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曜「善子ちゃんをくすぐり続けたら失禁した」その4

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0001名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2018/03/10(土) 15:17:10.48ID:mc7jjdA4
おしっこ大好き曜ちゃんと、曜ちゃん大好き善子ちゃんのお話です。

今回はおしっこ要素はそこまでないので苦手な人もぜひ。


*過去スレ

曜「善子ちゃんをくすぐり続けたら失禁した」
http://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1513854343/
(堕天)

曜「善子ちゃんをくすぐり続けたら失禁した」その2
http://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1517118470/
(堕天)

曜「善子ちゃんをくすぐり続けたら失禁した」その3
http://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1518316226/
(堕天)

↑の続きですが読んでなくても大丈夫です。

(付き合いたてのようよしがイチャイチャしたりケンカしたりたまにおしっこするだけなので)



【前回のラブライブ!】


*不治の病編

ケンカした翌日、何とか仲直りした二人でしたが善子ちゃんが倒れてしまいます。

風邪っぽい症状で熱もあったためインフルエンザかも? と病院へ連れて行く曜ちゃんでしたが……。

やっぱりどうやらただの風邪ではないようでした。


*料理教室編

善子ちゃんが倒れたと聞いた曜ママは、善子ちゃんにいっぱい食べて元気になってもらおうと張り切って料理を振る舞うことに。

予想通り酷い出来でも気を遣う善子ちゃん。はっきりマズいと言う曜ちゃん。

大人版曜ちゃん(曜ママ)にドキドキする乙女善子ちゃん可愛い。


*お泊まり会編

曜ママと善子ちゃんがお風呂で思い出話をしている間、曜ちゃんは善子ママと……。

あろうことか現場を目撃されてしまい、善子ちゃんのビンタが炸裂。

曜ママと善子ちゃん、善子ママと曜ちゃんの親子じゃないのに親子っぽい関係が好き。




以下本編
0325名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2018/03/22(木) 12:31:43.58ID:JTrdZfSn
0328名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2018/03/22(木) 19:20:29.37ID:JTrdZfSn
ようよぴ!
よぴこめっちゃ可愛くない??
0331名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2018/03/23(金) 00:34:53.06ID:BShqO/Sp
>>329
ロリよしこ=よぴこ!
Twitterでようよぴ検索して…
0335名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2018/03/23(金) 14:36:45.43ID:XLoxK8Ck
0337名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2018/03/23(金) 23:49:52.25ID:AMqGbO5a
曜ちゃんだYO
0340名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2018/03/24(土) 11:18:58.13ID:M5OzNn5v
0344名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2018/03/25(日) 08:35:18.53ID:/HUeZzhf
ほもだぁ〜いってなんだよ草
0348名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:17:05.92ID:Cn1blU3f
……

……

 日曜日

曜「はぁっ……はぁっ」ザバッ

善子「すごいわ! 昨日の今日でこんなにタイムが縮まるなんて!」

曜「まだこんなもんじゃ勝てないよ……」ハァ

……

 月曜日

曜「げほっ……どうかな」ザバッ

善子「うん……安定したタイムが出てるわね。この調子よ」

曜「……」フゥ

……

 火曜日

曜「どう!?」ザバッ

善子「ちょっとイマイチね。もう少しこう、大きくかいてみたらどうかしら?」

曜「簡単に言ってくれるよね……」

……

 水曜日

曜「ダメだ。全然タイムが縮まらない」

善子「ちょっと休憩しましょ。おやつ持ってきたから……」スッ

曜「そんな時間ないよ。もうあと半分もないんだ……」

……

 木曜日

曜「もうダメだよ」グスッ

善子「何泣いてるのよ。まだ明日も練習できるし、明後日までここから頑張れば……」

曜「うわぁん! このまま負けて善子ちゃんに恥ずかしいところを見られちゃうよー!」ポロポロ

善子「今の姿の方がよっぽど恥ずかしいような……」

曜「何であんなできもしないこと言ったんだろ私」グスッ

善子「どうしてできないって決めつけるわけ? まだ分からないじゃない」

曜「分かるよ! 去年のタイムに遠く及ばないもん……」
0349名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:17:36.97ID:Cn1blU3f
善子「そうだけど……」

曜「善子ちゃんはいいの!? あの子私のこと好きなんだよ!? 善子ちゃんの目の前でキスしてとか言うかも!」

善子「……」

曜「お、おしっこ飲ませてって言われるかも……」ビクビク

善子「曜さんじゃないんだから」

曜「私が飲ませるのは後にも先にも善子ちゃんだけだよ? でもどうしよう、もし負けたら……」

善子「そんなお願いするわけないじゃない」

曜「そのときは私を殺してくれる? 善子ちゃん以外に飲まれるくらいなら死ぬよ」

善子「私を殺人犯にするつもり?」

曜「やっぱり今から土下座して謝ろう。キスでも何でもするからおしっこだけは許してもらわないと」

善子「キスもダメよ」

曜「じゃ、じゃあお金? どうしよう私そんなにお金持ってない……」

善子「賭博は違法なんじゃなかったの」

曜「善子ちゃんはいいの!? 水着姿の私を好き放題されちゃっても!」

善子「いいわけないでしょうが」

曜「どんなことされても嫌いにならないでね……お願い」ギュ

善子「曜さんがわざと負けたり、本気を出さなかったりしなければね」

曜「そんなことしないよ」グスッ

善子「めそめそ泣いてる暇があったら練習よ。少しでも勘を取り戻して貰わなきゃ」

曜「うん……」

……

 その夜

 善子の家 リビング

曜「ごちそうさま……」スタッ

善子ママ「曜ちゃん大丈夫? このところ疲れてるみたいだけど……」

善子「……」

曜「ごめんなさい。今日はもう寝ます……」フラッ

善子「あっ、後片付けは私がやっておくから。ゆっくり休んで」

曜「うん……」フラフラ

善子「……」
0350名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:19:04.69ID:Cn1blU3f
善子ママ「最近、毎日遅くまでプールに行っているわね」

善子「ええ。やっと水泳に本気になってくれたのよ」

善子ママ「もしかして、善子がやらせてるの?」

善子「え?」

善子ママ「前に曜ちゃん言ってたわ。もう二度と水泳はやらないって」

善子「変な意地張ってただけよ。久しぶりにプールに入ったとき、気持ちよさそうに泳いでたわ」

善子ママ「そう……」

善子「ママも知ってるでしょ。曜さん、大学から推薦の話が来てるのよ。曜さんの頭じゃ絶対行けないようなところなんだから……」

善子ママ「曜ちゃんが行きたいって言ったの?」

善子「言ってないけど」

善子ママ「周りが押し付けるのはよくないと思うわ」

善子「……」

善子ママ「結局は本人が決めることなのよ」

善子「曜さん、未だに進路の希望すら決まってないのよ」

善子ママ「みたいね」

善子「もう二年生も終わるのに、私が聞いても全く決まってないって言うの」

善子ママ「……」

善子「本当は水泳がやりたいんだと思うのよね」

善子ママ「そうなの?」

善子「明後日になれば分かるわ。勝っても負けても、きっと曜さんはもう一度水泳をやりたくなるはず」

善子ママ「明後日、何かあるの?」

善子「現役の選手と勝負するのよ」

善子ママ「えぇ!? 現役のって……」

善子「そういえば名前聞き忘れたわね。でも確か、中学の時の同級生だったって言ってたわ」

善子ママ「……」

善子「ちょっとカッコいい子だった……」

善子ママ「女の子よね?」

善子「も、もちろん曜さんの足元にも及ばないけど? 曜さんなら絶対勝てるって信じてるし」
0351名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:19:41.44ID:Cn1blU3f
善子ママ「曜ちゃんのことあんまり強く言えないじゃないの」フフッ

善子「浮気とかじゃないから。カッコいいかカッコよくないかで見ればカッコいい方に入るだけ」

善子ママ「……」

善子「忘れて」

善子ママ「ええ」

善子「とにかく! 曜さんが一歩前に踏み出すいいきっかけだと思うわ。そのためなら私は賞品にだってなるわよ」

善子ママ「賞品?」

善子「あっ、いや別に」

善子ママ「あんまり曜ちゃんに無理させちゃダメよ」

善子「もちろん。でも曜さんはこのくらい全然平気よ。いつも果南さんとトレーニングしてるくらいだもの」

善子ママ「……」

善子「そうだ、明後日の夕飯は曜さんが好きなハンバーグにしましょ。私とママで作ってあげたら喜ぶわ」フフッ

善子ママ「そうね」

善子「また太っちゃうかも?」

善子ママ「曜ちゃんはともかく、善子は気をつけなさいよ。太るとなかなか痩せない体質なんだから」

善子「私、そんなに太ってないわよね?」

善子ママ「ううん。善子みたいに筋肉のない細い体の子は、一旦太ると痩せにくいのよ」

善子「それ、ママの実体験?」

善子ママ「善子を産んだ後に、少しね」フフッ

善子「今はそんなことないわよね」

善子ママ「ここまで戻すのに何年かかったことか……」ハァ

善子「き、気をつけるわ」

善子ママ「それはそうと、善子は進路どうするの?」

善子「えっ」

善子ママ「この前聞いたとき、のらりくらり躱して結局答えなかったじゃない」
0352名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:20:09.97ID:Cn1blU3f
善子「まだ考え中なのよ」

善子ママ「もう二年生になるのよ? あっという間に三年になっちゃうんだから」

善子「私は……」

善子ママ「進学? それとも就職?」

善子「まだ決まってないわ」

善子ママ「どっちにしても早く準備しておかないと、後で困るのは善子なんだからね」

善子「分かってるわよ……」

善子ママ「曜ちゃん、お母さんとそういう話しないのかしら」

善子「さあ? こう言っちゃ悪いけど、あんまり曜さんのお母さんって曜さんに興味ないわよね」

善子ママ「そんなわけないでしょう。本当は気になって仕方がないのよ」

善子「そうは見えないけどねぇ」

善子ママ「私にしょっちゅう電話で相談してくるんだから……」

善子「何よ、可愛いところあるじゃない」フフッ

善子ママ「でしょう?」クスクス

善子「……惚気?」

善子ママ「『曜に進路のことそれとなく聞いてみて』って私に頼むのよ」

善子「自分で聞きなさいよ。親なんだから」

善子ママ「そうよ。だから私は曜ちゃんから聞き出すつもりはないわ」

善子「曜さん、本当に迷ってるみたいだしね」

善子ママ「そうみたい。最近はため息ばかりしてるわ」

善子「明後日、答えが出るといいんだけど」

善子ママ「……」

善子「さて、私も片付けたら寝ようかしら。泳ぐのって結構疲れるのよね」スタッ

善子ママ「お風呂は?」

善子「プールでシャワー浴びてきたからいいわ」
0353名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:20:37.37ID:Cn1blU3f
善子ママ「そう。たまには湯船に浸かって休んだほうがいいわよ」

善子「そうね。これが終わったらゆっくり入らせてもらうわ」

善子ママ「……あんまり無理しちゃダメよ。曜ちゃんも、善子もね」

善子「分かってるわよ」

……

……

 翌朝

 善子の部屋

善子「……っ!」バサッ

善子(あぁ……やっぱり)

善子(寝る前ちゃんとトイレに行っておいたのに、ついてないわね)ハァ

コンコンッ

善子「ママ? ごめんなさい、シーツ今から洗えるかしら」

ガチャ

善子ママ「また? 今日は天気良くないって天気予報で言ってたわよ」

善子「じゃあ洗濯し終わったら乾燥機かけておいて」

善子ママ「電気代がかかるからダメ」

善子「部屋干し? 臭くなるから嫌よ……」

善子ママ「善子が漏らしたのが悪いんでしょう? 我慢しなさい」

善子「トイレは行ったわ! そもそもこれ、私じゃなくて曜さんのかもしれないじゃない」

善子ママ「曜ちゃんの匂いじゃないわね」

善子「うっ……」

善子ママ「いいから、シャワー浴びてらっしゃい」

善子「曜さんは?」

善子ママ「そういえば姿が見えないわね」
0355名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:22:01.66ID:Cn1blU3f
善子「私が寝るときはここにいたはずだけど……」

善子ママ「もしかして家に帰ったのかしら」

善子「何のために?」

善子ママ「教科書を取りに行ったとか」

善子「それはないわよ。そもそも曜さん、基本的に教科書は学校に置いたままだもの」

善子ママ「じゃあ着替えかしら」

善子「帰るなら普通、声をかけて帰るわよね?」

善子ママ「善子、曜ちゃんに何かした?」

善子「してないわよ」

善子ママ「……」

善子「えっ、まさかその、私が曜さんに変なことしたと思ってるの?」

善子ママ「善子、寝相が悪いから」

善子「あぁ、そっちね」ホッ

善子ママ「私も人のことは言えないんだけど」フフッ

善子「嫌われないように気をつけなさいよ」

善子ママ「寝ているときだもの、わざとじゃないわ」

善子「私も気をつけないと……」

善子ママ「別々に寝るくらいしか方法がないわね」

善子「そうなのよね……」ハァ

……

 学校

 二年教室

千歌「あれ? 今日曜ちゃん休みなの?」

梨子「え? そういえばまだ来てないわね」

千歌「もうチャイム鳴っちゃうよ。メールしても全然返事ないし……」
0357名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:23:56.48ID:Cn1blU3f
梨子「曜ちゃんのことだから滑り込みで間に合うかも?」

千歌「遅刻しない最終バスはとっくに過ぎてるよ」

梨子「ということは遅刻だね」

千歌「それか学校まで走ってくるかも? 曜ちゃんの足なら間に合うかな」アハハ

梨子「無理じゃないかな……。こんな信号もない田舎でバスより早く着くなんて」

千歌「善子ちゃんなら何か知ってるかも」スッ

 チカ@次期生徒会長:善子ちゃん、曜ちゃんのこと何か聞いてる?

梨子「二人は毎日同じバスで来てるんだっけ」

千歌「そうだよ。ラブラブだよねぇ」

梨子「ちょっと羨ましいな……」

千歌「ん? もしかして梨子ちゃん……」

梨子「ううん。いないよ」

千歌「ありゃ。これは本当にいない反応だ」

ピコンッ

 †堕天使ヨハネ†:えっ? 曜さんまだ来てないの?

 チカ@次期生徒会長:来てないよ。善子ちゃんと一緒かと思った

 †堕天使ヨハネ†:今日は一緒じゃなかったのよ。まあ、そのうち来るでしょ

千歌「思ったより薄情だね」

梨子「善子ちゃん何て?」

千歌「そのうち来るでしょ、だって」

梨子「まだ寝てたりして」

千歌「それはないと思うけどなぁ」

梨子「そうね。千歌ちゃんならともかく、曜ちゃんは早起きだから」

千歌「私だって隣の家の人が起こしてくれれば遅刻しないで済むんだけど?」

梨子「それは千歌ちゃんのためにならないと思う」
0358名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:24:28.37ID:Cn1blU3f
千歌「あーあ、私も曜ちゃんみたいな彼氏が欲しいよ」

梨子「彼氏?」

千歌「毎日起こしに来てくれて、美味しいご飯作ってくれて、私のお願い何でも聞いてくれるの……」ウットリ

梨子「それは善子ちゃんだからじゃない?」

千歌「幼なじみの私を差し置いて! 悔しいよぅ……」グスッ

梨子「はいはい」

千歌「あ、今のは『悔しいよう』と曜ちゃんの『よう』をかけてるのだ」エヘヘ

梨子「私も曜ちゃんに電話してみようかな」スッ

千歌「せめて突っ込んでくれても……」シュン

……

 一年教室

善子「……」スッ

 †堕天使ヨハネ†:曜さん、学校遅れるなら連絡しなさいよ

 †堕天使ヨハネ†:無断遅刻は内心に響くわよ。言われなくても分かってるわよね?

善子「はぁ……」

ルビィ「どうしたの? 元気ないね」

善子「あ、ルビィ……」

ルビィ「また曜さん?」

善子「……ええ」

ルビィ「善子ちゃん、曜さんと付き合い始めてから曜さんのことばっかりだね」

善子「そうかしら?」

ルビィ「花丸ちゃんと三人で出かけようって約束したのに全然行けてないよ」

善子「あぁ、そんな約束したような気もするわ」

ルビィ「花丸ちゃんずっとケーキ我慢してるんだよ。善子ちゃんと食べるまで我慢って」

善子「それ、ルビィじゃない?」
0359名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:24:55.69ID:Cn1blU3f
ルビィ「花丸ちゃんだよ。ルビィを食いしん坊にしないで」

花丸「誰が食いしん坊って?」

ルビィ「ピギィ!?」ビクッ

花丸「善子ちゃんはマルたちより曜さんの方が大切なんだよ。分かってあげようよ」

善子「二人のことも大切よ。ちょっと後回しにしちゃったのは謝るわ」

ルビィ「本当に悪いと思ってる?」

善子「思ってるわよ」

ルビィ「じゃあ今度の土曜日、ルビィたちにケーキおごってよ」

善子「え? それは無理」

ルビィ「何で!? その日も曜さんとデートとか言うの?」

善子「その日は……デートよりも大切な日なの」

花丸「デートよりも……?」

ルビィ「ってことは……」

善子「あー、勘違いしないでよね。二人が想像してるようなのはないから」

ルビィ「結婚式かなぁ」

善子「ないわよ」

花丸「ウエディングドレス、とっても似合ってたよ」

善子「あれはただのコスプレだから」

ルビィ「ルビィもウエディングドレス着たい!」

花丸「マルも……ちょっとだけ興味あるかな」エヘヘ

ルビィ「曜さん、ルビィたちとも撮ってくれるかなぁ」

善子「やめなさいよ。絶対喜びそうだわ」

花丸「でもお金かかるよね。ドレスのレンタル代だって安くないんじゃないかな」

善子「そういえばいくらかかったのかしら……。曜さんが出したから知らないわね」

花丸「善子ちゃん、曜さんに出させてばかりじゃダメだよ」
0360名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:25:23.21ID:Cn1blU3f
ルビィ「そうだよ。たまには善子ちゃんがおごってあげたら?」

善子「そういえばそうね。いつも出してもらってばかりで……」

ルビィ「ルビィたちにもさぁ」

花丸「ルビィちゃん」

善子「分かったわ。日曜日でよければご馳走してあげる」

ルビィ「みんなに? 善子ちゃん太っ腹!」

花丸「みんなってマルも?」

善子「ちょっと待って。ルビィとずら丸だけよね? いくらお小遣いが増えたからってそんなに何人もご馳走できないわよ」

花丸「お小遣い増えたの?」

善子「この前のテストで頑張ったからかしらね。特にお願いはしてないんだけど、いつの間にか増えていたわ」

ルビィ「いいなぁ……」

善子「ルビィはお小遣いなんていらないでしょ」

花丸「たいていのお店は顔パスできたりして」

ルビィ「それ使うとお姉ちゃんにバレるんだよ。何でだろう?」

善子「そりゃ家に請求が行くし……」

花丸「ルビィちゃん、カードとか持ってないの?」

ルビィ「カード? 電子マネーなら持ってるよ」

善子「それ使えばいいじゃない」

ルビィ「いつどこで何を買ったのかお姉ちゃんにバレるんだよ」

花丸「うーん、自由には使えないんだね」

ルビィ「鞠莉さんみたいにブラックカードがあればなぁ」

善子「えっ、鞠莉さんブラックカード持ってるの!?」

ルビィ「それか、小切手をさらさらーっと」カキカキ

花丸「高校生でそんなの持ってて大丈夫なのかな……」

ルビィ「はい、一千万円」つ
0361名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:25:50.77ID:Cn1blU3f
善子「いや、ルビィの家だと本当に効力ありそうだからやめて」

ルビィ「現金があれば何でも欲しいものが買えるのに」グシャ

花丸「ルビィちゃんがお金に物を言わせるような子だったら嫌かも」

善子「友達やめるわね」

ルビィ「酷いっ!」ポイッ

ゴミ箱「」ストッ

善子「まあいいわ。日曜日空けておいてね」

花丸「本当におごってくれるの?」

善子「ええ。但し一人五百円まで」

ルビィ「五百円……」

善子「何よ。不満なら自分で足しなさい」

花丸「お店はマルたちが決めてもいい? ルビィちゃんと話してたお店があるんだ」

ルビィ「あー、あそこね! 善子ちゃん絶対好きそう」

善子「私の知ってるお店?」

ルビィ「どうだろう? 最近できたばかりだからルビィは初めてなんだけど」

花丸「マルもないよ。一人でああいうお店行くのは勇気がいるよね……」

善子「私も今から楽しみだわ」フフッ

……

……

 放課後

 プール

善子(……)

曜「……」バシャ バシャ

曜「はっ……」バシャ

曜「ふぅ……だいぶ形にはなってきたけど、まだまだだな」ザバッ
0362名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:26:23.17ID:Cn1blU3f
善子「やっぱり、ここにいたのね」

曜「あ、善子ちゃん。おはよう」

善子「もう夕方よ」

曜「放課後の練習行けなくてごめんね。みんな怒ってなかった?」

善子「風邪引いたなんて言うからみんな心配してたわよ」

曜「ごめん。騙すつもりはなかったんだよ」

善子「何も学校休んでまで練習しなくても……」

曜「もう明日でしょ。最後の追い込みをしようと思ってね」

善子「また内申が悪くなったわ」

曜「私、欠席だけはしたことないんだ」

善子「……こんなことのために皆勤賞捨てたの?」

曜「こんなことって」アハハ

善子「あ……いや、ごめんなさい。私が無理言ってお願いしたのよね」

曜「ううん。善子ちゃんのためじゃないよ」

善子「……」

曜「やるからには中途半端な勝負はしたくない。今の自分を全部出し切って、それで負けたなら仕方ないけど」

曜「努力もしないで負けるなんて、そんなのカッコ悪すぎるもん」

善子「朝起きて曜さんの姿がなかったとき、きっとプールだろうなとは思ったわよ」

曜「ごめんね。声かければよかったかな」

善子「かけてたら学校休ませてない」

曜「だよね。声かけなくてよかった」

善子「……」

曜「今日一日練習してね、だいぶコツが掴めてきたというか……タイムの出し方を思い出してきた感じがするの」

善子「よかったじゃない」

曜「これでも日頃から運動はしてたからね。体力が落ちてなかったのが幸いかな」
0363名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:26:52.11ID:Cn1blU3f
善子「あまり無理しないでね」

曜「ん?」

善子「私が言うことじゃないか。でもママも心配してたから」

曜「ママにまで心配かけてたんだね私……」

善子「昨日の夜、曜さんフラフラだったじゃない」

曜「ちょっと頑張りすぎちゃってさ」アハハ

善子「いつもこのくらい頑張ってくれればね……」

曜「ママと同じこと言ってる」

善子「ママにも言われたの?」

曜「ううん。何でもないよ」

善子「……」

曜「さてと、休憩終わり!」

善子「待って。差し入れ持ってきたから……」ガサゴソ

曜「わざわざ? 何だか悪いなぁ」

善子「はい、飲み物とカロリーメイト」つ

曜「フルーツ味! 私フルーツ味好きなんだよね」エヘヘ

善子「どうぞ。溢さないように気をつけなさいよ」

曜「うん」パクッ

善子「……」

曜「……」モグモグ

善子「水泳、やっぱり楽しいでしょ?」

曜「どうかな」

善子「いい笑顔してるわ」

曜「そう? ありがと」パクッ

善子「やっぱり曜さん、本当は水泳やりたいんじゃない?」
0365名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:28:15.64ID:Cn1blU3f
曜「たまにはいいかもね」モグモグ

善子「ええ」

曜「……」モグモグ

善子「プールから出ると甘い物が食べたくなるわよね」

曜「何でだろうね? あと塩っぱいものも食べたくなる」

善子「それだけ汗をかいてるってことなのかしら」

曜「……」

善子「何かぼーっとしてるわね。疲れたなら帰ってもいいのよ」

曜「ううん」アハハ

善子「明日に備えて、今日はもう終わりにしたら?」

曜「せっかく来たんだし、善子ちゃんも泳ごうよ」

善子「え? 私はいいわよ」

曜「水着、持ってきてないの?」

善子「一応持ってはいるけど……どう見ても曜さん、疲れてるわよね」

曜「気分転換にさ、善子ちゃんに教えてあげるよ」

善子「……」

曜「嫌かな」

善子「いいの?」

曜「元はといえば善子ちゃんが水泳教えてって言うから来たんだよ。なのに私の練習に付き合わせちゃってるだけじゃん」

善子「私は楽しそうに泳ぐ曜さんを見られればそれでいいのよ」

曜「そんなに楽しそうに見える?」

善子「昨日泣きべそかいてたのが嘘みたいにね」

曜「あはは。昨日のは……恥ずかしいから忘れてほしいな」カァアア

善子「忘れないわ」

曜「いじわる」
0366名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:28:43.21ID:Cn1blU3f
善子「じゃあ私、着替えてくるから……」

曜「一人で着られる?」

善子「当たり前よ。もう何回も着てるんだからさすがにね」

曜「トイレも行ける?」

善子「行けるわよ!」

曜「そっか。成長したね」

善子「泳ぎの方だってかなり成長したわよ。ここ何日かはあんまり教わってないけど、八レーンでずっと練習してたから」

曜「たまにチラッと見てたけど可愛かったよ」アハハ

善子「可愛いって言えば何でも許されると思ってるでしょ……」

曜「明日終わったらさ、善子ちゃんの気が済むまで教えてあげるね」

善子「勝ったらね」

曜「負けても教えてあげるよ」

善子「勝った方に教わるわ」

曜「教えてくれるなんて約束したの?」

善子「してない。でも私には分かるの、一見いじわるだけど本当は優しい人よ」

曜「……」

善子「浮気じゃないから」

曜「それは分かってるよ。ただ……」

善子「何」

曜「教わってるうちに好きになったら困るなって」

善子「ないわよ」

曜「分かんないよ? あの子、キスすごい上手だから……もしかしたら善子ちゃんも」

善子「何で上手って分かるのよ」ジロッ

曜「中学の時……その、無理やりされたのに私」カァアア

善子「だああ!! 聞きたくないってば!!」バッ
0368名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2018/03/25(日) 19:30:08.71ID:Cn1blU3f
曜「私のことも好きでいてよね?」

善子「何言ってるのよ。曜さんのことが好きなんだもの、他の人なんて好きにならないわ」

曜「うん。何だか元気が出てきたよ」

善子「よかったわね。それじゃ、私は着替えてくるから」スタッ

曜「行ってらっしゃい」ノシ

……

 トイレ

善子(ふぅ……)スルッ

善子(学校休んだって聞いて心配したけど、元気そうでよかったわ)

善子(でも皆勤賞を逃したのはもったいないわね。私のせいで……)

チョロロ

善子(曜さん……また水泳やってくれるかしら)

チョロロ

善子(……)

「くんくん……これは善子ちゃんの匂いだな」

善子「よ、曜さん? 恥ずかしいからやめてよ」

「着替えるって言うから更衣室に行ったのかと思った」

善子「先にトイレに行っておこうと思ったの」

「……」

善子「曜さんもトイレ?」

「開けてよ」

善子「嫌よ。他の個室空いてるじゃない」

「他が空いてなかったら開けてくれるのかな」

善子「開けない。空くまで待つのね」

「漏らしたら責任取ってくれるの?」
0369名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:30:42.43ID:Cn1blU3f
善子「取るわけないでしょ。そもそも早めに行かなかった自分が悪いんだもの」

「プールの中だと尿意を忘れるって言うかさ……ふと気づいたときにはもう限界だったりするじゃん?」

善子「気持ちは分かるわ」

「分かる? じゃあ開けて」グイ

善子「開けない。何回も言わせないで」

「ふーん? だったら私も開けない」

善子「ふぅ……」フキフキ

「……」

善子「……」クイ

ジャー

「終わった?」

善子「ええ。お待たせ」グッ

善子「?」グッ

「……」

善子「ちょっと! 開けなさいよ」グイ

「開けないって言ったよね?」

善子「は? いいからそこ退いて」グイ

「退かないよ」

善子「ねぇ、私出られないんだけど?」

「出なくていいよ。ずっとそこにいれば」

善子「何でよ」

「善子ちゃんだって開けてくれなかったし……」

善子「あのねぇ、普通は誰かが使ってる個室には入らないのよ?」

「普通はね。でも私たち恋人でしょ」

善子「恋人とか関係ないから。個室って意味分かってる? 一人用の部屋のことよ」
0370名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:31:10.08ID:Cn1blU3f
「じゃあそこが善子ちゃんの部屋だね」

善子「私が使っているときはね。もう終わったから開けて」

「開けない」

善子「しつこいわね……。どうして今日はこんなにわがままなのよ」

「私いつもわがままだもん」

善子「いつにも増してわがままよ」

「だって……」

善子「いいから開けてよ。練習するんでしょう?」

「……」

善子「はぁ……。分かったわ、何が望みなの」

「……」

善子「私のおしっこ? 見ての通りたった今したばかりよ」

「……」

善子「まさか、次にしたくなるまでここを開けないつもり?」

「もう無理……」グスッ

善子「え?」

「本当に無理なんだよ……」ポロポロ

善子「ど、どうしたのよ急に。泣いてるの?」

「……」グスッ

善子「あの……」

「善子ちゃんが開けてくれなかったからだよ……」

善子「ん?」

「あ……」

チョロロ

善子「えっ」
0371名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:31:36.87ID:Cn1blU3f
「やだ……誰か来たら見られちゃう」

ジョボボ

善子「ちょ、ちょっと! そんなところでしないで!」

「ぐすっ……」

ジョボボ

善子「このっ……!」ドンッ

「きゃっ」フラッ

ゴッ!

善子「あっ……大丈夫?」

「」

善子「開けるわよ?」キィ

曜「」

善子「曜さんが開けないのが悪いんだからね? ほら、早く立って……」スッ

曜「」

善子「もしかして気絶してる?」ユサユサ

曜「」ショワァ

善子「わっ、寝ながらしないでよ! 私にかかってるってば!」

曜「」チョロロ

善子「あーもう! 面倒くさいったらありゃしないわ」グイッ

キィ

バタンッ

善子「はぁ……」スッ

ガチャリ

善子「ほら、座って」グイッ

曜「」ストンッ
0372名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:32:03.54ID:Cn1blU3f
善子「これはずいぶん派手にやらかしたわね……」

善子「とりあえず起きなさいよ」ユサユサ

曜「」

善子「寝たふりしても無駄よ。その手には乗らないんだから」ペチペチ

曜「」

善子「私に拭けって? ううん、曜さんが自分でやるべきだわ」

キィ

「ふぅ……トイレトイレ」

善子(だ、誰か来た)

「ん?」

善子「……」ドキドキ

「うわ、これ……誰か漏らしたのかな」

善子(私じゃないわよ! 漏らしたのは曜さんで……)

「まあいいや。そのうち誰か片付けるでしょ」ガチャ

バタン

善子(よりによって隣!? 他にも個室空いてるのに……)

チョロロ

「はぁぁ……♡」

善子「……」カァアア

ジョボボ

「気持ちいい……♡」

善子(独り言やめて! 聞いてるこっちが恥ずかしいわ!)

ジョボボ

「そういえば明日は曜と勝負かぁ」

善子(えっ?)
0373名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:32:43.32ID:Cn1blU3f
「私が勝ったら何でも言うこと聞いてくれるんだっけ」

ジョボボ

善子(もしかして……あの人?)

「って言われてもなぁ。今更曜に用なんてないし」

善子(曜に用……)クスッ

ジョボボ

「恋人の前で負けるなんて可哀想だし、手加減してやるかな」

善子(えっ?)

「あの子何て名前だっけ……」

善子(ちょ、ちょっと? 手加減ってまさか、わざと負けるってこと?)

「よ、よ……」

善子(ふざけないで! あなたそれでも現役の選手なの!? プライドとかないわけ!?)

「よし……よし何とかちゃんだった気がする」

善子(待って。真面目に勝負してくれなきゃ意味がないじゃない……)

「よしえちゃん! そうだ、思い出した。よしえちゃんだ!」

善子「ヨハネよ!」

「……え?」

善子(やばっ……!? いつものクセで)

「そうそう! ヨハネちゃん! 思い出したわ」

善子(私が隣ってバレた!? ってことはそこのお漏らしも私ってことに……)カァアア

「何で曜なんかと付き合ってるんだろ? もったいないなぁ」

善子(余計なお世話よ! 私が誰を好きになろうと私の自由でしょう?)

「もっといい人たくさんいるのになぁ」

善子(うるさいわね……)

「私とか」カァアア

善子「へっ?」
0374名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:33:13.77ID:Cn1blU3f
「やば。隣誰かいるんだった」

善子(……もしかしてバレてない?)

「ふぅ……」フキフキ

善子(何なのよこの人! もういいから早く出て行って!)

「明日、ヨハネちゃんも来るのかな」

善子(ええ、行くわ。だからあなたは早く出て行って)

「ヨハネちゃん」

善子(今度は何よ)

「ヨハネちゃん。可愛い名前」フフッ

善子(か、かわ……)カァアア

「どんな字書くのかな。夜に羽かな」

善子(ええそうよ。って何で分かるのかしら……)

「さてと、私も行かないと」スタッ

ガチャ

善子(やっと行ってくれたわね……)ハァ

「これ……」

善子(……)

「曜? もしかしてそこにいるのって曜なの?」

善子(違います!)

「さっきの独り言聞いてた……?」

善子(聞いてた! でも安心して、曜さんは気絶してるから!)

「……」

善子「……」

「開けるよ……」クイ

善子(は!?)

グッ

「開かない? 曜じゃないのか……」
0375名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:33:41.12ID:Cn1blU3f
善子(何その判別方法)

「えーと、誰か分からないけどごめんなさい。友達と間違えたんです」

善子(友達……)

「部屋の前のこれ……あなたの?」

善子(違う! って言うかもういいでしょ? 早く行ってよ……)

「……」

善子(ねぇ本当にいつまでいるのよ! これじゃ出られないわ)

コンコンッ

善子(ひいっ!?)ビクッ

「大丈夫? さっきから返事がないですけど……」

善子(返事したくないのよ! そのくらい察して!)

「あのっ、体調悪いんですか? 救急車呼びますか?」

善子(えっ)

「すみません、開けますね」グイ

善子(無理よ、鍵はちゃんと掛かってるわ)

「ふんっ!」ドンッ

善子(わぁ!? 何こじ開けようとしてるのよ!)

「とりゃっ!」ドシンッ

善子(いやいや、やめなさい! やめなさいってば!)

「このっ! いい加減に! 開けよ!!」ドンッ! バンッ!

善子(こ、このままじゃドアが壊れるわ……)

「くそっ、ダメだ……全然開かない」ハァ

善子(危なかった……)ハァ

「……」スッ

善子(そうよ、諦めてさっさと行きなさい)
0376名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:34:07.59ID:Cn1blU3f
「もしもし? ええ、救急車をお願いしたいんですけど」

善子「っておぉい! やめなさい!!」ガチャ

「え?」

善子「私よ! 中にいたのは私!」

「えっと……体調は大丈夫? 今救急車呼ぶから……」

善子「呼ばなくていいから! この通りピンピンしてるし!」

「あ……やっぱり大丈夫みたいです……。はい、すみませんでした……」ピッ

善子「はぁ……危なかったわ」

「隣にいたの、ヨハネちゃんだったんだ……」

善子「返事をしなくてごめんなさい。まさか通報するとは思わなくて……」

「私の方こそしつこくてごめん。あれじゃ返事したくても恥ずかしくてできないよね」

善子「ええ、まあ……」チラ

善子(曜さんにはまだ気づいてないみたいね……)ホッ

「ヨハネちゃんはどうしてここに? ってトイレに決まってるか」

善子「そうよ。トイレに決まってるわ」

「今日も曜と一緒?」

善子「え? きょ、今日は一人よ。その……自主練をしようと思って」

「そうなんだ。少しは泳げるようになった?」

善子「少しはね。まだ一人じゃうまく泳げないんだけど……」

「じゃあ私が教えてあげる」

善子「いいわよ」

「今のはどっちの『いいわよ』かな? 承諾? それとも拒絶?」

善子「遠慮」

「いいわよ」

善子「……」
0377名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:34:34.44ID:Cn1blU3f
「ヨハネちゃんの真似」アハハ

善子「全然似てないわね」

「うん。とりあえず出ておいでよ。もう服は着てるんでしょ?」

善子「ええ、着てるわ」

「これ、片付けるの手伝ってあげるから」

善子「あっ……」

「間に合わなかったんだよね。大丈夫、曜もよくやるから」

善子(何で人前で漏らしてるのよ!)

「蛇口にホース繋いでそのまま流すだけなんだけどね」ガサゴソ

善子「……」

「ほら、出ておいでよ」

善子「自分で片付けるからいいわ。もう行って」

「遠慮しないで」

善子「遠慮はしてない」

「じゃあ何」

善子「……恥ずかしいからに決まってるでしょう」

「……」

善子(私のじゃないのに……!)カァアア

「そっか。じゃあ……行くね」

善子「ええ。その……気持ちは嬉しいわ。ありがとう」

「私のこと好きになっちゃう?」アハハ

善子「勝手に言ってなさい」

ギィ

バタンッ

善子「ふぅ……やっと行ってくれたわ」ガチャ
0378名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:35:02.36ID:Cn1blU3f
「喰らえっ!」クイ

ジャー!

善子「きゃああ!!?」

「あはは! 引っかかった!」

善子「も、もう! 行ったんじゃなかったの!?」

「ってあれ? ヨハネちゃん水着じゃない……」

善子「あぁ……もう! 下着までびっしょりよ!」

「ごめん! てっきり水着だと思って……」

善子「もういいから……早く行って」シッシッ

「本当にごめんね? 代わりの着替えある?」

善子「ないわよ! 帰りまでに乾くかしら……」

「私のでよければ貸すよ! 大丈夫、曜と違って胸が小さいからヨハネちゃんでも着られるよ」

善子「余計なお世話!」

「……」

善子「はぁ……」

「このあと泳いでいくんだよね?」

善子「ええ。水着に着替えて、その間に服は干しておくわ」

「お詫びになるか分かんないけど……今日は私が水泳教えてあげる」

善子「え? お詫びなんていいわよ」

「お願い。私にはそれくらいしかできないから……」

善子「本当に気にしないで。次やったら怒るけど」

「だけど……このままじゃ私が曜に殺されちゃうよ」

善子「いや、殺しはしないでしょ……」

「ヨハネちゃんなら殺す?」

善子「殺さない。冗談でも殺すとか言わないで」
0379名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:35:31.09ID:Cn1blU3f
「えぇ……」

善子「何よ」

「いや、何でもないよ? 曜は優しいからそこまでしないだろうけど……」

善子「大丈夫よ、あなたにやられたってことは言わないから」

「……」

善子「あなたも余計なこと言わないでよね?」

「うん」

善子「はい、もう終わり。片付けは……もう十分流れたみたいね。私も手を洗ったら行くから」

「……」

善子(とりあえずドアは閉めて……っと)キィ

善子(まさか中を覗いたりしないわよね?)チラ

「やっぱり教えさせて。ヨハネちゃん、絶対筋がいいと思うし……すぐ泳げるようになると思う」

善子「はいはい。ありがとう」クイ

ザー

「……」

バシャバシャ

善子「明日あなたと勝負した後、曜さんがまた教えてくれることになってるから」

ゴシゴシ

「じゃあ今日だけ」

善子「……」クルッ

「……」

善子「私、これでも曜さんの恋人なのよ? 気持ちは嬉しいけれど遠慮するわ」

「あの……そうじゃなくて」

善子「私のこと好きって言ってくれるのは正直嬉しい。でもごめんなさい」

「そうじゃなくてね?」
0381名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:37:05.56ID:Cn1blU3f
善子「分かったらもう行っていいわよ」クルッ

ザー

「下着、見ちゃったから」

バシャバシャ

善子「え? 何?」

「ヨハネちゃんの下着……見ちゃったから」

キュッ

善子「何か言った? 水の音で聞こえなかったわ」フキフキ

「ヨハネちゃんの下着!!」

善子「私の下着がどうしたのよ」

「か、鏡見てみなよ……」

善子「え……」クルッ

鏡「……」スケスケ

善子「う、嘘」カァアア

「意外と派手な下着なんだね。でも似合ってる」

善子「早く言いなさいよ! バカ!!」バンッ

「わぁあ!? だからごめんってば!」

善子「曜さんに言いつけてやるわ! あなたにホースで水かけられて下着見られたって!」

「言わないで! 水泳教えてあげるから!」

善子「曜さん怒るでしょうね!? 土下座したって絶対許してくれないわよ!」

「ひぇ……」ビクビク

善子「まさか私が制服って知っててわざと……?」

「ない! ないよ!! 曜じゃないんだから!」

善子「……」ジー

「……」ビクビク
0382名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:37:32.54ID:Cn1blU3f
善子「それもそうね」

「うん……。落ち着いた?」

善子「まあ、どうせ更衣室で見られてるんだし……いいわよもう。曜さんには言わないであげる」

「本当?」

善子「ええ。だからあなたも絶対に余計なこと言わないで。約束よ」

「約束」

善子「分かったらもう行ってよね。練習に戻らなきゃいけないんじゃないの?」

「えっ? あぁ!! 早く戻らないと怒られちゃう!」ダッ

善子「走ると危ないわよー」

「ありがと! じゃあまたね!」ノシ

善子「はいはい」ノシ

ガチャ

バタンッ

善子「……」

善子「はぁ……。本当に疲れたわ」

善子「何なのよあの人……曜さんと同じくらい自分勝手ね」

「そうだよ。あの子は昔からああいう子だよ」

善子「そうなの? 曜さんの周りって本当に変な人ばっかり」

「まあね」アハハ

善子「……ってええ!!?」ガタッ

ギィ

曜「あの子には気をつけないとダメだよ」

善子「い、いつから起きて……」

曜「すごい音で誰かがドアを壊そうとしてくるんだもん。さすがに気がつくよ」

善子「どうして教えてくれなかったのよ!」
0383名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:38:14.54ID:Cn1blU3f
曜「空気を読んで黙ってたんだよ。善子ちゃんも私と個室で二人きりだったなんて知られたくないでしょ?」

善子「それはそうだけど! おかげでドアの前で私が漏らしたことになっちゃったじゃない!」

曜「これに懲りたら次からはすぐにドア開けてね?」

善子「はぁ!? 何で私のせいになるわけ!?」

曜「善子ちゃんがドアを開けてくれてさえいれば、こんなことにはならなかったんだよ」

善子「結果的にはね! でも元はと言えば曜さんが早めにトイレ行かなかったのが悪いわ」

曜「やっぱり私の言った通りになったか」ハァ

善子「何よ、言った通りって」

曜「あの子に関わるとろくなことがないよ。前に言ったよね?」

善子「そんなの聞いてない」

曜「じゃあ今言うね。あの人とはもう喋らないで」

善子「何よ、ヤキモチ?」

曜「……」

善子「あの人、曜さんに勝ったときのお願い決まったみたいよ」

曜「何かな」

善子「私とデートしたい、ですって」クスクス

曜「……」

善子「もちろんいいわよって言ったわ。曜さんが負けるはずないものね?」

曜「わ、私……」

善子「あっ、一日だけって言うの忘れたわ……。もしこの先ずっとって言われたらどうしよう」

曜「……」

善子(ふふ……。そんなこと言われてないわよ)ニヤニヤ

曜「私……行かなきゃ」

善子「え? 私に水泳教えるんじゃ……」
0384名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:38:49.70ID:Cn1blU3f
曜「ごめん、そんな時間ない」タッ

善子「何よ! 曜さんが教えないならあの人に教わるわよ!」

ガチャ バタンッ

善子「……」

善子(まあ、本気になってくれたならいいか……)フゥ

……

 プール

曜「はぁっ、はぁ……」ザバッ

曜(こんなんじゃ勝てっこない。かなりタイムは縮まってきたとはいえ相手は全日本強化選手……)

曜「くそっ!」パーン!

曜「いったぁ……」ヒリヒリ

「あれ? 曜いたの?」

曜「あっ……ひ、久しぶりだね」

「ヨハネちゃん、一人で練習しに来たみたいだよ」

曜「そ、そうなんだ? 知らなかったよー」アハハ

「曜が教えてくれないからって一人で来たみたい」

曜「……」

「私が教えてあげるって言ったんだけどね……」

曜「やめてよ」

「何で? あの子、かなり筋がいいと思うよ。私が教えればすぐ泳げるようになるんじゃないかな」

曜「善子ちゃんには手を出させないから」

「手を出すって……。本当にそういう目では見てないってば」

曜「そんなことどうでもいい!」

「……どうでもいいの?」

曜「いや、よくはないかな……。でも今はそれどころじゃないよ」
0385名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:39:19.00ID:Cn1blU3f
「というと?」

曜「……」

曜「とにかく、善子ちゃんには私が教えるって約束したから」

「だったら教えてあげなよ」

曜「い、今はその」

「明日の勝負のため?」

曜「そうだよ。善子ちゃんの前でカッコ悪い負け方だけはできない」

「ふーん……」

曜「もういい? 私これから練習しないとなんだ。さすがの私でも一年のブランクは厳しいから」

「……」

曜「……」ザバッ

バシャバシャ

……

 更衣室

善子「はぁ……。こんなにびしょ濡れで乾くわけないわね」

善子「気持ち悪いけど帰りもこれ着るしかなさそう」

善子「……」

善子(曜さんに着替えを取りに行かせようかしら?)

善子(そうよ、元はと言えば全部曜さんのせいだもの)

善子(とりあえず着替えましょうか)ハァ

シュルッ

善子「……」

トスッ

善子「……」

善子(本当に下着までびっしょりね)
0387名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:40:52.93ID:Cn1blU3f
ヌギッ

善子(濡れて……引っかかって脱ぎづらいわ)グイ

善子「っと! 危ない」フラッ

善子「……」ハァ

善子(さすがに下着は干しておけないわね……)

鏡「……」

善子「きゃっ、誰っ!?」ビクッ

鏡「……」

善子「鏡か」フゥ

善子「……」ガサゴソ

善子(この水着もすっかり馴染んできたわね)

善子(最初は一人で脱ぎ着できなかったけれど……)スッ

スルッ

善子(慣れれば簡単なものだわ)

シュルッ

善子(帽子を被って)グイ

善子(ゴーグルもつけて)キュッ

鏡「……」

善子(こうして見ると本当に選手になった気分)クルッ

鏡「……」クルッ

善子(曜さんみたいに泳げたら気持ちいいでしょうね)

鏡「……」

善子(このまま教われば私も泳げるようになるかしら……)

鏡「善子ちゃん」

善子「何よ」
0388名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:41:20.48ID:Cn1blU3f
鏡「『鏡が喋った!』って驚かないんだね」

善子「赤ちゃんじゃないんだから……」

鏡「……」

善子「着替えなら見ての通り終わってるわ。わざわざ来なくてもよかったのに」

「その水着、似合ってるよ」

善子「え? あぁ、うん。最初は脱ぎ着しにくいって思ったけど泳ぐのにはいい感じだわ」

「曜がくれたの?」

善子「ん? 自分でくれたのに忘れるって……」クルッ

「あれ? もしかして曜だと思った?」

善子「またあなたなの? いい加減しつこいわね……」

「声で気づかないなんて、曜が聞いたら泣くよ」

善子「帽子とゴーグルのせいで聞こえづらいのよ。仕方ないわ」

「そっか。言われてみればそうだ」アハハ

善子「練習はいいの?」

「えっと……うん、それよりもさ」

善子「……?」

「水泳、本気でやってみる気ない?」

善子「は?」

「ほら、ヨハネちゃんって絶対筋がいいし……興味もありそうだし、どうかなって」

善子「……」

「曜なんかに教わるよりずっと上手くなるよ」

善子「曜さんのこと悪く言わないで」

「あぁ、そういう意味じゃないよ。ちゃんとプロのコーチに教わった方がいいって意味」

善子「……」

「ヨハネちゃん、全然運動してないでしょ? 水泳なら運動不足の人でも体を傷めにくいし……」
0389名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:42:57.23ID:Cn1blU3f
善子「……やっぱり私太った?」プニ

「え? ごめん、この前会ったときと同じかな」

善子「あ、いえこっちの話よ」カァアア

「間違ってもダイエットなんてしちゃダメだよ。今だって痩せすぎなくらいなんだから」

善子「痩せすぎってことはないわよ。見ての通り……筋肉がないだけで」

「そう。水泳なら全身にバランスよく筋肉が付くし、無理せず自然と体力も付くからヨハネちゃんにピッタリだと思う」

善子「通信教育の漫画みたいなことを言うのね」

「まあ、急に決めろなんて言わないよ。もし興味があったらどうかなって話」

善子「私、選手になんてなれないわよ?」

「ヨハネちゃん、選手になりたいの? それはそれで歓迎するけど……」

善子「え? 選手に誘ってるのかと思ったわ」

「まさか。いきなりあんな厳しい練習したら水泳なんて嫌いになっちゃうよ」

善子「そんなに厳しい?」

「まあね。特に私みたいに強化選手にもなるとね……」

善子「……」

「たまにね、もう水泳なんてやめちゃいたくもなるんだ」アハハ

善子「そう……」

「明後日、ここで水泳教室の無料体験やってるからさ。水着と帽子とゴーグルさえあれば本当に無料だからぜひ!」

善子「え? そうね、無料なら来てみようかしら……」

「うん! 待ってるからね」ノシ

善子「ええ」ノシ

「それじゃ、私は行かないと」タッ
0390名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:43:28.80ID:Cn1blU3f
善子「……」

善子(水泳かぁ……。学校の授業では楽しいなんて思ったことなかったけれど)

善子(ちょっとやってみるのもいいかも……)

善子(日曜日ね、どうせ曜さんと来るなら曜さんも一緒に)

善子(……)

善子(曜さんはバリバリ泳げるから対象外かしら?)フフッ

……

……

 夜

 善子の家 リビング

善子「ただいまー」

善子ママ「あら、お帰り。どう? 練習の方は」

善子「まあまあってところね。もう少しで泳げるようになりそう」

善子ママ「え? 曜ちゃんのことよ」

善子「あぁ、うん。曜さんは……相変わらずいいペースでタイムを縮めてるわ。明日、本当に勝てちゃうかも」

善子ママ「そう……」

善子「相手も本気で勝負してくれるといいんだけど」

善子ママ「相手の子って……確か全日本強化選手に選ばれてる子よね」

善子「そうよ。よく知ってるじゃない」

善子ママ「中学の時、曜ちゃんに次いでいつも準優勝していたから」

善子「でも曜さんに勝ったことは一度もないって言ってたわ」

善子ママ「……」

善子「何よ。今回は負けるかもしれないって? そんなの私だって分かってるわ」

善子ママ「善子、どうしてこんなことするのよ……」

善子「決まってるでしょ? 曜さんにもう一度水泳をやってもらうためよ」
0391名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:44:58.20ID:Cn1blU3f
善子ママ「ねぇ、前にも言ったけれど……それは本当に曜ちゃんが望んだことなの?」

善子「な、何よ。そんなの本人じゃなきゃ分からないわ。曜さんですら迷ってるみたいだし」

善子ママ「……」

善子「だから明日、本気で勝負をしてもらうのよ。勝っても負けても、曜さんはもう逃げられないわ」

善子「水泳をやるのかどうか……ううん、やりたいのかどうかがはっきりするはず」

善子「って、もう曜さんの中では答えが出てるかもしれないわね」

善子ママ「答え?」

善子「私があんな無茶なお願いしたのに、練習してる曜さんはいつになく真剣な顔して、それでも楽しそうで……」

善子「やっぱり曜さんは水泳をやるべきなのよ」

善子ママ「……」

善子「あ、それとね。今度の日曜日に水泳教室の無料体験があるらしいの。曜さんと参加してみてもいい?」

善子ママ「え? いいけど……」

善子「一応未成年だから保護者に申込み書を書いてもらわないといけないのよ。ここ、サインしてくれるかしら」サッ

善子ママ「水泳、やりたいの?」

善子「教室に通わせてだなんて言わないわよ。お金もかかることだし」

善子ママ「ううん。善子はやりたいの?」

善子「興味はあるわ」

善子ママ「そう。それじゃ私も見に行こうかしらね」
0392名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:45:25.72ID:Cn1blU3f
善子「え? ママは来なくていいってば」

善子ママ「そういうわけにはいかないわよ。もし入会するとなったら詳しい話を聞かないといけないもの」

善子「まだ決まったわけじゃ」

善子ママ「それに、善子が泳ぐところを見てみたいから」

善子「……」

善子ママ「ここにサインをすればいいのね?」

善子「ええ。お願い」

善子ママ「……」カキカキ

善子ママ「はい」つ

善子「ありがと。もう一枚書いてもらってもいいかしら」

善子ママ「どうして?」

善子「こっちは曜さんの分よ」

善子ママ「曜ちゃんのも私が書くの?」

善子「大人なら親じゃなくてもいいのよ」

善子ママ「うーん……。曜ちゃんからお母さんにお願いするべきじゃないかしら」

善子「……」

善子ママ「善子が曜ちゃんの名前を勝手に使って申し込まないとも限らないし」

善子「そんなことしないわよ」

善子ママ「本当?」

善子「本当よ」
0393名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:45:52.47ID:Cn1blU3f
善子ママ「じゃあ信じるわ。明日出すには今日書かないと間に合わないものね」カキカキ

善子「ありがと、ママ」

……

……

 次の日 土曜日

 プール前

善子「ったく遅いわね……」イライラ

善子「まさか逃げたんじゃないでしょうね?」

「おはよう、ヨハネちゃん。今日も練習?」

善子「え? 曜さんを待ってるのよ。あなたも今日は本気でお願いね」

「……」

善子「何よ、本気出さなくても勝てちゃう?」

「いや……」

善子「だとしても本気でやって。そうじゃないと意味がないわ」

「……」

善子「勝ったら曜さんが何でも言うこと聞くって約束よ。本気でやってよね」

「ヨハネちゃん……酷いことするね」

善子「……? あなたも何か知ってるの?」

「知ってるも何も……」

善子「曜さん、昔のこと何にも教えてくれないのよ。ママは何か知ってるみたいだったけど……」
0394名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2018/03/25(日) 19:46:20.70ID:Cn1blU3f
「……」

善子「ねぇ、一体何があったのよ? 曜さんが水泳やめたことと何か関係があるんでしょう?」

「ヨハネちゃん、ごめん。もう行かなきゃ」タッ

善子「あっ、ちょっと! 待ってってば!」

タッタッ

善子「とにかく本気でやってよね! じゃないと言うことなんて聞かないから!」

善子「……」

善子「何なのよもう」

……

 プールサイド

曜「お待たせ! 寝坊しちゃったよ」タッタッ

善子「あ、やっと来たわ。ビビって逃げたのかと思った」

曜「まさかぁ」アハハ

「準備体操とウォーミングアップが終わったら声かけて。それまで練習してるから」

曜「う、うん……」

善子「忙しいのに無理言ってごめんなさい。助かるわ」

「えへへ」

曜「……」

善子「何ぼーっとしてるのよ。準備体操して始めるわよ」

曜「そ、そうだよね。ストレッチ手伝ってくれる?」
0395名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:46:48.00ID:Cn1blU3f
善子「もちろん」

曜「……」

善子「ほら、シャキッとしなさい!」

曜「負けても嫌いにならないって約束だよね」

善子「ならないわよ。本気でやって負けたならね」

曜「うん……」

善子「言っとくけど、私にバレないように程よく手を抜こうなんてやめてよ。曜さんの嘘なんてお見通しなんだから」

曜「分かってるよ」

善子「大丈夫、私が見てる限りかなりいい感じに仕上がってるわ。自信を持って」ポンポン

曜「……」

善子「……」

……

……

「準備はいい?」

曜「い、いつでも」

善子「頑張って。応援してるわ」

「確認しておくね。勝負は五十メートルプールを折り返しで百メートル。約束どおりハンデはなし」

曜「うん」

善子「二人とも、本気でやってよね。手を抜いたら本当に怒るから」

「こわ……」
0396名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:47:15.47ID:Cn1blU3f
曜「スタートの合図は……善子ちゃん、お願いしてもいい?」

善子「え? でも何も持ってないわよ」

「号砲の代わりに手を叩いてくれればいいよ」

善子「それならいいわ」

曜「すぅ……はぁ……」

善子「曜さん、緊張してるの? さっきから深呼吸ばっかりしてるわね」

曜「別に」

「頑張りなよ、恋人の前なんだから」

善子「そ、そうよ。負けたらタダじゃおかないわよ」

曜「すぅ……」

善子「じゃあいくわよ……」スッ

善子「位置について、用意……」

善子「……」パンッ

曜「……」

「……」

善子「聞こえなかった? もう一度やらせて」

善子「用意……」スッ

パンッ!

曜「っ!」ピョンッ

「……」ピョンッ
0397名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:47:47.56ID:Cn1blU3f
ザバッ

曜「はぁっ……」バシャ バシャ

「ふっ……」バシャ バシャ

善子(ふぅ……これでようやく)

曜「……」バシャ バシャ

「はっ……」バシャ バシャ

善子(中々いいペースね。ちょっと遅れてるけど、曜さんもついていけてるわ)

曜(速い……っ)バシャ バシャ

(嘘……ここまでついてくるなんて)バシャ バシャ

曜(負けられないよ……絶対に)バシャ バシャ

(本気出さないとヤバいかも……)バシャ バシャ

善子(もうすぐ折り返しね。ちゃんと二人とも真面目に勝負してくれてるみたい)

(ここまでは私の勝ち……このままいけば)クルッ

曜(まだ勝てる……!)クルッ

善子(残り半分ね。曜さんはここから追い上げられるかしら)

(悪いね、本気出さないとヨハネちゃんに怒られちゃう)バシャ バシャ

曜(……)バシャ バシャ

善子「ん? 曜さん……」

「くっ……」バシャ バシャ

曜「……」バシャ バシャ
0398名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:48:14.56ID:Cn1blU3f
善子「これなら勝てるかも……?」

「はぁっ……」バシャ バシャ

曜「……」バシャ バシャ

善子「頑張って! 曜さんなら勝てるわ!!」

(負けてっ……たまるか……!)バシャ バシャ

曜「……」バシャ バシャ

善子「もう少し! もう少しよ!!」

(こんなやつに! 私が!!)バシャ バシャ

曜「……」バシャ バシャ

善子「抜いた! やったわ曜さん!!」

曜「……っ!」ピトッ

「くそっ……!」ピトッ

善子「やったじゃない! 曜さん! まさか勝つなんて思わなかったわ!」ピョンピョンッ

曜「……」

「折り返してからは私も本気だったんだけど……まさか本当に負けるなんて」ハァ

善子「でも驚いたわ。折り返しから一度も息をしないなんて! すごい肺活量ね」

「えっ? まさか本当に……」

曜「勝ったよ……。善子ちゃん、約束通り……」フラッ

善子「ええ! 何でも言うこと聞いてあげるわ!」

「ヨハネちゃん、曜の様子が変だ」
0399名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:48:41.56ID:Cn1blU3f
曜「真っ暗で……何も」

善子「え……?」

曜「……」ザブッ

「曜! どうしたの!? ヨハネちゃん、手伝って!」グイ

善子「曜さん? どうしたのよ、そんなに嬉しいの……?」

曜「」

「これは……マズいかも」ザバッ

善子「しっかりしなさいよ。いくら嬉しいからって気絶しなくても」グイ

「医務室へ運ぼう。手伝ってくれるよね?」

善子「え? ええ……」

……

 医務室

曜「」グッタリ

先生「どうしたの? 顔色が悪いわよ……」

善子「ちょっと気絶してるだけよ。すぐ目覚めるわ」

「先生、過換気は放っておけば治るよね?」

先生「過換気? ええ、大丈夫よ」

善子「かかんき? 何よそれ」

「曜、泳ぐ前に深呼吸してた……」

善子「してたわね。緊張してたんでしょう」
0400名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:49:19.20ID:Cn1blU3f
先生「一応、状況を聞かせてくれる?」

「……」

善子「曜さんはこの人と百メートルの勝負をしたのよ。勝った方は負けた方に何でもお願いできるの」

先生「そう」

善子「最初は体半分くらい遅れてて負けそうだったんだけど……後半からどんどん追い上げて行って」

善子「ゴール前で抜いたの! カッコよかったわ……」ウットリ

先生「……」

「私も本気で泳いでたからずっと見てたわけじゃないんだけど……折り返した後の曜、たぶん一度も息してなかったと思う」

先生「五十メートルを息継ぎなしで? 本当なの?」

善子「本当よ! 普通ならあり得ないでしょうね。でも曜さんはできたの!」

先生「まさかその途中で溺れて……」

善子「いいえ! 曜さんは泳ぎきったわ。その後も私と話したし……」

「……」

善子「その後急にフラフラし始めて気を失っちゃったみたいなの。でも曜さんが気を失うなんてよくあることだから」

「よくあるんだ……」

善子「嬉しすぎるとね、つい」フフッ

先生「じゃあ……溺れたわけではないのね?」

善子「ええ。一瞬水に沈んだけどすぐ助けてもらったから」

「はい。すぐ引き上げたので溺れてはいない……はずです」
0401名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:49:52.06ID:Cn1blU3f
善子「それはそうと、あなた敬語も話せるのね。ぶっきらぼうな喋り方しかできないのかと思ったわ」

「先生にはいつもお世話になってるから……」

先生「……」

善子「ねぇ、曜さんもいい加減に起きなさいよ」ユサユサ

曜「」ユサユサ

先生「ちょっといい?」スッ

善子「ええ。でもたぶんすぐ起きると思うわよ」

先生「……」スッ

曜「」

先生「瞳孔が開いてる……」スッ

「せ、先生……やっぱり救急車呼びますか?」

善子「いいってば! あなたすぐ救急車呼びたがるのね」

先生「そうね……一応呼びましょうか。ただの過換気だといいんだけど」

ガチャッ

善子ママ「はぁっ……」ゼェゼェ

善子「あ、ママ。心配して来てくれたの?」

「せ、先生!?」ガタッ

先生「何?」

「あ、いえ……こっちの先生です」

善子ママ「私が車で連れて行くわ。救急車呼ぶより早いでしょ」ハァハァ
0402名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:50:20.68ID:Cn1blU3f
「私が運びます!」グイ

先生「大丈夫? 私も手伝うわね……」グイ

善子「ちょ、ちょっと! どうしたのよ? 曜さんは溺れてないし窒息もしてないわよ」

善子ママ「善子! 曜ちゃんはね……!」

「先生、急いで!」

先生「ええ」

善子ママ「車! こっちよ!」

善子「……」

ガチャッ バタンッ!

善子「……」

善子「いや、大げさだってば」

善子「息もしてたし心臓も動いてたし、溺れてすらいないのよ?」

善子「……」

タッ

……

……

 沼津総合病院

ピッ ピッ……

曜「……」

「……」
0403名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:50:49.14ID:Cn1blU3f
善子ママ「本当によかったわ……命に別状がなくて」ホッ

「ごめんなさい、先生」

善子ママ「あなたは悪くないわ。曜ちゃんと勝負しただけだもの」

「やっぱり私……手加減してあげた方がよかったんでしょうか」

善子ママ「それじゃ曜ちゃん怒るんじゃないかしら」

「ヨハネちゃんに殺されちゃうかな」

善子ママ「ヨハネ?」

「あぁ、先生の娘……」

善子ママ「善子と知り合いなの?」

「よしこ? そういえば曜もヨハネちゃんのことよしこって呼んでたような」

善子ママ「まあ、あの子がそう言ったならそれでいいわよ」

「……」

善子ママ「どういう経緯だったのか聞いても?」

「経緯も何も、私は曜と勝負しただけだよ」

善子ママ「でしょうね。でも善子が絡んでるのは知ってるのよ。その辺り、何か聞いてない?」

「私が勝ったら、曜が何でも言うことを聞いてくれるって言った」

善子ママ「曜ちゃんが?」

「うん。すごい自信があるみたいな口ぶりだった……」

善子ママ「そう……。あなたは現役の選手で、曜ちゃんは一年もプールを離れていたのに」

「でも曜の手、震えてたよ」
0404名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:51:56.21ID:Cn1blU3f
善子ママ「そうなの?」

「きっとヨハネちゃんの前でカッコつけたかったんだと思う。それかヨハネちゃんに言わされたか」

善子ママ「……」

「でも、私だって今更曜にお願いしたいことなんてないよ。そうだね……ジュース一本おごらせるくらいかな」アハハ

善子ママ「曜ちゃん、どうしてもあなたに勝ちたかったのね」

「私も驚いたよ。たったの一週間であそこまでタイムを縮めてくるなんて」

善子ママ「昨日は学校を休んでまで練習してたって聞いたわ」

「えっ……」

善子ママ「……」

「これだけ泳げるならもう一度やればいいのに」ボソッ

善子ママ「……あなたも知っているでしょう?」

「あ……当たり前だよ」

善子ママ「曜ちゃんはまた同じことをしたのよ」

「……」

善子ママ「過換気の怖さはあなたも知っての通り。過度な深呼吸で血中酸素濃度を高めて」

善子ママ「呼吸の回数を減らせるから……その分タイムを縮められるわ」

「まさか一度もしないなんて思わなかったよ。あのときだって何回かはしてたはず」
0405名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:53:35.58ID:Cn1blU3f
善子ママ「血液がアルカリ性になって、呼吸中枢は呼吸を止める。呼吸が止まればすぐに大脳皮質は酸欠になるわね」

善子ママ「普通はそこで酸素を欲しくなって、呼吸中枢とのせめぎ合いで過呼吸になるんだけど」

善子ママ「曜ちゃんはどういうわけか最後まで呼吸を止め続けた。その上全力で泳ぎ続けるなんて」

「そんなことできるわけない。呼吸なんて止めたくても止め続けられないし……無理に止めれば手足が痺れて動かなくなるよ」

善子ママ「でも曜ちゃんはやったのよ」

「私だって見てないから分かんないよ。私やヨハネちゃんが気づかなかっただけで一度や二度はしたんじゃないの」

善子ママ「私は上の観客席から見ていたわ。半分を過ぎてからは曜ちゃん、本当にただの一度も息継ぎをしなかった」

「……マジ?」

善子ママ「マジよ。大マジ。だから慌てて医務室まで走っていったの」

「……」

善子ママ「過換気で死ぬ人はいないわ。溺れない限りはね」

「溺れてない」

善子ママ「ええ。だから大事には至らないとは分かっていたつもりよ」

「曜はよく気を失うってヨハネちゃんが言ってたけど、本当?」

善子ママ「そんなわけないでしょう。善子がそんなこと言ったの?」
0406名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:54:52.84ID:Cn1blU3f
「うん。だから心配しなくていいって」

善子ママ「それはたぶん……善子が曜ちゃんを気絶させているのね」

「気絶させるってまさか……」

善子ママ「無理をさせすぎたときよ」

「あぁ、そういうこと。ヨハネちゃんが日常的に気絶させてるのかと思った」

善子ママ「え?」

「何でもない」

善子ママ「そう……」

(首を締めてたなんて言えないよなぁ……)ハァ

善子ママ「あの時は自己ベストを更新するため。今回は……あなたに勝つためよ」

「……」

善子ママ「過換気は普通はしばらく休めば回復するけれど、曜ちゃんはちょっとやり過ぎたわね」

「あの時……曜がゴール目前で溺れかけたとき、私も見てたんだ」

善子ママ「その時もあなたが助けてくれたって聞いたわ」

「まあね。それで曜は、もう水泳をやめるって言った」
0407名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:55:27.86ID:Cn1blU3f
善子ママ「私も……後から聞いたのだけれど、自分の限界を感じたって言っていたらしいわね」

「ここまでやっても世界記録に届かないならやめるって」

「バカだよ曜は。そのときのまだ子どもの体でどうやって大人の出したタイムに勝てると思ったんだか」

善子ママ「自分の中身の成長に体がついていかなかった……いえ、曜ちゃんが背伸びをしすぎたのかしら」

「それだけ曜は期待されてた。最年少でオリンピックに出られるって言われてたくらいだし」

善子ママ「ええ」

「私は曜を止めなきゃいけなかったのに」

善子ママ「……」

「ヨハネちゃんを見てて思ったの。昔の私みたいだなって」

「曜の泳いでる姿が好きで、頑張ってる姿が好きで」

「それを応援してあげたくて……」

「曜のことが大好きだった」

善子ママ「そうよね……。私も気づいていたわ。あなたは曜ちゃんのことが好きだった」

「あの時の曜は……本当はあんたのために頑張ってたんだよね」

善子ママ「そんなことないわよ。私も期待はしていたけれど……」
0408名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:55:54.89ID:Cn1blU3f
「あんたに認めてほしくて曜は……」

善子ママ「世界記録を目指してるって聞いたとき、私は『曜ちゃんならきっとできるわ』って言ったわ。でもそれは今すぐにって意味じゃなくて」

「曜は今すぐにだと思ったみたいだよ」

善子ママ「そんな無茶なこと言うわけないじゃない」

「そうすれば大人として見てくれると思った」

善子ママ「……嘘よね?」

「本当だよ」

善子ママ「そ、そんなの……私は聞いてない」

「気づいてたんだよね?」

善子ママ「本当に知らないわよ!」

「何で気づいてやらなかったんだよ!! あんたは曜と付き合ってただろ!!?」バンッ

善子ママ「っ……」ビクッ

「あんたのせいだからな!! あんたさえいなけりゃ曜は……今ごろ私と一緒に強化選手に選ばれてた!」

善子ママ「……」

「まだ知らないふりすんのかよ」

善子ママ「本当に……知らなかったのよ」

「いいよもう。あんたはやっぱりクソババアだ」
0409名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:56:26.11ID:Cn1blU3f
ガラッ

善子ママ「……」

善子「クソババアですって?」

「よ、ヨハネちゃん……」

善子「またママのことババアって言ったわね?」ガシッ

「あぐっ……」

善子ママ「善子、やめなさい」

善子「今すぐ土下座して謝りなさい。じゃないと殺すわよ」グイッ

「ぐぁ……」

善子ママ「善子!」ガシッ

善子「放して! こいつはママのこと二度もババアって言った!」ググッ

善子ママ「やめなさい! 本当に死んじゃうわよ!!」グイッ

「く、苦し……」

善子「曜さんはもっと苦かったのよ!! あんたのせいで!!!」

善子ママ「いい加減にしなさい!!」ブンッ

パーン!

善子「ひっ……」ドサッ

「げっほ! おえっ……」ゼェゼェ

善子ママ「曜ちゃんが私に好意を持っていたのは気づいていたわ。先生としてじゃなく……一人の女性として」

善子ママ「あのとき私がきちんと返事してあげれば……」

善子「仕方ないじゃない。ママは先生、曜さんは生徒。付き合うなんて絶対に許されないわ」
0410名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:56:55.70ID:Cn1blU3f
「……」

善子ママ「私がはっきり断れてさえいれば……こんなことにはならなかったのよね?」

善子「えっ……? 曜さんはママに断られたって」

「こいつは断ってなんかない。曜の気持ちを知ってて……あえて返事をしなかったんだ」

善子ママ「……」

「私は見てたんだからな。あんたが曜にキスされて嬉しそうにしてるのを」

善子「っ……」

「曜に耳元で『好きです』って言われて『私も』って言うのを!!」

善子ママ「それは変な意味なんかじゃなくて……っ! 曜ちゃんが誤解しただけよ!」

「誤解するって分かってたくせに! 曜はそういうやつだろ!?」

善子「……」

善子ママ「……」

「あんたも曜のこと好きだったんだよな? それとも……曜に好かれる自分が好きだっただけか」

「どっちにしろ最低の教師だよ」

善子「あんたねぇ……! それ以上ママの悪口言うと本当に」ガシッ

善子ママ「善子、やめて」

善子「でも!」

善子ママ「全部本当のことだから……」

善子「……」パッ

「げほっ……。ヨハネちゃんもだよ」
0411名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:57:21.61ID:Cn1blU3f
善子「私が何をしたって言うのよ」

「曜はヨハネちゃんのことが大好きなんだよ。そんなの見てれば誰だって分かる」

善子「ええ、そうよ。ママの代わりみたいで腹立たしいけれど」

善子ママ「そんなことないわよ。善子のことは本当の本当に好きなんだわ」

善子「それ、ママが言う?」ジロッ

善子ママ「あ……いえ」

「ヨハネちゃん、自分のためなら曜は何でもしてくれるって知ってたんだよね?」

善子「そ、それは……」

「だから私と勝負しろなんて言ったんだよね。曜にもう一度水泳をやらせたくて」

善子「どうしてそのことを……。曜さんが言ったの?」

「……やっぱりね。そんなことだろうと思った」

善子「くっ……言わされたのね私」

「これでも私、現役の全日本強化選手だよ? 一年もブランクがある曜になんて勝ち目がないじゃん」

善子「でも曜さんは勝ったわ」

「そうだけど! 勝ち目がないって思わなかったの? ヨハネちゃんって本当にバカ??」

善子「うるさいわね! 勝てたんだからいいじゃない」
0412名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:57:48.80ID:Cn1blU3f
「私だって最初から本気を出していれば……」

「ううん、負けたのは認めるよ。後半は私も本気だったし」

善子「そうよ。あなたは本気で曜さんに負けたの」

「曜ならどんな勝ち方でもするって……ヨハネちゃんなら分かったんじゃないの」

善子「……」

「曜は好きな人のためなら何でもするよ。自分が死んだって構わないって……本気で思ってる」

「それはあのときも同じ」

善子ママ「……」

「だから私は止めなきゃいけなかった」

善子「手加減ってそういうことだったのね」

「え?」

善子「トイレでの独り言。全部聞いてたわ」

「あ、あぁ……ヨハネちゃん隣にいたんだっけ」

善子「ええ。恋人の前で負けるなんて可哀想だから手加減してあげようって……」

「そっか……聞かれてたか」アハハ

善子「そんなの私が喜ぶと思う?」

「ヨハネちゃんのためじゃないよ」

善子「し、知ってるわよ。あなたは曜さんが無茶をするって分かってたからわざと負けようとした」

「……まあね」

善子「だったら何で負けなかったの」
0413名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:58:50.50ID:Cn1blU3f
「ヨハネちゃんがそれ言うの? 本気でやらなかったら怒るって今朝も言ってきたよね」

善子「……」

「いや、それでも私は負けなきゃいけなかった。或いはこんな勝負自体するべきじゃなかったよね」

善子「そうよ。私が本気で勝負するようにお願いした。曜さんにもあなたにも」

善子ママ「善子は知らなかったのよね。あの時のことなんて何も」

善子「……」

「ヨハネちゃんが知らないってこと、私は分かってた。教えてあげればよかったかな」

「いや、私が言うことじゃないか……」

善子「聞いていたとしても、たぶんやらせたわね」

善子ママ「……」

善子「この勝負は曜さんにとって必要なことだったの。今でも私はそう思ってるわ」

「後悔してないの?」

善子「曜さんに苦しい思いさせたのは本当に悪かったと思ってる……。それでも、これ以上逃げ続ける曜さんを見たくなかった」

善子ママ「そう……。曜ちゃんはあれからずっと逃げていたのね」

善子「ママだって気づいていたでしょう? 本当は心のどこかで水泳を諦めきれずにいた」

善子「だから進路だって未だに決められないでいたのよ」
0414名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:59:17.92ID:Cn1blU3f
善子ママ「曜ちゃんなら、それでも推薦を受けると思っていたわ」

「推薦? 何のこと?」

善子「曜さんにもスポーツ推薦の話が来ていたのよ。あなたと同じ大学からね」

「う、嘘だろ? 曜はとっくに水泳なんてやめてる……大学だって知らないわけがない」

善子ママ「大学へ進んで、そこでまた水泳をやるのもいいと思ったわ。もうあの時みたいに子どもじゃないもの、曜ちゃんだって同じことは繰り返さないと……思ってた」

善子「……」

善子ママ「もちろん、私が勝手に思ってたわけじゃないわ。曜ちゃんのお母さんがそう言ってきたのよ」

善子「曜さんのママが?」

善子ママ「進路の相談、何度も受けてたから」

「……」

善子ママ「今回、曜ちゃんが善子に水泳を教えてくれるって聞いたとき……私もいいきっかけだと思った。口では言わなかったけれど、きっと水泳をまたやってくれるって期待していたのよ」

善子「ママ……」

善子ママ「善子があなたと勝負させようとしていたのも……理由が分かっていたから止めなかった」

善子ママ「今の曜ちゃんなら、無理をしたりしないだろうって……」
0415名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 19:59:45.32ID:Cn1blU3f
「あの時みたいに?」

善子ママ「ええ」

善子「でも私がまたやらせたのね」

善子ママ「善子はあの時のこと知らないって、私だってそんなこと分かっていたわ! 曜ちゃんが自分から話すわけないし……」

「私だって分かってたよ。でも止めなかった」

善子「……」

善子ママ「善子に全部丸投げしていたのよ」

善子「それはママたちのせいじゃないわ。曜さんが自分で考えることよ」

善子「それに……やめようって言う曜さんを焚き付けたのは私」

「曜がやめようって?」

善子「ダジャレじゃないわよ」

「そんなの分かってるから……」ハァ

善子「ごめんなさい」

「いいよ、続けて」

善子「一昨日、曜さんがいつになく弱気だった……。勝てるわけないって泣いていたわ」

「泣いてた?」
0416名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 20:00:12.60ID:Cn1blU3f
善子「ええ。あのとき、私は曜さんがただ甘えているだけだと思って、嫌がる曜さんを無理やり焚き付けたの」

善子ママ「……」

善子「そうよ……。あのとき、曜さんは本当に嫌だったんだわ。だから私をトイレに閉じ込めたりもして」

善子「なのに私、全然分かってあげられなくて……」グスッ

「ヨハネちゃん」ギュ

善子「全部私のせいじゃない!! 私が曜さんをこんな目に合わせたんだわ!」

「それは違うよ。ヨハネちゃんは昔のことなんて知らなかったんだから」

善子「違わないわよ! 昔のことは知らなかった? 関係ないわ!」

善子「曜さんの気持ちを無視して、無理やり勝負させて……」

善子「ママにも言われてたのに、それでも聞かなくて」

善子ママ「……」

善子「曜さんは水泳をやりたいはずだって勝手に思い込んで」

善子「こんな辛い目に遭わせて……」スッ

曜「……」

善子「ごめんなさい……。私が悪かったわ」
0417名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 20:00:40.03ID:Cn1blU3f
善子ママ「……」

「……」

善子「私って最低よね……」グスッ

「そんなことないよ。ヨハネちゃんなりに曜のことを考えてしたんだから」

善子「そうじゃないわ……。こんなときでも私は自分のことしか考えてないの」

善子ママ「……」

善子「曜さんに嫌われたくないって……。目が覚めて私のこと嫌いになってたらどうしようって」

善子「そうなったら私、本当にどうしたら……」ポロポロ

「ならないよ」

善子「そんなの分からないじゃない!」

善子ママ「ならないわね」

善子「どうして!? どうしてそう言い切れるのよ!」

善子ママ「私のこと、まだ嫌いになっていないでしょう?」

善子「っ……」

「二股かよ。最低だね」
0418名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 20:01:11.25ID:Cn1blU3f
善子ママ「今でも曜ちゃんは私のことも好きでいてくれてるわ。もちろん、いちばんは善子だけどね?」

善子「そ、それはそうかも知れないけど……」

「曜もバカだよね。こんなことしてまで勝って、ヨハネちゃんが喜ぶとでも思ったの?」

善子「私……たぶんここ数年でいちばん喜んだわ。何も知らずにバカみたいに」

善子ママ「プールサイドで飛び跳ねてたものね」

善子「そうよ。そのくらい嬉しかったもの」

「そっか……」

善子「でも曜さんは私以上にバカね」

「間違いないね」

善子「私なんかを好きになるから悪いのよ」

善子ママ「もう嫌いになったかも?」

善子「うっ……」グスッ

善子ママ「冗談よ」フフッ

「いや、ここでその冗談はキツくない……?」

善子ママ「とりあえず、曜ちゃんはこのまま安静にしておくしかないわ。お医者様も特段何ともないって仰ってたから……」

善子「私、今日はここにいる」

「まさか目が覚めるまでずっといるつもり?」
0419名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 20:01:38.29ID:Cn1blU3f
善子「ええ。もちろんよ」

善子ママ「……こう言い出したら善子は聞かないから」ハァ

「……じゃあ、曜のことお願い。何かあったら私にも連絡くれると嬉しいな」

善子「ええ」

善子ママ「曜ちゃんのお母さんには私から連絡しておくわ。遅いって怒られるかもしれないけれど……」

「はい」つ

善子「え?」

「連絡先。ヨハネちゃんのも教えてくれる?」

善子「お、教えるわけないでしょう!?」

「えー」

善子「曜さんの連絡先は知ってるわよね? 起きたら連絡させるから」

「そっか。じゃあそれで」

善子「あなたが助けてくれたって、ちゃんと伝えておくわ」

「いいよ、ヨハネちゃんが助けたことにしても」

善子「それは私が納得行かない」
0420名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 20:02:05.80ID:Cn1blU3f
「私が命の恩人って知ったら今度こそ私のこと好きになるかもよ?」

善子「ないわよ」

「絶対に?」

善子「ない……と思うわ。私のことを嫌いになっていなければね」

「あはは。じゃあ私は行くけど……」

善子「ええ。気をつけてね」ノシ

「……」

善子ママ「どうしたの? 帰りも私が送ってあげるわよ」

「ヨハネちゃんから私に手を振ってくれるなんて……夢かな」

善子「あっ……これは別にそういう意味じゃないわ! 普通に友だちとして振っただけよ!」

「友だち? 友だちって言った!?」

善子「言ってない!」

「これは曜が聞いてたらヤキモチ妬いたかもなぁ」

善子「曜さんは妬かないわよ。たぶんニヤニヤしながら見てるわ」

善子ママ「あぁ……きっとそうでしょうね」
0421名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 20:02:32.47ID:Cn1blU3f
善子「とにかく、今日はありがと。ママもね」

善子ママ「ううん。私はタクシーをしただけよ」

「げっ。運賃はツケといてくれる?」

善子ママ「じゃあね。この子送ったら着替えを持ってくるから……それまでは上着を羽織って待ってて」

善子「あ、うん……。そういえば水着のままだったわ」

善子ママ「それじゃ、曜ちゃんのこと頼むわよ」

善子「ええ」

ガラッ

ストッ

善子「……」

曜「……」

善子「曜さん」ユサユサ

曜「……」ユサユサ

善子「本当に寝てるの? 寝たふりしてない?」ペチペチ

曜「……」
0422名無しで叶える物語(たこやき)
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2018/03/25(日) 20:02:59.38ID:Cn1blU3f
善子「よく眠っているわね。まるで赤ちゃんみたいに……」

曜「……」

善子「おやすみなさい。着替えは起きてからでいいわよね?」

曜「……」

善子「それと……」スッ

チュッ

曜「……」

善子「私のこと、好きでいてよね……」

……

……


水泳教室編 終わり
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