【SS】千歌 「人間オークション…?」 [無断転載禁止]©2ch.net
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司会 「さぁ紳士淑女の皆さま! 今宵も足を運んでいただきありがとうございます!」
司会 「是非今夜も、お好みの“商品”を見つけて、落札していってください!」
司会 「それでは早速最初の品は…っ! 若き女子高生!」
司会 「その名は…っ! 高海千歌ッ!!」
千歌 「…………。」ジャララ‥
……どうして、私がこんな目に
千歌 「…鎖、少し冷たいや」
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ーー 〜数時間前 浜辺〜
千歌 「はぁっ…はぁっ…ふぅっ…。やっぱり夜のランニングは気持ちいいなぁ」
曜 「海の風もあっていいよね。ちょっとここで休憩でもしようか」
千歌 「さんせーい! …あっ、水筒忘れて来ちゃった」
曜 「あ、私も。なんか買ってくるね」ダッ
千歌 「ありがとー、曜ちゃん」
黒服 「……今だ、取り押さえろ」 千歌 「……ん? こんな遅くに人?」
黒服 「…………」ガシッ!
千歌 「…!? ちょっ…何するの! やめ…っ! むぐっ…むぐぅぅっ…!!!」
千歌 「やめっ……あれっ…なんだ……か…ね…むく……」
千歌 「………。」スゥスゥ
黒服 「…よし、連れていけ」 曜 「千歌ちゃーん、お待たせ! ポカリでよかったー?」
曜 「………千歌ちゃん? おーい、どこ行ったのー?」
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ーー 〜オークション会場〜
千歌 「スタート価格…1000万」
千歌 「ははっ…本当に人に値段ついちゃうんだ」
司会 「さぁ、スタート価格は1000万となりました! 落札希望の方は、お手元の札を挙げ、値段を大声でお願いします!」
「1500万!」
「2000万!」
「4500万!」
千歌 「あぁ…買われちゃうんだ、私。人のモノになって、これから一生…」
千歌 「嫌だよぅ…お母さん……助けてよ…」
?? 「3億ッ!!!!」 「さ、3億…?」
「いきなりそんな値段…」ザワザワ
千歌 「あはは…3億…だって。そんなに千歌が欲しいんだ…あはっ……あはははっ…」
司会 「え、えっと…1番のお客様。3億円でよろしいのですね?」
?? 「えぇ、勿論」
司会 「ほ、他に落札希望の方は…」
カンカンッ!!
司会 「き、決まりましたっ! 1番、3億円で落札です!」 黒服 「おい、落札者の元へ行くぞ」ジャラッ
千歌 「はい………」
黒服 「…ラッキーだな、お前」
千歌 「へ?」
黒服 「いや…独り言だ」
黒服 「…! こ、これはこれは」 ?? 「あら、運んできてくれてたの?」
黒服 「はい。まさか落札者が自ら足を運んでいただけるとは」
?? 「買った商品は自分で取りに行きたいの」
黒服 「そうでしたか。…それでは落札金を」
?? 「はい、全額現金で。足りなかったら連絡ちょうだい」ドンッ!
千歌 (あの中…全部お金? すごい…) 千歌 「あ、あの…なんで私なんか」
?? 「あら、欲しがってた人は何人もいたじゃない。貴方みたいなチャーミングな娘、男性ならみんな欲しがるわ」
千歌 「でも、あなたは女性…」
?? 「…ふふっ、まだ気付いてないのね」
千歌 「……?」
?? 「このマスク、邪魔ね」スッ
千歌 「えっ…うそ!」 鞠莉 「ハァイ、千歌っち」
千歌 「ま、鞠莉ちゃん!」
鞠莉 「しーっ、あくまでここでは商品と落札者よ。弁えなさい」
千歌 「あっ…ごめん、えっと、ご主人…様?」
鞠莉 「……っ!」ゾクゾクッ!
鞠莉 「完璧よ、千歌っち。さ、行きましょ」
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ーー 〜小原邸〜
千歌 「その、ありがとう。あのままだったら私、変な人に落札されちゃうところで」
鞠莉 「私も千歌っちを変なヤツに渡したくなかったからね。なんとか落札できてよかった」
千歌 「3億円も…ごめんなさい。私、返せる自信が…」
鞠莉 「いいのよ、私が好きで落札したんだもの。気にしないの」
千歌 「鞠莉ちゃん…! ありがとう、じゃあ私はこれで」
鞠莉 「……どこ行くの?」 千歌 「どこって、家に…」
鞠莉 「…取り押さえなさい」
黒服 「はっ!」
千歌 「えっ…なんで! むぐぅっ…!」
鞠莉 「千歌っち、あなたは落札されたのよ? あなたに帰るところなんてない」
千歌 「鞠莉ちゃん…? 何を…」 鞠莉 「ねぇ千歌っち、出品されてた時首輪していたでしょ?」
千歌 「してたけど…それが?」
鞠莉 「あれ、すごく似合ってたよ」
千歌 「えっ?」
鞠莉 「だから、私も…」ジャララッ
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ーー 〜翌朝〜
千歌 「ねぇ鞠莉ちゃんっ! こんなの絶対おかしいよっ!」ジャララ
鞠莉 「…私だから許すけど、ご主人には様をつけるものよ」
千歌 「ねぇ聞いてる!? なんで首輪なんか付けられなくちゃいけないの!?」
鞠莉 「だって、昨日も逃げようとしたじゃない」
千歌 「ふざけないでよ! 鞠莉ちゃんは私を助けてくれたんじゃないの?」
鞠莉 「助けた…? 何言ってるの?」
鞠莉 「私はあなたを落札したのよ?」 千歌 「嘘…だって…」
鞠莉 「さ、行きましょう? 遅刻するわよ」グイッ
千歌 「ひ、引っ張らないでっ…!」
鞠莉 「言うことを聞かないペットには厳しくしないとねー」
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ーー 千歌 (全部勘違いだったんだ…鞠莉ちゃんは本当に、私が欲しくて落札しただけだったんだ)
曜 「あれっ、鞠莉ちゃーん! おはよーっ!」
千歌 「…! 曜ちゃん!」
曜 「あれっ、千歌ちゃん! 昨日どこいっちゃってたの? 心配したんだよ!」
千歌 「ご、ごめん、実は色々あって…。て、そうじゃなくて! 助けて!」
曜 「助けて…? 何から?」
千歌 「何からって、これ見てよ! 首輪!」
曜 「……へー、似合ってるじゃん」 千歌 「え? 何言ってるの曜ちゃん…」
曜 「千歌ちゃん、鞠莉ちゃんのモノになったんでしょ?」
千歌 「違う! 私は…!」
鞠莉 「千歌っち? あなたは私に買われたのよ?」
曜 「ほらやっぱり。千歌ちゃん、あんまりご主人を困らせたらダメだよ?」
千歌 「嘘…嘘だよ…曜ちゃん…なんで…」 鞠莉 「…そろそろ学校ね。首輪は外しといてあげる」カチャッ
千歌 「かはっ…! げほっ…けほっ…!」
鞠莉 「逃げようとしても無駄よ。黒服が見張っててくれてるから」
千歌 「そ、そんな…」
鞠莉 「じゃ、また放課後ね」
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ーー 〜午前 授業中〜
千歌 (…なんにも変わらない。私以外は、なんにも変わってない)
千歌 (周りの反応からして、多分私が鞠莉ちゃんに買われたことを知ってるのは曜ちゃんだけ)
千歌 「……。」スッ
千歌 < ねぇ曜ちゃん
曜 < 何? 授業中だよ 千歌 < なんで助けてくれなかったの?
曜 < 助ける? 何から?
千歌 < 鞠莉ちゃんからだよ! 首輪で繋がれてたのみたでしょ?
曜 < だって鞠莉ちゃんが買ったんだもん。逃げないようにしておくのは当然でしょ?
千歌 < 曜ちゃん正気? それになんでオークションのこと曜ちゃんが知ってるの?
曜 < 教えてもらったんだよ、昨日の夜
千歌 < 鞠莉ちゃんから? 曜 < 嬉しそうだったよ。千歌ちゃんを落札できて
千歌 < そんな…
曜 < それに、私が助ける必要なんてないよ
千歌 < なんで!? 私このままだと自由にお出かけも…
曜 < だって千歌ちゃんは、もう“助けられてる”もん 千歌 < 助けられてる?
曜 < 気になるなら鞠莉ちゃんに聞いてみれば? 私も実はよく知らないし
千歌 < …分かった
千歌 (助けられてる…? 私を束縛してるのに? どういうことなんだろう)
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ーー 〜放課後〜
キーンコーンカーンコーン
鞠莉 「ハァイ! 千歌っち、迎えに来たよ!」
千歌 「…っ!」ビクッ!
鞠莉 「このまましれっと帰れると思った? でも残念」ジャララッ
千歌 「く、首輪……嫌だ……」
鞠莉 「…さ、帰りましょ」
千歌 「…はい」
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ーー 〜帰り道〜
千歌 「…ねぇ、鞠莉ちゃん」
鞠莉 「千歌、外では様をつけて呼んで」
千歌 「なんで?」
鞠莉 「なんでも。家ではいつも通りでいいから」
千歌 「…じゃあ小原様、なんで曜ちゃんにオークションのこと教えたの?」
鞠莉 「あぁ…そのこと」
千歌 「会場で仮面してたってことは、匿名参加なんだよね? ならオークションのことは、あまり知られない方がいいんじゃないの?」
鞠莉 「そうね、そもそも違法な行為だし」
千歌 「じゃあなんでっ!」 鞠莉 「…私が曜を信頼してたから。それと…」
千歌 「それと?」
鞠莉 「いいえ、なんでもないわ。千歌っちは何も知らなくていい」
千歌 「そんなっ!」
鞠莉 「千歌っち、今は黙って私の言うことを聞いて。すぐに楽になれるから」
千歌 「ら、楽になれるって…」
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ーー 〜善子宅〜
善子 「今宵もよく集まってくれたわね、リトルデーモン」
善子 「今日の配信はここまで。次はまた明日…」
「ヨハネ様! この間の都市伝説のことなんですけど」
善子 「都市伝説…。あぁ、確か最近起きてる失踪事件のことよね。調査を依頼してたんだった」
善子 「で、リトルデーモン。なにか進歩はあったかしら?」
「どうやら、裏で大金持ちが人を誘拐して売買してるそうです」
善子 「……ありがちな話ね」 善子 「人間の売買…さしずめ人間オークションと言ったところかしら」
「証拠として、夜な夜な金持ちが集まっている場所があるみたいです」
善子 「へぇ…」
「表向きは交流パーティってなってるみたいなんですがね…」
善子 「…ちょっと気になるわね」
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ーー 〜鞠莉邸〜
鞠莉 「じゃ、私出掛けてくるわね」
千歌 「…行ってらっしゃい」
千歌 「……そろそろ行ったかな」
千歌 「あの車、前にオークションに行ってた時に使ってた…。多分今日も…」
千歌 「…よし」
黒服 「…………。」スゥスゥ 千歌 「鞠莉ちゃんの衣装部屋…。これでいいかな」
千歌 「うぅ、ちょっと丈が合わないかも…歩きにくいよぉ〜…」
千歌 「…! へいタクシー!」
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ーー 〜オークション会場〜
黒服 「ようこそいらっしゃいました。番号札をどうぞ」
鞠莉 「ふふっ、安定の一番乗りね」
黒服 「こちら、本日の商品リストでございます。本日も上物が揃っております」
鞠莉 「ふむ……なるほど」パラパラ
鞠莉 「……計画通り、ね」ニヤッ
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ーー 千歌 「早く! 急いで!」
運転手 「あの車を追えばいいのでしょう?」
千歌 「はい! でもなるべく気付かれないように!」
運転手 「はぁ…。でも一体どうして…」
運転手 「……ッ!! まさか…」
千歌 「どうしたんですか?」
運転手 「その…あの車の持ち主、まさか小原様では…」
千歌 「あれっ、知ってるんですか? まぁここら辺じゃ有名か…」
キキーッ!! 千歌 「わわっ! 急に止まらないでくださいよー!」
運転手 「お客様、代金はいりません。なので早く降りてください」
千歌 「な、何でですか!?」
運転手 「いいから早くっ! それか引き返しますか!?」
千歌 「…なにかまずいことでも?」
運転手 「関わりたくないんですッ! 多分今夜も…あるのでしょう?」
千歌 「ある…って、まさかオークションのこと」
運転手 「私があなたを乗せたことは絶対に誰にも言わないでくださいね!?」 千歌 「結局降ろされちゃった…仕方ない、歩かなきゃ」
千歌 「…あれ、もしかしてあの建物って」
千歌 「! やっぱり、あれがオークション会場だ」
千歌 「裏口とか…ないよね」
黒服 「…! 誰だっ!?」
千歌 「ひぃっ!」ビクッ! 黒服 「…その服、お客様ですか?」
千歌 「え、えっとぉ…そ、そうです…わよ?」
黒服 「でしたら、招待状を確認いたします」
千歌 「げっ…し、しまったぁ…」
千歌 「あ、あのっ! 私、小原鞠莉さんの紹介でっ!」
黒服 「小原様…? なるほど、大変失礼いたしました。こちら番号札、80番です」
千歌 「ご、ごきげんよう」
黒服 「………。」ニヤッ 〜オークション会場〜
司会 「決まりましたっ! 6000万!」
女の子 「うぅっ……ぐすっ…」
千歌 「ほ、本当にこんなこといつも…」
千歌 「…! いた、鞠莉ちゃん!」
千歌 「あの様子だと、まだ誰も落札してないのかな?」
鞠莉 「……次ね」 司会 「さぁ、本日は次が最後の商品となります! 多少言動に難がありますが、容姿は折り紙つき!」
司会 「どのように扱うもお客様方次第! 紹介しましょう!」
司会 「津島 善子ッ!!」
千歌 「…っ!? 善子ちゃんっ!?」
善子 「は、離してよっ! 私はただ散歩しててっ!」 「あの娘、会場に探りを入れてたらしいわよ」
「あら、すごい度胸じゃない」ヒソヒソ
「ぼ、僕、落札…しちゃお…うかな…」ハァハァ
善子 「うぅっ…なんでぇ…」ビクビク
司会 「それでは行きましょう! スタート価格1000万!」
「2000万!」
「ろ、6000万!」
千歌 「ど、どうしよう。このままじゃ善子ちゃんがぁ…」 鞠莉 「…1億っ!」バッ!
千歌 「…っ!!」
千歌 「鞠莉ちゃん…私だけじゃなくて善子ちゃんまで!?」
千歌 「…そんな酷いこと、させないっ!!」
千歌 「1億2000万っ!!」バッ!
鞠莉 「…っ!? 今の声…!」 鞠莉 「千歌っち!? どうしてここに!?」
千歌 「げっ…まずい…」ササッ!
鞠莉 「どいてっ! 待ちなさいっ!」
鞠莉 「…ッ! どこに行ったの…」
カンカンッ!!
司会 「決まりましたっ! 本日最後の落札者は80番の方! 1億2000万円ッ!!」
鞠莉 「…! し、しまった!」 千歌 「…はぁっ…はぁっ…! ど、どうしよう…! つい入札しちゃったよぉっ!」
千歌 「と、とにかく鞠莉ちゃんが買うことは防げたし! 何とかして善子ちゃんを……わぷっ!」
黒服 「大丈夫ですか? お客様」
千歌 「あっ、あわわ…す、すいません…」
黒服 「…おや? お客様、確か先ほど落札された方ですね? ちょうど良いところでした、商品の準備が出来ております」
千歌 「えっ! しょ、商品!?」
黒服 「さぁ、こちらへ」
千歌 (ま、まずい…まずいよぉ…!)
ーーーーーー
ーーーー
ーー 善子 「うっ…うぅぅ…ぐすっ…」
黒服 「さ、こちらでお間違いないでしょうか」
千歌 「……はい」
黒服 「それでは落札価格…1億2000万円の方を」
千歌 「そ、その…」
千歌 (……気付いて、善子ちゃん!)チラッ
善子 「…! ち、千歌さん!?」
千歌 (…! よかった、気付いた!) 千歌 「善子ちゃん! 行くよっ!」グイッ
善子 「えぇっ!? う、うんっ!」
黒服 「…っ!? 逃げたぞ! 追えっ!」
ダダダダダダッ!
千歌 「うわぁぁっ、すごい人数!」
善子 「は、はやく逃げないと…!」 千歌 「…! まずいっ!」
善子 「どうしたの…って、うわぁっ!?」
黒服 「………。」ジリジリ
千歌 「は、挟み撃ちに…!」
善子 「も、もうおしまいよ…!」
黒服 「取り押さえろっ!」 鞠莉 「待ちなさいっ!」
黒服 「…! こ、これはこれは…」
鞠莉 「…落札金、私が出すわ。お金が無いのなら、最後に入札した私が落札ってことでいいでしょ?」
黒服 「はぁ…」
善子 「あれ…鞠莉さん? よかった、助かった…」
千歌 「いや…助かってなんかないよ…」
善子 「え? それってどういう…」 鞠莉 「…さ、帰るわよ。“2匹” とも」
千歌 「…!」ビクッ!
善子 「2匹…? 鞠莉さん、一体何を…」
パシィンッ!!
善子 「………へ?」ヒリヒリ
千歌 「よ、善子ちゃん!? 大丈夫!?」
鞠莉 「…口を慎みなさい、奴隷の分際で」 善子 「な、なんでいきなり叩くのよ!」
鞠莉 「…言うことを聞かないペットは嫌いよ」
善子 「あんた…一体何を」
鞠莉 「…さ、帰りましょうか」
鞠莉 「勝手に逃げ出したペットには、厳しい罰を与えなくちゃね♡」
千歌 「…!!」ビクッ!
ーーーーーー
ーーーー
ーー 〜車内〜
善子 「…私、これからどうなるの?」
千歌 「鞠莉ちゃんは、私たちを助けたわけじゃない。…ただ単に、私たちを奴隷として買っただけなんだよ」
鞠莉 「……はぁ、さっきから聞いていれば、ひどい言いようね、千歌っち」
善子 「……ッ!!」ササッ!
鞠莉 「もぅ、すっかり警戒しちゃったじゃない」
千歌 「だって鞠莉ちゃん、善子ちゃんにも首輪をつけたりするつもりでしょ!?」
鞠莉 「…説明しなかった私も悪かったわね」
千歌 「説明…?」 鞠莉 「あのね、あれは全部千歌っちの為だったのよ?」
千歌 「私の…ため?」
鞠莉 「あのオークション、たまにいるのよ。私みたいに出品された人を助けようとする人」
鞠莉 「でもね、助けたとしても、自由の身になったその出品された人は、すぐに殺されてしまうのが常だったのよ」
千歌 「どうして…」
鞠莉 「オークションのことを知ってるからよ。運営側も、そんなやつは消しておきたいと考えるのが普通でしょ?」
善子 「でも、それが千歌さんを首輪で繋いだりしたのとなんの関係が…」 鞠莉 「あのね、あのオークションで購入した人と、購入された人には、一定期間監視が入るの。本当に奴隷として購入したのか確かめるために」
千歌 「そんな…全く気付かなかった」
鞠莉 「だからその期間は、千歌っちを奴隷として扱っているふりをするしかなかったの」
千歌 「そんなこと…! なんで教えてくれなかったの!?」
鞠莉 「だって千歌っち、演技ヘタじゃない。このことを押してたら、奴隷っぽくなくなっちゃうでしょ?」
善子 「あぁ…言えてるわ」 千歌 「じ、じゃあ曜ちゃんは!? なんで教えたの!?」
鞠莉 「監視に見せつけるためよ。私がちゃんと奴隷として購入したっていう証拠を」
千歌 「曜ちゃん…私のために」
鞠莉 「曜も辛かっただろうけど…千歌っちのために耐えたのよ。分かってあげて」
千歌 「……鞠莉ちゃん、私、鞠莉ちゃんに色々ひどいこと…」
鞠莉 「仕方ないわよ、タネ明かしするまでは、嫌われるのは承知だったし」 千歌 「鞠莉ちゃん、その監視って、どのくらいつくの?」
鞠莉 「…まぁ、3週間ってところかしら」
善子 「じゃあ3週間、鞠莉さんの奴隷を演じなくちゃいけないの?」
鞠莉 「あなたはただの自業自得でしょ? 勝手に会場を嗅ぎつけて、うろうろするなんて…」
善子 「うぅっ…ごめんなさい…」
千歌 「でも、耐えれば今度こそ自由になれるんだ」
善子 「…そうね、悔しいけど、耐えるしかないみたいね…」
ーーーーーー
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ーー −−それから3週間、私達は奴隷を演じ続けた
首輪で繋がれるだけでは足りないと思い、自分からもっと酷い扱いをしてと頼んだこともあった
椅子にもなった。車にもなった。靴掃除もした
…学校のみんなは、見て見ぬふりをしていた
多分、鞠莉ちゃんが予め根回ししておいたんだ
……もうすぐ、3週間が経つ
やっと自由になれる日が、来たんだ 〜鞠莉邸〜
鞠莉 「…そろそろね」
千歌 「これで私たち、自由なんだね」
善子 「はぁ…演技とはいえ、疲れちゃったわ」
鞠莉 「ごめんね、こんなことさせて。…そうだ」
鞠莉 「ここまで耐えてくれた2人に、御褒美をあげる。ついておいで」
千歌 「御褒美っ!?」
善子 「行くいくぅっ!」
ーーーーーー
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ーー 〜地下室〜
千歌 「……何ここ」
鞠莉 「秘密の地下室。まだ誰にも見せたことないの」
善子 「牢屋まであって不気味ね…」
千歌 「ここ、普段何に使ってるの?」
鞠莉 「ここはねぇ…」
鞠莉 「おーいみんなー? 遊びに来たよー!」
ガタガタガタガタッ!!!
千歌 「ひぃっ!?」
善子 「ろ、牢屋が揺れてる…?」 千歌 「中に誰かいるのー?」ヒョコッ
運転手 「………やめて……やめてください…」ガタガタ
善子 「………えっ」
千歌 「あの時の運転手さん…? ボロボロじゃないですかっ! 一体どうしたんですか!?」
鞠莉 「…………。」ニタァッ
運転手 「……っ!!! 嫌だ嫌だ嫌だ! やめてやめてやめてくださぁいっ!!! もう指は全部無いんですっ!! ごめんなさい許して! 嫌だぁぁぁっ!!!」 千歌 「鞠莉ちゃん…? この人に何…ひぐぅっっ!!!」ビリビリッ!
善子 「ち、千歌さん!? …そ、それって、スタンガン…!」
鞠莉 「……善子」
鞠莉 「…よく頑張ったわね」
ビリビリビリビリッ!!!
ーーーーーー
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ーー 千歌 「………んぅ」ムクッ
千歌 「……っ!! ここって…牢屋の中!?」
鞠莉 「あら、目覚めた?」
千歌 「鞠莉ちゃん…それに善子ちゃんっ! やめて! 何をする気っ!?」
善子 「……ち、千歌さん…」
鞠莉 「大丈夫。何もしてないよ」
鞠莉 「…………まだ、ね」
千歌 「……っ!! どうして…鞠莉ちゃんは私たちを助けてくれたんじゃっ!!」 鞠莉 「ふふっ………んふふっ…ふふふふふははははっ!!!」
鞠莉 「その顔よっ…その顔が見たかったのよ!」
鞠莉 「絶望し…一度救われる。安心しきった頃、また裏切られ、絶望する…その顔が見たかったのよ!」
善子 「……悪魔」
鞠莉 「結構! この優越に浸るためならッ! 私は魂も売る!」
鞠莉 「一度救われたのに…また絶望に叩き落とされるっ! その表情…最高よっ!」
千歌 「……こんなことして、許されるとでも?」
鞠莉 「あら、あなたは私に買われたの。あのオークションを通じた限り、全部合法よ」 善子 「そっか…やっと分かったわ」
鞠莉 「あら、今更何を気付いたの?」
善子 「あの時…帰りの車の中、あなたが言った言葉」
鞠莉 『あなたはただの自業自得でしょ? 勝手に会場を嗅ぎつけて、うろうろするなんて…』
善子 「ただの参加者だったあなたが、どうして私が捕まった理由を知ってたのか疑問だった…。あれは全部、あなたが仕組んだのね!?」
鞠莉 「そうよ。それにあなたにオークションの噂を教えた視聴者も私。まんまと引っかかるなんて、おばかさん」
千歌 「……私が捕まったのも…私を買ったのも…全部……鞠莉ちゃんの計算の内…?」
鞠莉 「………さ、はじめましょ」 千歌 「………っ!!! やめてっ!! 何をっ!」
鞠莉 「…よく見ておきなさい、自分がこの後何をされるのか、善子を見て予習しておくのよ」
善子 「……嫌だ……嫌だ嫌だ…」
鞠莉 「あはははははははははははっ!!!」
千歌 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ーーーーーー
ーーーー
ーー 〜2週間後〜
鞠莉 「…ねぇ千歌っち」
千歌 「…………。」
鞠莉 「みんな心配してるよ、あなたのこと」
千歌 「…………そ………ぅ……」
鞠莉 「…曜も必死に探してる。だからおしえてあげちゃった」
千歌 「………ぉ…し……ぇた……?」
鞠莉 「うん、オークションのこと」
千歌 「……っ!!! まさかっ!!」ガシャンッ! 鞠莉 「…さて、今夜は出かけるわね。今日も買い物しないと」
千歌 「やめて…やめてやめてやめてぇっ!!! 曜ちゃんに手は出さないでぇっ!!!」
鞠莉 「…大丈夫、すぐにみんな一緒に楽になれるよ♡」
善子 「ゃ…やめ……なさ…ぃ…」
鞠莉 「あら、まだ喋る気力あったのね。最近叫び声もあげなかったから、退屈してたのに」
鞠莉 「……牢屋、あと5個しか空いてないわね」
鞠莉 「…ひとつ、あけておかなきゃね」
ーー
終 ハッピーエンドが書けません
バッドエンドとか死ネタ系が苦手な方すいません
こんな雰囲気の作品をもう少し書いていけたらと思います。読んでいただきありがとうございました
過去作もよろしくおねがいします
【SS】ことり 「糸」
【SS】梨子 「コワレヤスキ」 善子・鞠莉 「コワレモノよ」
【SS】鞠莉 「殺人鬼 果南」 素直につまらんな
多分俺がSSに求めすぎてるだけだろうけど 千歌ちゃんと鞠莉ちゃんの甘々主従関係かなと思ったら違ってたヨーソロー… ホラーと言うかただ単に千歌と善子が理不尽な目に遭わされただけだな
展開も淡々としすぎだし 家族や警察は何もしないし理事長である鞠莉が生徒を奴隷のように扱ってるのに教師や他のメンバーは何もしないのか
わりと頻繁に開催されてるような感じだけど高校生が相次いで失踪してたら普通ニュースになるよな
善子はともかく千歌が狙われた理由も謎だし
オーディションって名目で集めたスクールアイドルを売り飛ばしてるみたいな方が良かったんじゃね ハッピー書けない言うが
バッドにしてもライトで色々中途半端で物足りない
次はもっと重めのを頼む >>95
でもこれ最後ちかっちかよっちゃんのどちらかもしくは両方が死んじゃうんでしょ? かなり重いよ…… たくさんの感想レスありがとうございます
説得力が無い、話が薄いのは反省点ですね。もっと練り込むべきですかね? 初めはその作品が好きで書き始め
次第に周りの意見に気をとられ始めて迷走期を迎え
自分の書きたいものと人気取りの板挟みになって何が何やら分からなくなるまでが
大概のss作者の通る道
どこかでふっと初心を思い出すか最後までそのままジャンルから離れるかはそいつ次第
書きたいものと大衆受けを両立させるのはよっぽど器用じゃなきゃ無理
普通のやつじゃ作品をつまらなくするだけだ
自分の信じる道を貫け 俺は面白かったと思うよ
善子がどうなってるのか(好奇心で)気になるけど、
単に助けて良い話で終わらなかったから高評価 都市伝説みたいで面白かったよ
薄いって言われてるのは千歌ちゃんの3週間の間の心理描写が少ないから希望から絶望に落とされる感じが薄く感じたんじゃない?
善子の部分も長さの割に多かったし 救われたと思ったら救われてなかったと思ったら救われたと思ったら救われてなかった
乙乙 >>106
確かに、このSSで一番の見せ場である希望から絶望への落差がいまいち表現出来てなかったのは致命傷ですね… ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています