鞠莉「ふーん。果南、私がいない間に恋人作ってたんだ?」 [無断転載禁止]©2ch.net
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
鞠莉「ねえねえ果南果南! 今、恋人いないんでしょー? ならまた昔みたいに」
果南「――いるよ」
鞠莉「え」
果南「恋人、いるの」
鞠莉「……」
鞠莉「えー!? そんな嘘ばっかり」
鞠莉「マリーを差し置いて恋人作ってたの!? ひどいひどいっ」
鞠莉「あ、驚かせようとしたって無駄なんだからー。向こうで人を見る目だって養ってるのよ?」
果南「……」
鞠莉「……」
鞠莉「あ、あの果南」
鞠莉「――ほん、とに?」
果南「……うん」
鞠莉「……」
鞠莉「ふーん。果南、私がいない間に恋人作ってたんだ?」 果南「わ、悪い!?」
鞠莉「ううん。そうよね……あなたは素敵だし」
鞠莉「そのこと私が一番わかってる自信、あるんだから」
鞠莉「それにしてもっ! 久しぶり果南! 二年ぶりかしら」グイッ
果南「……」ドキッッ…
鞠莉「……」ニッ…
果南「なん、でここに」
鞠莉「うーん、どうしてだと思う?」
鞠莉「それより果南、なんか大人っぽくなったね!」
果南「鞠莉も……」ドキドキ…
鞠莉「そうー?」
果南「とにかく……!! どうして戻ってきたのか教えてよ……っ」
鞠莉「あら、寂しかったの?」
果南「ふざけないでっ!!!!」
鞠莉「私は寂しかったわよ」
果南「え」
鞠莉「あなたと離れていた期間、本当に寂しかった」 果南「……!?」
果南「な、なにそれ」
鞠莉「戻ってきたのはね――またあなたと恋人に戻りたいと、思ったからよ」
鞠莉「だからまた恋人になろう?」
果南「何、言ってるの」
果南「――何ふざけたこと言ってるのさ!!!」
果南「そっちからフッたんじゃん!! 私はまだ、鞠莉と一緒にいたかったのに! あっち行っても時々でいいから、一年に一回でもいいから戻ってきてくれればそれで良かったのに……っ。勝手に振って……っ」
鞠莉「……ごめんね」
鞠莉「でもね、やっぱりあなたのこと好きで」
果南「やめて、今更やめてよっ!」
鞠莉「私ね、明後日から浦の星に戻るの」
果南「本当に……戻ってくるの?」
鞠莉「ええ」
果南「やめてきたの?」
鞠莉「うん」
果南「むちゃくちゃすぎるっ……」 鞠莉「知ってる。でもそれが私だから」
果南「……」
鞠莉「はぁーぁ。でも、果南もう恋人いるのかあ」
鞠莉「残念……」
鞠莉(恋人、ね……)
鞠莉「でもでも、またよろしくね? ダイヤにも会わないと」
果南「ダイヤなら……うん、嬉しがると思う」
鞠莉「そっかそっかあ」
鞠莉「ねね、恋人どんな人? 男の人じゃないわよね?」
果南「……女の子だよ」
鞠莉「写真とかないの?」
果南「み、見せないってば」
果南「それに、一応周りにも秘密……だし」
鞠莉「なんで!」
鞠莉「まあ、いいわ。相手のこともあるんだろうし」
鞠莉「でも多分おんなじ学校よね? 見つけちゃうんだから!」
鞠莉「――絶っっ対……見つけてやるんだから」ボソ… 鞠莉「ねね、恋人どんな人? 男の人じゃないわよね?」
当たり前のようにレズ ◇――――◇
4ヶ月前
果南「いやー、えっと……あのさ」
ダイヤ「どうしたの、そんなに深刻なこと?」
果南「割と、深刻」
ダイヤ「そうでしょうね、わざわざうちまで来て」
果南「……言っていいのかな、いや、だめだよね……ぁあもう」
ダイヤ「さきほどからそればかり……そろそろ言ってくれないと困りますわ」
果南「うぅ、そ、そうだよね」
果南「あのさ、千歌って知ってる?」
ダイヤ「ああ、確か一年生の。よく一緒にいる賑やかな」
果南「うん……こ、告白されて……」
ダイヤ「!? そ、そうなの?」
果南「うん……びっくりした」
ダイヤ「そ、それで?」 ダイヤ(同性愛者は意外と多いのね……)
果南「私、どうすればいいか……わからなくて」
ダイヤ「どうって?」
果南「え? あの、だって」
ダイヤ「……鞠莉さんのこと? それとも、単純にどう断ればいいか?」
果南「えっ、と……」
果南「千歌のこと、ずっとずっと妹みたいに可愛がってきたつもりなの。私もそのつもりしかなかったはず、なんどけど」
果南「いざ告白されたら自分の気持ち、なんかわからなくて……」
果南「だって私なんかが。千歌のこと、そんな関係になって、いい、のかな」
ダイヤ「あなたと千歌さんの関係は詳しくはわかりません。でも、あなたの今の話を聞くと……付き合いたいという本心があるようにしか聞こえません」
果南「っ……」
ダイヤ「鞠莉さんのことを気にしているのならば、わたくしはやめたほうがいいと思います」
ダイヤ「――あなたは、鞠莉さんのことがまだ好きなの?」 果南「……」
ダイヤ「鞠莉さんはあなたに待っていて欲しいと言った? 戻ってくると、言った?」
ダイヤ「中学生の頃からでしたわね。二年半も付き合っていたんだから、引きずるのは仕方ないかもしれないけれど……」
ダイヤ「もう戻って来ない人のことを想うのは素敵かもしれませんわ。でも、それで果南さんが縛り付けられるというのなら、鞠莉さんもそんなことを望んでいないはず」
果南「……案外リアリストなんだね」
ダイヤ「わたくしにファンタジーな要素があったことがある?」
果南「ないかも」
ダイヤ「綺麗なだけのものは、物語の中だけで十分だと、わたくしは思っています」
果南「そっか」
ダイヤ「だから物語は美しいのよ」
果南(鞠莉……) ダイヤ「それと、あなたの甲斐性の無さにはうんざりしているわ」
果南「え?」
ダイヤ「妹のように大切に思っていた相手なのですよね? その相手が、成長して……あなたのことを慕ってくれた。性別の壁も顧みず、様々な葛藤があったことでしょう。何日も悩んだかもしれません。その一大決心を――あなたは保留したのよ?」
果南「っ……」
ダイヤ「詳しい背景はわからないわたくしが言うのもどうかと思いますが……その場で、本気で考えることも出来たはず。――もっと相手のことを考えたら?」
果南「そう、だよね……最低だ」
果南「私さ……やっぱり――千歌のこと好きだよ」
ダイヤ「……そうですか」
果南「ごめんね、ダイヤに話して良かった。今から返事、してくる」
ダイヤ「ええ。あなたの中の何かを動かせたなら、良かったです」 ◇――――◇
千歌「……」
曜(一緒に居たいって急に言われたから……嬉しかったのに……なんでこんなに暗いんだろう)
曜「大丈夫? お腹痛い?」
千歌「ううん」
千歌(どうしよう、曜ちゃんに相談しようと思ってたのに……言えない。でも、1人で居たら……不安に押しつぶされそう……1人になった瞬間、多分泣いちゃう……)
千歌(なんで告白なんかしちゃったんだろう、しなければ仲良いままだったかもしれないのに。果南ちゃんに嫌われたら、おしまいなのに)ウル…
ギュッ
曜「なっ。どう、したの?」
曜(だ、だだだ抱きつかれた!? なんで!? も、もしかして、千歌ちゃんも、私のこと……////)
曜(こ、告白とか……したほうがいいのかな? してっていう、合図、とか? いやでもそういう感じじゃないし)
千歌(曜ちゃんが――友達で良かった)
プルルルル
千歌「ん……? !?」
曜「だれ? 出ないの?」
千歌(かなん、ちゃん……?) 千歌「……」ブルブル
千歌(こわい、怖い怖い……なんて言われるんだろう、なんて話せば、いいんだろうっ……)
千歌「――もしもしっ」
果南『もしもし』
千歌「ど、どうしたの?」
果南『今家にいる?』
千歌「うん」
果南『千歌の家の前にいるの。すぐ終わるからさ……ちょっと出てきてくれない? 話したいことがあるんだ』
千歌「えっ、と……」
千歌「うん……今行くね……」
プツッ
千歌「ごめん曜ちゃん! ちょっとだけ外出てくるっ――ついて来ないでねっ!」
曜「え!?」
バタバタッ
曜「な、なに……?」 ◇――――◇
果南「ごめんね、出て来てもらって」
千歌「う、ううん」
果南「……」
千歌「……」
果南「この前のこと、ありがとね」
果南「千歌が、私のことそんな風に思ってくれてるだなんて思わなかった。嬉しいよ」
千歌「うん……」
果南「返事しようって思って」
千歌「っ……」
果南(鞠莉……もう知らないよ。どこかで、元気でね。楽しかった、よ)
果南(曜――本当に、ごめん)
果南「ごめん、前置きはない方がいいよね。千歌の気持ちが、私に言ってくれた時のことと変わってないなら――私と付き合ってください」
千歌「……え!?」
千歌「ほ、ほんと!?」
果南「ほんとだよ」
千歌「ほ、ほんとに、ほんと? 果南ちゃん、千歌と付き合ってくれる、の?」 果南「うん」
千歌「……ぅ」ウル…
千歌「ひっぐ……うぅぅっ」
果南「ど、どうしたの!?」
千歌「やった……ううっ、よかっ、だぁ……うぅぅっっ」グズグズ
千歌「絶対、だめだって思ってっ。だって果南ちゃん、わたしのことなんて妹みたいにしか思ってないって、思ってたからっ」
千歌「でも、でも千歌、我慢出来なくで……ぅぅ」
果南「ごめんね……不安にさせちゃったね」ギュッ…
果南「私がその場で答えてればよかった」
千歌「ううんっ、いいの。千歌がいきなり言ったのが、悪いんだもん」ギュッ…
千歌「ひっぐ……ぐすっ」
果南「よしよし」ナデナデ
果南「素直に言ってくれて、本当に嬉しかったよ。言われるまでは、ほんとにそんなこと思ってなかったけど……告白されたらさ……急にドキドキしたっていうか」
果南「千歌のこと、好きだなって、素直に思った」
千歌「ぅ////」
千歌「え、えっと……///」
果南「ね、千歌の家に行っていい?」 千歌「あ……今家に曜ちゃんが居て」
果南「曜が?」
千歌「うん……果南ちゃんに告白して、不安で……1人で居ると泣いちゃいそうだったから」
千歌「曜ちゃんに相談しようって思って……でも言い出せなくて……そしたら果南ちゃんから電話が来たの」
千歌「あの、曜ちゃんには言っていい?」
果南「……そうだね、あの子ならいいよ」
千歌「やった!」
千歌「えへへ、なんて言ってくれるかな」
千歌「喜んでくれるかな//」
果南「……」
果南「……じゃあ私はそろそろ帰るね」
千歌「うんっ、あ、あの……本当に私達、恋人……だよね?」
果南「っ」//
果南「うん」
千歌「えへへ、じゃあまたねっ。今度かなんちゃんちいくね」
果南「うん。ほら、冷えるから早く戻った方がいいよ。曜も待たせてるんでしょ?」
千歌「うんっ、じゃあまた!!」 曜カス入れるのはやめとけ
曜カス推しがまたちかなん厨ガーとかくそうるさくなるから ◇――――◇
曜「え……」
千歌「でね……さっき果南ちゃんから、オッケーがでて……付き合うことになったんだ」///
曜「……」
千歌「は、恥ずかしいね///」
曜(ああ……そっか)
曜(果南ちゃんだったんだ)
曜(私、なんて勘違いしてたんだろう……千歌ちゃんは私のこと、ただの友達……ううん、大切な友達って、思ってくれてるのかもしれない。でも……でも)
曜(――泣いちゃいそう)
曜「へ、へえっ! よかったね! おめでとう!!」
曜「――私も嬉しいよっ! やったねっ、良かったよ本当にっ」
千歌「ほ、ほんとう? ありがとう///」
曜(今まで見たことがないくらい、嬉しそう。私と居るときは見せない顔なんだよね、私じゃ千歌ちゃんにこんな顔をさせられない)
曜(果南ちゃんなら? 千歌ちゃんが泣いちゃうくらい悩んで悩んで……それくらい想う相手なら……簡単に今以上に嬉しそうな顔をさせてあげられるんだよね) 曜(そんなの、そんなの……悔しいけど、勝てるわけ、ないよ)
曜(千歌ちゃんが嬉しいなら、私といるよりそっちの方がずっと嬉しいなら……)
曜(よくないけど、ほんとうに……悔しいけど、納得するしか……ないじゃんっ)
ギュッ
曜「……?」
千歌「――曜ちゃんが"友達"で、ほんとにほんとにほんっとうに、良かった!!!」
曜「――は、はは…………」
曜「うん。私も、だよ」 ◇――――◇
果南の家
果南「本当にごめん」
曜「……」
曜「頭、下げないでよ」
果南「でも」
曜「――惨めになるだけだって言ってるの!!!」
果南「っ……」
曜「ぁぁ、ごめん……私」
果南「ううん」
曜「果南ちゃんに話聞いて貰って、色々してもらって、それでも……何もなかったのは、結局私に千歌ちゃんを引きつける何かがなかっただけ」ギリリッッ………
曜「それをわからせてくれただけでも……よかったのかもしれない」
曜「あのまま、だらだらアタックしてたって……結局誰かに盗られて終わりだったんだと思うし」
果南「……」 曜「どうして千歌ちゃんのこと、好きになったの? もしかして前から好きだったとか?」
果南「ううん……告白されて……考えてみたら、好きなのかもしれないって思って……やっぱり、好きだなって」
曜「そっ、かあ……」
曜(かも、か)
曜「そっ、か」
曜「やっぱ、り……くやしい、くやしい」ウル…
果南「……っ」
曜「でも、果南ちゃんで、よかったの、かな」ウルウル…
果南「曜……」
曜「……ぅ……だって、そっちの方が安心出来るし、変な人に捕まらなくて、よかったよ」 曜「千歌ちゃんの気持ちに応えてくれて、ありがと……千歌ちゃんね、ほんとに、ほんっっとに嬉しそうだった」
曜「あんな顔、見たことなくて果南ちゃんが断ってたらって思うと。私じゃあんな顔させられないし」
曜「だから、私じゃなくてよかったんだよ!! ……おめでと!!」
果南「……ありがとう」
曜「はーっ……すっきりしたかも!!!」
曜「本当にごめんねっ、あと、ありがとう!!」
果南「うん」
果南(ほんとに、いい子、だな……なんで私だったんだろう……私でいいのかな)
果南(でも付き合ったんだから、責任取らないと。曜の分まで)
曜「泣かせたりしたら許さないからね」
果南「うん」
曜「ちゃんと幸せにしてあげるよーにっ!」
果南「がんばる」
曜「うん……じゃあ私、そろそろ帰ろうかな!!」ニシシッ ◇――――◇
千歌「おっはよー果南ちゃん!」
果南「おはよ」
千歌「もうちょっとで豆まきだね」
果南「する?」
千歌「もちろん! 鬼をばーんって追い払うのっ」
果南「食べたいだけでしょ」
千歌「それもそうだけど……」
千歌「それよりね、か、果南ちゃんとデートしたい!」
果南「で、デート//」
千歌「きょーは、そのために来たの!」
千歌「だ、だってさ……も、もう私たち恋人、だし……デート、するでしょ?」///
果南「そ、そうだね」
千歌「デート、でーと……」///
果南(かわいい//)
果南「とりあえず家に入って、寒いでしょ」
千歌「うん」 ◇――――◇
千歌「でもさ、デートってよくわからないよ」
果南「?」
千歌「漫画とかだと……ロマンチックなところに行ったりしてるけどそんなところあるかな?」
果南「うーん、そう言われると」
千歌「果南ちゃんは昔、付き合ってた人が居たんでしょ? 結局紹介してくれなかったけどっ」
果南「……相手のこともあるから」
千歌「まあ、そうだよね。どんな感じだった? 千歌……変じゃないかな? 果南ちゃんの恋人……なれてるのかな」
千歌「恋愛とかそういうの初めてだから、ちょっと不安で……ふ、不思議だねそういう漫画とか結構見てたのに」
果南「私もそこまで慣れてるってわけじゃないし……でもね、千歌と一緒にいるだけで楽しいから、千歌は今のまんまでいいと思う」
果南「だから、不安がる必要なんてないんだって」ギュッ…ポンポン
千歌「う、うん////」ドキドキ…
スッ… 千歌「……」チラッ
果南「?」
千歌「や、やっぱり……千歌ばっかり、ドキドキしてる……っ。ず、ずるいよ」
果南「ずるいって何が」
千歌「果南ちゃんにもドキドキしてもらいたい」
果南「これでもかなりドキドキしてる、んだけどな」
千歌「ほんと?」
果南「うん」ギュッ
千歌「っ///」
果南「聞こえる?」
ドキ…ドキ
千歌(あ……果南ちゃんも)
千歌(千歌とこうしてると、ドキドキしてる、んだ)///
千歌「も、もうちょっとこうしてたい……」
果南「ん……」ナデナデ…ドキドキ
千歌「///」
スッ…
千歌「えへへ……な、なんか恥ずかしいね」 ちかなんはG′sで考えると自然だけどアニメで考えると被害者が多すぎるww
まだ一悶着ありそうだし楽しみ…楽しみ? 果南「私も……」
果南「あ、千歌。考えたんだけどさ……今は冬でしょ? 今の時期って、星がとっても綺麗に見えるの」
千歌「おお」
千歌「昔見に行ってたよね! 山の方に!」
果南「懐かしいね」
果南「……久しぶりに行きたいなって、思ったんだけど、2人で行きたいな」
千歌「ふ、ふたりで」
千歌「ぎゅー!!」ギュッ
果南「わ、どうしたの急に」
千歌「デートだよね? 初デート……っ」
果南「私はそのつもりだよ」ナデナデ…
千歌「楽しみっ」 ◇――――◇
千歌「うぅっ、寒い」
果南「いっぱい着込んで来てよかったでしょ」
千歌「これならなんとか……」
千歌「見える場所までもう少しだっけ?」
果南「うん、そこまでいけば色々持って来たし少しは良くなるよ」
千歌「うぅ……さむい」スリスリ
果南「……」
ギュッ…
千歌「///」
果南「手、冷たいね」
千歌「そ、そうかな?」ドキドキ…
千歌(手……繋いでる……っ。今まで手くらい繋いでたのに……恋人になったってだけで、こんなに、ドキドキして……///)
果南「……///」ドキドキ
スタスタ…
果南「……」
千歌「……」 千歌(なんか、心地良い沈黙っていうか……果南ちゃんの手の感触に……集中出来て、嬉しい)
果南「ここ」
千歌「うわぁ……きれー……」
果南「ね、私も最近来てなかったから」
果南「シート広げるね」
千歌「えっと、寒くないように毛布も敷いて……」
果南「こんな風に、毛布にくるまりながら星を見る、結構いいでしょ」
千歌「おおっ……」
果南「おいで」
千歌「うん……//」モゾモゾ
千歌「あ、けっこーあったかい」
果南「こんなにくっついてるんだもん」
千歌「きれーだね」
果南「ね」
千歌「なんかね、最近思うんだ。私もあのお星様みたいに、輝くような何かをしてみたいって」
千歌「私は何か取り柄があるわけじゃたいからさ……曜ちゃんみたいにすごかったりもしないし」 果南「……そんなの、大半の人がそうだと思う。でも、私にとって千歌はお星様みたいにキラキラして見える」
千歌「////」
千歌「あの、あのね……果南ちゃんにもう一回確認したいの」
果南「?」
千歌「私のことを好きっていうのは……妹みたいとか、ペットみたいっていうのじゃない、よね?」
果南(……やっぱり千歌は、そういう風に見られたくない、んだね。私がずっとそういう扱いをしてきたから……大人になってるんだ、千歌も)
ギュッ…
果南「違うよ。こうやって抱きしめてドキドキしたり、千歌に触れると幸せな気持ちになったり……キスしたいなって、思ったり……そういう好きだよ」
千歌「き、きす!?////」
スッ…
果南「あはは、早いかそれは」
千歌(キス……きす……果南ちゃんと、キス……したいな)ジッ…
果南「……」
千歌「……」
果南「……千歌」 まだ中途半端な気持ちの果南ちゃんが本当の恋に目覚めるのか、はたまた 千歌「……」スッ//
果南(目閉じて、こ、これって////)
果南(千歌が、こんなこと)
ガシッ
果南「ん……」チュッ…
千歌「ん……///」
スッ…
千歌「き、きす……しちゃった」///
果南「い、嫌じゃなかった?」
千歌「ううん……嬉しかった」
千歌「死んじゃうくらい恥ずかしいけど」モゾッ
果南(毛布で顔隠しちゃった、かわいい)
千歌「……もう一回したい」
果南「もう一回?」
千歌「つ、次は千歌から!! 果南ちゃん、目閉じてっ」
果南「え、千歌から!?」
千歌「ぅ、ちかだって出来るもんっ」
果南「えっと、わ、わかった……」スッ…
ガシッ
果南(あ、やばい……想像以上にドキドキする……千歌から、キスされる日がくる、なんて……)ドキドキ…
鞠莉『――果南』 果南「っ」
千歌「んっ……」チュッ…スッ
果南「……」
千歌「ほら、千歌にだってキスくらいできるもんっ!」///
果南「……」
千歌「な、なんか言ってよ……へ、下手だった?」ウル…
果南「……う、ううん、上手だった」ナデナデ
千歌「すぐ子供扱いするんだからー」
果南「これは子供扱いじゃないよ、こうするの好きだから」
千歌「そうなの? それなら……」
千歌「初めてのキスが果南ちゃんでよかった」
果南「ありがとう」//
千歌「あ、あのね……一個聞いてもいいかな?」
果南「?」
果南「……」
千歌「そのえっと……なんていうのかな――果南ちゃんはさ、千歌でも、興奮……するの?」
果南「――っ、し、しないよっ!」
千歌「……そっか」
千歌「やっぱり私じゃだめか……」ボソ…
果南「どういう……」
千歌「ねね、あの星はなんていうの?」
果南「え? 確かあれは……」
千歌(巻き込みたくないっていうのは、果南ちゃんの優しさだし……仕方ないよね) ◇――――◇
一ヶ月後
千歌「うにゅ……すぅ、すぅ……」ギュッ
果南「……」ナデナデ
千歌「かなんちゃ……すぅ、すぅ」
果南「かわいい」
ギュッ…モゾモゾ…
ムニュッ…
果南「っ……///」
果南(あ……千歌の胸、当たって……)ムラッ…
果南(顔は幼くて全然成長してないのに……身体ばっかり……成長してっ、もうっ)ハッ……ハッ
果南(わ、わたし)ハッ…
果南(だめだ、最近……千歌のこと変な目で見てる……こんなのだめなのに)
果南(……千歌のこと、こんな目で見ちゃってる……許されない、のに)
千歌「すぅ……すぅ」
果南「無防備すぎだってば……千歌」 最終的にかなまりになるのならそこだけ教えてくれよそれだとツラくなるから見たくない 千歌「ん……あ、おはよー……お昼寝しちゃってた」
果南「お、おはよ」
千歌「どれくらい眠ってたかな……一時間くらいかぁ」
ギュッ…
千歌「こうして眠ればよかったかな、えへへ」
果南(っ……)
果南「千歌……」ガシッ
千歌「……」スッ…
果南「ちゅ……」
千歌「んっ……」
果南(千歌の唇……柔らか……舌入れたらどうなるかな、可愛い声聞かせてくれるかな……)
果南(あぁ、わたし……さっきからこんなことばかり……でも少しくらい、なら)ガシッ
千歌(っ!? は、離さないの?)
果南「んっ……ちゅっぅ……」
千歌「んむ……ぅ」////
果南(ぁ、こえ、かわい……♡もっ、と)
果南「ちゅっ……じゅるっ」
千歌(か、果南ちゃんの舌が入ってきた!?)グイッッ 果南「ぁ……」
千歌「ハッ……ハッ」
千歌(果南ちゃんの舌と私の舌が当たったら、ぴりぴりって……すごい感触、した……)ポ-ッ…
果南(わたし、わたし)
果南「ご、ごめんっ!!」
千歌「え?」
果南「変なこと、しようとして……そんなつもりじゃなかった、んだけど……」
千歌「今のって、大人のキス……しようとしたんだよね?」
果南「……」コクッ
千歌「千歌のこと、もう子供みたいに見てないってことだよね? だって、千歌と大人のキス……したいってこと、だもんね?」
果南「わ、わたしはっ……」
千歌「ちょっとびっくりしちゃったから。だから、ね……もう一回、ちゃんとしてほしい、な?」ギュッ…
果南「千歌……でも」
果南「……っ」
果南「……んっ」 千歌「んっ………」
果南「ちゅ……んっぅ」
千歌「んっ……ぅ」ビク…
千歌(果南ちゃんの舌私の口の中に、入ってぇ……////)
果南「ちゅぅっんむ、んっぅ♡ちか……♡」ギュッ…
千歌「んっぅ♡んっっ♡ぁ♡かなん、ちゃ♡」ビクビク…
千歌(なに、これ……キス、こんなにきもちいい……の?)
果南「れろ……じゅっ……んっぅ♡」
果南「ぷは……♡」
果南(やっちゃっ、た……千歌と、深いキス、まで)
千歌「ハッ……♡ハッ♡んっ……す、すごい、ね?」トロ-ン…///
果南「っ///」キュンッ
果南(なんて顔、してるのさ)////
果南(そんな顔されたら、抑えられ、ないってば……っ)ハァハァ…//
千歌「かなんちゃん?」
千歌「――え、えっと。こーふん、してる、の?」カァァァァアアアアアッッ…
果南「なっ……なんでも、ないからっ」
果南「ハッ……ハッ♡」 千歌(果南ちゃん、いつもと別人みたい……顔赤くなって、あんなに息荒げて……運動しても全然息切れしないのに)
千歌「ち、ちかとの大人のキスで……こ、こーふん、したんだよね?」///
果南「ごめん千歌のこと。そんな風に見るつもりだけはなかったのに。最近……だめなんだ、自分の汚い部分抑えられ、なくて」ブルブル
千歌(震えてる)
果南「でも、千歌に迷惑はかけないよ、大丈夫だから……っ」
千歌「そうやってすぐ私のこと、遠ざける」
果南「そんなつもりは……」
千歌「遠ざけてるよ!」ギュッ…ムニッ
果南「っ……」
千歌「――私もう、ちっちゃな子供じゃない、んだよ?」ウワメ…
果南(だ、めだって)
千歌「果南ちゃんが、千歌にそういう……えっちな気持ち? を持ってくれるの、千歌ね、嬉しいよ? だって、本当の妹とか、子供みたいに見てたら……そんな気持ち絶対湧かないもんね?」
千歌「私たち……恋人……だもん。果南ちゃんのそういう気持ち受け止めて、あげたい」
果南(なんなの、なんなのっ……やめて、やめてっ)
千歌(なにかに、怯えてるみたい……)
果南(結局私は子供扱い、妹扱い……ペット扱いをやめられてなかった、んだね。千歌は敏感にそういうの、わかっちゃうんだろうな) 果南(恋人……だもんね。でも、私のは……)
バサッッ
千歌「っ……///」
果南「やだったら……すぐ、言ってね」
果南(でも、もう……抑えられ、ない。千歌のこと、そういう目でしか見れなくなってる)
千歌「え、えっと……///」
千歌「ち、ちか……初めて、だから」ウルウル…
果南「っ……」
果南(そんなこと、言われたら……)ハッ…ハッ♡
果南(冷静に、冷静にっ)
ギュッ…
果南「やだったら……言って、ね」
千歌「うん……」
私はこの日、大人の階段を一段、登った気がする。
上の段にいた果南ちゃんは私を引き上げるように、優しく導いてくれた。これでやっっとおんなじ場所に立てたかと思うと……余計に愛おしく、感じたんだ。 なんとかなくかなまりようちかにするんだろうなというところは見える ◇――――◇
果南「おはよ」
千歌「え、あ……うん///」
果南「ふぁぁ……」
千歌(き、昨日あんなことがあった、んだよね/// うぅ、恥ずかしいよぉ)
千歌「……果南ちゃん、なんか余裕そう……ずるい」
果南「え? だからそんなことないって、今でも緊張してるくらい」
千歌「ほんとかなあ……」ムス…
果南「ほんとだよ」ギュッ…
千歌「やっぱり、恥ずかしい」
果南(可愛い……)
果南(昨日ちゃんと出来てたかな……一瞬、危なかったけど……無事に出来てよかった)
果南(ちゃんと……千歌のこと考えられてた、よね……乱暴にしなかった、よね)
千歌「……」スリスリ
果南(いいんだよね……私は千歌とこうやって、一緒にいても)
果南「そういえば、もう少しで曜と東京でしょ? どこ行く予定?」
千歌「んっ、とね……」 ◇――――◇
果南「行ってらっしゃい」
千歌「うんっ!」
果南「曜、千歌のことお願いね」
曜「大丈夫! お任せあれ!」
千歌「なにお願いって、千歌だって旅行くらい大丈夫だもん!」
果南「そうだね、でも何かあると悪いからさ」
果南「お話、聞かせてね」
千歌「うんっ!」
曜「じゃあ行ってきます!」ヒラヒラ… ◇――――◇
ダイヤの家
果南「はぁぁ、大丈夫かなあ」
ダイヤ「そこまで心配することではないでしょ」
果南「いやでもさぁ……」
果南「ルビィちゃんが東京に旅行行くって言ったらどう?」
ダイヤ「東京は危ないからやめなさいと言うわ」
果南「ほら、それとおんなじ」
果南「ああぁ、千歌が何かに巻き込まれでもしたら……」
ダイヤ「あなたも心配性なのね」
ルビィ「あの、お茶持ってきました」
果南「あ、ルビィちゃんありがとー」
果南「相変わらず可愛いねえルビィちゃんは」
ルビィ「ぅゆ……そんなこと」
ダイヤ「果南さん……良い表情をするようになりましたね」
果南「そうかな」
ダイヤ「千歌さんと今の関係になってから」 果南「……そうかも」
果南「なんか最近ね、色々吹っ切れたかなあって……」
ダイヤ「そう……」
果南「まだちょっと……って時もあるんだけどね」
果南「鞠莉のことも、ほんとに好きだったから」
ダイヤ「あなたが苦しんでいるっていうのわかりやすいから……今みたいに楽しそうにしていると、わたくしも嬉しいわ」
果南「あはは……いつもいつも心配、かけちゃってるね」
ダイヤ「もう慣れたから」
果南「そっか、じゃあこれからもって感じ」
果南「そういえば最近千歌がさ、スクールアイドルってのにはまってて……」 と思ったら1話前なのか
百合見るのが大好きなレズが転校して引っ掻き回すかな ◇――――◇
現在
ダイヤの家
鞠莉「オカマイナクー」
鞠莉「ルビィちゃん久しぶりね! 私のこと覚えてる?」
ルビィ「あ、はい……鞠莉さんですよね。もちろんです」
鞠莉「んぅー! 相変わらずプリティー!!」ギュッ
ルビィ「ううっ」
ルビィ「あの、ルビィはこれで失礼します」
鞠莉「うんー、またねー」
ダイヤ「もう……せっかくの留学が」
鞠莉「別にいいじゃない? 大学で普通にあっちいけそうってのがわかったし、やっぱり高校くらいはこっちで過ごすってのありだと思って」
ダイヤ「相変わらずね」
鞠莉「そういえば果南にはもう会ったんだけどさ……新しい恋人出来てたんだ」
ダイヤ「……そうね」 ダイヤ「そう……あなたがいなくなってから、本当に果南さんは苦しそうでした。一時期は見ていられなかったものですわ。中学校を休むのは当たり前、なんとか連れ出して復帰させたものです」
鞠莉「そうだったんだ……悪いことしちゃったね」
鞠莉「そいえばね! ――果南の新しい恋人に会ったんだけどさ……あの子、名前何て言うの?」
ダイヤ「名前を聞かなかったんですか? 高海千歌さん、ですわ」
鞠莉「へぇ、高海千歌……高海千歌」
ダイヤ「ほら、果南さんの幼馴染なので……話くらいは聞いたことがあると思うけど」
鞠莉「ああ……思い出したわ。果南にべったりだったっていう、あの……」
鞠莉「……」
鞠莉「ふぅん、なるほどね……」
ダイヤ「他の人には秘密なので他言無用で」
鞠莉(高海千歌ちゃん……覚えたんだから……)ニタ… ◇――――◇
理事長室
鞠莉「ふぅん……スクールアイドル部ねえ……」
鞠莉「果南に愛されてるくせに、他の人からも愛されたいってわけ? すごい承認欲求ね」
鞠莉「ま、いいけど」
鞠莉「そんなちかっちのこと、マリーがお助け……しちゃうわよ♡」クスクス…
コンコン
千歌「失礼しまーす……」
鞠莉「こんにちは」
千歌「あれ……あなたは……昨日転校してきたって、話題の……」
千歌(可愛い人……)///
千歌「理事長さんに用事ですか?」
鞠莉「ん……理事長は私なんだけど……」
千歌「へ」
鞠莉「ほら」
千歌「い、いやでも学生兼任なんて聞いたことが……」
鞠莉「じゃあ日本初めてなのかも?」
千歌(か、軽い……)
鞠莉「で――あなたが高海千歌さんで間違いない?」 千歌「は、はい」
鞠莉「……ふぅん」
鞠莉(なに、果南こういう子が好きなんだ……へえ。アイドルするっていうから派手な子かと思ったけれど)ジロジロ
千歌「……え、えっと?」
鞠莉「今日呼び出したのはスクールアイドル部のことなんだけど」
鞠莉「――私は応援したいなって思うの!」
鞠莉「わたし、ダイヤと友達なんだけど、あの子頭が硬いじゃない? だから」
千歌「え……」
鞠莉「私が言えばちゃんと部活として活動させられるけれどどうかしら!?」
千歌「ほんとーですか!?」キラキラ
鞠莉「うん♡まあ一応実績も必要だからライブをしてもらわないとなんだけど……」 ていうか鞠莉、中学で留学したことになってる世界線なのか
中学で二人ともそこまで進んでたのか ◇――――◇
千歌「――鞠莉さんて、いい人だね!」
果南「え……?」
千歌「今日理事長室で話したんだけどね? スクールアイドルの活動すっごく応援してくれるし、果南ちゃんと仲良いって言ってたから……色々話しちゃって!」
千歌「すっごく可愛いし、なんか幸せだった!」
千歌「ていうかあの人前にちょっとだけ見たことあったよ! 確か前に淡島に住んでたよね!」
果南「……うん」
千歌「仲良かったんだってね?」
果南「う、うん……今でも仲良いよ。高校生の時海外行っちゃってからはそれっきりだったけど」
千歌「えへへっ、あんな友達いたんだーっ」
ブブブ
果南(メール……)
鞠莉『高海千歌ちゃん、とーっても可愛い子ね。私にも紹介してよ』
果南(っ……)
果南(バレてるな……これ)
果南(なんでバレたんだろ……ダイヤには鞠莉への口止めはしてないし、そこからかな……仕方ないか)
千歌「どうかした?」
果南「ううん……なんでも」
果南(でも、なんでだろう……なんか、やな感じ……) ◇――――◇
数日後
鞠莉「かなーんっ、ハロー!」
果南「あ、おはよ……」
鞠莉「ちかっちも!」
千歌「おはようございます!」
鞠莉「今日もらふらぶねー」
千歌「あ、や///」
鞠莉「ふふ」クスクス
果南「もう……秘密だって言ってるでしょ」
鞠莉「大丈夫大丈夫、他の人には絶対言わないから」
鞠莉「スクールアイドルの活動はどうかしら? 楽しい?」
千歌「はいっ、鞠莉さんが助けてくれたおかげで」エヘヘ…
鞠莉「うーん、嬉しいこと言ってくれるけれど……自分達でチャンスを掴んだんだから誇りを持って」ナデナデ
千歌「は、はい」//
果南「……」
鞠莉「じゃ、早く教室行こうよ果南」グイッ 千歌「あ」
果南「ちょ」
鞠莉「なに?」
果南「いや……じゃあね千歌」
千歌「う、うんー!」
千歌(手繋いでった……はぁ、まあ普通だよね)モヤ…
トコトコ
千歌「曜ちゃん梨子ちゃんおっはよ!」
曜「おはよー!」
梨子「おはよう」
千歌「ねね、鞠莉さんってほんとにいい人じゃない!?」
曜「え? あ、うん、そう思うけど……」
千歌「本当に綺麗だし優しいし……完璧……いいなあ、あんな風になりたいー」
梨子「あはは……」 あれ?
じゃあ単に>>73の「中学校を休むのは当たり前」がミスなだけか ◇――――◇
船
鞠莉「ちかっちはいい子ねえ」
鞠莉「とっても純粋だし、すぐ懐いてくれるし……」
果南「……でしょ」
鞠莉「私とのことは言ったの?」
果南「言うつもり、ないよ」
鞠莉「そう、それでいいと思うけど」
鞠莉「ちかっちのことはちゃんと大切に扱ってるんだ?」
果南「そりゃ、そうでしょ」
鞠莉「――私の時はあんなに乱暴なこととかもしたのに?」
果南「っ……。あれは……ごめん、てば」
鞠莉「いいのいいの気にしてないから! その分優しくされたしねー、なによりああいうのも好きだったし」ニコ
果南「ねえ鞠莉、何考えてるの……最近千歌に距離縮めて」
鞠莉「失礼ね、フレンドになりたいっていうのがダメっだっていうの?」
鞠莉「んもーっ、これだからジャパンの閉鎖的なのはノーセンキューね」
果南「……そうじゃないけど」
鞠莉「それにー、果南の大切な大切な、彼女なんだから」
鞠莉「――どんな人か……知っておきたいじゃない?」
果南「……」
鞠莉「ふふ」ニコニコ ◇――――◇
ファミレス
曜「あむ……」
梨子「あ、あの」
梨子(な、何話そうっ。二人きりなんて全然ないし、そんな話すことも……。どうしよう、つまんないとか思われてるかな。うぅ思われてるよね。曜ちゃんとの話題話題っ)
梨子(ああもうっ、もっと上手くお話出来たらいいのに……)
梨子(千歌ちゃんと曜ちゃんが一緒にいるときはあんなに話弾んでるのに、私はダメダメだ……こんな、暗くてうじうじして……)
曜「うん?」
梨子「ご、ごめんね! 買い物、付き合って貰っちゃって……」
曜「え? ううん全然! ていうか一緒に行ってもいいか聞いたの私からでしょ」
曜「渡辺さんさあ、部活とか飛び込みとかない日ほんと暇人なんだよねえ」
曜「一日中寝てるもん、パワー養うためっていうのもあるけど」アハハ
梨子「そうなんだ……なんか、そんな感じしないけどな……」 曜「そう? なら良かった!」
曜「暇人生活に救いを求めてーって感じで! 梨子ちゃんについてきて良かったー!」
梨子「普段は……誰と遊んだりしてるの?」
曜「ん……部活のみんなとか、高飛びのとこの子とか……クラスの子たちは時々くらいで、そうでもないし……」
梨子(友達いっぱいいるんだな……曜ちゃんだもんね……当たり前か)
曜「あと千歌ちゃんとか」
梨子「ああ」
曜「まあでも――千歌ちゃんさ、果南ちゃんと付き合ってから前より私と遊んでくれなくなってさー」
梨子「…………え?」
曜「え?」
梨子「あ、いや……千歌ちゃん、て……あの、果南さんて人と……付き合ってる、の?」
曜「あ……」
曜「う、ううううそだよ! そんなの嘘に決まってるじゃん!」 梨子「……」
曜「……ああ言っちゃった……ほんとに、ごめんね千歌ちゃん……」
梨子「だ、大丈夫だよっ、絶対言わないからっ」
曜「うん、お願いします……。はぁ、口軽い最低な人になったよお……ごめんなさいごめんなさいっ……」
梨子「最低なんかじゃないってっ。だ、大丈夫っ!」
曜「ん、ありがとー……」
曜「そういうことでさ! 渡辺さんは暇な時はとにかく暇人なのであります! だからこれからも、時々こんな風に付き合ってね!」ニッ
梨子「う、うん//」 ◇――――◇
夏休み前
千歌「きゅっうにんっ! きゅっうにん!」
千歌「こんな学校なのに9人も集まるってすごいよね!」
果南「そうだね」
ダイヤ「せっかくやるからには本気で、わかってる?」
千歌「もちろん!」
千歌「きょーだってあんなに本気でやってたじゃんー」
ダイヤ「もっと、よ」
千歌「はぁい」
千歌「よしっ、今日は帰ろうっ! 果南ちゃん帰ろ!」
果南「うん」
千歌「先帰るねっ!」
鞠莉「ばいばーい」
曜「……」
曜(二人で遊びにでも、行くのかな)
曜(恋人だもんね……) 梨子「……」
梨子「あの、曜ちゃん」
曜「っ、な、なに!?」ニコ
梨子「あ、いや」
梨子(前から思ってたけど……曜ちゃんは、どうして時々、すっごく悲しそうな顔、するんだろう……)
梨子(千歌ちゃんと果南さんの方を見て)
梨子「あ、遊びに行かない!? こんどで、いいからさ……どう、かな?」
曜「あっ、今度じゃなくていーよ!」
梨子「でも、いいの?」
曜「今日遊びに行ってまた遊びに行けばいいじゃん!!」
梨子「え、ええ?」
曜「あ、そうだ……梨子ちゃんち行きたい! ね、いいでしょ!!」
梨子「だ、だめだってっ//掃除とか全然してないしっ、私の部屋なんてだめっ//」
曜「えー、お願いしますっ!」
梨子「うぅ……」
曜「期末テストの勉強ってことで!!」
鞠莉「――いいじゃない梨子♡メンバーが期末テスト赤点なんてなったらダイヤちゃんが黙ってないわよ」 ダイヤ「そうです」
鞠莉「梨子が教えてあげないで誰が曜に教えるの?」
曜「そういうこと!」
梨子「ぅ、うう……///」
梨子「――じ、じゃあ私の部屋じゃなくて曜ちゃんの部屋は……?」
曜「いいよ!」
梨子「い、いいの?」
曜「うん」
梨子(あ、あっさり……うぅ、やっぱりすごいなあ……私と全然違う……)
曜「じゃあお勉強道具とかお泊まりセットとか諸々準備のために梨子ちゃんちへゴー!」
梨子「へっ、お泊まりって、え!?」
曜「いこいこー!! 走ろっ!!」グイッッ!!
梨子「ちょ//」
バタンッ
ガチャ
曜「あ、ばいばいみんな!」
鞠莉「グッバーイっ」
ダイヤ「で、あなた達はどうするの?」
善子「へ?」 ダイヤ「主に善子さんと、わたくしの妹だけど」
善子「ひっ、そ、それは!」
ルビィ「あ、えと、なんとかします!!!」
ダイヤ「本当に?」
花丸「あわわっ、大丈夫だよダイヤさん! マルが見るからっ!」
ダイヤ「そう、花丸さんが見るのなら安心ね」
善子「ほ……」
善子「じゃあそういうことなら行くわよ二人とも!!」
ルビィ「うんっ」
花丸「ばいばいっ」
バタンッ
ダイヤ「ふぅ、皆さん騒々しすぎるにも程があるわ」
鞠莉「楽しくていいじゃない」
ダイヤ「そうね」
ダイヤ「あなたはテスト平気?」
鞠莉「あら、ずっと一位だったダイヤちゃんの座を追いやろうかと思っているんだけど」 ダイヤ「望むところね」
鞠莉「くす……」
鞠莉「そういえばなんだけど……」
ダイヤ「?」
鞠莉「――梨子って曜のこと、好きよね!」
ダイヤ「なにいきなり。ま、まあ……見ていればそれなりに」
鞠莉「ダイヤったら乙女ね」
ダイヤ「色恋沙汰なんて面倒ごとしか引き起こさないからよ」
鞠莉「あらあら」
ダイヤ「じゃあなに――さっきのは恋のキューピッドのつもり?」
鞠莉「ええっ! 色んな人が結ばれるのはいいと思わない?」
ダイヤ「そうかしら、わたくしはそうは思わないけれど」
鞠莉「ふうん?」
ダイヤ「そもそも曜さんは」
鞠莉「あら、そこにも気がついてる」
ダイヤ「……あなたも気がついてるならどうして」
鞠莉「人と付き合って、初めてわかるものがあるのっ♡」
鞠莉「でも多分恋愛したことない――お子ちゃまダイヤにはまだわからないかなあ?」クス…
ダイヤ「」ピキッ
ダイヤ「はぁ、もう好きにして。面倒なことにだけはしないで最後まで面倒見てあげなくちゃだめよ」
鞠莉「もちろんでーす♡」 ◇――――◇
曜の家
梨子「おじゃましまーす……」
曜「どーぞ」
梨子「わ……綺麗」
曜「綺麗じゃないって」
梨子「?」
梨子「っ」
曜「?」
梨子(――千歌ちゃんの、写真……)
梨子「写真、あるんだね」
曜「ああ……うん。ちっちゃい頃のね」
梨子(二人で映ってるのもあるけど、千歌ちゃんだけ映ってるのも……なんでこんなの……)
梨子(……やっぱり曜ちゃんは)
曜「ねーねー、勉強やめない?」
梨子「へ?」
曜「赤点なんて取らないから平気だって! なんとかなるよ! 今までなんとかしてきたしっ!」ニシシ
梨子「で、でも」
曜「もーったいないよ、せっかく梨子ちゃん泊まりに来たのに勉強だなんて!」 梨子「う、うん?」
曜「ねね、いいでしょ!?」
梨子「う、うぅ……うん」//
梨子「じゃあ私なんのために……」
曜「そんなの……私の話し相手の刑になるためであります!」ビシ…!
曜「だめかな?」
曜「なんて、聞くのは卑怯だよね! 梨子ちゃん優しいしっ。だから甘えさせてくださいっ!」
梨子「……う、ん///」
梨子(ぁぁ、もう……なにこれ)ドキドキッ…… ◇――――◇
梨子(同じベッド同じベッド///)
梨子(うぅ、なんでこんなことになるのかなぁっ///)
曜「んぅ……ねむ」ムニャ…
梨子(眠そう……なんか赤ちゃんみたい……かわいい……)
梨子(いつもいつも誰よりも元気だし走り回ってるから……夜は疲れちゃって早いのかな)ソ-…
ナデッ…
曜「!?」
梨子「あ……や、ご、ごめんね。なんか、可愛かったから……」
曜「ふふ、なにそれー! 可愛いなんて柄じゃない柄じゃないー」
曜「梨子ちゃんの方がよっぽど可愛いよ」
梨子「あ、やっ、そんなっ」ブンブン//
曜「ふぁぁ……」
梨子「眠い?」
曜「んー」
梨子「ねえ曜ちゃん、一つ聞いても、いい?」
曜「?」
梨子「――千歌ちゃんと果南さんが付き合った時、どう思った?」
曜「っ」ピク
曜「どう、したの。急にそんなこと」 梨子「……えっと」
曜「嬉しかったよ、嬉しいに決まってるじゃん。小さい頃からの友達が幸せになってるんだから嬉しい以外にないでしょ」
梨子「あ、の……ごめん、えっと」
曜「あ……もう私ったら」
曜「幸せそうすぎて羨ましいぞー!!! って叫びたいくらいかなって!」
梨子「ふふ……曜ちゃんは好きな人――」
曜「――いないよ」
曜「いない」
梨子「あ、そっか……」
曜「梨子ちゃんは?」ニコ
梨子「私は……」 鞠莉的にはようりこよりも千歌を別の誰かとくっつけるのを優先すべきでは
ちかダイとか 梨子(わたし、は)ドキドキ…//
曜「?」
梨子「……」チラ…
曜「あー、その反応はいるなー?」
曜「渡辺さんに教えなさーいっ」グニュグニュ
梨子「ひっ、ひたいひよぉ……」
曜「どんな人?」
梨子「かっこよく、て……明るくて、私なんかとは全然違って……」
曜「仲はいいの?」
梨子「……多分。――お泊まりとかも、するし」 曜「そんなの絶対いけるよっ!! ねえもう告白しちゃお!」
曜「――しないでいるより、絶対後悔しないよ」
梨子「……そう、なのかな」
梨子(でも……私のことなんか、好きなわけ……)
梨子(両想いになれるわけ、ないよ……)ウル…
梨子(だって曜ちゃんは、千歌ちゃんのことが)
梨子「考えて、みるね? ありがとう、お話聞いてくれて」
曜「恋する乙女は何よりも強いんだよ! 応援してるっ」 果南と付き合ってんの知ってんのに無理でしょ
曜を焚き付けんのかと思ったけどマリーの思考が読めんな ようりこ応援すると見せかけてようちかを再燃させる案があるんじゃないの
具体的にはわからないし展開予測はしたくないが ◇――――◇
梨子「もうちょっとで夏休みかあ……」
梨子「夏祭りとか、あるんだ……」
梨子「千歌ちゃん達はふたりで行くのかな」
梨子「わたしも……」
曜『梨子ちゃん、二人で夏祭りいこっ!!』
梨子「……///」ボンッ
梨子「はぁ、あるわけないのにな……」
鞠莉「……」ソ-
鞠莉「はぁいっ♡何か悩んでるみたいねー、マリーには分かっちゃうよー?」フニフニッ
梨子「ひゃぁ////」
鞠莉「あら、なかなかお手頃なサイズ――」
梨子「も、もうっ//」ブンッ
梨子「ま、鞠莉さん!? どうしたんですかいきなりっ!」
鞠莉「クエスチョン!! あなたは曜のことが恋愛的な意味で好きで、悩んでる!」
梨子「……え?」 ◇――――◇
梨子「バレてるもの、なんですね」
鞠莉「結構わかりやすかったけど」
梨子「あはは……」
鞠莉「告白、しないの?」
梨子「無理だよ、だって曜ちゃんは」
鞠莉「――ちかっちのことが好きだから?」
梨子「っ、それも……」
鞠莉「ええ、でも。――ちかっちは果南と付き合ってる」
梨子「どこまで知ってるんですか!? それは、秘密って曜ちゃんが」
鞠莉「ふふ♡だって私、果南と付き合ってたんだもの。えーと、中学二年生から高校一年生までだから、二年半くらい!♡」
梨子「え……う、そ」
鞠莉「本当なの。これはダイヤと果南しか知らないから、そら以外には絶対に秘密ね」
梨子「は、はいっ」
梨子(果南さんと、鞠莉さんが……二年半も?) 鞠莉「まあ私のことはどうでもよくて」
鞠莉「果南から曜の話も聞いたりしたんだけど」
鞠莉「曜の向いてる気持ちを、視線を、自分に向けられたら最高だって思わない?」
梨子「そ、そんなことっ、出来ないに決まってるよ……」
鞠莉「ううん、出来るわ」
鞠莉「だって曜は――誰よりも優しい子だもの」 ◇――――◇
夏祭り
曜(ふたりで行こうだなんて……本当にびっくりしたけど……)
曜(でも、楽しいかも)
梨子(……ど、どうしよぉっ!! 誘ったけど、誘えちゃったけど、わたしっ)バクバクバクッッ
梨子(……)チラ…
曜「?」
梨子「///」
梨子(なにしていいか、わからないよ……)
梨子(曜ちゃんは絶対断らないって言い聞かせられたけど……本当に私なんかとふたりで夏祭りに……)
曜「人いっぱいいるなあ……」
曜「あっ、クレープ!!」ギュッグイッ
梨子「わわ//」 曜「美味しそお……たこやきも……」
梨子「ふふっ……」
梨子(美味しいもの食べるの本当に好きなんだね)
曜「ねえたこやき半分こしよ」
梨子「うん、いいよ」
曜「これくださーいっ、はい、はいありがとうございます!」
曜「あっちの方にいこっ! ちょっと落ち着けるから」
梨子「うん……」
梨子(……なんか、幸せ……)
スタスタ…
曜「ん……はふっ、あつっっ」
梨子「くす……熱いに決まってるよ」
曜「梨子ちゃんも体感してみてっ、はいあーん!」
梨子「や、いやいやっ////」 曜「?」
梨子「ぅ、あむ……あっっっつ!!」
曜「あははっ!」
梨子「……もう」
曜「……はぁ、楽しいなあ。みんなでも来たいね」
梨子「そうだね……」
曜「でも梨子ちゃんと来れて良かったな」
梨子「ほんと?」
曜「うん……正直さ。果南ちゃんと千歌ちゃんが付き合ってから、なんか寂しくて……。梨子ちゃんが居てくれなかったらって思うと、ゾッとする」
梨子「……」
曜「だからありがとね。今日誘ってくれて。転校して来てくれて」
梨子「う、ん……私も転校してきたところに、みんなが、曜ちゃんが居てくれて……」
曜「///」
梨子「ご、ごめん、なんか」//ドキドキ… 曜「ううん」
梨子「……」
曜「……浴衣汚れてない?」
梨子「うん」
曜「本当に着てきてくれるなんて思わなかった」
梨子「だ、だって! 着てこないと行かないって、言うから」//
曜「ふふ、着て来なくても行ってたよ」
梨子「もう……」
曜「ごめんね動きにくいかっこさせちゃって」
梨子「ううん……」
曜「……夏休み、くるね」
梨子「うん」
曜「楽しいことあるといいね!」
梨子「……うん」 千歌っちと果南ちゃん引き剥がすのか、それともキューピッドしすぎてより親密にさせちゃうポンコツマリーなのか 梨子(たぶ、ん。今だ……今なんだと、思う)
曜「どうかしたの……?」
梨子(なんとなくわかる。今言わないと多分、二度と言えない。後悔、する)
梨子(曜ちゃんの気持ちを、曜ちゃんの言葉を、曜ちゃんの視線を全部、私に向けてくれたら、どれだけ幸せ、なんだろう)
梨子(……わたし、は)
梨子「曜、ちゃん」
曜「ん?」
梨子「あなたのことが――好きです」
曜「……え」 ◇――――◇
千歌「……んん?」
曜「……」ポケ-…
千歌「おーい、曜ちゃんどうしたの」
曜「ん、いや……」
千歌「あ、夏休みがもうすぐだからって、浮かれてるなーうりうり」
曜「そうなのかな」ポ-
千歌「……本当に大丈夫?」
曜「うん」
曜(付き合う……付き合う……。――私は梨子ちゃんと付き合った)
曜「付き合ってる……恋人」
梨子「よ、曜ちゃん」
曜「あ」
梨子「//」
千歌「……んん?」
曜(これが付き合うってこと……)ドキ 終わり方によっちゃ大荒れしそう
したらばでやった方がよくね? ◇――――◇
鞠莉「はぁぁ、おめでとーふたりともっ」
梨子「う、ん」
曜「そっか鞠莉ちゃんが」
梨子「そうなの……私一人じゃ絶対言えなかったけど」
曜「あはは……」
曜「でも……好きって言われるなんて思ってなくてびっくりしちゃったけど……私でいいならって思って」
鞠莉「――優しいのね、曜は」
曜「そんなこと」
梨子「優しい、よ……///」
曜「///」
鞠莉「んぅぅ、お邪魔虫は先に帰るわね。本当におめでとっ!」スタスタッ
梨子「あっ。じゃあ……わ、私たちもかえろっ、か?」
曜「そうだね」 曜(恋人か……)
曜(梨子ちゃんはとっても可愛いし、私のこと好きになってくれただなんて本当に嬉しい……)
曜(こうやって)ギュッ
梨子「ふぇ//」
曜(手を握れば私はドキドキするし、顔も熱くなる……梨子ちゃんのこと、好きなんだ……)
曜「ねえ梨子ちゃん、私ね。好きだよ梨子ちゃんのこと」
梨子「なっ、なっ……////」ボンッ
曜「じゃ帰る前に、音楽室いって話してようっ!!」
曜「ねっ!」
梨子「うん……っ」
梨子(告白して、良かった……)キュン… また明日。
次の投下で終わらせたいですけど、それまでに埋められてたりしたらどこかで投下するんでまとめられたのを見てくださいね 乙乙、続き待ってる
しかし次で終わるのかこれ……? >>128
ここからちかなん別れたり曜ちゃんが悲しい思いするとか無いよね?別れ話苦手なのおおお今の鞠莉の心情考えるだけでもうつらい おつおつ
普通に続き気になるんで、どんな形であれ完結待ってるわ 乙 ! 久しぶりにおもしろいSSに出会えた。後はハッピーエンドであることを願う 切ない系でもいいで
変に迎合せずに書きたいもの書いてほしい 1年生組は流石に絡んでこないのかな?
収集付かなくなるし 完結の心配してるやつおるがこの人発情期善子や卓球のおにぎりだろうしヘーキヘーキ
只々続き楽しみにしてます! こっからかなまりとかようまりになるなら先に言っといてね
まあこの>>1の自信ならそんな展開にはならんだろうが 害野は気にせず自由に書いてくれ
まぁ俺は今からでもしたらばに行くことをお勧めするが 恋はどこへ行ってしまったんだろうなあ(悲しみのおっさん) ◇――――◇
数日後
千歌「絶対付き合ってると思うんだよね!」
果南「曜と梨子ちゃん?」
千歌「そーなの」
果南「言われてみれば……」
千歌「気になる」ムム…
果南「詮索しない方がいいよ。私達だって一応秘密なんだから。一年生は誰も知らないでしょ」
千歌「でも曜ちゃんが付き合っただなんて一大事だよ、しかも梨子ちゃんとだなんてお祝い会だよこれは!!」
千歌「ねえ聞いていいかな、いいかな!?」
果南「うーん……」
果南(これは止めても聞くなあ……まあそれはいいか) ◇――――◇
合宿
千歌「やっっぱり!! なんで言ってくれなかったのっ」
曜「あはは……タイミング見ようかと思ってて」
梨子「うん//」
千歌「えへへ、おめでとっ!!」
千歌「すごいね、やったね曜ちゃんっ」
千歌「こんな可愛い子!」
梨子「わ、わたしは」
曜「……」
曜「羨ましいでしょっ!!」
千歌「んー……羨ましいっ!」ギュッ
梨子「んんっ」//
千歌「じゃあそろそろみんなのところ戻ろ?」
曜「うん」
スタスタッ
ガララ
ワチャワチャ
千歌「そうだ……ねえねえみんなで写真撮ろー!」
千歌「誰が撮る? え、手が長い人の方がいいよ。私!?」
千歌「ぅー……わかった。はいチーズっ」
千歌「あ、花丸ちゃん切れてるから寄ってーっ」
千歌「いくよー、はいっ」カシャッ ◇――――◇
果南『いやいや……ダイヤに気を使わせちゃって』
鞠莉『そうね』
果南『向こうでも頑張ってね、鞠莉にとったら絶対今から行った方がいいから』
鞠莉『……うん』
果南『じゃあ次いつ戻ってくるかわからないけど、その時まで気長にお土産、待ってるよ』
果南「……」
鞠莉『果南』
果南『ん?』
鞠莉『私ね、多分……戻って来ない』
果南『は?』
鞠莉『いい機会だって思ったの』
鞠莉『――私、あなたのこともう好きじゃない』
果南『……え?』
果南『や……いやいや、何言ってるの!?』
鞠莉『別れましょ』 果南『き、急すぎるって! そんな冗談いらないからっ』
鞠莉『冗談じゃないわ、本気よ。今私は、あなたのことを振ったの』
果南『っ!?』
鞠莉『……そろそろ時間ね』
果南『ま、待ってよっ!!』ガシッッ
鞠莉『離して』
果南『なんでっ、わかんないって!!! 教えてよ、なんでそんな急にっ!!!』
鞠莉『……好きじゃなくなるのに理由なんてないわ』
果南『っ』
果南『や、やだよっ! 私はそんなっ!』
ダイヤ『――ちょっと二人とも何をしてますのっ』
ダイヤ『鞠莉さんそろそろ時間です早く行かないとっ』
鞠莉『そういうことだから……』
果南『やだ、嫌だって!! なんでそんなこというの!? 絶対離さないよ、時間なんて知らないっ』
鞠莉『はぁ……じゃあ言うなら』
鞠莉『――そういう重いところ、なんだけど』 果南『……!?』
果南『ぅ』ウル…スッ…
鞠莉『バイバイ、楽しかったわ』クルッスタ…
果南『待って……まって、よ。わたし、わたしっ』
ダイヤ『な何があったんですの、果南さん……』
果南『ぅ、ぅぅ……ぅ』
鞠莉『……かなんっ』ポロポロ…
鞠莉「ああもう」
鞠莉「そろそろね……」
鞠莉「この時のために、私は」
鞠莉「ねえ、果南?」 ◇――――◇
鞠莉「かなーんっ! おはよっ」ギュッ
果南「ん、鞠莉」
千歌「む……また」モヤ…
千歌(なんか最近、鞠莉ちゃん……果南ちゃんにべたべたしてる)プク…
千歌(女の子同士だから、普通だけどでもなんか最近は……)モヤモヤ…
千歌(ああもうなに考えてるんだろ私は)
鞠莉「ねね、果南。今日夏休みの宿題、しましょうよ――私の家で、ふたりで!」
千歌「え」
果南「んー……」
千歌(鞠莉ちゃんとふたりきり、ふたりきりになるの?)
千歌(普通なのに……なんでこんなにざわざわするの) 千歌(私も行きたいよ、私も……誘ってくれないかな。自分から行きたいって言いにくい……なんか、入り込めない。なんで、どうして?)
果南「……」
果南(鞠莉はもう、何も考えてないよね。変なふうに意識してるの私だけだよね。大丈夫……結局疑ってたのは馬鹿みたいに、鞠莉は普通だった。変な意識なんかしないで普通の友達に、なりたい)
果南「……今日は予定もないし、じゃあそうしよっか」
千歌「……」
鞠莉「……」ニッ… ◇――――◇
千歌「はぁ……なにしてるのかな、果南ちゃん」
千歌「……暇だなあ」
千歌「結局曜ちゃん達は付き合ってるって言ってくれたし。梨子ちゃんが私と果南ちゃんのこと知ってたのはびっくりだけど」
千歌「ふたりは今頃遊んでるのかな」
千歌「――それなら邪魔するの、悪いし」
千歌「…………」
千歌「んー……お昼寝しようかな」
千歌「……」ポチポチ… ◇――――◇
鞠莉の家
鞠莉「ちーがう、そこはこっち」
果南「はぁ、もう、わかんないなー」
果南「勉強とか無くなればいいのに」
鞠莉「くす、勉強苦手なのは治らなかったわね」
果南「多分一生だね」
鞠莉「人生は勉強よ?」
果南「その勉強とは違います」
鞠莉「そうかもね」
鞠莉「……」
鞠莉「……私が帰ってきてからこうやってふたりきりになるのって、初めてじゃない?」
果南「……多分。どうしたのいきなり」
鞠莉「冷たくない?」
果南「冷たくないって」
鞠莉「――せっかく元カノの家に来てるのに♡」 果南「っ……そういうの、やめてよ」
鞠莉「恋人がいるから?」
果南「関係ない」
鞠莉「ふぅん、そっか」
果南「鞠莉には、本当に感謝してるんだよ」
果南「鞠莉が居なかったら千歌のしたいこともできなかっただろうし。私もみんなと一緒になんて、やってなかったかもしれない」
鞠莉「そう思ってくれるなら嬉しいけど」
果南「だから……戻って来てくれてありがとう」
鞠莉「うん」//
鞠莉「ねえ、果南。ちかっちよりも早く私があなたに、もう一度告白していたら――何か変わってたと思う?」
果南「……っ」ドキ… 果南「そんなこと……もしもの話は、あんまり好きじゃない。鞠莉なら分かるでしょ」
鞠莉「……そう」
果南「……」ドキ
鞠莉(やっぱり変わってたのね)ニタ…
鞠莉「ねねっ! ちなみにちかっちと夜の方はどうなの?」
果南「なっ///」
果南「言うわけないでしょっ//」
鞠莉「えー、知りたい」
鞠莉「――私の時みたいに無理やりしたりしたの?」
果南「っ……して、ないって」
鞠莉「そうなのね、大切にしてあげてるんだ」
鞠莉(あんな子が)
果南「あの……鞠莉、本当に、ごめん」
鞠莉「いいのいいのっ、あなたは責任取って私と付き合ってくれたじゃない」 鞠莉「それに、あなたのことが好きだったから、本気の抵抗はできなかったとも言えるし」
果南「……」
鞠莉「でも平気? あなたはここに、獣を飼ってます」
鞠莉「多分だけれど……あなたはそれを、ちかっちに見せたことはありません……」グイ…
果南「っ……」
鞠莉「抑えきれなくなったらどうしよう、また私にしたみたいに思いっきり押し倒して蹂躙しちゃったらどうしよう……そんな理性と馬鹿みたいな本能の狭間で、びくびくびくびくしながらっ!!」
鞠莉「いつも揺れている……恋人なのに、そういうの見せられないだなんて悲しいと思わない?」ムニュ…
果南「っっ//」
鞠莉「ちがう?」ツツツ…
果南「や、めてよ!」
鞠莉「あらら……きっとあなたの溜まりに溜まった獣の気持ちは多分、発散させなきゃいけないと思うんだけど……あなたは獣を飼ってるの、いいじゃない。そういう人は世の中にたくさんいるわ。
鞠莉「上手く隠してるだけ、あなたもその一人。そういう人はね、得てして受け入れてくれる人とくっつくの」ムニュ…
鞠莉「だって抑えつけ続けるのは、苦しいもの」
鞠莉「つまりちかっちとの――夜の相性は良くないと見ました♡ どう?」 ああああああああさああああああ
鞠莉ちゃんの狙いわかったかも
これは辛い きっつい 果南「鞠莉に何がわかるの!!」
鞠莉「――わかるわよ」
果南「っ」
鞠莉「わかる」
果南「……」
鞠莉「でも、好きなこと出来てないでしょ。まさかあんな子にも私にしたみたいに色んなことするの? 首締めながら? 目隠ししながら? 体育用具室で? トイレの個室で? それとも晴天の下でひとりで慰めさせる? ふふっ」
果南「す、するわけっ……」
鞠莉「ほら」
鞠莉「だーかーら……元鞘に収まるように、出来ているの」ギュッ……♡
果南「鞠莉!!」
鞠莉「――私になら……また、前みたいに思いっきりしても、いいよ? 果南……」ササヤキ…ギュッ…
鞠莉「ま、別に夜のことなんて私はどうだっていいんだけど」
果南「……やめてよっ!!!!」ブンッ
鞠莉「……」
果南「なに、なんのつもりなのっ!!! 一体鞠莉はなにがしたいのっ!!!」 鞠莉「じゃあ試してみなさいよ。あなたがなんにも加減せずに、私にしたみたいに! 思いっきり素を出して彼女を抱いてあげたら? ――抱くっていう表現は適切ではないかも、しれないけどね。さながら捕食ね」クスクス…
果南「やめてよ……やめて」
鞠莉「……ちかっちって、私と果南が付き合ってたこと知らないのよねえ」
鞠莉「私と果南はただの仲が良い友達だと、思ってる」
鞠莉「――元カノの家にふたりきりだなんて知ったら、どう思うかしら」
鞠莉「私とあんなことやこんなこと色々してたって知ったら? 二年半のこと全部話してあげたら?」
果南「!?!?」
鞠莉「んー……」クス…
鞠莉「あ、さっきの質問に答えないと。私は……宿題がしたいだけよ、さ、問題の続き、しない?」
果南「っっ」
鞠莉「もちろん宿題は今日だけじゃ終わらないし――何日かにわけて、ね? ふたりきりで」 ◇――――◇
千歌「……果南ちゃんに呼ばれたけど」
千歌「えへへ、お泊まりだ」
千歌「果南ちゃんこんばんわー」
千歌「あれ?」
果南「いらっしゃい千歌」
果南(私は、前とは違う……素を出してる……)
果南(それを千歌は受け入れてくれてるんだっっ)
果南(私たちのこと何にも知らないくせにっ! 知らないくせに……)グイッ
果南「んっ……っ」
千歌「んんん!?」
果南「ちゅ……はっ♡」
千歌「んっ♡んっ♡ぷは……」
果南「はぁぁ……」
千歌「果南ちゃん? へ、へんだよ?」
果南「部屋いこ」
千歌「ふぇ」
果南「いいからっ!!」グイッ ◇――――◇
千歌「ふぁ♡やだ♡む、り♡まって♡」
千歌「かなんちゃ♡やだ、やだよ♡」
果南「ふーっ、ふーっ……」
千歌「はぁ……はぁっ♡ぅ……今日の果南ちゃんなんか――怖い、よ」ウル…
果南「ぁ……あっ、ごめ、ん」
果南「わたし」
千歌「ううん……」
果南(私は、なんにも、変わっちゃ、いない……っ)
果南(私は、どう、すればっ!!)
果南「今日はもう、やめよっか」
果南「痛くなかった?」
千歌「ちょっと、痛かった……」
果南「ごめん……」 果南(ああ、もうっ……なにやってるんだ私はっ……)
鞠莉『――私になら……思いっきりしても、いいよ? 果南』
果南(……)
果南「……っっ」
果南(思い出しちゃったじゃんっ……相手は鞠莉じゃないのっ、千歌なんだよ……っこんなの、ダメに決まってるのにっ)
果南(――なんで鞠莉のことばかり思い浮かぶのっ、わけわかんない、よっ! 千歌とふたりきりなのに)
千歌「あの……なにかあったの? 大丈夫?」
果南「あはは、なんでもないよ……」
千歌「……」 ◇――――◇
数日後
鞠莉「ねえ果南、今日も来てくれるよね?」
果南「待ってよっ、今日は……千歌と」
鞠莉「今日じゃなくてもいいでしょ?」
果南「っ……」
鞠莉「知らなくていいことは知らないままにしてあげるのが、いいと思わない? それは幸せって呼べるくらいのことよ」
果南「ねえ、もうやめよ……本当に」
鞠莉「なんで?」
果南「……なんでっ、て」
鞠莉「――私はあなたのことがまだ好きなの。いい加減分かるわよね?」
果南「っ」
鞠莉「私はね果南。欲しいものはなんだって、手に入れてみせる。だって手に入れようとしなければなんにも手に入らないの。口を開けて無様にエサを与えられるのを待つだなんて、私は嫌よ」
鞠莉「そう――あなたの心だって、ね?」ギュッ…
果南「……」 千歌「…………え?」
千歌(なんで……鞠莉ちゃん、抱きついて)
千歌「……っ」ダッッ
鞠莉「昔はずっとこうしてたね」ギュッ…
果南「……やめて」
鞠莉「ねえ……前みたいにぎゅってして、果南」
鞠莉「3回目のデートだったっけ、ぎゅってしてもらったの。本当に幸せにだったのよ、ドキドキして天国みたいで」
鞠莉「果南も顔真っ赤だったね」
果南「やめて、やめて」
鞠莉「好き果南」ギュッ…ササヤキ…
果南「……ぅ」ドキドキドキドキ…
鞠莉「あなたのことが好きよ」
鞠莉「大好き」
鞠莉「嫌なら振り解けば? 私は果南になんか敵わない」
果南「……じゃあ千歌に付き合ってたってことバラすの、やめて」
鞠莉「どうして?」
果南「……嫌われる」
鞠莉「なら――別れちゃえば?」 果南「っ!! 何言ってるのさ!!」
鞠莉「別れてもあなたには私がいるよ」
鞠莉「私はどんなあなただって、大好き」
鞠莉「あなたも言ってくれたわよね。大好きって、好きだよ鞠莉って何回も何回も」
果南「……っっ」ドキ…
鞠莉「ねえ、もう自分の本当の気持ち、分かってるんでしょ? いいじゃない……私のところへ来て、果南」
果南「――うるさいっ!! わたしはっ!! 私は千歌のことが好きなんだよ! 恋人なんだもん! それ以外ないっ、あってたまるもんか!」
果南「もう鞠莉のことなんか、どうだっていいから!」ブンッ
鞠莉「……」 ◇――――◇
千歌「……あれはなんだったんだろう」
千歌「なんか、やだよ……なんで鞠莉ちゃん、あんな風に果南ちゃんに」
千歌「果南ちゃんは私のなのに。私の恋人、なのに」ウル…
千歌「……」
曜「……千歌ちゃん? どうしたの、そんなところで」
千歌「わわっ、なんでもないよっ」
曜「?」
千歌「……」ウル…
曜「!?」
千歌「ごめん、屋上戻るね」
曜「待ってっ」ガシッ…
千歌「な、なに?」
曜「あ、いや……」
曜(わたしは……) 千歌「……行くね」スタスタ…
千歌「はぁ」
果南「千歌っ」
千歌「か、果南ちゃん!?」
果南「こっち、きて」グイッ
千歌「え、え!?」
ガンッ
千歌「ぅ……なに!?」
果南「ちゅ……んっ」
千歌「んんん!?」
果南「んむっんっっ!!」
千歌「ぷは……っ、どうしたの!? ここ、学校だよっ」
果南「……っ」ギュッ
果南「好き……ねえ千歌、好きだから。私から離れないで」グググッ… 千歌(い、いたいよ……)
千歌「離れないよ、千歌は果南ちゃんと一緒だよ。ねえ一体どうしたの? 最近変だよ」
果南「変じゃないよ」
千歌「……私に話せないことなの?」
果南「そういうことじゃなく、て」
千歌「……」
千歌「……ごめん、良いの。言いたくないこともあるよね」
千歌(わかんないよ……果南ちゃんがわかんない)
千歌(私は) ◇――――◇
次の日
音楽室
曜(もう夏休みも中盤くらい……すっごく楽しいし、こんなに可愛い恋人もいるし……。けれどなんだか、こうやって終わっていくのかなって考えると……少し寂しいかな。夏がずっと続けばいいのに)
梨子「あむ……」モグモグ…チラ
曜(千歌ちゃん……どうしたのかな)
曜(何かあったのかな……)ソワソワ
ピロリン
曜(っ! メールだ)
千歌『ごめんね……あの、迷惑かもしれないけど今度、話聞いて貰いたくて……だめかな』
曜「!!」
梨子(……)
梨子「ね、ねえ曜ちゃん?」
曜「ん、なあに?」
梨子「――さ、さっきからずっと。誰と連絡取ってるの?」 曜「え、あー……千歌ちゃんだよ」
梨子「そう、なんだ」
梨子「何か話し合ってるとか?」
曜「なんか悩んでることあるみたいでさ」
曜「話聞いてあげたいなって」
梨子「そうなんだ……どうしたのかな」
曜「今度千歌ちゃんち行かない?」
梨子「あ、うん……そうだね」
梨子「……」
曜「梨子ちゃんも、どうかしたの? なんか……」
梨子「う、ううんなんでもないよ?」
梨子(なんとなくわかっちゃうんだ)
梨子(あなたの視線は、いつでもどこか遠くに向いていて。私にそれが向けられていると思って嬉しくなっても、それはきっと一時的なものでしかなくて)
梨子(あなたはいつでも、あの人を追いかけているんだって)
梨子(あなたと恋人になれて、形として誰よりも近くに行ったからこそ、誰よりもそれが――わかってしまったの) ◇――――◇
果南「……千歌」
ピロリン
鞠莉:果南果南。花火大会があるんだけど、どう? ほら、付き合ってた時に行ったあの場所
果南「千歌」
ピロリン
鞠莉:返事ちょーだい。良い席取るわよ? ね、行こう?
果南「千歌っ……」
鞠莉:楽しかったよね、あの帰り……キスされたの私、覚えてるよ
果南「――あああああっっっ!!!」
果南「ちかっ……っ」ポチポチッッ
プルルルルルルルルルッッッ
千歌『果南ちゃん?』
果南「ねえ、会おう? 今から来れない? それとも私が行っていい?」 千歌『ち、ちょっと待ってっ……あの』
果南「今日は暇だって行ってたじゃん……。でもなんで私の家に来てくれないの? 今までだったら絶対来てくれてたよね、ねえなんで?」
曜『……千歌ちゃん、どうしたの?』
果南「……」プツ…
果南「――曜と一緒なの?」
千歌「曜ちゃんと、梨子ちゃんと」
果南「っ、私よりその二人が大切なの」
千歌「違うよっ、あのっ……今から、いくよ……」
果南「……うん」
プツッ…
ピロリン
鞠莉:ちかっちと今から会うの?
鞠莉:好きでもない相手とふたりきりで過ごすんだ かずさのこと想わないように雪菜で必死にオナニーする春希を思い出した 果南「ひっ……なん、で」
鞠莉:どうしてって、思ってる? それはね
――
鞠莉『私が果南の、ストーカーだからよ♡』 ニタ…
鞠莉(盗聴器買った甲斐があるわ♡) ◇――――◇
千歌「おじゃましま……果南ちゃん?」
果南「……」
千歌「どう、したの? そんなすみっこ行って」
千歌「ほ、ほら……果南ちゃんに会いたくて来たよっ、ね、なにする!?」
千歌「どこかでかける――」
果南「なんで、曜たちと会ってたの」
千歌「なんでっ、て……」
果南「……もっと早く来て欲しかった」
果南「私以外の人のとこ、いかないで」
千歌「……」
千歌「ねえ、果南ちゃん……お願いだから、話してくれない、かな?」
千歌「私、果南ちゃんのこと助けたいよ」
果南「……じゃあ、ずっとそばにいて」
千歌「……そうすれば、いいの?」
果南「うん」ギュッ…ドサッ
千歌「きゃ」
果南「ちゅ……ちかっ……」
千歌「んっ……ぅ♡」 |c||´.- `|| ……
|c||^.- ^|| ◇――――◇
千歌「んっぅ♡や、っいたい、いたいよっっ」
果南「はっ♡はっ」
鞠莉『かな♡かなんっ♡♡』
果南「ひっ」
果南(もっと、もっと……っ)
果南「千歌っ」
千歌「やっやだっ、かなん、ちゃっ!!」
果南(もっと深くっ)
千歌「い、いたいいたいっっ!」
果南「――うる、さいっ!!」パシンッッッッッ!!!!!
千歌「いっ……!!」
千歌「……」
千歌「え……?」
果南「あ……ぁぁ」
千歌「――なん、で? わたし、なにか、した?」
果南「ちがう、の、ちがうの千歌……あのっ」
千歌「ぐす……ぅぅ……ひっぐ、ぅっぅぅ……」 果南「ごめんね千歌っっ!! 千歌のことが好きだからっ、そのっ」ギュッ…
果南「痛かったよね、ごめんね、ごめんねっ……」ナデナデ…ギュッ
千歌「ぅ、ぅぅぅ……う、ん」
果南「ごめんね……ごめんね……」
千歌(どうして果南ちゃんが、こんなことをしたのか、私にはわからない)
千歌(でも私を強く強く抱きしめながら、今にも泣き崩れそうな果南ちゃんは、何かに怯えているようにしか見えなかった)
千歌(それがなんなのかは、わからないけれど。千歌が果南ちゃんと一緒にいることで和らぐのなら、別にそれでいいのかもしれないなんて、思っていた) 最近かなまりが廃れててちかなんが鬱陶しいからっていう感じの内容? ◇――――◇
二週間後
ダイヤ「あと数日もすれば、夏休みも終わり」
ダイヤ「高校最後の夏休みというのは……やはり寂しいですわね」
果南「え、ああ……うん」
ダイヤ「……果南さん、夏休みに入ってから変よ」
ダイヤ「何かあったの? 鞠莉さんと喧嘩でもした? 全然話していないし」
果南「っ、鞠莉は関係ないでしょ!?」
ダイヤ「……。関係がある、と言っているようなものよ」
果南「っ」
ダイヤ「……雰囲気がおかしいことくらい、察しているのよ。あなたと鞠莉さんの問題が何かはわかりませんし、首を突っ込むべきことではないこと、ということしかわかりません」
ダイヤ「でも……お願いだから、仲直りして欲しいの」 ダイヤ「あなたたち二人だけの問題ではありません、一つのグループとして……そういうことがあってはなりませんの」
果南「……うん」
果南「ごめん」
ダイヤ「何かあったら言ってね、力になってみせますわ」スタ…
果南「――どう、しろっていうのさっ……!!」
スタスタ…
千歌「あ、果南ちゃん……おべんと、食べよう?」
果南「千歌……うん」 ◇――――◇
善子「ねー千歌さん達は?」
ルビィ「あっちの廊下の方で食べてたよ」
ダイヤ「……」
鞠莉「最近仲が良いわね、前からか」
鞠莉「まるで――恋人みたい」
曜「」ピクッ
善子「恋人? どっちかが男だったらそうだったかも」
花丸「確かにー」
ダイヤ(一年生は付き合っているのを知らないのは当然として……最近の果南さん達はやはり何かおかしい……)
ダイヤ(ある種病的と言ってもいいほどです)
曜(千歌ちゃん大丈夫かな、千歌ちゃん……)
曜(千歌ちゃん)
梨子「…………」
鞠莉「ふふ……♡」 ◇――――◇
鞠莉「はぁい曜♡」
曜「わっ……」
鞠莉「何しに行くところ?」
曜「練習終わったし……梨子ちゃんが美術室で絵描きたいって、言うから……一緒にいようかなって」
鞠莉「あら、ラブラブね」
曜「ま、まあそうかな///」
鞠莉「ねえねえ、どこまでしたの?」
曜「っへ!?」
鞠莉「キス、それとももっと?」
曜「い、言うわけないよ!?」
鞠莉「あら残念」
鞠莉「――本当に好きな相手じゃないと、キスもしたくない?」 なんだこれ……すげぇいい……
完結まで頑張ってほしい 曜「……え?」
曜「な、何言ってるのさ……わけわかんないこと、言わないでよ」
鞠莉「だってあなた――千歌のことが好きなんでしょ?」
曜「は、はあ!?」
鞠莉「こっちに来てあなたと千歌が話しているところを見てすぐに分かったわ。まあ、千歌は果南と付き合ってたけれど」
鞠莉「あなたはその後梨子と付き合ったけれど……どうかしら――ちかっちの代わりにはなった?」
曜「!?!? さいっってい!!!」
曜「代わりとかじゃないもん!! わたしは、梨子ちゃんのことが、好きでっ」
鞠莉「あは……果南もあなたも、内浦の子は自分の気持ちに嘘をつくのがくせなのかしら」
鞠莉「梨子と付き合ってるあなたが一番分かってるんじゃない? 梨子とデートしたり二人で一緒にいたり、二人の時間を過ごせば過ごすほど……あの子への想いが強くなる」
鞠莉「皮肉なものよね。目の前にいる彼女より、手に入らない人を想うだなんて」 曜「…………っ」
鞠莉「ま、私はすぐに手に入るのに」ボソ…
曜「……?」
曜「とに、かくっ! 私はそんなんじゃないからっ!」
鞠莉「あなた――隠せてると思ったら大間違いよ。あなたのその態度、恋人をずったずたに傷つけてるってこと忘れない方がいいかも」
曜「……」
鞠莉「あともう一つだけ。あなたに良いこと教えてあげるわ」
鞠莉「最近のちかっちと果南、すっっごくべったべたよね」
鞠莉「ちかっち――果南に暴力、振るわれてるわね」
曜「は?」
鞠莉「あの子の身体をよく見て見たら、わかるかも。友達だもの、ちかっちを助けるのは普通よ。だから遠慮なく――話を聞いてあげてね」スタスタ…
曜「鞠莉ちゃんは、一体……」 ――
梨子「……」カキカキ…
曜「……」ポチポチ…
曜(あ、返事きた……)
曜(絶対なんとしても、助けてあげないと……。いや、そもそも本当かどうかもわからないし。とにかく、話を聞くことからだ)
梨子(また……)
梨子(私と一緒にいるのに、誰かと連絡とってる。また千歌ちゃん、かな)
梨子(最初の方は私が絵を描いてるところ見て、色々褒めてくれてたのに。一緒に楽しくお話して、それでも満足できないときは、私の家に来て)
梨子(夢、だったのかな)
曜「……」ポチポチ…
梨子(だとしたら、覚めないで、欲しかった、な……)ウル…
梨子(でも)
梨子「良かったら今日……うちに来ない?」 行ってくれ……千歌ちゃんと梨子ちゃんに幸せになって欲しい…… |c||^.- ^||.....
|c||●.- ●|| こういうSSには一年生は関与しないってのあると思います ◇――――◇
曜「すぅ……すぅ」
梨子「……」ナデナデ…
梨子(あなたが私に向けてくれる視線は、時間が経った今、変わったのかな)
梨子(ううん、そうじゃない)
梨子(あなたの心はいつも違うところにあって、私を見ていても、違うところを見ていたのは最初から)
梨子(こうやって二人でお泊まりなんかしても、あなたは私に優しく笑ってくれる)
梨子(きっと、あなたにとってそれも本心で……優しいから、私と、いてくれて)
梨子「ごめんね、曜ちゃん……確認させてね」
梨子「こんなこと、したくないの」
梨子「だって、怖いんだもん」
梨子「……見なければ、私はあなたと、このままの関係でいられるかも、しれないもんね」
梨子「でも、ごめんね……」スッ
梨子(曜ちゃんの右手の人差し指)
スッ
梨子(携帯の、指紋認証……) 梨子(解除された!)
梨子(私は今、恋人の携帯を勝手に、みてる……最低、だ最低だ最低だ最低……だ)
梨子(メールは)ドキドキ
梨子「!?」
梨子「は、は……」
梨子(トーク履歴、千歌ちゃんとのが一番上か……私といる時も、ずっとずっと連絡とってたんだ。ほんとについ、さっきまで……)
梨子(一昨日のこの時間て……私とメールしてたはずだよね。返信遅いなって思ってたのに……千歌ちゃんにはこんなに、早く)
梨子「……」
梨子「ぐす……ぅ、う」
梨子「わかってた、もん。わかってたのに、やっぱり……悲しいな」
曜「すぅ……すぅ」
梨子「……」ギュッ…
梨子「大好き、です。曜ちゃん」 ◇――――◇
曜「んぅ……おはよ」
梨子「おはよう」
曜「ふぁ……ん」
曜(千歌ちゃん大丈夫かな……)
曜「ん? 梨子ちゃん、目……腫れてるよ!?」
梨子「え、あ!?」
曜「どう、したの?」
梨子「ど、どうしたんだろう……夜泣きでも、したのかな」
曜「ええ!?」
梨子「わたし、変なふうになってなかった?」
曜「んん、わかんない……」
梨子「そうだよね。でも、夜泣きなんてするわけないよ」
梨子「好きな人と、一緒だったんだもん……」ギュッ…
梨子(ううん、好きな人と、一緒、だったからかな……)ニコ… ようりこをくっつけたのは
果南と別れた後に
曜によって救済させないための千歌への復讐かと思ったけど違った ◇――――◇
次の日
曜「千歌ちゃん!」
千歌「?」
曜(千歌ちゃんは最近、違うところで着替えるようになった……。制服の下に練習着てきて肌を見せなくていいようにしてることも多い)
曜(それが鞠莉ちゃんの言っていたことの証明になるとしたら……)
曜「一緒に着替えよ!」
曜(ってこれはおかしいな!?)
千歌「え……」
曜「あーごめんうそうそっ」
千歌「なに変なこと言い出すのかと……じゃ行くね」
曜「どうしてわざわざ? 最近そうだよね」
千歌「っ、それは……」
曜「ねえ……話してくれるって、言ってたよね」 千歌「……や、やめよ? こんなところ、果南ちゃんに見られたら」
曜「見られたら――暴力、振るわれる?」
千歌「!?……ち、ちがうもんっ」
千歌「あれは暴力じゃ、なくてっ!」
千歌「あ……」
ガシ
曜「お願い、話してくれるまで逃すつもりはないの」
千歌「……」
千歌「あの、あの……」
千歌「違うんだって……。あのね、果南ちゃんは私のことが好きなんだってさ」
千歌「私とずっと一緒に居たいんだって」
千歌「私もそうだよ。果南ちゃんと一緒なら、それでよくて……」
千歌「果南ちゃんね、悩んでることがあるみたいなんだ。でもね、私と一緒にいると、忘れられるんだって……」
千歌「果南ちゃんには私がいなくちゃだめ、なの。だから私は果南ちゃんと一緒に居たいし、それだけだよ」
曜「そういうことじゃ――」 千歌「――じ、邪魔しないでよ!!!」
千歌「曜ちゃんにはかんけーないじゃん!」
曜「っ」
千歌「私と果南ちゃんだけの問題でしょ! わ、わかった……! 私と果南ちゃんがラブラブだからって、嫉妬してるんだ」
千歌「曜ちゃんには梨子ちゃんがいるじゃん!」
千歌「あ、梨子ちゃんとうまくいってないの!? だからって、私に当たるのやめて――うぐ」
曜「……」グググッ…
千歌「……ぅ」
曜「……」ギュッ
曜「お願いだから……お願いっ。もうそんな千歌ちゃん、見てたくないのっ」
曜「ごめん。ね、話して? ね? 話せば楽に、なるから……」
千歌「ぅ……うぅっ……ぅぅっ」
鞠莉「……あらあら」クス… ◇――――◇
曜「……ごく、ひどいアザ……」
千歌「……ちがう、の」
曜「違くないよ、こんな、こんなのっ」
曜「ひどい、果南ちゃん」
千歌「果南ちゃんは酷くないよ!!! なんでそんなこと言うの!? 最低だよ曜ちゃん!!!」
曜「千歌ちゃん」
曜「目を覚ましてよ……おかしいよ、こんなの、馬鹿みたいだよ」
曜「痛いでしょ? 痛いの、嫌でしょ?」
千歌「……でも、果南ちゃんは抱きしめてくれる、もん」
千歌「なにより、千歌が悪いの……。私がもっと、そばにいてあげられたら、こんなことにはなって、ないし……」
千歌「悪いことしたら、罰があるのは、当然だよ」
曜「っ……おかしい、よっ!!」
曜「」ギリリリ…
曜(幸せにするって、言ったのに)
曜(これの、どこがっっ)
曜(許さない……)
曜「ゆるさない……っ」ギロッ ◇――――◇
ドンッッッ
曜「――果南ちゃん!!!」
ダイヤ「なんですの、騒々しい。果南さんなら帰りましたわよ」
曜「え、あ」
ダイヤ「今日は早めに帰るって言っていたでしょう?」
曜「そっか……」
ダイヤ「千歌さんはまたちがう場所で着替えて?」
曜「うん」
ダイヤ(やっぱり……ここのところ、色々とおかしいですわね)
ダイヤ(でもそれがどうしてなのか、わからない……)
梨子「……千歌ちゃんのところ行ってたの?」
曜「あ、うん」
梨子「そっか」ニコ… 曜ちゃん…………
てかやっと鞠莉の狙いが分かったよ…… 梨子「……」
曜「ねえ鞠莉ちゃんどこ?」
ダイヤ「トイレに行ったみたいだけれど」
鞠莉「シャイニー♡呼びましたかー?」フニッッ
曜「ひっっ」
曜「もうっ!!」
曜「あの」
鞠莉「うんうん、言いたいことはわかってる」
曜「え?」
鞠莉「だから……明日、話し合いましょ? ちかっちを救うために」
曜「……」コク… ◇――――◇
淡島
千歌「……どうしたんだろう、鞠莉ちゃん」
千歌「いきなり来て欲しいだなんて」
千歌「最近果南ちゃんにベタベタすることもないし、あれは勘違い、だったんだよね」
千歌「……」スタスタ…
千歌(果南ちゃんに言った方がいいよね)
千歌(言わないとまた)
千歌「……でも」
曜『っ……おかしい、よっ!!』
千歌「おかしい……おかしい、のかな」
千歌「確かに、最近――」
鞠莉「はぁいちかっち! こっちこっち!」
千歌「あ、鞠莉ちゃん」 さらっと流したけど果南ちゃんの性癖ヤバコーヒーだな ――
鞠莉の部屋
千歌「あちっ」
鞠莉「ふふ、ゆっくりゆっくり」
千歌「あはは……」
鞠莉「最近果南とはどう? 上手くいってる?」
千歌「……う、ん」
鞠莉「そう――上手く言ってないのね」
千歌「上手くいってる、よ」
鞠莉「あなたに鏡を見せてあげたいわね」
千歌「……」
鞠莉「今日のことは果南に報告しなくていいの? また――暴力振るわれちゃう」
千歌「な、なんで鞠莉ちゃんまで!?」
鞠莉「最初に気がついたのは私だもの。後から曜に教えたってわけ」
千歌「そ、なんだ……」
鞠莉「それはそれと。今こうして私とちかっちが二人で会ってるだなんて、果南にとってはいっちばん嫌だと思うなあ」
千歌「どう、して?」
鞠莉「ん? だって果南の今の恋人のちかっちと――元恋人の私。果南にとったら嫌に決まってない?」 千歌「………………へ?」
千歌「鞠莉ちゃんと、果南ちゃんが恋人、だった?」
鞠莉「ええ」
千歌「うそ、でしょ」
鞠莉「あれ――聞いてないんだ。てっきり私は果南から聞かされているものだとばかり」クス…
千歌「き、聞いてないよっ!! なにそれっ、そんなのっそんなのっ!!」ガタッ
千歌(じゃあ、果南ちゃんは……ずっと、元カノの家に、来て、ふたりで勉強して……元カノとハグ、してたって、こと?)
千歌(それをずっと隠してっ)
千歌(なにそれっ、なにそれっ)ウル…
千歌「うそに、決まってるもん……」ウル…
鞠莉「なんだ……聞かされてなかったんだ。どうしてかしら。二年半付き合ってたんだけど」
千歌「二年、半……そんなに!?」
鞠莉「元恋人に対してなんの未練もなければ、すぐ言えばいいと思わない?」 千歌「……」
鞠莉「果南はそうしなかった。ねえ、それがどうしてかわかる?」
鞠莉「――果南はまだ、私のことが……好きだから」
千歌「!?!?」
千歌「そ、そんな、わけ……だって、私は……私は果南ちゃんの恋人で。それにっ、付き合ってたなんてどこにも証拠ないじゃんっ、デタラメばっかりっっ!!」
鞠莉「恋人が一番だなんて誰が決めたの? その時その時に心惹かれた相手がたまたまあなたで、そういう関係になっただけ。私がこっちに居なかったから」
千歌「っ」
鞠莉「それに、はいこれ」
千歌「!?」
千歌(果南ちゃんとの、写真……こんなに)
鞠莉「携帯でたくさん撮っててよかったわ」
鞠莉「これは水族館ね。こっちはお花見……こっちは初めてのデートの時かしら」
千歌「……」
千歌(たのし、そう)
鞠莉「そうそう、この時に果南から告白されて……こっちの写真の後帰りに家の前で――キスされたの」 千歌「…………」フルフル…
鞠莉「懐かしいわ。海外に行って離れ離れになったけれど、私はこうやって戻ってきた。どうしてかわかる?」
千歌「……うそ」
鞠莉「――果南ともう一度付き合うためよ」
千歌「!?」
鞠莉「目を見て態度を見たらすぐに分かったわ。ああ、果南は私のことがまだ好きだったんだって。両想いなんだって」
千歌「うそ」
鞠莉「でも」
鞠莉「あなたがいた」
千歌「うそ……」フルフル…
鞠莉「果南は私がいなくなって空いてしまった心をあなたで埋めようとしていたの。でも、どうかしら。あなたじゃ果南の心を埋めきれなかった。あなたが居たから果南は私と一緒になれないの、わかる?」グイッ
千歌「うそだも――」
鞠莉「事実よ!! ――あなたは果南にとって、邪魔なのよ」
鞠莉「もう呪いのお荷物でしかないの」ニタ…
千歌「そんな、こと……ぐす……」
鞠莉「泣けば済むと思ってる? 泣けば恋人の果南ちゃんがかけつけて来て助けてくれるとでも思ってる!?」グググッ
千歌「かっ、ぁ……」 鞠莉「そういうところが、気にくわないのっ!!! へらへら笑ってあなたは果南のことを縛り付けてるっ。何も知らないふりしてね!」
鞠莉「あなたさえいなければ私は果南とすぐにでもよりを戻せていたのにっ、あなたさえ果南に告白していなければ果南はあなたとの関係で悩むこともなかったのに!!!」
鞠莉「くす……初めての夜はとびきり優しくされた? きっとそうよね、でもそれは本当の果南じゃない。あの子は獣を飼ってるの。どこまでも凶暴な劣情を抱えていて、あなたではそれを満たしてあげることはできないの」スッ…
鞠莉「あなたは本当の果南を知らないの」クス…
千歌「けほっけほっ……ひっぐ、ぅぅ……」
鞠莉「あなたを独占したいと思った果南の気持ちだって、私への想いから目を背けているだけ。あなたと一緒にいればそれが収まるだなんて考えたのかしら。ふふ、だとしたら悪手よね」
鞠莉「あなたと一緒にいればいるほど、果南はきっと私との過去がチラついてしょうがなかったはず。だから私がこっちに来た時点で、いつかは破綻する時が来ていたはずなの」
鞠莉「あなたに近づけば近づこうとするだけ傷つけあって、果南にとって目を背けたくなる気持ちだけが近づいてくる……ふふその雁字搦めは、ハリネズミに例えたとして生ぬるいわね」
千歌「っぅ」
鞠莉「だからね。最初から――あなたは負けていたのよちかっち?」
千歌「そん、な……果南ちゃん、果南ちゃん……ぐす……」
鞠莉「ここまでだとただの妄言って捉えられてもおかしくないけど。立って、あなたに見せるものがあるわ」 ◇――――◇
千歌「……」トコトコ…
鞠莉(果南は店番してるわね。なら裏口から)
千歌「え、果南ちゃんち?」
鞠莉「いいの、おじいさんとも知り合いだから。あなたもでしょ」
千歌「うん……」
スタスタ
鞠莉「さあ、果南の部屋……あらあらシーツかぴかぴね。うふふ、昨日はお楽しみだった? ふふ、必死ね果南は。――もう逃げられないのに」
千歌「……」
鞠莉「うん、と多分この辺りだと思うけど」ガサゴソ
千歌(押入れ……?)
ガサガサッッッ!!!!
千歌「!?!?」
千歌「こ、れ」
鞠莉「私とのアルバムね」
鞠莉「やっぱりまだ持ってたんだ。こんなに大切そうにしまって」
千歌「……ぁ、ぁぁ」 鞠莉「こっちは誕生日にあげたプレゼント、これはクリスマス、ほらこれ全部私との想い出の物!」
千歌「……いや、いや」
鞠莉「ねえ、分かった? ちかっち。あなたは――邪魔なの」
鞠莉「果南が今苦しそうなのも、全部全部、あなたのせいなのよ」
千歌「っ……そんな、そんな」
千歌「ぅっ、ぅぅぅぅ…………っ」
果南「――な、なにしてるの!?」
鞠莉「あら」
果南「っ!?」
鞠莉「あなたが私との思い出を大切にしまってあるから……恋人に見せたくなったの♡恋人が恋人のことを知りたいと思うことは当然だものね? 果南が私と付き合ってたことも、私をレイプしてから付き合ったことも、全部知ってもらおうかなって」
千歌「ひっぐ……ぅぅ」
果南「……」サァァアアア…
果南「ちかっ、違うのこれはっ」
千歌「やだっっ触らないでっ! なんで、なんでこんな……っ、邪魔なんでしょ、私なんてっ!!!」
千歌「もう知らない!!!!」ダッッッ 果南「っ……」
果南「待って!!!」
ガシッ
果南「離せ鞠莉っ!!!」ブンッッ
鞠莉「きゃっ」
果南「ぁ」
鞠莉「ふふ……昔もこんな風にして、無理やりされたね」
果南「っっ……昔のことばかりっ!!」
鞠莉「それをずっと引きずってるのは誰?」
鞠莉「その気持ちから目をそらし続けてるのは、誰?」
果南「……」ギリリリ…
鞠莉「ねえ果南……やっとふたりきりになれた」
鞠莉「ずっとずっとずっとずっとずっと、あなたのことばかり考えてたの」
果南「じゃあなんで海外に行くあの日、私のこと、振ったのっ!!」
鞠莉「――あなたを縛り付けたくなかった」
鞠莉「私と付き合ってればあなたは、私が向こうにいる間辛い想いするかと思って。私は大学も向こうに行くし、卒業したらこっちに留まっていられない。きっと果南への縛り付けはずっと続く」 ドキドキがやばい
人間って興奮するとはぁはぁって本当に言うんだって初めて知った 鞠莉「だったら、別れちゃった方があなたは辛くないんじゃないかって思って……私のことなんてすぐ忘れて楽しく過ごしてくれたらいいと、思って」
果南「そんなことあるわけっ」
鞠莉「でも!! だめだった……!!」
鞠莉「あなたと一緒じゃないと、私がダメだって分かったの! 1日だって忘れたことはないよ。別れなきゃ良かったって毎日毎日毎日毎日、思ってたよ」
果南「鞠莉、なんで今更っ!!」
鞠莉「だから戻ってきたの。好きよ果南、大好きよ果南」
果南「///っ」
鞠莉「でもいざ戻ってきたらっ!! あなたは違う子と付き合ってたっ!! 違う子に心が傾いていたっ! 私にあなたの心が向いてないんだって、ほんとにほんっとにっ、死んじゃうかと思ったっ……っ」
鞠莉「私があっちで時間を消費したから。ちゃんと話し合ってればこんなことになってなかったかもしれないって!」
果南「っっ」
鞠莉「でもあなたの目は違った。私のことをまだ忘れてなかった。すぐに分かった。……本当に嬉しかったのよ……?」 鞠莉「でも果南はっ。今は恋人の千歌といつも一緒に居る!! 私なんてもういらないんだって言われてるような気がしてっ、恋人だってこと見せつけられてるような、気がしてっ!!!!」
鞠莉「昔向けてくれてた目を、外から見ているだけなんて、もう耐えられないっ!」
果南「そんなつもりないよ!! 私は鞠莉とは友達で」
鞠莉「――友達なんて嫌よっ!!!」
鞠莉「ぅ……ぅ、辛かったの。そんな果南見てたくなかった。私以外にあんな視線向ける果南見てたくなかった!! 私しか見て欲しくないし、あなたが側にいてくれないと私じゃないの……っ」
鞠莉「自分勝手でごめんなさい、果南。果南が今苦しんでるのが、元はと言えば全部、私のせいだってことくらいわかってるっ」
鞠莉「全部私の自分勝手!」
鞠莉「でもだから、もう我慢しない。言いたいことは全部言うし、したいことは全部する。それで、またあんな想いするくらいならっ」
鞠莉「ねえ……また私と付き合おう? 高校卒業したら向こうに行って一緒に暮らそう? 大学卒業しても私が働くから平気、果南は隣で一緒にいてくれるだけでいいの。色んなところに行って色んなものを食べて色んなものを見るの」ギュッ……
鞠莉「二人でね」 悲劇のヒロインぶってるけど一切同情の余地ないガチクズだよねこの金髪 果南「っ……ま、り」
果南「なんで」
果南「なんであの時話してくれなかったの。私のことなんてどうでもよかった。縛り付けられるなんて思うわけなかったのに」
鞠莉「……」
果南「なんで、もっと、速く戻ってきてくれなかったの……」
果南「なんでこんなタイミングで、戻ってきたのっ!!」
鞠莉「……果南」
鞠莉「ん……っ」チュ…
果南「や、めてよ」ドキ…ウル…
鞠莉「あは……分かったでしょう? 久しぶりにするキスはなによりもあなたに、あなたの心を教えてくれるはずよ」
果南「はっ……ふっ。ぐす……ぅぅ。千歌が、千歌、が……」
鞠莉「なんで、なんであの子なのよっ!! なんで私じゃだめなの!?」
果南「そういうことじゃないんだよっ……もう、そういうことじゃ、ない……のっ」
鞠莉「こんなにあなたのことが好きなのに、あんなに一緒にいたのに。私はどうしたらいいの、あなたが一緒じゃないなんて、耐えられないのっ」ギュッ…
果南「はっ……はっ」
鞠莉「ほら、泣かないで果南。あなたには私がいるわ。他の世界のことなんてなにも気にしないで……ほら、私と」バサ…
鞠莉「――いいこと、しましょう?」 ◇――――◇
曜の家
曜「ふぁぁ……」
曜「ねむ……」
梨子「明日果南さんと話すんでしょ?」
曜「うん」
梨子「……どうなるかな」
曜「わかんない……でも、梨子ちゃんに話したらちょっと楽になったよ」
梨子「そっか」
梨子「ねえ、曜ちゃん……」
曜「?」
梨子「曜ちゃんは――千歌ちゃんのこと、好きだよね」
曜「っっ……好きだけど、どうしたの」
梨子「違うの……私の言う好きは、曜ちゃんが私に言ってくれる好きと、一緒」
曜「な、なに言って……」
曜(なんで鞠莉ちゃんとおんなじこと、言って……) りこちゃん....( ; 8 ; )
ヨーソロー頑張れりこちゃんを泣かせるな 梨子「……わかっちゃうんだ。曜ちゃん、私と付き合う前から千歌ちゃんのこと好きだったでしょ? それが分かってたから、私は告白するの躊躇ってたの。どうせ断られるし、どうせ私なんかが千歌ちゃんに勝てるはずないしって」
梨子「でも、鞠莉さんに押されて……私は想いを伝えた。玉砕覚悟だったけれど、あなたは私の気持ちを受け止めてくれた」
曜「っ……」
梨子「曜ちゃんと恋人になれて、すっごく優しくしてくれた、私と一緒に居てくれたし、手も繋いだり一緒に眠ったり」
梨子「でも、あなたの気持ちは……いつもどこかを向いていた。私の向こうの誰かを見ているみたいに」
梨子「あなたに近づけば近づくほど、それが分かって……わたしは――千歌ちゃんみたいにはなれないんだって、分かったの」ウル…
曜「代わり、だなんて……そんなことないよっ。梨子ちゃんは梨子ちゃんだよ!」
梨子「優しいね……それも本心だって、わかってる」
梨子「でも……お願いだから隠さないで」
曜「私はっ」
鞠莉『あなた――隠せてると思ったら大間違いよ。あなたのその態度、恋人をずったずたに傷つけてるってこと忘れない方がいいかも』
曜(夏休み中、ずっとずっと一緒だったもんね……そっか、私は……梨子ちゃんを傷つけて……。ずっと、柔らかい笑顔の裏で、梨子ちゃんは傷ついてて……) 曜「っ……」
梨子「ごめんね、曜ちゃんの携帯の中身見ちゃったの。最低、だよね……ごめん。でも……千歌ちゃんとのやりとり見てて、確信、したの」
曜「いつの間に」
梨子「曜ちゃんが寝てる時、指借りて」
曜「……」
梨子「――別れよっか……」
曜「そ、それは――」
梨子「そう、あなたなら否定してくれるって思ってたよ」
梨子「だって曜ちゃんは――誰よりも優しいもん」
梨子「自分の気持ちを殺して私と一番近くで接してくれてっ……ほんとにほんとにっ――幸せ、でした……っ」
梨子「馬鹿だよねっ、私は。携帯を見てあなたの気持ちの証明を見ればこの気持ちにもけじめがつけられるって思った。それがあれば、曜ちゃんの優しさに甘えなくて済むと思ったっ」
梨子「でも……逆、だった。離したくなくなった」
梨子「だからね、わたしっ、別れたくないのっ……! ぐす……ぅぅ。曜ちゃんのことが好きでっ、私はまだあなたと一緒に居たくてっ……こんなに、こんなに人を好きになったの、初めてでっ!!!」ギュッゥツ…
曜「……」
梨子「――二番目でも三番目でも、いいからっ……曜ちゃんが千歌ちゃんのこと、ううん誰のことを一番に好きでも、私はいいからっ!!」ギュッ… たくさんの人を傷つける代わりに意中の人を得られる方法があるなら、その方法を選ぶ人は多いと思うかもしれない
生涯の中で、ウェルテルが自分のために書かれたと感じる時期がないなら、その人は不幸だ。
とゲーテは語ったけれど、この鞠莉についても似たようなことが言えるかもしれないずらぁ 梨子「だから、こうして、一緒にいさせて……くだ、さい……ぐす……」
曜「……」
曜(ああ……私は……)
梨子(卑怯だな……私は)
梨子(こうやって頼めば曜ちゃんが断らないってこと、私は知っている)
梨子(曜ちゃんが私に向けてくれた想いは紛れもなく本物で、ただ、千歌ちゃんに向けるそれより弱いって言うだけ)
曜「……梨子ちゃん」ギュッ…
曜「好きだよ」
曜「んっ……」
梨子「ん……」
梨子(初めて、キスをした)
梨子(付き合ってから、ちょうど1ヶ月くらいの出来事だった)
梨子(ファーストキスのそれは、おそらく、涙の味だった)
梨子(それは私のものなのか、彼女のものだったのかはわからない)
梨子(静かに見つめあって、その後優しく抱きとめられて私はまた夢を見る)
梨子(今度こそ覚めないでと、誰にでもなく……お願いをした) ◇――――◇
千歌「ぐす……」
千歌「果南ちゃん……」
千歌「果南ちゃん……」
千歌「はー……はっ」
千歌「わたし、果南ちゃんと別れちゃうのかな」
千歌「別れたく、ないよ」
千歌「そうなったらどうなるの」
千歌「わたし、どうなるの」
千歌「ぐす……曜ちゃんか、梨子ちゃんに相だ――」
千歌「ぁ……そっか」
千歌「あの二人は、付き合ってて……」
千歌「今も二人一緒にいるかも、しれなくて」
千歌「……私は邪魔者だ」
千歌「私にはもう、なんにも……のこって、ない……ぐす……ぅ、ぅぅ」 ◇――――◇
朝
鞠莉「さあ果南、練習行くわよ」
果南「……行きたくない」
鞠莉「だめよ」
鞠莉「ちかっちに謝るんでしょ?」
果南「……」
鞠莉「それで、別れるんでしょ?」
果南「違う、そうじゃなくてっ……」
鞠莉「まだあの子を傷つけるつもり? ちゃんと話し合わないとお互いが傷つくってことくらいわかるでしょ?」
鞠莉「とにかく行くの」
鞠莉「きっと……楽しいことになるから」 ◇――――◇
曜「そっか……そんなことが」
梨子「……」
梨子(鞠莉さん……)
曜(朝一番、行きたくないってLINEが来てて)
曜(いつもより早いバスで来て見たら……)
曜(千歌ちゃんは今にも死んじゃいそうな顔してて)
曜「鞠莉ちゃんと、果南ちゃんが」
鞠莉『あは……果南もあなたも、内浦の子は自分の気持ちに嘘をつくのがくせなのかしら』
曜(果南ちゃんも……そういうこと、だったんだ)
曜(ずっとずっと、鞠莉ちゃんのことが好きで)
曜(でも……千歌ちゃんにこんな顔させるなんて……)
曜(私も同じようなことして……自分のこと最低だってわかってる。だからこそ――許せない、よ)ギリリ…
曜「行こう千歌ちゃん……」
曜「全部話して……答えを、出そう?」
曜「大丈夫……きっと果南ちゃんと、戻れるよ」 ◇――――◇
部室
千歌「お、おはよー」
ダイヤ「おはようございます」
ルビィ「おはよー」
善子「」シュビッ
千歌(果南ちゃんと鞠莉ちゃんは、まだ来てない……)
曜「……」
ダイヤ「……?」
鞠莉「――シャイニー! おはよっ!」
ガチャッ
千歌「っ」ビクッ…
梨子(千歌ちゃんびくってした……)
曜(千歌ちゃんの話だと、鞠莉ちゃんに酷いこと言われたって聞いたけど……そんなこと言うような人には)
果南「…………おはよ、みんな」 鞠莉のお前が言うな感すごいw
こんな黒いマリー見たの初めてだけど似合うな ダイヤ「……」
「……」
曜(空気、重……)
善子(なによこの空気! あなた何か知らないの!?)ツンツン
ルビィ(知らないよおっ)ブンブンッ
曜「あの……ちょっと話し合いしたいことがあって。二年生と鞠莉ちゃんと果南ちゃんの五人で、席外していいかな」
果南「……」
ダイヤ「話し合い? なんの?」
鞠莉「――ちかっちと果南が別れるって話でしょ?」
善子「?」
花丸「別れる……」
曜「ちょっ」
鞠莉「いいじゃないっこの機会に一年生にも知って貰えば! もう華の女子高生、当然恋愛ごとにも興味あるわよね?」
善子「い、いや……なに言ってるのかさっぱり……」 鞠莉「そんな純粋無垢なよっちゃんはじめルビィちゃん花丸ちゃん達に教えてあげるっ」
鞠莉「私は果南の元カノで、ちかっちは果南の今カノ」
鞠莉「曜と梨子は今も……付き合ってるの?」
曜「っ!!」
梨子「……付き合ってます」
善子「い、いや、は?」
善子「全然わかんないっていう、か……え、女同士――」
曜「そ、そんないきなり言わなくてもいいじゃん!! もっとちゃんとっ」
鞠莉「ちゃんと、が来る前にみんなに話してれば……一人一人が抱え込んで気に病むこともなかったかもしれないのに」
曜「っ……」
鞠莉「ね、果南」
果南「千歌」
千歌「ひ……」
果南「っ……」
曜「っ……」プツッ…
曜「――謝ってよ……果南ちゃん」 千歌「や、やめてよ曜ちゃん」
曜「ううんやめない」
曜「果南ちゃんが謝って、それで二度とこういうことしないって誓わない限り……絶対私が、千歌ちゃんに近づけさせないから!!」
果南「……あの」
鞠莉「謝る必要なんてないよ果南」
曜「!?」
鞠莉「だって果南は最初からずっと私のことが好きだったんだものね? 私が向こうに行ってからずっとずっと私のこと、考えてくれてたんだもの」
千歌「っ」
鞠莉「だから最初から、離れるのが定めってこと」
曜「鞠莉ちゃん!! それ以上言ったら!!」グッッ
ダイヤ「やめなさい!」
曜「うるさいっ!!」
ダイヤ「っ」
鞠莉「殴るの?」 善子(なに、一体なにが起きてるの……?)
ルビィ「ぅ、ゅ……」
善子(昨日まで、こんな)
梨子「だ、だめだよ曜ちゃん!」
曜「くっ」
鞠莉「そういえばあなた達、まだ付き合ってるんだ」
鞠莉「――曜はちかっちのことが好きなのに、よく続くわね」
鞠莉「そういう話し合いでもしたのかしら」
梨子「……っ」
千歌「え……ど、どういう」
鞠莉「そのままの意味よ。曜はちかっちのことが好きで、でも果南に負けちゃったから仕方なく告白された梨子と付き合ってる。ふふ、果南とおんなじね」
千歌「よ、曜ちゃんが……わたしの、こと?」
曜「っ……ちがうっ!!」
鞠莉「違くない。曜――あなたに果南を攻める資格なんて、どこにもないわ」
鞠莉「まあ、資格だのなんだのはどうだっていいんだけどね」
鞠莉「付き合ってるリリーのことはほったらかし? さしずめ二番手の女って感じ? うふふモテる子は辛いわね――まあ、付き合ってる人が一番なんてどこにも決まってないものね」
曜「ちがうっ、ちがうっ!!」 曜「鞠莉ちゃんあなたはっ!! 一体何が目的なのさっ、何が楽しくてこんなことするの!? こんなイジワルするのっ!」
鞠莉「聞くまでもないでしょ」
鞠莉「ね、果南」
ダイヤ(大体読めてきた、ような。鞠莉さんは、果南さんのことを、ずっと。そして、果南さんも、鞠莉さんとのわだかまりのように見えた関係は……心から目を背けていたのね)
果南「……」
曜「なんで、黙ってるの果南ちゃん……話してよ」
曜「あの時、言ったよね」
曜「幸せにしてあげてって。千歌ちゃんのこと、泣かせたら許さないって!!!!」
曜「なんでこんなことになってるのさっ……! 最初から、鞠莉ちゃんが忘れられてないならっ、どうしてっ……」
曜「わかってるよっ!! 私だって同じようなことして、最低だっていうのは!!」
曜「でもっ、でもっ。私は果南ちゃんだったから納得してっ、果南ちゃんだったから大丈夫だって思ったのにっ!!!」
曜「挙句の果てに暴力まで振るって、一体どういうつもりなのっ!!」
果南「――じゃあ……どうしろっていうのさっ!!!」
千歌「っ」
果南「私はどうすれば、良かったのさっ……!!」
果南「千歌のこと、好きだって気持ちだって本当なのっ!! でも、でも……っ」
鞠莉「……」 千歌「ぐす……ぅぅ」
果南「……千歌、お願い」
果南「お願いだから」
梨子(誰かが小さく泣く声が聞こえた。……ルビィちゃんかなよっちゃんも涙を目に浮かべ、花丸ちゃんは俯いている)
梨子(ダイヤさんは、厳しい視線を投げかけながらも、静観することしか出来ないみたいだった)
梨子(全部を巻き込んだ私たちの出来事は、止まらない。曜ちゃんが怒声をあげたと同時くらいに膝から崩れ落ちた千歌ちゃんは、既に大粒の涙を流していた)
梨子(果南ちゃんは、何をお願いしたんだろう。わからない。そこに、中身なんてないのかもしれないけれど。普段の凛々しい表情はどこか遠くへ行って、目を真っ赤に腫らしながら千歌ちゃんのことを、抱きしめていた)
果南「ごめん、千歌、わたし――」
千歌「ぐすっ……――別れよ」
曜「!?」
果南「え」
鞠莉「……」
鞠莉「……」ニタァ… 善子「っ」ゾクゾクッ…
善子(なに、今の顔……)
果南「え……?」
千歌「うぅ……ぅ」
千歌「別れるっ、もう別れる!」
千歌「だって千歌が果南ちゃんと別れれば全部解決するじゃん!! 果南ちゃんは鞠莉ちゃんのことが好きでっ、鞠莉ちゃんは果南ちゃんのことが好きでっ!!」
千歌「千歌がワガママ言うからっ……曜ちゃんと果南ちゃん達が喧嘩、して……っぅ」
千歌「私――ただの邪魔者だもんっ……」
果南「違うよ……千歌」
千歌「違くないっ! じゃあどうして鞠莉ちゃんと付き合ってたこと隠してたのっ、なんで言ってくれなかったの! 裏で鞠莉ちゃんと会ってたんでしょ、抱きつかれてるとこだって見たんだから!」
千歌「千歌のことなんて、いいから……鞠莉ちゃんと、仲良くすれば、いいじゃん……っ」
千歌「果南ちゃんは、私と一緒じゃだめなんだよ……? 私と一緒にいると、おかしくなっちゃうんだよ。果南ちゃんが鞠莉ちゃんのこと好きって言うなら、それでいいの……。果南ちゃんがそれがいいなら、私は、いいの」
千歌「だから、おね、がいっ。果南ちゃんのためなの」
果南「……ぁ、ぁ」
パシ…
千歌「さわらないで……もう、やだ……もうやだよぉ……」 ...寒気がしたんだが........
でもこういう鞠莉も嫌いではない 果南「……」フルフル…
ダイヤ「っ、皆さん」
ダイヤ「お願いだから、もうやめて!!!!」
ダイヤ「お願いですわ……争っているところなんて、見たくない」
ダイヤ「きっとわたくしが知らない色々な事情があるのだと思います。でもだからと言って……こんなことは」
果南「……」
千歌「うぅ……ぅ」
鞠莉「行きましょ、果南」
果南「ま、まって千歌」
鞠莉「――フられたのよ、あなたはっ」
果南「っっ」
ダイヤ「待ちなさい鞠莉っ!!」 鞠莉「みんながみんなこんな感情的になってるんだから話し合いなんて無理、だからまた今度」
鞠莉「じゃあね、みんな。ほら、立って果南」
果南「や……やだっ……ぅ、ぅ」
バタンッ
千歌「……」
曜「千歌ちゃん……」
梨子「……」
梨子「あの、私たちも帰って、いいですか? こんな状態では」
ダイヤ「梨子さんには色々と聞きたいことがあります、曜さんは千歌さんを連れて今日は帰りなさい」
曜「うん……」
ダイヤ「……」 ◇――――◇
次の日
ダイヤ「来ませんわね、みんな」
善子「そう、ね」
花丸「……昨日のこと、本当にあったことなのかな」
花丸「なんか……悪い夢みたいで」
ルビィ「……ねえ、どうなっちゃうの私たち」
善子「みんな。あ、あんなに仲良くしてたじゃない。合宿もして、色々遊んで」
善子「それなのに、なんで……なんであんな」
善子「なによ、恋愛とか。……良いものじゃないの? 幸せなものじゃ、ないの?」
善子「なんで……」
ダイヤ「……」
わたくし達の知らないところで、もつれにもつれてしまっていた恋愛事情が、たまたま昨日爆発してしまったということ。本来ならば善子さんの言う通り、幸せなものなのでしょう。
でもそれは、大自然のように気まぐれで……些細なことで牙を剥く。恋愛は幸せなのでしょう。そう、幸せだから。ああなった。
今日、一年生とわたくし以外は練習を欠席して、随分と席に空白が目立っていました。 寝たいのに寝れないじゃないか....
...ようちかあるのか..? 曜ちゃんの役割は果南と喧嘩することで千歌に罪悪感をもたせること?あるいは曜が千歌とくっついてもよかったってことなのか
しかし鞠莉がAqoursの2年組の性格把握しすぎてて怖い 続きがめっちゃ気になるけど千歌推しとしてはかなり辛い 一年生のみんなは、何も知らない。
昨日。いつもの通り練習へ来ていつものように雑談をしていて、いつものように、なんの前触れもなく崩壊してしまった。
いえ、なんの前触れもなく、というのは間違っているでしょう。正確に言えば、わたくしも一年生もそれに気がつけなかっただけ。気がつく人が聞いたら警報を知らせるサイレンがけたたましく鳴っていたのかもしれません、
おそらく気がつくべき前触れはいくつもあって、助け出せる前触れはいくつもあって。
そして、それに介入していけるのは果南さん達の過去の事情を知っていた、わたくしだけだったはず。
一年生達の目は、救いを求めています。
このどうしようもなくなってしまった現状を救って欲しい、と。ただ、わたくしにはそのような力は無いのだと痛感せざるを得ません。
鞠莉さんがいつか言った――ダイヤには分からないよ、という言葉が頭で何度も繰り返し、偏頭痛を引き起こしていました。
例えば、わたくしが恋愛に対してもっと積極的で、個人の問題であると漠然と捉えていなかったら結果は変わっていた?
……わたくしは、逃げていたのね。
恋愛など自分には関係ないと、経験してもいないくせに決めつけて。 わかる
目を背けたくなるぐらいの雰囲気なのに更新を押す手が止まらないぜ 恋愛関係が最終的にどう収まるかは分からんがどこがくっつこうとくっつくまいと
この世界線のスクールアイドルグループとしてのAqoursはもう終わりだよね 果南さんの両方を想って八方塞がりになってしまう気持ちも、鞠莉さんが果南さんをなんとしても手に入れようと裏で色々動いていたことも知ろうと思えば、出来たはずなの。なんのためにわたくしはあの子達の友達で。
自己を確立する途中といわれる中学生の時に強く深く繋がった心は、もうそれ無しじゃ生きていけないほどになっていたということなのでしょうね。
片割れを失った心は泣き叫び喚き散らし、いつまでだって、再びそれと巡り会うまで止むことはなかったのでしょう。その叫びに気がつけなかったのも、わたくし。
ダイヤ「っ」
唇を噛みしめれば滲んでくる鉄の味。
わたくしは今になっても、あの子達の真の心がわからない。推測でしか、ない。梨子さんに事の顛末を聞いてまでもわからなかったのです。 その人の一番を望んで、常にそれを望み続けて、最後はその人を想い全部を終わらせる覚悟をした人。
優しすぎたが故に自分の気持ちの上に、想いをいくつも積み重ねて受け止めた人。
その人が自分の大きな居場所であり、そこにいられたら、その視線を向けてくれるならと、二番でも良いと、微笑む人。
膨れ上がる自分の気持ちと、状況が反発しあって、自分がわからなくなってしまった人。
自分だけを信じて、全てを捨てる覚悟で信念を貫いた人。
何が彼女達をそうさせたのでしょうか、と思考を巡らせて見てもいくつかの仮説が出て来ては消えていくだけ。その中でわたくしが一番可能性が高いのではないかと思ったのは。
恋愛はもはや薬物と一緒なのだと、言うこと。
人は幸せには耐えられないと誰かは言っていたけれど、そういうこと。
わたくしも誰かに想いを馳せ恋い焦がれた視線を送った先に、同じような視線がぶつかったなら、この上ない多幸感に包まれるのでしょうか。
仮にそれを失いそうになったら、わたくしは一体どんな行動を取るのか、想像もしたくない。
あれほど仲の良かったはずの人たちが一瞬の間に変貌して、信じられない行動をする。
それを理論で語るなど、意味を持たないのでしょう。整合性なんて、存在していない。
ああ、やっぱり恋愛なんて、わたくしは一生したくない。 善子「ね……ねえ、戻れると思う?」
善子さんが、どこへともなく小さくつぶやきました。それに答えられる人はここにはいません。
でも。
善子「みんな戻ってくる、わよね?」
ダイヤ「ええ、きっと。なんとか、してみせます」
まだ何も終わっていない。
果南さん達だっておそらく正確にはまだ別れていないし、もう一度真剣に話し合ってもらって、それで。
またみんなで笑い合える可能性を信じて、いつになくだだっ広く感じる部室に目を向けます。壁に掛けてあるカレンダーは、夏休みの最終日を示していました。
――ああ、夏が終わる。
どこか空っぽになったような虚しさの中心で、夏の終わりを感じます。夏休み中に撮った皆での写真を眺める。一寸先の暗がりよりも過去に想いを向けることしか出来ませんでした。 なんか終わりそうな空気...
ダイヤさんお願いしますよぉ ◇――――◇
1ヶ月後
千歌「えへへ、楽しかったねっ」
曜「うん」
曜「ね」
梨子「そうだね」
沼津駅からのバスに乗り込んで、一番後ろの特等席で私たちは笑っていた。
あの出来事から、ちょうど1ヶ月くらいが経っていて日が沈み始めるとひんやりとした空気が肌を撫で始める。
――結果として千歌ちゃんと果南さんは、別れてしまったらしい。
あの出来事の二日後のことだった。最後に二人で話し合って、決めたんだって。正確なことは誰も聞かなかった。もういいのって、有無を言わさず悲しく笑う千歌ちゃんを見たらそんなこと、言えるはずもなかった。 その夜、私の家で曜ちゃんは泣いていた。
自分が怒りで我を忘れて怒鳴り散らしたから。果南さんともっと冷静に話し合いをしていれば、自分があんな余計なことしなければ千歌ちゃんはまだ幸せに笑っていたかもしれないって。
自分では千歌ちゃんを笑わせてあげられないんだって。
千歌ちゃんには果南さんじゃないと、ダメなんだって。
それを奪ってしまったことに、曜ちゃんはそのまま死んじゃいそうなくらい酷い顔をしていた。それと同時に、私に、ごめんって。
なんのごめんかは、聞かなかった。
曜ちゃんは、千歌ちゃんの居場所を作ってあげたかったんだと思う。私と曜ちゃんが付き合ったことで遠慮するなんてことが嫌だったんだ。今まで千歌ちゃんには果南さんが居たけれど、今はそうじゃない。
――好きな人の為に自分が出来ることをしたいっていうのは、当然だと、思う。曜ちゃんは、誰よりも優しいから。 千歌「このおまんじゅう美味しいかな、うちのより美味しいかなあ」
千歌ちゃんは熱海で買ったお土産を眺めて、無邪気に笑う。
千歌「誘ってくれてありがとね」
笑みの中にどこか陰が落ちる。
曜「当然だよー」
千歌ちゃんは、曜ちゃんの気持ちについて追求してくることはなかった。あの日、私よりも千歌ちゃんのことが……という言葉を聞いていながらも。
――私はまだ、曜ちゃんと付き合っている。恋人として、続いている。
遊ぶ時は3人が多いけれど、私はそれでもいいの。曜ちゃんの罪悪感はそうでもしていないと消えないし、多分……そうしていても消えないけれど、何かが起こらない限り私たちは私達3人の関係はこのままが一番なんだ。
曜「じゃあ私はここで!」
梨子「ばいばい」
千歌「また明日ー!」 千歌「んー……」
千歌「ねえねえ梨子ちゃん」
梨子「なあに?」
千歌「――曜ちゃんは……優しいね」
梨子「っ」
梨子「……そうだね」
千歌「うん」
千歌「曜ちゃんのこと、好き?」
梨子「……」コク…
千歌「そっか。私もね、二人が話してるの見るの、好きなんだ!」
千歌「だからこれからも……仲良くいてねっ」
梨子「……」
千歌「よしっ、ついたぁ!」
千歌「じゃあ梨子ちゃん、また明日っ」ニシシ
梨子「うん、またね」
その背中をしっかりと見送って、私は部屋に戻る。
そしてあらかじめ用意してあったお泊まりセットを持って、しばらく時間を潰してバス停に。
千歌ちゃんにバレないように、行き先は沼津方面。 鞠莉からはこういうめんどくさい女オーラ感じたからかなまりってどうにも好きになれなかったのかな。たかがSSだけど前より一層かなまり苦手になっちまったや ◇――――◇
曜「ごめん」
一体、なんのごめんなんだろう。
3人で遊んだこと? デートあんまり出来てないこと?
梨子「ううん」
なんでもいいけれど、私は気にしてないよ。
こうやって曜ちゃんの部屋で優しく抱きとめられて、キスをして、それだけで私は。
曜「んっ……」
曜「好きだよ」
ここは二人だけの空間。
曜ちゃんはいつの日からか、あんなに貼ってあった千歌ちゃんとの写真を全て剥がしていた。代わりに、私との写真を貼って、私との楽園をここに作ってくれた。
ここは私が優しさにつけ込んで出来た夢の世界。それが紛い物だとか本物だとか、そんなのはどうでも良い。
きっと覚めない夢の中で、私は彼女の腕に身を委ねる。
梨子「曜ちゃん」
ああ、曜ちゃん。
私はどんな曜ちゃんも好き。優しくて、優しくて、優しくて……そんな曜ちゃんのことが。
梨子「私も好きだよ」 ◇――――◇
善子「んー……涼しくなってきたわねー」
ルビィ「うん」
花丸「もう秋になるねー」
防波堤に座り込む私達の髪の毛を揺らめかせる海風は、随分と冷たくなっていた。
さっき3人で買いに行ったアイスは、手元で溶け始めている。慌てて口に含むとチョコレートの香りが冷たさとが一緒に口の中に広がる。
練習帰り、バス停を途中で降りての申し訳程度の寄り道。私達にとっては精一杯の、寄り道。こんな片田舎じゃコンビニすら遠くにあるから、普通じゃ寄らないんだけど。
花丸「中間テスト始まるずら」
善子「ねえ言わないでよ」
ルビィ「言わないと赤点になっちゃうよ……」
私達は、3人でいることがとにかく多くなった。前も、あったけれどそれとは違う。
――多分、Aqoursが無くなったから。 いや、無くなったっていうのはただの例え。正確には、私が心地良いって感じていたAqoursが無くなったって言えば正確かもしれない。
あの日以来、果南さんと鞠莉さんは部室に姿を現さなくなっていた。学校に来ていないかと言われればそうではない。朝、時間が合った時は靡く金髪の横に藍色のポニーテールが揺れているのを見かける。
二人は付き合っているのかな、なんて疑問に答えられる人は誰もいない。あんな様を見せられて二年生達に聞くことなんて出来ないし、ダイヤさんに聞いてみてもわからないとしか言ってくれない。多分その答えは、ダイヤさんが今持っている全てなんだろうけど。
誰も彼も、二人についての話はしなくなっていた。まるで、存在ごと消えてしまったみたいに。
……色んなことが裏で起こっていたんだってリリーに聞いたけれど、どれもこれも現実感がないことばかり。
付き合ってたとか付き合ってないだとか、誰が好きで誰が好きじゃないかとか、そんなの、どうだってよかった。 千歌さんはあれ以来、なんだか色々と曇っている気がするし、曜さんはそればかり過剰に気にかけているし、リリーはそれを見てなんだか、悲しく笑う。
いつもいつも、三人一緒。
ひとたび触れてしまえば、ある場所から欠けてきっとそのまま全部壊れてしまう。精密に積み上げられたガラス細工のよう。
恋愛なんていう劇薬のせいで人は簡単におかしくなる。その感覚、私にはわからない。
知りたくもない。
仲が良かった人同士で潰し合って、何がしたかったの。そんなに、手に入れたいものなの?
マリーが最後に一人で見せた笑みが脳裏にべったりと張り付いていて、時々思い出しては背筋が震える。 あんなことがあった部室にも、人は集まる。でも、前とは明らかに雰囲気が違うし聞こえる笑い声もどこか乾いている。
善子「ねえ……」
花丸「チョコレートついてる」
善子「なっ、うるさいっ」ゴシッ
ルビィ「ふふっ」
花丸「そうだ、中間テストのお勉強も兼ねて誰かのお家に行かない?」
善子「じゃー二人のどっちか、広いし」
花丸「んー……確かに善子ちゃんの家だとゲームしちゃうし」
善子「というか勉強よりもゲームしない?」
ルビィ「そ、それは……」
善子「いいじゃない減るもんじゃないんだし!」
花丸「時間が減るずら……」
善子「いいのっ!」
大切な時間を使うには、十分すぎる価値だって私は思ってるから。
善子「さあ今から私の家に来てっ、大丈夫でしょ?」 ルビィ「今から!? ぅ、大丈夫かな」
花丸「うぅ」
善子「さ、ほら立ちなさいっ」
善子「あ」
ぐっと立ち上がった勢いで残っていたアイスクリームが棒から下に落ちる。アイスはもう、ドロドロに溶けてしまっていた。
花丸「早く食べないからだよ」
善子「……そうね」
変わらないものなんてない。分かってるけど。
このドロドロに溶けたアイスクリームみたいに、私達の関係もだんだん変わっていくのだとしたら。
それでも私達はアイスじゃないし、放っておいたらぐしゅぐしゅに溶けていく運命が決まってるわけじゃない。
だから、きっと何があったって私は。
善子「一緒にいてよね……」
見上げれば夕焼け空をジョット機が切り裂き、飛行機雲が後を追っている。どこかノスタルジックになりながら小さく呟いた言葉。波の音にかき消されながら大きな空に吸い込まれて、きっと二人には、聞こえていない。
防波堤から飛び降りて振り返ると、二人は微笑んでいる。
その手を取って駆け出せば、運命なんて言葉すら置いていける気がした。
おわり >>246
詳細よこすのだ
ここじゃなくてこの板のssスレでもいいから >>73
ダイヤのセリフ「中学校を休むのは当たり前」→「高校を休むのは当たり前」です いやー久しぶりにいいssが読めたわありがとう
そして何よりスレが荒らされなかったのが奇跡だわ ラストの語り(特にダイヤさん)が完全にBADエンド後のエピローグで涙が出ますわ
終始ドロドロムードなのに最後まで読みたくなるSSだった おつ
部分が全体よりも価値を持つことを愛と呼ぶんだろうなあ 最高
お腹痛くなるけどそれが心地良くて嫌で嫌で嫌でそれでも大好き
こんな話がずっとずっと読みたかった いやーキッツい話やった乙
千歌もだけどようりこ可哀相すぎる.... こういうドロドロ系って大抵当事者のメンバー達よりも
今回で言えばダイヤと一年生みたいな部外者的立場のメンバーが可哀想に感じる おつ
鞠莉と果南が出来るだけ苦しんで消えるように祈るわ くじょしていいって あれがないし せいとうぼうえい ってここだとならないし つっかかってきたほうがひがいしゃぶるしけーさつもかたんするしごくぶりえりあは
ほんとの正当防衛 って あればなー ないから くじょれないってか 56せないな あーあ いったい ただから ないな あと ごまかして どうせいどうしで ぼうりょくとか
なぐっとけばよかたtかな
ぱってきれるってあたまがなかたtな じょうきょうでああああああああああああああ
だまされやすいっていうか ばかなんだな つまんね
したらばのどうしようもないゴミよりはマシかもね こんじょうやきのときもぜ^んぶいろいろ きがいをくわえられたら てもいいって いんぷっとされてなから
ふざけてのえんちょうのけるくらいかな ちゅうがくねんくらいであったかな どうせいにないな
うんどうしててぶつかってそれいらい つっかかてくるのやめたのかなあのこ あのこはしつこかったな
たまに かかわろうとして ずるいんだよな いまだったらなー あーあ かんけいせいがあれなら
たらればだな
ずるいよなー てんいんみかたにつけてさ ゆかいはんのみせとか
けーさつみかたにつけてげきやすてんとか ずるいなーーーーーー
おおぜいで かわるがわる つかっかってきて
ばいくつーかー
ばかなんdんあー こいつお話作るのが好きなだけでラブライブのキャラは道具としか思ってないな 鞠莉に一切制裁ないのがね
あれだけやったのに結局果南とは続かなかったくらいのオチは欲しい 果南は完全に壊れたのかと思ったけど最後に話し合う余裕はあったんだな めっちゃ面白かった
こういうリアリティある感じはssならではよね
読んでてモヤモヤするのにまだ読んでいたいって思う矛盾
それだけ惹きつける文章を書けるってすげえな 愛している人と結ばれる=永遠の幸せ、結ばれない=永遠の不幸と極端な仮定をしたとき
鞠莉は永遠の幸せを得るための手段をもっていた。鞠莉に向かって
「人に迷惑をかけないように我慢して、たった一度の人生のこれから数十年の幸せを捨て、不幸になりなさい」と言えるかどうか
もちろん最初の極端な仮定が間違いなのだけれど、恋愛の最中にいる人間は無意識のうちに似たような仮定をしているんじゃないか
現実には大抵の場合、時間とともに誤った仮定から脱却できるというだけで つまんねもんじゃが文句言うのは良作であることの証なんだよなぁ エゴのない恋愛物語なんか面白くない
かと言ってエゴにまみれてただドロドロしただけのエンディングを見せつけられても、すっきりしない
このSSの面白いところは、マリーの策謀と交錯しすぎたメンバーたちの想いをどう着地させるのかというハラハラ感。読者の多くがエンディングに期待を寄せて読んでたと思う
まあその期待は裏切られた訳だが 個人的にだけどこういう話で1番嫌いなのが誰か特定のキャラだけが幸せになる展開
結果全員不幸になりましたってのが1番好き
この後かなまりが幸せになるとは思えないしいい終わり方なんではないかと
まぁ安易かもしれないけど果南が病むか自殺でもすればより良かった せめてダイヤにかなまり(特に鞠莉)に厳しいこと言ってほしかったな
こんなやり方で幸せになれるわけが無い、失望したとか >>353
全員と言うなら、いつまでも3人一緒にいたいと願う善子に対して、ルビまるが恋愛感情を抱いてる風な描写があるとこの話はなお不気味な終わり方したかもな。善子はそれに目を背ける感じで
ダイヤさんはダイヤさんで、今度は実の妹が当事者になるわけだし 正直その後のかなまりの描写を最小限にしたのは想像の余地より逃げを感じる したらばから来て一気に読んでしまった
恋愛でこじれるSSは途中でエタることが多いけど、しっかり終わらせてくれたし良かったよ 1か月たっても少なくとも破綻はしてないわけでそれ以上の描写もないから鞠莉の勝ち逃げみたいなもんじゃん
特定のキャラだけが幸せになる展開みたいなもんでしょ
Aqours崩壊してもこの世界の鞠莉は支援の動機からしてあれだからノーダメだし 久々のドロドロ名作
でももう少し続きが見てえなあ! 面白かったけど
アスペぼく、鞠莉がようりこをくっつけた理由がわからない なかなか面白かったけどダイヤさんがマリーに一発ビンタかますくらいしてほしかったっていう個人的な感想です 堪らなく良かった
鞠莉のこういうの見たかった
似合ってるのに全然ないからなぁ アクアのSS普段見ないんだけどタイトルに釣られて良かったわ
愛憎劇は見る分には良いものだ 今までのssで1番引き込まれた
やっぱり>>1は女性?こんなに微妙な心情を巧みに書けるのすげぇわ
個人的に善子がめっちゃいい役割してんなぁと思う ハッピーエンド期待して読んでたけど誰一人幸せになれない清々しい程のバッドエンドだったな
それでもおもしろかった あと鞠莉が千歌を責め立てるシーンの言葉選びのセンスが文学的でスゲェと思った 盛り上がりのピークに対してオチが弱すぎて肩透かしなんだよな
自分を邪魔者だと感じて千歌が自殺、罪悪感から果南も後追い、鞠理は病んで廃人化
曜は梨子に千歌の影を探して依存し、梨子はそれにそこはかとない幸福感を覚えてしまう
ぐらい欲しかった 乙
久々に引き込まれるSSだった
最後らへんが若干物足りなかったけどそれもあえて書かないっていう手法なのかな
一年生組には幸せになって欲しいけど叶わないのかな… あえて最後をなぁなぁにするのも救いようがなくて好き 最後の投げ方よ
やっぱどろどろ系は着地がむずかしいわな 若干尻すぼみ感あるのは分かるけど締めって難しいし仕方なくね?
全体的に凄く面白かったし良かったわおつおつ
>>365
散々フタナリss書いてるこのおにぎりが女性なわけないやろ… やっぱりちかなんってクソだわな
ようちか、かなまりをぶち壊す
幸いアニメでは千歌は果南に興味ない感じで良かった良かった なんかやたらと持ち上げてる賞賛レスあるけど、なんでだろ
そんな風には思えんわ こういうSS読んでしまうと本編アニメもそういう目で見てしまう・・・イカンイカン >>360
千歌に曜という逃げ道を無くすためじゃないのか
梨子が曜に告白すれば曜は断れず別れることもないのを分かってたみたいだし
あとは曜が果南を叩く正当性もなくなるしね こいつ生やしたりもしてるのか
やっぱり元キャラよりss重視なのね もともとこのおにぎりは
善子に生やして竿役にしたよしりこSS書きまくってた奴だし
まあ文章力はあるが 最後に千歌が自殺して
曜が後追い自殺するみたいな結末期待してたんだけどなぁ まぁ持ち上げられるだけの理由はあると思うよ
実際読んでる間は面白かったしね。おかげで寝不足
ただ、お互いの関係に決着をつけないまま着地せず墜落して物語だけが終わっちゃったから読後感がすっきりしない
とても惜しいSSだと思う ラストに賛否両論あるみたいだけど、今回のもやっとした終わり方はいやにリアリティーがあって良いと思ったよ 面白かったけど何かあんまりサンシャイン詳しくないのか?
口調とか怪しかった気がする やっぱり埋め茸面白いSS発見器の才能あるな
見事に今狙われてないSSって他のレスも一切ない微妙なSSばっかだし 生えてる作品はストーリーや官能度重視だとしても卓球はめっちゃキャラ愛感じただろ
そもそも好きじゃないキャラでそれなりの分量ある愛憎劇なんて書こうと思わんだろうし
>>388
ダイヤの口調はいつもG's基準なだけだよ >>383
そうやってすぐ死にもってくのは安易すぎると思うわ 一部の連中が持ち上げててって、文句付けてるのも一部の連中というか毎回茸が纏まって暴言吐いてるんですがそれは おつでした
切ないがこういうの結構好き
一年組に癒された >>382
初めてこの人の読んだけど、そういうのも書いてるなら気になる・・・ あんだけのことになったのに果南は壊れないのか?
上っ面だけ見れば解決したっぽく見れなくもないが 一年生組はいつまでも友達同士の平和な関係でいてほしい
乙乙 【秘法】埋め茸、埋め立てが遅い [無断転載禁止]©2ch.net
http://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1502195658/
16 名無しで叶える物語(茸)@無断転載は禁止 2017/08/08(火) 22:33:08.25 ID:lXqKpQBy
やっぱりあいつ面白いSS発見器の才能あるな
見事に今狙われてないSSって他のレスも一切ない微妙なSSばっかだし 持って生まれた性に抗いきれないのが現実だけどだからこそ二次元ではハッピーエンドになってほしかった
暴力的な衝動を乗り越えられる果南ちゃんが見たかったな
http://i.imgur.com/7Dw7lck.jpg 【自治】地震なし及び荒らしに対する議論スレ【ワッチョイあり】 Part.4 [無断転載禁止]©2ch.net
http://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1497195592/ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています