海未「おかえりなさい」 [無断転載禁止]©2ch.net
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カチャリ――
海未(誰もいない部屋のカギを開けて、ドアを開けて)
海未(真っ暗な部屋。時計は午後8時を回ったところ)
海未「ただいま」
海未(部屋の明かりをつけて、何となくそう呟く。そうでもしないと、静けさに押しつぶされそうで)
海未(卒業したら3人で暮らそうって……そうやって、もうすぐ1年です)
海未(最近は3人で揃うことも少なくなって……)
海未(今日もまたすれ違い、ですね) (受信 穂乃果 ことり 時間 19:18)
穂乃果『海未ちゃんことりちゃんごめん!どうしても仕事抜けられなくて……ちょっと遅くなるね!』
海未『私は大丈夫ですよ。仕事、頑張ってくださいね』
ことり『穂乃果ちゃんお仕事頑張って!』
穂乃果『うん!ありがとー!なるべく早く帰るからね!』 (受信 穂乃果 ことり 時間 19:31)
ことり『海未ちゃん穂乃果ちゃんごめんなさい!クライアントさんとのミーティング長引いちゃってるの』
ことり『せっかく今日は早く帰れそうだったのに!』
海未『私は構いませんよ。お仕事しっかりね』
穂乃果『私も今日は遅くなりそうだよーことりちゃんも頑張ってー!』
ことり『ふたりともありがとう!頑張る!』 海未(私も、穂乃果も、ことりも、自分のやるべき事を精一杯頑張っています)
海未(社会人になって、それぞれがそれぞれの道を歩き始めて……)
海未(あの頃のように、会いたい時に会えて、いつも一緒にいられる訳もないのも分かっています)
海未(それでも……)
海未(寂しいなって思うのは、わがままなのでしょうか……)
海未「さて、ごはんを作ってしまいましょう」
海未「ふたりの分も作っておいて、帰ってきたら食べられるようにして……」 穂乃果「うぇぇー……まだ終わらないよう……」カチカチカタカタ
穂乃果「今日は早く帰れそうだったのにー……」グッタリ
穂乃果(もう8時かー。今日はことりちゃんも遅くなるって言ってたなぁ)
穂乃果(海未ちゃん、待ってるだろうなぁ)
穂乃果「……うーん」カチカチカタカタ
穂乃果「こんなんじゃいつまでたっても終わらない!よっし、ちゃっちゃと終わらせて帰ろう!」 上司「ここはこの仕様でいきましょう。では、このセクションは、南さんに担当してもらいます」
ことり「は、はい!」
上司「少し難しいかもしれませんが、トライしてみてください」
ことり「はい!頑張ります!よろしくお願いします!」
上司「それでは、今日はここまでにしましょう。皆さん遅くまでお疲れ様でした」
ことり(やっと終わった……)
ことり(穂乃果ちゃんも遅くなるって言ってたけど、もう帰ってるのかな)
ことり(早く帰らなきゃ。ふたりとも待ってる) 海未「よし、これで出来上がり。どうでしょうか……」
海未「うん、美味しい」
海未(お仕事頑張ってくるふたりには、美味しいものを食べさせてあげたいですからね)
海未(ちゃんと栄養も考えてあげないと……)
海未(穂乃果は今でも気が付いたらパンばかりですし、ことりは目を離すと甘いものばかり)
海未(私、今日は少し早く帰れたので夕飯を作っておきました)
海未(帰ったら食べてくださいね)
海未「送信……っと」 海未「ごちそうさまでした」
海未(ひとりで食べるごはんにもそろそろ慣れてきましたね……)
海未(――そろそろ10時。お風呂に入って、先に休んでしまいましょうか)
ピルルルル……ピルルルル……
海未(――穂乃果?) 海未「もしもし、穂「海未ちゃーん!?ごめんねー遅くなって!!」
海未「い……今どこなんですか?」
穂乃果「今ねー駅から家に向かってるとこ!もうすぐ着くから!!」
海未「あまり急いで転ばないように。気をつけて」
穂乃果「もー!子供じゃないんだし転ばないよー!」
海未「ふふっ。玄関のカギは開けておきますから。待ってますね」
穂乃果「うん!それじゃあね!!」
海未(いつもの元気な穂乃果の、耳が痛くなるくらいの声です)
海未(それじゃ、お風呂はちょっと待っておいて、穂乃果を待っててあげましょう)
海未(心が踊り始めるのが分かります。ああ、やっぱり嬉しいものです) ガチャ!
穂乃果「ただいまー海未ちゃーん!!!」
海未「あ……穂乃果!おかえりなさい」
穂乃果「あーんもう疲れたよおー!」ギュー
海未「ちょ、ちょっと穂乃果」
穂乃果「ふえぇぇ海未ちゃんよしよししてぇ」
海未「もうなんですか帰るなり……お疲れ様」ヨシヨシ
穂乃果「だって聞いてよー!私何にも悪くないのに同じ部署の人が数字間違えたからって部署全員で残業だよー!ひ
どくない!?」
海未「それはまた……」
穂乃果「おかげですっかり遅くなっちゃってさ……ことりちゃんまだなの?」
海未「ええ、ことりもまだ頑張ってるみたいです。先にごはん食べちゃいましょうか」
穂乃果「うん、そうだね」 ピルルルル……ピルルルル……
海未「あ、電話……ちょっと穂乃果離してください」
穂乃果「えーやだー海未ちゃんは私のものなのだー」
海未「もう、ちょっと……あ、ことりからです」
穂乃果「え?ことりちゃん!?」
海未「もしもし、ことり?」
ことり「あ、海未ちゃん!ごめん遅くなって」 海未「今どこ「ことりちゃーん!お疲れ様!!」
ことり「あ、穂乃果ちゃん帰ってたんだー」
海未「……穂乃果少し静かに。今どこなんですか?」
ことり「今ね、会社の人に送ってもらって、マンションの前にいるの。すぐ着くよ」
海未「そうですか。カギは開いてますから。それじゃ待ってますね」
穂乃果「私も待ってるよー!!」
ことり「うん!分かった」 穂乃果「ことりちゃん今どこだって?」
海未「マンションの前だそうです。すぐに帰ってきますよ」
穂乃果「ホント?よかった!」
穂乃果「なんだか、久しぶりに3人揃うね」
海未「ええ。本当に……久しぶりですね」
海未「ところで、穂乃果?」
穂乃果「なーに?」
海未「そろそろ離れてくれませんか……」
穂乃果「やだー私はまだ海未ちゃん分補給できてないのだー」
海未「なんですかそれは……」 ガチャ
ことり「ただいまー!遅くなっちゃってごめ……」
穂乃果「あ、おかえりーことりちゃん」
海未「こ、ことり?これはですね穂乃果がその」
ことり「穂乃果ちゃんずっるーい!私も海未ちゃんぎゅーってしたーい!」
海未「こ、ことりまで……!ちょっと待ってください!」
ことり「えへへー今日は海未ちゃんをぎゅーってする日にするー!」ギュー
穂乃果「するのだー!」 穂乃果「ごちそうさまー!」
ことり「でしたー!」
海未「はい、お粗末様でした。今、お茶淹れますね」
穂乃果「はー、幸せ」ゴロゴロ
海未「穂乃果、食べてからすぐ横になると牛になりますよ」
ことり「そうだよー」
穂乃果「私は牛でいいよーもーもー」ゴロゴロ
ことり「あはは。海未ちゃんのごはん美味しいよね。私大好き」
穂乃果「私もー」
海未「ふたりともありがとう。でも、本当に料理を始めたのは、ここに住んでからなんですよ」
穂乃果「えーそうなの?」
ことり「それでこれだけ作れるようになるなんてすごいね」 ことり「そう言えば、海未ちゃんがごはん作ってくれることが多いよね」
海未「そうですね。ふたりよりも割と早く帰れるから、でしょうか」
ことり「いつも遅くなっててごめんね」
海未「いいんですよ。出来る人が、やればいいんです」
穂乃果「……こうやって、3人揃ってお喋りするのも、久しぶりだね」
ことり「そうだねー。みんな、忙しくなっちゃったもんね」
海未「ええ……それはきっと、いいこと、なのでしょうけど」
海未「少し、寂しい気もします……」
ことり「うん……」
穂乃果「………」 穂乃果「よっし!!」ガバッ
穂乃果「今日は3人で一緒にお風呂に入ろう!」
海未「ええっ!?」
ことり「お風呂3人で入ると狭いよー?」
穂乃果「平気平気!みんなで洗いっこして、みんなでお湯につかろう!」
穂乃果「そんでお布団3つ並べて、3人で一緒に寝よう!」
穂乃果「ほらほらふたりとも早く早く!」
海未「ちょっと穂乃果、私はまだお皿を洗ってないですから!」
ことり「何だか楽しそうー」
穂乃果「ねー!じゃ、私お風呂の用意してくる!」
ことり「じゃあ、私お布団用意するね」
海未「……何だかいつの間にか話が進んでしまってます……」 海未「やっぱり洗い場に3人では狭いですよ」
海未「そ、それに……これはちょっとくっ付きすぎてて恥ずかしいです……///」
穂乃果「えーいいでしょ今さらー」
ことり「うんうん。知らない間柄でもないんだしね」
海未「その言い方は色々誤解を招きそうです……」
穂乃果「それじゃ、海未ちゃんを洗ってあげようー!」
海未「あ、ちょっと穂乃果!」
ことり「あげようー!」
海未「ことりまで!」 海未「へ、変なところ触らないでください!」
ことり「お客さーんかゆいところないですかー?」ワシワシ
海未「ちょっと!そこは!」
穂乃果「いっひっひーいいではないかー」ワシワシ
海未「きゃん!」
海未(……へ、変な声出してしまいました……!)
穂乃果「ここかなーこのあたりかなー」ワシワシ
海未「も、もう穂乃果!いい加減に……っ!」
ことり「……穂乃果ちゃん、何だか希ちゃんみたい……」 海未「……もう、知りません」プイ
穂乃果「へへーごめんごめん」
ことり「今まで、3人で一緒にお風呂に入ったことってなかったよね」
穂乃果「お風呂、狭いからね」
穂乃果「その分!」
穂乃果「こうしてふたりと触れ合っていられるもんね!」
ことり「ねー!」
海未「もう……」
ことり「ふふっ……」
穂乃果「あはは……」
「「「あはははは……」」」
海未(でも、いいものですね……肌と肌の触れ合いというのは)
海未(少々気恥ずかしいですけど……) 穂乃果「はー、いいお風呂だった」テカテカ
ことり「うん!楽しかったー」ツヤツヤ
海未「はぁ……何だか疲れました」ドンヨリ
ことり「お布団用意できてるよー」
穂乃果「それじゃ!みんなでおやすみしようー」
海未「穂乃果、歯磨きしないとだめですよ」
穂乃果「じゃあ歯磨きもみんなで!」
ことり「うん!」
海未「はいはい……」 海未「それじゃ、電気消しますよ」
ことり「うん。おやすみなさーい」
穂乃果「おやすみー。また明日」
海未「おやすみなさい」カチリ
「………」 穂乃果「……海未ちゃん?」
穂乃果「……海未ちゃん寝ちゃった?」
海未「……なんですか穂乃果」
穂乃果「……今日はちょっとの間だったけど、楽しかった」
海未「ふふっ、少し疲れましたけどね」
穂乃果「あはは……ごめんね」
海未「でも、私も楽しかったですよ」
ことり「……私も楽しかったよ。みんなで一緒にいられて」
穂乃果「あ、ことりちゃんも起きてたの?」
ことり「うん……なんだかこのまま寝ちゃうの、もったいなくて」 穂乃果「3人こうやってるの、本当に久しぶりだね」
ことり「うん……」
穂乃果「ここで暮らし始めた頃は、3人でいつも一緒で、ずっと、こんな風に過ごしていけるって思ってた」
海未「ええ、そうでした」
穂乃果「でも、だんだんみんな忙しくなっていって、それぞれで過ごすことが多くなって……」
海未「それは、仕方の無いことでしょう」
海未「いつまでも、昔のままでいられるものではないでしょうし、みんな、変わっていくものです」
海未「……私も、いつの間にか変わっていっているんでしょう」
穂乃果「そうなのかな……そうやって、離れ離れになってっちゃうのかな」
ことり「なんだか……寂しいな」 海未「……私も、正直、少し寂しいこともあります」
穂乃果「うん……私も」
ことり「海未ちゃんも寂しいことあるの?」
海未「ええ……でも、それはわがままなのかなと、思います」
穂乃果「そんなことないよ。海未ちゃんもことりちゃんも、寂しかったらもっとわがまま言っていいよ」
ことり「そうだよー」
海未「そうはいきません。穂乃果もことりも、自分の世界を作って、そこで精一杯頑張っているのですから」
穂乃果「海未ちゃんだってそうでしょ?」
ことり「私たちだけ、海未ちゃんにわがまま言えないよ」 海未「確かにそうです……でも私は、そんな頑張っているふたりを」
海未「どんなに変わっていっても、ずっと見守っていたいし、精一杯応援したいと、そう思っているのです」
海未「私も頑張っていきますから、ふたりも頑張ってくださいね」
穂乃果「海未ちゃん……」
ことり「……私も、海未ちゃんのこと、応援するよ」
海未「ありがとう……それでも、寂しくなったら、時々、わがまま言いますから……」
海未「その時は、慰めてくださいね」
穂乃果「……まかせて」
ことり「うん……」 海未「穂乃果もことりも、寂しかったら、わがまま言ってください」
海未「私が出来ることなら、何でもしますからね」
穂乃果「……海未ちゃん」
ことり「……ありがと」
穂乃果「……」
海未「穂乃果?」
穂乃果「……海未ちゃん、大好き」ギュッ
ことり「私も、海未ちゃん大好き」ギュー
海未「ことり……」
海未「……私も、ふたりのこと、大好きです」ギュ
海未「さあ、もう寝ましょう。明日も早いですから」 穂乃果「………♪」モソモソ
海未「……穂乃果、何してるんですか」
海未「ほ、穂乃果……ちょっと……」
ことり「………♪」モソモソ
海未「ことりも……っ」 穂乃果「海未ちゃん愛してる」チュッ
ことり「大好きだよ海未ちゃん」チュー
海未「ま、待って……んんっ……待ってふたりともっ……」
ことり「えへへ……わがまま言っちゃうのだ」
穂乃果「何でもするって言ったもんね」
ことり「海未ちゃーん……」ムギュー
海未「待って……ちょっと待ってっ……それはそういう意味では……んあっ……///」
「………」
―――
――
― ピピピピ……ピピピピ……
海未(……朝……)
海未「!!!」
穂乃果「スピー……」
ことり「すー……すー……」
海未(服は……着てる……)
海未(夢……だった……?)
海未(ああっ……私は何て夢をっ……///)カァァァァ
海未(と、とにかく、起きなくては……) 穂乃果「……んー……」
穂乃果「んー……海未ちゃん……」ニカッ
海未「あ、穂乃果……」
穂乃果「んふふー……海未ちゃーん……大好きー」ギュー
海未「ちょっと穂乃果!……離してください」 ことり「んにゃ……んー」ニヘラ
ことり「んー……海未ちゃーん……大好きー」ギュー
海未「こ、ことりまで……」
ことり「んへへ……」
海未「も、もうふたりとも!朝なんですから!起きてください!!」 ことり「それじゃ行ってきまーす!」
海未「いってらっしゃい。今日は帰りは遅くなりそうですか?」
ことり「うーん、遅くなるかも。あとで連絡するね」
穂乃果「いってらっしゃーい!!」
穂乃果「それじゃ私も行ってきまーす!!」
穂乃果「今日は早く帰るよ!」
海未「私も今日は早く帰りますから」
穂乃果「はーい、海未ちゃんも仕事頑張ってね!」 海未「さて、私も出ましょう」
海未「おかしいところはないですかね……」
海未「ん?」
海未「何でしょうこれ。肩に何か……」
海未「!!!!!!」
海未「これは……き、きすまーく……///」
海未「ゆ、夢じゃなかった……?///」カァァァ
海未「ど、どうしましょうこれは……」 穂乃果「……にひひっ♪」
ことり「……えへへっ♪」
ことほの「「今日も1日、頑張ろうー!いえーい!!」」 終わりです
最初に書いたものなので拙いところありますが読んで頂きありがとうございました
SENTIMENTAL StepSに敬意を表して
ではまた ただひたすら最高だった
互いに互いを大好きなこの三人ほんと好き ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています