善子(24)「私の高校生活」
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上司「津島ぁ!資料のプリントどうしたぁ!!」
津島「すいません、コピー機壊れてて下まで行ってましたぁ!」
....
タッタッタッ
同僚「あっ、ごめん!!」ドンッ
善子「きゃあっ!」
バラバラバラ
善子「プ、プリントが!」
上司「何やってんだ津島ぁ!!」
善子「ひぃ、ごめんなさい!!」
....
先輩「ごめん、今日娘が熱出しちゃって早退するからこの資料のまとめ頼める?」
善子「えっ!?あ、あの...はい、わかりました...」
......
善子「.....ハァ」 ピト
善子「ひゃあっ!」
先輩「っ、びっくりし過ぎでしょ」
善子「先輩!?帰ったはずじゃ...」
先輩「とりあえず子供迎えに行って料理とか色々やって後は旦那に任せてきたのよ、ウチここから近いから様子見に来たってワケ」
善子「はぁ...」
先輩「本当ごめんね、まだ残ってたら引き継ぐよ?」
善子「あっ、さっき終わったばかりなので大丈夫です...」
先輩「あら、タイミング良いというか悪いというか...」
善子「アハハ...」
先輩「とりあえずお疲れ様、コーヒーブラックで大丈夫?」
善子「あっはい、ありがとうございます」 先輩「そういえばさー」
善子「はい?」
先輩「津島って高校時代有名だったわよね、何アイドルだっけ、えーっと」
善子「あっ、スクールアイドルです」
先輩「あっ、それそれ」
先輩「それでさ、気を悪くして欲しくないんだけどさ」
善子「はい」
先輩「そのまま卒業してアイドルになるって選択肢は無かったの?」 善子「アイドル....ですか?」
先輩「そう、だって津島って結構可愛いしアイドルでも行けたんじゃない?」
善子「んーっと、まあお気持ちは有難いですけどスクールアイドル自体、最初は興味無かったですからね、それを仕事にしてずっと続けるのは何か違うのかなーって」
先輩「そんなものなの?」
善子「まあ、あとスクールアイドルだからこその輝き?みたいなのものもありますし」
先輩「どういうこと?」
善子「学生時代だからこそ、そこにかける情熱や熱意が大きい、みたいな」
先輩「あー、高校野球みたいな?」
善子「まあ、そんなものですね」 先輩「でもさ、高校野球とか見てると思うんだけどさ」
善子「はい」
先輩「野球球児のほとんどはプロにならないワケじゃん?」
善子「まあ...そうですね」
先輩「そういうの考えるとそんな必死にやるものなんかなって考えちゃうんだよね」
善子「?」
先輩「あー、例えば津島はスクールアイドルの大会で優勝したよね?」
善子「そうですね」
先輩「でも、アイドルになるワケでもなくこうして普通の会社で勤めてるワケじゃん?そう考えると高校生活やってきたことって無駄になっちゃったんじゃないかなーって」
善子「....なるほど」 善子「確かに高校時代に練習したステップとか今じゃ全く使えませんね」
先輩「だよね、私帰宅部だったからそういうのやる理由ってのが今一よくわからないんだよね」
善子「そうですね...先輩の言うとおりスクールアイドルだった時の技術やパフォーマンスなんて使う機会はなかったです」
善子「でも、今になって得たものってなんだろうな、って考えるとやっぱり...」
トントン(胸を軽く叩く)
善子「ここ、ですかね?」 先輩「.......」
善子「.......///」カアア
先輩「.....なんかごめんね?」
善子「謝らないください、イタい経験なら昔死ぬほどしてきたんで...///」
先輩「それにしてもロマンチックだね、心だなんて」
善子「....でも本当なんですよ」
先輩「?」
善子「例えば今日、私失敗続きだったじゃないですか」
先輩「あー、まあ今日は不運が重なった結果でもあると思うけど...」 善子「だからこそ、余計落ち込んでたところもあったんですよ」
善子「でも、辛い時とか、ナイーブな時になると想い出すんです」
善子「スクールアイドルとして踊った時を、みんなの声援を、あの輝いた瞬間を」
善子「その想い出があれば何だって頑張れる、そんな気持ちにさせてくれるんです」
善子「まぁ、言うなれば...私の高校生活で残ったものは『心のサプリメント』として今も残ってる....って感じですかね」
先輩「....津島ってちょっとポエマーだな」
善子「......そういう恥ずかしさに対する耐性も高校生活で学びました....///」 先輩「なるほどな、まあちょっとわかったよ」
善子「本当ですか?」
先輩「ホントホント....そういえば大丈夫なのか?」
善子「え?」
先輩「頼んだ時、何か用事がありそうだったけど」
善子「あー.....大丈夫です、断っておいたんで」
先輩「そっか....じゃあお詫びとして帰りに飯奢ってあげるよ」
善子「えっ、いいんですか!?」
先輩「いいよいいよ」
善子「ありがとうございます、それじゃあ帰る用意を....」
prrr.... 善子「あっ、すいません」
ピッ
善子「どうしたのよ、今日は仕事あるから無しにしてって....あんた達まだ待ってたの!?」
善子「ホント全く....しょうがないわね、もうお店入ってていいから!!」
ピッ
善子「先輩すいません、あの....」
先輩「.....奢りはまた今度な」
善子「はいっ、ありがとうございます!!」
善子「お疲れ様です、失礼します!!」
タッタッタッ....キュッ、タッタッタッ
善子「先輩!!」
先輩「どうした、忘れ物か?」
善子「私の高校生活、得たものもうひとつありました!!」
善子「かけがえのない友達です!!!」ニコッ
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