【SS】千歌「我ら天駆亜九人集、参る!」
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時は天正18年(西暦1590年)――
世に聞こえる天下人、豊臣秀吉が関東の北条を攻めんとし、天下統一を間近に控えた時代。
伊豆国を治めるいち大名に過ぎなかった小原家――
父の死後、家督を継いだ小原家当主・小原鞠莉は、突如として乱心し、暴虐の限りを尽くしていた。
果てには「悪亜集」なる軍門を組織し、秀吉の首を獲らんと野望を抱く。
終わらぬ破壊と略奪に、伊豆の民は絶望の底へと落とされていた。
しかし、地獄の中でも、希望を捨てぬ者がいた。
侍に憧れる、ひとりの少女。
彼女が、小原家に対抗を続ける水軍の棟梁、そしてひとりの謎めいた旅の浪人と邂逅した時、
歴史の影に埋もれた、とある九人の物語が幕を開ける――
VIPQ2_EXTDAT: checked:vvvvv:1000:512:----: EXT was configured 花丸「・・・・・・所詮人間は、この広い世界の中で見れば、ちっぽけな存在」
花丸「仏様の前では、人も、鳥も、獣も、虫も、みんな同じ。平等に生きて――そして等しく死ぬ存在」
花丸「あの、悪亜集の人たちがあそこで命を落としたのも、それもまた仏様の御心なのかもしれないずら」
ルビィ「花丸ちゃん・・・・・・」
梨子「だけど・・・・・・!」
花丸「・・・・・・・・・」
花丸「・・・・・・でもそれは、ごく普通の女の子には、辛すぎる現実なのかもしれないずらね」
梨子「・・・・・・・・・」
梨子は――
ぎゅっ、と、拳を握り。
意を決して、顔を上げた。
梨子「あの・・・・・・ルビィさん、と言いましたよね」
ルビィ「は・・・・・・はい?」
梨子「――頼みがあります」 〜内浦の村〜
千歌「・・・・・・・・・」
トボトボ…
曜「帰ってきたね・・・・・・」
千歌「・・・・・・うん」
曜「私は、一人暮らしだからいいけれど・・・・・・もう、昼過ぎになっちゃってるし」
曜「千歌ちゃん、美渡さんに怒られちゃうかもね」
千歌「うん・・・・・・」
曜「・・・・・・・・・」
スタ…スタ…
――帰ってきた、ふたりの表情は暗く。
言葉も少ない。
意を決して――曜が、千歌に向き合う。
曜「・・・・・・千歌ちゃん」
曜「やっぱり・・・・・・やめる?」
千歌「」ピタッ
曜「千歌ちゃんが、つらいなら・・・・・・私・・・・・・」 千歌「・・・・・・・・・」
パッ
千歌「な、何言ってるのさ、曜ちゃん! 私、全然平気だって!」
顔を上げた、千歌の笑顔は――
引きつっていた。
千歌「だって私、侍になるんだもの! こんなことくらいじゃへこたれてられないよ!」
曜「千歌ちゃん・・・・・・」
千歌「こ、こんな、こと・・・・・・くらい、じゃ・・・・・・」
ブルッ…
千歌「わ、私は・・・・・・侍になるって、覚悟を決めて・・・・・・覚悟・・・・・・を・・・・・・」
曜「・・・・・・・・・」
千歌「ご、ごめんね・・・・・・曜ちゃん。私、ちょっと疲れちゃったから・・・・・・」
千歌「今日は・・・・・・帰る、ね・・・・・・」
千歌は、きびすを返すと――
そのまま足早に、立ち去ろうとする。
曜「――千歌ちゃん!」
千歌「」ピタッ 曜「私は――千歌ちゃんに、“覚悟”が無かったなんて思わない!」
曜「だって千歌ちゃんは、単にカッコいいとか、そんな理由で侍になりたいと思った訳じゃないでしょ!?」
曜「村を襲う、悪亜集に立ち向かった時も――ゆうべ、寺を襲った悪亜集と戦った時も――」
曜「村を、村のみんなを、守りたかったから! 助けを求める、梨子ちゃんを助けたかったから!」
曜「――誰かを助けてあげるために、自分が傷つくのも構わずに、立ち向かったんだよ!」
千歌「・・・・・・・・・」
曜「その心は――きっと、本物の侍だから」
曜「だから私は、千歌ちゃんと一緒に、侍になりたいって思ったんだよ!」
曜「千歌ちゃん――!」
千歌「・・・・・・・・・」
千歌「曜ちゃん・・・・・・」
千歌「・・・・・・ありがと」
スタ…スタ…
千歌は、振り返らずに――
力無い足取りで、去っていき。
残された曜の表情も――暗く、翳る。
曜「・・・・・・・・・」
曜「千歌ちゃん・・・・・・」 〜千歌の家〜
千歌「・・・・・・ただいま・・・・・・」
美渡「千歌――千歌!?」
美渡「あんた、どこほっつき歩いてたのよ!! 畑仕事もしないで!!」
しいたけ「ワン!」
美渡「一晩中、一体――」
志満「――美渡ちゃん! 待って」
千歌「・・・・・・・・・」
千歌の異変に気づいた志満が、美渡を遮り――
美渡もまた、千歌の格好を目にして、目を見張る。
美渡「!」ハッ
美渡「千歌・・・・・・あんた、服に血が・・・・・・」
美渡「まさか・・・・・・!?」
志満「・・・・・・・・・」 志満「」ニコッ
志満「疲れたでしょう。今日は手伝いはいいから、服を着替えて、休んでなさい」
千歌「うん・・・・・・」
スタ…スタ…
千歌「志満ねえ、美渡ねえ・・・・・・ありがとう」
ガララッ…
ピシャッ
志満「・・・・・・・・・」
志満「・・・・・・仕方のないことなのかもね。この、人の命が簡単に消える、今の世では」
美渡「だけど・・・・・・だからって・・・・・・!」
ギリッ…
美渡「・・・・・・バカチカ・・・・・・!!」 千歌「・・・・・・」
千歌「・・・・・・・・・」
千歌「・・・・・・・・・・・・」
薄い布団の上で、横になり。
長いのか短いのか、わからない時間が過ぎていく。
気づけば――外からは、もう夕陽が差していた。
カァーカァー
千歌(駄目だ・・・・・・横になっても、全然寝られないや)
千歌(もう、夕方か・・・・・・)
ゴロッ…
千歌(私・・・・・・どうしたら、いいんだろう・・・・・・)
トントン
千歌「・・・・・・?」ムクッ 千歌「・・・・・・はーい?」
志満「――千歌ちゃん、入るわね」
ガラッ
千歌「志満ねえ・・・・・・?」
志満「」クスッ
志満「・・・・・・お客さんよ、千歌ちゃん」
スッ
千歌「――えっ!?」
ガバッ
志満が脇にのいて、その背後から、現れた少女。
横になっていた千歌が、思わず起き上がる。
梨子「・・・・・・・・・」モジ…
梨子「・・・・・・こんにちは」
千歌「――梨子ちゃん!?」 〜淡島城 城内〜
鞠莉「・・・・・・・・・」
オオオ…
――淡島城、天守。
南蛮風の椅子に掛け、頬杖をつく鞠莉。
その両脇には、聖良、理亞の姉妹幹部。
そして、その前で、脂汗をかきながら、ひざまずいているのは――
善子「・・・・・・・・・」
ゴクッ
理亞「・・・・・・・・・」
聖良「・・・・・・つまり? “煉獄の書”を奪い返せなかったばかりか」
聖良「松浦果南以外の、素人共に負けて、おめおめ逃げ帰ってきた――」
聖良「――という訳ですか」
善子「は・・・・・・はい・・・・・・」
ダラダラ… 聖良「忘れたのですか――善子さん」
ツカツカ…
聖良「一族を秀吉によって滅ぼされた貴方を拾い――」
聖良「こうして、生かして頂いているのが――どなた様のお陰なのか」
善子「そ・・・・・・それは・・・・・・」
鞠莉「――善子」
善子「!!」ビクッ
鞠莉「いえ――貴方好みに、ヨハネ、と呼びましょうか」
鞠莉「私はね――貴方に、期待しているの」
鞠莉「だけど――」
ツカツカ… 悠然とした足取りで、善子の許へと歩み寄った鞠莉は――
善子の、顎を持ち上げ。
クイッ
善子「・・・・・・っ」
鞠莉「イージーに負けちゃうような子は――好みじゃないわ」
ペロ…
自らの紅い唇を、舌で舐め――
口許に、不気味な笑みを浮かべた。
善子「・・・・・・・・・!!」ゾクッ 鞠莉「・・・・・・もう一度だけ、チャンスをあげマース」
鞠莉「次こそは――ミスすることなく」
鞠莉「“煉獄の書”を――取り戻してくるのよ」
善子「は・・・・・・はいっ・・・・・・!」
ガタガタ
鞠莉「・・・・・・うふふ」
ニィ…
鞠莉「貴方の中に流れる、失われた“サイカ”の血の力――」
鞠莉「もう一度、マリーに見せて頂戴♥」
淡島にまで城を作られたら武田の進軍は絶望的ですね。。。 果南もマルちゃんも達観してるなあ
この時代ならそれが普通なのかもしれないけど つってもサイカってことは豊臣に恨みあってもおかしくなさそうだしな
Wiki見たら豊臣に滅ぼされて散り散りになったらしいし 〜内浦の村 近くの海岸〜
ザン…
ザザーン…
千歌「・・・・・・・・・」
――時は、既に夕刻。
目の前の、夕陽で赤く染まる海を見つめる、千歌と梨子。
梨子「・・・・・・綺麗ね。押しては返す波と、夕焼けの朱の色と――」
梨子「私の住んでた村の近くには・・・・・・海は、無かったから」
千歌「そう・・・・・・」
ザザン…
千歌「梨子ちゃん・・・・・・話ってなあに?」
梨子「・・・・・・お礼を、言いたくて」 梨子「ありがとう。見ず知らずの私を、かばってくれて・・・・・・」
梨子「千歌ちゃんも・・・・・・曜ちゃんも。こんなに優しい人たちに、出会えて良かった」
梨子「・・・・・・ありがとう」
千歌「・・・・・・やめてよ。私は、そんな・・・・・・」
梨子「・・・・・・・・・」
梨子「・・・・・・ごめんね。千歌ちゃん」
梨子「私のために・・・・・・その・・・・・・嫌な思いを、させて・・・・・・」
千歌「――っ」
梨子「――だから、言いたかったの。あれは、千歌ちゃんのせいじゃない」
梨子「千歌ちゃんは、私を守ってくれようとしただけなんだって。だから、私・・・・・・!!」
千歌「――そんなこと!」 千歌「・・・・・・そんな、こと・・・・・・」
梨子「千歌・・・・・・ちゃん?」
千歌「・・・・・・・・・」
――千歌は、ぐ、と拳を握り締め。
千歌「・・・・・・わかってたんだ。ううん、わかってたつもりなんだ。頭では」
千歌「侍になるって、カッコいいことばかりじゃない。命を獲られたり――命を奪ったりすることもあるんだって」
千歌「綺麗事ばかりじゃないんだって・・・・・・だけど、実際に、そうなってみたら・・・・・・」
千歌「怖くて・・・・・・手の、震えが・・・・・・止まらなくて・・・・・・!」
ガツッ!
そして――握った両拳を、自らの頭に打ち付けた。
千歌「私・・・・・・私、は・・・・・・!」
梨子「――千歌ちゃん!」
ギュッ
梨子は――
そんな千歌を、後ろから、抱き締める。 梨子「自分を――責めないで」
千歌「だけど・・・・・・だけど・・・・・・!」グスッ
梨子「千歌ちゃんは――偉いよ」
梨子「ちゃんと、命の大切さを、わかってる――」
ギュッ
梨子「そんな千歌ちゃんの心は――」
梨子「悪亜集なんかとは、違う。立派な、お侍よ」
千歌「梨子・・・・・・ちゃん・・・・・・?」
梨子「・・・・・・・・・」クスッ
振り向いた、千歌に――
梨子が、微笑む。
千歌「・・・・・・・・・」
ゴシゴシ
千歌は、両手で、涙を拭う。
千歌「・・・・・・梨子ちゃん。私、どうしたらいいのかな・・・・・・」
梨子「・・・・・・それは、私には答えられない。千歌ちゃんが決めることよ」
千歌「そう・・・・・・だよね」
梨子「私から言えるのは・・・・・・」
梨子「千歌ちゃんは、ちょっと変だけど、誰にも恥じることはない」
梨子「立派な人だ、ってことよ」
千歌「梨子ちゃん・・・・・・」 ザン…
ザザン…
千歌「・・・・・・いっこ、訊いてもいい?」
梨子「なに?」
千歌「梨子ちゃんは・・・・・・ひとりで、生まれ故郷から離れた場所まで来て・・・・・・」
千歌「・・・・・・寂しく、ないの?」
梨子「・・・・・・・・・」
梨子「寂しいとか・・・・・・そういう気持ちは、もうあんまり無い、かな」
梨子「私のいた村は・・・・・・ふるさとは、もう無いから」
千歌「え・・・・・・」
梨子「貧しい村で・・・・・・領主様にお納めする年貢が、とても払えなくて・・・・・・」
梨子「見せしめに・・・・・・村は、焼き払われちゃったから」
千歌「・・・・・・!!」
千歌「酷い・・・・・・」 梨子は、ふっと、寂しげな笑みを浮かべたのち――
懐から、一本の笛を取り出した。
梨子「これ・・・・・・これが・・・・・・唯一の、ふるさとの思い出」
千歌「それ・・・・・・笛?」
梨子「私ね――笛を吹くの、好きなんだ」
梨子「お母さんの形見で・・・・・・これだけは、肌身離さず・・・・・・」
千歌「・・・・・・・・・」
梨子「・・・・・・あ。だけど今は、全然寂しくないかも」
梨子「だって・・・・・・千歌ちゃん、曜ちゃんに、出会えたんだもの」ニコッ
千歌「梨子ちゃん・・・・・・」 千歌「梨子ちゃん・・・・・・わがまま言ってもいい?」
梨子「どうぞ」
千歌「梨子ちゃんの、笛・・・・・・聞きたいな」
梨子「・・・・・・・・・」
クスッ
梨子「・・・・・・あんまり、期待しないでね」
スッ…
――梨子が、横笛を、その唇につける。
そして、そこから流れ出した――
静かな調べが、辺りを包み込む。
………
…………
………………
千歌(それは、とっても優しくて――)
千歌(でも、どこか切ない、音色だった) 梨子「・・・・・・ふぅ」
千歌「すごい・・・・・・梨子ちゃん・・・・・・!」
千歌「私、感動しちゃったよ・・・・・・!」パチパチ
梨子「そんなこと・・・・・・ないと、思うけど・・・・・・///」
ザン…
ザザン…
梨子「・・・・・・もうすぐ、日が落ちるし」
梨子「私・・・・・・そろそろ、行くね」
千歌「梨子ちゃん・・・・・・」
千歌「なんか・・・・・・ありがとね」
梨子「ううん・・・・・・私は、お礼と・・・・・・」
梨子「自分の言いたいことを、言いたかっただけだから」
梨子「こちらこそ・・・・・・ありがとう」
千歌「うん・・・・・・」
千歌(そのまま、梨子ちゃんは去っていき――)
千歌(私の、心は――)
千歌(少しだけ、軽くなったような気がした) 〜村のはずれ〜
――海岸から、戻ってきた梨子。
村のはずれで、梨子を待っていたのは――
ルビィ「・・・・・・梨子さん」
黒澤水軍頭領の妹、ルビィと、お付のいつき。
梨子「待っててくれた――と、言うより」
梨子「監視役、というところですね」
ルビィ「る、ルビィは、そんな・・・・・・!」
梨子「いいんです――自分の立場くらい、わかっています」
梨子「行きましょう――ルビィさん」
ルビィ「・・・・・・・・・」
ルビィ「あ、あの、梨子さん・・・・・・!」
ルビィ「ルビィは、梨子さんより年下だし・・・・・・その、梨子さんが、良ければ・・・・・・」
ルビィ「固い言葉で・・・・・・話してくれなくて、いい、です・・・・・・///」
梨子「・・・・・・え?」
ルビィ「あ、いいい嫌なら、別に・・・・・・!」アセアセ
梨子「・・・・・・ううん」
ニコッ
梨子「ありがとう・・・・・・ルビィちゃん」 〜曜の家、庭先〜
―― 一方、同じく村はずれにある、曜の家。
母を病で亡くし、父も悪亜集との戦いの中で亡くした曜。
今や、海に面したこの家に住むのも、曜独りである。
曜は、庭先に腰掛け、浮かない表情を浮かべていた。
曜(千歌ちゃん・・・・・・)
曜(あんなに落ち込んでる千歌ちゃんは・・・・・・初めてだ・・・・・・)
天涯孤独となった曜にとって、今や唯一、幼馴染の千歌だけが、
家族と呼べるような存在であった。
そんな千歌が、塞ぎ込んでいる今――
曜の心も、鬱々として晴れなかった。
曜(私じゃ・・・・・・千歌ちゃんの、力にはなれないのかな・・・・・・)
曜(千歌ちゃんを、笑顔にしてあげることは・・・・・・出来ないのかな・・・・・・)
――その時。 曜「・・・・・・!」ピクッ
――ぼうっと辺りを眺めていた曜の、目に入ってきたもの。
それは、村はずれを歩く、梨子とルビィの姿――
曜(あれ、梨子ちゃん・・・・・・?)
曜(それに、黒澤水軍のお頭の妹、ルビィちゃんも・・・・・・)
曜(なんで、梨子ちゃんがここに? まさか――)
曜(千歌ちゃんに、会いに・・・・・・?)
ちくり――と。
曜の心が、僅かに疼いた。 〜千歌の部屋〜
千歌「・・・・・・・・・」
ゴロッ…
千歌(選ぶのは、私・・・・・・)
千歌(自分で・・・・・・決めること、か・・・・・・)
ムクッ
千歌「・・・・・・もう、すっかり日が落ちちゃった」
千歌「月が、綺麗だな・・・・・・」
千歌(・・・・・・・・・)
千歌(私が、やりたいこと・・・・・・)
――と。
千歌の部屋から、覗く海。
月明かりに照らされた、海の向こうから。
ぽつり――ぽつりと。
不気味な光が、浮かび上がり――
千歌「・・・・・・っ!?」
ガバッ! 千歌(暗い海の、向こうから・・・・・・鬼火みたいな、光が・・・・・・?)
千歌(ひとつ、ふたつ・・・・・・ううん、たくさん・・・・・・!)
ユラッ……ユラッ
千歌「・・・・・・船だ」
千歌「たくさんの船が、向かってくる・・・・・・!」
千歌「船の向かってる、方向は・・・・・・」
千歌「まさか・・・・・・!?」 〜長浜城 居館〜
よしみ「悪亜集です!!」
いつき「悪亜集の船が、この長浜城目指して向かってきます!!」
ダイヤ「日が落ちてから、船を率いてやって来るとは・・・・・・!」
ダイヤ「狙いは、“煉獄の書”――ですわね」
ダイヤ「わたくしたちも、打って出ますわよ!!」
むつ「御意!!」
バタバタ
ダイヤ「――ルビィ!!」
ルビィ「は、はい!?」
ダイヤ「貴方も、出ますわよ。準備なさい」
ルビィ「・・・・・・!!」
ゴクッ…
ルビィ「は、はい・・・・・・お姉ちゃん・・・・・・!」 ダイヤ「・・・・・・果南さん」
果南「・・・・・・・・・」
ダイヤ「貴方は、ここに留まり・・・・・・」
ダイヤ「城を、お頼み申しますわ」
果南「――承知した」
花丸(また――戦が始まるずら)
花丸(また、血が流れる――)
スッ
花丸「願わくば――皆に、仏様のご加護があります様」
花丸「南無――」 〜千歌の部屋〜
千歌「・・・・・・・・・」
千歌は――ひとり。
母が遺した、刀を握る。
千歌(お母さんの、形見の刀・・・・・・)
ギュッ
千歌(お母さんやお父さんは、何のために戦ったんだろう)
千歌(戦にとられたから、仕方なく? それとも、武勲を上げて、偉くなるため?)
千歌(わからない。だけど、私は――)
ググッ…
千歌「・・・・・・長浜のお城には、きっと梨子ちゃんや、果南ちゃんたちがいる」
千歌「私は――誰かの、助けになりたい」
千歌「そして、村を――救いたい!」
千歌「何も出来ないまま、死ぬなんて――」
千歌「そして、何もしないまま、生きるなんて」
キッ!
千歌「――まっぴらだ!」 ガラッ
千歌「・・・・・・・・・」キョロキョロ
ソロー…
月明かりの下――
千歌は辺りを伺いながら、そっと、家の外へと出る。
その時――
美渡「――千歌」
千歌「!!」ビクッ
志満「――千歌ちゃん」
千歌「美渡ねえ・・・・・・志満ねえも」
美渡「・・・・・・・・・」
志満「千歌ちゃん――行くのね」
千歌「・・・・・・・・・」
コクッ 千歌「・・・・・・美渡ねえは、怒るかもしれないけど」
千歌「でも私、誰かが傷つくのを、見て見ぬ振りして生きるのも、何もしないまま死ぬのも、どっちも嫌なの」
千歌「綺麗事ばかりじゃないってことは、思い知ったよ・・・・・・だけど・・・・・・」
千歌「それでも、私は・・・・・・私に出来ることを、やりたいんだよ・・・・・・!」
美渡「・・・・・・・・・」
美渡「・・・・・・バカチカ」ボソッ
志満「・・・・・・・・・」
志満「――千歌ちゃん。お母さんとお父さんは、決して武勲を上げるためとか、そういう目的で戦に行った訳ではないの」
志満「お母さん、最後に出かける時、言っていたわ」
志満「“貴方たちが、怯えて暮らすことのない、太平の世にしたいんだ”――って」
千歌「・・・・・・!」
志満「お母さんたちもまた、私たちのために、戦ってくれていたのよ」 志満「貴方が、今の想いを、この先も違(たが)わぬのであれば――」
志満「往きなさい。貴方が、信じる道を」
千歌「志満ねえ・・・・・・」
美渡「・・・・・・・・・」
美渡「・・・・・・まったく」ハァ
美渡「あんたは! 昔っから、ほんと言い出したら聞かない、頑固者なんだから!」
そう言って、美渡は――
千歌に向かって、何かを差し出す。
美渡「――これ。持って行きなさい」
千歌「これ・・・・・・脇差?」
美渡「あんたが持ってる、お母さんの刀の、脇差よ」
美渡「刀は、本差(ほんざし)と脇差、対のふたつを持つものでしょ。バカチカ」
千歌「美渡ねえ・・・・・・」 ギュッ
そして――美渡は。
千歌の体を、抱き締めた。
千歌「!」
美渡「・・・・・・いい? 千歌。命を粗末にしないで」
美渡「自分の命も、守ってこその・・・・・・侍なんだから・・・・・・!」ジワッ
千歌「・・・・・・!」
千歌「うん・・・・・・わかった。約束する」
千歌「ありがとう――美渡ねえ、志満ねえ!」 志満「――行っちゃったわね」
美渡「・・・・・・バカチカ」ボソッ
志満「千歌ちゃんには、曜ちゃんや、果南さんもついていてくれる」
志満「きっと・・・・・・大丈夫よ」
美渡「・・・・・・・・・」
美渡「だけど・・・・・・重なっちゃうんだ」
美渡「あの日・・・・・・最後に、戦に出かけていったお母さんを、見送った時と・・・・・・」
志満「・・・・・・・・・」 〜村のはずれ〜
タタタタ
千歌(急がなきゃ・・・・・・! このままじゃ、長浜のお城が・・・・・・!)
曜「おおっと。誰かお忘れじゃないかな?」
カッ!
千歌「――曜ちゃん!!」
曜「水臭いよ、千歌ちゃん。私を置いて、ひとりで行くつもりだったの?」
千歌「ご、ごめん・・・・・・」
千歌「でも、いいの? 曜ちゃん。私のわがままに、付き合わせちゃうのは――」
曜「もう、何言ってるのさ、千歌ちゃん!」
ギュッ
曜「言ったでしょ? 私、小さい頃からずっと、千歌ちゃんと一緒に何かやりたいって思ってたって」
曜「だから、私も行くよ。侍目指して――千歌ちゃんと一緒に!」
千歌「曜ちゃん・・・・・・!」ウルッ 千歌「よーし! それじゃあ一緒に行こう! 曜ちゃん!」
曜「うん! ――あ、そう言えば・・・・・・」
曜「千歌ちゃん、さっき、梨子ちゃんと・・・・・・」
千歌「――え? 曜ちゃん、何か言った?」
曜「・・・・・・ううん、なんでもない」
曜(・・・・・・千歌ちゃんと梨子ちゃんの間に、何かあったのかな)
曜(梨子ちゃんが、千歌ちゃんを立ち直らせた・・・・・・?)
曜(私じゃ――駄目だったのに?)ズキッ 千歌「曜ちゃん――どうかした?」
曜「・・・・・・あ、いや、何でもないよ!」
曜(そうだ。今は、そんなこと――別にいいよね)
曜(だって――千歌ちゃんに、また元気が戻ってきたんだから!)
曜「一緒に頑張ろう、千歌ちゃん!」
千歌「うん! さあ目指すは、長浜のお城だー!」
千歌「待ってろ、悪亜集!!」
曜「宜候(よーそろー)!!」
――少女は選んだ。
己の道を。
選んだその先の未来に待つものが、
希望に繋がる船なのか、絶望へと向かう船なのか。
それはまだ、誰にもわからない。
乙!
梨子ちゃんにもなんか色々ありそうだなぁ
そして曜ちゃん闇堕ちルートくるのか…? ● 浪人中(笑)は建前で実はニートやってる要素庭でもわかる三極構造 ●
・第一極・・・保守+国際的に用いられる本来の意味でのリベラル(穏健な自由主義者)
・第二極・・・極右の女独裁者と、選別され奴隷と化した変節保身パヨク ←選挙後再び変節か?w
・第三極・・・極左+日本で誤用されるいわゆるリベラル(反日護憲左翼) ←当初合流を望むも拒まれ一転"筋を通した"
(※支持者が総理の演説を大音量で妨害し、党首は革マル派系団体から800万円の献金を受けていた/衆院予算委)
※新たな極・・・マスコミによるアナウンス効果(上乗せした数字に支持者が安心→投票に行かせないという狙いか?)
■健全で常識的な国民の皆さん 発表された数字に惑わされず投票に行きましょう。 偏向した”左派”メディアにまたも騙されている可能性があります。 サイレントマジョリティー(謙虚なお人好し)でいることを、私たちはもうやめませんか? 〜長浜城 山上 城郭内〜
――長浜城の山上、奥まった城郭に籠った果南、梨子、花丸の三人。
山上から見下ろす、夜の内浦の海には、既に無数の灯が揺らめいている。
梨子「船の灯が、たくさん・・・・・・!」
花丸「もう間近に迫ってるずら!」
果南「日が落ちてから攻めてくるとは・・・・・・悪亜集らしいといえばそうかな」
果南「梨子は、奥の間に隠れてな」
梨子「は、はい・・・・・・だけど・・・・・・」
花丸「果南さんは、ダイヤさんたちと一緒に行かなくて、大丈夫ずら・・・・・・?」
果南「まあね。黒澤水軍の、お手並み拝見といこうかな」
果南(それに、ダイヤが私をここに残した理由)
果南(それは――) 〜長浜城前 内浦湾 海上〜
――同刻、内浦の海上。
既に各々が船に乗り込み、悪亜集を迎え撃たんと湾内に展開する黒澤水軍。
【ダイヤ船(頭領船)】
ダイヤ「――来ましたわね。数で優位に立ったつもりでしょうが――」
ダイヤ「この程度でやられる我が黒澤水軍ではありませんわ」ニッ
ダイヤ「来るなら来なさい、悪亜集!」
【ルビィ船】
ルビィ「わ、わぁ、いっぱいきたぁ・・・・・・!!」
ルビィ「だけど・・・・・・お姉ちゃんの指揮なら、きっと大丈夫なはず・・・・・・!」
ルビィ「わ、私もお姉ちゃんの足を引っ張らないように、頑張るびぃ、しなきゃ・・・・・・!」 ―― 一方の悪亜集。
頭領船である聖良の船を始め、黒澤水軍の倍はあろうかという数で、長浜城へと迫る。
【悪亜集 理亞船】
理亞「・・・・・・・・・」
理亞(私を虚仮にした、松浦果南・・・・・・出てきているの・・・・・・?)
理亞(奴は、私が討ち取る・・・・・・!)
ギリッ
【悪亜集 聖良船(頭領船)】
聖良「ほお。すでに迎え撃つ備えは万端――」
聖良「流石は黒澤水軍ですね」
聖良「いいでしょう。進軍の合図を」
悪亜兵「御意!! 全船、進めぇーー!!」
ドンドンドン 【ダイヤ船(頭領船)】
よしみ「ダイヤ様、敵の太鼓方の合図です!」
ダイヤ「数に任せて、突っ込んでくる――」
ダイヤ「全く、なんのひねりもありませんわね」ハァ
ダイヤ「うろたえるな! ギリギリまで引き付けるのですわ!」
【ルビィ船】
ルビィ(お姉ちゃんからの合図は無い・・・・・・)
ルビィ(今は、我慢して待つ、ってことだね・・・・・・お姉ちゃん・・・・・・!)
ルビィ「こ、このまま相手を引き付けます!」
ルビィ「皆さんは、そのままで! 我慢してください!」
いつき「承知!!」
■ ■ ■
■ ■ ■ ■
■ ■ ■
□ □
□ □ □ □ □
■…悪亜集
□…黒澤水軍
【悪亜集 理亞船】
理亞「弓隊、射れぇ!!」
シュパシュパッ
理亞「ふん。亀みたいに固まって、防戦一方じゃない」ニヤッ
理亞「黒澤水軍、恐るるに足らず――!」
【悪亜集 聖良船(頭領船)】
聖良(不自然ですね――ここまで、守りに徹するとは)
聖良(もしや――?)
【悪亜集 理亞船】
理亞「長浜城と、敵の頭の船は目前・・・・・・!」
理亞「一気に進めっ!!」
ウオオオッ
【ダイヤ船(頭領船)】
よしみ「ダイヤ様・・・・・・!!」
ダイヤ「――今ですわ! “鶴翼之陣”!!」
よしみ「御意!!」
カンカンカンッ 【ルビィ船】
ルビィ「・・・・・・!! お姉ちゃんの船の、陣鐘方から合図!」
ルビィ「い、今です!! “鶴翼之陣”!!」
いつき「進めぇーー!!」
ワアアアッ!
【悪亜集 理亞船】
理亞(――!? これは!?)
理亞(横一線に固まっていた黒澤水軍の船が、一斉に動き出して――)
理亞(囲まれている!?)
【悪亜集 聖良船(頭領船)】
聖良「成る程。こちらが前進してくるのを待ち――」
聖良「十分に引きつけた所で、一気に両翼の船が翼を広げるが如く回り込み、包囲する」
聖良「流石は、黒澤水軍といった所ですか」
□ ■ ■ ■ □
■ ■ ■ ■
□ ■ ■ ■ □
□ □
□
■…悪亜集
□…黒澤水軍
【ダイヤ船(頭領船)】
ダイヤ「これぞ黒澤水軍伝統の陣形がひとつ、“鶴翼之陣”!」
ダイヤ「さあ、相手は包囲しましたわ! 集中攻撃でやっつけますわよ!!」
よしみ「弓隊、射れーー!!」
ワアアアッ
シュパシュパッ!
【悪亜集 聖良船(頭領船)】
聖良「――ふ」
聖良「ですが、これくらいでやられる我ら悪亜集ではありません」
聖良「行きますよ、理亞」
【悪亜集 理亞船】
理亞「わかってるわ、姉様」
理亞「進みなさいっ!!」
ザザザザ 【ダイヤ船(頭領船)】
よしみ「だ、ダイヤ様!! 船が二艘、飛び出してきました!!」
ダイヤ「自棄(やけ)にでもなったんですの――? 愚かな」
よしみ「ですが、こちらの放つ矢を、ものともしていません!!」
ダイヤ「なんですって――」
ダイヤ「!! あの船は!?」
【ルビィ船】
いつき「飛び出した船のうち一艘が、こちらに迫ってきます!!」
ルビィ「――!? あの船――!!」
ルビィ「暗くて、よく見えなかったけど・・・・・・近くで、よく見ると・・・・・・!!」
ルビィ「船の周りが、鋼で、覆われてる――!?」
【悪亜集 聖良船(頭領船)】
聖良「――その通り。これぞ、我ら悪亜集が造り出した、小型の鉄甲船」
聖良「この鉄甲船ならば、多少の矢や鉄砲など、ものともしません」 【ダイヤ船(頭領船)】
よしみ「一艘、こちらにどんどん迫ってきます!!」
ダイヤ「もう一艘が、向かっている先は――」
ハッ
ダイヤ「あそこには、ルビィの船が――!!」
よしみ「ぶ、ぶつかる・・・・・・うわあぁっ!!」
ガッシャアアン!!
ダイヤ「っ!!」
【ルビィ船】
いつき「こっちに突っ込んできます!!」
ルビィ「よ、避けて・・・・・・!!」
いつき「ま、間に合わな・・・・・・わぁっ!!」
ドガアアン!!
ルビィ「ぴぃっ!?」 ――ダイヤ船には聖良の、ルビィ船には理亞の鉄甲船が、体当たりをするように突っ込み、
ダイヤ達の船に寄せた鉄甲船から、兵が次々と飛び移ってくる。
ウオオオッ!!
ルビィ(!! 向こうの船から、悪亜集の人たちが乗り移ってくる・・・・・・!!)
いつき「ルビィ様!!」
ガキン!
襲い来る悪亜兵の刀をいつきが受け止め、
ルビィ船内の兵達も、船に飛び移ってきた悪亜兵を迎え撃つ。
いつき「ルビィ様を守れ!! 黒澤水軍!!」
ワアアア!
その時――
長槍を手に、悪亜集の鉄甲船から、ゆっくりと姿を現したのは。
理亞「あら――残念」
ルビィ「!!」
理亞「松浦果南じゃ――なかったか」 ―― 一方の、ダイヤ船。
ダイヤ「いつつ・・・・・・な、なんという無茶を・・・・・・!!」
よしみ「ダイヤ様、寄せた船から悪亜集がこちらに攻めてきます!!」
ダイヤ「小癪なっ・・・・・・!! 応戦しますわ!! 武器を持て!!」
よしみ「承知!!」
ウオオオッ!
ダイヤ達もまた、乗り込んできた悪亜兵達を相手に、
一歩も退かずに応戦する。
そして、鉄甲船の中から、
そんな小競り合いの様子を、不敵に眺める者――
聖良「さて――“狙い通り”」
クスッ
聖良「相手の懐に飛び込んでしまえば、こちらのものですよ」 〜長浜城 城門前〜
――同刻、長浜城の麓、城門前。
警護として残る、むつと、何人かの水軍の兵達。
オオオオ…
むつ「・・・・・・!」
むつ(海から兵の雄叫びが・・・・・・!)
むつ(私も助太刀したい所だけど・・・・・・この城を守らねば・・・・・・!)
――その時。
コツッ!
コロコロ… むつの足元に転がってきた、
小さな、玉のようなもの。
むつ「――?」
むつ「これは、」
むつが、何気なく手に取ろうとした――
その瞬間。
カッ!
ドカァァァン!! 〜長浜城近くの、海沿いの道〜
ダダダダッ
千歌「・・・・・・! あれは・・・・・・!!」
曜「千歌ちゃん!! 長浜のお城の前の海に、たくさんの船が!!」
千歌「もう始まってる・・・・・・! 急がなきゃ・・・・・・!!」
ドコォ…ン
曜「・・・・・・!? なに、今の音!?」
千歌「長浜のお城の方だ・・・・・・!!」 〜長浜城 山上 城郭内〜
花丸「なんずら!? さっきの、音・・・・・・!!」
梨子「門の方から、聞こえてきましたけど・・・・・・」
果南「あれは――」
果南たちが、城郭から外の様子を窺う。
目に入ってきたのは、麓の方向から、濛々と立ち昇る煙――
モクモク
花丸「門の方が、煙でいっぱいに・・・・・・!」
果南「炸裂弾――煙幕か」
果南「どうやら、来たみたいだね――“本命”が」 〜長浜城 城門付近〜
悪亜兵「今だァ!! 一気に攻め込めぇぇ!!」
ウオオオッ!!
どこかに潜んでいたのか、
爆発と煙に怯んだむつ達に、悪亜集の兵達が襲い掛かる。
むつ「げほごほっ! ひ、怯まないで、皆の衆!」
ガキッ!
ギイン!
むつ(しかし、兵はほとんど船の方に出していて、数が足りない・・・・・・!!)
むつ(それに、煙幕で、視界がきかな――)
バキュウン!!
ビシュッ!
むつ「っ!!!」 むつは、肩に、焼けた鉄を突き立てられたような激痛を感じ、
思わず、その場に倒れこむ。
ドサッ
むつ「あ・・・・・・あう・・・・・・!!」
むつ(撃たれた・・・・・・今のは・・・・・・)
むつ(種子島・・・・・・!?)
ザッザッ…
???「――恨まないでよね」
むつ「――!!」
むつ(あれは・・・・・・!!) ――白く霞む煙の中から、漆黒のマントを身にまとい、現れた者。
それは――
ザッ!
善子「――私も、もう後が無いから」
善子「返してもらうわよ――“煉獄の書”」
バサッ…
その時――むつは、目にした。
漆黒のマントが翻り――
善子の胴、両脚に巻かれたベルト。
そして、マントの裏地。
そこに、括りつけられている――長短様々な、何挺もの、鉄砲。 むつ(・・・・・・!? マントの、下に・・・・・・)
むつ(たくさんの、鉄砲・・・・・・!?)
漆黒の衣の下に、夥しい火器をまとった少女は――
鋭い視線を、山上へと向けた。
善子「堕天使、夜羽根――」
キッ!
善子「――参る」
wktk
黒澤姉妹には今後の活躍シーンがあることを期待したいぞ… 乙です
黒澤姉妹VS鹿角姉妹、果南VS善子かな
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エタらずに完結出来たら久々の大作になるかも ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています