花陽「動物変身恩返しグスリ〜」
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ここはにこの家。弟や妹はママと外出中。
そのタイミングを見計らい、にこは1年生3人を自宅に招いていた―――
にこ「じゃじゃーーん!いいでしょ、この指輪!」
凛「わあ!すごい!光輝いてるにゃ!」
花陽「にこちゃんすごい!なんていう宝石なの!?」
真姫「ふん、にこちゃんみたいな貧乏人が指輪なんて買えるわけないじゃない。ガラスよガラス」
にこ「ふふん、実はこの指輪はね、なんと200万のダイヤなのよ!!」
3人「200万!!?」
透き通るような石のついた指輪は、にこの左の薬指にはめられた。 真姫「う、嘘よ!!にこちゃんなんかがそんな高い指輪買えるわけないじゃない!」
にこ「ぬぅわんですって!!ママのつてでなんでも鑑定団に出てる人に鑑定してもらったから確かな情報よ!!200万のダイヤよダイヤ!!」
凛「すごい!!にこちゃん、その指輪どうしたのにゃ?」
にこ「ふふん、よく聞いてくれたわね。それは、聞くも涙、語るも涙―――」
にこ「助けた子犬がくわえてきたのよ!!」
花陽「コイヌガヒロッテキタノォ!!?」
にこ「にこは雨の日にけがをしている子犬を拾って手当してあげたのよ」
にこ「そしたら、後日その子犬が、その指輪をくわえてにこの家に来たってわけ」
にこ「まさに、子犬の恩返しにこ〜♪」
凛「そんなことあるんだ!さすがにこちゃん!」
花陽「にこちゃんが優しかったから、その愛情が子犬さんに伝わったんだね」
にこ「でへへへへへへ〜、これでにこも億万長者よ!」
真姫「………」
真姫は終始面白くないような顔をしていた。 花陽「ねぇねぇ真姫ちゃん、真姫ちゃんの宝石コレクションにもそんな高い指輪ないんじゃない?」
真姫「っ!!!そんなことないわよ!200万のダイヤなんてクズよクズ!私がちょっとパパにおねだりしたら一発で手にはいるわ!」
凛「またまたぁ〜wwww真姫ちゃん高校生じゃんwww普通の親はそんなの与えないにゃwww」
にこ「ホラホラ真姫ちゃんwwwwwww200万よ?www羨ましいでしょ〜〜wwww」
真姫にダイヤの指輪を見せびらかすにこ。真姫の顔は真っ赤だった。
真姫「なんですって!!見てなさいよ!そんなゴミダイヤよりももっと高価な指輪をパパに買ってもらうんだから!!」
にこ「ふふふ、強がっちゃって真姫ちゃんwwww」
真姫「見てなさいよ!!」ダダッ
真姫は怒りながら玄関に向かい、帰っていった。 ほどなくして、凛と花陽もにこの家から帰る。
もうすぐ弟と妹が帰ってくるのだという。
場所は変わって、凛の家―――
凛「でも羨ましいなーにこちゃん、ダイヤの指輪なんて」
花陽「しかもすごいよね、助けた子犬が恩返しに来るなんて」
凛「そうだよ!凛だってたくさん動物さんを助けてるのに、恩返しになんかまったくこないにゃ!」
凛「こないだだって、凛は希ちゃんからいじめられてた仔猫さんを助けたのに、すぐに逃げていったにゃ!」
花陽(凛ちゃん猫アレルギーじゃなかったっけ?) 花陽「そうだ!凛ちゃん、花陽、いいもの持ってるよ!」
凛「ほんと!?かよちん!」
花陽「ほんとだよ、凛ちゃん!まるで鶴の恩返しみたいに、にこちゃんが助けた子犬のような」
花陽「そんな出来事が起こる道具、花陽持ってるよ!」
凛「本当なの!?すごいにゃかよちん!」
花陽「ちょっと待っててね……」がさごそ
花陽は、そう言って自分の四次元ポケットの中を探り出す――― 花陽「動物変身恩返しグスリ〜」
花陽は、四次元ポケットから、水玉模様のラベルで、ピンク色のビンを取り出した。
凛「わぁ、かよちんかよちん、なぁにその薬!」
花陽「これはね、自分が助けた動物が、人間になって恩返しに来てくれる道具なんだよ、凛ちゃん」
凛「人間になるの!まるで鶴の恩返しじゃん!かよちん!」
花陽「助けたときに、この薬を一滴だけその助けた動物に垂らすだけでOKなんだ」
凛「すごいすごい!これならもしかしたらダイヤの指輪なんかよりも立派な恩返しをしてくれるかもしれないにゃ!」
花陽「さっそく困っている動物たちを助けにいこ!凛ちゃん!」
凛「うん!」 困っている動物たちを求め、町へ出る凛と花陽。
凛が、「あてがあるんだ、かよちん!」と言ったので、花陽は凛についていくことにした。
凛のあては正しく、困っている動物はすぐに見つかった―――
神田明神―――
希「ほらほらwwwww猫ちゃんwwwww反撃してみぃやwwww」
猫「にゃーーー!!!にゃーーー!!!!」じたばた
凛「………」
花陽「………」
そこには、猫のしっぽを引っ張っていじめている上級生の姿があった――― 200万もする指輪なら紛失なり盗難なりで警察に届け出されてそうだな 凛「の、希ちゃん……またやってるの……?」
希「あっ、凛ちゃんに花陽ちゃんやん!2人もやってみる?」
凛「やらないよ!!」
希「えー、猫のしっぽ引っ張っていじめるの楽しいのに♪」ぎゅーーー
猫「ふーーーー!!!ふーーーーー!!!」ジタバタ
嫌がる猫にお構いなしで、希は猫のしっぽをひっぱり続けた―――
凛「もう、猫ちゃんがかわいそうだにゃ!!希ちゃん最低!!って、かよちん!!なんで泣いてるの!?」
花陽「だ、だって……ぐすん、希ちゃん……」
花陽「もしかして何か重大な悩みを抱えているのかなって……」ポロポロ
花陽は、猫をいじめる希を見て、一種の憐れみを感じていた。 凛「とにかく!!猫をいじめちゃだめ!!放してにゃ!希ちゃん!!」
希「ちぇー、凛ちゃんのわからずや!」
希は、しっぽを掴んでいる右手を放した。
猫は、自由になったしっぽを確認すると、凛の方へと逃げた。
凛「かよちん!今だよ!薬を貸して!」
花陽「それきた!」サッ
花陽は涙をぬぐい、すばやく動物変身恩返しグスリを渡した。
凛「よし、これを一滴猫ちゃんに垂らして……」ぽたん
凛はいじめられていた猫に、動物変身恩返しグスリを垂らした。 猫はその瞬間、どこかへ走り去ってしまった―――
希「へぇ、なにその道具、花陽ちゃんのひみつ道具なん?」
花陽「そうだよ。これは動物変身恩返しグスリっていって、助けた動物に使うとその動物が恩返しに来るんだよ!」
凛「いま凛は希ちゃんの魔の手から猫ちゃんを助けたから、猫ちゃんが恩返しに来るんだにゃ!」
希「ええやん!うちにも貸して貸して」
花陽「だめ!!希ちゃんは猫をいじめるもん!いじめたら逆に仕返しに来るんだよ、この道具は」
希「ちぇー、うち使えんやん」
どうやら希には動物を助けるという概念はないらしい。
凛「で、どうやったら恩返しに来るの?かよちん」
花陽「今から凛ちゃんの家に帰ろう!そしたらさっきの猫ちゃんが凛ちゃんの家に来るよ!」
凛「うん!今から帰ろう。かよちん!」
2人は凛の自宅に向かった。 凛の家
凛「まだかにゃまだかにゃ、猫ちゃんまだかにゃ」
花陽「ふふっ、楽しそうだね、凛ちゃん!」
凛「えへへへへ〜〜」
ピンポーン
凛の家のチャイムが鳴り響く―――
花陽「凛ちゃん、来たのかも!!」
凛「やった!!」だっ
凛は玄関まで走った。 のんたんはそんな事しないんじゃないですかね(真顔) 玄関には、小さな小さな男の子が立っていた―――
年齢にしたら、小学校低学年くらいだろうか。虎太郎よりもちょっとだけ大きいかもしれない。
凛「わぁ!!いらっしゃい!!猫ちゃん!!」
男の子「にゃー」にこっ
猫は、にっこりと凛の元へ駆けよる。
花陽「よかったね、凛ちゃん!この子はさっきの猫ちゃんが擬人化した姿だよ」
花陽「なにかひとつ恩返しをしたら満足して帰っていくんだ」
凛「うーん、よく考えたら恩返ししてほしいことって今ないにゃー」
花陽「じゃ、恩返ししてもらうことを今から探しに行こうよ!」
凛「うん!君もいくにゃ!」
凛は、男の子の手を引いて、靴を履いて外へ出た――― 外へ出た凛と花陽と男の子。
凛に手を引かれながら、楽しそうに町を歩く男の子を後ろからみて、少し、羨ましいと思う花陽だった。
凛「なにかないかにゃ、なにかないかにゃ」
男の子「にゃー♪」
花陽「やっぱりすぐに恩返しは見つからない?凛ちゃん」
凛「そうだね、凛、基本的に悩みなんてないから……」
凛はかわいらしいスカートをなびかせ、花陽に言う。
すでにスカートに対する克服を果たした凛には、悩みなどなかった。
花陽「ん?あれは……」
凛「真姫ちゃんとにこちゃんだ!」
にこの家付近で、立ち話をしているにこと真姫を見かけた。 花陽「なにか話してるね」
凛「盗み聞きしようよ!」
そう言って、2人と1匹は近くの電信柱の影に隠れ、2人の会話を盗み聞ぎした。
真姫「ふふん、にこちゃん、さっきの200万の貧相なダイヤ、まだつけてるのね」
にこ「なによ、綺麗で高価な指輪をつけたにこへの嫉妬?真姫ちゃんもおこちゃまねぇwwww」
真姫「にこちゃんこそ、そんな貧乏人がつけるようなダイヤで満足するなんて、おこちゃまなんじゃないの?」がさごそ
真姫「これをみなさい!!鑑定書付きの1千万のブルーダイヤモンドの指輪よ!!」ドヤァ
にこ「!!!?」
真姫は自分の50万するルイヴィトンのポーチから、神秘的な青い石のついた指輪と、鑑定書らしき紙を取り出した――― にこ「な、真姫ちゃん、まさか……」
真姫「そうよ、そのまさかよ……」
真姫「パパに買ってもらったのよ!!!!!」ドヤァ
にこ「にごぉおおおおおおお!!!!!!!!!!!」
真姫「んー、輝く青!このブルーこそ、お金に選ばれし真姫ちゃんに似合う指輪ね」
真姫はブルーダイヤモンドの指輪を、嫌味ったらしくにこにみせびらかす。
真姫「ん?にこちゃんのその貧乏くさい指輪もダイヤなの?wwwww」
真姫「私のダイヤと偉い違いねぇwwwww」
にこ「………」プルプル
真姫「まぁ、私のようなお金に選ばれしオンナは、パパにちょっと頼めばこんな最高な指輪を買ってもらえるものwww」
真姫「それに比べてなぁに?にこちゃんはwwwwわざわざ動物を助けないと指輪を手に入れることができないし、挙句200万wwwwwwwww」
真姫「もう草しか生えないわwwwwwwwwww」
にこ「むっきぃいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!」 花陽「凛ちゃん、真姫ちゃんあんなこと言ってるよ!」
凛「なんて嫌味な奴だにゃ!ちょっと懲らしめてやろうよ!」
花陽「え?どうするの、凛ちゃん」
凛「それはね……」
凛は、つないだ右手の先にいる男の子を見下ろした――― にこ「帰るっ!!!!」プンスカプンスカ
真姫「あれ?にこちゃん帰っちゃうの??」
真姫「にこちゃんの人生でこんな美しい指輪を見る機会はもうないわよwwww」
にこ「ほざいてろ!!」プンスカプンスカ
真姫「うふふふふ、あー、気分がいいわねwwwwwww」
真姫は勝ち誇ったかのように指輪を天に掲げる。
その瞬間―――
真姫「!!!?」
真姫の右手に感じる違和感――― 真姫「指輪が、ない!!」
にこ「え?」
真姫の右手の違和感は、指輪がなくなったことが原因だった。
そして、指輪は―――
真姫「!!?あのガキっ!!!」
男の子はにこを横切り、指輪を手に走っている。
さっき凛が助けた猫である――― 猫は逃げる―――
真姫は追いかける―――
真姫「待ちなさい!!!その指輪を返して!!!!」
しかし、追いつけない。
当たり前だ。相手は猫なのだから―――
真姫「このガキっ!!!待てって言ってんのよっ!!!」ハァハァ
元々運動能力の低い真姫は猫の男の子に追いつくことはなかった。
男の子「にゃーー!!」
そして、男の子は音ノ木坂川を跨ぐ、音ノ木坂橋に立つ―――
真姫「捕まえたわよ!!!返しなさい!!!」
男の子「にやり」
男の子「ぽいっ」
真姫「あ―――」
猫の男の子は、真姫の1000万の指輪をそのまま川に向かって投げた――― 真姫は茫然と立ち尽くす。
とても小さくて儚い「ぽちゃん」という音をたて、指輪は川の青に消えて行った―――
男の子はさっと逃げ出す。
真姫「あ―――」
真姫「ああああああああああああ!!!!!!!!」
真姫「私の1000万!!!!!!!!」
真姫「うわぁあああああああん!!!!あんまりよ!!!あんまりよ!!!!」ビエエエエエ
真姫は、人目も気にせずに橋の上で泣きだした。
真姫「うわぁああああん!!!うわぁあああああん!!!」ビエェエエエエ
その様子を、橋の前であざ笑う2人の影―――
凛「ぷーくすくす」
花陽「ぷーくすくす」
男の子は、凛の恩返しをすることに成功した。
凛は、男の子に「あの指輪を川に捨てろ」と頼んだのだ――― 橋の前から離れて、再び音ノ木坂―――
凛「あーっはははははwwwwwwざまぁみろにゃ!!いつも凛たちに嫌味な自慢してwwww」
花陽「もうwwww凛ちゃん笑いすぎwwwww」
凛「かよちんこそwwwww」
花陽「だってwwwwwあんな泣きだす人はじめてみたwwwwぐひひひwwww」
凛「それにしても、この道具すごいね!動物変身恩返しグスリ!」
花陽「そうだ!さっきの神社で猫に餌でもあげて恩返しさせようよ!」
凛「いいね!行こう、かよちん!!」 犬飼ってる人って、自宅の塀や門扉や植栽にいろんな犬が排泄マーキングしても嫌じゃないの?
だったら、犬飼ってる家同士でお互いの家をトイレにしたらいい。臭くも汚くもないんでしょ?数百万かけた外構が、変色したりひび割れたり劣化しても平気なんだよね。
せっかく行政が 犬 って書いた屋外用のシールくれるんだから、それ目印にしてさ。分かりやすいじゃん。 再び神田明神。もう希の姿はなかった。
凛「かよちーん!!からあげ棒買ってきたよ!」
花陽「わぁ、ありがとう凛ちゃん!猫ちゃんはセブンイレブンのからあげ棒好きなんだよね!」
凛「ついでに凛たちも食べようよ!」
花陽「うん♪」
猫1「にゃー!」
猫2「にゃー!」
花陽「わぁ、猫ちゃんたちが集まってきたよ、凛ちゃん!」
凛「さっそくからあげ棒をあげよう!たくさん買ってきたからね」
花陽「うん!!」 凛と花陽は猫にからあげ棒を餌にして、餌やりを始めた。
しかし、それを見た影がひとつ―――
???「こら!あなたたち!」
凛「びくっ!!」
花陽「!!?」
絵里「だめじゃない、野良猫に餌やりをしたら!」
絵里だった。絵里は猫に餌やりをしている凛と花陽に対して怒りを向けている。
凛「えー!なんでなんで、絵里ちゃん」
花陽「そうだよ、猫ちゃんに餌あげるのはいいことだよぉ」
絵里「それは違うわ、花陽、凛」 絵里「いい?野良猫はね、餌をあげたら人間に餌をあげることに慣れて、自力で餌をとれなくなっちゃうのよ」
絵里「そうしたら、人がいなくなったときに猫は自力で生きていくことはできないのよ……」
絵里「かわいそうだけど、猫の餌やりは、猫の首を絞めているのも同然の行為なのよ」ドヤチカァ
凛(うわ、めずらしく絵里ちゃんがもっともらしいこと言ってるにゃ)ヒソヒソ
花陽(凛ちゃん、猫ちゃんにちゃんと動物変身恩返しグスリはちゃんと全匹にかけたよ)ヒソヒソ
凛(じゃ、凛たちの役目は終わったね。帰ろっか、かよちん)ヒソヒソ
絵里「だからね、猫の餌やりはくどくどくどくど」 凛「わかったにゃあ」しょんぼり
絵里「わかってくれたのね、凛。偉いわ」
しかし、その瞬間―――
女の子「にゃーーー!!!」
男の子「にゃーーーー!!!」
絵里「!!!?」
何人かの男の子と女の子が絵里に襲いかかる!
花陽「え?もう効果が出てきたの!?」
絵里「ちょっ!!なんなのよこの子たち!!」
男の子「にゃー!!!」ポカポカ
女の子「にゃーーー!!」ポカポカ
絵里「痛い痛い!!やめなさい!!!」
男の子「ふぎゃー!!!」ポカポカ
凛「ちょ、ちょっと!やめるにゃ!凛はそんなこと頼んでないにゃ!」
花陽「私も頼んでないよぉ!!ありがた迷惑だよぉ」
絵里「ちょっと!!お姉ちゃん怒るわよ!!」
男の子「にゃーーーー!!!」ガブッ
絵里「いたっ!!!!!」
男の子が絵里のおしりに思いっきりかぶりつく!!
絵里「痛いっ!!!!うえーーーん!!!エリチカおうち帰る!!!!!」ピィイイイ
凛「あっ、絵里ちゃん!!」 絵里は泣きながら帰っていった。
花陽「あ……」
凛「絵里ちゃん、ごめんなさいだにゃ……」
花陽と凛は絵里に「どんまい」と思いながら、帰る準備をしていた。
凛「そろそろ帰ろっか、かよちん」
花陽「そうだね、凛ちゃん」
余ったからあげ棒を持ち、神田明神から帰ろうとするふたり。
しかし―――
一部始終を、陰から見守る者が2人いた――― 海未「おっと、凛、花陽、帰るのはちょっと待ってくださいよ」
凛「あ、海未ちゃん!」
海未が、凛と花陽の前に立ちふさがる。
ことり「おっと、ことりもいますよ♪チュンチュン」
その背後に、ことりが立ちふさがる。
まるで、囲い込むかのように―――
花陽「ことりちゃんも、どうしたのいったい?」
海未「凛、花陽、いまの一部始終見てましたよ」
凛「!!?」
花陽「!!?」
ことり「それ、花陽ちゃんのひみつ道具だよね?ことりたちに貸してほしいなぁ」
花陽「え……」
花陽はことりの邪悪な笑顔を見る。何かを企んでいる顔だ。 海未「察すること、動物に与えて人間にして操る道具なのでしょう」
凛「ち、ちがうよ、これは……」ダラダラ
凛は経験から、海未とことりがまた変なことにひみつ道具を使うのだと理解した。
花陽「これはちゃんと動物さんを助けないといけないんだよ」ダラダラ
ことり「そうなんだ、動物さんに恩を売って使うんだね♪」にっこり
海未「ことり、やっちゃいましょう」
ことり「おーけー♪」
凛「あ……」ダラダラ
花陽「助けて……」ポロポロ
ボコッドカッグシャッ
ボキッバキッドゴッ 海未「じゃ、これは借りていきますね、花陽」
ことり「明日には返すよ♪多分ね^^」
凛「」ボロボロ
花陽「」ボロボロ
凛と花陽は悪名高き園田とことりから動物変身恩返しグスリをカツアゲされてしまった――― 音ノ木坂―――
海未「ことり、使い方はちゃんと覚えてますか?」
ことり「もちろん、海未ちゃん♪たしか、最初に動物さんに餌をあげたり困っている時に助けたりして」
ことり「そのあとすぐにこのクスリを動物さんに浴びせるんだよね」
海未「その通りです。ちょうど凛たちからからあげ棒もいただきましたので、これを鳩の餌にしましょう」
ことり「鳩さんを餌付けして恩返しさせるんだね!」(あれ?共食いなんじゃ……)
海未「ちょうどいいです。そこの公園にたくさん鳩がいますね」
ことり(うーん、鳩さんに共食いさせるのはちょっとかわいそうかな)
ことり「ことりは他の動物さんにするよ、海未ちゃん」 海未「さて、からあげ棒を細かくちぎって……」ちぎりちぎり
海未「たくさんの鳩に餌をあげましょう」パラパラ
鳩「ぽー」
鳩2「ぽー」
海未「おぉ!鳩が集まってきました!」
海未はからあげ棒をちぎりながら、それを地面に落とす。
地面に落ちたからあげ棒の欠片に、鳩は群がる。
ことり「わぁ、食べてる食べてる!」(同じ鶏なのに、鳩さんおいしそうに食べるんだ……)
海未「しかし、これだけの鳩一羽一羽にこのクスリを垂らすのは時間がかかりますね」 鳩は全部で5羽。
さすがに5羽全員に薬を垂らすのは手間だと考えた海未。
海未「そうだ、こうしましょう」
海未は、動物変身恩返しグスリのふたを開ける―――
海未「それっ!こうすればいいんです!」どばばっ!!
海未は動物変身恩返しグスリをそのまま鳩の群れにぶっかけた。
鳩1「ぽーーー!!!」ばさばさばさ
鳩2「ぽっぽーーー!!!」ばさばさばさ
鳩は水をかけられ、びっくりしてその場を立ち去る―――
海未「ふふっ、恩返しに来てくださいね。5羽の鳩さん♪」
その様子を、海未はにこやかに見ていた。
ことり(海未ちゃんって冷たいよね)ドンビキ 海未「さて、いつ頃効果が出るかわかりませんね。私は家に帰って待つとします」
ことり「うん、わかったよ」
海未「じゃ、このクスリはことりに預けます。ことりも恩返ししてもらうために動物を助けてくださいね」
ことり「もちろん、海未ちゃん、また明日♪」
海未「えぇ、また明日♪」
海未とことりはその場で別れた。家は反対方向なのだ。
ことり「さて、ことりも困っている動物さんを探さなきゃ!」
ことりには、誰にも言えない野望があった――― ことり「ふんふんふーん、誰か困っている動物さんはいないかなぁ〜」
ことりは困っている動物を求め、町を歩く。
ことり「あれ?あの黒いの……」
カラス「カー!カー!」
ことり「カラスさんだ!」
ことりは道端でぐったりして鳴いているカラスを見つけた。
仲間に助けを求めるために鳴いているのだろうか―――
ことり「よし、助けちゃお♪」
ことり「どれどれ……」
ことりは、道端のカラスをよく観察する。すると―――
ことり「羽根を怪我してるのかな?」 20分ほど経った―――
ことり「よし、これでオーケー!」
ことり「もう怪我しちゃだめだよ♪カラスさん!」
カラス「カー!カー!」
カラスは嬉しそうにことりにすり寄る。まだ飛べないようだが、いくらか楽になったのだろう。
ことり「ふふっ、かわいいな♪まだ小さいからカラスの子供かな?雛ちゃんだね!」
ことり「あ、そうだ!動物変身恩返しクスリを垂らして」ぽちゃん
ことり「これでよしだね!バイバイ、雛ちゃん♪」
カラス「カー!カー!」 ことり「ふふっ、いいことをしたら気持ちがいいなぁ♪」
ことり「いまのカラスの雛ちゃん、男の子かな、女の子かな」
ことり「ふふっ、ことり、男の子がいいなぁ♪」
ことりはウキウキ気分で帰り路に着く―――
時刻はすでに夕方。おそらくは親鳥が家でご飯を作っている最中だろう。 ことりの自宅
今日のことりの家はチキン南蛮だった。ちなみにカボスの夕ご飯もチキン南蛮である。
ことり「んー、カラスさんいつ恩返しに来てくれるんだろう」
ことり「待ちきれないな、部屋も綺麗にしたし、まだかな……」ドキドキ
ぴんぽーーん
ことり「!!?」
親鳥「あら?ことり?お客さんよ〜」
ことり「はーい!」バタバタ
ことりは親鳥の声に反応して、玄関に向かう。 男の子「………」
ことり「恩返しに来てくれた雛ちゃんだよね?ささ、上がって上がって♪」
男の子「カー!」
そこには、虎太郎と同じくらいの、小さな小さな子供が立っていた。
ことりの「上がって」という声を聞くに、カラスの男の子はことりに駆け寄る。
それほどまでに、ことりの介抱は暖かかったのだ。
親鳥「ことり?その子、どこの子?もう帰る時間じゃない?」
ことり「えー、ちょっとだけいいでしょ、お母さん、おねがぁい♪」
親鳥「うっ……」(かわいい、我が子ながら天使のような瞳ね……)
ことりとカラスの男の子は、ことりの部屋へ消えた。 ことりの部屋は綺麗に片付いていて、まるであらかじめ客人を迎えるかのようだ。
ことり「さ、カラスの雛ちゃん、ことりに恩返ししてくれるんでしょ?」
男の子「カー!」
ことり「だったらさ……」すっ
男の子「?」
ことりはカラスの男の子の右手を、自分の左手でぎゅっと握る。
そして、とある場所へと導く。
その場所は―――ベッドだった――― ことり「雛ちゃんはベッドに横になっててね♪」
男の子「カー!」
カラスの男の子は嬉しそうに泣く。それはまさに最高の笑顔。
カラスの男の子はカラスのような漆黒のTシャツに子供っぽい半ズボン。そして、クールな顔立ちで美形である。
しかし、笑顔だけは子供のものだった―――
ことり「ふふっ、いい子だね、雛ちゃん♪」なでなで
男の子「///」
ことり「このまま雛ちゃんのこと食べちゃっていい?」 もうなんとなくわかると思うが、ことりの野望とは「ショタのかわいい男の子をチュンチュンすること」である。
自分の性欲を満たすために動物変身恩返しグスリを使ったのである。
男の子「カー?」
ことりの「食べちゃっていい?」という意味がわからず、男の子は首をかしげる。
ことり「ふふっ、こういうことだよ♪」
ことりはカラスの男の子のちんこを、ズボン越しで優しくさする―――
男の子「!?」
男の子「カ、カー///」
ことり「雛ちゃん、反応かわいいね」ナデナデ
ことりはさする手を休めない。優しく、じらすように、カラスの男の子の大切な部分を、ズボン越しで堪能する――― ことり「ふふっ、ちょっとだけ固くなったね、雛ちゃん♪」
そういいながら、ズボンを脱がすことり。
そこには、ことりはいまだかつて見たことのない「宝石」があった―――
いわゆる半勃起状態の子供のちんこ。
皮は完全にかぶさっていて、仮に完全に勃起させたとしても、おそらく皮は向けないだろう。
半勃起なので、まだまだ柔らかい、子供サイズのちんこだった―――
ことり「雛ちゃん、今日は楽しもうね」ナデナデ
ことりは、男の子のちんこを生で触り、勃起させようとした。しかし――― 男の子「カー!カー!」
恥ずかしさなのか、単純に不信感を覚えたのか、カラスの男の子は暴れる。
ことり「もう、暴れちゃだめ!」
男の子「カー!カー!」ジタバタ
男の子にとっては、ちょっと会っただけのお姉ちゃんにいたずらされているようなものなのだ。
ことり「もう、雛ちゃん悪い子さんだね」ナデナデ
男の子「カー!カー!」ジタバタ
カラスの男の子のちんこはこれ以上勃起しそうにない。やはり恥ずかしさと驚きが先行しているのだ。
ことり「もう、仕方ないなぁ、ことりも脱いじゃおうかな///」 ことりは自分の服を脱ぐ。スカートは、そのまま。
そして、白く清純なブラを取り外す―――
そこには、透きとおるほどの白い素肌と、綺麗で形のととのった乳房が―――
ことり「ふふっ、どお?雛ちゃん♪」
ことり「女の子のおっぱい、みたことないでしょ?」スリスリ
ことりは自分の胸を、仰向けで寝ている男の子の顔に擦り付ける。
しかし―――
男の子「?」
カラスの男の子は反応なし。
当たり前だ。カラスは人間の裸を見ても欲情しないのだから――― そうこうしているうちに、カラスの男の子のちんこは半勃起から通常のインポに戻る。
ことり「あっ、戻っちゃやだあ!雛ちゃん、がんばって♪」スリスリ
ことりは自分の胸を「美乳」として捉えている。実は隠れ自慢なのだ。
その自信のある胸で。再びカラスの男の子のちんこを扱く。
男の子「カー!!」
男の子はそれに対して反発。再び暴れ出す。
当然だ。手コキの状態で半勃起なのだから、どうしても胸に挟んでの刺激はそれよりも弱くなってしまう。
むしろ、コントロールができない分、ちんこに痛みを感じたのだ。 男の子「カー!カー!」ジタバタジタバタ
ことり「暴れないで、雛ちゃん!!」
男の子はジタバタを止めない。足をジタバタして、ことりを近づけないように拒絶する。
ことり「痛いっ!!!」
男の子の足が、ことりの顔面を襲う―――じたばたした足がたまたまことりの顔面をクリーンヒットしたのだ!
ことり「………」
ことりの子の時の気持ちは、落胆。
ことりの頭の中には、ショタの男の子のちんこをかわいくいただいて、処女卒業というストーリーが構成されていたのだが。
それは、どうやら叶わないようだ。
ことり「………」
すると、現実に戻ってくる顔面の痛みから、ことりは苛立ちを覚えた。 ことり「痛いなあ!もう!!!!」ドゴッ!!!
男の子「カー!!!!!!」ドンッ
ことり、カラスの男の子のお腹にグーパン!
男の子はのたうち回る―――しかし―――
ことり「もう!!せっかく気持ちよくなれると思ったのに!!!」ドコッドコッ
男の子「カー―!!カー――!!」
ことり「ほんっとうに使えない!!死んじゃえ!このカラスが!!!」ドゴッボコッ
男の子「カー――!!!カー――!!!」ポロポロ
ことりは腹を何度も何度も殴打した。手を休めることはない。
お腹を抑えようとしても、抑えきれていない部分をことりから殴られる―――
男の子にとっては地獄の時間だろう。痛みから、泣きだしてしまった――― ことり「ほらっ!!!死ねっ!!役立たずっ!!!死ねよっ!!!」ドコッボコッ
男の子「カー―――!!カー――!!!」ポロポロ
次第に、男の子は腹部を抑えることを止める。諦めてしまったのだ。
ことり「ほらっ!!死ねよ!!散々期待させやがって!!!」ボコッ
ことりの部屋の前
親鳥「どうしたのかしら、ことりの部屋がなにやらうるさいわ?」
親鳥「どうしたの?こと―――」ガチャ
ドアを開けた瞬間。信じられない光景が親鳥の目を襲う。 ことり「オラっ!!!!死ねっ!!死ねっ!!!」ドゴッドゴッ
男の子「」ポロポロ
上半身裸で、豊かな胸をたゆんたゆんと揺らしながら、我が娘が無抵抗の男の子の腹を殴り続けている。
男の子は泣いて許しをこぐが、娘は殴るのを止める気配はない―――
親鳥「こ、ことり……」
親鳥「わ、私の……」
親鳥「私の育て方がいけなかったのよぉおおおおおお!!!!!」ビエェエエエエエエ
この日を境に、親鳥はノイローゼになって休職してしまうのだが、それはまた別のお話――― 同時刻、音ノ木坂2丁目―――
穂乃果「ふんふんふーん♪」
穂乃果「穂乃果のほーはほっともっとのほ〜♪」
穂乃果「穂乃果ののーはのり弁のの〜、穂乃果のかーは、からあげ弁当のか〜♪」
穂乃果は近所のほっともっとでのり弁とからあげ弁当を買って、夜食にするつもりでいた。
穂乃果「ほっともっとっておいしいんだよね〜、これを夜食にして今日はモンハン三昧だよ!」
穂乃果は上機嫌で帰り路に着く。
穂乃果「あれ?誰だろ?通り道に誰かがいるよ」
穂乃果「小さな子供が、5人?」 穂乃果「こんな時間に歩いてちゃいけないよ!悪い人からさらわれちゃうよ!」
穂乃果はその5人の小さな子たちに近づく。
男の子が3人、女の子が2人。
雰囲気は、物静かな5人組といったところだろう。
穂乃果「ほらほら、みんないい子だからおうちに帰ろ!ね?」ナデナデ
穂乃果は5人のうちの一人の頭を撫でる。
男の子1「ぽー!」
女の子1「ぽー!」 穂乃果「あはは、元気な声だね!鳩ごっこかな?」
男の子2「ぽー!」スチャッ
穂乃果「え……?」
穂乃果は絶句した。なぜなら、男の子のうちのひとりが拳銃を持っていたからだ。
穂乃果「ちょ、ちょっと……」
男の子3「ぽー!」がしっ
女の子2「ぽー!」がしっ
男の子と女の子がそれぞれ、穂乃果の右手と左手を掴む。
すごい力だった―――
穂乃果は動くことができない―――
穂乃果「ちょっと……怖いよ、やめよ、ね?」 男の子2「ぽー!!」
男の子が引き金を引く―――
ズガンッ!!!!
穂乃果「―――っ!!!」
弾丸は、穂乃果の額に命中。
穂乃果は即死だった―――
赤い噴水が、夜の闇を染める―――
穂乃果はばたりという音と共にその場に倒れた。
息はない。
男の子1「ぽー!!」
女の子2「ぽー!!!」
子供たちは、5人がかりで穂乃果をどこかへ運ぶ…… 音ノ木坂学院の裏山―――
ここに、男の子たちのアジトがあった。
アジトと呼べるものかも怪しい、ただ単純に山奥のちょっと広い広場だが、そこにとある兵器があった。
巨大なミキサーである。
男の子たちは穂乃果の死体を運ぶ。そして、穂乃果を巨大なミキサーの中にぶち込んだ―――
男の子1「ぽー!!」スイッチポチッ
ガガガガガガガガガガガガガガガ
女の子2「ぽー!!」
男の子2「ぽー!!!!」 時刻は8時。
穂乃果が殺されておおよそ一時間が経った頃の園田邸―――
海未「遅いっ!!!!!」
海未「あの鳩どもはいつ来るんですか!!」
海未「せっかく助けてやったのに、恩返しに来ないじゃないですか!!」
海未「あー、イライラしますね、明日ことりと一緒に凛と花陽をリンチにしましょう!!」
海未はイライラしていた。鳩が恩返しに来ないからである。 小分けに投下してスレを長持ちさせてんじゃねーよ
どうせまとめられないんだからさっさと落とせ しかし、海未のやったことを思い返してみると、海未は果たして鳩を助けたと言えるのだろうか。
確かに鳩に餌はあげたが、その餌は「からあげ棒」。つまりは、ことりが言ったように「鳩に共食いをさせた」も同然である。
そして、極めつけは、動物変身恩返しグスリを鳩の群れにぶっかけた事だ。
鳩からしたら「水をかけられた」以外の何物でもない。
つまり、海未は気づかぬうちに鳩に嫌がらせをしていたのである。
少なくとも、鳩5匹はそう捉えていた―――
ピンポーーーーン
海未「おや?ようやく来ましたか」
海未は鳩のことを半ば諦め、穂乃果のパンツを被りオナニーをはじめようとしていたところだった。 海未「鳩に穂乃果との仲を取り持ってもらってレズセックスをするつもりでしたが、こんな時間ではできませんね……」
海未「気晴らしに鳩でもいじめますか」
海未「はーい、今でますよー」
海未は玄関までゆっくりと足を運ぶ―――
海未「おや?」
子供は5人、助けた鳩の人数と同じ―――
しかし、鳩は何かを持っている。
海未「これは……ハンバーグですか?」
男の子のひとりが、大きなお皿に盛りつけられたハンバーグを持ってきたのだ。
海未「ふむ、これが恩返しなのですか?どうやら恩返しの内容は選べないようですね」
実際にはそんなことはない。恩返しは選ぶことができる。
鳩が持ってきたそれは、「仕返し」なのである――― 海未「なかなかいい香りですね」
海未「では、食べてみましょう。箸は用意していないのですか?」
女の子2「ぽー!!」つ箸
女の子が海未に箸を渡す。
海未「ありがとうございます。では……」
海未「食材に感謝して、いただきます……」
海未は、いい香りのするハンバーグを口に運ぶ。 海未「おいしい!!!おいしいですよ、このハンバーグ!!」
海未「香ばしい香りに、口の中にも濃厚な肉汁が広がる―――まさにハーモニーです!!」
海未「こんなおいしいハンバーグははじめて食べました」がつがつ
海未「あぁ、あっという間になくなってしまいました……」
男の子1「ぽー!!」
男の子はあらかじめ用意していたおかわりを、海未に差し出す。
海未「気が利きますね!恩返しというのはそうでなくっちゃいけません!」
海未「では、食材に感謝して、いただきます」ぱくっ
海未は鳩が持ってきたハンバーグをおいしく平らげた。
その「食材」が穂乃果だとは知らずに――― 翌日―――
ニュース『先日、音ノ木坂の宝石店から盗難された200万円するダイヤの指輪が発見されました』
ニュース『指輪は、都内の女子高生が所持しており、警察は盗難の疑いで緊急逮捕しました。女子高生が指輪を鑑定に出したことから発覚しました』
ニュース『女子高生は「犬がくわえて持ってきたのよ!私のせいじゃないわよ!」などと供述しており、時たま「にっこにっこにー!」などと謎の言葉を発しているとのことです』
ニュース『警察は、「精神鑑定も視野に入れて捜査をすすめる」とのことです。続いてのニュースですが―――』
海未「まったく、200万の指輪を盗むなんて、なんということでしょう。同じ高校生として恥ずかしいですね」
海未「しかし、昨日食べたハンバーグはおいしかったですね。お母様が作るものよりもおいしかったです」
海未母「海未さん、そろそろ学校の時間ですよ」
海未「おっと、これは失礼しました。穂乃果とことりと待ち合わせをしていたのでした」 通学路
海未「ふむ、ことりも穂乃果もまだ来ていませんね」
海未「おや、あれは……」
海未の視界に、凛と花陽が仲良く登校していた。
海未「凛!花陽!おはようございます!」
凛「あっ!海未ちゃん!おはよう!」
花陽「おはよう!海未ちゃん!」
海未「昨日はひみつ道具、ありがとうございました。大変いい思いをさせていただきましたよ」
花陽「あっ!そうだよ海未ちゃん!動物変身恩返しグスリ、返してください!」
海未「すみません……ことりに預けてしまったんですよ」
凛「海未ちゃん、今日はごきげんだにゃー!」
海未「ふふっ、昨日、恩返しにきた鳩がおいしいハンバーグを持ってきてくれたんですよ♪」ニッコリ 花陽「えへへ、花陽の道具が役に立ててよかった。もう暴力はやめてね、海未ちゃん」
海未「本当にすみません……」
凛(はい、とは言わないんだにゃ……)
花陽「あっ、ことりちゃんが来たみたいだね」
海未「おはようございます、ことり」
ことり「……おはよう」
ことりの目にはクマがあった。
「なにかあったのだな」と3人は思った。
おおよその予想はつく。動物変身恩返しグスリが悪い方に働いてしまったのだろう。 海未「ことり、どうしたのですか?」
凛「まるでこの世に絶望しているような顔だにゃ!」
花陽「ことりちゃん、花陽のひみつ道具、もしかして役に立たなかった?」
ことり「………」
ことり(このイライラをぶつけたいんだけど、ちっちゃい男の子を犯そうとして失敗したって言ったら恥ずかしいよね)
ことり「えへへ、色々あってさ、あはは……」
ことりは元気なく返答する。3人はことりを気にしながらも、足を進める いるよ すとーかー ものおとたてて
いま べるならしてる くるまでまわって その時、4人は気づかなかった。
ことりの真上―――
カラスが大量に迂回しているということに―――
子供のカラス(あの女だカー!!あの女が僕のお腹を殴りまくったんだカー!!)
カラス1(なんて奴だ!これだから人間は嫌いなんだカー!!)
カラス2(仕返しをしてやろうカー!みんな、行くぞカー!)
カラスの大群(カー!!!!!) ぱさり
ことり「おや?」
ことりは目の前に何かが落ちたことに気づく。
ことりには、それの見覚えがあった。漆黒でものすごく綺麗なのだけど、よくよく見ると汚い。
それはカラスの羽根だった。
ことり(カラスの羽根か、はぁ……)
凛「うわ、カラスの羽根だにゃ、不吉なものを見てしまったよーかよちん……」
花陽「ま、まぁ羽根くらいなら問題ないんじゃないかな、凛ちゃん。カラスが降ってくるわけじゃ……」
そういって、花陽は空を見上げる。
そこには、カラスの大群が「降って」いた。
花陽「り、りりりりりりり凛ちゃんっ!!!!上っ!!!上っ!!!」 花陽の声に驚き、3人は空を見上げる―――
そこには―――
カラス1「カー――――!!!!!」
カラスの子供「カーーーー!!!!!」
ことり「!!?」
凛「にゃ、にゃにゃっ!!!カラスの大群だにゃ!!」
海未「こっちに向かってきますよ!!」
ことり(まさか……昨日の糞カラス……?)
カラスは一目散にことりたちを襲う――― ことり「ひぃ!!!!やめて!!!来ないで!!!」
3人は気づく。
カラスの狙いは自分たちではないと。
では、誰を狙っているのか―――
それは、この中にいる一人、ことりである。
カラス「カーーーーーー!!!!!」ガンガン
ことり「痛い痛い痛いっ!!!やめて!!突かないで!!」
カラスは10羽以上いる。そのカラスが全員、ことりを狙って突きまくっていた。
海未「こ、ことり!?大丈夫ですか!!」
ことり「やーーーん!!助けて、海未ちゃんっ!!!!!」
カラスは遠慮なしにことりをつつきまくる。痛みに耐えられず、ことりは逃げ出した! ことり「来ないでっ!!!痛いよぉ!!!」だだだっ
ことりは逃げる。しかし、カラスは簡単に追いつく―――
凛「うわぁ……」
花陽「カラスが仕返しに来たんだ……擬人化してない状態で仕返しに来るなんて、ことりちゃん何したんだろう……」
海未「言ってる場合じゃないですよ!追いかけますよ、凛、花陽!ことりを助けましょう!」
ことり「痛い痛い痛いっ!!!もうやめてぇ!!!!」ダダダダダッ
ことり「もう動物変身恩返しグスリなんてこりごりだよぉーーーー!!!」ビエェエエエエ
カラスたち「カーーーー!!!!!!」
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