ルビィ「魔眼」
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――人と話をするときは相手の目を見て話しましょう――
小さい頃、みんな言われたことがあると思う
でもルビィは未だに人と目を合わせて話せない
友達とも家族とも、……たったひとりのお姉ちゃんとも
それはルビィが極度の人見知りだから
――っていうのは表向きの理由
ホントは―― ―――
花丸「ルビィちゃん」
ルビィ「あ、花丸ちゃん。おはよう」
花丸「うん、おはようずら」
そうそう、ひとりだけ例外がいたんだった
花丸ちゃん――ルビィが唯一目を見て話せるお友だち
前にどうしてか聞いてみたら
「ん〜…寺産まれだから?」
だって
寺産まれってすごい。ルビィはあらためてそう思った 花丸「ルビィちゃんはもう馴れた?」
ルビィ「まだちょっと…でも、すっごく楽しいよ♪花丸ちゃんは?」
花丸「オラは…体力的にかなり厳しいずら…」アハハ…
そう、ルビィたちは今、この浦の星女学院の6人組スクールアイドル・Aqoursとして日々頑張っているのです
…人と目を合わせられないアイドルなんて自分でもどうかと思うけど… 千歌「お〜い!花丸ちゃ〜〜ん!」
花丸「あ、千歌さん」
ルビィ「!」
花丸「おはようございますずら」
思わず花丸ちゃんの影に隠れる
うぅ〜…こういうところ、直していかないと…
千歌「おはよう花丸ちゃん!―――とぉ、ルビィちゃん!」
ルビィ「ピギィ!?」
見つかっちゃった 千歌「もぉ〜相変わらず可愛いなぁ♪」スリスリ
ルビィ「は、離してくださいぃ…」
花丸「あはは…ところで千歌さん、なにかオラたちにご用ずら?」
千歌「おっと、そうだった!…えっとね、今日の部活はPV作りの為に校外に行こうと思うんだ」
千歌「だからひょっとしたらちょっぴり帰るのが遅くなるかもだけど…二人とも大丈夫かな?」
花丸「オラは大丈夫だけど…」
ルビィ「だ、大丈夫!…だと、思います…」
…お姉ちゃんに聞かないと…でも…
千歌「そう?良かった。じゃあまた放課後にねー!」タッタッタ
花丸「はーい」 花丸「…ルビィちゃん、大丈夫?ダイヤさんに怒られない?」
ルビィ「たぶん、大丈夫だと思う…お昼休みに聞いてくるね」
花丸「オラもついていってあげようか?」
ルビィ「ううん、ひとりで大丈夫」
花丸「そう」
ルビィ「…うん」
大丈夫、たぶん
でも大丈夫だからこそ、ルビィは―― ―――
コンコン
ルビィ「お姉ちゃん…」
ダイヤ「どうしたんですの?」
ルビィ「実は…今日ちょっと遅くなるかもって…」
ダイヤ「遅く?」
ルビィ「うん…千歌さんが入学希望者を増やすために、PV作るんだって言ってて…」
今までのお姉ちゃんなら…
ダイヤ「…分かりましたわ。お父様とお母様に言っておきますわ」
ルビィ「いいの?本当に?」
ダイヤ「ただし、日が暮れる前には帰ってきなさい」
やっぱり…… Aqoursに入るとき、花丸ちゃんの計らいでお姉ちゃんと話をした
その時ルビィはお姉ちゃんの「目を見て」はっきり言ったんだ
スクールアイドルがやりたいです、って
――そんなつもりじゃなかった
ただ、分かってもらいたくて必死だった
でも結果的にお姉ちゃんはそれ以来ちょっぴりルビィに優しくなった
ルビィのこの目のせいで―― ―――
千歌「一緒にやりませんか?スクールアイドル!」
ルビィ「お姉ちゃん…」
ダイヤ「残念ですけど、ただ、貴女達のその気持ちは嬉しく思いますわ」
ダイヤ「お互い頑張りましょう」
ルビィ「あ…」
今、一瞬…
ううん、それよりも!
お姉ちゃん、我慢してる…? 曜「ルビィちゃん…生徒会長って前はスクールアイドルが…?」
ルビィ「はい…ルビィよりも大好きでした」
それなのに…
千歌「――っ!」
!!だ、だめ…っ!!
ルビィ「今は言わないで!」
目を…見ないように…!
千歌「ルビィちゃん…」
ルビィ「ごめんなさい」
たぶん、今誘ったら…
今誘っちゃったら…きっと―― ―――
花丸「ホントにいいの?」
ルビィ「うん、ちょっとやりたいこともあるから」
花丸「……わかったずら。じゃあ、また明日ね」
ルビィ「うん、バイバイ」
放課後、花丸ちゃんと別れてひとり部室へ
今日は部活お休みなんだけど、わすれものを取りに行かなくちゃいけなくて、それに… ―――
カタカタカタ
本当なら誰もいないはずの部室から音がする
善子「」カタカタカタ
ルビィ「ヨハネちゃん」
善子「!?…なんだルビィか…知らないの?今日は休みよ」
ルビィ「うん、ちょっと…」
善子「ふっ…わかったわ!このヨハネの美貌に惹かれて私の禁忌の領域《テリトリー》へ堕天して《迷い込んで》しまったのねリトルデーモン!」
ルビィ「わすれものを取りにきたの」
善子「…あっそ」 ルビィ「ヨハネちゃんはどうして?」
善子「これよ、これ。理事長にバカにされたまんまだと悔しいじゃない?だからもっかい編集し直してたの」
ルビィ「あ、この間のPV…?」
善子「そ」
ルビィ「…ヨハネちゃんって善い子だよね」
善子「は、はぁ??堕天使が善い子なわけ――いや…そ、そうね!悪魔的に善い子なのよ!悪魔的に!」
ルビィ「ルビィとは大違い…」ボソッ
善子「?」 善子「」カタカタカタ
ルビィ「」ペラリ
善子「……」カタカタカタ
ルビィ「」ペラリ
善子「――ねぇ?」
ルビィ「?」
善子「帰らないの?」
ルビィ「!ご、ごめんなさい!迷惑だったよね!ルビィ気が利かなくて――」
善子「あっ!ち、違う違う!そうじゃなくってぇ!」 善子「その、わ、私といても退屈なんじゃないの?っていうか…そんな雑誌なら帰ってゆっくり読んだ方がいいんじゃないの?っていうか…」
ルビィ「……家には、お姉ちゃんがいるから…」
善子「!…そっか、生徒会長…」
善子「……わ、悪かったわね、その、好きなだけ読んでくといいわ」
ルビィ「ありがとう善子ちゃん!」
善子「ヨハネよっ!」
ふふっ…善子ちゃんはホントに善い子なんだなぁ♪ 善子「」カタカタカタ
ルビィ「」ペラリ
善子「」カタカタ…ッターン
ルビィ「」ジー
善子「…」
ルビィ「」ペラリ
善子「……そういえばさぁ」
善子「――ルビィって、目、綺麗よね」
ルビィ「!?!?」バッ
善子「あっ、合った」ジッ 善子「…こうしてみるとホント生徒会長と同じ色してるわね」
合っちゃった!逸らさなきゃ!でも――
善子「でもやっぱりルビィの方が綺麗に見えるわ。なんでかしら?」
――善子ちゃんの瞳…キレイ…
吸い込まれそうな赤で、でもそれだけじゃなくて
ちょっぴり紫がかって、それが少し妖しくて――
善子「…ルビィ?」
はっ!!!!
ルビィ「み、見ないでっ!!」
善子「!?」 善子「ご、ごめん…!」
やっちゃった――!
善子「なんか目が合ったのが珍しくてつい…嫌だった?」
善子ちゃんも…やっぱり…
ルビィ「ぅ…」
ルビィ「うわぁぁぁああああん!!」
ああ、壊しちゃった――
善子「ち、ちょっと、そんなに?!」
ルビィ「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
ルビィ「うあああああ〜〜〜ん!!」
善子「ちょ…!なんでルビィが謝んのよ!意味わかんない!」
ルビィ「ごめんなさい〜〜善子ちゃんを歪めちゃったああああ〜〜」ボロボロ
善子「は?」 ルビィ「善い子なのに、お友だちになりたかったのにぃぃ〜〜」
本当のお友だちになりたいって、なれるかもって
でも、もう――
ルビィ「全部壊しちゃったぁぁ〜〜」
ルビィ「こ"め"ん"な"さ"い"ぃ"ぃ"ぃ"〜〜〜」
ルビィが
全部
この目で――!
ルビィ「う"あ"あ"あ"あ"あ"〜〜ん"」 ―――
善子「――落ち着いた?」
ルビィ「うん、ごめんなさい…」
善子「だから、謝んなくていいってば。そもそも何に謝ってるのか知らないけど…」
ルビィ「ぅ…」ジワッ
善子「も、もー!泣くんじゃないわよー!」
ルビィ「ご、ごめんなさい…」
善子「ハァ…謝るかわりにさ、教えてくれない?」
ルビィ「…」
善子「さっき言ってた、私を歪めた、とか壊した、とか言ってたの…」
善子「あれ、どういうこと?」 ルビィ「…」
善子「ひょっとして、言いたくないの?」
ルビィ「ううん、でも――」
善子「でも?」 ルビィ「――ルビィがこれから言うこと、信じられないかもしれないけど、信じて欲しい」
善子「私が言うのもなんだけど、それは話の内容によるわね」
善子「……ホント、私が言うのもなんだけど、ね、」
ルビィ「…ふふっ」
善子「やっと、笑ったわね」
ルビィ「あ――」
善子「良いのよ、それで。辛気くさい顔して話されるよりよっぽどマシだもの」 善子「さ、聞かせて頂戴。どんな話でも、とりあえず最後までちゃんと聞くから」
ルビィ「…ありがとう、善子ちゃん」
善子「ヨ…っ!まあいいわ、続けて」
ルビィ「――ルビィの目にはね、昔から不思議な力があるの」
善子「…」
ルビィ「それは、ワガママを通す力…他の人にルビィのワガママを無理やり認めさせる力なの」
善子「…へ?」 ――小さい頃のルビィってね、すごくワガママな子だったんだ
欲しいものがあればすぐに欲しいって言っちゃうし
嫌なことがあればすぐに嫌だって言っちゃうような、そんな子だった
普通って思う?
うん、確かにここまでなら普通かもしれない
でもルビィの場合はちょっと違ったんだ
だってルビィのそういうワガママは誰も断らなかったし、ルビィもそれを知っててワガママを言ってたんだから―― ルビィが「それ」に気づいたのがいつだったかはもう覚えてないけど、少なくとも小学校に上がる頃にははっきりと自覚してた
ルビィが相手の目を見て言ったワガママは絶対に通る、ってこと
相手の意思や、人格さえも歪めてしまいかねないこんな力は、本当なら絶対に使っちゃいけないモノだって思う
でも、当時のルビィはそんな危険な力でもラッキーくらいにしか思ってなかったんだ
――だから、平気で色んな人を傷付けてきた
そして、そんなことにも気付かず能天気に過ごしてたんだ
あの時までは―― あれは忘れもしない、ルビィが小学六年生の時だった
ルビィのお家はかなり厳しくて、習い事なんかもたくさんやらされてた
でもルビィは先生たちに「お願い」してけっこうサボってたんだ
お姉ちゃんはそんなルビィを良く思ってなかったみたいだけど、ルビィは「お姉ちゃんみたいに上手に出来ないんだから仕方ないじゃん」って思ってた
…今考えるとやってないから出来ないのは当たり前なんだけど
そしてあの日…2月9日もそうやってお稽古をお休みした日だった その夜
なんとなく寝苦しくて夜中目を覚ましたら、居間の方から言い争うような声が聞こえてきたんだ
なんだろうと思ってそっとふすまの隙間から中を覗いたら、そこにはすごい剣幕で両親に詰め寄るお姉ちゃんの姿があった
『どうして!』
『たった1日なのに!それでも駄目なのですか?!』
『だったら翌日のお稽古を倍にしても……なんでよ!!』 どうやらお姉ちゃんは明日のお稽古を休みたいとお願いしてるみたいだった
両親の顔はこっちから見えなかったけど、お姉ちゃんの態度からおおよその見当はつく
お姉ちゃんのお願いは、通らなかったんだ――
諦めて引き上げるお姉ちゃんが呟いた言葉は、今でもルビィの耳に残ってる
『ルビィなら、きっと……っ!』
『――こんな家に、生まれなければ良かった――!』ギリッ
――お姉ちゃんはこの町が大好きで、この町に貢献してるこの家が大好きで
いつも黒澤の名前を誇りに思ってる人だった
そのお姉ちゃんがあんなこと――
ううん、あんなのは本心じゃない
わかってる
でも――
あれを言わせたのはわたしだ
なんでも出来るお姉ちゃん
何をやっても敵わないお姉ちゃん
そんな完璧なお姉ちゃんにも出来ないことが唯一出来るのがこの目だった
だから、わたしは――
でもそのせいでお姉ちゃんを歪めてしまった
お姉ちゃんを壊してしまった
ルビィの大好きな、立派なお姉ちゃんを
この目の力で―― ルビィ「――だからルビィはその次の日、禊のつもりで髪をばっさり切ってから、最後の「お願い」を両親にしたの」
善子「最後のお願い?」
ルビィ「うん。習い事を全部辞めさせてくださいってことと、お姉ちゃんを1日だけ休ませてあげてくださいって」
善子「…そう」
ルビィ「……」
善子「?どうかした?」
ルビィ「ううん、お姉ちゃんは…何かを察したのか何も知らないのかわからないけど、ルビィが辞めるって言ったとき、今の善子ちゃんみたいに「そう」って一言だけだったな、って」
善子「…」 ルビィ「――これで、全部です」
ルビィ「信じて、くれますか?」
善子「……信じないこともないわ、でも――」
ルビィ「でも?」
善子「ひとつ、条件があるの」
ルビィ「条件って?」
善子「ルビィの目、もう一回よく見せてくれない?」
ルビィ「!!」 ルビィちゃんっておどおどしてるし不思議な目を持ってるならバジリスクの朧っぽい感じするな ルビィ「だ、駄目!」
善子「なんでよ?ルビィが「お願い」をしなけりゃいいだけじゃないの?」
ルビィ「それでも駄目なの!」
善子「どうして?」
ルビィ「…昔の記憶だから曖昧だけど…ルビィが「お願い」しなくても、ルビィの目を見た人がその後に他の人から何かお願いされたら思わずきいちゃうってことが何回かあったの」
ルビィ「だから、見るだけでも危ないと思う…」
善子「へぇ…」 善子「それはますます試したくなるわね♪」
ルビィ「?!だ、駄目だよ!善子ちゃんが善子ちゃんじゃなくなっちゃう!」
善子「そんなことないから。いいから見せてよ」スッ
ルビィ「やだ!駄目だよぉ!」パッ
善子「いいから見せなさいってばー」グイッ
ルビィ「止めて!なんでそんないじわるするの?!」グググ
善子「いいからいいから」グググ
ルビィ「駄目っ!もうどっか行ってよ!!善子ちゃんのバカぁーーっ!!」
善子「!!」 善子「…」
ルビィ「――あ」
また、やっちゃった――
善子「……」
ルビィ「あああ……っ!」
バカは、わたしだ…っ!
なんてこと―― 善子「ククク…ッ」
――?
善子「やっぱりね」
善子、ちゃん――?
善子「ルビィ、あんたのその目、私には効かないわよ」
!? ルビィ「ええっ?!」パッ
ルビィ「あ…っ!」
善子「効かないって言ってるでしょ?いいわよ、こっち見ても」
ルビィ「でも…」
善子「ハァ…察し悪いわねぇ、いい?」
善子「ルビィは最初に私に「見ないで」って言ったけど、私の見たいって気持ちは消えなかったわ」
善子「それに、ルビィの「信じて欲しい」って話も無条件では信じられなかった」
善子「…というより今でも半信半疑なのよね」
善子「つまり…?」
ルビィ「…!」 ルビィ「本当に…?」
善子「だからそう言ってるじゃない」
ルビィ「よ…」
ルビィ「良かったぁぁ〜〜」ポロポロ
善子「そうね、良かったわね」
ルビィ「ぅああぁぁあああ〜〜ん」ギュッ
善子「」ポンポン ―――
ルビィ「でも、なんで?なんで善子ちゃん――」
善子「ヨハネ!」
ルビィ「…ヨハネちゃんには効かないのかな?」
善子「そんなの決まってるじゃない」
ルビィ「?」
善子「私が堕天使だからよ!」
ルビィ「そ、そう…だね、あはは…」
善子「全っ然信じてないでしょ?!」
ルビィ「そ、そんなことないよ?!」 善子「――実はね、ルビィ」
ルビィ「?」
善子「あ、いや…うーん、どうしようかしら…」
ルビィ「どうしたの?」
善子「………」
ルビィ「??」
善子「…ま、ルビィはちゃんと話してくれたしね」
ルビィ「う、うん…」
善子「――これから私が言うことは、そうね…信じても信じなくてもいいわ」
ルビィ「うん…ん?」
善子「実はね、私もルビィと同じ、魔眼の持ち主なのよ」
ルビィ「!?」 ルビィ「魔眼、って?」
善子「そのままよ。魔力を持った目のこと…私や、ルビィみたいなね」
ルビィ「ヨハネちゃんも…?」
善子「ええ、ルビィとはちょっと違う能力《ちから》だけど」
ルビィ「力…?」
善子「ルビィのはお願いを通す…言ってみれば洗脳系の能力《ちから》ね」
ルビィ「…ヨハネちゃんのは?」
善子「私のはちょっと特殊でね…無効化系の能力《ちから》なの」
ルビィ「無効化?」
善子「そ。私に魔眼は効かない。そしてその気になれば相手の魔眼を封じる事も出来る」 ルビィ「!?ひょっとして…!」
善子「あら?今度は察しがいいじゃない」
善子「そう、ルビィの魔眼は封じさせて貰ったわ。さっき目が合った時にね」ククク
ルビィ「ほんとに…?」
善子「ええ、だからもう私以外にも魔眼は使えないわよ」
ルビィ「だったら…これからは…」
善子「誰と目を合わせても、何も起こらないわ。まあ起こしたくても、私がいる限りは不可能だけどね」
善子「どう?能力《ちから》を奪われた気分は?悔しい?それとも悲しい?」
善子「でも残念。これからは普通の人間として生きなさい!」
善子「くっくっく…あーっはっはっは!」 ルビィ「」ダキッ
善子「へ?」
ルビィ「ありがとう!善子ちゃん!」
善子「ヨハネよっ!てかなんで感謝してんのよ!」
ルビィ「これで…これでルビィは普通の子になったんだよね?」
善子「まあ、そうね」
ルビィ「ありがとう…ほんとにありがとう…!」ギュウウ
善子「能力《ちから》を失って感謝するなんて…いみわかんない」
――― ―――
――ルビィは今まで色んな人の心を傷付けてきた
その事実は変わらない
その人たちに償う術もない
けど
ルビィはもう下を向かないって決めたんだ
赦されないかもしれない
ううん、たとえ赦されないとしても
ルビィはアイドルとして、もっとたくさんの笑顔をつくることで償っていきたいと思う
ルビィの目はもう下じゃなく、前を向いているんだから ――そして、今
一番言いたかったあの人に
一番言いたかった言葉を
やっと伝えられる
ちゃんと目を見て
にっこり笑って言うんだ
「親愛なるお姉ちゃん…ようこそ、Aqoursへ!」
善子「ま、ハッピーエンドね」 ――この時はまだ、誰も知らない
このヨハネがルビィの魔眼《め》を封じた事で、この内浦にあんな災厄をもたらすことになろうとは――
HAPPY END・・・?
――第1部 完―― 無効化の能力を自覚してるってことは過去に能力持ちと対峙したことあるってことよね 一年生組が全員魔眼持ちの可能性
とりあえず乙、続きに期待 ルビィを安心させるため咄嗟についた嘘ではなかったのね
期待 ヘ `¶cリ˘ヮ˚)|ヘ いいぜ
|∧
/ /
.`¶(˘ヮ ˚レ|| / ルビィが何でも
/( ) 思い通りに出来るってなら
`¶cリ˘ヮ˚)|ヘ三 / / >
\ (\\ 三
`¶/ヮ˚)|ヘ < \ 三
.( /
/ く まずはそのふざけた
幻想をぶち殺す 目を合わせてお願いすると絶対きいてくれる…
東京にもそんな人が居ましたね… 善子「この話、信じるか信じないかは――」
善子「あなた次第です!」
ルビィ「ヨハネちゃんには本当に不思議な力があると――」
ルビィ「感じざるをえません!」 条件ゲーム提示能力的なやかと思ったらシンプルな催眠だた
期待 ――第2部予告――
ヨハネ「――まさか、こんなことになるなんて…」
鞠莉「それはこっちのセリフでーす」
ヨハネ「鞠莉さん?!」
鞠莉「まっさかこんな短時間に四つの封印のうち、二つもbreakされるなんて…ねえ」
ヨハネ「鞠莉さん…貴女は、一体……?」
鞠莉「…私は監視者《surveillant》。封印を見守り守護するもの」
鞠莉「――とはいえ、協会の話では能力《ちから》の弱い松浦に付いてれば安心なハズだったんだけど…まさか国木田と黒澤が先に狙われるなんて――」
鞠莉「――ヨハネ、貴女こそ何者なの?」
――― ―――
梨子「もうすぐよ…もうすぐ揃うから…そしたらあなたを解放して――」
ヨハネ「桜内梨子ォォ!!」
梨子「――あら、もうリリーって呼んでくれないの?よっちゃん」
ヨハネ「…そんな名前で呼ばないで!私はヨハネよ!」
梨子「怖いなぁ、そんな魔眼《め》で睨まないでよ」クスクス
ヨハネ「――ねぇ、アンタでしょ?アンタが…千歌さんの魔眼《め》を…っ!」
梨子「うふふ、高海の魔眼使いが持つ「奇跡の魔眼」が一番厄介で、でも私には一番必要だったからね。よっちゃんのおかげで助かっちゃった♪」
ヨハネ「…もう許さない…絶対にアンタを止める!」
梨子「う〜ん、よっちゃんに出来るかなぁ?…っと、やっと来たようね」
鞠莉「……」
梨子「これで四つの封印の能力《ちから》がここに揃った。いよいよ始まるわ――」
――― ―――
ヨハネ「『魔眼』第二部 魔眼使いの饗宴《Guilty Eyes Fever》近日降臨!」ギランッ
――― 花丸「――やめるずら」ビシッ
善子「あたっ!」
善子「ちょっと、なにするのよずら丸!」
花丸「善子ちゃん、さすがに妄想が過ぎるずら」
善子「なによ!妄想が止まらない時はむしろ止めずに心ゆくまで、が私たちのモットーでしょ?!」
花丸「それにしたって、だよ。いくらなんでも限度があるずら」
善子「ぐ…っ!」
花丸「それにそもそも…」 ―――
ずら丸「――ヨハネちゃんの能力《ちから》は無効化なんかじゃないくせに」
ヨハネ「フン、まぁね」
ずら丸「無効化はもともとオラの…国木田の「封じの魔眼」の能力《ちから》ずら」
ずら丸「それをヨハネちゃんが――」
――― 花丸「――だからやめるずら」ズビシッ
善子「はうっ!」
善子「なにするのよ!ここから封じられたアレが復活したり、その影響であの人があんなことになったり、その結果あの人を救うには過去に飛んでアレをああしなきゃだったり――」
善子「そんな大長編が、今まさに始まろうとしているのよ?!」
花丸「…そんなことで人のセリフを途中から奪わないで欲しいずら…」ハァ 花丸「そもそも!」
善子「…」
花丸「善子ちゃんだって気付いてるんでしょ?そもそも…」
花丸「元々善子ちゃんにも、もちろんルビィちゃんにもそんな特別な力なんて無いってこと」
善子「……まぁね」 花丸「わかってて、あんな作り話までして助けてあげたんでしょ?ルビィちゃんのこと」
善子「……なんでずら丸が私とルビィの会話知ってるのよ?」
花丸「だって、聞いてたもん」
善子「はぁ?!」
花丸「部室へ向かうルビィちゃんがなんか変だったから心配で後をつけたんだ」
善子「ぬ、盗み聞きとは関心しないわね…」
花丸「うふふ、善子ちゃんてばほんと善い子ずら♪」プププ 善子「う、うるさいっ!だいたい、知ってたんならずら丸がなんとかしてあげれば良かったのよ!」
花丸「それは無理ずら。オラには真実を告げることくらいしか思い付かなかったから…」
花丸「でもそれをするとルビィちゃんはきっと…」
善子「……」
花丸「だから善子ちゃんにはしばらくルビィちゃんのサンタさんでいてあげて欲しいんだ」
花丸「お願い、善子ちゃん」
善子「……ヨハネよ。まあ、乗りかかった船だしね、やってやるわよ」
花丸「うふふっ、やっぱり善子ちゃんは善い子ずら♪」
善子「だからヨハネだってばぁ!」 ―――
ルビィ「ヨハネちゃ〜ん!花丸ちゃ〜ん!」タッタッタッ
ルビィ「遅くなってごめんね、待たせちゃった?」
花丸「もういいの?」
ルビィ「うん!あとは持ち帰ってもう一回見直してみるって」
善子「あんなキツい練習の後なのにご苦労なことね」
ルビィ「そうだよね、果南さんと同じステージに立てるのがよっぽど嬉しいみたい」
花丸「違うよ」
ルビィ「え?」 花丸「善子ちゃんが言ってるのはルビィちゃんのことずら」
ルビィ「そ、そうなの?」
善子「ま、まあ…そうとも言えなくもないわね」
ルビィ「…!ありがとうヨハネちゃん♪でも大丈夫!がんばルビィ♪」グッ
善子「そ、そう…なら、良いのよ」
花丸「ルビィちゃんも嬉しいんだもんねー?」
ルビィ「??」
花丸「ダイヤさんとスクールアイドル出来るのが♪」
ルビィ「えへへ…うん♪」 善子「――さあ、行きましょうか。いつまでもこんなところで立ち話してても仕様がないでしょ?」
花丸「それもそうずらね」
ルビィ「うん♪行こう行こう♪」グイッ
花丸(おっとお)
善子(…当たり前のように真ん中に入って来たわね。しかも…)
よしまる(両方の腕に手をまわしてるッ!)
ルビィ「♪♪」 てくてく
ルビィ「ところで…さっきふたりで何を話してたの?」
善子「ぅえっ!?な、何をって?」
ルビィ「なんか盛り上がってたみたいだから…何の話かな〜って」
善子「そ、それは…その…」
ルビィ「」ジー
花丸「善子ちゃんはサンタさんみたいだね、って話してたんだよ」
善子「ずら丸?!」
ルビィ「サンタさん…?」 花丸「善子ちゃんの堕天使も年に一度くらいは役に立つっていう…」
善子「それトナカイの方じゃないの!!」
ルビィ「…ふふっ、あはははっ♪そうかも♪」
花丸「ほら、ルビィちゃんだって」
善子「ちょっとぉ…」
ルビィ「ヨハネちゃんはルビィにおっきなプレゼントくれたもん。だからルビィのサンタさんだよねっ!」キラキラ
善子「ああそういう」フイッ
ルビィ「…でも悪い子のルビィにプレゼントあげちゃったから悪いサンタさんだね」
花丸「堕サンタずら」
善子「だっさ!?」 善子「せめてブラックサンタと呼びなさい。忌まわしき黒きサンタクロースと!」
ルビィ「わあ、格好いい!」
善子「ふふん♪」
花丸「あ、でもブラックサンタって本当にいるんだよ」
善子「へ?」
花丸「悪い子の寝てるベッドに豚の臓物をぶちまけに来るずら」
ルビィ「なにそれ怖い!」
善子「はーいやめやめ!サンタしゅーりょー!」 ルビィ「でもルビィはヨハネちゃんに感謝してるからね♪」
善子「…ふん、まあ好きにしなさい」プイッ
ルビィ「むぅ…」
花丸「ルビィちゃん、どうしたの?」
ルビィ「…善子ちゃんルビィと目が合うとすぐそらす…」ムスー
善子「そ、そんなことないわよ?」
ルビィ「ほんと?!」パッ
善子「え?ええ…」フイッ
ルビィ「ほらぁ!」
花丸「ま、まあまあ…」 ルビィ「なんでそらすのー!」
善子「い、いいでしょ別に!」
ルビィ「やだ、ルビィは善子ちゃんの瞳好きだからもっと見たい!」
善子「ヨハネ!もう!わがまま言わない!」
ルビィ「善子ちゃんはルビィが嫌がっても無理矢理見たがったクセにぃ!」グイッ
善子「この…っ!」パシッ
善子「いい加減に……しなさぁぁい!!」ギリギリギリ
ルビィ「ぴぎゃぁぁあああ!!!」
花丸「はーい、そこまでずらー」パンパン ルビィ「」ムスー
花丸「――暴力は良くないけど…ルビィちゃんもあんまり善子ちゃんを困らせたらダメだよ?」
善子「まったく…ルビィってこんなわがままだったっけ…?」
ルビィ「…」
善子「もう…いつまで拗ねてんのよ?今日はルビィがどこか寄りたいところがあるって言ってたんでしょ?」
花丸「ねえルビィちゃん、急がないと帰りが遅くなっちゃうよ?」
ルビィ「…ふふっ」
よしまる「?」 ルビィ「ふふ、悔しいなぁ、もう」ニマニマ
花丸(悔しいって…ルビィちゃん笑ってるずら…)ヒソヒソ
善子(ど、どうしちゃったの…?)ヒソヒソ
ルビィ「思い通りにならないのは悔しいけど…でも、これでいいんだ…」
ルビィ「ルビィのわがままが通らないって、嬉しいね♪」ニコッ
よしまる「」ドキッ
花丸「あ、ああ〜なるほど、そういうことずらかぁ〜」
善子「よ、良かったわね〜」 ルビィ「――でもちょっと嫌なのも本当」
花丸「なにが?」
ルビィ「ルビィ、ヨハネちゃんにホントは嫌われてるのかな、って…」
善子「!!」
ルビィ「だって避けられてる?のは事実だから…」
花丸「…だって、善子ちゃん?」
善子「……」 ルビィ「うぅ…」
善子「――っしょーがないわねー!」
善子「言わないでおこうと思ったけど、そんなに気になるなら教えてあげるわよ!」
ルビィ「ほんと?!」
善子「ホ、ホントだから、そんなに顔を近付けないの!」
ルビィ「あ…ご、ごめんなさい…」
花丸「…ふふっ」 善子「…実はね」コホン
善子「――私の魔眼《め》は、ルビィの能力《ちから》を封じた影響で少し変化しているの」
ルビィ「変化?」
善子「そう、とは言ってもほんの少しだから普通の人には影響ないんだけど…ルビィみたいに好意をもって自分から私の魔眼《め》を凝視したりすると…」
ルビィ「すると…?」ゴクリ
善子「軽く魅了《チャーム》がかかるみたいなのよね」
ルビィ「それってルビィの…?」
善子「ええ、そうだと思う」 善子「だからあまり私の魔眼《め》を直視するのは…」
ルビィ「――わかった」
善子「わかってもらえたのなら、良かったわ」
ルビィ「ごめんねヨハネちゃん、ルビィのせいで…」
善子「…それは違うわ。私に降りかかる不幸はそれだけ天界が私を恐れている証」
善子「その不幸をねじ伏せてこそ、堕天使ヨハネの翼は黒く、気高く、漆黒の耀きを放つのよ!」
善子「だから、ルビィが気にすることは無いの。これは私の問題、ヨハネへの試練なの。わかった?」
ルビィ「…うん」
花丸「おお〜〜」パチパチパチ 花丸(なんとか誤魔化した…さすが善子ちゃん)
花丸(それでこそオラが見込んだだけのことはあるずら)
花丸(でも――)
ルビィ「でも――」
善子「?」
ルビィ「でも、もう手遅れかも」
善子「…どういうこと?」
ルビィ「だってルビィは…」
ルビィ「もうヨハネちゃんの瞳に魅了されてリトルデーモンになってるから」ジーッ
善子「!?」 ルビィ「ヨハネ様のリトルデーモン、黒澤ルビィ♪一番ちっちゃい悪魔…かわいがってね♪」キラッ☆
善子「?!?!」ドキッ///
善子(なによ…っ!)
善子(なんなのよこれ!反則じゃない?!)
善子(やっぱり特別な力なんてなくても全開のルビィは十分凶悪だわ!こんなの耐えられるわけ――)ハッ
善子(!?さてはずら丸のヤツ、こうなるのが分かってて…?)チラッ
花丸(御愁傷様ずら)ナムー
善子(こんの…っ!)
ルビィ「ヨハネちゃん…?」 ルビィ「やっぱり…嫌だった…?」
善子「そ――」
花丸「そんなことないずら。ねー?善子ちゃん?」
善子「?!」
ルビィ「ほんとう…?」
善子「え、ええ、ちょっと…ほんのちょっとだけね、びっくりしただけよ」
善子「――意外と様になってるじゃない…良かったわよ、リトルデーモンルビィ」
ルビィ「やったあ♪」
花丸「良かったね、ルビィちゃん♪」 善子(ちょっとずら丸!あんたあのルビィの破壊力知ってて押し付けたでしょ!あんなの耐えられないわよ!)ヒソヒソ
花丸(まあまあ、オラも手助けするから、善子ちゃんがんばルビィずら♪)ヒソヒソ
ルビィ「どうしたのふたりとも?」
善子「い、いや、別に何でもないわよ?!」
花丸「いやあ、ルビィちゃんがあんまり可愛いからオラもリトルデーモンになろうかな?って話してたんだよ」
ルビィ「そうなの?!やろうやろう♪」
善子「ちょっ…ええ?!」 花丸「コホン、では…」
花丸「善子ちゃんのリトルデーモン、マルずら。ちょっぴりくいしんぼうの悪魔…かわいがってずら♪」マルッ〇
ルビィ「わあ♪可愛い可愛い♪」パチパチパチ
善子「やるならせめてヨハネって言いなさいよぉ!」
花丸「善子ちゃんは善子ちゃんずら」
善子「あんた絶対リトルデーモンやる気ないでしょーが!」
ルビィ「あはははっ♪」 うふふ♪楽しいなぁ…♪
…あの時、勇気を出して部室に行って良かった
こんなにたくさんの夢が一気に叶うなんて…
スクールアイドルがやりたい
お姉ちゃんにスクールアイドルに戻ってもらいたい
お姉ちゃんと一緒にスクールアイドルがやりたい
そして―― 善子「ルビィもなんか言ってやってよ!」
花丸「無駄ずら。ルビィちゃんはオラの味方だもん」
善子「ちょっと!今は私のリトルデーモンでしょ?!」
そして
花丸ちゃんと、善子ちゃんと
ふたりと本当のお友達になりたい!
…こんなにたくさん叶ったのに、その上みんなで一緒にラブライブまでなんて、わがまま過ぎるかな? でも、いいんだよね
もうわがまま言ってもいいんだよね
だってルビィはもう普通の女の子で
奇跡を起こすスクールアイドル・Aqoursのメンバーなんだもん!
花丸「…ルビィちゃん?」
善子「ルビィ?おーい、聞いてるー?」
ルビィ「――ふふっ♪」
よしまる「?」 ルビィ「ルビィ…ルビィね」
ルビィ「ふたりのこと―――大好きだよっ♪」ダキッ
よしまる「――っな!?」カァァッ///
ルビィ「だから―――」
だから
どうか
ずっと、ずっと一緒にいてほしいな――
「お願い」します
――なんてね♪
おしまい Guilty eyes fever編にマジで期待しそうになったけど、これはこれで貴重な展開だった
乙 そうきたか〜
なるほど面白かった乙ですルビィちゃん可愛い 乙乙
まぁルビィちゃんに見つめられてお願いされたらそりゃ断れないよな
善子の妄想の方もめっちゃ面白そうで中二心がくすぐられたわ
板復帰(NG!:Gather .dat file OK:NOT moving DAT 724 -> 724:Get subject.txt OK:Check subject.txt 724 -> 724:fukki NG!)1.50, 1.16, 0.98
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