雲から金色が滴り、山肌にはっきりと陰影が浮かぶ。
「私と、付き合って下さい」
 金木犀の香りのように甘い酸っぱい声で、彼女は言う。
 胸に殴られたような衝撃が走る。澄んだ空高くまで響き渡る無音。たった一言、一言にどれだけ強い力があるのかと思い知らされる。