みもりんスペシャル「三十路探偵・みもりんの事件簿M XIII」戦慄!呪われた村 みもりんVS怪奇現象!!忌まわしき20年前の悲劇…[字][解][デ]
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交番前
ブーン……キィッ
ガチャッバタン
みも「こんにちはー」
えみ「こんにちは、なにか困り事?」
みも「えっと……ここに行きたいんだけど、この地図ちょっとわかりづらくて」ピラッ
えみ「あー、そこかぁ」
みも「道ってこっちであってるのかな?」
えみ「あってはいるけん、ちょっと待ってり。私がもっとわかりやすい地図描いてくるで」
みも「ほんと!? ありがとー」
えみ「えっと、紙は……」
くす「探偵ー、道わかったー?」
みも「今地図描いてもらってるー! ちょっと待っててー!」
くす「だって、なんちゃん警部補」
じょる「その地図でちゃんとたどり着ければいいけどねぇ……」 五分後
えみ「はい、どうぞ」スッ
みも「ごめんね、手間かけさせて」
えみ「これくらいお安い御用だって」
みも「ほんと助かったよ、ありがとね」
えみ「どういたしまして。その地図の通りに行けばたぶん大丈夫だでね」
みも「ふむ……なるほどなるほど」
えみ「でもあんななんもないとこになにしに行くだ?」
みも「それは……ちょっとした用事があってね、あはは」
えみ「用事ねぇ……」
みも「あっ、別に悪いことするわけじゃないよ! ホントだよ?」
えみ「そりゃ悪いことするのに交番寄る人なんていねぇずら」
みも「だよねー、あはは」
えみ「じゃ、気ぃ付けて行き」
みも「うん、バイバーイ!」スタスタ 数日前 バー
みも「話ってなんですか? くっすんまで呼び出して」
じょる「その……一緒に行ってほしいところがあってさ」
みも「旅行にでも連れてってくれるんですか?」
くす「旅行!? 行きたい行きたい!」
じょる「いやっ、旅行ではないんだけど……」
みも「じゃあなんなんですか?」
じょる「ちょっと捜査を手伝ってもらえないかなって」
みも「捜査? どんな事件の?」
じょる「あー、事件があったわけじゃなくてね」
みも「……?」
じょる「なんというか、事件かどうかを調べる……みたいな?」
みも「はあ……」
じょる「とにかく一緒に来てほしいんだよ。ダメかな?」
くす「私はいいけど、探偵は?」
みも「うーん……ま、南條さんの頼みなら断る理由はないか」 現在 山道・車内
みも「あの、南條さんにいくつか聞きたいことがあるんですけど」
じょる「だろうね……なにが聞きたいの?」
みも「じゃあ、まずひとつめ。これって仕事なんですか?」
じょる「あぁ、一応ね」
みも「だとしたら思いっきり管轄外ですよね? もう長野ですよ、ここ」
じょる「いろいろ事情があるんだよ。うちの署、私のことで県警に借りがあるからさ」
みも「そうですか。でも仕事ならどうして部下じゃなくて私たちを連れてきたんですか?」
じょる「それはぁ……みもちゃんたちが喜ぶと思って」
みも「……なんか嘘くさいですね」
じょる「う……」
みも「まあいいや。それよりなにを調べるのかくらい、いい加減教えて下さいよ」
くす「あっ、それ私も気になってた!」
じょる「あ〜……そのうち教えてあげるよ、うん」
みも「今言ってくださいよ」
じょる「と、とにかく極秘の捜査だから! 私が警察だってこともみもちゃんが探偵だってことも内緒だからね!!」
みも「えー……じゃあ私なんて名乗ったらいいんですか?」
じょる「うーん……旅人?」 十分後
みも「くっすん、まだ着かないの?」
くす「地図の通りならもうすぐだと思――」
ガタンッ! ギギギ……ボフッ!
みも「ん? くっすんオナラした?」
くす「してないよ!」
みも「でも今『ボフッ!』って」
じょる「というか車止まったんだけど」
みも「……まさかガソリン入れてこなかったとか言わないよね?」
くす「そんなわけないじゃん、ちゃんと満タンにしてきたよ」
みも「じゃあなんで車動かないの?」
くす「うーん……たぶんエンコしたんじゃないかな」
みも「えー……」
じょる「しょうがないからここからは歩いていこっか」
みも「そんなぁ〜」
じょる「ほら、早く降りて」 くす「くっすん号、いい子にしてるんだよ?」
みも「名前つけてたんだ、その車……」
くす「可愛いでしょ?」
みも「可愛いのはいいんだけどさ、思い切って買い替えたら?」
くす「なんで?」
みも「今みたいにいきなり止まったりするからだよ」
くす「……今日はたまたま調子悪かっただけだもん」
みも「あのメルセデスのカクカクしたやつ乗りなよ。くっすん丸目好きでしょ?」
くす「あれいくらすると思ってるの?」
みも「さあ?」
じょる「ふたりともちゃんと荷物持った?」
みも「あ、はい」
くす「大丈夫っ!」
じょる「んじゃ行くよ」
………………
…………
…… 集落
みも「とうちゃーく!」
じょる「あー疲れた……」
くす「わぁ〜、こんなとこに人住んでるんだ……ん? なんだあれ」トテトテ
みも「あ、くっすんどこ行くの?」スタスタ
じょる「ちょっ、ふたりとも待って……」ノロノロ
くす「げっ、よくわかんないけど不気味な石像だった……」
みも「おー、なんか呪いのアイテムみたい……よく見るとそこら中に似たようなのが置いてあるね」
くす「ほんとだ。気持ち悪ーい」
じょる「……あのさ、少し休まない?」
みも「んー、そですね。どっかに座れそうなとこないかな……?」
りぴ「こんにちは」
じょる「うおっ、びっくりした……」
みも「こんにちはー。えっと、この村の人だよね?」
りぴ「うん。3人ともお疲れみたいだし、よかったらうち来る?」 りぴ宅
りぴ「とりあえずお茶をどうぞ」スッ
じょる「あぁ、ありがと」
みも「どうもー」
くす「いただきまーす」
りぴ「ところで、こんな山奥までなにしにきたの? 仕事かなにか?」
みも「うん、私たんて――」
じょる「みもちゃん」
みも「――じゃなくって、旅人なんだよ。日本中いろんなところを旅してるの。名はみもりんと申す」
りぴ「へ〜そうなんだ。じゃあふたりは旅人の子分かなんか?」
じょる「子分って……」
みも「まあくっすんは子分みたいなものだけど」
くす「え?」
みも「こっちの南條さんはなんというか……えへへ」
りぴ「なるほど」
じょる「なるほど?」 りぴ「あっ、私はりっぴー。よろしくね」
みも「こちらこそよろしく」
りぴ「ちなみに今夜は村に泊まっていくつもり?」
みも「一応そのつもり……ですよね?」
じょる「うん。宿ってどのへんにあるか教えてくれる?」
りぴ「あ〜……そういうのはないんだよね。ここって観光スポットとかもないから」
くす「え……じゃあ野宿するってこと?」
みも「やだよそんなのー」
じょる「テントでも持ってくればよかったなぁ……」
りぴ「あ、うちでよかったら泊まってってもいいけど」
みも「ほんと!? 泊まる泊まる!」
りぴ「ただ……布団が二組しかないから、泊めてあげられるのは――」
みも「ああ、それなら大丈夫。くっすんは床で寝させるから」
くす「私だって布団で寝たいよ!」 みも「あのねぇ、くっすんが布団で寝たら南條さんが床で寝ることになるんだよ? それでもいいの?」
じょる「みもちゃんは布団譲る気ないんかい」
くす「だったら私がなんちゃん警……あっ」
りぴ「なんちゃん系?」
くす「“なんちゃん”と同じ布団で寝るもん! ねー?」
じょる「まあそれでもいいけど……」
みも「えー、なら私が南條さんと寝たい」
りぴ「心配しなくても他に泊めてくれそうな家に連絡してみるから。ちょっと待ってて」スタスタ
みも「……よし、じゃあ誰が一人になるか決めよっか」
くす「オッケー、どうやって決める?」
じょる「前みたいにくじで決めたら?」
みも「いや、くじは失敗しそうな気がするのでじゃんけんにしましょう」
くす「負けた人が一人になるってことでいいよね?」
みも「うん。それじゃいくよ……じゃんけんっ――」 しか宅
しか「いらっしゃい。で、誰がうちに泊まるの?」
くす「……私です」
しか「そう。じゃ入って入って」
くす「はい……」
みも「荷物置いたらすぐ出てくるんだよー?」
くす「わかってるよ……」
ガラガラ……
じょる「すごい落ち込みようだな」
みも「あんなの南條さんが頭撫でればすぐ元気になりますよ」
じょる「そんなんで元気になるかね?」
みも「あのくっすんですから」 ガラガラ
みも「あ、出てきた」
くす「じゃ、行こっか……」
じょる「その前にくっすん、ちょっとおいで」
くす「なに……?」
じょる「よしよーし……」ナデナデ
くす「!!!!!!」シャキッ!
じょる「おっ?」
くす「よーし、はりきって行こう!」スタスタ
みも「ねっ? 私の言ったとおりでしょ?」
じょる「う、うん」
………………
…………
…… みも「ねえ、南條さん」
じょる「んー?」
みも「私とくっすんって南條さんの仕事を手伝うために連れてこられたんですよね?」
じょる「あー、まあ……」
みも「でも仕事の説明をしてくれないんじゃ手伝いようがないですよね?」
じょる「……とりあえず怪しい物とかを適当に探しといてよ」
みも「怪しい物ねぇ……およ?」
くす「なんかあった?」
みも「いや、あっちに女の人が……」
じょる「どこよ?」
みも「あれ? 誰か手招きしてるように見えたんですけど……」
くす「行ってみようよ、どっかに隠れたのかもしれないし」
みも「そだね、行こ行こ」 みも「うへぇ、草だらけ……」
くす「ほんとに人なんていたの?」
みも「いたよ、私見たもん」
くす「じゃあ見間違いじゃない?」
みも「うーん、絶対人だったと思うんだけど……」
くす「ま、たまにはそういうこともあるよ」
じょる「……アサだな」
みも「えっ、もう午後ですけど?」
じょる「朝じゃない、麻。いわゆる大麻だよ」
みも「へー……って、なんでそんなものが生えてるんですか?」
じょる「たぶん自生してるんでしょ」
くす「大麻ってその辺に生えてるものなの?」
じょる「うん、場所によるけどね。大麻は古くから日本各地で栽培されて野生化していた上に――」
じょる「旧日本軍が第二次世界大戦前より軍需品生産を目的として、長野県や北海道などで生産を推奨したから――」
じょる「第二次世界大戦後の大麻取締法の制定後も北海道、長野、東北地方とかに自生しているんだよ」
みも「そうなんだぁ……なんかWikipedia読んだみたいに詳しいですね。よっ、ジョルペディア!」 くす「これだけ生えてたらちょっとくらい採って帰ってもわからなさそうだね」
じょる「言っとくけど葉っぱ一枚でも摘んだりしたら即逮捕するから」
くす「そんなことしないよ〜」
みも「あはは、くっすんもそこまでおバカじゃないよねー」ポイッ
じょる「ん? 今なんか捨てなかった?」
みも「えッ!?!?!? き、気のせいですよ……ね、くっすん?」
くす「いや、私に聞かれても」
みも「そこは嘘でもいいから『うん』って言ってよ!」
じょる「……まあいいや。とにかく保健所に連絡しとこう」スッ
みも「ほっ……」
じょる「あ、ここ圏外だ」
くす「いつものパターンだね」
じょる「まったく山はこれだから……一旦戻って誰かに電話借りよっか」
みも「ですね。ふふんふふふんふーん、大麻が大好き〜♪」スタッスタッ
じょる「やめなさい」スタスタ
くす「落ち着かないなら大麻でも吸えよ〜♪」スタッスタッ
じょる「やめろっての」スタスタ ぱい宅
ぱい「電話?」
じょる「うん。あっちの森に麻が生えてたから、保健所に連絡したくて」
ぱい「えっと……連絡って?」
じょる「ああいうのは犯罪に繋がりかねないからね。しっかり除草しないと」
ぱい「あっ、それなら私が後で電話しておくから大丈夫!」
じょる「そう? じゃあよろしく」
みも「ねえねえちょっと聞いていい?」
ぱい「なぁに?」
みも「こういう辺鄙なとこ来る度に思ってたんだけどさぁ」
じょる「みもちゃん言葉を選ぼうね」
みも「なんでわざわざこんなとこに住むことにしたの?」
ぱい「なんでって、ずっとここに住んでるからだけど……」
みも「えっ、そうなの?」
ぱい「うん。この村の人はみーんなそうだよ」
くす「へ〜、よっぽどこの村が好きなんだねー」 うち「ぱいるちゃん、なにしてるのー……?」フラッ
じょる「ん?」
ぱい「あっ、うっちー! 今お客さん来てるから部屋戻ってて!」
うち「は〜い、ふふっ」フラフラ……
じょる「今のは?」
ぱい「えっと、うっちーはその……」
みも「ふむ……私の推測が正しければ――」ニギッ
ぱい「わっ、なに!?」
みも「ああ、やっぱり。今の子彼女でしょ?」
ぱい「な、なんでわかったの?」
みも「私は選ばれし人間だから!」
ぱい「……?」
くす「にしても随分とご機嫌だったね」
ぱい「あー、たぶんさっきお酒飲んだからじゃないかな?」
くす「ふーん、そっかー」 じょる「……ところで話を戻すけど、この村には昔から住んでるんだよね?」
ぱい「はい」
じょる「じゃああの麻も前から生えてるの?」
ぱい「たぶん生えてたと思うけど……」
うち『ぱいるちゃーん、まだ話終わらないー?』
ぱい「もうちょっと待ってー!」
みも「……あんまり長居するのもあれだし、そろそろ行きましょうか」
じょる「だね」
ぱい「ごめんなさい……」
みも「いいよ、私たちが押しかけたのがいけないんだし」
じょる「さっきの件、よろしくね」
ぱい「さっきの?」
じょる「保健所に電話するって話」
ぱい「あっ、それか。任せてください!」
みも「そんじゃお邪魔しましたー」 道
くす「で、これからどうするの?」
みも「うーん……とりあえず旅人らしく村の人とおしゃべりでもしよっか。いいですよね?」
じょる「ああ、うん」
みも「よーし、それじゃレッツラゴー!」
そら宅
そら「旅人かぁ……ちなみにこれまでどんなとこに行ったの?」
みも「え? あー、えっとね……そうだなぁ……」
じょる「みもちゃん……」
みも「あ、あはは、もう忘れちった!」
そら「ははーん……さては旅人っていうのは嘘だね?」
みも「ギクッ!」
くす「そそそそんなことなななななな……!」
じょる「ふたりとも、おお落ち着いて!」 そら「ズバリ! 3人は心霊マニアでしょ!」
じょる「ゲッ」
みも「しんれー?」
くす「マニア?」
そら「時々来るんだよなー、そういう人。なんかこの村噂になってるんだよね?」
みも「噂って?」
そら「女の霊を見たとか声を聞いたとか、あと物が勝手に動いたりとかって。それ確かめに来たんじゃないの?」
みも「はぁ……」
そら「私から言わせてもらうと、その噂は本当だよ」
くす「えっ……つまり“出る”ってこと……?」
そら「うん。覚悟ができてないなら早く村から出たほうがいいと思う」
みも「またまたぁ」
そら「嘘だと思うなら夜中まで待ってみなよ」
みも「……マジなの?」
そら「ふっふっふ……」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています