!?」
花丸「明日千歌ちゃんと一緒にお出迎えすることになったずら」
善子「誰が何の用事なのかは聞いてないの?」
花丸「ただお客さんが来るから来てとしか……」
善子「ふーん……」
花丸(東京からというのも驚きだけど、まると千歌ちゃんにってどういうことだろう)
-翌日 松月
カランカラン… イラッシャイマシー
花丸「えっと……」キョロキョロ…
千歌「あっ、花丸ちゃーん、こっちこっち」
花丸「千歌ちゃん…えっと……」
千歌「相手の人はまだだよ、もうじき来ると思うけど」
花丸「そうずらか……あ、まるはいつもの」
<ハイヨー
花丸「で、一体誰が来るの?」
千歌「さぁ?」
花丸「千歌ちゃんもわからないの?」
千歌「なんでもラブライブの運営に連絡があって、それでアクアのリーダーだったチカのところに電話がきたんだって」
花丸「ラブライブ? まる達なにかしたかな?」
千歌「さぁ? とりあえず会いたいって人がいるから待ち合わせ場所を指定されたんだよね」
花丸「運営はそんな個人情報ペラペラしてもいいずらか?」
千歌「それはまぁ…なにか事情があるんだろうけど……」
カランカラン… イラッシャイマシー
??「…………!」キョロキョロ
花丸「千歌ちゃん、あの人こっち見たずら」
千歌「え? って、ええーーー!?」ガタッ
スタスタ
??「こんにちは、高海千歌さんに、国木田花丸さんですね?」
花丸「は、はいそうず……そうです」
千歌「ま、まさか……そんな……!?」
海未「急にお呼び出しして申し訳ありません、私、園田海未と申します」
-夜 花丸ちゃんのお部屋
花丸「………………」
prrrr……
花丸「ふぅ……」ピッ
千歌『もしもし〜』
花丸「待ってたずら」
千歌『どう? 考えは決まりそう?』
花丸「………………」
千歌『花丸ちゃん?』
花丸「あのね、千歌ちゃん……まる、わかったの」
花丸「去年から感じていたもやもやしたものの正体……」
千歌『それは、今日海未さんが言っていた事で?』
花丸「うん……まるの道は、あの時決まっていたんだと思う」
――――――
千歌「そ、そそ、園田海未〜〜!?」ガタタッ
花丸「ち、千歌ちゃんどうしたの?」
海未「驚かせてごめんなさい」
花丸「千歌ちゃんの知り合い?」
千歌「なに言ってるの花丸ちゃん、μ’sの園田海未さんだよ、μ’sの!」
花丸「え、ええ!?」
海未「もう何年も前の話ですけれどね」
花丸「まるは凛ちゃんしかよく知らないけど、名前は知ってるずら」
千歌「な、なんで海未さんが?」
海未「少し事情を話す必要がありますね」
千歌「はっ!? もしかしてチカ達をμ’sにスカウトしに来たとか!?」
花丸「千歌ちゃん落ち着くずら、μ’sは伝説となったグループずらよ」
海未「ふふ、スカウトという部分は間違いではありません」
花丸「え……?」
千歌「じ、じゃあホントに!?」
海未「ですが、スクールアイドルμ’sはメンバーの募集はしていません」
千歌「残念……」
花丸(勧誘きたら行く気だったのかな?)
海未「スカウトというのは、私の今携わっている仕事に関してです」
千歌「仕事……っていうと?」
海未「まずはこちらを……」スッ
花丸「これは、名刺ですか?」
千歌「えっと…海未さんの名前の前にあるのは?」
海未「短い期間ですが私が受け継いだ名前です」
花丸「四代目ハターキ?」
千歌「ハターキって、いろんなアイドルの楽曲をプロデュースしている音楽家さんだったような」
海未「人によってはそうかもしれませんが、私の代ではおもに作家活動として脚本や作詞などをやらせてもらっています」
花丸「え?」
千歌「じ、じゃあ海未さんが…あのハターキ?」
海未「あのというのがどれを指すかわかりませんが、ここ1,2年で目にしたものなら…そうですね」
花丸「……………」
千歌「す、すごい……」ゴクッ
海未「単刀直入に申し上げます。高海千歌さん、国木田花丸さん。次代のハターキとして、私の元へ来るつもりはありませんか?」
千歌「ハターキ……え……」
花丸「それって…つまり……」
海未「あなた方のどちらか、あるいは二人で、五代目としてハターキの名を継いで活動するという事です」
千歌「どうして私達を?」
海未「私も先代からこのような形でお誘いを受けました。ラブライブでの作詞活動を評価してもらってのことです」
花丸「μ’sの曲はすべて海未さんが作詞をしていたず……していたのですか?」
海未「完全にすべてというわけではありませんが、ほとんどがそうですね」
千歌「え、で、でも私達が海未さんほどのレベルがあるようには……」
海未「今そのままのあなた達をスカウトするわけではありません。その才能を私の元で開花させるための勉強はしてもらいます」
花丸「才能………」
海未「そしてその才能が開花した時、立派な五代目になれると私は考えています」
千歌「私達が……ハターキに……」
千歌「で、でもどうしてもう五代目なんて……海未さんはまだまだやれるんじゃ?」
海未「年齢的、肉体的には私自身もまだまだがんばれます。ですが、私にはもともと時間がないのです」
花丸「それはどういった事情なんですか?」
海未「私は実家の道場を継ぐという役割があり、それは学生の頃から決まっていました」
千歌「それでも四代目を受けたのは……?」
海未「それは三代目が……ご病気だったからです」
花丸「……………」
千歌「……………」
海未「私個人も三代目にはお世話になっていたこともあり、期限付きでその役目を引き受ける事にしました」
海未「ですから私はそう遠くないうちに四代目としてハターキの名を次代に託すため、かねてからいろんな人たちを見てきました」
千歌「それで私達に…」
花丸「か、買い被りすぎじゃ…」
海未「あなた達のスクールアイドル、Aqoours。とてもすばらしいスクールアイドルだと思います」
千歌「見ていてくれたんですね」
海未「ええ。やはり私もスクールアイドル経験者ですから、候補者選びにはそこから始めるのがいいと思いまして」
花丸「まる達の曲を……海未さんが」
海未「Aqoursは良い曲をたくさん作ってきましたね」
千歌「で、でもそれはチカ達だけじゃないというか、みんなでやってきたことなので」
花丸「そ、そうです、どうしてまる達だけが……」
海未「私があなた達の紡ぐ歌詞に惹かれたから……というのが一番の理由です」
千歌「歌詞……確かにそれはやってましたけど……」
海未「最初は高海さん、あなたが一人で歌詞を担当していたそうですね」
千歌「は、はいっ」
海未「そこに国木田さんも加わり、二人で歌詞を担当する事になる」
花丸「ず……ですっ」
海未「スクールアイドルとしての活動を通して見る世界、感じた気持ち、感情を素直な詩で表現していますね」
千歌「それは……えと、ありがとうございます」
花丸「照れるずらっ……んぐ」バッ
海未「特にあなた達がラブライブ決勝で歌った曲。あれを聞いて私は今回の事を決めました」
千歌「決勝……」
花丸「あ…」
海未「WATER BLUE NEW WORLD……決勝戦という大舞台であなた達が表現したいテーマとして、最高のものだったと思います」
千歌「え、テーマって……」
花丸「わかるずらか!?」ガタッ
海未「………」クスッ
花丸「あっ………ぅぅ」
海未「私が感じた印象なので、どこまで読み解けているのかはありますが……」
千歌「」ゴクッ
花丸「……」
海未「テーマは、Aqours……スクールアイドルAqoursですね?」
千歌「わ、わぁ……」
花丸「………」ドキッ
千歌「どうしてわかったんですか?」
花丸「まる達曲にそういう解説とかなにもつけてなかったのに…」
海未「それが正解かどうかは私も知りませんでしたが、あの曲から感じた想いを元に導き出した答えです」
千歌「あの、よかったら海未さんの解釈、聞かせてくれませんか?」
花丸「まるも聴きたいず……です」
海未「そうですか、では……」
千歌「……………」
花丸「……………」
海未「その前に私も注文していいでしょうか?」
千歌「あっ! はは、はいどうぞ!」
花丸「忘れてたずら」
海未「ふふ、国木田さんはその自然な話し方のほうが可愛らしいですよ」
花丸「あぅ……恥ずかしいずらぁ」
海未「それでは話を戻しましょう」
千歌「ん………」ジッ
花丸「…………」
海未「私があの曲から感じたのは三つのアンサーでした」
千歌「アンサー?」
花丸「…………」
海未「一つは新しい事に挑戦する心の不安、得られた体験を現すもの。これは一年生が表現しています」
千歌「…………」
海未「二つ目が過去から未来へと続く道のり、今という時の大切さを現したもの。こちらは二年生が…‥」
花丸「…………」
海未「そして最後に、未来への旅立ちを意味する卒業と夢への挑戦……これを現したものが三年生達」
千歌「……‥」ゴクッ
海未「それらすべてに海という表現を模している事から私なりに導き出した答えが、先のものです」
花丸「………」
海未「決勝という舞台、見せたいのはそれまで歩んできた自分達、今を楽しむ自分達、新しい未来へ向かう自分達」
千歌「っ!」ドキ
海未「やはりあの曲はいい曲だと思います」
花丸「………すごい」
千歌「なんか、そこまで言って貰えて嬉しいです」
海未「解釈は人それぞれあると思いますが、これが私なりの感想です」
花丸「正直書いたまるよりすごいずら…」
千歌「海未さんの言う通り、決勝で何を見てもらいたいのか…みんなで考えてだしたテーマです」
花丸「あの曲が、アクアとしてみんなで歌う最後の曲だから……」
海未「そうですか……」
千歌「あ、実は私達ユニットもやっていて、どうせならユニットも全部だしちゃえって思ってたんですよ」
花丸「かなり強引だったけど」
海未「ふふ、それは賑やかなことですね」
千歌「それでですね〜……」
――――――
花丸「………………」
千歌『じゃあ花丸ちゃんは……』
花丸「まるは元々作家になりたいなーって想いはあったの。だけどそれがどういうお仕事で、どういう形になるのかまで考えていなかった」
千歌『そうだったんだ』
花丸「それが今日の海未さんの言葉でハッキリわかった。きっかけはずっと前からあったけれど…」
千歌『しばらく言ってたもやもやするーってのがそうなの?』
花丸「志満さんや美渡さんにまるの歌詞が良いって言ってもらえた時、梨子ちゃんに作詞家の先生だって言ってもらえた時…」
千歌『梨子ちゃんそんなこと言ってたんだ』
花丸「嬉しさとは別にあった気持ち……人に認められた事、まるの言葉が違う誰かに伝わったんだという充足感……まるはあれをもっと味わいたい」
千歌『決めたんだね…』
花丸「うん。まるは…海未さんのお誘いを受ける」
千歌『でも、それは……』
花丸「……………」
-次の日 黒澤家
ルビィ「え……花丸ちゃん、今なんて?」
善子「嘘でしょ……?」
花丸「ゴメンずら……」
ルビィ「だって、新学期て…すぐだよ?」
善子「あんた沼津の高校に通うの、未来ずら〜〜って喜んでたじゃない!」
花丸「うん…………」
ルビィ「どうして……?」
花丸「まるのやりたい事が明確になったから、そのために必要で、出来る事はやりたいから…」
善子「昨日なにがあったのよ」
ルビィ「え〜〜〜!? 花丸ちゃん、園田海未ちゃんに会ったのー!」
善子「えっと、元μ’sだっけ?」
花丸「うん。そこでまると千歌ちゃんは海未さんにお誘いを受けたの」
ルビィ「花丸ちゃんが次のハターキ候補……」
善子「むしろハターキってそんなゴロゴロいる事に驚いたわ」
花丸「その一番の道が、海未さんの元で直接指導をうけて勉強する事…」
ルビィ「高校は……」
花丸「東京の高校に転入する事になるずら」
善子「と、東京…」ゴクリ
ルビィ「そんな………」
花丸「ごめんね、こんな大事な事勝手に決めちゃって」
ルビィ「ぅゅ……」
善子「なにいってんのよ、自分の将来についてあんたが考えてだしたんなら元より私達に言える事なんてないわよ」
花丸「善子ちゃん……でも」
善子「逆に私やルビィの言葉があんたの夢の邪魔になるのなら、それこそ嫌だわ」
ルビィ「うん、ルビィも同じ気持ち。花丸ちゃんがやりたい事を見つけたんなら、ルビィは応援するよ」
花丸「ありがとう……」
善子「いい? リトルデーモンの契約は例え離れてたって継続されるんだからっ」
花丸「わかってるずら……まるはヨハネのリトルデーモンとしても、がんばってくる」
ルビィ「親御さんにはもう言ってあるの?」
花丸「それは最初に話したずら。よくわかってなさそうだけど了承してくれたよ」
善子「それで、千歌は?」
花丸「千歌ちゃんは……迷ってる感じかな」
ルビィ「いきなりだもんねえ」
花丸「あ、でも海未さんは高校は卒業してからでもいいって言ってくれたんだよ」
善子「そうなの? じゃああんたはどうして?」
花丸「だって、やりたいって考えたらすぐにでも勉強したくて…」
ルビィ「ルビィはそれがいいと思うよ」
善子「ふーん……ま、いいんじゃない」
花丸「だから、ルビィちゃん…善子ちゃん……一緒にスクールアイドルできなくて、ゴメンずら」
ルビィ「まだやるかどうかは決めてなかったし、大丈夫だよ」
善子「謝ることなんてないわよ、それに……」ピッピッ スッ…
花丸「ん?」
善子「これ、東京にある黒魔術専門店の場所よ。時折連絡するからお使いを頼むわね」
ルビィ「あっアイドルショップのお店にも行けるね!」
花丸「………勿論ずら、いつでもまるを頼って……頼って……」ポロッ
善子「どうしたのよ?」
ルビィ「花丸ちゃん?」
花丸「ぐすっ……ありがとう、ルビィちゃん……善子ちゃん……ズッ」ボロボロ
ルビィ「は、花丸ちゃ……ぐしっ」ウルッ
善子「もうっ、人がせっかくこの空気にならないように……ぐすっ」
花丸「まる、がんばるずら……絶対に、やりたい事……叶えるから……」
ルビィ「うん…がんばって、花丸ちゃん……ルビィずっと花丸ちゃんの応援してる!」
善子「当然よ! それに次のハターキがヨハネのリトルデーモンだなんて、堕天計画にうってつけだわ」
花丸「まかせるずら、まるがハターキになった時はリトルデーモンハターキに改名するずら!」
善子「え……そ、それはさすがにマズイような……」
ルビィ「あははっ花丸ちゃん、がんばルビィだよ!」
-夜 花丸ちゃんの部屋
prrrr…… ピッ
花丸「もしもし」
千歌『こんばんは花丸ちゃん』
花丸「まってたずら。どう?」
千歌『うん。私も決めたんだ、あの話』
花丸「それじゃ、千歌ちゃんも……」
千歌『私は、正式にお断りさせてもらったよ』
花丸「……………」
千歌『海未さんの評価はとてもありがたいし、正直嬉しかったけど、私にはイメージできなかったんだ』
花丸「作家……作詞家?」
千歌『うん。将来何になりたいとか今はまだよくわかってないし、花丸ちゃんほど強い憧れがあるわけじゃない』
花丸「……………」
千歌『海未さんが高校卒業まで待ってくれるって言ってくれたけど、それもなんか違うかなって』
花丸「そう………ずらか……」
千歌『卒業までにやりたい事みつからないから作家を目指すっていうのも失礼だしね』
花丸「そんなこと……」
千歌『花丸ちゃんはなりたいんでしょ? 作家さん』
花丸「うん。なりたい」
千歌『なら…私はそれを応援するよ』
花丸「千歌ちゃん……まる……」
千歌『だから、がんばって』
花丸「うん……あのね…千歌ちゃん、まるをスクールアイドルに誘ってくれて、ありがとう」
千歌『こちらこそ……一緒にスクールアイドルがやれて、本当に楽しかったよ』
花丸「………夢が見たい想いは」
千歌「いつでも僕たちをつないでくれるから……」
花丸「笑って行こう……ふふ」
千歌「あは、がんばれ!五代目!」
花丸「まだはやいずら〜」
-春 東京のとあるマンションの一室
花丸「み、未来じゅら〜〜〜」カンドー
海未「またですか花丸。これからここに住むのにそんなことでは身が持ちませんよ?」
花丸「広いずら〜」
海未「私の仕事部屋はそちらなので、何かあればそちらに」
花丸「は、はい」
海未「花丸の部屋は…ここを使ってください」
花丸「まるの……部屋」ジーン
海未「共同生活についての細かいルールのようなものは後で決めるとして…」
花丸「ん?」
海未「まずは花丸の新生活を記念して、何か食べに行きましょうか」ニコッ
花丸「東京のお寿司ずら!?」
海未「寿司……ですか、まぁいいでしょう」
花丸「みみ、未来じゅら〜〜!!」
海未「ふふ…」
-新学期 転校先の高校
海未「それでは私はこれで…」
理事長「あら、せっかく来たのにもう行くの?」
海未「仕事がありますから。では……花丸」
花丸「はいっ」
海未「よければこの学校の印象、感じた事を今日、聞かせてもらえますか?」
花丸「あ、わ、わかったずら」
海未「楽しみにしていますよ、それではっ」
花丸「い、いってらっしゃいずら」
理事長「それじゃ、国木田さん」
花丸「は、はい」
理事長「今日からよろしくね、私もまだ理事長としては新米で頼りないところもあるけど」
花丸「そんな、こちらこそよろしくお願いします」ペコッ
理事長「んふふ、か〜わいっ♪」
花丸「?」
prrrr… ピッ
理事長「あれ、海未ちゃんどうしたの? 忘れ物?」
海未『いえ、先代はどうしていらっしゃるのか聞きそびれましたので』
理事長「先代さんははれて自由の身だーって旅行三昧だよ」
海未『また無理をして……』
理事長「んふ、海未ちゃんが心配してたよって言っておくね」
海未『すみません、それでは…』
理事長「あ、海未ちゃん」
海未『はい?』
理事長「国木田ちゃん、いい子みたいね」
海未『ええ、感情を素直に表現できる、とてもいい子です』
-二年生教室
ザワザワ…
先生「はーい、みんな今日から二年生ねー。といってもメンツは同じだけど」
ワイワイ…
先生「しかし、なんと今日は転校生がいます! 存分に騒げよー」
!? ザワザワ…
先生「はいりなさいー」
ガラッ…
花丸「…………」ドキドキ
アレ アノコミタコトアル…
コノマエノラブライブニデテター
メッチャカワイイー
ザワザワ…
先生「それでは簡単でいいので自己紹介してくれる?」
花丸「はい」スッ
花丸「…………………」
シーン…
花丸「私…………じゃなくって……」グッ
ザワッ
花丸「オラは静岡から来た国木田花丸ずら。よろしくお願いしますずら」
花丸「作詞するずら」 おわり
ノcリ,,^o^,,ル 乙ずら〜
歌詞が出来てくまでの過程がいいね ばん!
かーん
ごみすてそうんでていじゅうつきまといあぴり ばん!
かーん
ごみすてそうんでていじゅうつきまといあぴり とれたて とまとひかれびはじめてた れいぞこってくさりにくいんだな 乙
ちかまるもよしまるびぃも良かったぞ
うみまるにも可能性を感じた
最後に出てきた理事長はあの子かな これはおもしろかった
けど三年生がまったく出てこないのは理由があるのかな? ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています