花丸「3人一緒に」 [無断転載禁止]©2ch.net
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花丸「この物語は、まるが中1の頃にルビィちゃんとダイヤさんに出逢ってから」
花丸「3人一緒にスクールアイドルを始めるまでのお話です」
花丸「基本的にアニメのストーリーに沿っていますが、少し脚色を加えています」
――3年前 黒澤家
【ダイヤ:中3 ルビィ・花丸:中1】
玄関ガラガラ
ルビィ「ただいまお姉ちゃん」
ダイヤ「おかえりなさい、ルビィ。あら?そちらの方がもしかして……」
花丸「お……お邪魔します……」ドキドキ
ルビィ「紹介するね。この子が学校でルビィのお友だちになってくれた……」
花丸「国木田、花丸です。今日はお世話になります」モジモジ
ダイヤ「初めまして花丸さん。ルビィの姉のダイヤですわ」
ダイヤ「って、学校で生徒会長を務めているのでご存知かと思いますが」
花丸「はっ、はい。全校集会の時に、壇上でスピーチをしている姿を見ているので……」
ダイヤ「そう緊張なさらないで、我が家だと思ってゆっくり寛いでください」ニコッ
花丸「は……はいっ!」
ダイヤ「ルビィ、自室へご案内なさい。お菓子と飲み物は後でお持ちしますから」
ルビィ「ありがとうお姉ちゃん。それじゃ花丸ちゃん、ルビィの部屋に行こう!」
花丸「ずら!」
ダイヤ(ルビィがお友だちを家に連れてくるなんて……今日は記念すべき日ですわっ!) ――ルビィの部屋
トントン
ルビィ「はーい」
ダイヤ「失礼します。お菓子と飲み物をお持ちしましたわ」
ルビィ「ありがとう、お姉ちゃん」
花丸「あっ……ありがとうございます、生徒会長」ドキドキ
ダイヤ「もう花丸さんってば、ここはわたくしたちの自宅なのですから」クスクス
ダイヤ「気軽に『ダイヤ』と呼んでください」
花丸「す、すみません!それじゃ……ダイヤ、さん」
ダイヤ「はい、花丸さん」ニコッ
花丸「ず……ずら……///」
ルビィ「ふふっ」ニコニコ ダイヤ「時に、花丸さんにお聞きしたいのですが」
花丸「はい」
ルビィ「いただきまーす」お菓子モグモグ
ダイヤ「ルビィとはどのように知り合ったのですか?」
花丸「えっと、まるは図書委員で、普段から図書室にいることが多いんですが」
花丸「ルビィちゃんとは図書室で知り合いました」
ルビィ「ジュースおいしい♪」ストローチューチュー
ダイヤ「そうだったのですね。ルビィから花丸さんのお話を聞いた時は正直驚きましたわ」
ダイヤ「この子は極度の人見知りで、友人と呼べる方が殆どおりませんでしたので」
ルビィ「……ゲホッ、ゲホ!お、お姉ちゃんっ!?///」
ダイヤ「ルビィから『学校でお友だちが出来たよ』と聞いた時は」
ダイヤ「わたくしも自分のことのように泣いて喜んでしまいましたわ……」ポロッ
ダイヤ「いけない……また涙が。失礼しましたわ」ハンカチ
ルビィ「お、お姉ちゃん、恥ずかしいよぉ〜!///」アタフタ
花丸「そうだったんですね」クスッ
ルビィ「ううう……///」カアア 花丸「実はまるも小学校の頃から本の虫で、友だちと呼べる子が殆どいませんでした」
ルビィ「え?そうだったの花丸ちゃん」
花丸「うん」
花丸「中学でも同じように誰とも交流することなく」
花丸「本を読んで学校生活を送っていくんだろうなって、思っていたんですが……」
花丸「そんな時にルビィちゃんと知り合って、仲良くなれたのは」
花丸「まるにとって、僥倖だと思っています」
ルビィ「ぎょうこう?」キョトン
ダイヤ「『思いがけない幸せ』、という意味ですわ」
ルビィ「思いがけない……幸せ……花丸ちゃん///」
花丸「えへへ。この間読んだ小説で知った言葉、早速使ってみたずら///」
ダイヤ「……それにしても、ルビィが図書室にいたなんて珍しいですわね」
ダイヤ「あなた読書なんて普段しないでしょう?」
ルビィ「ピギッ!?そ、それは……」 花丸「確か……ルビィちゃんが図書室でアイドル雑誌?を読んでいて」
花丸「初めての会話もアイドルの話をしたような……」
ルビィ「ああああぁああぁ!?花丸ちゃん!!それを喋っちゃダメ〜!!」口抑える
花丸「むぐぐっ!?」ジタバタ
ダイヤ「ルビィ、あなたもしかして……」
ダイヤ「学校に関係のない雑誌を持ち込んで読んでいたのですか……?」
花丸(はっ!そ、そうだったずら。学校に私物を持ち込むのはダメだったんだ……)
ルビィ「ピギィ!?ご……ごめんなさい、お姉ちゃん……」フルフル
ダイヤ「『生徒会長』として、校則を破った生徒を見逃すことは出来ませんわね」ゴゴゴゴ
ルビィ「う、うゆぅ…………」ジワッ
花丸「ダ、ダイヤさん!ルビィちゃんを怒らないでください!」
花丸「まるも一緒に雑誌を読んでいたから、まるも同罪ですっ!だから……!」
ルビィ「は、花丸ちゃあん……」グスッ ダイヤ「……はぁ、ルビィ。あなたは本当にいいご友人と巡り会えましたね」
ルビィ「…………えっ?」
花丸「……ずら?」
ダイヤ「雑誌がきっかけで花丸さんと仲良くなったのも事実ですし」
ダイヤ「今回は『姉』として、そして花丸さんの庇護に免じて許してさしあげます」
ルビィ「お姉ちゃんっ!」ウルウル
花丸「ありがとうございます、ダイヤさん!」ホッ
ダイヤ「ただし、二度目はありませんからね?肝に銘じておきなさい」
ルビィ「うんっ、約束する!学校では雑誌は読まない!」
花丸「良かったね、ルビィちゃん」
ダイヤ「……話は変わりますが、花丸さん」
花丸「ずら?」
ダイヤ「ルビィからお話は聞いたとは思いますが……」
ダイヤ「あなた、スクールアイドルに興味はありますか?」
花丸「……………………え?」
花丸(これが、初めてルビィちゃんの家に遊びに来た時の出来事でした)
花丸(お姉さんのダイヤさんは、学校でも自宅でも気高く、美しい人で……)
花丸(でも、ルビィちゃんと同じく『スクールアイドルが大好き』という)
花丸(意外な一面を持っていて本当に驚きました)
花丸(それから、ルビィちゃんの家に何度も遊びに行くことになるけど)
花丸(ルビィちゃんとのお喋りの内容は、スクールアイドルの話が多かったです) ――数週間後 ルビィの部屋
花丸「ミューズ?石鹸の?」
ルビィ「違うよぉ。東京にある音ノ木坂学院という学校のスクールアイドル、μ’s!」
ルビィ「第2回ラブライブで優勝したグループなのっ!」
ルビィ「ルビィ、μ'sのライブを観てスクールアイドルに興味を持ったんだ〜」
花丸「そうだったんだね」
ルビィ「ちなみにルビィはね……この、小泉花陽ちゃんが好きなんだ」
花丸「へぇ〜、この子が花陽ちゃん。可愛いずらね。でもどうして?」
ルビィ「うん。花陽ちゃんはね、ルビィみたいに引っ込み思案な人だったらしいの」
ルビィ「その上、怖がりで泣き虫で……ルビィに似てるから親近感が沸いちゃって」
ルビィ「でもね、そんな花陽ちゃんもライブではとてもキラキラしているんだよっ!」
ルビィ「ステージに立ってる時の姿は、普段シャイな人とは思えないくらいにっ!」
ルビィ「ルビィも、いつか花陽ちゃんみたいなスクールアイドルになりたいなあって」
ルビィ「いつも思ってるんだぁ……目標の人でもあるの!」
花丸「……そっか」
花丸(ルビィちゃん、とても生き生きとしてるずら。本当に大好きなんだね) ダイヤ「わたくしは断然、絢瀬絵里さんことエリーチカ!」ガラッ
ダイヤ「生徒会長でスクールアイドル、クールなお方ですわっ!!」
花丸「ダイヤさん!?」ビクッ
ルビィ「お姉ちゃん!?」
ダイヤ「話は聞かせてもらいましたわっ!」キラキラ
ダイヤ「花丸さん!ルビィ!今からわたくしとμ’sのライブDVDを鑑賞しましょう!」
ルビィ「えっ、いいの!?」
ダイヤ「ええ。お父さまもお母さまも出かけておりますし」
ダイヤ「花丸さんにも、スクールアイドルの……」
ダイヤ「μ'sの素晴らしさを知ってもらおうと思いますわっ!」
ルビィ「やったー!早く居間に行こう、花丸ちゃん!」
花丸「う、うん……」タジタジ
花丸(二人の勢いに気圧されたまるは、そのままライブDVDを鑑賞することになったけど)
花丸(普通の女子高生である彼女たちが、ステージ上では『アイドル』として輝いていて)
花丸(その姿は、アイドルに疎かったオラでさえも圧倒されてしまいました)
花丸(ただ、アンコールの時に2人とも大声あげながら号泣しだしたのは)
花丸(さすがにちょっと引いたけど……) ――数時間後 居間
ルビィ「ぐすっ……やっぱりμ’sはいいなぁ……ひっく」鼻ズルズル
ルビィ「いまが……最高なんだよぉ!」鼻チーン
ダイヤ「そうですわっ!『いまが最高』ですわぁ……!」ポロポロ
花丸「そ、そうだね。最高だね……」タジタジ
ダイヤ「……花丸さん。みっともないところをお見せして、申し訳ありませんでした」グスッ
ダイヤ「少し席を外します。顔を洗ってきますわ……」
花丸「行ってらっしゃい……」
ルビィ「……ごめんね花丸ちゃん、ルビィもようやく落ち着いたよ」ズスッ
花丸「う、うん。良かったね。ルビィちゃん」
ルビィ「それで、どうだった?μ’sのライブは」
花丸「うん。初めて見たけど、とってもすごかったずら!」
花丸「まる、人混みは苦手だけど、初めて生でライブが見たいって思ったずら」
ルビィ「だよねだよね!一度は観てみたいよね!生ライブ」 花丸「あっ、それからね。ライブ観てμ’sで気になったメンバーがいたよ」
ルビィ「えっ、誰なの?」
花丸「まるは……この、星空凛ちゃん」
ルビィ「凛ちゃんかぁ〜!でも意外だね、メンバーで一番運動が得意な子で」
ルビィ「本が好きな花丸ちゃんとは正反対だと思うけど」
花丸「だからなのかもしれない。まる運動音痴だし、あんなに激しく動けないもん」
ルビィ「そっか。だから憧れたんだね、凛ちゃんに」
花丸「うん」
ルビィ「ちなみに凛ちゃんはね、ルビィが好きな花陽ちゃんとは大の仲良しさんなんだよ」
花丸「えっ、そうなの?」
ルビィ「うん。だから花丸ちゃんが、凛ちゃんを好きになってくれて嬉しいなって」
ルビィ「ルビィが花陽ちゃんで、花丸ちゃんが凛ちゃんのポジション出来るし」
花丸「ふふっ、そうだね……って、だからオラには凛ちゃん役は無理ずら〜!」
花丸(最初はスクールアイドルのことは全然知らなかったし、興味もなかったけど)
花丸(ルビィちゃんとダイヤさんが嬉々として話しているのを見ているうちに)
花丸(まるも少しずつスクールアイドルに興味を持つようになりました)
花丸(でも、この時は『スクールアイドルになってステージに立ちたい』だなんて)
花丸(全く考えてませんでした) ――1年後 ルビィの部屋
【ダイヤ:高1 ルビィ・花丸:中2】
花丸「ダイヤさん、浦の星でスクールアイドルを始めたんだね」
ダイヤ「ええ。わたくしの友人たちと結成したアイドルユニット!その名もっ!!」
ルビィ「Aqours(アクア)!!」ドーン
ダイヤ「ちょ、ルビィ!?わたくしがカッコよく決めようとしたのに……!」
花丸「ふふっ、それにしてもAqoursかぁ、きれいなグループ名だね」
ダイヤ「……そ、そうですか。花丸さんにそう言っていただけると嬉しいですわ///」
ルビィ「でも、スクールアイドル部を立ち上げてから、お姉ちゃん忙しそうだよね」
ダイヤ「仕方ありませんわ。体力作りの合間に、曲作り、振り付け練習、衣装制作と」
ダイヤ「やることが多いですし。それに部員はわたくし含めて3人しかいませんから」
ダイヤ「ちなみに今日は、久しぶりに完全オフの日です」
花丸「それなら、もっとゆっくりしても良かったのに……」
ダイヤ「久しぶりに花丸さんともお話したかったですし、気になさらないでください」
花丸「ず、ずら……///」 ルビィ「いいなぁ、お姉ちゃん。本物のスクールアイドルになれて」
ダイヤ「なれて……と言うか、これからなるのですわ」
花丸「ルビィちゃんも浦女に入学すれば、ダイヤさんとスクールアイドルが出来るずら」
ルビィ「あっ、そうか!ルビィが高校生になった時、お姉ちゃんは高3だから」
ルビィ「一緒にスクールアイドルが出来るよ!やった〜!」
ダイヤ「ふふっ。それなら、入部したらダイヤ先輩がみっちり扱いて差し上げますわ」
ルビィ「ピギッ!?う、うゅ……お手柔らかにお願いします……」
ダイヤ「……なんて、その前に浦の星に入学するために勉強する必要がありますわよ?」
ルビィ「が……がんばルビィ!」
花丸「スクールアイドル部が賑やかになりそうだね」フフッ
ルビィ「もちろん、その時は花丸ちゃんも一緒だよっ!頑張ろうね!」
花丸「ずらっ!?オラも!?でもオラ……運動苦手だし……それに……」タジタジ
ダイヤ「ルビィ。花丸さんは将来のために違う高校に通うかもしれないですし」
ダイヤ「気持ちは分かりますが、無理強いしてはいけませんわ」
ルビィ「あっ、そうだった。ごめんね、花丸ちゃん……」
花丸「ううん。気にしないでルビィちゃん。それにまだ2年生になったばかりだし」
花丸「将来のことや、どこの高校に進学するか全然決めてないから、ね?」
ルビィ「うん」コクン
花丸「…………でもね、実はまるも……///」モジモジ ダイヤ・ルビィ「え?」
花丸「あっ、ううん!何でもないずら!///」
花丸「……ところでダイヤさん、Aqoursのファーストライブはいつ開催するずら?」
ダイヤ「予定では2週間後の週末を予定しておりますわ。場所は浦の星の体育館です」
ルビィ「絶対応援しに行くからね、お姉ちゃん!花丸ちゃんも行かない?」
花丸「うん、オラも応援するずら。ダイヤさん頑張ってね!」
ダイヤ「ええ。ありがとうございますわ2人とも」
花丸(2週間後、Aqoursのファーストライブが浦の星の体育館で開催されました)
花丸(手作りのステージ衣装を纏い、壇上で精一杯パフォーマンスするダイヤさん)
花丸(普段の気品のあるダイヤさんとは全然違い、とてもキラキラしていました)
花丸(隣で見ていたルビィちゃんは、感動してポロポロ泣いていたっけなぁ……)
花丸(あの時、2人の前では言えなかったけど)
花丸(いつかルビィちゃんとダイヤさん、そしてまるの3人で)
花丸(『スクールアイドルとしてステージに立ってみたい』)
花丸(という大きな夢を、密かに抱くようになりました)
花丸(そう、あの時までは…………) ――数ヶ月後 中学校・2年教室
ルビィ「花丸ちゃん、おはよう……」
花丸「おはようルビィちゃん。どうしたの?そんな暗い顔して」
ルビィ「あのね……お姉ちゃん、スクールアイドルやめちゃったみたいなの」
花丸「そんな……どうしてっ!?ライブもあんなに評判良かったのに!?」
花丸「ダイヤさん、ルビィちゃんと同じくらいスクールアイドル好きなのに……」
ルビィ「分からないけど、東京のライブに参加してからなの。様子が変わったのは」
ルビィ「結果も教えてくれなかったし……」
ルビィ「それにこの間、居間でスクールアイドルの雑誌を読んでたらね」
ルビィ「『その雑誌、見たくないから片付けて』って怒られたの……」
花丸「きっと東京のライブで何かあったはず。聞きにくいなら、まるが直接話を聞いて」
ルビィ「ううん、いいの!それに今は、聞いちゃいけない気がしたから」
花丸「ルビィちゃん……」 ルビィ「ルビィ、お姉ちゃんが落ち着くまで、この話は触れないようにしようと思うの」
ルビィ「いつかお姉ちゃんから話してくれることを信じてるから……」
花丸「う、うん……」
花丸(それ以来、ルビィちゃんの家に行く頻度が少なくなり)
花丸(ルビィちゃんとは、図書室やまるの家で過ごすことが増えました)
花丸(ルビィちゃん曰く、ダイヤさんとは仲が悪くなったわけではないそうだけど)
花丸(そう言うルビィちゃんの姿は、どことなく寂しそうでした)
花丸(大好きなお姉さんと大好きなスクールアイドルの話が出来なくなったから)
花丸(無理もないけれど……)
花丸(この様子から見て、ダイヤさんはいつまで経っても本当の事を話さないみたいで)
花丸(正直、もどかしい気持ちでいっぱいでした……)
花丸(そしてまるは、1年以上ダイヤさんと会わなくなってしまい、月日は流れて……) ――2年後 春
【ダイヤ:高3 ルビィ・花丸:高1】
花丸(まるたちは浦の星女学院に入学し、そこで久しぶりにダイヤさんの姿を見ました)
花丸(気高い姿は相変わらずでしたが、その姿はどこか刺々しい印象を感じ)
花丸(『あの時の夢』も絶対に叶わないだろうと、内心では諦めていました……)
花丸(そんな時、スクールアイドル部を作ろうとしていた千歌さんと知り合いました)
花丸(千歌さんは、何度かダイヤさんと部活の件で衝突したそうですが)
花丸(同時期に就任した新理事長が提案したファーストライブを成功させて)
花丸(晴れてスクールアイドル部が承認されました)
花丸(ここで驚いたのが、新理事長が先代Aqoursに所属していた鞠莉さんだったこと)
花丸(そして、千歌さんたちが結成したスクールアイドルのグループ名が)
花丸(かつてダイヤさんが所属していた『Aqours』と全く同じ名前であったこと……)
花丸(千歌さんは、海岸で名前を決めてる時に「偶然見つけた」と言っていたけど)
花丸(偶然にしては出来すぎている話に、まるは疑問を抱かずにはいられませんでした) ――スクールアイドル部承認後 図書室
千歌「わたしたちAqoursは、2人の入部をずっと待ってるよぉ〜?」ハァハァ
花丸「ず、ずら……」タジタジ
ルビィ「うゆぅ……」タジタジ
梨子「……もう千歌ちゃん、2人ともドン引きしてるわよ?」
曜「あはは……まあでも、興味があるなら是非遊びに来てね。いつでも歓迎するから」
千歌「うんうん!じゃあわたしたち練習があるから、またね!」
花丸(スクールアイドル部が承認されたこの頃から)
花丸(まるの抱いていた夢は少しずつ変化していきました)
花丸(3人一緒は無理でも、せめてルビィちゃんだけは……)
花丸(ルビィちゃんの『スクールアイドルになりたい』という夢は叶えてあげたい、と)
花丸(まるたちは、千歌さんから何度も「入部しないか?」と声をかけられたけど)
花丸(ルビィちゃんは、未だに悩み続けていました……) ルビィ「スクールアイドル……Aqours……」
花丸「すごい偶然だよね。まさか千歌さんたちのグループ名もAqoursだなんて」
ルビィ「うん。防災無線でファーストライブの案内を聴いた時は本当に驚いたよ」
ルビィ「しかもアルファベットの綴りまで全く一緒だったんだもの」
花丸「……やりたいんじゃないの?スクールアイドル」
ルビィ「えっ!?……で、でも、花丸ちゃんも知ってるでしょ?お姉ちゃんのこと」
花丸「うん……でも、それだとルビィちゃんは……」
ルビィ「本当はね、あの日からずっと考えてたことがあったの」
ルビィ「ルビィもスクールアイドルを嫌いにならないといけない、って」
花丸「っ!?…………どうして?」
ルビィ「お姉ちゃんが見たくないってものを、好きでいられないもの……」
花丸「そんな……」
ルビィ「でも、好きなものを嫌いになるのって、すごく難しいね」
ルビィ「ダメだと思っても、今も家でこっそり雑誌を読んじゃうんだ」エヘヘ
花丸「ルビィちゃん……」 ルビィ「それに……花丸ちゃんはやってみたくない?スクールアイドル」
花丸「っ!?まる!?ないない!」ドキッ
花丸「いつも言ってるけど、運動苦手だからやるのはちょっと……」
ルビィ「くすっ、じゃあルビィも平気だよ。この本、本棚に返してくるね」
花丸「うん。ありがとう……」
花丸(ダイヤさんのことを思うルビィちゃんの気持ちも分かるけど)
花丸(自分の気持ちに嘘をつき続けるルビィちゃんを見てるのは)
花丸(とても辛かったでした……)
花丸(翌日まるは、少しでもルビィちゃんの迷いを取り除こうと)
花丸(『体験入部』という形で、一緒にスクールアイドル部に参加しました)
花丸(千歌さんから淡島神社で走り込みをすることを聞いたまるは)
花丸(久しぶりに『あの人』に声をかけました……) ――体験入部当日 生徒会室
トントン
ダイヤ「どうぞ」
花丸「失礼します」ガチャ
ダイヤ「あら……あなたは」
花丸「お久しぶりです、ダイヤさん。花丸です」
ダイヤ「花丸さんっ……お久しぶりですわ。それで、今日はどのようなご用件で……」
花丸「ダイヤさん。早速で申し訳ありませんが、お願いがあります」
ダイヤ「え?」
花丸「ダイヤさんがいつもご多忙なのは分かっています。ですが……」
花丸「大事なお話がしたいので、放課後、淡島神社のテラスに来て頂けますか?」
ダイヤ「……え?ここで話すのはダメなのですか?」
花丸「はい。それと、そこでどうしても『見て欲しいもの』もあるので」
ダイヤ「……………………」
ダイヤ「…………分かりましたわ」
ダイヤ「ルビィの大事なご友人のお願いを、無下にするわけにはいきませんものね」
花丸「ありがとうございますっ」ペコッ 花丸(本当はこの時、ダイヤさんに聞きたいことが山ほどありました)
花丸(グループ名のこと、理事長の鞠莉さんのこと、先代Aqoursを解散した理由……)
花丸(けど、それは全部後回しにしてダイヤさんに見て欲しかった)
花丸(ルビィちゃんがスクールアイドルになるために頑張る姿を)
花丸(そして聞いて欲しかった)
花丸(ルビィちゃんのスクールアイドルに対する『熱い思い』を)
花丸(どうしてダイヤさんがスクールアイドルを嫌いになったのかは分からないけど)
花丸(でも、それでルビィちゃんが夢を諦めちゃうのは、絶対におかしいから……!) ――夕方 淡島神社・ロックテラス
花丸「……ダイヤさん」
ダイヤ「待ちましたわ花丸さん」
ダイヤ「それで……なんですの?こんなところに呼び出して」
ダイヤ「大事な話と、見せたいものがあるということですが」
花丸(正直、話す前は緊張したし、プレッシャーに押し潰されそうになったけど)
花丸(ルビィちゃんのためにも『絶対に言わないといけない』という気持ちが後押しして)
花丸(開口一番、ダイヤさんにこう伝えました)
花丸「あの、ルビィちゃんの話を……」
花丸「ルビィちゃんの気持ちを……聞いてあげてください」
ダイヤ「ルビィの……それが、花丸さんの言う大切な話なのですか?」
花丸「はい」 花丸「……間もなくルビィちゃんはここに来ます」
ダイヤ「えっ、ルビィが?」
花丸「はい。まるとルビィちゃんは今、スクールアイドル部の体験入部に参加しています」
花丸「ルビィちゃん、スクールアイドルを目指して一生懸命頑張っています」
花丸「その姿を、ダイヤさんに見て欲しくてここに来てもらいました」
ダイヤ「……………………」
花丸「ルビィちゃんには、ダイヤさんがここに来ることは伝えてありません」
花丸「ダイヤさんの姿を見たら、きっとルビィちゃんは驚くと思います」
花丸「でも……あの子は絶対に『本当の気持ち』を伝えますから」
花丸「だから……ちゃんと、聞いてあげてください。お願いしますっ!」ペコッ
ダイヤ「花丸さん……」
花丸「それでは、失礼します!」タッタッタッ
ダイヤ「あっ……!」
花丸(……それから先のやり取りは、その場を後にしたまるには分からないけど)
花丸(まるの信じたとおり、ルビィちゃんはしっかりダイヤさんに思いを伝えたそうで)
花丸(翌日、ルビィちゃんは正式にスクールアイドル部の部員となりました)
花丸(これでいい。これでいいんだ……)
花丸(ルビィちゃんの夢を叶えることが、まるの夢だから……そう思っていました)
花丸(けど……ルビィちゃんは) ――翌日 図書室
花丸「さてと、今日は新刊の整理から始めようかな……」本トントン
ガラガラ
ルビィ「花丸ちゃんっ!!」
花丸「ずらっ!?ルビィちゃん!?」ビクッ
ルビィ「……ルビィね!花丸ちゃんのことずっと見てたよっ!」
花丸「…………えっ?」ドキッ
ルビィ「初めて会った時から、ルビィに気を遣って」
ルビィ「スクールアイドルの話を聞いてくれてたんじゃないかって……」
ルビィ「今回の体験入部だって、無理して付き合ってくれてたんじゃないかって」
ルビィ「本当は不安に感じてたの……でもっ!」
ルビィ「練習中も、みんなとお喋りしてる時も、花丸ちゃんとても嬉しそうだった!」ジワッ
ルビィ「花丸ちゃんも、ルビィと同じくらいスクールアイドルが好きなんだって」
ルビィ「今なら胸を張って言えるよ!」
花丸「ルビィちゃん……」
ルビィ「ルビィね……花丸ちゃんと一緒にスクールアイドルがやりたいって」
ルビィ「『あの時』からずっと思ってた、一緒に頑張れたらって!」机バンッ
『もちろん、その時は花丸ちゃんも一緒だよっ!頑張ろうね!』
『ずらっ!?オラも!?』
花丸(あの時のこと……ルビィちゃんずっと覚えてたんだ……) ルビィ「ルビィ、スクールアイドルがやりたい……花丸ちゃんとっ!!」
ルビィ「そしてお姉ちゃんにルビィたちのライブを見てもらって」
ルビィ「また好きになってもらおうよっ!スクールアイドルを!!」
花丸「っ!!」
花丸(目に涙を浮かべて必死に誘ってくれたルビィちゃんの姿に心を打たれて)
花丸(まるももらい泣きしそうになりました……どうにか堪えたけど)
花丸(こんな経験、今までしたことがなかったから、本当に嬉しかった……)
花丸(それにルビィちゃんは、ダイヤさんのことを諦めてなかった)
花丸(ダイヤさんに『またスクールアイドルを好きになってもらおう』と)
花丸(これが、自分の気持ちに素直になったルビィちゃんの本音なんだと……)
花丸(この一言で、まるが胸にしまいこんでいた『あの夢』が再び蘇りました)
花丸(『3人一緒にスクールアイドルになってステージ立つ』という夢を……)
花丸(そして……まるは、国木田花丸は……)
花丸(スクールアイドル部の、Aqoursの5人目のメンバーになりました) ――
花丸(……それから、入学早々不登校になった善子ちゃんもAqoursのメンバーに加わり)
花丸(東京のライブに出場して『最下位』『得票数0』という辛酸を嘗めたものの)
花丸(それがきっかけで、ついにダイヤさんの口から『真実』を聞くことが出来ました)
花丸(東京のライブの前に鞠莉さんが足を怪我して、出場を辞退したこと)
花丸(ダイヤさんともう1人のメンバーである果南さんが)
花丸(鞠莉さんの将来のことを思い留学を勧め、スクールアイドル活動を終了させたこと)
花丸(そしてダイヤさんは、他の生徒たちに同じ思いをして欲しくないがために)
花丸(生徒会長就任後、スクールアイドル活動を一切禁止していたこと)
花丸(自身も『スクールアイドルが大好き』という気持ちを封印して……)
花丸(……けれど、そんなダイヤさんの思惑とは裏腹に)
花丸(スクールアイドル部を立ち上げようとした千歌ちゃんたちの姿に)
花丸(口では否定し続けながらも、『新たなる希望』を感じていたみたいで)
花丸(かつての自分たちのグループ名『Aqours』を砂浜にこっそり書いて)
花丸(千歌ちゃんたちに密かにグループ名を受け継がせたそうです)
花丸(鞠莉さんも、ダイヤさんと果南さんと再スタートを切るために)
花丸(留学のカリキュラムを早々に終わらせて、浦の星の理事長に就任)
花丸(今までスクールアイドル部に良くしてくれていたのも、そのためでした)
花丸(これが、今までまるが疑問に抱いていた事柄の全貌でした) 花丸(そして、頑なに『スクールアイドルに復帰しない』と拒んでいた果南さんも)
花丸(心の奥底ではずっと後悔し、くすぶり続けていたそうです……)
花丸(……紆余曲折ありましたが)
花丸(ダイヤさんたちは、それぞれが抱いていた想いを全て打ち明けて和解し)
花丸(そして……)
『親愛なるお姉ちゃん……おかえりなさい、Aqoursに!』
『ルビィ……』
花丸(…………こうして、まるとルビィちゃんとダイヤさん)
花丸(『3人でスクールアイドルとしてステージに立つ』というまるの長年の夢が)
花丸(沼津の花火大会のライブで、ついに現実のものになりました)
『言葉だけじゃ足りない』
『そう言葉すら足りない』
『故にすれ違って 離れて』
『しまったことが』
『悲しかったの ずっと』
『気になってた』
――――――
――――
―― ――現在 淡島神社・ロックテラス
千歌「……はい!これで撮影終了です!みんなお疲れ様でしたー!」
全員「お疲れ様でしたー!」
ルビィ「この写真が、新聞部の記事に使われるんだよね?」
梨子「ええ。どんな記事になるか楽しみね」
善子「『新生Aqours!9人の選ばれし堕天使、浦女に降臨す』という見出して……」フフフ
曜「それじゃあ、機材片付けて下山しようか!」
花丸「分かったずら〜」
善子「ちょっとぉ!?無視しないでよ〜!?」
ルビィ「あははは……」
ダイヤ「すみません、みなさん」
鞠莉「ん?どうしたのよダイヤ?」
ダイヤ「ルビィと花丸さん、ここで2人にお話したいことがあるので」
ダイヤ「みなさんは先に下山して頂けますか?」
ルビィ「え?」
花丸「まるたちに話したいことって?」 果南「……分かった。ダイヤの言うとおり、わたしたちは先に下りようか」
果南「いいよね?千歌」
千歌「え?うん。果南ちゃんがそう言うなら」
鞠莉「果南……」
果南「それじゃ、わたしたちは先に家に戻ってるから」
果南「……ちゃんと2人に話してあげてね。わたしも鞠莉に言うからさ」ヒソヒソ
ダイヤ「ええ。分かっていますわ……」ヒソヒソ
梨子「それじゃダイヤさん、花丸ちゃん、ルビィちゃん、また後でね」
花丸「うん」
ルビィ「またね、梨子ちゃん」 花丸「みんないなくなっちゃったずら」
ルビィ「……それでお姉ちゃん。ルビィたちに話って?」
花丸「そうそう、さっきから気になってたずら」
ダイヤ「ルビィ、花丸さん」
ルビィ・花丸「え?」
ダイヤ「2年もの間、お二人には大変ご迷惑をかけてしまいましたわね」
ダイヤ「だから……この場でお詫び申し上げます」
ダイヤ「本当に、申し訳ありませんでした」ペコッ
ルビィ「ちょ!?お姉ちゃん!?」
花丸「頭を上げてダイヤさん!?まるたち、ちっとも気にしてないから!」手ブンブン
ダイヤ「いいえ。Aqoursに復帰してから、こういう機会が皆無でしたから……」
ダイヤ「それにこの場所は、ルビィがわたくしに対してハッキリと」
ダイヤ「『スクールアイドルをやりたい』と本音をぶつけてくれた、思い出の場所です」
ルビィ「あっ……そう言えばそうだった」
花丸「……………………」
ダイヤ「だから、ちゃんと謝らせてください。お願いします」
花丸「……ルビィちゃん」
ルビィ「うん。分かったよ、お姉ちゃん」 ――
ダイヤ「わたくしたち3年生がAqoursを結成して、解散したことは」
ダイヤ「全てわたくしたちの自己責任でした……なのに」
ダイヤ「心の中では『解散した』という現実を受け入れることが出来ずにいて」
ダイヤ「その行き場のない苛立ちを、何の罪もないルビィにぶつけてしまった」
ダイヤ「あの時のわたくしは、本当にどうかしていました……」
『片付けて、それ見たくない……』
ルビィ(あっ、あの時のこと……)
ダイヤ「そして花丸さん」
ダイヤ「何度も自宅に遊びに来てくれたのに、解散以降めっきり来なくなって……」
ダイヤ「わたくしが雰囲気を悪くしたせいで、遊びに行きづらくなったんですよね?」
花丸「そ、それは……その」タジタジ
ダイヤ「いつもみたいにハッキリ言って下さって結構ですわ」
花丸「……………………」
花丸「…………はい。ルビィちゃんとは、まるの家や図書室で過ごしていました」
花丸「スクールアイドルの話もそこで……」
ダイヤ「…………本当に、ごめんなさい」
ルビィ「お姉ちゃん……」
ダイヤ「お二人も、わたくしに対して鬱憤が溜まっていると思います」
ダイヤ「だから、この場で全部吐き出してください」
ダイヤ「全て、受け止めますから……」 花丸「……ダイヤさん」
花丸「それなら遠慮しないでハッキリ言います」
ダイヤ「はい」
花丸「正直……あなたのことを嫌いになりそうになった時期がありました」
ダイヤ「っ!!」ビクッ
ルビィ「花丸ちゃん!?そうだったの……?」
花丸「だって……だって…………」
花丸「スクールアイドルを辞めた本当の理由を」
花丸「ルビィちゃんにいつまで経っても話してくれなかったから」
花丸「ルビィちゃん……ずっと肩身の狭い思いをしていたんですよ……?」
ダイヤ「…………返す言葉も、ありません」
花丸「それに……スクールアイドル部に入る前、ダイヤさんを思って」
花丸「『スクールアイドルを嫌いにならないといけない』って」
花丸「『ダイヤさんが見たくないものを好きでいられない』って」
花丸「まるに吐露したんですよ?」
花丸「本当は、スクールアイドルが好きで好きでたまらないのに……」
ダイヤ「っ!?そんな…………」
ルビィ「は、花丸ちゃん、もういいよぉ……」タジタジ 花丸「……でも、まるもダイヤさんに謝らないといけないことがあります」
ダイヤ「……えっ?」
花丸「あれだけスクールアイドル部を頑なに認めなかったのは」
花丸「昔の自分たちみたいになって欲しくなかったから……」
花丸「千歌ちゃんに厳しく接していたのも、ダイヤさんなりの心遣いだったんですよね?」
ダイヤ「……………………」コクッ
花丸「それにダイヤさんは……決してスクールアイドルが嫌いになった訳じゃなかった」
花丸「ルビィちゃんの想いに応えて、ちゃんと入部を許可してくれたし」
花丸「東京のライブの結果がダメだった時も、迎えに来てルビィちゃんを慰めていた」
花丸「まるが初めて知り合った時の、厳しくも優しいダイヤさんのままだった……」
花丸「まるは、少しでもダイヤさんを嫌いになりそうになったことを」
花丸「恥ずかしくて……とても情けなく感じました……」
花丸「だから……まるも、ごめんなさいっ!」ペコッ
ダイヤ「花丸……さん…………」 ルビィ「お姉ちゃん」
ダイヤ「ルビィ……」
ルビィ「ルビィもね。本当のことを言うと、すごく辛かったの。この2年間」
ルビィ「あれだけ大好きだったスクールアイドルの話が突然出来なくなって……」
ルビィ「もっと一緒にμ’sのライブDVDが観たかった……」
ルビィ「もっと一緒にμ'sのダンスの振り付けを覚えたかった……」
ルビィ「もっと早く、ルビィにスクールアイドルを辞めた理由を話して欲しかった……」
ダイヤ「……………………」ジワッ
花丸「ルビィ……ちゃん……」
ルビィ「でも……お姉ちゃんも辛かったんだよね?」
ルビィ「本当はスクールアイドルが大好きなのに、その気持ちを隠し続けてきて……」
ルビィ「花丸ちゃんと同じで、ルビィもお姉ちゃんの気持ち、今ならよく分かるから」
ダイヤ「……………………ぐすっ」ウルウル ルビィ「それにね?ルビィ……今とても幸せなんだ」
ルビィ「大好きな花丸ちゃんと……大好きなお姉ちゃんの3人で」
ルビィ「Aqoursのメンバーとしてスクールアイドルをやっている……」
ルビィ「昔から抱いていた夢が、ようやく叶ったの」
ルビィ「『3人でスクールアイドルになって同じステージに立つ』っていう夢が!」
ルビィ「そう、『いまが最高』なのっ!」
ダイヤ・花丸「!!」
『今が……最高なんだよぉ!』
『そうですわっ!「いまが最高」ですわぁ……!』
『そ、そうだね。最高だね……』
ルビィ「だから!空っぽの2年分、これから目一杯……楽しもうよ?」ジワッ
ルビィ「スクールアイドルを……Aqoursを!……ぐすっ、ううぅっ」ポロポロ
ダイヤ「……ルビィ!!」ギュ
花丸「ルビィちゃあん!!」ギュ
ルビィ「おねえ……ちゃあ……はなまる、ちゃあん……えうぅ」ポロポロ
ダイヤ「ありがとう……本当にありがとう……大好きですわ2人ともっ!」ポロポロ
花丸「ルビィちゃぁん、ダイヤさぁん……まるも2人が大好きずらぁ〜!」ポロポロ ――
ダイヤ「……まったく、年甲斐もなく思いっきり号泣してしまいましたわ」ズズッ
花丸「初めてライブDVDを一緒に観た時のことを思い出しちゃったずら」フフッ
ルビィ「花丸ちゃん、ルビィの目腫れてない?」
花丸「うん。大丈夫ずら……まるもどうかな?」
ルビィ「大丈夫だよ。これならみんなに気付かれないと思うから」
ダイヤ「……これで、ようやくあの頃の3人組に戻れた気がしますわ」
ルビィ「そうだね」クスッ
花丸「2人のスクールアイドルに対する熱意が強くて、いつも火傷しそうだったずら〜」
ルビィ「ははっ、でも花丸ちゃんもスクールアイドルが好きになってくれて嬉しいよ」
花丸「うん!」
花丸「……それにしても、懐かしいね。このテラス」
ダイヤ「そうですわね。ほんの数ヶ月前の話ですが」
ルビィ「花丸ちゃん、お姉ちゃんとここで会ったことがあるの?」
花丸「会ったもなにも、体験入部の時まるがダイヤさんをここに呼び出したずら」
ルビィ「えっ、そうだったの!?」
ダイヤ「ええ」
ダイヤ「花丸さんに『ルビィの気持ちを聞いてあげてください』と言われましてね」 花丸「それで、ルビィちゃんはダイヤさんにちゃんと話したんだよね?」
ルビィ「うん。でも、あの時は本当に驚いちゃったよ」
ルビィ「千歌ちゃんたちとテラスで休憩しようとしたら、お姉ちゃんがいたんだもの」
ルビィ「しかも、すごく怖い顔してたし……」
ダイヤ「……ごめんなさい。あの時わざとプレッシャーをかけておりましたわ」
ルビィ「そうだったの!?」
ダイヤ「ええ。ルビィがどれだけ本気なのか確かめたくて……」
ダイヤ「……ですが、ルビィはわたくしのプレッシャーにも臆することなく」
ダイヤ「ちゃんと『スクールアイドルがやりたい』という思いを伝えてくれましたわ」
花丸「すごいずら、ルビィちゃん!」
ルビィ「えへへ……あの時は、花丸ちゃんに言われたことを思い出してね」
『自分に嘘ついて、無理に人に合わせても辛いだけだよ』
『ルビィちゃんはスクールアイドルになりたいんでしょ?』
『だったら、前に進まなきゃ!』
ルビィ「それに……千歌ちゃんたちも一緒にいてくれたから」
ルビィ「不思議と勇気がもらえた気がしたんだ」
花丸「オラもルビィちゃんの勇姿を見たかったずら〜」
ダイヤ「花丸さん。あの時ルビィが何て言ったのか、教えて差し上げましょうか?」
ルビィ「ちょ、お姉ちゃん!?///」
花丸「え?『スクールアイドルがやりたい』じゃないずら?」
ダイヤ「確かにそうなのですが、この話には続きがありましてね……」 ――
――――
――――――
ルビィ「お姉ちゃん。ルビィ……ルビィね!」
ルビィ「スクールアイドルがやりたいのっ!」
ルビィ「花丸ちゃんと……一緒にっ!!」
ダイヤ「…………え?」
千歌・梨子・曜「ルビィちゃん……」
――――――
――――
――
花丸「オラと一緒に……」
花丸「図書室でも同じことを言われたずら……///」
ダイヤ「あの時のルビィの顔つきは実に精悍で、今でも脳裏に焼き付いていますわぁ」
ルビィ「お、お姉ちゃん!恥ずかしいよぉ!///」
花丸「何だか照れるずら……ルビィちゃん、そこまでまると……///」
ルビィ「う、うん。だって、花丸ちゃんはルビィにとって初めての親友だったから」
ルビィ「花丸ちゃんが嫌じゃなかったら、一緒にやりたかったの」
花丸「ルビィちゃん……///」
ルビィ「本当はね、『お姉ちゃんも一緒に』って続けて言いたかったんだけど」
ルビィ「あの時はルビィと花丸ちゃんのことを言うので精一杯で……」
ダイヤ「そうだったのですね。気を遣わせてしまい、ごめんなさい……」
ルビィ「謝らないでお姉ちゃん。もう気にしてないから」 ――
ダイヤ「さて、そろそろ下山しましょうか」
ルビィ「そうだね。みんな果南ちゃんの家に戻ったんだよね?」
ダイヤ「ええ。きっとテラスで休憩をしているのでしょう」
花丸「あ……あの、2人とも」
ダイヤ・ルビィ「え?」
花丸「まる、ね?……ずっと前から言いたかったことがあるずら」
ルビィ「なに?」
花丸「ルビィちゃん。まるの最高の友だちになってくれて、ありがとう」
ルビィ「花丸ちゃん……///」
花丸「ダイヤさん。スクールアイドルの素晴らしさを教えてくれて、ありがとう」
ダイヤ「花丸さん……///」
花丸「2人に出逢えて、スクールアイドルを始められて……」
花丸「まるも、いまが最高ずら〜!!」
「3人一緒に」
おわり おまけ
「果南のごめんなさい」
――果南の家
鞠莉「ルビィと花丸に謝りたかった?」
果南「そう。ダイヤ、わたしたちがスクールアイドルを辞めたせいで」
果南「ルビィちゃんに長い間、辛い思いをさせてしまったことへの謝罪をしたいって」
鞠莉「ルビィは分かるけど、花丸にも?」
果南「花丸ちゃん、昔はよくダイヤとルビィちゃんの家に遊びに行ってたそうだけど」
果南「先代のAqoursを解散した後、行きづらくなっちゃったみたいでね……」
鞠莉「……どうして、わたしには一言も話してくれなかったの?」
果南「鞠莉は『謝る側』じゃなくて、『謝られる側』だから」
鞠莉「え?」
果南「わたしは、鞠莉の将来のためにと思って留学を勧めたけど」
果南「それは鞠莉の意見もろく聞かずに強引に押し進めたものだったから」
果南「ダイヤも賛成してくれたけど、今思うと、わたしの独善だったんだよね……」
鞠莉「……………………」
果南「だから……わたしもちゃんとあなたに謝りたい」
果南「桟橋でハグを拒んだこと、弁天島で酷いことを言ってしまったこと」
果南「衣装を屋上から投げ捨てたこと、その他にも色々と……」
果南「鞠莉、今まで本当にごめんなさいっ!!」
鞠莉「果南…………」 鞠莉「……じゃあ、ベンチに座ってくれる?」
果南「え?どうして……」
鞠莉「いいから」
果南「う……うん……」スッ
鞠莉「ごろにゃ〜ん♪果南の膝枕は寝心地がいいにゃ〜ん☆」スリスリ
果南「なっ!?鞠莉!?いきなり何を///」アワアワ
鞠莉「……謝らなくていいわ、果南」
果南「……え?」
鞠莉「あの時、果南とダイヤが留学を勧めてくれたから」
鞠莉「今のわたしがいるのは間違いないんだし、むしろ感謝しているのよ?」
果南「そんな……でもわたし、戻ってきた鞠莉に散々ひどいことを……」
果南「あの時だって、『誰かが傷つく前に』って言っておきながら」
果南「一番鞠莉を傷つけていたのは、わたしだったのに……!」
鞠莉「そうね。果南に何度も突き放されて……同じくらい何度も泣いたっけ」
果南「っ!!…………ごめん、なさい……」
鞠莉「だーかーらっ!謝罪はノーサンキューよ?」頭スリスリ
果南「ちょ、ちょっと!くすぐったってば!?」 鞠莉「今こうして果南とダイヤと一緒にスクールアイドルを再開して」
鞠莉「千歌っちたちともフレンドリーになって、9人でラブライブを目指している」
鞠莉「『いまが最高』ってね!」
鞠莉「この間みんなで観たμ’sのライブDVDで覚えちゃった」
果南「……そうだね。今こうやっているみんなといられる時間」
果南「わたしも最高だと思ってるよ……」
鞠莉「だからこの空白の2年分、思う存分スクールアイドルを楽しもうと思うの」
鞠莉「もちろん『浦の星の廃校を阻止する』という大事な目的もあるけれど」
鞠莉「果南とダイヤと、そしてみんな一緒に……ね?」
果南「うん……そうだね…………」
ポタッ
鞠莉(ん?頬に水滴?ウォーターにしては暖かい……)クルッ
果南「だ、だめっ!今は顔見ないで!!あと5秒待って!」ググッ
鞠莉「んぐぐぐぐっ!?ホワイ!?どうじで…………はっ」
鞠莉「…………分かったわ」
鞠莉(サンキュー、果南……)ニコッ ――数十分後
ダイヤ「遅くなってすみません。ただいま戻りましたわ」
梨子「あっ、ダイヤさんおかえりなさい」
千歌「花丸ちゃんとルビィちゃんもおかえり〜!」
花丸「ただいま千歌ちゃん」
ルビィ「……あれ?果南ちゃんと鞠莉ちゃんは?」
善子「……あそこよ、テラスのベンチにいるわ」
曜「鞠莉ちゃん、なんかお昼寝しちゃったみたいで……」
鞠莉「すぅ……すぅ……」zzz
果南「あっ、ダイヤおかえり」
ダイヤ「鞠莉さん、果南さんの膝枕でお昼寝しているのですか?」
果南「うん。気持ちよさそうに眠っているよ」
ダイヤ「果南さんも……鞠莉さんに謝ったのですか?」
果南「うん。あの時のことを全部ね。そしたら膝枕を要求されちゃった」
ダイヤ「まったく、鞠莉さんらしいと言うか……」
果南「ダイヤ」
果南「残りの高校生活、目一杯楽しもうね。みんなで一緒に」
ダイヤ「ええ……そうですわね」
「果南のごめんなさい」
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