金曜ワイド劇場「三十路探偵・みもりんの事件簿M XI」一周年記念拡大SP 解決不能の連続殺人事件!絶体絶命…みもりん死す?[字][S][デ][終] [無断転載禁止]©2ch.net
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路地裏
じょる「…………」スタスタ
ぱい「あっ、南條さん! お疲れ様です」
じょる「ん、遺体は?」
ぱい「こっち!」トテトテ……
じょる「ふむ……男か」
ぱい「はい。遺体に目立った外傷はありません」
じょる「ってことは例の変死体かもしれないね」
ぱい「……やっぱり事件なのかな」
じょる「事件だとしたら、どうやって殺したんだと思う?」
ぱい「えっ? あー、うーん、えっとぉ……」
じょる「いいよ、そんな真剣に考えなくて」
ぱい「あ、はい」
じょる「これで10件目、か……」
………………
…………
…… 夜 レストラン
みも「う〜……」
うち「どうしたの? 気分悪い?」
みも「うん……ちょっと風に当たってくる」フラフラ……
うち「……ごめんみんな、私もちょっと席外すね」
レストラン前
みも「はぁ〜……」
うち「大丈夫?」
みも「ちょっと飲みすぎたかも……」
うち「これ飲みな」スッ
みも「ありがと……」ゴクッ
みも「んっ!? これお酒じゃん!」
うち「一応度数低いやつ持ってきたんだけど……」
みも「そこは普通水でしょ……」
うち「ごめん……じゃあこれ私が飲んじゃうね」
みも「え?」 うち「……ぷはぁ〜」
みも「間接キス……」ボソッ
うち「なんか言った?」
みも「ううん。なんかごめんね、せっかく久しぶりにみんな集まったのに」
うち「別に謝ることじゃないでしょ。誰も怒ったりしないよ」
みも「そだね。あはは……」
うち「お水持ってこようか?」
みも「いや、いいよ。うっちーと話してたらちょっと楽になったから」
うち「うっちーか……懐かしいなぁ、その呼び方。私はなんて呼んでたっけ?」
みも「お、覚えてないなら思い出さなくていいよ?」
うち「うーん……ウルフ? ポアロ? グレイじゃなくて……あっ、ホームズか!」
みも「やめてよその呼び方はっ!」
うち「じゃあなんて呼んだらいいの?」
みも「そりゃあみも……やっ、“探偵”でお願い」
うち「探偵って……まだ言ってたの? それ」 みも「むっ。私探偵になったもん!」
うち「えー?」
みも「本当だよ! 嘘じゃないからね!」
うち「ふーん?」
みも「すっごい名探偵なんだから! こないだ三億円事件の犯人も見つけたし!」
うち「それは絶対嘘だよね?」
みも「ぁ……気持ち悪い……うぅ」
うち「……今日はもう帰ったら? みんなには私が言っておくから」
みも「じゃあそうしよっかな……」
うち「タクシー呼ぶ?」
みも「ううん、迎えの車があるからそっち呼ぶ」ピッ
プルルルル……プルルルル……
みも「あぁ、くっすん? 今から迎えに来てくれる? 場所わかるよね? じゃ、よろしく」ピッ
みも「これでよしっと……」
うち「ね、迎えが来るまで二人でおしゃべりしない?」
………………
…………
…… みも「――でねでね、私が全力でタックルしたおかげで、その子は助かったってわけ」
うち「そっかー、すごいねー」
みも「ほんとにすごいと思ってる?」
うち「思ってる思ってる」
みも「だったらいいけど」
うち「……探偵ってさ、もう結婚してたりするの?」
みも「はぇ? あー、まあ……結婚はしてないけど、付き合ってる人はいるよ」
うち「そうなんだ……じゃあいつかはその人と?」
みも「……いや、その人とはわけあって結婚できないんだよね」
うち「へえ……まあ深くは聞かないけど」
みも「うっちーこそどうなの?」
うち「私は……今は付き合ってる人もいないよ」
みも「ふーん」
ブーン……
みも「あっ、来たみたい。行くね」
うち「待って!」
みも「ん?」
うち「よかったら今度飲みに行かない? ふたりだけで。私奢るからさ」
みも「ほんと!? 行く行く! 私はいつでも大丈夫だよ!」
うち「じゃあまた連絡するから」
みも「うんっ、楽しみにしてるね!」 車内
みも「ありがとね〜、くっすん」
くす「これくらいお安い御用だよ。同窓会はもう終わったの?」
みも「ううん、私ちょっと具合悪くなっちゃってさぁ」
くす「え……車の中で吐かないでよ?」
みも「大丈夫大丈夫、少しは楽になってきたから」
くす「そう。さっき一緒にいたのって誰?」
みも「……中学の時一番仲良かった子」
くす「へー。でも想像できないなぁ、探偵の子供の頃って」
みも「別に普通だったよ? 超可愛いってことを除けばね〜」
くす「可愛いからっていろんな女の子にちょっかい出してたんじゃないの〜?」
みも「くっすんはさぁ、私をなんだと思ってるのかな?」
くす「え、それ聞いちゃう? いいの? 言っちゃって」
みも「命が惜しくなければ言ってみぃ?」
くす「……んじゃやめとく」 みも宅
みも「たっだいまー! 南條さ〜ん!」
じょる「おぉ、おかえりみもちゃ――」
みも「ただいまのハグ〜うへへ」ギュウ
じょる「酒くさっ……この帰って来たヨッパライめ」
みも「やだなぁ、私酔ってないですよ?」
じょる「どこがだ」
みも「でもなんか眠くなってきたかも……」
じょる「ならベッド行こうね。歩ける?」
みも「無理です。おんぶしてください」
じょる「子供じゃないんだから……言っとくけど、持ち上げるのは無理だからね」
みも「わかってますよぉ。じゃあ背中失礼しま〜す」
じょる「まったく……」
みも「ねね、南條さん。どうですか?」
じょる「どうってなにが?」
みも「あててんですよ」
じょる「……ノーコメントで」 寝室
じょる「ほら、ついたよ」
みも「ふぃ〜」ドサッ
じょる「じゃ、おやすみ」
みも「ああ、待ってくださいよ!」
じょる「なに?」
みも「私が眠るまでそばにいてください」
じょる「はぁ……今日のみもちゃんはやけに甘えん坊だな」
みも「ダメ、ですか?」
じょる「ダメじゃないけどさ……」
みも「えへへ」
じょる「……ねぇ、みもちゃん。ちょっと聞いてほしい話が――」
みも「ぐー……」
じょる「寝るなよっ!」
みも「なんじょーさぁん……むにゃ……」
じょる「……可愛い寝顔だなぁ。おやすみ、みもちゃん」 翌日 警察署
じょる「…………」カタカタ……
ぱい「なーにしてるんですか?」
じょる「例の変死体のリスト作ってんの」カタカタ……
ぱい「えっ、もしかして事件として捜査するってことですか?」
じょる「いや、そうじゃない」
ぱい「じゃあなんのために?」
じょる「うーん……個人的に調べるため」
ぱい「個人的って、ただでさえ忙しいのに……」
じょる「まあ無理しない程度にやるだけだから」
ぱい「そうですか?」
じょる「そうですよー……」カタカタ……
ぱい「その……私にできることがあったらなんでも言ってください!」
じょる「ん、わかった。ただし手伝ってもその分の給与は出ないから、そこんとこよろしくね」
ぱい「はーい!」
じょる「ええと、次は……」カタカタ…… 夜 みも宅
じょる「ねえみもちゃん、事件調べたくない?」
みも「調べたいです!」
じょる「即答だな……」
みも「どんな事件なんですか?」
じょる「前に妙な変死体が発見されたって話したの覚えてる?」
みも「あー……」
じょる「覚えてないか」
みも「すみません……」
じょる「その変死体なんだけど、似たような死体があれからいくつも見つかっててね」
みも「それってどんな死体なんですか?」
じょる「共通点は4つある。まず1つ目は全て男の死体だってこと。2つ目は死体に目立った外傷がないってこと」
じょる「そして3つ目はどの死体も人通りの少ない場所で発見されてるってこと」
みも「……4つ目は?」
じょる「これが最大の共通点と言えるんだけどね……死体の脳が溶けたみたいに変形してるんだよ」
みも「脳が、ですか……?」
じょる「うん。写真見る?」ゴソゴソ みも「みみ見ないです見ないです!」
じょる「冗談だよ、写真なんて持ってきてないから」
みも「そういう冗談は心臓に悪いからやめてください……」
じょる「ごめんごめん」
みも「……でも、それって本当に事件なんですか?」
じょる「ん?」
みも「話を聞く限りだとただの病死の可能性もあるんじゃ……」
じょる「みもちゃん……成長したねぇ」
みも「えっ?」
じょる「だってさぁ、前はなんでもすぐ事件にしたがってたでしょ?」
みも「ま、まあ? 私は優秀ですからね。いろいろ成長しますよ、胸とかも!」
じょる「いや、そこは全然変わってないけど。白樺リゾート胸が平らホテルって感じ?」
みも「むっ、南條さんのほうが小さいくせに……」
じょる「あ?」
みも「こほん……にしても珍しいですね、南條さんから事件持ってくるなんて」
じょる「これは事件化されてないからね。じゃなきゃみもちゃんには教えられないよ」 みも「つまり警察はこの件について捜査はしないってことですか?」
じょる「そういうこと」
みも「なるほど……頼れるのは名探偵みもりんだけってことですね!」
じょる「……あ、うん」
みも「死体の共通点ってのは、本当に4つだけなんですか?」
じょる「今ある情報だとそれだけだね。名前も年齢も学歴も職業もバラバラだし……」
みも「殺害方法はなんなんでしょう……外傷をつけずに脳だけを溶かす方法なんてあるのかな」
じょる「さあ……どうだろ?」
みも「これは専門家に話を聞いてみる必要がありそうですね……」
じょる「あ、そうそう。一応被害者のリストを作っておいたから渡しとくね」スッ
みも「ありがとうございます。ふむ……確かにこれといった共通点はなさそうですねー」
みも「ただなんというか……みんな性格悪そうな顔してますね!」
じょる「あのねぇ……」
みも「よーし、絶対犯人捕まえるぞー!」
じょる「でも気をつけてよ? これが本当に事件なら殺人なんだからね?」 みも「やだなぁ、私はそう簡単に死んだりしませんよっ」
じょる「だといいけど……」
みも「万が一そうなっても南條さんがキスしてくれればたぶん生き返りますから!」
じょる「あぁそう……ところでみもちゃんや」
みも「はい?」
じょる「私があげた指輪どうした?」
みも「ちゃんとしまってありますよ。なくしたら大変ですから」
じょる「うーん、できればつけてほしいなー……なんて」
みも「それはまずいですよ。もしくっすんに気付かれたらなんて言い訳すればいいか……」
じょる「気付かれろよ言い訳すんなよ……」ボソッ
みも「ん? なんですか?」
じょる「なんでもない」
みも「あっ、そうだ。南條さんにお願いがあるんですけど」
じょる「なに?」
みも「被害者の所持品の写真とかがあれば私にも見せてもらえませんか?」
じょる「わかった。明日持ってくるよ」
みも「よろしくお願いします」 翌日 雑居ビル
みも「『脳トロ研究所』……ほんとにここで大丈夫なの?」
くす「さあ? 会ってくれるって言ってくれたのはここだけなんだよ」
みも「うむぅ……不安しかないけどしょうがないか」
コンコン
しか『どうぞー』
ガチャッ
みも「こんにちは〜……」
しか「いらっしゃい。まま、座って」
みも「その、脳を溶かす方法について研究してるっていうのは本当なの?」
しか「ほんとほんと。あ、私はこの研究所の所長のシカコね。シカちゃんって呼んでいいから」
みも「じゃあ……シカちゃん。単刀直入に聞くけど、傷をつけずに脳だけを溶かす方法ってある?」
しか「あるよ」
くす「ほんと!?」
しか「試してみる?」
みも「それ試したら死ぬんじゃ……」
くす「やってやって!」
しか「オッケー」
みも「えっ、ちょ……」
しか「まず目を閉じて、リラックスして……はい、深呼吸」
くす「ふー……」 しか「んじゃいくよー」スッ
しか「…………」ゴニョゴニョ
くす「――っ!」
みも「く、くっすん? 大丈夫……?」
くす「これは……脳がとろける〜……」
みも「なにしたの!?」
しか「だから脳をとろかしたんだってば」
みも「どうやって!? ていうかほんとにくっすんの脳はとろけるチキンになっちゃったの!?」
しか「いや、ほんとに脳が溶けたわけじゃなくて……」
………………
…………
……
みも「つまり物理的に脳を溶かすことは不可能ってこと?」
しか「私もいろいろ調べたんだけど、たぶん無理だね」
みも「そっか……」
くす「でもさっきのすごかったよ。ほんとに脳みそ溶けちゃうかと思ったもん」
しか「でしょでしょ?」
みも「なんか危ないクスリみたい」
しか「ただの声なんだから合法だよ」
みも「ふーん。んじゃそろそろ私たち帰るね、今日はありがと」 夜 みも宅
じょる「はい、頼まれてた写真」
みも「お、ありがとうございまーす」
じょる「みもちゃんの期待に添えるものがあるといいけど……」
みも「うーん……特に変わったものはなさそうですね」
じょる「そうなんだよねぇ……」
みも「ん? これってなにかの暗号かな?」
じょる「ああ……それはただのメモだよ」
みも「メモ? 何語ですか?」
じょる「日本語」
みも「えっ!? この世のものとは思えないほど字が汚いですね……」
じょる「解読班も苦労してたよ……」
みも「解読班? 警察ってそんな人もいるんだ……」
じょる「まあね」
みも「ちなみにこれなんて書いてあるんですか?」
じょる「それはね……あった。このレシートと同じ内容で、たぶん買い物のメモだね」
みも「なーんだ、つまんないの」 じょる「残りの写真も大したものはないけど見ておく?」
みも「いえ、あとは暇な時にでもチェックします」
じょる「わかった」
みも「ところで南條さん。“熱中症”ってゆっくり言ってみてください」
じょる「未だかつてないほど唐突だな……なに企んでる?」
みも「なにも企んでないですよ? いいから言ってください」
じょる「はいはい……」
みも「ではどうぞ!」
じょる「ぬぅうぇえっちゅうぅしゅをおぉおぉうぅ……」
みも「違ーうっ!」
じょる「えぇ? ちゃんとゆっくり言ったじゃん」
みも「そうじゃなくって!」
ピリリリリ……ピリリリリ……
みも「もう! こんな時に誰!?」スッ
みも「あっ……」
じょる「どした?」
みも「すみません、ちょっと向こうで話してきます……」トテトテ…… ピッ
みも「も、もしもし?」
うち『こんばんは、探偵』
みも「どうしたの? いきなり電話なんて……」
うち『この間ふたりで飲みに行こうって話したでしょ?』
みも「……あ、そっか。連絡するって言ってたもんね」
うち『でさ、それのことなんだけど金曜日の夜とかどうかな?』
みも「わかった。金曜ね、オッケー」
うち『お店の場所はメールで送っておくから』
みも「うん。じゃあ……またね」
うち『ん、またね』
ツーツーツー……
みも「ふー……」
じょる「金曜になにかあるの?」
みも「ひゃぉあっ!! な、南條さん!?」
じょる「今の電話って誰から?」
みも「え? 電話? なんのことですか?」
じょる「とぼけ方が雑すぎるだろ! まさかとは思うけど、浮気とかしてないよね……?」 みも「してませんしてません! 今の電話はぁ、その……中学の同級生で!」
じょる「ふーん……同級生ねぇ……」
みも「ちょっと飲みに行くだけで、全然そういうんじゃないですから!」
じょる「にしては慌てすぎじゃないの?」
みも「う……で、でもうっちーは女の子ですよ? 私のことなんかきっとなんとも思ってないですって!」
じょる「へぇ……うっちーっていうんだ、その子」
みも「あ……いや、ほんとなにもないと思いますよ? 私がレズだってことは教えてないし、付き合ってる人がいるって話もしましたし」
じょる「どうだか。彼氏持ちの女の子を女の子が寝取る漫画とかあるし……」
みも「落ち着いてください南條さん。うっちーがレズとは限らないじゃないですか!」
じょる「だったら確かめてきてよ、その手でさ」
みも「えー……南條さんって意外と嫉妬深いというか、束縛するタイプなんですね……」
じょる「別にそんなことないけど。みもちゃんがコソコソしてるからいけないんでしょ」
みも「こ、コソコソなんてしてませんよ?」
じょる「どう見てもしてるわ! 後ろめたいことがないなら堂々としてればいいのにさ」
みも「わかりましたよ! だったらうっちーの手を思いっきりにぎにぎしてレズじゃないって証明してやりますよ!」
じょる「じゃあもし本当にレズだったらどうするの?」
みも「……そうだったとしても、私は南條さんの恋人ですから」 金曜日 廃工場
じょる「まぁた変死体か……」
ぱい「今回の死体もいつもとおんなじです。脳の状態は調べないとわからないけど、たぶん溶けてます」
じょる「ん……? この男……」
ぱい「知ってる人なんですか?」
じょる「いや、知らない人だけど……すぐに指紋を照合してもらおう」
警察署
ぱい「南條さんすごい! よくわかりましたね!」
じょる「ただの勘みたいなもんだよ、ほとんど当てずっぽう」
ぱい「それでもすごいです! まさかあの死体が傷害事件の犯人だったなんて」
じょる「できれば生きてるうちに逮捕したかったけどね……」
ぱい「女の子を二人も病院送りにするようなひどい人なんて死んで当然ですよ!」
じょる「そういうことは思っても言わないの」
ぱい「あ……ごめんなさい」 夜 居酒屋
みもうち「カンパーイ!」
みもうち「…………」ゴクッゴクッ
みもうち「ぷはぁ〜!」
うち「ささ、今日は好きなだけ食べて飲んでね」
みも「そんなこと言われたら私本当に遠慮しないよー?」
うち「えー、それはちょっとどうかと思うけど」
みも「あはは、冗談だって」
うち「ほんとかなぁ……」
みも「でもあれだね、うっちーってあの頃と全然変わんないね」
うち「そう? 探偵のほうが変わってない気がするけど」
みも「なーに言ってるの、私はめちゃくちゃ変わったよ?」
うち「どの辺が?」
みも「あの頃よりさらに可愛く、そして美しくなってるでしょ?」
うち「……そこに“痛く”も付け足せば完璧じゃないかな」
みも「なにそれー、どういう意味?」
うち「わからないならわからないままのほうが幸せだと思うよ」
みも「むぅ……あ、そうだ。ねぇうっちー、ちょっと手出して」
うち「なんで?」
みも「占いしてあげる。にぎにぎ占い」
うち「そんな占い聞いたことないけど」 みも「まあまあ、とりあえずやってみようよ」
うち「うーん……じゃあ、はい」スッ
みも「どれどれ……」ニギッ
ビビッ!
みも「えっ……?」
うち「どう? なにかわかった?」
みも「あ……うん、その、やらかい手だね!」
うち「それ占いでもなんでもないよね?」
みも「だ、だからえっと……うっちーはこれから幸せいっぱいだよ! うん!」
うち「適当なこと言ってるようにしか聞こえないんだけど……」
みも「き、気のせいじゃない?」
うち「……まあいいや、飲も飲もっ」
………………
…………
……
みも「んぅ……あれ、ここどこ……?」
みも(女の子の部屋っぽいけど……ん?)
みも「引き出しが半開きだ」ガラッ
みも「なんだこれ。なにかの名簿……?」ペラッ
みも「この名前もこの名前も最近どっかで見たような……」
みも「えっとえっと、なんだったっけ……あ!」 みも「これ例の変死体のリストにあった名前とおんなじだ」
みも(でもこんなの持ってるのは私と南條さんくらいじゃ――)
ガラガラ
みも(ヤバッ、誰か来る!)バタンッ!
ガチャッ
うち「あ、探偵。起きてたんだ」
みも「う、うっちー!?」
うち「……どうしたの? そんな大声出して」
みも「いやっ、なんでも! っていうかその格好は……」
うち「あぁ、探偵が起きないから私が先にシャワー浴びたの」
みも「シャワーを……」
うち「探偵も早く浴びてきたら?」
みも「…………」
うち「おーい、聞いてる?」
みも「夜……二人きり……シャワー……はっ!」
うち「ねぇ、大丈――」
みも「ごごごめん! 私帰るっ!!」タタタッ
うち「えっ、ちょっと待ってよ!」
みも「わーっ!!」ガチャバタンッ! みも宅
ガチャッ……バタン
みも「ただいまー、南條さーん」
みも「……って、さすがにもう寝てるよね」
寝室
みも「やっぱり寝てる……」
じょる「すー……」
みも「可愛い寝顔……ごくり」
みも「ちょーっとくらい、いいよね……よしっ」
じょる「んん……」
みも「んー……」ジリジリ
じょる「なにしてる」
みも「うわあっ! 起きてたんですか!?」
じょる「みもちゃんの鼻息が荒くて目が覚めたんだよ」
みも「そ、そうですか……」 じょる「今帰ってきたとこ?」
みも「はい、すみません遅くなって」
じょる「……で、どうだったの?」
みも「へ? なにがでしょう……?」
じょる「うっちー……だっけ? レズだったの?」
みも「あ……えぇと、その、うっちーはですね……」
じょる「その反応だとレズだったみたいだね」
みも「え、ええ、まあ……」
じょる「じゃあもう一つ聞くけど、こんな時間までどこでなにしてたの?」
みも「そ、それは……」
じょる「もしかして、私には言えないようなところにいた?」
みも「う……」
ピロリン
みも「ひっ!」
じょる「……メールが届いたみたいだけど、こんな夜中に誰からだろうね」
みも「た、たぶんスパムかなんかですよ」 じょる「じゃあ確認しよっか、私と一緒に」
みも「な、南條さん……」
じょる「ほら、早くして」
みも「……はい」ピッ
じょる「噂をすればってやつかな。中身は?」
みも「今開きますから……」ピッ
じょる「どれどれ……『ちゃんとシャワー浴びてから寝るんだよ。おやすみ』だって」
みも「へ、へぇ〜……」
じょる「シャワー浴びなきゃいけないようなことでもしたの?」
みも「しししてませんよ! ほんとですよ!?」
じょる「だったらこのメールがどういう理由で送られてきたのか説明してよ」
みも「そんなこと聞かれても……」
じょる「大方酔った勢いでってとこかね。今日のみもちゃんものすごく酒臭いし」
みも「酒臭い……? 待ってください、思い出してきたかも」
じょる「なにを?」
みも「たしかうっちーとお店でお酒飲んでて……」 数時間前
みも「そんでそんで、私がタックルしたおかげで――」
うち「探偵、その話するのもう7回目だよ」
みも「そうだっけ? じゃあ別の話にしよう! これはねぇ、私がタックルで女の子を助けた話で――」
うち「はぁ……わかったから、お水飲もうね」
みも「お水? お水どこ?」フラッ
うち「今持ってきてもらうから待っ――」
ガシャンッ!
みも「わあぁ、なんか倒れた……ちべたい……」
うち「あーもう、なにやってるの!」
みも「うぅん……」
うち「うわ、お酒まみれ……しょうがない、今日はもうお開きにしよっか」
みも「えー、まだ飲めるってばぁ……」
うち「ダメダメ。うちのシャワー貸してあげるから、体洗ってから帰りな」
みも「むぅ……わかったよぉ……」
………………
…………
…… 現在
みも「――って感じで、それから居眠りしてたらこんな時間に」
じょる「ほんとかぁ……?」
みも「ほんとですよ! 嘘ついてるように見えますか?」
じょる「……ま、今回は信じてあげるか」
みも「ほっ……」
じょる「でも飲み過ぎには気をつけるんだよ?」
みも「はい……すみません、心配かけて」
みも(……でも、うっちーはどうしてあのリストを……まさか、ね)
じょる「みもちゃん? どうかした?」
みも「いえ、なんでも。じゃあシャワー浴びてきますね」
じょる「うん」
みも「私が戻ってくるまで起きて待っててくれますか?」
じょる「いや寝る。おやすみ」
みも「南條さんっ!」 翌日 路地裏
みも「死体はここに倒れてたんですね?」
じょる「そう」
みも「くっすん、ちょっとそこに横になって」
くす「えー、服汚れちゃうじゃん」
みも「あとでアイスかなんか買ってあげるから、お願い」
くす「ほんと? よーし!」ゴロン
みも「こんな感じですか?」
じょる「うーん、もうちょっとリラックスした感じ」
くす「こう?」ダラーン
じょる「ああ、うん。そんな感じ」
みも「ふむ……やらせてみたはいいけどなにも思いつきませんね」
くす「じゃあ最初からやらせないでよぉ……」
みも「ごめんごめん。ところで南條さんはこんなことしてていいんですか? 仕事は?」
じょる「一応上の許可はとってあるよ。みもちゃんたちと一緒だってことは内緒だけど」
みも「バレたら怒られますよ〜?」
じょる「ま、そん時はそん時だよ」
くす「ねぇねぇなんちゃん警部補」
じょる「どうした助手」 くす「死体がここで見つかったってことは、殺された場所もここなのかな?」
じょる「どうだろ……特に死体が運ばれたような痕跡はなかったけど」
みも「ここで殺したとすると、犯人は被害者をここまで連れてきたってことになりますよね?」
じょる「だねぇ」
みも「となると犯人は被害者の知り合いなんでしょうか?」
じょる「まあ知らない相手とこんな場所には来たくはないわな」
みも「ですよね」
くす「女の人だったら連れてこられるんじゃない?」
みも「女?」
くす「殺されたのって全員男の人なんでしょ? だったらこういう人気のない場所に来ても不思議じゃないんじゃないかな」
みも「なるほど……」
じょる「たしかにそういうことなら油断してるだろうし、殺すのは簡単だろうね」
みも「でも問題なのは犯人がどうやって被害者を殺したのかですよ」
くす「……それなんだけど、私わかったかもしれない」
みも「なになに? 言ってみ?」
くす「たぶんね、デスノ――」
みも「うん、聞くだけ無駄だね」
くす「そんな〜」 みも「そもそもそれ使うんならわざわざこんなとこ連れてくる必要ないでしょ」
くす「……あ、そっか」
みも「ここは漫画の世界じゃないんだから、もっとよく考えてから発言しようね」
くす「はーい……」
じょる「いや、案外バカにできないかもよ?」
みも「えぇ? デスノートがですか?」
じょる「ノートはさておき、犯人が能力者なら脳を溶かして殺すってことも可能でしょ?」
みも「それはそうですけど、そんなこと言い出したらもうなんでもありですからねぇ」
じょる「能力者が実在することは、みもちゃんが一番よくわかってるはずだけど」
みも「あぅ……」
じょる「それに特殊能力を使った事件は前にもあったよね?」
みも「ええ、まあ……そうだったっけ?」
じょる「なら当然その可能性も考えるべきだと思うよ」
みも「はい……」
じょる「それとも能力者が犯人だと困ることでもあるの?」
みも「そ、そういうわけじゃっ!」
くす「探偵、なんか変だよ?」
みも「変じゃないって!」
じょる「……でも今ある情報だけじゃ犯人の特定は難しそうだなぁ」
みも「…………」 みも宅
プルルルル……プルッ
うち『もしもし?』
みも「あ……うっちー? 今大丈夫?」
うち『普通に仕事中だけど』
みも「ご、ごめん……」
うち『いいよ、少しだけなら。どうしたの?』
みも「その……今夜会いたいんだ。大事な話があるの……」
うち『うーん……今日じゃなきゃダメ?』
みも「うん。できれば……」
うち『ちなみにそれって、どんな話なのかな? 楽しい話?』
みも「楽しくは、ないと思う……」
うち『そっか……わかった。待ち合わせしよっか』
みも「場所はどうする?」
うち『じゃあ……立ち入り禁止の波止場の第三倉庫で。時間は8時半くらいでどう?』
みも「8時半ね……オッケー」
うち『それじゃもう切るね』
みも「うん、お仕事頑張ってね」
うち『はーい』
ツーツーツー…… みも「……一応くっすんも呼んどくか」ピッ
プルルルル……プルルルル……プルルッ
くす『もしもーし、くっすんだよー』
みも「ねぇくっすん、今日の夜ってなにか予定ある?」
くす『夜? あー、うん。ちょっとだけ』
みも「そう……ならいいや、ごめんね急に」
くす『待って探偵、夜って具体的には何時頃?』
みも「8時半だけど……」
くす『その時間に探偵の部屋に行けばいいの?』
みも「ううん、立ち入り禁止の波止場の第三倉庫で人と会う予定なの」
くす『うーん……それなら急げば行けるかもしれない』
みも「本当? 無理しなくていいんだよ?」
くす『大丈夫。ちょっと遅れるかもしれないけど、必ず行くからそこで待っててね』
みも「くっすん……ありがとう」
くす『いいよ、お礼なんて。私は探偵の助手なんだから』
みも「……うん。じゃあ私は先に行って待ってるね」
くす『勝手に帰んないでよ?』
みも「わかってるよ、んじゃね」
くす『またねー』
ピッ
みも「……よしっ」 夜 みも宅
ガチャッ
じょる「みもちゃんただいまー……って、電気ついてないな」
じょる「おーい、みもちゃーん?」ガチャッ
じょる「……いない。まだ帰ってきてないのかな?」
波止場・第三倉庫
うち「……一人で来たんだね」
みも「ほんとは私の助手と一緒に来ようと思ったんだけど、ちょっと遅れるみたいで」
うち「そう……で、話があるんだっけ?」
みも「うん。うっちーに聞きたいことがあって……」
うち「まあ聞くだけ聞いてよ、答えられるかは別だけどね」
みも「その……この間うっちーの部屋に行ったでしょ? その時ちらっと引き出しの中を見ちゃってさ」
うち「…………」
みも「なにかの名簿みたいなものが入ってたんだけど、あれってなんなのかな?」
うち「……勝手に人の部屋を漁るのって悪趣味じゃない?」
みも「ご、ごめん……って、聞いてるんだから答えてよ!」
うち「あれは……仕事の資料だよ」 みも「なにに使う資料なの?」
うち「会社の人間じゃない探偵には教えられません」
みも「じゃあ質問を変える。あれに名前が載ってた人って、みんな変死体で発見されてるんだよ」
うち「……それで?」
みも「私は誰かがその人たちを殺したんだと思ってる」
うち「もしかして、私が殺したって言いたいの? あのリストを持ってただけで?」
みも「うっちーが犯人だなんて思いたくないけど……その変死体ってね、みんな脳が溶けた状態で発見されてるの」
みも「体に傷をつけずに脳だけを溶かす……そういう殺し方、うっちーならできるんじゃないかな?」
うち「ごめん、探偵がなに言ってるかよくわかんないよ。私にそんな殺し方ができるわけないでしょ?」
みも「できるよ……超能力を使えば」
うち「あははっ。超能力って……なに馬鹿なこと言ってるの?」
みも「私にはわかるの! うっちーが能力者だってこと……」
うち「なにそれ。それじゃまるで私より探偵のほうが能力者みたい」
みも「そうだよ……私はうっちーと同じ能力者」
うち「はぁ……ずいぶん治りの遅い中二病だね」
みも「とぼけないでっ!」
うち「っ……」 みも「うっちーは……能力者なんでしょ?」
うち「……だとしたら、私の能力はなに?」
みも「これは私の推測だけど……うっちーは声を使って脳を溶かすことができるんじゃないかな」
うち「声で脳を?」
みも「うん。耳元で囁いた相手の脳を、とろとろに溶かす能力……違う?」
うち「うーん……ハズレ」
みも「嘘っ! 絶対そうだもん!」
うち「確かに私は能力者だよ、それは認める。でも……私の能力はそんなんじゃない」
みも「ならどんな能力だって言うの?」
うち「……しょうがないなぁ、じゃあ探偵には特別に教えてあげる。耳貸して」
みも「なになに?」
うち「ふふっ……」ニヤッ
うち「あのね、私の能力はぁ……」
みも「――!!」
ドサッ!
――――――
――――
―― みも宅
ピリリリリ!
じょる「みもちゃんっ!? ……なんだ助手か」ピッ
じょる「もしもーし」
くす「うぅ、なんちゃんけーぶほ……ぐすっ」
じょる「……どうした? 泣いてるの?」
くす「探偵が……探偵がぁっ!」
じょる「えっ……?」
病院・廊下
タッタッタッ……
じょる「はあっ、はぁ……みもちゃんは!?」
くす「なんちゃん警部補……」
じょる「みもちゃんはどこ!?」ガシッ
くす「い、今検査中だって……」
じょる「無事なの!?」
くす「わかんないけど、ちゃんと息はしてるって先生が……」 じょる「本当に?」
くす「うん……ね、ねえなんちゃん警部補、肩痛いよ……」
じょる「あ……ごめん」パッ
くす「…………」
じょる「その……何があったの?」
くす「……今日は探偵と人に会う予定だったんだけど、私は用事があって一緒に行けなくて」
くす「でも場所は聞いてたから、ちょっと遅れて行ったの。そしたら……」
くす「ううっ、探偵が、倒れてて……全然、ぐすっ……動かなくって……」
じょる「わかった、もういいよ。連絡してくれてありがとうね」
くす「なんちゃん警部補っ」ギュッ
じょる「大丈夫、大丈夫だから……きっとすぐにけろっとした顔で目を覚ますよ」
くす「ほんと……?」
じょる「うん。だってあのみもちゃんだよ? あの子は、こんなところで終わったりしない」
くす「そう、だよね……」
………………
…………
…… 病室
みも「喉渇いた。くっすんお茶買ってきて」
くす「え? 先生の許可はとったの?」
みも「ううん。でもこんなに元気なんだから平気でしょ。早く早く!」
くす「わ、わかった」
じょる「こう言ってるけど一応確認はしておいてね」
くす「うん。じゃあ行ってくるね」
みも「行ってらー」
じょる「にしてもここまでピンピンしてるとさっきまでの心配はなんだったのか……」
じょる「ま、とにかく無事に目が覚めてよかったよ」
みも「はあ、どうも……」
じょる「何日か入院するみたいだし、明日下着とか持ってくるから」
みも「だだ、大丈夫です!」
じょる「いや、替えなきゃ汚いでしょ……」
みも「そういうのはくっすんに頼みますから」
じょる「なんで?」
みも「なんでって……」 くす「探偵ー、買ってきたよー」
みも「おー、早いね。ありがと」
くす「どういたしまして」
みも「ねぇ、ちょっと聞いていい?」
くす「なに?」
みも「この人誰?」
じょる「え?」
くす「えっと……この人って?」
みも「だからこの人だってば、見えてないの?」
くす「見えてるけど……えっ?」
じょる「みも、ちゃん……?」
みも「みもちゃん……って、私のことですか? 珍しいですね、みんな私のこと“探偵”って呼ぶのに」
くす「な、なに言ってるの?」
みも「だってほら、くっすんだってさっき『探偵ー、買ってきたよー』って言ってたよね?」
くす「そうじゃなくて! なんちゃん警部補だよ?」
みも「警部補……? あっ、もしかして刑事さんですか?」 じょる「あ、あはは……やめてよ、そういう冗談は」
くす「そうだよ! 私怒るよ!」
みも「あれ……私なんか変なこと言ってる?」
くす「言ってるじゃん!」
じょる「……ひとつ質問していい?」
みも「なんですか?」
じょる「私の名前、わかる……?」
みも「もちろん!」
じょる「だ、だよね。よかった……」
みも「なんちゃんさんですよね? 今聞いたばっかなんだからさすがにわかりますよ」
じょる「…………」
くす「なにこれ……どういうこと?」
コンコン
えみ「具合はどうですかー?」
みも「あっ、先生。見ての通り元気いっぱいだよ!」
えみ「ならよかった」 みも「ねぇねぇ、くっすん知ってる? この先生すごいんだよ、病気ならなんでも治しちゃうんだって!」
えみ「なんでもって波動強命水じゃないんだからぁ」
くす「先生……」
えみ「ん? どうかしたの?」
くす「その、探偵が――」
えみ「あっ、そうだ。探偵さんのことでちょっとお話があるんだけど……二人はご家族の方ですか?」
くす「いえっ、家族ではないんですけど……」
じょる「話っていうのは?」
えみ「うーん……できればご家族の誰かに聞いてほしいんですよねー……」
くす「そう言われても、探偵の家族なんて知らないし……私じゃダメですか?」
えみ「探偵さんとは親しいの?」
くす「まあ……はい」
えみ「じゃあいっか、ついてきて」
じょる「待って!」
くす「なんちゃん警部補……?」
じょる「話なら、私が。助手はみもちゃんと一緒にいてあげてくれない?」
くす「いいけど……」 診察室
じょる「それで、みも……あの子にどこか悪いところでも?」
えみ「検査の結果、すこし気になるところがありまして……」ゴソゴソ
えみ「これ、見てください」
じょる「……脳のスキャン画像?」
えみ「はい。この部分なんですけど……少し溶けたように変形しています」
じょる「あっ……」
えみ「それ以外は特に気になることはなかったんですが……実は似たような患者さんがいて」
じょる「その患者も脳が溶けてるんですか?」
えみ「はい。ただその患者は全生活史健忘……いわゆる記憶喪失の状態で」
じょる「記憶、喪失……」
えみ「探偵さんにはそういう症状は見られませんか?」
じょる「……覚えてないんです」
えみ「どんなことをですか?」
じょる「私のこと……なにも覚えてないみたいで……」
えみ「ふむ……失礼ですが、あなたは探偵さんとはどういう――」
じょる「恋人です。私は、みもちゃんの……」
えみ「そうでしたか……」 じょる「あんまり驚かないんですね。私とみもちゃんは女同士なのに」
えみ「ええ、まあ……」
じょる「さっきみもちゃんが言ってた『なんでも治せる』っていうのは?」
えみ「そのまんまの意味ですよ。ただ“なんでも”って言うと語弊がありますけど」
じょる「と言うと?」
えみ「一言で言うなら……」
じょる「?」
えみ「私、失敗しないでね」キリッ
じょる「訛ってる……」
えみ「つまり、手術して治る病気なら確実に治せるってことです」
じょる「ならみもちゃんも――」
えみ「探偵さんは、たぶん私には治せないと思います」
じょる「ど、どうして?」
えみ「“脳が溶けて記憶がなくなる”なんて症例、探偵とさっき話した患者以外で聞いたことがないですから」
えみ「手術で治るのかどうかも、はっきり言ってわからないんですよ」
じょる「……みもちゃんの記憶は戻らないってことですか」
えみ「いえ、手術では治せなくても記憶が戻る可能性はあります」
えみ「ただ……それがいつになるかはわかりません。もしかすると10年たっても記憶が戻らない可能性も……」
じょる「…………」 えみ「とりあえず何日か様子を見て、問題がなさそうなら退院ということで――」
じょる「それって記憶が戻らなくても?」
えみ「そうですね」
じょる「こ、困ります! 私あの子の家にふたりで住んでて、記憶が戻らないままだと住む場所が……」
えみ「そう言われても……」
じょる「なんとかなりませんか?」
えみ「無理ですね。頑張って説明してあげてください」
じょる「……はい。あの、一つ聞きたいんですけど」
えみ「はい?」
じょる「脳が溶けた原因って、なんだと思いますか?」
えみ「難しい質問ですね……」
じょる「なんでもいいので、思い当たることがあれば」
えみ「……もしこれが人為的なものだとすれば、考えられるのは――」
じょる「能力者の仕業?」
えみ「へぇ……知ってるんですか。能力者のこと」
じょる「ま、私もその端くれだからね」
えみ「なるほど……」 病室
じょる「はぁ……」
くす「あっ、なんちゃん警部補! 先生はなんだって?」
じょる「あー、しばらく様子を見てなんともなければ退院だって」
くす「だって、よかったね」
みも「うん……でもどうしてそれを刑事さんが聞いてきたの?」
くす「刑事さんじゃなくて、なんちゃん警部補だよ!」
みも「うぅん……」
くす「なんちゃん警部補を覚えてないことについてはなんて?」
じょる「そのうち思い出すかもしれないし、思い出さないかもしれないって」
くす「そっか……」
みも「ねぇくっすん、刑事さんとばっか話してないで私と話そうよ。暇すぎて死にそう〜」
くす「でも……」
じょる「いいよ、私はもう帰るから」
くす「なにも帰ることないじゃん、一緒にいようよ」 じょる「そうしたいのは山々だけど、知らない人がいちゃみもちゃんも落ち着かないでしょ」
くす「そんなことないよ! ねっ、探偵?」
みも「……できればくっすんとふたりのほうがいいかなぁ」
じょる「っ……」
くす「そ、そう言わずにさ、いいでしょ?」
みも「えー」
じょる「みもちゃんもああ言ってることだしさ、行くよ」
くす「……わかった。気をつけて帰ってね」
じょる「うん、また来るから」
階段
じょる「なんというか、結構キツいなぁ……」
じょる「みもちゃん……」ポロッ
じょる「ああくそっ、なに泣いてんだ私はっ!」ゴシゴシ
じょる「……絶対に犯人を捕まえて、みもちゃんの記憶も取り戻してやる!」 翌日 警察署
ぱい「南條さん南條さん! 大発見!」
じょる「ん? どうした?」
ぱい「これ見て!」スッ
じょる「……これは?」
ぱい「家の近所のリンペイってスーパーに行ったら偶然見つけて……」
じょる「ああ、“お客様の声”ってやつ? それのどこが大発見なの……って、字汚っ!」
ぱい「この字に見覚えありますよね?」
じょる「……あっ! これ変死体の! っていうかこのスーパーって、例の傷害事件があったとこだよね?」
ぱい「えっ、そうなの?」
じょる「そっちは気付かなかったか……」
ぱい「ごめんなさい……」
じょる「いや、これだけでも十分だよ。すぐに解読してもらって!」
ぱい「はいっ!」
………………
…………
…… ぱい「解読できました! どうぞ!」スッ
じょる「どれ……」
ぱい「…………」
じょる「『女同士で手をつないでいる客がいました。気持ち悪いです。同性愛者が入店できないよう対策をお願いします』?」
ぱい「なにこれ……」
じょる「ひどい言い草だな……店側の回答はだいぶ怒ってるみたいだけど」
ぱい「もしかしたら変死体で見つかった人って、みんなこういう悪い人なんじゃないですか?」
じょる「……調べてみる必要はありそうだね」
ぱい「調べるってどうやって?」
じょる「傷害事件の被害者ってふたりの女の子だったよね?」
ぱい「そうだったと思います」
じょる「もしそのふたりがここに書かれてるカップルだとしたら……」
ぱい「まさか女同士で付き合ってたから襲われたって言うんですか!?」
じょる「可能性がないとは言い切れない。出かけるよ」 スーパー
そら「ああ、事件のことなら覚えてますよ。通報したの私なんで」
じょる「じゃあ被害者のことはどう? よく店に来てたとか、覚えてることはある?」
そら「もちろん覚えてます。よくふたりで買い物してるのを見かけて、可愛いなって思ってましたから」
そら「なのにそれを気持ち悪いとか言う客がいて、そいつにはもう来るなって言ってやりましたよ」
ぱい「もしかしてお客様の声に回答したのって……」
そら「あぁ、あれ見たんだ」
じょる「ってことはやっぱり同じ子だったのか……」
そら「そういえばあの事件の犯人って捕まったんですか?」
ぱい「捕まったというか……」
じょる「先日変死体で発見されたよ」
そら「えっ、あの犯人死んだんですか?」
じょる「うん。残念ながら逮捕はできなかった」
そら「……なんか、天罰みたいですね」
じょる「天罰か……だったらよかったんだけどね」 夕方 病院
じょる「よっ」
くす「なんちゃん警部補! よかった、来てくれたんだ」
じょる「昨日また来るって言ったでしょ?」
みも「あの、私になにか用事でもあるんですか?」
じょる「用事というか、ただのお見舞いなんだけど……」
みも「ふーん……」
くす「ダメだよ探偵、せっかく来てくれたんだからお礼くらい言わないと」
みも「別に刑事さんに来てほしいなんて言ってないもん」
くす「それでも言うの!」
じょる「いいよ助手、私が勝手に来てるだけなんだから」
くす「だけど……」
みも「本人がこう言ってるんだからいいじゃん」
くす「……なんちゃん警部補、ちょっといい?」
じょる「ん?」 廊下
くす「探偵の記憶のことなんだけど……」
じょる「あの様子じゃ私のことはまったく思い出してないみたいだね」
くす「うん……実はね、探偵が忘れちゃったのってなんちゃん警部補のことだけじゃないらしいの」
じょる「えっ?」
くす「昨夜探偵が誰と会ってたのか聞いてみたんだけどね、覚えてないって言われちゃった」
くす「そもそも人と会ったことも、事件を調べてたことも覚えてないみたいで……」
じょる「うーん……前に調べた事件については覚えてるのかな?」
くす「あんまり覚えてないって言ってたけど、今回のことが関係あるのかはわかんない」
じょる「……そういやみもちゃん、元から解決した事件のことはあんまり覚えてなかったね」
くす「そうなんだよね……」
じょる「でも今調べてる事件のことを忘れるなんて初めてじゃない?」
くす「そうだと思う。だから気になってなんちゃん警部補に話したの」
じょる「ふむ……消えた記憶は他の記憶となにかが違うのか……?」
えみ「お見舞いですか?」
くす「あ、先生」
じょる「そうだ、先生にちょっと聞きたいことがあるんだけど……」 翌日 警視庁
りぴ「なんちゃん警部補ー!」
じょる「おぉ、元気にしてた?」
りぴ「うんっ! 会えて嬉しいなぁ〜」
じょる「はいはい。でさ、用件なんだけど……」
りぴ「なんちゃん警部補の頼みならなんだってするよ!」
じょる「このリストにある人物のネット書き込みを調べてほしいんだよ」
りぴ「こ、これ全部?」
じょる「そう。もし可能なら攻撃的な内容のものをピックアップしてくれると助かるかな」
りぴ「あぅ……ちょーっとそれは仕事の合間にできるようなことじゃ――」
じょる「りっぴー」ニギッ
りぴ「な、なんちゃん警部補……」
じょる「やってくれたら、私すっごく嬉しいな……」
りぴ「っ! ……しょ、しょうがないなぁ」
じょる「ありがとう、頼りにしてるから」
りぴ「えへへ……じゃあ早速調べてみる! 終わったら連絡するね!」タッタッタッ……
じょる「……はぁ。嫌な奴だなぁ、私って」 夕方 病院
みも「……また来たんですか」
じょる「うん。助手は?」
みも「くっすんなら今日はもう帰りましたけど」
じょる「そうなんだ」
みも「……あのっ! 私って監視対象かなにかなんですか?」
じょる「えっ?」
みも「毎日毎日ここに来て、私なにか悪いことでもしました?」
じょる「いや、だからただのお見舞いだって。そもそも面会時間しか監視しないんじゃ意味ないでしょ」
みも「それは、そうですけど……」
じょる「でもみもちゃんが嫌だって言うなら、お見舞いも控えたほうがいっか」
みも「……刑事さんは、くっすんと知り合いなんですよね?」
じょる「まあ……うん」
みも「どういう知り合いなんですか? もしかして、付き合ってるとか……」
じょる「違うよ、そういう関係じゃない」
みも「そうですか……」
じょる「私と助手が付き合ってたら嫌?」
みも「うーん……どちらかと言えば嫌、かな」
じょる「どうして嫌だって思うの?」
みも「はい?」 じょる「助手が誰かと付き合ってるのが嫌……とかさ」
みも「……よくわかんないです。なんとなく嫌ってだけで」
じょる「なんとなく、ね」
みも「たぶんくっすんのほうが先に恋人を作ったら悔しいんだと思います。うん、きっとそうですよ」
じょる「そっか……」
みも「そういえば刑事さんにちゃんと自己紹介してもらってなかったですね」
じょる「ああ、私のこと知らないんだもんね。えっと……私は南條愛乃。知っての通り刑事だよ」
みも「へー、名字が南條だから“なんちゃん”なんですか?」
じょる「そうだね」
みも「でもちゃん付けはさすがにアレだし、今まで通り刑事さんって呼ぼっかな」
じょる「“刑事さん”か……」
みも「ところでさっきからその手に持ってるのなんですか?」
じょる「あっ、そうだすっかり忘れてた。アイス買ってきたんだよ、食べる?」
みも「いいんですか? やったー!」
じょる「どっちのが食べたい?」
みも「じゃあ……こっちで!」
………………
…………
…… 翌日 警察署
ぱい「そういえば南條さん、昨日どこ出かけてたんですか?」
じょる「あー、ちょっと本庁にね」
ぱい「それって変死体関係のことで?」
じょる「うん。サイバー課の知り合いに調べ物頼んできたんだよ」
ぱい「へー」
りぴ「なんちゃん警部補ー、どこー?」
ぱい「ん? なんか呼んでますけど……」
じょる「りっぴー! 何しに来たの?」
りぴ「あっ、いた! 頼まれてたもの持ってきたよ!」
ぱい「もしかして、今話してたのって……」
じょる「そう。この子がサイバー課のりっぴー」
りぴ「はじめまして、りっぴーです」
ぱい「あ、えっと、ぱいるちゃんです」
じょる「もう調べ終わったの?」
りぴ「ううん。探せばまだ見つかると思うんだけど、寝ずにやったら意外とたくさん見つかったから」 じょる「私そこまでしろとは言ってないよ?」
りぴ「なんちゃん警部補のためならこれくらいやるよ、はいこれ」スッ
じょる「あ、ありがと……でもわざわざ持ってこないでメールで送ってくれればよかったのに」
りぴ「だってそれじゃあなんちゃん警部補に会えないし……」ボソッ
ぱい「なに調べてもらったんですか?」
じょる「被害者がネットに書き込んでた悪口」ペラッ
ぱい「うわぁ、こんなにいっぱい……」
りぴ「被害者って、なんの事件調べてるの?」
じょる「殺しだよ。非公式な捜査だけど」ペラッ
りぴ「そうなんだー」
じょる「ふむ……思った通りだな。どの被害者も同性愛者に対する差別的な書き込みをしてる」
ぱい「あのスーパーに貼ってあったみたいな?」
じょる「うん。被害者の新たな共通点が見つかったね」
ぱい「これで犯人捕まえられるかなぁ……」
じょる「…………」 夜 みも宅
ピリリリリ……ピリリリリ……
じょる「ん……? 病院からか」ピッ
じょる「もしもし」
えみ『こんばんは、南條さん』
じょる「どうも……」
えみ『その……探偵さんなんですけど、明後日には退院することになりそうです』
じょる「明後日か……」
えみ『ご迷惑をおかけしてすみません……』
じょる「そんなっ、私の都合なんだから先生が気にすることじゃ――」
えみ『いいえ、これは私の力不足のせいでもありますから』
じょる「…………」
えみ『南條さんはこれからどうするつもりですか?』
じょる「えっ?」
えみ『探偵さんとのことですよ』
じょる「……私は――」 翌日 病院
みも「あっ、刑事さん! なんで昨日来なかったんですか? アイス楽しみにしてたのに……」
じょる「あのねぇ、私は別にアイス持ってくるためにここに来るわけじゃないの」
みも「ふーん……じゃあ今日はなに持ってきてくれたんですか?」
じょる「ごめん、今日はなにもない」
みも「えー……」
じょる「飲み物なら自販機で買ってきてあげるけど」
みも「いえ、いいです」
じょる「そう」
みも「……で、今日はなにしにここに? またお見舞いですか?」
じょる「いや……ちょっと聞いてほしいことがあってさ、それ話したら今日は帰るから」
みも「ならちゃちゃっとすませてください」
じょる「うん。これは私の思い出話なんだけど……」
じょる「去年の6月、ひとりの女の子がとある事件の被疑者として任意同行されてきてね」
じょる「その子は事件を担当していた刑事から、厳しい取り調べを受けてて……」
じょる「私は隣の部屋からそれを覗いてたんだけど、その子を見ただけで犯人じゃないって確信したんだよ」
じょる「それでつい取り調べの邪魔したら、担当刑事に『犯人にしたくないなら自分でそれを証明してみろ』って言われちゃってさ」
じょる「なんだかんだで真犯人を捕まえて事件は解決したんだけど……なぜかその助けた女の子に気に入られたみたいで――」
じょる「私の担当してる事件に何度も何度も首突っ込んできて、そのせいで私はありえないような人事異動で田舎の村に飛ばされることになってね」
じょる「もうその子にも会うことはないと思ってたら……ある日ひょっこり事件現場に現れて」
じょる「あれは半分偶然だったけど、やっぱりまた事件に首突っ込んできてさ」 みも「なんというか……相当ウザいですね、その子」
じょる「でしょ? でも迷惑だなって思いつつも、その子がいると楽しいって感じる自分もいたんだよ」
みも「へぇ〜……」
じょる「それからいろいろあって、私もその子も東京に戻ってね」
じょる「しばらくしてとある事件が起きたんだけど……私はどうしてもその事件にだけは首を突っ込んでほしくなくて――」
じょる「まあどの事件に首突っ込まれても困るんだけど、その事件は特に関わってほしくない理由があってさ」
みも「どんな理由ですか?」
じょる「……私の知り合いが犯人だったんだよ。厳密に言うとそれが一番の理由じゃなかったけどね」
じょる「で、結局その子が犯人を突き止めて事件は解決したんだけど……私のせいでその子を傷つけちゃって」
じょる「だからその子を励ますために旅行に連れて行ったんだよ。事件のことなんか忘れてのんびりできるように」
じょる「それなのにそこでもまた事件が起きて、その子のことも余計に落ち込ませて……」
じょる「正直ちょっと自分が嫌になったよ。最終的にはちゃんと元気にしてあげられたからよかったけど」
じょる「あと……その子とその子のじょ……親友に誘われてドライブにも行ったなぁ」
みも「……ここまでの話から考えると、もしかしてそのドライブでも事件が起きたとか?」
じょる「正解。あの時は変な村に閉じ込められちゃって大変だったんだよ」
じょる「ま、いつもの通り事件を解決して無事に帰ってこられたんだけどね」
じょる「でも一難去ってまた一難というか、今度はその子の親友が事件を起こしてさ」
じょる「あの頃その子と親友は喧嘩中だったんだけど、なんだかんだで見捨てられないみたいで」
じょる「あれこれ手をつくして親友を助けて、きちんと仲直りもして、また事件が起きてそれを解決して……」
じょる「そんなある日、私はその子に『好きだ』って告白されたの」
じょる「あの時は嬉しかったなぁ……もしかしたら、人生で一番幸せな瞬間だったかもしれない」
じょる「それから……私たちは恋人同士になって、幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし……なんつって」 みも「……終わり、ですか?」
じょる「うん。どうだった?」
みも「どうって……まあそこそこいい話かなぁ、と」
じょる「そっか。いい話に聞こえたならよかった」
みも「でもいい話のつもりで話しているなら、どうしてそんな寂しそうな顔をするんですか?」
じょる「え……?」
みも「なんだか……それじゃまるで、その女の子はもうどこにもいないみたい……」
じょる「…………」
みも「ねぇ、刑事さ――」
じょる「みもちゃんはさ、私の恋人は幸せだったと思う?」
みも「……どうして私にそんなこと」
じょる「いいから聞かせて。お願い」
みも「うーん……刑事さんは今でもその子のことが好きですか?」
じょる「……好きだよ。今までもこれからも、ずっとね」
みも「なら、幸せだったと思います。そんなに大切に想ってくれる人がいるなら、きっと今でも幸せなはずですよ」
じょる「うん……そうだったらいいな」
みも「絶対幸せですって、私が保証します!」
じょる「……ありがとう。それじゃ話もすんだし、私はもう行くね……さよなら、みもちゃん」
ガラガラ……
みも「……?」 階段
じょる「はぁ……」
じょる「これで、いいはずだよね……」
くす「なにがいいはずなの?」
じょる「おわっ! あぁ助手か……」
くす「探偵のお見舞い?」
じょる「まあね……」
くす「そうだ、明日退院の時なんちゃん警部補も来てくれる?」
じょる「いや……私は行かない」
くす「そっかぁ、お仕事もあるもんね」
じょる「というか……もうみもちゃんには会わないから」
くす「えっ……どういうこと?」
じょる「これ以上みもちゃんを困らせる訳にはいかないしね」
くす「困らせるって……」
じょる「だって私のこと覚えてないんだよ? つまり今ではもう赤の他人なんだから、そんな人にいつまでも付きまとわれたら迷惑でしょ?」
くす「……探偵がそんなこと言ったの?」
じょる「言ってないけどさ……きっとそう思ってる」 くす「……なら本人に聞いてみようよ」
じょる「聞かなくていい」
くす「どうして?」
じょる「どうしてって……『迷惑だ』って言われたら、私がみもちゃんから離れることを認めるの?」
くす「それは……」
じょる「私はみもちゃんにそんなこと言われたくない。そんな言葉を聞くくらいなら、みもちゃんに二度と会えなくなる方がマシだよ」
くす「なにそれ……そんなの探偵と一緒にいるのが辛いからって逃げてるだけじゃん!」
じょる「逃げてなにが悪いの!? 今のみもちゃんには私なんて必要ない! 違う!?」
くす「っ……」
じょる「そもそも私が変死体のことなんて話さなければ、こんなことにはならなかった……!」
くす「そうかも、しれないけど……」
じょる「私さえいなくなれば、もうあの子が危ない目に遭うこともないんだよ……」
くす「…………」
じょる「それにさ、あんなに綺麗さっぱり忘れちゃうってことは、所詮私なんてみもちゃんにとってはその程度の存在だったってことでしょ」
くす「……!」
ピシャッ!! じょる「…………」
くす「なんちゃん警部補のアホ! あんなに探偵と一緒にいたくせに、探偵のことなんにもわかってない!!」
じょる「……じゃあ助手はわかってるって言うの?」
くす「わかるよ! 探偵のスマホのパスコード知ってる? なんちゃん警部補の生年月日なんだよ?」
じょる「え……」
くす「それから前に事務所で使ってたWi-Fiのパスは『ILOVENANJOSAN』だったし……」
くす「あとパソコンのパスワードだってなんちゃん警部補の――」
じょる「もういいわかった! わかったからやめてあげて!」
くす「……これでもなんちゃん警部補が探偵にとってどうでもいい存在だと思う?」
じょる「ううん……ごめん、私どうかしてた。でも助手にそこまで真剣に怒られるとは思わなかったよ」
くす「あ……ああっ、ご、ごめんねなんちゃん警部補。いきなりぶったりして……」
じょる「いいよ、悪いのは私だし……諦めるのはまだ早いよね。助手のおかげで目が覚めたよ」
くす「えへへ……私のこと、助手じゃなくてくっすんって呼んでもいいんだよ!」
じょる「……ありがとう、くっすん」
くす「なんちゃん警部補……!」
じょる「それと……面会時間もう過ぎてるよ」
くす「え!?」 翌日 みも宅
じょる「今日記憶が戻らなきゃ、さすがにこことはもうお別れか……」
じょる「ま、最悪そうなっても荷造りは必要ないのがせめてもの救いかな」
じょる「待ってろよ、みもちゃん……!」
病院
じょる「…………」スタスタ
ガラガラ
じょる「みもちゃん」
みも「あれっ、刑事さん? どうしたんですか?」
じょる「今日退院なんだよね?」
みも「そうですけど……くっすんは? そろそろ迎えに来る時間だったような……」
じょる「ごめん。それなんだけど、ちょっと遅らせてもらった」
みも「えっ、なんで?」
じょる「私のこと……みもちゃんに思い出してもらわないといけないから」
みも「なにを言ってるのかよくわからないんですけど……」
じょる「今にわかるよ」ガシッ
みも「えっ、えっ、なにを――んむっ!?」 じょる「んっ……ぷはっ。どう? 思い出した?」
みも「い、いきなりなにすんですかっ!! ファーストキスだったのに……」ゴシゴシ
じょる「ファーストキス? ってことは――」
みも『南條さん南條さん、ちょっと目を瞑ってもらっていいですか?』
じょる『……これでいい?』
みも『ふぅー……んっ!』
じょる『――!?』
みも『……ぷはー! やっちゃったぁ〜!』
じょる「――アレが初めてだったのか……」
みも「もう帰ってください! 刑事さん嫌いっ!!」
じょる「悪いけどそう簡単に諦めるわけにはいかないんだよ……んんっ」ガシッ
みも「んー! んー!」ジタバタ
じょる「んぅ……んるっ」
みも「!?!?!?!?」
じょる「んく……ん……」
みも「んむむっ! んーっ!」
じょる「んんー……」 みも「……んッ!!」ガジッ
じょる「ッ!? いっへ! らりすんら!!」
みも「『なにすんだ』じゃないですよ! こんなとこでなにおっ始めるつもりですか!」
じょる「おっ始めるって、キスしただけだろ!」
みも「そもそもいきなりキスってのも意味わかりませんよっ」
じょる「だ、だってそうすれば記憶が戻るんじゃないかって……」
みも「はぁ……キスで解決ってメルヘン過ぎませんか? 南條さんらしくもない……」
じょる「みもちゃん……? 今、“南條さん”って……」
みも「あれ、他の呼び方のほうがよかったですか?」
じょる「ううん、それでいい!」
みも「じゃあ南條さんって呼びますね」
じょる「えっ、もしかして本当に思い出したの……?」
みも「あはは、私が南條さんのこと忘れるわけないじゃないですか」
じょる「思いっきり忘れてたろ!」
みも「あぅ……」
じょる「でもよかった……本当に、よかった……」ギュッ
みも「南條さん……」
………………
…………
…… 夜 みも宅・寝室
みも「ねぇ南條さん」
じょる「なに?」
みも「どうしてキスで私の記憶が戻ると思ったんですか?」
じょる「だってみもちゃん、死んでも私がキスしたら生き返るって言ってたでしょ?」
みも「……ほんと、私の言ったことはなんでも覚えてますね」
じょる「まあね。生き返らせるのは無理でも記憶くらいなら……って思ったんだけど、まさか本当に思い出すとは」
みも「いやぁ、適当なことでも言っておくもんですね!」
じょる「あのねぇ……」
みも「あっ、そういえば」
じょる「どした?」
みも「昨日病室出てく時に『さよなら』とか言ってましたけど、南條さん私のこと捨てるつもりだったんですか?」
じょる「あ、あれは……ほら、『さよならは別れの言葉じゃなくて再び逢うまでの遠い約束』って言うでしょ?」
みも「ふーん……ま、そういうことにしておいてあげますよ」
じょる「……私、みもちゃんの恋人失格だなぁ」
みも「そんなことないと思いますけど……」
じょる「でも『みもちゃんのことを守ってあげたい』とか言ったくせに、あんな目に遭わせちゃったし……」
みも「なーに言ってるんですか、南條さんはちゃんと守ってくれましたよ」
じょる「えっ?」
みも「私がなくしかけていた南條さんの思い出を、守ってくれたじゃないですか」
じょる「みもちゃん……」 みも「ついでに事件のことも思い出したし、今度こそは――」
じょる「それはダメッ!!」
みも「ど、どうしたんですかいきなり大声出して……」
じょる「今回の事件のことはもう忘れて」
みも「なんでですか?」
じょる「相手は人殺しなんだよ? 下手したらみもちゃんは今頃死んでたかもしれないってわかるでしょ?」
みも「それは……」
じょる「私はみもちゃんを殺されるくらいなら、事件のひとつやふたつお宮入りしたほうがマシだって思ってる」
みも「…………」
じょる「わかるよね? みもちゃんなら」
みも「……それでも、この事件には自分でけりをつけたいんです」
じょる「みもちゃんっ!」
みも「まだ南條さんには言ってませんでしたけど、この事件の犯人は――」
じょる「うっちー、でしょ?」
みも「えっ、どうして知ってるんですか!?」
じょる「みもちゃんが私に内緒で会いに行く相手が他にいる?」
みも「ああ、それでわかったんですね……」
じょる「みもちゃんはさ、私よりも事件のほうが大事なの?」
みも「そんなことないです!」
じょる「じゃあ私のほうが大事ってこと?」
みも「あー……それはですねぇ、えっとぉ」 じょる「……みもちゃんのバカ」
みも「ごめんなさいっ! でも今回の事件は特別っていうか……」
じょる「なにが特別なの」
みも「だってこれは、南條さんが私に持ってきてくれた事件だから……」
じょる「あぁ……そういうことか」
みも「お願いします。この事件、私に解決させてくださいっ!」
じょる「……わかったよ。ただし条件がある」
みも「なんですか?」
じょる「うっちーに会うなら、必ず私とくっすんを同行させること。いい?」
みも「あはは、そんなの当たり前じゃないですか」
じょる「わかってるならよろしい」
みも「……ところで南條さん」
じょる「ん?」
みも「私なんだかまだ南條さんのこと完全に思い出せてない気がするんですよね」
じょる「えっ、ほんとに?」
みも「はい。だから……南條さんのこと、もっと思い出させてくれませんか?」ギュッ
じょる「みもちゃん……うん、いいよ」
みも「うへへ。今夜は寝かせませんよ、南條さんっ!」
じょる「はいはい」
………………
…………
…… 翌日 ビル・屋上
みも「私がうっちーを呼び出した理由、わかるよね?」
うち「んー……さあ?」
みも「じゃあ教えるよ。連続殺人事件の話をしにきたの」
うち「…………」
みも「残念だけど、私の記憶はもう元通りなんだよね」
うち「……どうやって思い出したの?」
みも「それはぁ……」チラッ
くす「?」
みも「ちょっと言えないんだけど……やっぱりうっちーの能力は“記憶の消去”みたいだね。脳が溶けるのはその副作用ってとこかな?」
うち「……正解」
じょる「殺人についても認めるってことでいい?」
うち「あなたは?」
じょる「こういう者だよ」スッ
うち「刑事か……認めたら私を逮捕するんですか?」
じょる「してもいいけど、たぶん無駄だろうからやめとくよ」
うち「なら探偵たちの目的はなに?」
みも「言ったでしょ? 話をしにきたって。うっちーだって話がしたいんじゃないの?」
うち「どうしてそう思うの?」
みも「だってうっちーが私を殺さなかったのって、自分が犯人だってことを証明したかったからでしょ?」
みも「あの時私を殺していれば、うっちーを連続殺人の犯人だって疑う人間はいなくなったんだから」 うち「……そうだね。でもそうしたところで私が人殺しだって事実は変わらない」
うち「前に探偵が私はこれから幸せいっぱいだって言ってくれたけど、私は幸せになれるような生き方なんてしてないんだよ」
みも「…………」
くす「動機はなんなの? どういう理由であんなにたくさんの人を殺したの?」
うち「そこまではわかってないんだね」
じょる「でも手がかりならあるよ。被害者は全員、同性愛者を差別してた」
うち「へぇ……よく気が付きましたね」
じょる「優秀な部下のおかげでね」
うち「探偵はどうして殺したのか、わかる?」
みも「うっちーがレズだから……だけじゃ殺す理由にはならないよね」
うち「ど、どうしてそのことを……」
くす「それが探偵の能力だから。手を握るだけで相手がレズかどうかわかるの」
うち「そう、なんだ……」
みも「教えてくれるよね? どうしてあんなことをしたのか」
うち「……私ね、付き合ってる子がいたの」
みも「“いた”ってことは、別れちゃったの?」
うち「うん、3ヶ月前にね。でも普通に別れたわけじゃなくって……」
みも「あっ、もしかして事故で死んだとか――」
うち「あの子は自殺したのっ!」
じょる「……自殺の原因は差別ってことか」
うち「はい……あの子はあんまり強い子じゃありませんでしたから」 みも「それで復讐しようと思ったの?」
うち「“復讐”か……まあ普通はそう思うよね」
みも「違うの?」
うち「私はただ、人の幸せに水をさすようなことをやめさせたかっただけ」
うち「だから最初は殺すつもりなんてなかったの。記憶をすべて消し去って、空っぽの人間にしようとしただけだった」
うち「なのに……死んじゃったんだよ。記憶の全消去って、意外と脳へのダメージが大きかったみたいでね」
うち「でも悪いことをしたとは思わなかった。むしろ殺したほうが私の目的は達成しやすいんじゃないかって……」
くす「どういうこと?」
うち「私たちを差別する人間を殺していけば、いずれ探偵たちみたいに共通点に気付く人間が現れるはずでしょ?」
うち「それが世間に広まれば、みんな差別なんてしようと思わなくなる」
みも「……他に方法はなかったの?」
うち「私一人でできることなんて限られてるからね。私だけがいくら声を上げても世の中なんて変わりっこないし」
うち「今のままじゃダメだって思ってる人は私以外にもいるけど、それはほんの一部の人たちだけで……」
うち「ほとんどの人は関心も興味もなくて、それどころか無意識に差別をしている人だっている」
うち「……まあ国が私たちのことに手をこまぬいてる現状じゃ当然かもしれないね」
うち「とにかく私にできることで殺人以上に人の目を引くことなんてなかったの」
うち「証拠が残らなくて、罪にも問われない……そんな殺し方を見つけたらあとは簡単だったよ」
うち「ちょっとニコニコして声をかけてやれば、馬鹿な男は下心丸出しでついてくるし」
うち「人気のないところに連れ込んで耳元で囁やけばそれで終わり」
みも「うっちー……」 じょる「そういえば、被害者の中には一人だけ女がいたよね?」
うち「ああ、いましたね。あれは警戒されて失敗しちゃいましたけど」
じょる「やっぱり失敗だったんだ。おかげで能力の正体に気づけたよ」
みも「そうだ、能力についてちょっと聞いてもいいかな?」
うち「なに?」
みも「消去する記憶って、どの記憶を消すか選んだりってできるの?」
うち「ある程度はね。ここ一週間の記憶とか、楽しい記憶とか悲しい記憶とか……」
みも「じゃあ私からはどんな記憶を消去したのかな」
うち「探偵から消したのは……いちばん大切な記憶だよ。それなら事件のことは忘れてくれると思ったから」
みも「いちばん大切な記憶かぁ……南條さん、いちばん大切な記憶ですって。えへへ」
じょる「ふ、ふ〜ん……」
うち「話はもうおしまい? だったら私は帰るけど」
みも「ああ待って!」
うち「ん?」
みも「うっちーはまだ続ける気なの?」
うち「当たり前でしょ。まだ目的を果たせてないんだから」
みも「そっか……」
うち「それじゃ」
みも「あっもうひとつだけ!」
うち「2回も引き止めないでよかっこつかないから!」
みも「ご、ごめん……でも今しか伝えるチャンスがないと思ったから」 うち「はぁ……なぁに?」
みも「私ね、中学の頃……うっちーのことが好きだったの!」
うち「!」
くす「えっ、ほんと?」
じょる「…………」
みも「もっと言うと、うっちーが私の初恋の人だった」
うち「探偵……」
みも「それだけ、伝えておきたくて」
うち「……それ、もっと早く言ってほしかったな」
みも「えっ?」
うち「私もあの頃、探偵のことが好きだったから」
みも「ま、マジで……?」
うち「マジだよ。ついでに言うと、私が探偵を殺さなかったのもそれが理由」
みも「はぇ〜、そうだったんだ……全然気付かなかったぁ」
うち「……ねぇ、探偵」
みも「うん?」
うち「もしあの頃探偵に告白できてたら、私はこんな人殺しにはならなかったのかな……?」
………………
…………
…… 車内
くす「まさか探偵の初恋の人だったとは……びっくりしたね、なんちゃん警部補」
じょる「あー、ちょっとだけね、ほんのちょっと」
みも「うっちー、これからどうするんだろ。ほんとに殺し続けるつもりなのかな」
じょる「どうかねぇ……」
くす「あの人の言ってること、なんかぶっ飛んでて私にはちんぷんかんぷんだったよ」
みも「そう? 私にはなんとなくわかる気がするけど」
じょる「まさか殺人が正しいとでも言う気?」
みも「いえ、殺人はダメだと思いますよ? ただ“自分とは違う”って理由だけで人は人を差別するじゃないですか」
じょる「……まあ否定はしないけど」
みも「そんな世の中を変えるのって、簡単なことじゃないと思うんです」
みも「『ひとりが変わればみんなが変わる』なんて言う人もいますけど、そんなのは大嘘で……」
みも「本当になにかを変えるには、みんなが自分から本気で変えよう、変わろうって思わなきゃダメでしょう?」
みも「うっちーがしようとしていたのって、そういうことなんじゃないかなって……」
みも「たしかに方法は間違ってましたけど、うっちーの考えまで間違っていたとは、私にはどうしても思えないんですよ」
じょる「うーん……難しい問題だよね」
くす「そうだねー……」 数日後 みも宅
ガチャッ
じょる「ただいま」
みも「おかえりなさーい! 南條さーん!」ギュッ
じょる「今日はいい子にしてた?」
みも「はいっ! って、子供扱いしないでくださいよ!」
じょる「はいはい」
みも「……今日は遅かったですね。なにしてたんですか?」
じょる「ああ、ちょっとね……着替えてからゆっくり話すよ」
みも「はあ……」
リビング
じょる「今日さ、あのうっちーが自首してきたんだよ」
みも「えっ、殺人でですか!?」
じょる「いや、放火で」
みも「放火?」 じょる「取り壊し予定のビルに火をつけたんだって。幸い怪我人は出てないみたいだけど……」
みも「そう、ですか……」
じょる「取り調べでは一連の殺しについても自供してるらしいよ。でも立証は難しいだろうね」
みも「どうしてそんなことしたんだろ……」
じょる「もしかしたら、みもちゃんが原因かもしれないよ」
みも「私なんかしましたっけ?」
じょる「さあねぇ……」
みも「でも……これでもううっちーが人を殺すことはないんですよね」
じょる「たぶんね」
みも「よかった……」
じょる「みもちゃんはさ、今でもうっちーのことが好きなの?」
みも「……いえ。まあ今でもうっちーのことは可愛いなって思いますけど」
みも「今の私にはそれ以上に可愛くって、他の誰よりも大好きな南條さんがいますから」
じょる「そっか」
みも「これからもずっと、私の隣にいてくださいね」
じょる「……言われなくてもそのつもりだよ」 さらに数日後 川沿い・車内
みも「うぅ、暑いぃ〜喉渇いたぁ……」
くす「だねぇ……」
じょる「じゃあなんか冷たい飲み物でも買ってあげよっか?」
みも「奢ってくれるんですか? ぜひぜひ!」
じょる「ちょっとは遠慮しろよ……くっすん、どっか適当な店寄ってくれる?」
くす「はーい!」
みも「あれ? たしか南條さんってくっすんのこと“助手”って呼んでませんでしたっけ?」
じょる「あぁ、そうだったね」
みも「なんで急に呼び方変えたんですか?」
じょる「それは……まあいいじゃん」
みも「よくないですよ! くっすん、どういうことなの?」
くす「う〜ん……つまり、私は探偵のこともなんちゃん警部補のことも大好きってことだよ」
みも「意味分かんないんだけど……ねぇ南條さんっ!」
じょる「はぁ……呼び方くらい好きにさせてよ」
みも「むっ。じゃあ……愛乃!」
じょる「……やめて」
みも「愛乃ーっ!」
じょる「やめろぉー!」
つづかないかも お粗末さまでした。
そして一年間ありがとうございました。 乙
そうか、丁度一周年だったのか
去年はまだμ'sロスが〜!とか言ってる頃に読み始めたんだった気がする
毎回ほんと楽しみだったよ
気が向いたらまた書いてくれると嬉しい 乙
スレタイの凝りっぷりが好きだった
今までありがとう あああ終わってしまった
しかしここ一年ほんと楽しかった
登場人物みんないいキャラしてたし
毎回ドラマがあったなあ
今回はラストにふさわしい大作だった
全部で9話?エイプリルフールの予告回もあったけど
丁度切りがいいのかな 乙でした、ストーリーに広がりが出てきたから、
読み手のエゴだけどここで止めるのは勿体無いような
脳トロといえば、しかちゃんも何かの能力もってたのかな このシリーズの新作があるんじゃないかと思っていたからラブライブ板チェックし続けてた
スレは半日で落ちてまともにSS追える環境にないしシリーズ物は存続が厳しいだろうなと思う 過去作
金曜ワイド劇場「三十路探偵・みもりんの事件簿 XXIX」
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日曜ワイド劇場「三十路探偵・みもりんの事件簿 XLIII」[字][S][デ]
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二夜連続ドラマ「三十路探偵・みもりんの事件簿 XLVII」旅行中に盗難事件勃発!ダサパンツを穿くレズ下着泥棒の正体とは……[字][S][デ]
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日曜邦画劇場「三十路探偵・みもりんの事件簿 -劇場版- 貧乳対巨乳!恐怖の毒キノコ殺人事件」[字][S][デ]
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http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1497009601/ ほかと比べてみもりんの能力は弱そうだったがそこがむしろ主人公向きだったかな やっぱり埋め茸面白いSS発見器の才能あるな
見事に今狙われてないSSって他のレスも一切ない微妙なSSばっかだし ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています