善子「顔がない」
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昔エタってしまったやつの書き直しです
修正しながら書くのでペースは少し遅めです ピピピ...ピピピ
善子「んー....」ゴロッ
善子「朝....」
善子(いつの間に寝て...イヤホンしたまま....あー、音楽聴いたまま寝ちゃってたのね)
善子「ふぁ〜あ、今何時....ってもうこんな時間!?」
善子「あーもうっ、お母さんもう仕事行っちゃってるし...あっ、パンあるからこれでいいや!!」バタバタ
善子「行ってきまーす!」バタン
.....
善子(よしっ、何とか間に合いそう...)
「善子ちゃん急いで急いで!」
善子(あっ、曜ちゃ....)
善子「はあっ!!?」
私に手を振っていたのは
顔がない女の子だった 頭はある
髪もある
でも....
眉がない
目がない
鼻がない
口がない
つまり、顔がない
まるでのっぺらぼうだ
善子「な、何よこれ....」ヘナヘナ
目の前の信じられない光景に私は腰が抜けて座り込んでしまった 「ちょ、ちょっとどうしたの!?」
驚いた女の子はこちらへ駆け寄ってきた
善子「曜ちゃん....よね?」
私は髪型や身体、声で曜ちゃんと判断するしかなかった
曜「そうだけど....何でそんなに驚いてるの?」
善子「い、いやだって....」
「どうかしましたか?」
とこちらを覗いたのはバスの運転手
善子「ひっ...」
この人も、顔がなかった
「どうしたの?」
「これ学校間に合う?」ザワザワ
バスの中にいる他の生徒たちも窓からこちらを見ている
みんなみんな、顔がない 善子「いや...」
曜「善子ちゃん?」
善子「嫌ああああああああ!!!」
私はたまらずその場から走り去った
全速力で来た道を引き返す
バタバタ
大きな音を立てながら一目散に階段をかけ上がる
善子「かっ、鍵...」
カチャン
扉が開いた瞬間に家へ入り、また鍵をかけ直す
善子「ハア....ハア....」
呼吸を整え、思っていたことを声に出す
善子「何よこれ!?!?」 善子(私はいつからホラー映画の主人公になったのよ!?)
明らかに異常な事態に事情が飲み込めない....
.....
ある程度時間が経ったおかげで少しだけ冷静になれる
善子「まあ、冷静になったとしても一体全体何が起きてるのかさっぱりなんだけど....」
善子「....とりあえず誰かに相談するべきよね」
善子(花丸はスマホ使えないしここは...)
♪〜
ルビィ「善子ちゃん?」 善子「あっ、ルビィ?ごめんね、ちょっと相談したいことがあって」
ルビィ「大丈夫?今朝曜ちゃんから聞いたよ?いきなり走り去っちゃったって」
善子「えっ?」
ルビィ「どうしたの?」
善子「それ、LINEで?」
ルビィ「えっ、廊下に会った時にだけど....」
善子「嘘....」
ルビィ「善子ちゃん?」
善子(つまりルビィには曜ちゃんが顔がないようには見えてないってこと!?) 善子「えっと...ルビィ、今日おかしいと思ったことはない?」
ルビィ「おかしいこと?」
善子「そ、そう....特に誰かの顔が変に写ったり」
ルビィ「顔?んー、特にいつもと変わらないってルビィは思うけど....」
善子「そ、そう....」
善子(思えば、バス停での事件だって私以外に顔がないと騒ぎ立てる人なんて誰もいなかった....)
つまり、私が異常ってこと? ルビィ「善子ちゃん?」
善子「ごめんルビィ、私今日学校休むから」
ルビィ「えっ?善子ちゃ」
ピッ
善子「......」
善子(とりあえず、これで家から一歩も出なければあの顔を見なくて済むワケだけど....)
善子「....どうしよう」
もし、この現象が私にだけしか起きていないのなら、おかしいのは私一人ということになってしまう
変なクスリなんて使うワケが無いし精神病にかかった自覚もない
...まずは私以外にこの現象に会っている人がいるか調べなくてはならないわね
善子「とりあえず、アレを使って確認するしかないわね...」 スマホからSNSアプリを起動する
『堕天使ヨハネ』
これが私のアカウント、フォロワー数もけっこういるわ
善子「周りに聞いてダメなら....世界中に聞いてみろってね」
堕天使ヨハネ『聞こえていますか?デビルデーモン達よ、あなた達の中で顔を奪われた罪人を見た者はいますか?』
善子「送信....っと」
善子(これで反応があれば....) しばらく待っていると通知が次々とやってくる
『ヨハネ様、どうかされたのですか?』
『顔を奪われた罪人....顔の皮を剥がされてしまったのでしょうか?痛そうですね』
『私の友達は受験に落ちてから死んだように表情が無くなり....』
『おっぱい見せて』
善子「うーん....それらしい情報は無いわね....」
あと一番下のやつはブロックしておこう
ピロン
善子(あっ、また来た)
『すみません、まさか今朝からののっぺらぼう現象のことですか!?』 善子「っ!!」
急いで私はそのアカウントと直接連絡を取ろうとする
堕天使ヨハネ『貴方もあの深淵の闇に触れてしまったのね』
『はい....朝起きたら家族や友達までも....ヨハネ様はこのことを知っておられるのですか?』
堕天使ヨハネ『いいえ、聖界からの刺客かそれとも別の何かか....私の知らないところで何かが動いているようね』
『そうなのですか....ヨハネ様も私と同じようで安心致しました、「のっぺらぼう」とかで検索すると私たち以外にもまだいるみたいです』
堕天使ヨハネ『そうですか、情報感謝します。貴方に闇の導きがあらんことを』
『はい、ヨハネ様もお気を付けて』
善子「なるほど....『のっぺらぼう』で検索っと....」 『朝起きたらみんなのっぺらぼうみたいになってる!!何これ!?』
『深夜から明け方までバンド練してたらメンバー以外の顔が無くなってのっぺらぼうみたいになってる....警察も相手してくれない』
『何これ、のっぺらぼう?ちょっと病院行ってくる』
善子(けっこうな数いるわね)
善子(SNSやってない人や書いてない人もいるだろうから私が思っているより多いのかも)
『みんなのっぺらぼうになってる、驚いて自分で鏡を見た』
善子「......」
ダッ
鏡の前へ立ってみる
そこには目も口もある、いつもと変わらない私の顔が映っていた
善子「.....ホッ」 善子「さて....」
善子(少しずつ事情もわかってきたしこれからどうしようかしら....)
善子「とりあえず今日は家で情報収集を....」
♪〜
善子「....ルビィ?」
善子「はいっ」
ルビィ「あっ、善子ちゃん!?先生が凄い怒ってて....」
善子「へっ?」
ルビィ「バスに乗ってた生徒が乗ろうとする前にどっか行った、って聞いたら『あいつは単位ヤバいのに何やってるんだー!!』ってカンカンで」
善子「そっ、それは...」
ルビィ「職員室に向かっていってたぶん家の方に電話が」
prrr....
善子「......」
ルビィ「よ、善子ちゃーん?」 .......
ダイヤ「よーしーこーさーんー?」
善子「だからヨハネって」
ダイヤ「ヨハネもへちまもありませんわ!!先生に聞きましたわよ!!」
善子「うっ...」
ダイヤ「あなた、このままだと単位が足りなくなって留年になるかもしれないということ、本当に理解しているのですか!?」
善子「っ...わかってる、けど...」
ダイヤ「....もしかして、何か私たちに後ろめたいことがあって隠し事でもしていまして?」
善子「違うわよ、んーっと...今日は天界からの攻撃というか何と言うか色々あって...」シドロモドロ
ダイヤ「...善子さん、もしかしてあなたスキャンダルになるようなことでもしてるんではなくて?」
善子「はぁっ!?」
ダイヤ「アイドルにスキャンダルは御法度ですわ!!」
善子「失礼わね!そんなことするわけないじゃない!!あと善子っ!」
ダイヤ「それじゃあさっきから私から目を反らしてるのは何でですの!」
善子「そっ、それは....」
ダイヤ「ちゃんと目を見て話してくださいまし!!」
善子(だから、その『目』が無いから困ってんのよ!!) 曜「じゃあまた明日っ、よーそろー!」
善子「また明日....」
曜ちゃんと別れ、家へと目指す
善子「結局学校全員のっぺらぼうとは...」
怒る先生やダイヤさん、それにクラスのみんなやAqoursのみんなでさえものっぺらぼう状態だったなんて...
善子(はぁ...とりあえず家に帰って一息つきたい)
ため息をつきながら疲れた足を引き摺って帰路を歩く
善子「......あれっ」
公園にいる人、初めて見るけど何か違和感が....
「....フゥ」スパー
その人は煙草を吸っていて....
善子「ん、煙草?」
「ここもダメか....」
善子「こ、この人顔がある!!」 「.....ん?」
善子「す、すみません!!」
「あー.....生き残った人、いたのね」
善子「や、やっぱり!」
この人は『私と同じ』人だ!
けど....
善子(あ、怪しい!!)
顔は若くて美人に見えるが隈が酷く髪もボサボサだ
極めつけは何故かくたびれた白衣を着ている
普段なら絶対に声をかけないような、いわゆる不審者だった
善子「えっと....何か研究とかしてる人なんですか?」
「えっ....あーこれ?違う違う医者よ医者」
善子「お医者さん?」
「まだ卵だけどね.....あなた名前は?」
善子「えっと....ヨハネです」
「ヨハネ?」
善子「わ、悪いですか!」
「....んー、別に」
善子「あなたの名前は?」
「んー、そうね....」
「マッキー、とでも呼んで頂戴」
赤髪の女性はそう答えて新しい煙草に火をつけた 善子「うっ....」
私が本名を教えないから怪しまれて...
いえ、違うわ!私は堕天使ヨハネ!!これは偽りの名前なんかじゃないわ!!
....とりあえず、この現象について聞いてみましょう
善子「えっと、マッキーさんはこの現象に何か心当たりありますか?」
マッキー「....まあ、割とね」
善子「そうですよね、知ってるはずが.....って、ええええ!!?」
マッキー「....あなた、元気ね」
善子「し、知ってるんですか!?」
マッキー「まあ、大体はね」
善子「じゃ、じゃあ教えてくださいっ、これは一体何なのか!」
マッキー「.....今はまだ無理よ」 善子「えっ....?」
マッキー「今の段階じゃこの現象に対して何も打開策が無いの、だから今教えても無駄なのよね」
善子「で、でもだったら原因だけでも...」
マッキー「今中途半端に知識を教えても『あの子』になる可能性が高くなるだけなの、わかる?」
善子「えっ、あっ、ハイ....そういうことですか」
マッキー「まあ、今教えられることなら....」
マッキー「あなた、これから夜はイヤホンを付けて音楽かけっぱなしで寝なさい」
善子「えっ?」
マッキー「.....そうしたらとりあえずは大丈夫だから」
善子「えっと....わかりました」
これ以上は教えてくれそうにないわね... マッキー「あと、明日から私はあの遊具の中に隠れてるから何かあったら声かけなさい」
マッキーさんはドーム型の遊具を指差す、あれだったら雨風もしのげそうな感じだ
善子「えっ、あんなところで大丈夫ですか?」
女性がそんなところで一晩なんて....
マッキー「見つかっちゃいけないのよ私」
善子「えっ?」
マッキー「この現象を解決するためには私が見つからずにこの現象を限界まで膨らませるしかない...だから私は誰にも見つからず隠れているしかないのよ」
善子「ど、どういうことよそれ!?」
つまり、下手したらこの人が世界を救う鍵になるってこと!?
マッキー「ふふふ、秘密よ♪」 マッキー「それじゃあ、もういいかしら?」
善子「待ってください!...この現象っていつまで続くんですか?」
マッキー「そうね....早ければ明日で終わるかもだし長ければずっとかもしれないし」
善子「そんな...大会だってあるのに....」
マッキー「大会?何か部活に入ってるの?」
善子「えっと、スクールアイドルやってて....」
マッキー「ヴェっ?」
善子「へっ?」
マッキー「スクールアイドル?」
善子「は、はいっ....」
マッキー「.....うふふっ、あははははっ!!」
善子「えええっ!?」
マッキーさんが急に笑い出した!? 善子「私何か変なことでも言いました?」
マッキー「い、いや、妙な縁もあるものねーって」
善子「は、はぁ.....?」
真姫「ちゃんと練習してる?」
善子「まぁ...今日は集中できませんでしたけど頑張ってます」
マッキー「そう....ふふっ、スクールアイドルは笑顔が大事だからね、笑顔で腕立て伏せできるくらい頑張らないといけないらしいわよ?」クスクス
善子「笑顔で腕立て伏せって....何ですかそれ....」
マッキー「ふふふ、気にしないで、それよりそろそろ帰った方がいいんじゃない?」
善子「あっ、確かにもう暗くなってきた....」
マッキー「気を付けてね?」
善子「は、はいっ、どうもありがとうございました」
マッキー「イヤホン、忘れちゃダメよ?」
善子「は、はいっ」
マッキーさんと別れ、私はそのまま家へと帰った.... 善子「マッキーさん、なーんかどこかで見たことがある気がするのよね....」
夜、ベッドで寝る準備をしながらマッキーさんを思い出し、そんなことを思う
実は有名人だったり?謎が多い女性だったなあ....
善子「イヤホン付けてっと....」
言われた通りイヤホンを付けて音楽を流し始める
そういえば昨日もイヤホンを付けたまま寝てしまったのだった
善子「そういえば.....」
『深夜から明け方までバンド練してたらメンバー以外の顔が無くなってのっぺらぼうみたいになってる....警察も相手してくれない』
これは私と同じように演奏を聴き続けていたってことよね....
夜に何か音が流れていた?
それを何かしらの理由で聞かなかった人物がこの現象に巻き込まれてるってこと?
善子「.....深く考えてもしょうがないか」
体力的にも精神的にも何だかんだで疲れてしまっているので、とりあえず私は寝ることにした
この状況が明日になって少しでもまともになるようにと願いながら
でも.....
この時致命的なミスを犯していることに私はまだ気付いていなかった 善子「.....」
朝起きて、とりあえずイヤホンを外す
善子「ふぁ〜あ....お母さん、今日ももう仕事行ってるのね....」
とりあえず支度をして、家を出てバス停へ向かう
善子「......うっ」
すれ違う人を見て昨日が夢じゃないことを痛感する
顔がない
それは昨日と変わりがない事実だった
善子(まあ、顔が無い以外別に変わりが無いワケだし一日経てば少しは慣れてくるわね....)
別に慣れたいワケでは無いけど....
善子「あっ....」
バス停前に曜ちゃんがいる
近付いて朝の挨拶を「まきちゃん」
善子「.....へっ?」
曜「まきちゃん」 善子「えっ....何これ?」
運転手「.....」
バスの運転手が何かあったのかとこちらへ顔を向けてきた
善子「あ、あのっ....」
運転手「まきちゃん」
善子「っ....」
昨日よりも背筋が凍る思いがした
「まきちゃん」
「まきちゃん」
昨日のようにバスの中にいる生徒も私を見てくる
でも、発する言葉はどれも同じ 善子「もうっ、何なのよ!!」
曜「まきちゃん」
善子「っっ...」ガシッ
私は曜ちゃんの両肩を掴む
善子「お願いよ、あなたは私のリトルデーモンでしょ!?戻ってきなさ」
曜「まきちゃっ」
曜ちゃんが固まった
善子「曜....ちゃん?」
曜「まきちゃん」
今度は首をかしげながら1歩こちらへ近づいてきた
善子「っ....」
マズイ
明らかに昨日までとの雰囲気とは違う 善子「曜ちゃん、落ち着いて」
曜ちゃんが一歩、そしてまた一歩と近付いてくる
曜「まきちゃん」
善子「っ.....あっ」
曜ちゃんに合わせて一歩ずつ後退していったらバスにぶつかってしまった
でもバスの中は...
ギシッ....ギシッ...
「まきちゃん」
善子「っ!!」
嫌な予感がして私は咄嗟に身を伏せる!!
ガシャン!!
私の上で大きくガラスの割れる音がした!! 善子「きゃああああああ!!!」
あまりの恐怖に私はかがみながら急いでその場離れる!!
善子「一体何が....っ!!」
私が目にしたのは
手
手手手手手手手手手手手手手手手手手手手手手手手手手手手手手手手手手
たくさんの手がバスの窓から何かを掴むように宙を掴んでいた
善子「まさか...生徒全員で窓側へ寄っ掛かった圧で割れたって言うの?」
そんなの常人が出来るワケが....
「まきちゃん」
善子「っ!」
バスの中にいた生徒が出てくる
ドアから出てくる人もいれば割れた窓からも這い出るように.... 背筋が凍る
もし、私があそこで屈まなければ...
真後ろからガラスの破片が飛んで大怪我していたかもしれない
いや、それよりもあの手に私が掴まれていたらどうなっていたの
だろうか...
「まきちゃん」
善子「っ!!」
考え込んでる場合じゃない、逃げないと!!
ダッ
身の危険を感じ、私は一目散にそこから駆け出す! 「まきちゃん」「まきちゃん」「まきちゃん」「まきちゃん」 「まきちゃん」「まきちゃん」「まきちゃん」「まきちゃん」
みんなが私を追ってくる!
善子「何よこれ!?まるでゾンビ映画じゃない!?」
何で現実にこんなことが起こってるのよ!!
善子「こんな時には....」
そうだ、こういうとき映画やゲームの主人公達はどうやって危機を回避してたっけ?
そうそう、銃や鈍器でゾンビ共を抹殺....
善子「って、できるわけないじゃない!!」 まず銃がないし!!
しかも、人を殺しちゃうのは流石にダメでしょ!!?
異常事態だけどみんな「まきちゃん」言ってるだけだし!!
善子「あーもうっ、どーすんのよー!?」
曲がり角を曲がったところでチラリと後ろを向く
善子「んっ?」
何人かが曲がりきれずに真っ直ぐ進んでいたりぶつかって転んでいたりする...
善子「そっかゾンビって...」
だったら、こっちの方に行けば...! 私はただの空き地へと進む
手入れはされておらず、草も伸びっぱなしだ
善子「えっと、確かこっちに...」
草をかき分けると壁の下側に人が一人通れるくらいの穴が開いている
善子「っ...あった!」
子供の頃、使っていた秘密の抜け穴!
この先に魔術の研究所として使っていた空き家があったはず!
見つかる前にここを通らないと.... ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています