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希「アイドル研究部が廃部の危機? ご愁傷様やんね」にこ「」ギリィッ [無断転載禁止]©2ch.net
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2017/08/27(日) 13:12:12.82ID:iVg5AUpJ
希「そんな怖い顔せんといてよ。ウチはにこっちの友達のつもりやけど、ウチにも立場ってものがあるんよ」

希「だいたい、にこっちにウチが恨まれる理由なんかないやん?」

希「活動実績のないアイ研をかばい続けて、予算も確保し続けて、さすがのウチももう限界なん」

希「今、えりちから睨まれてるんよ。怪しい動きなんかしたら一発でバレるね。理解してよ」

にこ「……分かってるわよ。あんたのせいじゃない」

にこ「悪いけど今日は帰って。一人で考えたいの」

希「んー。そういう訳にもいかなくって。生徒会副会長として、にこっちに確認することがあるん」

にこ「確認?」

希「ウチが確保し続けた部の予算。あれ、どうしたの?」

にこ「……え?」
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2017/08/27(日) 13:13:28.44ID:iVg5AUpJ
希「えりちに睨まれてるって言ったやろー? えりち今ね、過去の部費がどんな風に使われたかチェックしてるん」

希「部費の申請をするとき、こういう理由で使うからいくら必要ー、って出すやろ? その通りに使われてるか見てるんよ」

希「アイ研の申請理由は主に、衣装・曲・機材の代金やんね。過去のレシートある?」

にこ「レ、レシート……?」

希「あ、ない? まぁ昔の話やろうし仕方ないよね。じゃあ買ったものでいいから見せて? それで報告するから」

にこ「……え、っと」

希「ん。どしたん、にこっち? 機材とか、どこにあるん?」キョロキョロ
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2017/08/27(日) 13:14:47.77ID:iVg5AUpJ
希「……」

希「いやー。それにしてもこの部室は、いつ来てもアイドルグッズでいっぱいやねぇ。お店みたい」

にこ「っ、」ビクッ

希「にこっちのお小遣いでこれだけ揃えるのも大変やろー? どうやって工面したん、お金」

にこ「……ぅ」

希「……なあ、にこっち」

希「 使 い 込 ん だ な 」

にこ「っ、ち、違うのよ。これは……」

希「あ、違う? よかったぁ。もしアイドルグッズに使い込んでたらどうしようかと思ったよ」

希「そんなん部費の横領やからね。もしそうなら廃部どころか良くて停学。普通なら――、」

希「退学、やん?」

にこ「た、退学……!?」

希「当たり前やろ? だって学校から不当に予算を騙し取ってるんやもん」

希「と言うか最悪は警察沙汰やん? まあ音ノ木坂の評判を下げることになるから、さすがに学校が揉み消すとは思うけど」

希「あ、でも廃校の噂もあるしなぁ。もし理事長が開き直ってたら、普通に通報するかも」
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2017/08/27(日) 13:16:41.03ID:iVg5AUpJ
にこ「ま、待って! け、警察なんてそんな……っ」

希「なにを焦ってるん? このグッズは全部にこっちの自費で買ったもの、そうやろ? 何の負い目もないやん。ね?」

希「さ。機材とか衣装とか、一通り見せて? それでえりちには話しておくから」

にこ「……あ、あの」

希「ん。なに?」

にこ「今は、その。ここにはないのよ。だから、持ってくるまで少し、待って」

希「そう? じゃあ明日でいい?」

にこ「あ、明日も、ちょっと……」

希「じゃあ明後日? 土日はさんで来週の月曜?」

にこ「ら、来週なら……」

希「そう。なら、ちょうどいいかな。ウチも準備があるんよ。アイ研に拠出してた部費の総額を確認せんとね」

にこ「え……?」

希「それがね、購入したものの価格と比較して適正か判断しなさいー、言われてるんよ。えりちってば細かいよねー?」ケラケラ

希「さて。アイ研はいくらやったかなぁ。10万くらい? 20万かな? しっかり確認せんとね」

にこ「に、じゅう、まん」

希「どうしたん、にこっち。顔色悪いよ?」

にこ「ぅ……」
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2017/08/27(日) 13:18:18.43ID:iVg5AUpJ
希「……」

希「なぁ、にこっち。本当のこと話してよ」

にこ「……っ」

希「ウチとにこっちは友達やん。幸いウチは生徒会の副会長や。協力できることもあるかもしれん」

希「でも、このまま黙ってられたらウチもどうすることも出来なくなる。チャンスは今しかないんよ」

希「ウチ、にこっちに退学してほしくない、警察も嫌や! ウチがにこっちを守るから、だから……!」

希「……話してよ、にこっち。ウチら、友達やろ。それともウチのこと、信用できん……?」

にこ「……ご、」

にこ「ごめん。本当に、ごめんなさい……!」
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2017/08/27(日) 13:20:01.92ID:iVg5AUpJ
にこ「部費で、グッズを買いました。機材も何も、買ってません……っ」

にこ「希、助けてっ! 退学はダメ、警察も! だって、家族が。ママにも迷惑が……っ!」

希「……にこっち。今日の夜、時間取れる?」

にこ「え……」

希「生徒会の仕事が終わったら、ここへ迎えに来る。それからウチの家に行こう」

希「ウチは一人暮らしやからね。どんな話をしても誰にもバレない……。そこで今後の話をしよう」

にこ「」コクコク

希「うん。じゃあ、また放課後に」
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2017/08/27(日) 13:21:33.13ID:iVg5AUpJ
希「にこっち。今日ウチはここに来たけど、生徒会の仕事はサボって世間話しかしてない。ええね?」

にこ「う、うん……」

希「……ふふ。にこっち」ギュッ

にこ「あ……」

希「大丈夫、大丈夫やから。そんな不安そうな顔せんといて?」ナデナデ

希「にこっちはウチが守るから。今度こそ一人にはせんから。だから、安心して?」

にこ「希……のぞみぃ! ごめん、本当に、ごめん。ありが、とう……っ!」ギュゥ

希「……」ナデナデ

希「……」

希「……」ニヤァァ…

希(上手くいった、上手くいった。上手くいった……! もう心臓バクバク。今にも破裂しそう……でも、これで)

希(第一段階、クリアやん……?)
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2017/08/27(日) 13:22:42.24ID:iVg5AUpJ
希(にこっちは意地っ張りと言うか、プライド高いからね。基本的に人には頼らず、何でも自分でやろうとする」

希(でも今回ばかりは絶対に一人では解決できない。だからと言って誰かに頼ることもできない問題や)

希(警察沙汰なんて脅されて追い込まれれば、いかに頑固なにこっちと言えど、藁にもすがりたくなるやろう)

希(家族とお金。にこっちの弱点2つも押さえられたら、なおさら……ね)

希(そんな中で救いの手が差し伸べられたら? 断れんよなぁ。頼るよなぁ。にこっちぃ)

希(……まぁ活動実績のないアイドル研究部に、累積とは言え20万もの予算が割かれたとは思えんけど、ね)

希(ソシャゲの廃課金に今までいくらつぎ込んだか聞いても答えられんのと同じやんね。今の混乱したにこっちでは、その概算すら難しい)

希(ふふ……待っててな、にこっち。あと少し、あとちょっと)

希(もうすぐ、ウチから離れられなくしてあげるからね……?)
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2017/08/27(日) 13:24:18.40ID:iVg5AUpJ
――――
――

にこ「お、お邪魔します……」

希「いらっしゃーい。もう、にこっち緊張しすぎやん? 別に取って食べようって訳じゃないんやから」

希(……今はまだ、ね)

希「さ。上がって上がって。大したおもてなしも出来んけどね」

にこ「え、ええ」

希「さて、にこっち。これからのことを話し合う前に、ちょっとやることがあるんよ。こっち来て?」

にこ「え? うん……」

希「歯、食いしばって」

にこ「え――」
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2017/08/27(日) 13:25:14.61ID:iVg5AUpJ
パシィン!!

にこ「――、っ!? ぶたれ、た……?」ジンジン

希「ごめんな。痛かったね?」

希「でもな。にこっちは悪いことをしたから。この悪事は、ウチ以外の誰にも知られることはないから」

希「誰もにこっちを叱ってあげられん。だから、ウチが叱る」

希「――にこ。学校のお金、自分のために使ったら駄目でしょう」

にこ「……」ヒリヒリ

にこ「……ごめん、なさい」

希「――うん」ニコッ
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2017/08/27(日) 13:26:12.53ID:iVg5AUpJ
希「反省したならいいんよ。にこっちは正直にウチに話してくれて、謝ってくれた。えらいね」ナデナデ

にこ「……うん」

希(罪に対する、処罰と赦免。ウチがにこっちを罰して、ウチがにこっちを赦した)

希(にこっちの人としての尊厳は、今、ウチの物へと大きく傾いた……はず)

希(うーん。でも、まだ足りんよねぇ……。まあ、ひとつずつ積み重ねていけばいいやんね?)

希(にこっちを雁字搦めにする枷を、ひとつずつ。二度と、動けなくなるくらいまで)

希(……しかし、それにしても素直やね、今日のにこっち。それだけ弱ってるんやろうけど)

希(うん。それはいいこと、やん)

希(この大チャンス、上手く活かしたいなぁ。がんばらな。失敗は許されんからね)

希(怖い。けど大丈夫。ウチならきっと、上手くやれる。やってみせる……)
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2017/08/27(日) 13:28:00.44ID:iVg5AUpJ
希「さて。じゃあ、やることやったし始めようか。作戦会議」

にこ「……本当に、助けてくれるの?」

希「もーっ、水臭いよ、にこっち。ウチはにこっちの、数少ない友達やん?」

にこ「か、数少ないは余計よっ!」

にこ「……でも。ありがとう」

希「お礼はいいよ。ウチが勝手におせっかい焼いてるだけやし」

希「それより目的を果たそう。ミッションは、いかにえりちの目を誤魔化すか」

にこ「やっぱり、正直にアイドルグッズに使ったって言うのはマズいのよね」

希「うーん。まぁ部活の名前がアイドル研究部やし、その名称に反した使い方ではないけど」

希「でも予算の申請書が残ってるからね。申請理由と実際の使途が剥離しすぎてる。誤魔化しのきく範囲ではないと思うん」

希「正当な理由で予算を使った、って証拠をでっち上げるしかないかな」

にこ「……それが出来ないから困ってるんじゃない」

希「いいや? そうでもないよ」

にこ「え?」
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2017/08/27(日) 13:29:16.77ID:iVg5AUpJ
希「要するに、そこにモノがあればいいんよ。今から買いそろえてしまえばいいやん」

にこ「で、でも。詳しくは分からないけど、20万近くの機材や衣装が必要かもしれないんでしょ。さすがに、そんな大金……」

希「20万MAXは必要ないよ。買うのは型落ちの中古品でいい。中古品なら使い込まれてる感も出るしね」

希「ネットオークションなら、お手頃なのが揃うん違う? 最悪、ジャンク品でもいいと思う」

にこ「それでも、10万くらいは必要なんじゃ……」

希「その辺がボーダーかもしれんね。あんまりにボロいとアレやし。でも、これでもにこっちの所持金じゃあ厳しいかなぁ」

にこ「……贅沢言える立場じゃないのは分かってるけど。正直、その通りよ」

希「うーん。じゃあ、そこはウチの方で製品相場を水増しして報告しとくよ。えりちもそこまで見んやろ、と思う。……たぶん」

にこ「だ、大丈夫なの?」

希「まぁバレたらマズい。生徒会副会長とアイドル研究部の癒着について問いただされる」

希「そうすると芋づるで事実が明るみになるよね。ウチも共犯扱いかなぁ。まあ、そうなったら仲良く退学しようよ」ケラケラ

にこ「……」
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2017/08/27(日) 13:30:47.36ID:iVg5AUpJ
希「にこっち?」

にこ「ごめん。やっぱり帰るわ。これ以上あんたを巻き込めない」

希「え?」

にこ「こっちは何とかするから、あんたは副会長としての仕事をしっかり果たしなさい」

にこ「……こんな私を、まだ友達だって言ってくれて嬉しかった。叱ってくれて嬉しかった」

にこ「じゃあね。希」

希「……」

希(ああ、にこっちはホンマにええ子やねえ……)

希(そ の 言 葉 が 聞 き た か っ た)

希(さあ。縛り付けてあげる。にこっち……!)
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2017/08/27(日) 13:32:39.39ID:iVg5AUpJ
希「にこっち、待って」ゴソゴソ

にこ「なに? 引き留めたって無駄よ。私はもう――、って」

にこ「……なによ。押入れなんて漁って」

希「ほい。これ、あげる」ヒョイ

にこ「わっ。いきなり投げないでよ。って、これ……封筒?」

希「30万入ってる。必要な分だけ持って行き」

にこ「な――っ!?」

希「リスクを負わないなら正攻法や。正しいものを買って、正しく報告する。これが一番、リスクが少ない」

にこ「そ、そうじゃないわよ! 何なのよ、このお金!?」

希「ウチ、見てのとおり一人暮らしやろ? もしもの備えで両親が持たせてくれてるの」

にこ「そんな大切なお金……!」

希「大丈夫大丈夫。ウチは神社でバイトもしてるし、毎月これとは別に仕送りもあるからね。節約してまた溜めればいいんよ」

にこ「そんな話はしてないわよ! これはあんたのパパとママが、あんたのために持たせたお金でしょ!?」

にこ「このお金を使っていいのは、あんただけなの! あんたが大人になったとき、パパとママに何倍にもして返すためのお金なの!」

にこ「にこが使っていいお金じゃないっ!」

希「ふーん。じゃあ、ウチが適当に機材とか布とか買ってこよっと」

にこ「希っ!」
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2017/08/27(日) 13:33:39.78ID:xvyWzIdu
おっ出たな無職
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2017/08/27(日) 13:34:41.25ID:iVg5AUpJ
希「……お金はお金や、にこっち」

希「冷静に考えてよ。今、にこっちは色んな問題を抱えてる。停学。退学。警察。お母さんのこと。妹さんたちのこと。ウチのこと……」

希「なあ、にこっち。家族の絆がお金で買える? ウチとの友情がお金で買える? 無理やろ」

希「でも今なら! 今だけなら、すべてが崩れ去る前に、すべてをお金で解決できるんよ」

希「こんなチャンスは滅多にないん。これほどまでにシンプルで、後腐れなく解決する方法なんて」

にこ「で、でも……っ!」

希「にこっち。お金なんてただのモノや。たとえ情のこもったモノであっても、モノに情は通わんよ」

希「それともにこっちは、ウチの想いより、こんな薄っぺらい紙切れに情を感じる……?」

にこ「わ、私。私はっ」

希「お願い。お願いします、にこっち。ウチににこっちを守らせて」

希「ウチにとってにこっちは、かけがえのない友達やから……!」

にこ「……っ」

にこ「……借りるだけよ。必ず返すわ」

希「うん。それ返してもらわんとウチ、卒業までモヤシだけで生活することになっちゃうからね」ニコッ
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2017/08/27(日) 13:36:33.06ID:iVg5AUpJ
にこ「はぁ。ホントに、あんたは」

にこ「……ごめん。本当に、ごめんなさい」

希「ええんよー。一緒に卒業しようね、にこっち」ナデナデ

にこ「うん、うん……っ。ありがとう。ありがとう、希ぃ……」

希「ふふ。にこっち泣いてるん? いいよ、ウチの胸で泣いても」

にこ「ぅ、ぅぅぅぅうう……っ」

希「大変やったね。もう大丈夫なんよ」ナデナデ

希(お金で最小限のリスクで解決……。ホントに、シンプルで後腐れないって最高やん?)

希(尾を引くことなく。ものすごく単純に。お金はにこっちの心と身体を縛り付ける)

希(あまりに明確な、数十万というリアルな数字。可視化された負い目。所帯じみた人間であればあるほど、その魔力は重く、強く……)

希(ましてやそれが、プライド高く責任感の強いにこっちなら。絶対に、その魔力から目を逸らせない)

希(あぁ。良かった。何とかなった。本当に良かった。めっちゃドキドキしたよ……でも。ふふ)

希(これでもうウチとは対等ではいられんよ、にこっち。一生、お金で助けられたという事実に縛られて生きてな?)
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2017/08/27(日) 13:39:05.19ID:iVg5AUpJ
――――
――

希「はい、えりち。アイドル研究部の部費の使途、まとめて来たよ」パサッ

絵里「……どうして1週間もかかったの」

希「それが聞いてよ、えりち。にこっちってば、買ったものをあっちへ置いたりこっちへ置いたりで」

希「ぜんぶ確認するのにすごい時間かかったよー」

絵里「本当は別の用途で使っていたのを、誤魔化す時間稼ぎでもしてたんじゃないの?」

希「もう。生徒の代表たる生徒会長が、そんな生徒を疑ってかかるようではあかんよ?」

絵里「……その通りね。ごめんなさい。でも。確認くらいはさせてもらうわよ」ペラッ

絵里「ふーん。作曲ソフトに、ちょっとした音響設備が一式、ね。これは……布? こんなに?」

希「衣装のために買ったはいいけど、衣装づくりまで手が回らんかったらしくって」

絵里「もう、無駄遣いして……」

希「まあまあ。で? アイ研は問題なしってことでいい?」

絵里「……そう、ね。価格も、まぁ妥当なところに見えるし、いいと思うわ」
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2017/08/27(日) 13:41:37.76ID:iVg5AUpJ
絵里「と言うかこの音響設備、他でも貸し出してほしいくらいよ。何かあったとき、お願いしてみようかしら」

希「うんうん。アイ研が学校から頼られる場面が出てきたら、にこっちも喜ぶと思うよ」

希「主に、部の存続の交渉カードになるしね? Win−Winやん?」ニシシ

絵里「ずいぶんアイ研に肩入れするわよね、あなた……。今回の件でも、何か手を回したりしてないでしょうね」

希「うわ、優秀な右腕を疑うん? 酷いなぁ……」

希「最初から分かってたんよ、アイ研は問題ないって。だって、カードがウチに――そう告げたんや」ヒュパッ

希「……ん」

絵里「正義の逆位置? ……なんだか信用できなくなってきたわね」

希「……ふふっ」

希「どうしたん、えりち? えりちもオカルト信じるようになったんや?」

絵里「オカルトぉ? 認められないわぁ」

――コンコン

絵里「? はい、どうぞ」

にこ「失礼します」
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2017/08/27(日) 13:44:12.38ID:iVg5AUpJ
希「あ、にこっち。やっほー」

絵里「……アイドル研究部の矢澤さんね。ちょうどあなたの話をしていたわ。ずいぶん、うちの副会長の手を煩わせてくれたみたいだけど」

にこ「希を寄こしてきたのはそっちでしょ。こっちは部費の用途確認なんか頼んでないっての」

にこ「……で? アイドル研究部はお咎めなし、ってことでいいの?」

絵里「それはどうもご協力ありがとうございました。おかげさまでアイドル研究部の部費の扱いに問題がないことが分かりました」

にこ「ほっ」

希(そんなあからさまに安心した顔せんでも……)

絵里「もっとも。部の規模と活動実績のわりに使い込んだな、という印象だけど」

にこ「……まだまだ創部して間もない、若い部よ。何かと初期投資が必要なの」

絵里「そう。なら、そろそろ本格的な活動をしてもらえるということで、今後の活躍に期待します」

にこ「……チッ」
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2017/08/27(日) 13:45:27.35ID:iVg5AUpJ
希「ま、まあまあ。それで、にこっち。今日は生徒会に何の用なん?」

にこ「生徒会に用はないわよ。希、これ」

希「わぁっ。ありがとう、にこっち」

絵里「……それ、何の包み?」

希「お弁当やん。にこっちの手作りなんよ?]

絵里「お弁当?」

にこ「こいつ普段、ろくなもの食べてないみたいだから。ジャンクなものばっかりで」

希「にこっちって料理上手なんよ。購買で買ってくるより美味しいし経済的やし、もう離れられんわ」

にこ「ふ、ふんっ。にこにーの手料理なんて、本当は超レア物なのよ、感謝しなさい!?」

絵里「ハラショー。生焼けなのね」

にこ「え?」

絵里「え?」
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2017/08/27(日) 13:46:35.60ID:iVg5AUpJ
希「ふふっ。にこっちは、お昼これから? 何なら一緒にどう? ウチらここで食べるんよ」

にこ「あ、ああ。いや。私は部室で食べるから……」

希「えー? 部室じゃあぼっち飯やろ? みんなで食べた方が美味しいって」

希「な。えりちも、一緒に食べていいよね?」

絵里「ん、まあ。書類を汚したりしなければ、食事くらいなら」

希「ほらー。生徒会長がこう言ってくれてるんよ? 一緒に食べようよ、にこっちぃ」グイグイ

にこ「だぁっ、どさくさに紛れて胸を揉むな、胸を! 分かったわよ。食べればいいんでしょ、ここで」

希「やたっ」

絵里「……ずいぶん仲がいいのね」

希「そうやろー? ウチの親友と言えば、えりちとにこっちの双璧やからね」

絵里「ふふ、なにそれ」

にこ「……親友、か」

希「……」
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2017/08/27(日) 13:48:39.36ID:iVg5AUpJ
希「さ。食べようか。今日のおかずは何かなー♪」パカッ

絵里「……美味しそうだけど、生焼けじゃなさそうね」

にこ「え?」

絵里「え?」

希(……あれから)

希(あれから、ネットオークションやアキバを巡り、本来部費で購入するはずだった諸々を2人で協力して買いそろえた)

希(その間、ウチは可能な限りデキる女をにこっちの前で演出した)

希(徹底してにこっちに主導権を与えず、部費の使途偽装をウチのリーダーシップの元で推し進める。生徒会やアイドル研究部の話を言葉の端々に含めつつ)

希(こっちは緊張で死にそうやったけど、その甲斐あってにこっちの方は終始、居たたまれなさそうな様子やったね)

希(――さすがは人望ある生徒会の副会長。部員を繋ぎとめることも出来なかった名ばかりの部長とは違う……なんて、思ってくれたかな?)
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2017/08/27(日) 13:50:15.68ID:iVg5AUpJ
希(助けた側と、助けられた側。明らかな立ち位置の差。そんな人を自分の悪事に巻き込み共犯者にしてしまった負い目)

希(そんな自分にすら、明るく優しく接してくれる人。対して、自分はいったい何なのか)

希(膨れ上がる劣等感。対等になりたいという焦燥感。それが叶わないと知る絶望感)

希(……可愛かったなぁ。どうにか話を合わそうと無理やり笑うところなんて、思い出しただけでゾクゾクするやん?)

希「にこっちー。これ食べさせて? あーんしてよ、あーん」

にこ「は、はぁ!? 高校生にもなってバッカじゃないの、恥ずかしくないワケ!?」

希「いいやん。ね、にこっちお願いっ」

にこ「も、もう。しょうがないわね……ほら」

希「あーん……。ん、おいしー♪」

絵里「ハ、ハラショー……」
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2017/08/27(日) 13:51:26.91ID:iVg5AUpJ
希(そんな中、思いっきり付け入るスキを見せてみた)

希(家事スキル。ウチの女子力の低さを、にこっちの眼前に叩き付けた。掃除はやって月に1回。得意料理はおうどんさん)

希(にこっちにとって、それは地獄に垂れたクモの糸か、はたまた1本のイチジクの木か)

希(どうにかして恩を返したい相手が、はじめて見せた明確な弱点。それが自分の得意分野であった偶然)

希(……それからは早かった)

希(にこっちは、そもそも世話焼きな人間。つっけんどんにしつつ、頼られることに喜びを感じるタイプやからね)

希(それは罪過を忘れられるひととき。劣等感に目を逸らせられる夢。優越感を体感できる幻)

希(ウチがにこっちに甘えてる時間は、今のにこっちが唯一、自分自身の価値を肯定できる時間。それはまさしく至福と言ったところやろうね)

希(その結果が――これ)

にこ「ほら、希。口の周りが汚れてるわよ」

希「ほんまに? 拭いてー」

にこ「もう。しょうがないわねー」フキフキ

絵里「お、おぉう……」

希(ふふ。えりち引いてるやん。えりちと一緒にご飯食べて正解やったね)
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2017/08/27(日) 13:53:48.32ID:iVg5AUpJ
希(にこっち、最初はえりちの目を気にして抵抗もあったみたいだけど、今ではこの通り。もうえりちの視線なんて気にもなってない)

希(ここまで来ればもう、往来でイチャつくのも簡単やんね。きっと、もっと恥ずかしいお願いでも聞き入れてくれる……)

希(いや、まあ。こっから先はウチの覚悟が決まってからやけどね。ウチの胃と心臓は緊張続きでもう限界なんよ)

希「はーっ、ごちそうさま。今日も美味しかったよ、にこっち。ありがとう」

にこ「はいお粗末様。じゃあ、にこは帰るわ。お弁当箱、返して」

希「うん。いつもごめんなぁ」

にこ「いいのよ。好きでやってることだから」
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2017/08/27(日) 13:55:17.27ID:iVg5AUpJ
希「じゃあ、またね、にこっち」

にこ「はいはい。またね」ガチャ、パタン

希「ふふっ、にこっちって素直じゃないんだから。ね、えりち」

絵里「……あなた達って、付き合ってるの?」

希「ん、いや? そんな訳ないやん。ありえんありえん」

絵里「え。いやでも。あれはどう見ても……」

希「嫌やわ、えりち。あんなのちょっとしたスキンシップやん?」ケラケラ

希(そう。付き合うなんてありえんよ、えりち)

希(恋人なんてどこにでも有り触れた関係で、ウチとにこっちが終わるわけ、ないやん……?)
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2017/08/27(日) 14:14:20.75ID:1zLxkeVE
先生期待してます
0047名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@無断転載は禁止
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2017/08/27(日) 15:07:40.90ID:XBtfCMXu
素直にたまらねぇ
ゾクゾクする
0053名無しで叶える物語(しうまい)@無断転載は禁止
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2017/08/27(日) 17:04:45.65ID:iVg5AUpJ
――――
――

モブ「あ、あの。東條さん。今、時間いい……?」

希「ん? あれ、モブ子さん。ウチに何か?」

モブ「東條さんって、占いやってるんだよね。よく当たるって聞いて」

希「うん。よく当たるかはアレだけど、確かに趣味でやってるよ」

希「あ。もしかして、ウチに何か占ってほしいとか?」

モブ「う、うん。お願いできるかな……?」

希(……大して仲良くもないモブ子さんが占いの依頼、ねえ)
0054名無しで叶える物語(しうまい)@無断転載は禁止
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2017/08/27(日) 17:05:36.50ID:iVg5AUpJ
希(そこまで仲良くない子から占いの依頼が来る場合、厄介な悩みを抱えてることが多い。……まあ厄介と言っても、あくまで本人にとっては、やけど)

希(うーん。今はにこっちのことで手一杯だから、あんまり他の人に構ってはいられないけど……)

希(でも、まあ。せっかく頼りにしてくれてるのを無下にするのも何やね。ひとつ占いくらいは付き合ってあげよか)

希「うん。いいよー。何について占う? あ、まずは人のいないところに移動した方がいいかな?」

モブ「そう、だね。そうしてくれると助かるかな」

希「はいはい。じゃあ、そうやね。アイ研でいいか」

モブ「アイ研……?」

希「あそこは部室の主以外ろくに人が寄り付かんからね。こういう時にはちょうどいいんよ」
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2017/08/27(日) 17:06:38.45ID:iVg5AUpJ
希「やっほー。にこっち、いるー?」ガチャ

にこ「ああ、希。どうかし――ん? ……後ろの、確かモブ子さんだっけ。何か用なの」

希「実は占いを頼まれて。人のいないところを探してるんよ。ここ、使わせてもらってもいい?」

にこ「ぬわぁんでよっ! まさに、今、にこがいるでしょうが!」

希「うん。だから、ちょっと外してもらえたらなって」

にこ「はぁ? ここはアイ研の部室よ。生徒会役員が部長である私を追い払おうっての? 何様のつもりよ」

にこ「い・や・よ。他を当たんなさい」

希「……」

希「うーん、そっかあ。にこっちだけが頼りだったんやけど」

にこ「」ピクッ
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2017/08/27(日) 17:07:58.16ID:iVg5AUpJ
希「ねえ、にこっち。お願い。ちょっとだけでいいから、部室貸して?」

にこ「……」

にこ「わ、分かったわよ……。でも、部室にあるものには触らないでよ。汚したりしたらタダじゃ置かないわ」

希「ほんまに? ありがとう!」

希(……思い入れの強い部室。本来なら、にこっちが部室を部外者に貸し出すなんてまず有り得ん)

希(それでも、このくらいのお願いなら聞いてくれるようになってるんよね。順調順調♪)

にこ「にこは図書室ででも暇をつぶして来るわ。終わったら呼んで」

希「うん。ごめんな、にこっち」

にこ「……」ギロッ

モブ「ひっ」
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2017/08/27(日) 17:09:01.26ID:iVg5AUpJ
にこ「……ふん」スタスタスタ

モブ「う……。ね、ねえ東條さん。矢澤さんに、すごい睨まれたんだけど……」

希(ウチが他の女と一緒にいるのが気に入らんのかな? ましてアイ研の部室で、なんて、そりゃあ虫の居所も悪くなるよね)

希(うんうん。にこっちも本当に、可愛くなってきたなぁ。これから、もーっと可愛くしてあげんとね?)

希(……待てよ。それなら)

希(モブ子さんの占いは、サクッと終わらせるつもりだったけど。……うん。ちょっと、いいこと思いついたかも)

希「まあ、にこっちのことはいいやん。それよりも占い」

希「……うーん。モブ子さん、最近あんまりいいことなさそうやね。ここのところ、ずっと気分が沈み気味。でしょ?」

モブ「!? わ、分かるの……?」

希「スピリチュアルやろ? で。今日の占いって言うのも、それと何か関係がある。ここまでは合ってるよね?」

モブ「う、うん。実は……。凄いんだね、東條さん。私、まだ何も言ってないのに……」

希「まーねー♪ でも、そっかそっか。お悩み事。なら、ちょーっと真剣にやらんとね。えーっと」

希「……」

モブ「と、東條さん?」
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2017/08/27(日) 17:10:17.11ID:iVg5AUpJ
希「……うん。確かにモブ子さんは今、悩んでるんだろうけど、その答えはもうモブ子さんの中で出かかってる」

希「ただ勇気が出ない。本当にこの選択でいいのか、後で後悔したりしないか……。その背中を押す一手を、この占いに望んでる」

希「違う?」

モブ「あ、当たってる……」

希「……だからこそ、申し訳なく思うね」ヒュパッ

モブ「え?」

希「戦車の逆位置。……失敗の暗示。モブ子さんの選択は少し、思い直した方がいい」

希「カードがウチにそう告げるんや」

モブ「……!」
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2017/08/27(日) 17:11:12.72ID:iVg5AUpJ
モブ「え、っと。じゃあ私は、どうしたら……」

希「さすがに、カードもそこまでは教えてくれんよ」

希「……どうかな。ウチに話してくれん? 占いとは違ってしまうけど、モブ子さんがウチのところへ来たのも何かの運命」

希「力になれることもあると思うんよ」

モブ「……」

希「怖い? 大丈夫。ウチを信じて……」

モブ「……あの。私。進路のことで、悩んでて――」

希(自己を構築するものは何か。なんて、哲学するつもりはないけどね)
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2017/08/27(日) 17:11:53.28ID:iVg5AUpJ
希(でも確かなことは、自分を認める何かがないと、人は自分の心を保てない)

希(もしも自分を認めるすべてが崩れ去ってしまったら、生きることすら困難や。そうなった時、人は新たな救済を無条件で受け入れる……)

希(それが、怪しさ満点の占い詐欺師の言葉やったとしても、ね?)

希(ふふ。にこっち以外だと緊張することもないし、気楽な仕事やわ)

希(ごめんなぁ、モブ子さん。あなたに恨みはないけど、ちょーっとだけウチとにこっちのために)

希(あなたとあなたのご両親が17年かけて築き上げてきたあなたの価値観。あなたが自分を肯定するための何もかも)

希(粉々に叩き砕いて再構築させてもらうね……?)
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2017/08/27(日) 17:13:39.62ID:iVg5AUpJ
――――
――

希「やっほー、にこっち。いらっしゃい」

にこ「はいどうもお邪魔します。……って、あんた。またこんなに散らかして」

希「いやぁ。ついつい」

にこ「ったく。ホントあんたは、にこがいないとダメねぇ」ニコニコ

にこ「ほら。私が掃除やっとくから、あんたは買ってきた食材詰めといて」

希「はーい。お、今日のご飯は肉じゃがやんね?」ガサガサ

にこ「そうよー。にこにー特製肉じゃが。感謝して食べなさい?」

希「うん。ウチ、にこっちの肉じゃが好きー」

にこ「ふふん。ま、この私が作るんだから当たり前よ」
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2017/08/27(日) 17:14:28.85ID:iVg5AUpJ
希「よし。にこっち、冷蔵庫に全部入れたよ。ウチも掃除するわ」

にこ「あんたはゆっくりしてていいのよ?」

希「そうもいかんよ。ここ、ウチの部屋やしね。お客さんにだけ働かせるわけには」

にこ「いいのに……。まあ、じゃあ、にこが散らかった物をまとめていくから、収納してって」

にこ「その辺りはさすがに、ここに住んでる本人がやった方がいいと思うから」

希「ほいほーい。うーん、でもにこっちみたいに上手く収納できるかなあ?」

にこ「まあ、困ったら言いなさい。収納術くらいはアドバイスするわ」

希「はーい」
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2017/08/27(日) 17:15:23.78ID:iVg5AUpJ
にこ「しっかしまぁ、こうやって見ると占いの本ばっかり散乱してるわね。そのくせ占いの道具はちゃんと片付いてるってのが何とも」

希「占い道具は大切にしてるんよ。ウチにとっては相棒みたいなものだし」

にこ「本も大切にしなさいよ。その辺の道具よりずっと長い付き合いに出来るんだから」

にこ「にこが小さい頃に読んでた本なんか、チビたちはみんなお世話になってるわよ」

希「にこっち、今もまだ小さいやん」

にこ「胸を見ながら言うな、胸を! ――って、ん? 心理学の本?」

にこ「あんた、心理学なんか興味あるの? だいぶ読み込んでるみたいだけど」

希「……ああ」

希「それも占いの一環。趣味が高じて占いを頼まれることがあるんよ。ほら、この間もあったやろ?」

希「占いなんて不確実なものやからね。いい結果にもなれば悪い結果にもなる。当たることもあれば外れることもある」

希「自分のことを占う分には構わないけど、人を占うとなるといろいろ気を使うんよ。場合によっては怒らせたりするし……」

希「そういうことがないようにしたくて、勉強してみたん」
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2017/08/27(日) 17:17:06.80ID:iVg5AUpJ
にこ「……あんたも苦労してるのね」

希「趣味での苦労は楽しいよ」

希「それに、せっかくウチの占いに頼ってくれてるんやもん。出来れば、どんな結果でも気分よくなってほしいやん?」

希「そういう時に心理学って便利なんよ。言葉の使いよう、話の持って行きよう、気の持ちよう。占いの結果を好意的に見てもらえる」

にこ「そう聞くと夢がないわね。スピリチュアルだ何だとか言っておいて、けっこう科学的なことやってるのね」

希「占星術だって昔は学問、最先端の科学だったんよ? 星を占い未来を知る……科学の興りなんて結構なロマンスや」

希「心理学も、もとは可愛らしい夢やとウチは思うん。あの人の心に少しでも触れたい、って。ウチにとっては占いも心理学も、魔法みたい」

にこ「……あんたって稀に真面目な話するわよね。いつもそうはならないの?」

希「にこっちにだけは言われたくないよ……」
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2017/08/27(日) 17:18:30.79ID:iVg5AUpJ
希「さて。にこっち、収納ってこんな感じでいいの?」

にこ「んー……うん。取り出しやすそうだし、そんなものでしょ。十分十分」

にこ「じゃあ、にこは掃除機かけちゃうわね」

希「掃除の後は料理やんな? ウチ、何かしかけとくことある?」

にこ「あー。じゃあ、野菜の皮むいといて」

希「あいあいさー!」

希(ふふ。この後は一緒に料理かぁ。何か、新婚さんにでもなった気分♪)

希(……まあ、気楽なままでもいられんけど。勝負するんならたぶん今日、やんなぁ……)





希「はぁ……、めっちゃ緊張してきた……」

希「心臓の音やばい……。何なんこれ。ウチそろそろ死ぬんちゃうん」
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2017/08/27(日) 17:19:24.25ID:iVg5AUpJ
希(にこっちは今、お風呂からあがって、のんびりテレビでも見てる頃。あるいはスマホでアイドル情報のチェック中か?)

希(何にしても、ウチが浴室から出るまでは手持ち無沙汰にしてるはず。あんまり待たせるわけにはいかんよね)

希(いかん、のやけど……)

希「ああっ、あかん……! 怖い、怖すぎる……っ。もし拒絶でもされたら、ウチ生きていけんよぉっ」

希(それはない、はずだと思ってはいる。にこっちの心は十分掌握できてる。ウチが求めれば、それに応えてくれる)

希(そのはず。そのはず、なんやけど)

希(それは確率何パーセント? ウチはどれくらいの確率でにこっちから拒絶される?)

希(もし。もし拒絶されたら……)

希「……違う。弱気になるな、気をしっかり持つんや、希。今日のために積み重ねてきたことを信じろ」

希「失敗なんか、有り得ない。大丈夫。大丈夫。大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫……」

希「……よし」

希「――お風呂あがったよー、にこっち」
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2017/08/27(日) 17:21:00.52ID:iVg5AUpJ
にこ「んー。悪いわね、一番風呂もらっちゃって」

希「もう、またそれ? にこっちはお客さんなんだし、ゆっくりしてくれればいいの」

希「ウチの方こそごめんな? そんなお客さんに、掃除に料理に、いろいろやらせてしまって」

にこ「好きでやってることだからいいのよ。家事には慣れてるし」

希「ううん。にこっちには本当に感謝してるんよ。ウチ、ここのところお世話になりっぱなしや」

希「だからね。にこっちにプレゼントがあるん」

にこ「プレゼント?」

希「これ。受け取ってくれる?」スッ

にこ「ピンクのブレスレット……かわいい」

希「良かったぁ、気に入ってくれた? それ、ちゃんとしたお守りなん。そこに希パワーたーっぷり注入させて頂きました!」

にこ「……なんで?」

希「なんでって、何が。あ、お守りなのは、そりゃあスピリチュアルやなーって」

にこ「違うわよ! ……なんでにこに、お礼なんか」
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2017/08/27(日) 17:22:18.26ID:iVg5AUpJ
希「さっき言ったやん。日頃の感謝の気持ち。何かお礼がしたいって、ずっと思ってたんよ?」

にこ「……っ」

にこ「……お礼なんていいのよ。あんたには返しきれないくらいの恩があるんだから」

希「部費のこと?」

にこ「ええ。だから、家事くらいやらせてよ。お金は当然としても、他に私があんたに返せるものなんて、それくらいしかないんだから」

希「……そんなん、いらんよ」

にこ「え?」

希「ねえ、にこっち。あのときウチ、何でにこっちを助けたか、分かる?」

にこ「……友達だから、でしょ」

希「もちろん、それもある。でも、違う。そうじゃない。友達だから、なんかじゃない」

希「にこっち。隠しててごめん。でももう、我慢できない」グィッ

にこ「――わっ」ドサッ

希「――これが、ウチの本当の気持ちなん」

にこ「の、希……」
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2017/08/27(日) 17:23:02.95ID:iVg5AUpJ
希(無事にベッドまで押し倒せた。こちらを見つめる瞳に、拒絶の色はない。大丈夫)

希(モブ子さんでも練習したし、問題はない。大丈夫。上手くやる。上手くやらなきゃダメ)

希(大丈夫。ウチなら出来る、上手くやれる。大丈夫。何度もシミュレートしてきた、問題ないよ)

希(……でも)

希(でももし失敗して、にこっちに嫌われたら。今ならまだ、冗談でしたで済ませられ――っ、違う!!)

希(違う、失敗なんて考えるな! 大丈夫、行け。今が最高のタイミングなんや、行け! 東條希っ……!)

にこ「――ぷっ、あっははは!」

希「って、え……。に、にこっち?」

にこ「ご、ごめん。でも、――くくっ。希あんた、心臓の音、すごいわよ?」

希「――っ!?」バッ
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2017/08/27(日) 17:24:09.29ID:iVg5AUpJ
にこ「ふふっ。あんたぜんっぜん表情に出てないのに、くっついたらもうバックバクしてて凄いんだもの。ここで死ぬんじゃないかってくらい」

にこ「あんたも可愛いところあるのね。いつも余裕しゃくしゃく、みたいな顔してるのに」

希「う……。や、やめてよ。恥ずかしい……」

にこ「ねえ。そんなに緊張してるの?」

希「……するよ、そりゃあ」

希「白状するけど、にこっちと喋ってるときはだいたい、こんなんよ。上手く振る舞うことばっかり考えてる……」

にこ「何でよ。自分で言っちゃ何だけど、にこ相手に気取ったりしてもしょうがないでしょ」

希「……しょうがなくないよ。だって、嫌われたく、ないもん」

希「ウチを見て、欲しいもん」

にこ「……バカね」
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2017/08/27(日) 17:25:32.23ID:iVg5AUpJ
にこ「希」ギュッ…

希(あ……。にこっちの心臓の音)

希(すっごい、ドキドキしてる……。でも、落ち着く)

にこ「好きよ、希。だから怖がらないで、私に触れてよ……」

希「っ、にこっち。――にこ……」チュッ

にこ「……」

希「……」

にこ「ふふっ」

希「えへへ」

希「しちゃったね、キス」
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2017/08/27(日) 17:26:33.42ID:iVg5AUpJ
にこ「……なんだか不思議。ちょっと前まで、あんたとこんな風になるなんて思ってもみなかったわ」

希「ウチはずっとこうなりたかったよ」

希「……ねえ、にこっち。ウチ、続きがしたい。もっとにこっちと繋がりたい」

希「もっと強く。もっと深く。深く。深く。圧し潰れるくらいに。溶けるくらいに」

にこ「……」コクッ

にこ「来て。希……」

希「にこっち。にこっち……っ」


「あ――、は、あぁ……っ」


「ちょ、待って。そろそろ休憩――、んあっ!?」


「も、無理。おねが、待って許して、もう無理なの……あぁぁっ! またイ……ッ、ぅあっ!?」



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2017/08/27(日) 17:27:10.01ID:iVg5AUpJ
にこ「は、あ……。やっと落ち着いたわ。まだぜんぜん腰に力、入んないけど」

にこ「あんた、激しくし過ぎよ。初めてなのに、がっついてくれちゃって、もう」

にこ「身体中べとべと。よだれなのか汗なのか何なのか……。今日このベッドで寝るの……?」

希「ご、ごめん。浮かれちゃって、抑えられなくて……」

希「本当、ごめん。許して、ください」

にこ「……はあ。いいわよ、そんな泣きそうな顔しなくたって。にこも、その。気持ち、良かったし……」

にこ「で、でも! 次はこうはいかないわよ! やられっぱなしのにこにーじゃないんだから!」

希「……次」

希「えへへ。次、か」
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2017/08/27(日) 17:27:54.23ID:iVg5AUpJ
にこ「当たり前でしょ。次も、その次も。その次の次だって、ずっと」

にこ「ずっとずっと、あるんだから」

希「ふふ、そっか」

希「そっかぁ……。えへへ」

にこ「まったく。嬉しそうにしちゃって」

希「嬉しいもん。ウチ今、あまりに幸せ過ぎて。もう死んでもいいくらい」

にこ「縁起でもないわね、ったく」

希「だって本当に幸せなんよ」

にこ「……私もよ」

希(……でもね、にこっち。ウチはそれ以上に怖いんよ)
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2017/08/27(日) 17:28:26.57ID:iVg5AUpJ
希(この幸せは、ウチが作り上げた人工の夢。にこっちの心を縛り付けて、塗り固めて、ようやく得た幻)

希(いつか戒めの鎖が解けて、この夢が覚める日が来るかもしれない。それを思うと、不安で潰れてしまいそう)

希(だからね、にこっち。死んでもいいっていうのは本当なんよ?)

希(この幸せな夢から覚める前に逝くことが出来たなら。それはどんなに――、)

希(ああ……でも。ウチは本当に、度し難いほど強欲や。もっと夢の続きを見たい。もっとにこっちと触れ合っていたい)

希(夢の終わりが、絶望であることを知っているのに)

希(ねえ、にこっち。ウチは、どうしたらいいかなぁ……?)

希(教えてよ。離れないでよ。見捨てないでよ。嫌わないでよ。ねえ、にこっち)

希(ウチそのためなら。ど ん な こ と で も し て み せ る か ら)
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2017/08/27(日) 18:29:46.21ID:BioCJpUZ
これ、にこは本気で希に感謝して希のことが好きになったとしても、希はそれが
にこの本心か自分の心理操作によるものかに延々迷い続けるから、実は希の方が
泥沼に全力で突っ込んでるんじゃないか
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2017/08/27(日) 21:05:10.30ID:wiBir7yH
さあどうなる
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2017/08/27(日) 21:50:57.48ID:iVg5AUpJ
           ◇

にこ「ちゅ……ん、く、ふっ。はむ、ちゅ……」

にこ「ぷはっ! ちょ、ちょっと希……! 待って。待ちなさいってばっ」

希「……にこっち」

にこ「ものほしそうな顔しない! あんた、これから生徒会でしょ。うちの部室に居座っててどうするのよ」

希「サボるよ、そんなん。にこっちと一緒にいたい」

にこ「副会長の言葉とは思えないわね……」

にこ「うだうだ言ってないで、さっさと行く。終わったらあんたの家、行ったげるから」

希「うん……。分かった」

希「……約束ね? 絶対来てよ?」

にこ「わぁかったわよ。ほら、行ってらっしゃい。生徒会のメンバーが待ってるわよ」

希「うん。行ってきます」トボトボ

にこ「……はぁ」

にこ(希と深い関係になってから、およそ1か月。希は頻繁に私を求めてくる)
0087名無しで叶える物語(しうまい)@無断転載は禁止
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2017/08/27(日) 21:51:55.27ID:iVg5AUpJ
にこ(おかげで感覚がマヒしてくるくらい。学校で求められて、それに部室で応じることも当たり前になりつつある……)

にこ「……求められるのが嬉しいなんて、思っちゃう私も私だけど」

にこ(言わないけど、にこも大概、あいつにぞっこんなのよね。もらったブレスレット毎日肌身離さず着けてるくらいだし。……言わないけど)

にこ(それにどうにも、希に求められると上手く断れない。今だって、どうにか絞り出した言葉でなんとか生徒会に行かせた)

にこ(何と言えばいいのか。希のお願いだから断れない、というのもあるけど)

にこ(……抱き合うたびに感じる、張り裂けそうな心臓の音。いつだって飄々としたあいつの、心の内側)

にこ(あの心臓の音を聞くと、断れなくなる)

にこ「まあ私も嫌では、ないんだけど」

にこ(普段はチビたちのことがあるし、学校以外であんまり希と一緒にいる時間も作れないのが一番の問題よ)
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2017/08/27(日) 21:53:00.39ID:iVg5AUpJ
にこ(でもやっぱり学校はマズいわよね。部費の問題が解決した矢先、校内での淫行でしょっぴかれるのはゴメンだわ)

にこ「……となると、なおさら。今日の放課後の時間は大切にしたいわね」

にこ「よし。先に帰って買い物しよう。もらった合カギ使って、希が帰ってくる頃に料理を用意しておけば時間の節約になるわ」

にこ「そうと決まれば希にLINEして、と……。これでよし」

にこ「んじゃあ、帰りましょうかね」



にこ「あれ。靴がない……」

にこ(下駄箱の中に置いておいたはずの靴がない。間違えたかと思い改めても、間違いなく、これが矢澤にこの下駄箱だ)

にこ(なら誰かが間違えて履いて帰った……?)

にこ(いや。それはない。それなら上履きが残っているはずだし、そもそも、同学年でにこの靴と同じサイズの子がいるとは思えない)

にこ(ということは、つまり……)

にこ「誰かが故意に持って行った。そういうこと、よね」
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2017/08/27(日) 21:54:09.10ID:iVg5AUpJ
にこ(思い当たる節は……1年の頃のアイ研部員? いや。厳しくは接したけど、恨まれてはいない、と思う。今までこんなことなかったし)

にこ(……それ以外は、特には。今このタイミングで、となると、最近の私の環境の変化のせい?)

にこ(最近変わったことと言えば……部費の件と、希。……希? 希のファンが私と希の関係に気付いて?)

にこ(いや、まさか。生徒会長とか、噂の1年の弓道部の子ならまだしも、東條希にそんなファンがいるなんて話は聞かないわ)

にこ「……駄目ね。ぜんぜん分からない」

にこ「でもこれじゃあ帰れないし、当てがなくても探すしかないわね。ゴミ箱とか、そういうところから見るべきか」

にこ(はぁ。それにしても……けっこう精神にクるわね、これ。ちょっと泣きそうだわ)





にこ「駄目ね。見つからない……」
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2017/08/27(日) 21:55:49.15ID:iVg5AUpJ
にこ(不審な目で見られながらも、他の学年の教室まで探しに行ったけど、どこにも見つからない)

にこ(あるいはもう学校にはない? 持って帰られた? そうすると探しても無駄だけど)ピローン♪

にこ「ん。……LINE。希から」

希『生徒会やっと終わったよー。今から帰るね。何か買って帰るものある?』

にこ「そっか。にこは先に帰ったことになってるから」

にこ「……気は進まないけど、仕方ないわね。あいつなら何とかしてくれるかもしれないし」

にこ『ごめん、まだ帰れてないのよ。靴がなくなっちゃってて』

希『クツ? にこっちの?』

希『とにかく、まだ学校なんやね。じゃあ部室に戻ってて。ウチもしばらくしたら行くから』

にこ「部室で待ってて、か。……そうね。確かに探し疲れたし、一度部室に戻って休憩してましょうか」
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2017/08/27(日) 21:57:01.68ID:iVg5AUpJ
にこ「……希のヤツ、遅いわね。LINEのやり取りしてから20分、か。何かあったのかしら」

ドタドタドタ

希「ご、ごめん、にこっち。お待たせ!」

にこ「ああ、来たのね。いいのよ、待ってはいたけど、こっちも休憩がてらだったし」

希「ホントごめんなぁ。ちょっといろいろ捕まってたんよ」

希「で。靴がないって、どうしたん?」

にこ「こっちが聞きたいくらいよ。下駄箱からにこの靴がなくなってるんだもの」

希「うーん。にこっちやしなぁ。いったいどこで恨みを買ったか分かったものじゃないし……」

にこ「ぬぁんでよっ!」

希「えー。自覚ないん、にこっち。言っとくけど性格そうとう悪いよ?」

にこ「ぐぬっ。そ、その性格悪い女に夢中なヤツがよく言うわ」

希「そこも可愛いと思えてしまうんよね。不思議やわ……何でやろ」
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2017/08/27(日) 21:58:11.09ID:iVg5AUpJ
希「と言うかウチもちょっとショック。ブレスレットのお守り、毎日着けてくれてるのになあ。希パワーも地に落ちたかな」

にこ「それで災難から何でも身を守れるなら苦労ないわよ。いいのよ、にこは気に入ってるんだから、このブレスレット」

希「うん。ありがとう」

希「じゃあ、まあ。ここで話してても始まらないし、探しに行こうか。にこっちの靴」

にこ「当てはあるの?」

希「ないよ、そんなん。でも、とりあえず動かんことには、やろ」

にこ「はあ……。ま、そうよね。悪いわね、付き合わせちゃって」

希「いいっていいって。それにウチはラッキーガールやからね、こんなんチョチョイのチョイで見つかるよ」

希「さあて、カードはウチに何て告げてくれるかな、っと」ヒュパッ

にこ「……ま、期待しないでおくわ」
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2017/08/27(日) 21:59:15.69ID:iVg5AUpJ
希「あったよー、にこっち!」

にこ「うっそ、はやっ!?」

希「うーん。都合3部屋目。ウチもまだまだ修行が足りんね」

希「ほい、にこっち。汚されてるとかはないみたいよ」

にこ「あ、ありがとう……。え、どこにあったの、これ」

希「んー? そこの、掃除用具のロッカー」

希「さ。遅くなっちゃったし帰ろうよ。ウチもうお腹ぺこぺこ」

にこ「……そうね。帰りましょうか」

希「今日のご飯は何かなー?」

にこ「お金もないしね。贅沢は出来ないから……豆腐ハンバーグとか」

希「わーい」

にこ(……ロッカー、か)

にこ(あのロッカー。結構最初の方に調べなかったっけ……?)
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2017/08/27(日) 22:01:33.47ID:iVg5AUpJ
――――
――

にこ「う、上履きの中に画鋲……!?」


にこ「……机の中に、ゴミ」


にこ「すみません。教科書、忘れたみたいです……」


にこ「はあ……。参ったわね」

にこ(……あの靴喪失の事件から数日。どうやら、完全にいじめの標的にされたみたい)

にこ(まあ、スクールアイドルの活動始めた時点で嫌がらせは覚悟してたから、今なのか、って感じはするけど)
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2017/08/27(日) 22:02:54.08ID:iVg5AUpJ
にこ(でもこのいじめ、何かが妙……なのよね)

にこ(いじめって普通、いじめる相手の反応を見て楽しむものよね。それも、複数人のグループで)

にこ(クラスの中に、にこの反応を見て楽しんでいるような空気はない。誰かがせせら笑っているところを見たことがない)

にこ(そもそも。首謀者の影すら見えないのはいったい。にこの反応を見ることが目的、じゃあないってこと……?)

にこ(希に相談……は、したくない。あの靴喪失の一件、希は相当気にしてるみたいだし、これ以上心配をかけたくない)

にこ(なら、にこ一人で解決しないと。黙ってやられたまま、ってのも性に合わないし)

にこ(……問題は。やっぱり、誰が何の目的でこんなことをしているか、分からないことよね。こっちから問い詰めることが出来ない)

にこ(まあ幸いにして、とは言えないけどターゲットはにこな訳だし、首根っこを捕まえることは出来る……か)

にこ(相手はある程度にこの行動パターンを把握してる。にこに見られてないんだもの、そりゃあそうよ)

にこ(ということは、一番手っ取り早いのは逆張りね。にこが普段取らない行動を取る)

にこ(もちろん、それで相手と確実に出くわす訳じゃないけど、まあ、続けてりゃあどこかで会うわよ。お互い、ね)
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2017/08/27(日) 22:04:18.22ID:iVg5AUpJ
「」ガサゴソ

にこ「なーんて。まさか一発目で成功なんてね。やっぱ、にこにーってば持ってるわ。あいつ以上のラッキーじゃない」

「!?」ビクッ

にこ「……そこ。知ってると思うけど私の席なのよね。それとも私の席に何か用でも?」

にこ「――モブ子、さん」

モブ「……ッ」ギロッ

にこ「っ、」

にこ(なに……? 私、睨まれてる? 睨みたいのはこっちだっての。でも……)

にこ(なによ。あの血走った目つき……。いじめっ子のそれじゃ、ない……。いや、怯んじゃ駄目。せっかく首根っこ捕まえたんだから)
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2017/08/27(日) 22:05:22.30ID:iVg5AUpJ
にこ「聞くまでもなさそうだけど、あんたね。今まで散々、にこに嫌がらせしてくれたのは」

モブ「……」

モブ「……あなたが」

にこ「? なに」

モブ「っ、あなたさえ、いなければァ!!」

にこ「なっ――うぐっ!?」

にこ(く、くびっ、掴まれ……!?)

モブ「あなたが、あなたが悪いんだ! あの人を奪うからッ!」

にこ「な、なんのこ、――ぎゃっ!?」ドサッ

にこ(マ、マウント取られた……押し返せない!? まずい、このまま首絞められ続けたら、最悪……)

にこ(殺され――、)
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2017/08/27(日) 22:06:20.05ID:iVg5AUpJ
モブ「……」

にこ(? 動きが、止まった……? 視線、にこを見てない。どこを見て……?)

にこ(にこの、左腕……、っ!? ブレスレット!?)

モブ「こんなものがあるから駄目なのよ……」

にこ(ちょ、は、ハサミ取り出した……、まさか、このブレスレットを!? 嘘でしょ……っ!?)

モブ「こんなもの、壊してやる……。そうしたら、あの人も私を……っ」

にこ「ま、待って! それは、それだけはやめてっ、大切な物なの!」

モブ「……」スッ

にこ「やめて! お願い! それは、プレゼントしてもらった大切な……!」

にこ「思い出なの! 初めてあいつと結ばれた大切な思い出で、だからお願い、切らないで、お願い!」

にこ「他のことはいいから! いじめのことは許すし誰にも言わないから! お願い、やめて!」

にこ「やめて、やめて! やめてぇ……ッ!?」


――ジョキン
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2017/08/27(日) 22:07:35.73ID:iVg5AUpJ
にこ「あ……!? あ、あぁ……っ」

モブ「……」ニヤァ

――ジョキン、ジョキンジョキン

にこ「あっ、やめ、待って。やめて……」

――ジョキンジョキン

にこ「あぁ、ああああっ」

にこ「やめて。やめ、やめ――、」

「――にこっちっ!」

モブ「……っ!」

にこ「希……?」

希「はぁっ、はぁっ、はぁ……っ」

希「間に合わんかったか……」ボソッ
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2017/08/27(日) 22:08:41.14ID:iVg5AUpJ
モブ「の、希さ――、」

希「……モブ子さん。何をやってるん」

にこ(っ、……冷たい声。あれ、本当に希……?)

モブ「こ、これはっ。違うの、私、」

希「言い訳はウチの家で聞かせてもらおうかな。いいよね?」

モブ「……ぅ」

希「分かったなら、にこっちから離れて。それとも、ウチの言うことが聞けん……?」

モブ「っ」ガバッ

希「……ふん」

希「大丈夫、にこっち? ケガはない?」

にこ(……いつもの、優しい希の声)

にこ「う、うん。平気よ。でも……ブレスレットが」

希「ああ……。いいよ、にこっちが無事なら、それで。また新しいの買ってあげるから。ね?」
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2017/08/27(日) 22:09:55.57ID:iVg5AUpJ
希「それより、ごめん。ウチのせいで、こんなことに……」

にこ「な、なに言ってるのよ。あんたは悪くないでしょ。何か、にこがモブ子さんにやっちゃったのよ。だからあんなに……」

希「……ウチ、モブ子さんと話してみるから、先に帰るね」

にこ「わ、私もっ」

希「にこっちは来なくていい」

にこ「でも」

希「――来なくていい」

にこ「……っ」

希「……行こうか、モブ子さん」

モブ「の、希さん。私……」

希「話はウチの家で聞くって言ったよね? 何回言わせるの?」

モブ「は、はい。すみません……」

希「じゃあね、にこっち。また明日」

にこ「え、ええ……」

にこ(次の日から。私へのいじめがなくなると同時に)

にこ(モブ子さんは学校に来なくなった)
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2017/08/27(日) 22:25:05.33ID:T7TmSR38
すり寄んなデブ
キモイねん
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2017/08/27(日) 22:31:09.52ID:iVg5AUpJ
にこ「……」

希「よっ、ほっ、はっ。ぐぬ、ぬぁ、こなくそぉっ」シャンシャン

にこ「……」

希「せいっ、よいさっ、ちょいなっ」シャンシャン

にこ「……希」

希「ちょ、ちょっと待って、にこっち。もうちょっとでフルコンボで――、」シャンシャン

にこ「……モブ子さんと何を話したの」

希「……」シャン…

希「んー。別に。もうにこっちに付きまとうなって、それだけ」

希「あ。死んでしもた」

にこ「そう。それで、大人しく言うことを聞くどころか、学校まで来なくなっちゃったっての?」

希「不登校に関しては知らんよ。まあ、来づらいんちゃう? 嫌がらせだけならまだしも、人の物を壊してしまったし」

希「それを生徒会副会長に見られたのは、まあマズい。刃物まで出したしね。ウチが各方面に進言すれば、停学にまで発展させられる」

希「そんなことウチはせんけどね。でも当人にとってはそれは怖い。そんな訳で、ほとぼり冷めるの待ってるだけだと思うけど」

にこ「なるほど、ね。で? モブ子さんは何でにこに嫌がらせを?」
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2017/08/27(日) 22:32:14.80ID:iVg5AUpJ
希「さあね。そこまでは」

にこ「……」

希「……」

にこ「どうにも、腑に落ちないわね……」

希「もうモブ子さんのことは忘れようよ。あれは単なるもらい事故やん。ウチらにはもう、何の関係もない。これでおしまい」

希「これから、のぞにこの2人は穏やかにイチャついて暮らすのだったー、はいチャンチャン」

にこ「もう、何よそれ」クスッ

希「お。やっと笑ったね? 笑ってるのが一番いいよ。笑顔の魔法は、にこっちの専売特許やろ?」

希「難しい顔しとっても似合わん似合わん。そんなんで頭が良さそうに見えたりせんから」

にこ「るっさいわねぇ。にこもたまには考え事くらいするのよ」

希「スーパーの特売とか?」

にこ「そうそう。今日は卵が――ってぬぁんでよっ!」

希「うんうん。にこっちはそれくらいがいいね、やっぱり」
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2017/08/27(日) 22:33:23.48ID:iVg5AUpJ
希「じゃあ、ウチはそろそろ行くわ。今日は生徒会がない代わりに神社でバイトなん」

にこ「あれ。今日だっけ」

希「うん。誰かさんのおかげで金欠やからね。いっぱい稼がんと」

にこ「ぐっ。そのお金については、本当に、必ず返すから……」

希「あはは、冗談。素敵なお金の使い方だったと思ってるよ。ウチは」

希「じゃあね。また明日」

にこ「ええ。また……」

にこ「……」

にこ(モブ子さんのこと。希は忘れろって言うけど、本当にそれでいいのかしら)

にこ(モブ子さんのあの目つき、あの言葉……あれは、呪詛だ)
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2017/08/27(日) 22:34:49.17ID:iVg5AUpJ
にこ(強い恨み。積もり積もった負の感情。それらはすべて、私個人に向けられていた。――どうして?)

にこ(私個人に、モブ子さんとの接点はほとんどない。お互い顔と名前くらいは知っている程度。まともに言葉を交わした記憶もない)

にこ(恨まれる道理はどこにもない。でも、あの呪いは嘘じゃない。私は何らかの理由で、彼女から恨みを買っている。間違いなく)

にこ(それを私は、知らないといけない)

にこ(……最後にモブ子さんと話をしたとき。その時は別に、何てことなかった、と思う。あれは確か)

――実は占いを頼まれて。人のいないところを探してるんよ。ここ、使わせてもらってもいい?

にこ(そうだ。希が彼女を連れてきたんだ。占いをするからって)

にこ(私はこの部室を貸し出した。確かに、いい気分がしなくてモブ子さんを睨みはした、けど……)

にこ(それだけで、あそこまで恨まれる? そりゃあ、いい感じはしないし嫌われるくらいはあるだろうけど、恨まれるほどは)

にこ(……でも。あの時は絶対に恨まれてなかった。そんな空気じゃなかった。だからやっぱり、あの日よりも後にモブ子さんとにことの関係が変わったんだ)

にこ(どうして? いったい何が? あの日から変わったことなんて、にこにとっても何も――、)

にこ(……希との、関係が変わったわ。あれから少し後に、私達は恋人になった)

にこ(モブ子さんとにことの接点は、東條希……?)

「――アイドル研究部の矢澤さん、失礼していいかしら。生徒会の絢瀬絵里よ」コンコン
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2017/08/27(日) 22:36:11.64ID:iVg5AUpJ
にこ「……生徒会長?」

にこ「いいわ、入って」

絵里「失礼します。……聞いてはいたけど、すごいアイドルグッズの数ね。まさか、これに部費を回してないでしょうね」

にこ「……部費の使途については調べたはずでしょ。今さらあら捜しに来たってなら帰って欲しいわね」

にこ「と言うか、今日は生徒会はないって希から聞いたわよ。まさか世間話しに来た訳じゃないんでしょ」

絵里「ええ、確かに。みんなで集まらないこの日だから、一人で出来ることは片付けてしまおうと思って」

にこ「……勤勉ね。あんたを生徒会長にした音ノ木の生徒たちは優秀だわ。もっとも、各部活動は相当悲鳴を上げてるようだけど」

絵里「嫌われてるのは理解してるわ。もとより覚悟の上でやってること。それが組織の代表の務めでしょ」

絵里「そうは思わないかしら、アイドル研究部の部長さん? あなた、部員に逃げられたんですってね」

にこ「……希ね。いらないことをペラペラと」
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2017/08/27(日) 22:37:19.09ID:iVg5AUpJ
絵里「ふふっ。そういう意味では私、あなたのことは嫌いじゃないわ、矢澤さん。信念があることは良いことよ」

絵里「それで? そのお喋りな副会長はここにはいないの? いつも生徒会のない日はここにいると思っていたけど」

にこ「ちょっと前に出て行ったわよ、神田明神の方へね。なに? 希に用事?」

絵里「ああ、いえ。希は関係ないのよ。さっきのはただの興味本位」

絵里「じゃあ本題だけど。ここに音響設備があるでしょう。少し、貸してもらいたくて」

にこ「音響設備ぃ? あるけど。何だって生徒会に貸さなきゃいけないのよ」

絵里「イベントで入り用なのよ。返せるものはないけど、一部活動として、学校の文化活動に協力してもらいたいの」

絵里「何なら、あなたのステージも用意させてもらってもいいわ。スクールアイドル、だったかしら。私には良さが分からないけど、あなたはそのアイドルなんでしょう?」

にこ「……悪いけど、遠慮しとくわ」
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2017/08/27(日) 22:39:07.07ID:iVg5AUpJ
絵里「そう。でも、設備だけでも貸してもらえれば、それをアイドル研究部の学校への貢献と認め、評価できるかもしれないわ」

にこ「何が言いたいの?」

絵里「今の音ノ木坂に穀潰しはいらない、そう言っているのよ。逆に、価値さえあれば生徒会は各部活動への助力を惜しまない」

にこ「それはまた随分とまぁ……酷い脅しを使うのね、生徒会ってのは」

絵里「嫌われ者だもの。ここまでくれば開き直るわよ」

絵里「それに言っておくけど、これは希の入れ知恵よ。アイドル研究部にとってもWin−Winだ、って言ってたわ」

にこ「……分かった。持って行きなさい」

絵里「ハラショー。ご協力感謝するわ♪」

にこ「ったく……。まあでも確かに、こっちとしても部の存続を約束してくれるのは助かる。希の考えそうなことだわ」

絵里「そうね。悪い言い方になってしまうけど、こういうやり方は本当に得意よ、あの子。相手の求めることを確実に掴んでくると言うか……」

絵里「希の助言には今まで何度も助けられたわ。もっとも、そのおかげで嫌われ者の今があるんだけど」
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2017/08/27(日) 22:40:48.52ID:iVg5AUpJ
にこ「……その言い方。他にも希の発案でいろいろやってるの」

絵里「ああ、勘違いしないで。希が言い淀んでいることを、私が吐き出させているのよ。それを私が実行することが時々あるの」

にこ「ふーん……。例えば?」

絵里「あー……。例えば、ね。あなたにとって一番身近なことなら……部費の使途洗い出し、とか」

にこ「なっ! あ、あれ、希の発案なの!?」

絵里「そう。あれはさすがに、なかなか言おうとしなかったわ。実際、各部からのバッシングすごいし」

絵里「まあでも、やる価値はあった。希には感謝してるわ」

にこ「そうなの? 別にあの一件で、どこそこの部が咎められてる、なんて話は聞かないけど。とても価値があったようには」

絵里「もちろん怪しそうな部はいくつもあったわ。ここを含めて、ね。でもあれの本当の目的は、不審点を指摘することじゃないの」

絵里「不審な点を残すと指摘されるかもしれない。今後も指摘があるかもしれない。そういう意識を植え付けることよ」

絵里「要するに自浄作用を狙ったのよ。長い歴史のある、この音ノ木坂に溜まった膿を吐き出したかった……」

絵里「結果は上々。怪しげだったところも、今は真面目に活動してくれているわ」
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2017/08/27(日) 22:41:58.18ID:iVg5AUpJ
にこ「……それって、あんたの狙いを希は知っていたの?」

絵里「もちろん。言ったでしょう。発案者は他でもない、希だって」

にこ「……」

にこ(おかしい。それなら、どうして希は、あそこまで私に協力したの?)

にこ(いや、そもそも。どうして、退学だの警察だのって、言う必要があったの……?)

にこ(……希)

にこ「……そう言えば、生徒会長」

絵里「何かしら」

にこ「モブ子さんのこと、知ってる?」
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2017/08/27(日) 22:42:56.58ID:iVg5AUpJ
絵里「モブ子さん? 同じ学年の子でしょう、それがどうかしたかしら」

にこ「……いえ。別に何でもないわ」

絵里「最近休んでいるそうね……。そう言えば確か希がこの間、占ってあげたって言ってたわね」

絵里「本当、希の占い好きも相当なものよね。心理学の本まで読みこんで、インチキ占い師の手口まで把握して、熱心なことだわ」

にこ「インチキの手口?」

絵里「ええ。前に教えてくれたわ。こんなのには引っかからないようにー、って。私、オカルトは信じないのに」

絵里「なんでも、ちょっと騙されるどころか最悪は洗脳されることもあるんですって」

にこ「洗脳、ねえ……。まあ、にこには関係ないけど」

絵里「希いわく、私や矢澤さんみたいに、そう思ってるタイプの方が危ないそうよ? 何なら聞いていく?」

にこ「……」

にこ(洗脳なんて、にこには無関係。興味だってない)

にこ(のに、どうしてだろう。生徒会長の言葉が引っかかる。にこは、洗脳されやすいタイプ……?)

絵里「あ、興味ある? ちょうどいいわ。私も生徒会室で一人だったから、退屈していたのよ」
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2017/08/27(日) 22:44:16.99ID:iVg5AUpJ
絵里「何て言ってたかしらね……。そう、まず自分を信用させる。信頼するに値する人物だと認識させる」

絵里「それから、相手の尊厳を崩しにかかる。プレッシャーを与えたり、トラウマを刺激したり、わざと不安がらせてみたり……」

絵里「占いはそれらの条件を容易に満たすための優秀なツールなんだそうよ」

絵里「罪の意識を埋め込むのもいいって言ってたかしら。あたかも犯罪者のように扱ったり、人格を否定したりして、相手の自尊心を損なわせるんだって」

絵里「それに対し、自分が罰を与えられる立場になるとなお良いって言ってたわね。自分だけが、相手を赦してあげられる立場になるのが良いって」

にこ「ん……?」

にこ(それって……)
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2017/08/27(日) 22:45:17.07ID:iVg5AUpJ
絵里「一度尊厳を崩すことが出来たら、さらに自分への信頼を増強させる。大切なのは相対的な関係性、だったかしら」

絵里「自分をより高い位置に、相手をより低い位置に。貸しを作りプレッシャーをかけ相手を小さく認識させ、自分をより大きく認識させる」

絵里「この人はとても優れた人間だ、この人には逆らうべきではない。従っていれば間違いなんだ……。そう刷り込む」

にこ(待って。待って待って。それは。それは……)

絵里「そうして崩壊した尊厳と、積み上げられた絶対的な信頼。これらが完成した時に、今度は救いを与えるんですって」

絵里「こんな生きる価値のないような人間でも、これでなら役に立てるんだって仕事を与えてみせる。奉仕するような内容であればあるほど良いって言ってたわね」

絵里「そうすると、奉仕する喜びが、イコール生きる価値になる。その喜びに捕らわれた人間は、もう二度と抗えない……とか」

にこ(何で。何で、何で。何で何で何で何で何で!?)

にこ(何で、生徒会長が私と希のやり取りを知っているのよ……っ!?)
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2017/08/27(日) 22:46:30.87ID:iVg5AUpJ
絵里「場合によっては、その喜びを愛情と認識してしまうそうよ。そうなるともっと簡単だとか。恋は盲目ってヤツね」

絵里「もうぞっこん。何を求められても拒めないし、むしろ喜んで受け入れる。あるいはその行為が、インモラルであればあるほど、偽りの恋は燃え上がるのかもしれない……」

絵里「だ、そうよ。――って、どうしたの矢澤さん。顔色悪いけど……」

にこ(何でよ。何でなのよ)

にこ(ねえ、何なのよ、これは。私とあんたとの時間は、いったい何だったって言うのよ)

にこ(希。……希。教えてよ。私とあんたはいったい。いったい、何なのよ……)

にこ(あなたは私を、愛しているの……? 私はあなたを……)

にこ(ねえ、教えてよ。希)
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2017/08/27(日) 22:47:31.40ID:iVg5AUpJ
――――
――

にこ(はじまりは、部費の使途洗い出し。私が罪を認め、希がその罪から救ってくれた。でもその罪を暴いたのは。使途洗い出しを生徒会内で発案したのは、他でもない希本人)

にこ(あの日から、私と希の関係のすべてが変わった)

にこ(希を凄い人だと思った。希に恩を返したいと思った。希の役に立ちたいと思った。対して自分という存在の愚かさを痛感し、あまりの人間としての小ささを嫌悪した)

にこ(アイドルなんて夢のまた夢。真っ当に生きることすら出来ない犯罪者。どうしようもない人間だと思った)

にこ(だから、多くの人から慕われる彼女の生活を支えられることを、私はとても喜んだ)

にこ(掃除して褒めてくれることが嬉しかった。おいしそうに料理を食べてくれることに感激した。次第に、彼女には私がいないとダメなんだと思い込んでいった)

にこ(彼女の身の回りの世話をすることが、私にとっての幸せだった)

にこ(これが恋であり愛なんだと、思っていた。だから、彼女に求められたときは、天にも昇るような心地だった)
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2017/08/27(日) 22:48:31.58ID:iVg5AUpJ
にこ(喜んで貞操を捧げた。処女を散らした痛みが愛おしくて仕方がなかった)

にこ(彼女の望むことは何でもさせてあげたし、してあげた。お互いの身体に、口づけしたことのない場所なんてないくらい)

にこ(愛していたから平気だった。むしろ、やっぱりそれが嬉しいくらいだった)

にこ(でも。でも、本当の私たちの関係は。作られた恋だったのかも、しれない)

にこ(モブ子さんと私は、“同じ”なのかも、しれない)

にこ(希との占いの後から急変し、にこを恨むようになったモブ子さん)

にこ(考えてみれば難しい話じゃない。あれが契機だったんだ。希との接触こそが、にことモブ子さんの関係を変えるきっかけだった)

にこ(モブ子さんも同じように。まさしくにこと 同 じ よ う に。希のことを“愛して”いたのだとしたら)

にこ(私が恨まれることに、辻褄が合う)

にこ「そう言えば。靴を隠された時も、希はすぐに見つけたわね……」
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2017/08/27(日) 22:49:37.58ID:iVg5AUpJ
にこ(それに、思えば希は上手だった。私が希に触れてもああはならないのに、希が私に触れると、私はすぐに高まっていた)

にこ(経験があったのだろう。モブ子さんか、あるいはもっといろいろな女性と)

にこ「……」ピンポーン

「はーい」ガチャ

希「あれ。にこっちやん。どうしたん、こんな時間に」

希「あ。さては今日はウチがバイトだったから、寂しくなっちゃった? もう、にこっちってば可愛いんやから♪」

希「まあ、上がって。知ってのとおり、あんまり出来るおもてなしはないけど」

にこ「ええ。お邪魔します」

にこ(ねえ、希。私にあなたを、信じさせてよ……)
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2017/08/27(日) 23:55:58.38ID:apPghvPs
こりゃ面白い
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2017/08/28(月) 05:17:47.01ID:8Vaz8H0L
めっちゃ面白い
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2017/08/28(月) 20:23:34.72ID:wwAtrefd
           ◇

希「はあ……。まいった。どうしよう」

希「まさか、にこっちとモブ子さんがこんなに早くぶつかるなんて。にこっちの我の強さと悪運を甘く見たなぁ……」

希(にこっちとモブ子さんが衝突するのは、早くてももう2〜3日後だと予想してた。いい具合に追い込まれたにこっちを、ウチが颯爽と助け出すシナリオ)

希(しかし思いのほか、そのXデーが早まってしまった。完全にノーマークだったおかげで、ブレスレットは壊されるし、にこっちがウチとモブ子さんの間に妙な関係があるなんて、勘ぐってもおかしくない状況に陥った)

希「仕方がなかった、とは思うけどね……」

希(刃物まで持ち出していた以上、放ってはおけない。2人に仕掛けたGPSのおかげで、にこっちが傷を負うなんて最悪の事態は免れた)

希(あの時に取り得た選択肢の中での、ウチの判断は正しかった。それだけは、確か)

希(でも。その代償は)
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2017/08/28(月) 20:24:08.53ID:wwAtrefd
希「……まあ、にこっちが鈍感であってくれることを祈るしかないかなぁ」

希(いちおう。洗脳している以上、ウチに疑念を抱くこと自体がそうそう無いことではある。盲目的で狂信的な信頼こそが洗脳の真骨頂)

希(でも……)

希(でも、にこっちの洗脳は、浅い。モブ子さんとは訳が違うレベルで、その自我を残してる)

希(にこっちには、にこっちのままでいて欲しかったから。なんて。そんな甘さを捨てきれなかった。彼女の心を、壊しきれなかった……)

希「……怖い。ウチは何でそんな、半端なことを……。最初は、完全に縛り付けるつもりだったのに……」

希(もしも。もしもこれが原因で、洗脳が解けるようなことがあったら。ウチはいったい、どうすれば)
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2017/08/28(月) 20:24:53.00ID:wwAtrefd
希(……タロット。お願い。ウチに、道を示して……っ)ヒュパッ

希「――はは。勘弁してよ」

希(『死神』の正位置。物事の終焉の、暗示……)

――ピンポーン♪

希「って、お客さん……? こんな時間に?」

希「はーい」トタトタ ガチャ

にこ「……」

希(っ、にこっち!? この、タイミングで……?)
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2017/08/28(月) 20:25:33.26ID:wwAtrefd
希(待ってよ。え。嘘やろ。そんな。まさかそんな。そんな。そんな訳が)

希(いやまさか。そんなことある訳ない。考えすぎや。考えすぎ。いつも通り振る舞えばいい)

希(いつも通り。いつも通り。いつも通り)

希「……あれ。にこっちやん。どうしたん、こんな時間に」

希「あ。さては今日はウチがバイトだったから、寂しくなっちゃった? もう、にこっちってば可愛いんやから♪」

希「まあ、上がって。知ってのとおり、あんまり出来るおもてなしはないけど」

にこ「ええ。お邪魔します」

希(にこっちがいつもの啖呵を切らん……。普段なら、バカ言ってんじゃないわよ、とか言いそうなものやのに)

希(いやいやいや。まだそうと決まったわけじゃないから。今日はちょっと、テンション低いだけ。きっとそう。そうに決まってる)

希(そうであってよ。お願い、お願いだから……っ)

にこ「……」

希「……あー、そうそう。せっかく来てくれたし渡しておこうかな。にこっちにプレゼントがあるん」
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2017/08/28(月) 20:26:42.86ID:wwAtrefd
希「ほら。ブレスレットが壊れたやろ? でも、同じのも何だと思って、にこっちに似合いそうなピンクの――、」

にこ「希」

希「うん?」

にこ「抱きしめてほしいの」

希「うん……? どうしたん。甘えん坊さんやね、今日は」

にこ「お願い」

希「……うん。おいで」

にこ「ありがとう」ギュッ

希(……にこっちの様子が、おかしい。どうして? どうして。どうして。どうして)

希(ああ。心臓が、裂けてしまいそう)

にこ「……希」

希「んー? どうしたんー?」ポンポン

にこ「あんたは、モブ子さんが私に嫌がらせした理由を知っているわね」

希「……」ピタッ

希(鎮まれ。鎮まれっ、ウチの心臓……っ!)
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2017/08/28(月) 20:28:16.23ID:wwAtrefd
希「それは知らんって言ったと思うけど」

にこ「あんた前に、モブ子さんに占いやってあげたわよね。アイドル研究部の部室で」

希「それが、どうかした?」

にこ「どんな占いだったの」

希「……プライバシーにかかわるから、本当は言わないようにしてるけど」

希「進路のことだったよ。モブ子さん、悩んでたんよ。それで、占いに背中を押してもらおうと思ってたみたい」

にこ「あんたは、モブ子さんに何て言ったの」

希「それ。にこっちに関係ある?」

にこ「……はあ」

にこ「そうね。私らしくもなく、回りくどかったわね。あんたじゃあるまいし」

希「……」

希(待ってよ。やめてよ)
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2017/08/28(月) 20:29:07.22ID:wwAtrefd
にこ「言い当ててあげるわ。スピリチュアルでも何でもないけどね」

希(お願い。やめて)

希(そこから先へは、進まないで)

にこ「モブ子さんは、あんたのことが好きだったのよ。狂わされて、狂おしいほど愛したのよ」

にこ「あんたがそう仕向けた。そうなんでしょ、希……」

希「は、あはは。え、なにそれ? モブ子さんがウチを? いやいや。そんなん……ホントに?」

希「ぜんぜん気付かんかったよー。あ、それで嫉妬してにこっちに嫌がらせしてたん? いやぁモテる女は辛いなぁ」

希「あはは。はは……」

にこ「……」

希(嫌だ。嫌だ。嫌、いや、イヤ。これ以上はやめて、お願い。何でもします、許してください、お願いします)

希(神様。お願いですからどうか、この幸せな夢を)
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2017/08/28(月) 20:30:20.30ID:wwAtrefd
にこ「……心臓の音、どんどん早くなってるわよ。何をそんなに、慌てることがあるのよ」

希「――っ!?」バッ

にこ「どうして離れるの? 心臓の音を私に聞かれて都合が悪い?」

希「ち、違う。これは……」

にこ「――私もそうなんでしょ」

希「え。いや、な、何が?」

にこ「っ、私も! 同じように洗脳されてたんでしょう!? あんたにッ!」

希「ち、違うっ。いや、その。せ、洗脳? 何のことだか、ウチにはさっぱり」

希「そ、そうや! そんなことよりほら、プレゼントの話に戻ろうよ。絶対にこっちに似合うから――、」

にこ「希ッ!」

希「ひぅ……!?」

希(にこっちの、真っ赤な瞳。やめてよ。見ないで。そんな目でウチを見ないで)
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2017/08/28(月) 20:31:30.84ID:wwAtrefd
希(笑ってよ。しょうがないわねー、って。いつもみたいに優しく微笑んでよ。ねえ。何でそんな目でウチを見るの?)

希(怖い。怖い。怖い、怖いぃ。もう嫌や、もう嫌。どうしたらいいの。どうしたらもう一度、あの夢が見えるの)

希(どうしたら。分からない。分からないよ、教えてよ。誰か。誰でもいいから。ねえ、誰か)

希(お願い。助けて)

希(誰かたすけて……)

にこ「……答えて。答えなさい」

希「」フルフル

希「いや。いやぁ……」

希「違うの。違う。違うの……」

にこ「何がどう違うのよ」

希「違う、違うの。ウチは、ウチはただ。違う、違う、違う……っ」

にこ「ここで嘘をついたら、私はあんたを許さない」

希「っ」
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2017/08/28(月) 20:32:28.46ID:wwAtrefd
にこ「あんたは私を、もてあそんだのね」

希(もてあそんでなんか、ない。ウチは、ウチはただ……っ)

希(ただ、にこっちに振り向いて欲しくて。そばにいたくて。他の誰にも渡したくなくて。愛し合いたくて)

希(でも、ああ。なんて言えば。なんて言ったら、……あの幸せな夢をもう一度――)

希「……」



希「ウチは、何もしてない……っ」
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2017/08/28(月) 20:33:33.97ID:wwAtrefd
希(お願い。信じて。信じて。信じて)

希(このまま、騙 さ れ て !)

にこ「……ああ、そう」

希(呪うような。真っ赤な瞳……。その瞳は、いったい、誰のことを見て――、)

にこ「最ッ低ね、あんた……!」

希( ぁあ       )

希(          )

希「あ――、あ。あぁ……っ」

にこ「……帰るわ」
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2017/08/28(月) 20:34:23.58ID:wwAtrefd
希「ま、待って。お願い、待っ、」

にこ「触らないでっ!」バシッ

希「あ、あ、う。ああ……」

にこ「……お金は必ず返すわ。でもそれが終わったら、もう二度と」

にこ「私に、関わらないで」

希「待って。待ってよ、にこっち。待って、待ってぇ……」

希「嫌。見捨てないで、嫌いにならないで、行かないで。ねえ、お願い」

希「お願い。お願いします。嫌だ。嫌だぁ……。ぅぅ、あぁぁ……」

希「あああぁぁぁ……っ!」

――キィィ、パタン
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2017/08/28(月) 20:37:33.74ID:wwAtrefd
――――
――

希「」

希(嫌われた)

希「」

希(嫌われた。嫌われた。嫌われた)

希(嫌われた。嫌われた)

――ピンポーン♪

「希ー? いないの、ねえ。のーぞーみー?」

希(嫌われた。嫌われた。嫌われた。嫌われた)

「おかしいわね……、って。あれ。カギ、開いてる……」

「え、っと。は、入るわよー? お邪魔しまーす……」

希(嫌われた。嫌われた。嫌われた)
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2017/08/28(月) 20:38:07.41ID:wwAtrefd
「暗い。うぅ……。あの子、スピリチュアルだ何だって変なもの集めてるから……」

「の、希? いるんでしょ。ねえ。希。のぞ――、ひっ……!?」

「え、あ、希!? ちょ、ちょっと希!」ユサユサ

希「――あ。えり、ち?」

絵里「よ、良かった、生きてる……!」

絵里「もう。どうしたって言うのよ、いったい。まさか、ずっとそうやって項垂れていたの?」

絵里「心配したわよ。学校にも連絡がないし、あなたが無断欠席なんて」

希「……ああ」

希(嫌われた。嫌われた。嫌われた。嫌われた。嫌われた)

希「ごめんごめん。ちょっと、気分が悪くって。そう言えば、学校に連絡するの忘れちゃってたね」

希(嫌われた。嫌われた)
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2017/08/28(月) 20:39:11.02ID:wwAtrefd
絵里「……無事ならいいけど。でも、体調悪いならちゃんとベッドで寝てなさい? 座ったままなんて良くないわ」

希「うん。そうやね。そうしようかな」

希(嫌われた。嫌われた。嫌われた)

絵里「あと、ちゃんとご飯は食べた? もし食べてないなら、あなたの恋人ほどじゃないだろうけど簡単な物なら作れるわよ」

希「」ビクッ

希(にこっち。ああ、にこっち)

希(嫌われた。どうしよう。嫌われた。どうしたら)

希「……大丈夫大丈夫。ちゃんと食べてるよー」

絵里「そう。それならいいけど」
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2017/08/28(月) 20:40:02.66ID:wwAtrefd
希(どうしよう。どうしたらいいの。どうしたら。ああ。嫌われた。嫌われた)

絵里「まあ確かに、けっこう元気そうだし、もう大丈夫ってことよね?」

希(嫌われた。嫌われた。嫌われた)

希「うん。ごめんなぁ、心配かけて。明日には学校も行けると思うんよ」

絵里「いいのよ。あなたも何だかんだ内に溜め込むタイプだし、たまにはゆっくりするのもいいと思うわ」

希「えりちにだけは言われたくないセリフやね」

希(嫌われた。嫌われた)

絵里「そんな軽口が言えるなら大丈夫そうね。じゃあ、様子見に来ただけだし、私は帰るわね」

絵里「また明日、学校で矢澤さんに元気な姿を見せてあげて。彼女も誘ったのだけれど、今日は来れないそうだったから」

希(嫌われた。嫌われた。嫌われた。嫌われた)

希「うん。またねー」ヒラヒラ

希(嫌われた。嫌われた。嫌われた)

希(嫌われた)
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2017/08/28(月) 20:40:49.28ID:wwAtrefd
――――
――

――ピンポーン♪

希(嫌われた。嫌われた)

――ピンポーン♪
――ピンポンピンポンピンポンピンポン♪

希(嫌われた。嫌われた。嫌われた。嫌われた)

「……」ガチャッ

「……」ギシッギシッ

希「っ!?」ビクッ

希(この足音……、間違いない、にこっち!?)
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2017/08/28(月) 20:41:52.89ID:wwAtrefd
希(何でにこっちが!? 会いに来てくれた……いや、そんな訳が!)

希(意趣返し? ぜんぶお金を返して、ウチとの関係を清算しに来た? 何にしても、今のにこっちがウチを好意的に思ってる訳がない!)

希(嫌や。お金は受け取れん、ウチとにこっちの関係が終わってしまう……!)

希(会いたくない! またあの視線を向けられる、また嫌われる、今度こそにこっちとの繋がりを断たれる……!)

希「嫌や、嫌、嫌っ!」

希(隠れなきゃ……でも、どこに? ああ、足音が近づいてくる……)

希(とりあえず、押入れ……!)ドタドタ、パタン

にこ「……」

希(帰って。帰ってよ……。これ以上嫌いにならないで。これ以上辛い現実なんか欲しくないっ!)
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2017/08/28(月) 20:41:54.69ID:AYwflRJ/
こんなんスピデブの自業自得だろう
心が痛い()とか感情移入スピ信きっっっっっしょ
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2017/08/28(月) 20:43:13.87ID:wwAtrefd
にこ「いるんでしょ。隠れてないで出てきなさい」

希(嫌や。諦めて帰って……! ウチに微笑んでくれないにこっちになんか会いたくないよ!)

にこ「……」

にこ「出てこいっつってんのよ! あんた、自分が拒否できる立場だとでも思ってんの!?」

希「ぅぅ……。ううううぅ……」

希(嫌や。何で怒鳴るん? いつも優しく笑ってくれたのに。しょうがないわねー、って何でも受け止めてくれたのに……)

希(ウチのことが憎いから? 出て行ったら何を言われるん? どんな視線が向けられるん?)

希(叩かれる? 見捨てられる? ウチに何の興味もなくなる? ただの他人になる?)

希(そんなの、耐えられん……。耐えられんよ。抱きしめてよ、愛してよ、にこっちぃ……)

にこ「……チッ」スタスタ

にこ「……」ガラッ

希「ひっ……!?」
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2017/08/28(月) 20:44:15.86ID:wwAtrefd
にこ「……何が普段と変わらなかった、よ。あの生徒会長、とんだフシ穴だわ」

にこ「それとも相手が悪すぎたのか。……後者なんでしょうね。親友すら騙すとか、どういう神経してんの、あんた」

希「嫌! 嫌や、閉めて! 来ないで、見んといてよ!」

希「帰って! お願いだから帰ってよ! ウチを、嫌いにならないでぇ……っ」

にこ「……うるさいわね」グィッ

希(腕、掴まれ……!? ウチ、何をされるの? 嫌だ、嫌……!)

にこ「ほら。とりあえずシャワー浴びるわよ。まずその、ボサボサでボロボロなの何とかしなさい」

にこ「その後、おかゆでも作るわ。その有様じゃどうせ何も食べてないんでしょ」

希「――え?」

にこ「何よ。お互いの裸なんて見慣れたもんでしょ。さっさと脱ぎなさい」

希「え? え?」

希「え……?」
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2017/08/28(月) 20:45:18.12ID:wwAtrefd
希「……」

にこ「ったく。あんたの長い髪、綺麗だけど毛の量が多くて手入れが大変なんだから、ちゃんとしなさいよね」ワシャワシャ

希「う、うん……」

希(なんやこれ。いや……なんやこれ)

希(何でウチ、にこっちに髪を洗われてるん? にこっちは何を考えてるん……?)

希(ウチに恨み言を言いに来たわけじゃないの? え。ってことはもしかして)

希(ウチのことを許してくれた……?)

にこ「……言っとくけど、許されたなんて思わないでよ。今だってあんたのこと、ぶん殴ってやりたいんだから」

希「ぅ……」

にこ「ただ、あんたがあまりにも酷い有様だったから。これから大事な話をするってのに、集中できないわよ」

希「大事な、話……?」
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2017/08/28(月) 20:46:16.04ID:wwAtrefd
にこ「ほら。流すわよ、目ぇつむりなさい」

希「うん……」

希(大事な話って、なに……? ウチとの関係を終わらせる話? 怖いよ。聞きたくないよ)

希(今すぐにでも逃げ出したい。大声をあげて消えてしまいたい)

希(でも。でも……)

希(にこっちがウチの髪を洗う手が、気持ちよくて。幸せで。温かくて。……逃げられない)

希(酷いよ、にこっち。何でそんな残酷なことをするん? 何で終わってしまった夢を見せるの?)

希(酷いよ。にこっちを好きにならなければ、こんなに苦しむこともなかったのに……)

希(酷いよ。酷い……)
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2017/08/28(月) 20:47:32.86ID:wwAtrefd
にこ「はい。待たせたわね、おかゆ」ゴト

にこ「もしあれから何も食べてないんだとしたら、かなり胃が弱ってるわ。ゆっくり食べなさい」

希「……」

希(にこっちの手料理)

希(これが食べられるのも、これで最後……? 神様がウチに、最後の晩餐を用意してくれた、ってことかなぁ)

希(これを食べて諦めろって。これで終わりにして、にこっちのこと全部、ぜんぶ忘れろって)

希「……」

にこ「食べないの?」

希「……食べたくない」

希(これを食べたら、終わっちゃう。最後の最後、バチバチと燃える線香花火みたいな、儚い夢が)

にこ「はあ。しょうがないわね」

にこ「にこが食べさせてあげるわよ。ふーっ、ふーっ。……ほら。あーん」
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2017/08/28(月) 20:48:02.73ID:wwAtrefd
希(……ああ。本当に残酷)

希(ウチはこの人からは逃げられない。こんな幸せな夢、目を逸らしたり、出来んよ……)

希「……あーん。もぐ、もぐ」

希「っ、ぅ、ぅううっ」

希「ひぐっ、うぁぁ……ああぁぁぁ。もう、何でっ、何でこんなに……!」

にこ「……」

希(美味しい。美味しいよぉ。これで最後なのに、これを食べたりしたら終わりなのに、なのに……っ)

希「もっと。もっと、食べさせて……」

にこ「ゆっくり食べろって言ったでしょうか。おかゆは逃げないわよ」

希「……にこっちは逃げるよ」

にこ「……かもね。ほら、あーん」

希(せめて、嘘をついてよ。最後まで夢を見させてよ。なあ、にこっち)
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2017/08/28(月) 20:48:52.40ID:wwAtrefd
希「ごちそう、さまでした」

にこ「はい、お粗末様」

希(おかゆ、食べ終えちゃった。食べ終えてしまった。美味しかった。器まで舐めちゃいたいくらいに)

希(でも、終わった。これからは)

にこ「さて。それじゃ、ようやく本題に入れるわね」

希(これからは夢から覚めて、処刑の時間)

にこ「まずは……そうね。あんたの見立てで、今の私ってどんな状態なの?」

希「どんな……?」

にこ「洗脳の程度、って言うのかしら。私って、自分で自分のことを考えられる状態なの? 自分じゃよく分からなくて」

希「……」

にこ「答えなさい。ここで誤魔化してもいいことないわよ」

希「……嫌や」
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2017/08/28(月) 20:49:58.70ID:wwAtrefd
にこ「どうして」

希「きっと、信じてくれんから。信じてくれないのは、嫌や。それならウチは黙ってる」

にこ「……そうね。確かに信じきる自信、ないわ」

にこ「あんた、嘘が上手いもの。ぜんぜん表情変わらないし、声だっていつも通り」

にこ「疑ったことなんてなかった。私はあんたを、心の底から信じていたし、愛していると思っていたのよ」

にこ「思ってた、だけだったみたいだけど」

希「……」

にこ「でも、まあ、にこがバカだったのよ。きっとモブ子さんにしても、ね」

にこ「あんただってそう思うでしょ。まんまと洗脳されて好き勝手されて。本当……バカみたい」

希「……」
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2017/08/28(月) 20:51:18.49ID:wwAtrefd
にこ「……まあ、それはいいわ。あれから頭を冷やしてきたのよ。どこまで冷やせたか、もう自分すら信用できない訳だけど」

にこ「でもね。そんな中で、気付いたことがあるのよ」

にこ「あんたを問い詰めたあの時。今もそう。どんな嘘でも平気でつけるあんたが、どうしてそんなに怯えているのか……」

にこ「ううん。本当は、あんたはずっと怯えていたわ。初めて繋がったあの日にだって、あんたは私に、その悲鳴を伝えてた」

にこ「好きな人と繋がることが、どれだけ幸せなことで、どれだけ怖いことなのか。あんたはずっと、訴えていたのに」

希(ああ……)

にこ「あんたの言葉も、私の心も、もう何も信じることは出来ないけど。でも、抱き合うたびに聞こえたあの音だけは嘘じゃない。そう信じるわ」

にこ「狂うほど。今にも死んでしまいそうなほど、激しく脈打っていたあの音」

にこ「あなたの心臓の音だけは、嘘なんかじゃなかったんだって」
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2017/08/28(月) 20:52:09.06ID:wwAtrefd
希(ずっと、ずっと怖かった。真っ暗な夜空にかかったガラス細工の橋を永遠に歩き続けるような日々)

希(踏み外しても踏み抜いても踏み止まっても、天も地もない場所へと墜ちていく。その道を選んだのは他でもない自分自身だけれど、でもやっぱり、とても怖くて)

希(にこっちと触れ合うたびに早鐘を打つ心臓に、何度鎮まれなんて命じてきたか)

希(この鼓動を聞かれたら、ぜんぶの嘘がバレそうで。にこっちの前では格好いい自分でいたくって。失望されたくなくて。嫌われたくなくて)

希(そんな心臓の音を聞かれることも嫌だったのに、触れ合いたいという想いは止められなくて)

希(にこっちがこの胸の高鳴りの意味を知ることがありませんようにって、ずっとずっと祈ってた)

希(でも。覆い隠してきたその想いさえ、暴かれようとしている)

希(隠さないと。もっとずっと深い所へ。でないと。この想いをにこっちに知られたら……)

にこ「ねえ、希。私はあんたの本当を知りたい。胸の鼓動だけじゃ足りないの。あんたの心、想いを知りたい」

にこ「私にはその権利が――ううん。義務があるわ。あんたの想いのすべてが、私に向けられているんだとしたら」

にこ「私はそれを、知らなきゃいけない。他でもないあんたから、聞かなきゃいけない」

希「……嫌や」

にこ「……拒否してばっかね、あんた」
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2017/08/28(月) 20:53:49.51ID:wwAtrefd
希「だって、だって……!」

希(だってこんなものを知られたら、嫌われる……! 本当のウチなんて、身勝手で、卑怯で、とてもにこっちと一緒にいられるような人間じゃあ……っ)

にこ「にっこにっこにー♪」

希「……え?」

にこ「もう。希ちゃん、さっきから辛そうな顔してばっかり。そんなのドァメドァメ〜。女の子はいつも笑顔、にこ♪」

にこ「ほら、一緒に? にっこにっこにー♪」

希「え。あの、にこっち……?」

にこ「何よノリ悪いわね。っていうか外で久しぶりにやったわ、これ。もしかして腕、落ちた……?」

希「いや、1年の時から寒いままやけど」

希「何でいきなりそんな、意味不明なことを……? え。今もっと、真面目な雰囲気やったよね」

にこ「ふん。あんたが辛気臭い顔ばっかしてるからでしょうが。こっちまで滅入ってくるっての」
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2017/08/28(月) 20:54:38.56ID:wwAtrefd
にこ「っていうか、あんたが考えてることようやく読めてきたわよ。あんた、とにかく私に嫌われるのが怖いのね」

にこ「本当の自分を見せると嫌われるかもしれない。それが怖い。違う?」

希「……っ」

にこ「あー、まだ表情の変化は分かんないわ。まあいいわ、とりあえずそれで話進めるから。違うなら言って」

にこ「あのさ、希。本当のあんたがどんなヤツか知らないけど、少なくとも本当の私は、学校のお金を横領した犯罪者よ?」

希「……それは」

にこ「違うって思う? でもこれが事実よ。あんたのことを最低だなんて言えるほど、にこは立派な人間じゃない」

にこ「態度も悪けりゃ性格もひねくれてるし、成績だって悪いし、友達いないし、あるのはアイドルへの情熱と家族への愛情くらいなもんよ」

にこ「ま、顔はスーパーアイドル級に可愛いけどね――なんて。自分で言ってて泣けてきたわ。あー、まあ、とにかく」

にこ「……そんな人間でも、好きになってくれる人がいるのよ。有難いことだと、思うわ。とても幸せなことだと、思う」
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2017/08/28(月) 20:55:58.32ID:wwAtrefd
にこ「あんたはどう? 自分の全部をさらけ出して、それでも好きだって言ってくれる人に会いたくはない?」

にこ「一生そうやって、自分を隠して怯えながら過ごすつもり?」

希「ウチは……」

希(そりゃあ、ぜんぶ受け止めてくれたら嬉しいよ。嬉しいに決まってる。その方がいいに決まってる)

希(でも、怖いよ。知られたくないよ。だって本当のウチは、友達を洗脳して自由に操るような人間なんよ?)

希(平気で嘘つくし、大抵はそのまま騙し通すし、相手の考えてることとか自然と読めるし、いくらでも他人を利用するし、愛情めっちゃ重いし……って)

希(あ、れ――?)

希(おかしい。あれ。そう言えば、あれ。いや、ちょっと待ってよ)

希(そう言えばもう全部……にこっちにバレてるやん)
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2017/08/28(月) 20:56:44.34ID:wwAtrefd
希「は、あはは。あははは……」

希(なにそれ。今日のウチの葛藤は、最初から全部ひとり相撲だったってこと……?)

希(その上でにこっちはウチと話をしてくれてるってこと? にこっちが、本当のウチを受け入れて、それでも向き合ってくれてるってこと?)

希(ウチのこと全部、認めてくれるってこと……?)

希「いいの、にこっち……?」

希「こんなウチを、受け止めてくれるの? だってウチ、めちゃくちゃ重いよ?」

にこ「知ってるわよ。あんたって割と恋人を束縛するタチよね」

希「本当に、ウチは嘘つきなんよ? にこっちにバレん自信あるよ?」

にこ「何とかなるでしょ。少なくとも、にこに嘘つくときは心臓跳ね上げるみたいだし。追々他の特徴も見つけていけばいいわ」

希「ウチを許してくれるの? ウチともう一度、恋人になってくれるの……!?」

にこ「は? ぬぁんでよ。許さないつったでしょうが」
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2017/08/28(月) 20:57:35.16ID:wwAtrefd
希「……え」

希「え、えええぇぇっ!?」

にこ「何よ、素っ頓狂な声あげて」

希「ちょ、待って待って! 今、どう考えても全部水に流してこれからもよろしく、みたいなノリだったやん!?」

にこ「あぁん? 甘えたこと言ってんじゃないわよ。ざけんなっての」

にこ「あんた分かってるワケ? あんたはこの、にこにーを傷物にしたのよ。到底許されることじゃないわ」

希「えぇ……」

にこ「それに百億歩譲って私のことはいいとしても」

にこ「――モブ子さんはどうするつもりよ」

希「っ」
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2017/08/28(月) 20:58:37.00ID:wwAtrefd
にこ「あんたのせいで傷害未遂なんかやらかして、あんたのせいで学校に来なくなった子がいるのよ」

にこ「どうするつもりなのよ。信じるとか信じないとか、今はいいわ。あんたがどうしたいか言葉にしてみなさいよ」

希「……モブ子さんに施した洗脳は、レベルが違う。ウチのもてる知識を総動員して、時間をかけてマインドコントロールした」

希「洗脳は、施すより解除する方がよっぽど大変なんよ。言ってみれば、塗り固まったコンクリートを紙やすりで削り落としていくような、気の遠くなる作業で……」

にこ「んなこたぁ聞いてないのよっ! どうするのかって聞いてるの、私は!」

希「……っ、ウチだって、ダメなことだって思ってるよ! でも、でも、そう簡単な話じゃあ……!」

にこ「じゃあ、ほったらかしにするって言うのね」

希「それは……」
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2017/08/28(月) 20:59:57.66ID:wwAtrefd
希(ほったらかしにする……。今のモブ子さんはウチを狂信している状態や。でも、そんなウチへの信奉も長い時間をかけて徐々に薄れていくやろう……)

希(するとどうなるか。そこからはウチも経験はないけど……破壊された尊厳をそのままに信じるものを失うということはすなわち“空っぽになる”ということ)

希(いつかモブ子さんは新しい依存相手を見つけ、その依存相手に自ら深い信奉を捧げる。そうせずにはいられない。空虚を埋める何かを求めずにはいられない)

希(自分から望んで洗脳状態へ陥っていく。永遠に、その命尽きるまで繰り返していく――)

希(……そうか。ウチは)

希(ウチは人間一人の人生を潰したんやね)

にこ「どうするのよ」

希(どうするか、なんて。そんなん)

希(そんなこと、言われても)

希「……ウチには無理や。モブ子さんはもう、ウチ一人でどうにかできる状態じゃない」

にこ「そう」

にこ「時間の無駄だったわね。帰るわ」
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2017/08/28(月) 21:01:03.62ID:wwAtrefd
希(分かってる。分かってるよ。このままにしてて、いいわけない)

希(これはウチが招いたこと。ウチの身勝手が引き起こしたこと。モブ子さんには何の関係もなかったはずの出来事)

希(だからこれは、ウチがやる。ウチにしかできん)

希(でもな、にこっち。やっぱりウチでは無理なんよ……だから)

希「……にこっち。今からウチは、卑怯なことを言うよ」

にこ「今さらね。言ってみなさいよ」

希「独りでは無理や。たぶん、途中でくじける。ウチはそんなことを独りでやり遂げられるほど、強くない」

にこ「……で?」

希「独りでは無理や。だから――ウチを支えてほしい」
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2017/08/28(月) 21:01:47.40ID:wwAtrefd
にこ「……」

希「キスしてとか抱かせてとか、そこまでは言わん。モブ子さんを人質にそこまで要求するほど、ウチも下種ではないつもり」

希「ただ」

希「ただ、嫌いにならんといてほしい。会ったら話くらいはしてほしい。たまにお昼ご飯くらい一緒に食べてほしい」

希「それだけで、いい」

希「ただそれだけで、ウチは頑張れる。モブ子さんは、必ず、何としても、ウチのすべてを賭けてでも。元に戻してみせるから」

にこ「……何かと思えば。言いたいことはそれだけ?」

希「……っ」

希「ウチだってモブ子さんのことは何とかしたいんよ? 自分のしたことの始末くらい自分でつけたい」

希「でも、……でも。ウチはそんなに強くない」

希「だから――ウチを助けて。にこっち」
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2017/08/28(月) 21:03:39.12ID:wwAtrefd
にこ「……」

希(沈黙が、怖い。今にも圧し潰されてしまいそう)

希(でも、違う。これはウチがやったことの後始末。どんなに怖くたって、逃げることは許されない)

希(ウチがやったことはそれだけ重いし。何より、……ウチ自身が、何とかしたいとそう思う)

にこ「ったく。深刻そうな顔しといて、ようやく本音っぽいこと言ったと思えば、そんなこと」

希(あ……。にこっちの手。ウチの頭を)

にこ「友達助けるのは当たり前のことでしょ。あんたが私に、そうしてくれたようにね」

希「とも、だち? ウチをまだ、そう呼んでくれるん……?」

にこ「と言うかよ」

にこ「私たち、友達からもう一度はじめましょうよ。お互いのやったこと、全部落とし前つけて。対等になって」

にこ「全部が終わった後に、またもう一度、はじめるの。私たちの関係を」

にこ「だから、希」



にこ「――別れましょう。私たち」
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2017/08/28(月) 21:05:02.31ID:wwAtrefd
           ◇

にこ「……」ゴソゴソ

絵里「あら、にこ。どうしたの一人で。部室の整理?」

にこ「ああ絵里。まあ整理と言うか、まだ何も手ぇ付けてないけどね。どうしようか考えてたのよ」

絵里「すごいグッズの数だものね。持って帰るの? 大変そう……」

にこ「そうは言っても、卒業後も置いとくってワケにもいかないかなって」

絵里「あれ。でもこのグッズって確か、部費で買ったものじゃない? なら学校に置いておくのが筋よ」ニヤー

にこ「ぐっ……。そ、その後に自費で設備を買ったからチャラよ、チャラ!」

絵里「ああ。そう言えばそうだったわね」クスクス

絵里「いやでも、あの時は驚いたわ。実は部費を横領してましたー、なんて頭下げられて。どう対応しろって言うのよ」

にこ「……迷惑かけたわ」

絵里「ほんとにね」
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2017/08/28(月) 21:06:37.65ID:wwAtrefd
絵里「まったく。私もよく不問にする、なんて決断できたものよ。生徒会にそんな権限ないのに」

絵里「おかげでしばらく、胃に穴があきそうな心地だったわ」

にこ「絵里には感謝してるわ。そのおかげで今がある」

絵里「英断だったと今にして思うわね。あの時はまさか、一緒にスクールアイドルやってラブライブ優勝して廃校も救って、なんて。考えもしなかった」

にこ「まったくだわ。有終の美を飾って、後を任せられる後輩にも恵まれた……。想像もしてなかったわ」

絵里「そっか、後任。考えてなかったわ。次期アイドル研究部は誰が引っ張っていくの?」

にこ「花陽以外ないわね。にこが教えられることはもうないし、花陽には頼れる相棒と、優秀な参謀がついてる」

にこ「にこよりずっと立派な部長になるわ」

絵里「そうね……あの子たちなら安心だわ。それに、何かあれば穂乃果たちもサポートしてくれるだろうし」
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2017/08/28(月) 21:06:45.86ID:5Oic6yVF
あのえりちの突然のネタバラシはうまくにこに情報を吹き込んで破局させ
それによって希を情緒不安定にさせて、その上で自分が洗脳するためだと思ってたからえりち来たときドキッとした
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2017/08/28(月) 21:07:41.43ID:wwAtrefd
にこ「その高坂生徒会長はどうなのよ。生徒会、引き継いでから結構経つけど」

絵里「評判よ。……毎日、海未の怒声が聞こえてくるってね」

にこ「あいつは本当に……」

にこ「と言うかあんたも、よく自分の後任に穂乃果を推薦したわね。その決断もよっぽどよ」

絵里「思えば大胆な決定ばかりしてるのね、私って……」

絵里「いや、まあ。穂乃果を推薦したことに後悔はないわ。間違ってないって今も思ってる」

にこ「……そうね。ま、穂乃果だけじゃ頼りないけど、ことりと海未がいるなら――、」

希「――あれ。えりちもおったん?」カラカラ

絵里「ん。ああ、希。ちょっと、にこと思い出話をね」

希「思い出話?」

絵里「ええ。……そう言えば、まだ終わってない話もあったわね」

希「……」
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2017/08/28(月) 21:08:59.79ID:wwAtrefd
絵里「さて。じゃあ、私はこれでお暇させてもらうわ。また明日、ね」

にこ「あんた何しに来たのよ」

絵里「校内を見て回ってるだけよ。ちょっとセンチメンタルな気分なの」

希「卒業、もう目の前やもんね」

絵里「ええ。まあ、きっとまた校内巡りすることになるとは思うけど」

絵里「じゃあ、ね。――頑張って」

絵里「うっ。もう外暗い……。この季節ってすぐ暗くなるから嫌いよ……」ビクビク

にこ「……気を遣わせたわね」

希「みたいやね。もう、えりちってば普段はにぶちんやのに」

にこ「絵里だけは私とあんたの関係を知ってるから、仕方ないと言えば仕方ないけど」

にこ「まあいいわ。せっかく気を遣ってもらったんだし、甘えさせてもらいましょ」

にこ「――はい、お金。これで最後、きっかり完済よ」ピラッ
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2017/08/28(月) 21:09:45.86ID:wwAtrefd
希「……うん。確かに」

希「お疲れさまやね、にこっち。おめでとう」

にこ「だぁ〜、ようやく終わったわ……。これでお小遣い切り詰める生活から解放される……」

希「景気づけにどっか遊びに行く?」

にこ「来月ね、来月。にこはもうオケラよ」

希「ありゃ。そっかぁ、しょうがない。モブ子さんと2人で遊びに行こうかな」

にこ「なっ!? ちょっと、ズルいわよ2人でなんて!」

希「ズルくないもーん。だって約束してるし。そもそも、こういうアフターケアもウチの仕事のひとつやん?」

にこ「こいつ、ただ遊びたいだけのクセして……っ。にこも行くから! 絶対よ、絶対だから!」

希「ふふっ。分かった。楽しみにしてるね」

にこ「ったく……」

にこ「……モブ子さん、もう大丈夫なのよね?」
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2017/08/28(月) 21:10:35.87ID:wwAtrefd
希「……正直言うと、まだ要観察。こういうのはいつぶり返すか分からんからね」

希「でも、十中八九はもう大丈夫。元通りやと思うんよ」

にこ「そう。じゃあ、ひとまずはお互い、晴れて綺麗な身ってことね」

希「――うん」

にこ「……」

希「……」

にこ(お互いのしでかしたことの始末が付いて、緩んだはずの私たちの関係。でも、それに反して少しだけ張り詰めた空気)

にこ(そう感じるのは、にこだけだろうか。私たちのわだかまりはようやく解消されて、その関係はついに本当の意味で対等なものへと戻って)

にこ(だからようやく始められる。まっさらになった、私達のこれからを)

にこ「あの、さ。希……」

にこ(あれ。おかしい。すごくドキドキしてきた……! もしかして、にこ、緊張してる……!?)
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2017/08/28(月) 21:11:30.84ID:wwAtrefd
にこ(なんか心臓の音すごいんだけど!? なにこれラブライブのとき以来じゃないの、こんなの!)

にこ(落ち着け。落ち着きなさい、矢澤にこ。相手は希よ。今さら緊張するような相手じゃない)

にこ(余裕で対処すればいいのよ。にこが何言ったって、こいつは受け入れてくれるんだろうから)

にこ(――でも、もし)

にこ(もしも希が受け入れてくれなかったら。もしも拒絶されてしまったら)

にこ(予想した未来なんて当てにならない。思いも寄らない奇跡が、いい方向にも悪い方向にもこの世にはある。この1年で、身に染みたこと)

にこ(そう思うと、胸の鼓動が鎮まらない。こんなこと、前に希と付き合ってた時だって、なかったのに)

にこ(……ああ、そうか。前とは違うんだ)
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2017/08/28(月) 21:12:40.85ID:wwAtrefd
にこ(私は今、自分の意思で希の前に立ってる。自分の想いを希に伝えようとしている。作られた気持なんかじゃない)

にこ(私は今、ようやく――希に恋を、してるんだ)

にこ(恋をするってこんなにも浮ついて、こんなにも――怖いんだ)

にこ(ねえ、希。あんたはずっと、こんな気持ちだったって言うの……?)

希「……にこっち。ウチ、今日この日にね、言おうと決めてたことがあるん」

にこ「――あ」

にこ(気が付くと、希は私の手を取った)

にこ(澄んだ翠眼が、まっすぐにこの目を覗き込んでいる。いつも飄々とした希が、いつになく真剣な顔をして)
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2017/08/28(月) 21:13:25.26ID:wwAtrefd
にこ(そこに怯えの色は見えない。とても堂々としていて、その潔さに吸い込まれてしまいそうで)

にこ(でも、私は知っている。この1年、ずっと彼女と向き合ってきたから。彼女の弱さを。その弱さを包み隠してしまえる厄介さを)

にこ(希がいつもより少しだけ、ほんの少しだけ深く息を吸い込んだ。私でないと見逃がすほどの、わずかな変化)

にこ(希は今、怖がっている。私と同じように。いや、きっと本当の希は私よりもずっとずっと怯えてる)

にこ(その心臓はいつか抱き合ったあの日と同じように、あるいはそれよりさらに激しく暴れていることだろう)

にこ(でも、私は知っている。そんな弱さを押し込んでまで、前へ進まずにはいられない彼女の情念を)

にこ(強さと呼ぶにはあまりにも脆い、抑えきれない欲求を)

希「――好きです。もう一度ウチと、付き合ってください」

にこ(その告白はとても潔くて、清らしくて。そんなだから少し、にこの緊張がゆるんだ)

にこ(惚れた相手を洗脳して支配しようとしたヤツが今さら、何をそんな清廉なフリをしてるのよ。もう遅いのよ)

にこ(それでも格好をつけようとするんだから。……本当に、しょうがないわね)
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2017/08/28(月) 21:14:24.93ID:wwAtrefd
にこ「ねえ。あんた、気付いてる?」

希「え。え、あーっと。な、何が……?」

にこ(鳩が豆鉄砲を食らったような顔に、笑いが込み上げてくる)

にこ(似合わないのよ。そんな格好つけた仮面なんか、にこの前でくらい剥がしなさいよ)

にこ(あんたの本性くらい知ってるんだから。それでもあんたを、好きになったんだから)

にこ「好きだって言ってくれたの、今のが初めてよ」

希「……そ、そうやっけ?」

にこ(そう。ようやく同じ立場に立てる。ようやく同じ言葉が言える。ようやく同じ想いを伝え合える)

にこ(そんな時にそんな仮面、邪魔じゃないのよ)

にこ(剥がしてやるわ。何年かかっても、一生かかっても。にこの前じゃ、演技なんてできなくしてやるんだから)

にこ「私も好きよ、希。こちらこそ、よろしく」

希「ぁ――、」

希「……よかった」ボソッ

にこ(ろくに表情も変えないまま、誰にでもなく漏らした安堵の声を、私は一生忘れないだろう)
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2017/08/28(月) 21:15:04.81ID:wwAtrefd
にこ(それはドロドロに濁った汚泥のような、素肌に重く纏わりつく熱い愛)

にこ(ろくでもなくて醜くて。でも一生懸命で見境なくて。ねじり曲がってもひたむきな)

にこ「――ああ、ったく。本当に」

希「……どうしたん?」

にこ「何だって私は、こんな面倒くさいヤツを好きになっちゃったかなって」

希「ああ……。それはそれは」

希「ご愁傷様やんね♪」ニコッ


おしまい
0196名無しで叶える物語(家)@無断転載は禁止
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2017/08/28(月) 21:15:32.25ID:SSbXuus7
つまんね
0202名無しで叶える物語(庭)@無断転載は禁止
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2017/08/28(月) 21:23:39.24ID:eKhjR4Xz
おつです

むしろ諭してくれた相手が傷ついていたりずたぼろだったりするのに、
自分が無傷なほど罪悪感すさまじいと個人的には経験から思えるので自分はのんたんの処遇はこれがベストに思えます

実際フラバして移入しすぎてやめてやめてと本当思いながら読んでた
すごかったです
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2017/08/29(火) 09:20:15.82ID:l3G8qpta
>>168
唐突なダンスタリスペクトに草
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2017/08/29(火) 12:52:04.03ID:upPHVJ7Y
>>229
お前のせいで
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2017/08/29(火) 15:35:07.80ID:f6OVvlP6
乙。面白かった
>>209で上がってる共依存のぞにこはこれだろ
こっちも名作だったな

希「日曜日やし一緒にどっかいかへん?」にこ「あー。無理」
http://itest.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1462066980/
0236名無しで叶える物語(地震なし)@無断転載は禁止
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2017/08/29(火) 19:59:45.68ID:XAt6ShtD
目がくらむほどに強く
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2017/08/30(水) 12:05:46.74ID:jGrnF/AP
すき
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