【SS】ようダイポッキーゲエエエエエエエエエエエエエエエム
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ダイヤ「どうかなさいましたか?」ガラッ
曜「おっはよーっ!」ガラッ
ダイヤ「あら、曜さん」
『』ガラッ
ダイヤ「あなたも…と、いうことはもしかして」
曜「あぁ!宣材写真、今回はダイヤさんとなんだね!」
ダイヤ「なるほど…そういうことでしたか」
ダイヤ「よろしくお願いしますね、曜さん」
曜「お任せあれ!」
ダイヤ「それで?今月のテーマはなんですの?」
『』
ダイヤ「なるほど。バレンタインデー、ですか」 予感的中――。
浦女のヒーロー、渡辺曜ちゃんは――チョコレートはもらうものとして、認識しているみたい。
別に、誰にあげるとか決めていたわけじゃないし――。
素直にあげてしまってもよかったんだけれど――。
ひとつしかないチョコレートを、この子に渡すのを――躊躇ってしまったの。
「あ――そういうことか」
ひとりで納得して――曜ちゃんは、おもむろに鞄をがさごそ漁り始めました。
そうして、ポッキーの箱を取り出したと思ったら――。
「みんなへのお返しに、ポッキー持ってきたんだ〜♪ はい!」
わたくしに、1本のポッキーを向けてきたわ。
……。
これだけ? 「む――もしかしてダイヤちゃん、チョコ持ってない?」
流石の曜ちゃんでも、わたくしが顔をしかめたのを察したみたい。
わたくしに向けたポッキーをさくさくと食べて、口を尖らせました。
「持ってはいるのだけれど――」
どう説明したものかしら。
「もしかして、ポッキーじゃダメだった?じゃあホワイトデーにお返しするから!」
「ホワイトデーには、もう浦女も無いし――わたくしも卒業しているわよ」
「あ――そっか」
少ししょんぼりしたように見える曜ちゃんにかける言葉を探していると――。
別に落ち込んでいたわけではなかったみたい。
曜ちゃんから、ある提案を受けたわ。
「じゃあ、曜がゲームで勝ったらそのチョコをちょうだい!」
「ゲーム?」
しまった――。
つい、乗ってしまったわ――。 何をするのかと思えば、またポッキーを取り出してわたくしに向けて、にしし――と笑った曜ちゃん。
「ポッキーゲームっていうんだけど――知ってる?」
わたくし、ゲームとか、女子高生の流行――みたいな分野には疎いから――。
「曜も昨日テレビで知ったんだけど――」
♡♡♡♡♡♡ 曜ちゃんから説明を受けて、わたくしのチョコを賭けてポッキーゲームが始まった。
の、だけれど――。
これ、女の子同士でやるゲームじゃ――ないんじゃない?
もしこのまま、2人とも負けを認めずにポッキーを食べ進めていったら――。
……。
「っ――!」
目線の端に、玄関に近づいてくる生徒の影が見えた。
そういえば――まったく気にしていなかったけれど、玄関でこんなことをしているのよね。
……。
そんなことを考えているうちに――いつのまにか、鼻と鼻が触れるような距離にまで。
曜ちゃんと近づいていた。
さくさくと何も考えずにポッキーを食べ進める曜ちゃん。
ちょっと――どうしてそんなに、遠慮が無いのよ――!
唇と唇が触れ合う、その寸前――。 わたくしはポッキーを噛み折って、のけぞった。
「あ――やったぁ〜〜〜!! 曜の勝ちだね!」
いつもと変わらない、満面の笑みを浮かべる曜ちゃんが恨めしい。
わたくしが――どれだけドキドキしていたかも知らないで。
「はぁ――約束は約束よね」
鞄から包みを取り出す。
「はい、これ――あげるわ」
なんだか、素直に渡すのが気恥ずかしくて――顔を逸らしてしまった。
「わぁ〜〜〜い、ありがとぉ〜〜〜♡♡ 大切に食べさせていただくであります! ヨ〜ソロ♪」
そんなわたくしのことは気にせず――ご機嫌な曜ちゃんは、
ホップステップジャンプで――廊下を走り抜けていったのでした。
♡♡♡♡♡♡ わたくしはモヤモヤとした気持ちのまま――生徒会室で仕事を進めていました。
まったく――。
曜ちゃんってああいう子だとはわかっていても――誰にあげるかも決めていなかったチョコレートだとしても。
せっかく、わたくしのたったひとつの、手作りチョコレートなのよ?
もう少し、なにかあってもよかったんじゃないの――?
まあ――曜ちゃんにはそんな事情、話していないんだから――知る由もないんだけれど。
ふと、さっきのポッキーゲームのことを思い出しました。
目前に迫る、曜ちゃんの顔。
……。
一部では浦女のヒーロー、だなんて呼ばれていて、女子人気の高い曜ちゃんだけれど。
まあ――その。
なんとなく――その理由が、わかった気がするわ。 って、わたくし――恋する乙女、みたいになってない?
ああ、もう――。
これだからバレンタインなんて――と、もやもやと色々考えているうちに。
きーん、こーん、かーん、こーん。
いけない――もうこんな時間?
ろくに手がつけられなかった書類をまとめて、ドアに手をかける。
……。
廊下がちょっと騒がしいわね。
いったい、なにかしら――。
生徒会室を出た途端、目が合ったひとりの生徒が駆け寄ってきて――。
「生徒会長、曜ちゃんと両思いって本当ですか――!?」
「は――はい?」
思わず聞き返してしまった。
「朝、ポッキーゲームしてチョコ渡してたって――噂になってますよ!」
「え――」 もしかして――見られてた?
「違うわ、それは誤解で――」
「あ、ダイヤ!」
「鞠莉――」
背後から近寄ってきた鞠莉が、わたくしの耳元でささやきます。
「ダイヤ、まさか曜とデキてたなんて思わなかったよ〜♪」
「なっ――」
まさか――。
朝の、あの人影――。
よりにもよって、鞠莉だったの――?
「マリーは別にいいと思うけど――グループ内恋愛はスキャンダルの元だってルビィも言ってたよ? Be careful♪」
あっけに取られるわたくしをよそに、肩をポンと叩いて歩き去る鞠莉。
あぁ、やっぱり――。
チョコなんて、作ってくるんじゃなかったわ――。 スレタイで某Vtuberを想像したけど全然違ったわ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています