花丸「『可愛い』喧嘩」
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善子「曜さんっ、助けて〜」
昼休み、突然教室にやってきた後輩に泣きつかれた。
曜「い、いきなりどうしたの?」
善子「ルビィと花丸が喧嘩してて教室に居辛いのよぉ」
曜「喧嘩? あの2人が、珍しいね」
善子「そうなのよ、最近ずっと凄く険悪な空気で」 曜「それで気まずくなって逃げてきたと?」
コクコクと頷く善子ちゃん。
曜「それで、何で私のところに?」
善子「曜さんなら何とかしてくると思って……」
曜「いや、そんなこと言われてもさ、せめて原因とか分からないの?」
善子「それがわかったら苦労しないわよ!」 曜「逆切れされても困る」
善子「曜さんだっていればわかるわよ!」
曜「そ、そう?」
善子ちゃんらしからぬ押しの強さにちょっとビビる。
善子「あの仲が良かった二人がまともに口を聞こうともしないのよ!」
善子「何故か会話の中継役をやらされ、喧嘩の度に巻き込まれて――」 曜「わかった、わかったから落ち着いてよーしこー」
善子「ヨハネよ!」
そこを突っ込む余裕はあるらしい。
曜「まあ、そこは善子ちゃんが仲裁して仲直りさせるとかさ」
善子「中学の頃はずっと孤高の堕天使で、高校入学早々引きこもった私にそんな高度なことができるわけないじゃない!」 曜「そ、そうかな」
善子「助けてよ、貴女はコミュ力の塊でしょ!」
曜「い、いや、そんなことは」
善子「少し声をかけただけで老若男女問わず落としちゃう、一番人気のヨ―ソローさんでしょ!」
曜「人気なら善子ちゃんも負けてないというか」 善子「ライブやる前にチラシ配って話しただけでファンを獲得?」
善子「私なんてチラシもまともに配れないコミュ症よ!」
曜「お、落ち着いて善子ちゃん」
善子「ヨハネ!」
そこを突っ込む(略)
とりあえずひどく錯乱している様子から、善子ちゃんが限界だということは分かる。 曜「仕方ないなぁ、可愛い後輩の為に曜ちゃんが一肌脱ごうか」
善子「! じゃあ――」
曜「うん、私が二人に話を聞いてみるから」
これ以上話していてもらちがあかなそうだし。
善子「わぁ、ありがとう曜さん!」
顔を輝かせて喜ぶ善子ちゃん。 曜「期待はしないでよ。私はあの2人と特別に仲が良いわけじゃないし」
善子「それでも大丈夫よ、曜さんなら」
曜「ちょっと教室の外で待ってて。一回様子見てくるから」
善子「分かったわ、よろしくね」
曜「まっ、可愛い堕天使さんのために頑張りますよ」 ※
曜「お、いたいた」
早速一年生の教室へ行くと、1人で裁縫をしているルビィちゃんを発見した。
曜「ルビィちゃん、な〜に作ってるの?」
ルビィ「ピギッ」
横から覗き込むように声をかけると、いつもどおりの鳴き声を上げるルビィちゃん。 曜「やっ」
ルビィ「よ、曜さん、ビックリさせないでくださいよ〜」
曜「あはは、ごめんごめん」
こうして話している分にはいつもどおりのルビィちゃんだ。
まあ練習中とかは特に様子がおかしいことに気がつかなかったわけだし。 曜「ん、それは髪飾り?」
ルビィ「そうなんです、花丸ちゃんにあげようと思って」
曜「へ〜、そうなん――」
あれ。
曜「ごめん、誰にあげるって?」
ルビィ「だから花丸ちゃんですよ〜 ほらほら、お花をイメージしてて――」 気のせいではなく、確かにルビィちゃんは花丸ちゃんにあげると言ったみたい。
プレゼント? 喧嘩中のはずの花丸ちゃんに?
ルビィちゃんは何やら語り続けているが、頭が混乱している私の耳には入ってこない。
善子ちゃんのあの態度は本気だった、そもそも嘘がつけるような子ではない。
それならこれはいったい、何が起こっているんだろう。
曜「ね、ねえルビィちゃん」 ルビィ「はい、なんでしょうか」
曜「わたし、ルビィちゃんが花丸ちゃんと喧嘩してるって聞いたんだけど」
ルビィ「あ、そうなんですよ!」
おや? 喧嘩は事実らしい。
曜「なんで喧嘩を?」
ルビィ「聞いてください、花丸ちゃんてば酷いんですよ」 曜「うん」
ルビィ「世界で一番可愛いのは花丸ちゃんだって言ったら、『一番可愛いのはルビィちゃんだよ!』って言って認めてくれないんです!」
曜「うん?」
ルビィ「何度言っても納得してくれないから、するまで口を聞かないことにしたんです!」
曜「はぁ、それはまた、なんというか」
ルビィ「全く、困った子ですよね、花丸ちゃんは」 曜「そ、そだねー」
ルビィ「この髪飾りは花丸ちゃんの可愛さを証明するためにプレゼントしようと思って――」
曜「そっかぁ」
理解が追い付かない、なんだろう、これは。
花丸「ルビィちゃん!」
追い打ちをかけるように、突然教室へ入ってくる花丸ちゃん。 ルビィ「! 花丸ちゃん! もしかしてやっと――」
花丸「ううん、一番可愛いのはルビィちゃんずら! それは譲れないよ」
ルビィ「マルちゃんの分からず屋! 可愛いのはマルちゃんだって」
花丸「いやいや、ルビィちゃんが――」
ルビィ「マルちゃんが――」
なんだこれは、なんだこれは。 花丸「曜さん! 一番可愛いのはルビィちゃんだよね?」
ルビィ「曜さん! はっきり言ってあげてくださいよ! 可愛いのは花丸ちゃんだって!」
あ、巻き込まれた。
正直面倒くさい、そもそも意味が分からなすぎる。
これから逃げ出したくなる気持ちは、よくわかった。
曜「えー、そうだね……」 善子ちゃんには悪いけど、早くこの場から立ち去りたくて、私は適当に答えた。
曜「――二人とも可愛いでいいんじゃないかな」
ルビィ・花丸「「!」」
そんな投げやりの言葉に、その手があったかという顔をする2人。
ルビィ「そっか、2人で優劣をつける必要なんてなかったんだね……」
花丸「マルが間違ってたずら……」 ルビィ「ううん、ルビィが最初に言い出したんだよ、ごめんねマルちゃん」
花丸「ルビィちゃん……」
ルビィ「マルちゃん……」
曜「……」
まあ、役目は果たしたはず。
何やら花園を展開し始めた二人を背に、私は無言で一年生の教室を出た。 ※
善子「流石曜さん! 頼んで良かったわ」
結果を報告すると、善子ちゃんは大喜び。
曜「あー、うん。たいしたことはしてないけどね」
善子「本当にどうやったのよ。こんなにあっさり、魔法みたいに」 曜「あ、あはは。まあ企業秘密かな」
善子「ふーん――ともかくありがとう、また何かあったらお願いするわね」
曜「……任せてよ!」
正直嫌だったけど、断るのは忍びないので何も言えない。
曜「じゃあ私は教室に戻るね」
善子「ええ! 本当にありがとう」 まあいいや、流石にしばらく出番はないだろうし。
私は善子ちゃんと別れて、二年生の教室へ戻る。
役目は果たしたんだ、やっと解放され――
梨子「千歌ちゃんの方が可愛いわよ!」
千歌「ううん、梨子ちゃんの方が!」
私は無言で、一度は入りかけた教室から出た。 http://wayukan-marutoyo.com/images/204/ok16.jpg
杉原夢菜 様
(お母様)
振袖選びには迷いましたが、着ると
したら赤色の振袖かなとは思ってい
ました。他のお店とも見比べました
が、丸豊さんの振袖を見たら素敵な
ものばかりだったので、母とも相談
し、こちらで決めました。
成人式前の前撮り撮影会がとても良
かったので、両親とも喜んでいます。
素敵なお写真ばかりだったので、振
袖と一緒で選ぶのに悩みましたが、
想い出に残るアルバムが作れたと感
謝しています 。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています