鞠莉「私とルビィちゃんだけの秘密」 [無断転載禁止]©2ch.net
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私の知ってるルビィちゃんは人見知りで内気な女の子
まるで小動物みたいでじーっと見つめているとなんだか軽くつんつん…って突いてみたくなる
「ねぇ、ルビィちゃん」
二人きりの部室、暇になった私は唐突にルビィちゃんに話しける
「は、はい…?」
するとルビィちゃんは少しビクッと肩を揺らして返事をする
「なんだか私達二人だけの部室って、珍しくない?」
「う、うーん…確かにそうですね」
… … …
話が続かない… といってもそれもそのはずで私とルビィちゃんの関係はつい最近スクールアイドルとして一緒に活動する前はあくまで
【友達の妹】、【お姉ちゃんの友達】だった
いきなり仲良く今時の女子高生のように世間話をするのもおかしい話かもしれない 「あーーー…ルビィちゃんって、何か趣味とかあるのかしら?」
「趣味…ですか…」
「え、えっと…アイドルを見たり…服を…作ったりするの、好きです」
「へ、へぇー!」
わからない…
アイドルの鑑賞も裁縫も私の趣味ではなかった… 「あ!あとは………あ、やっぱりなんでもないです…………」
一瞬パーッと表情が明るくなったと思えば今度はすぐに頬を赤らめ俯いてしまった
「…?どうしたの?」
「いや…一人でべらべら喋りそうになっちゃって…えへへ、ごめんなさい」
私は首を傾げる 果たしてそれの何がいけないのだろうか
「んー?いいのよ全然!ルビィちゃんの話したい事話してくれたら私とっても嬉しいなーっ…て」 「あ、いえっ…本当に大丈夫です!」
ルビィちゃんが頬を真っ赤にして首を横に振る
「…ははーん、さては何か隠してる趣味を口滑らせそうになったんでしょー?」
ニヤニヤと私はルビィちゃんに詰め寄る
「えっ、あ、あのぅ…///」
ビンゴだ、これで今日の目的は決まったわね。
ルビィちゃんの隠された趣味を聞き出してみせるわ! 「ねぇねぇ、だーれにも言わないから私だけにでも教えてよ〜♪」
「えぇっ〜、は、恥ずかしいです///」
ふんふん、これは一筋縄では行かなそうだ
ここまで隠し通そうとしてると益々気になってしまうのよね
「そうだ!じゃあ賭けをしましょう!賭け!」
「賭け…ですか?」
「そう!私が賭けに負けたら私だけのとぉ〜〜〜〜〜〜っておきの秘密をト・ク・ベ・ツに!教えてあげる!」
「ただし私が勝ったら…ルビィちゃんの隠してる趣味を教えてもらうの♡」 割りとめちゃくちゃな賭けだったけどここは雰囲気でなんとか押しきれないかしら…
「えぇー…で、でも…」
「ほらほら、私の秘密よ?だ〜れも知らないのよー?」
「う、うーん…ちょっと気になる…かも……賭けって…どんな事をするんですか…?」
お、少し食いついてきた
「いえーい!よくぞ聞いてくれました!」
「それはですねー!えーっと………………えーと…………なにしよっか?」
「決めてなかったんですね…」 まずい、賭けの勝敗の決め方を考えていなかった
「え、えーっと…ジャンケン…とか…?」
「ジャンケンなんかで決めていいんですかね…」
だめだよねー…
「えーと、あ!じゃあ二人でダイヤの可愛いところと可愛くないところを言い合って先に言えなくなった方の負け!とか!」
「お、お姉ちゃんのですか?!」
「そう!!」 「じゃあ私から行くわよー!」
有無を言わさず賭けを始める
「ちょっ…待っ…」
「まず可愛いところ!ぼーっとしてる時に目の前で猫だましすると『ぴぎゃっ!』ってかわいい声で驚く!」
「おねえちゃんかわいそう…」
ルビィちゃんがジーっと私のことを見てくるけど気にしない気にしない
「次に可愛くないところ〜!えーっと…うーん…」
あれ…?全然浮かんでこない…頑固な所もあるけどあれはあれで可愛いのよね 「あっ!後ろから胸触ろうとすると絶対によけてくる所!」
「それは…かわいいかわくない以前にしちゃだめだと思います」
グサッ…私にとって女の子のお胸を触ることは軽いスキンシップなのに
「じー…」
ルビィちゃんの胸を凝視する
「びぃ!ぜ、絶対触らせませんからね!!」
「あら残念、慎ましいけどなかなか魅力的な…」
「〜〜〜〜〜!///」 ぷくーっと頬を膨らませこっちを睨んでくるが全く怖くない これがルビィちゃんのできる限りの怒りの表現なんだとしたら相当可愛い
「あはは、ごめんごめんって…さ、次はルビィちゃんの番よ?」
「えぇ?!これ続けるんですか?!」
「当然よ!どっちかが言えなくなるまで続くデスマッチよ!」
ふふんと誇らしげに言ってみる 一度は言ってみたかったのよね〜、デスマッチ 「じゃあ…可愛い所、私服でスカートを履く時一々ルビィに似合ってるかどうか聞いてくる」
「可愛くない所、食べ物に対する執着心が尋常じゃない」
「はい次鞠莉さんの番ですよ」
「はっや?!?!」
予想以上の速さで自分の順番が回ってきてつい声をあげてしまう
いくら何でも早すぎる…これが実の妹だからこそ成し得る技なのかしら… 「ちょちょちょちょっと待って!!そんなのずるいわ!」
ニコニコと笑うルビィちゃんに問いかける
「ずるいも何も賭けを提案してきたのは鞠莉さんですし」
あれ…?さっきまでのオドオドしてたルビィちゃんは何処に行ったのかしら…
「あー鞠莉さんのト・ク・ベ・
ツ、な秘密楽しみです」
あ、煽ってきた… 「ちょっとタンマ」
「だめですよー1分以内に両方言えなかったほうの負けですから!」
「そんなルール聞いてない?!」
「今付け足しました」
人は優位な位置に立つとこうも変わってしまうのね…勉強になった…
そんな事を考えていると部室のドアがガラガラと少し音を軋ませ、ドアの向こうからダイヤが顔を覗かせる 「あら…?今日は練習は休みの筈ですが…なぜルビィと鞠莉さんが?」
「え、えっ?!今日練習休みだったの?!」
ルビィちゃんがこっちを見つめてくる
ごめんなさい、私は知ってたけどルビィちゃんと二人きりになれる時間がなんだか面白くて…とは素直に言えない 気恥ずかしいし
「あれー?そうだったかしら」
とりあえず適当に誤魔化す 「何やってるんですか全く…って事はここで…30分近く二人で待っていたんですの?」
「貴女達が二人だけ…ってのもこれはまた珍しい組み合わせですわね」
口に手を当てダイヤがチラッとこっちを見つめてくる
「鞠莉さん、貴女またルビィに変な事を吹き込んでいたりしないでしょうね?」
「ちょちょっと!別に何もしてないわよ!」 「本当ですか…?まぁそれならいいんですけど」
ダイヤはまだジトーっ…と私のことを見つめてきている
数十分間同じ部屋に二人きりになっただけでこの疑われ様はあんまりだ…
「っと、こんな所で話してる場合じゃありませんわ…えーっとここらへんに…あ、あったあった」
ダイヤはそそくさと机の上に置いてあった書類を手に取り
「鞠莉さんはくれぐれもルビィに変な事を吹き込まないように、いいですわね?」
と言い残し部室を後にした ピシャ、とドアが閉められ足音も聞こえなくなってきた事を確認してから私は愚痴を漏らす
「ちょ〜〜っと?!貴女のお姉様私に対する扱いが酷くないかしら?!」
「アハハ…あれも信頼の証ですよ…たぶん」
ぷくーっと頬を膨らませてみたりする
「あ、そうだ鞠莉さん」
「…ん?どうしたの?」
「一分、経ちましたね」 「一分…?あ…」
一分という謎の時間を最初はなんの事かわからなかったけど、すぐに理解した
さっきのゲームの事か…
「約束ですよ。 教えてください、鞠莉さんのトクベツな秘密!」
にこにことこっちに詰め寄ってくるルビィちゃん
クンクン 慣れてくれたのかわからないけど結構距離が近い… かわいい 「あ、あれ〜?そんな事言ったかしら…?」
「あ!ずるいですよ!」
実は私はトクベツな秘密なんて持っていない
あれはルビィちゃんをその気にさせるためになんとなーく言ってしまっただけであって…
あるとすれば先日ダイヤが
「私のプリンが勝手に千歌さんに食べられてしまいましたわ!」
と言いちかっちを叱っていたがそのプリンを食べたのは私だという事ぐらいだ 「さぁはやく教えて下さい!」
そういいルビィちゃんは更に私との距離を詰めてくる
床に座ってる私の膝の上にルビィちゃんが乗ってる形だ
ルビィちゃんは人見知りはするけど慣れれば意外とガンガン来てくれる事が分かった
「え、えーーーっと…」 顔が近い…
早く教えてって言われてもトクベツな秘密なんて無いし…あ、いいこと思いついちゃった
秘密がないなら作っちゃえばいいのよね?
ちょっとだけ真夏の暑さと二人きりのこの空間に頭が混乱してたのかもしれない
少しだけ顔を前に突き出し、接触
私の唇とルビィちゃんの唇が、触れ合う 「…………。……?」
シーンと数秒間そのまま、唇と唇が接触したまま時間が流れる
「……?!?!///」
あれ、以外だ ルビィちゃんは何時もみたいに大声を出して恥ずかしがるのかと思ったけどその反応はかなり乙女ね
「あ、あはは…二人きりの部室で女の子同士なのにキスしちゃった これがトクベツな秘密…なんちゃって」 「ま、ままままままま、まま鞠莉さん?!///」
あ、やっと言葉らしい言葉が出てきた
「ごめんね〜?顔が近かったからつい…」
「これで秘密教えた事にならないかしら?なんて…」
「え、えええ、ええーーーっと!」
「きき今日の所はこれでな、な、納得しておいてあげます!!!!!」
相変わらず顔を真っ赤にしてるルビィちゃんはそう言ってくれた 冷静に振る舞って見せるけど、向こうの視界に映ってる私も多分
いや、きっと、真っ赤な顔をしているんだろう
「…あ!や、やっぱり納得できません!」
「え、えぇ?!納得してくれないの?!」
「な、納得できませんよこれじゃ!///」
ま、まぁ確かに勢いでなんとかしようとしてた感じはある… 「だ、だから…その…えーっと」
モジモジとこっちを見たり床を見たり なんだかハッキリしない様子なルビィちゃん
「…………?」
「ま、またこのゲームやりましょう!…二人きりで……っ……」
「……………………そ、それじゃ…私先に帰りますね!!!!また明日!」
ルビィちゃんはそれだけを言うと、すぐに部室から飛び出してしまった
ポカーンとしたまま私は一人部室に取り残されてしまった それから間を置くことなく直ぐにドアが開き、そこから曜がこちらを見つめていた
「わっ、鞠莉ちゃん!今ルビィちゃんが顔真っ赤にして走ってったけど、どしたの?」
「って、鞠莉ちゃんも顔真っ赤!確かに今日熱いけどそんなに真っ赤になるかなぁ…」
曜は不思議そうに首を傾げ話しかけてくる
「………私とルビィちゃんだけの秘密、かな」
夏の熱さと恋の熱さは似ている気がした
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