メノ^ノ。^リ「おめでとうございます、貴女は抽選に当たりました!」 ?「はい?」 [無断転載禁止]©2ch.net
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メノ^ノ。^リ「いきなりごめんなさい、混乱しているようね。でも、時間がないので早々と説明させていただきます」
?「はあ…」
メノ^ノ。^リ「貴女は大きな過ちを犯して死んだ、罪深き魂です。本来ならここで失格となり、輪廻のサイクルから外されることになります」
メノ^ノ。^リ「つまり、もう二度と生まれ変わることが出来ないのです。が、抽選で当たった魂にだけ復帰のチャンスがあるのです」
メノ^ノ。^リ「貴女は見事にその抽選に当たったというわけです」
?「えぇ、よく分かんないんだけど…まず私、死んだんですか?」
メノ^ノ。^リ「はい、それを証拠に手も足も…身体がないでしょう?」
?「ほんとだ…」(じゃあなんで見たり喋れたりするんだろう)
メノ^ノ。^リ「因みに、魂に備わっている機能のいくつかが現世の身体に現れますから、死んだ後も人間の頃出来たことは原則できるようになっています」
?「!?なんで考えてること分かったの!?」
メノ^ノ。^リ「大抵の人はこれを2番目に聞きますから、聞かれる前に言っただけです」
メノ^ノ。^リ「魂の考えてることは天使も悪魔も分かりませんから、安心してください」
メノ^ノ。^リ「聞きたいことは多々あるだろうけど、質疑応答は移動中にしましょう」
メノ^ノ。^リ「もう時間がありません。急ぎましょう、千歌ちゃん」
?「千歌ちゃん?」
メノ^ノ。^リ「はい、貴女はこれから高海千歌になるのですよ。高海千歌の身体を借りて現世にホームステイするのです」 ー移動中ー
?「現世でホームステイってどういうことなんですか?」
メノ^ノ。^リ「はい、ざっくり要点をまとめた説明書があるのでこれを見ながら話を聞いてください」
説明書
@ 前世で過ちを犯した魂は輪廻のサイクルから外されます
A しかし、それではあまりにも酷なので、たまに輪廻の輪に戻るチャンスが与えられることがあります
B チャンスを貰える魂は天使界のボスにより抽選で決められます。ボスの決定は絶対であり、辞退はできません
C チャンスを与えられた魂は下界で修行を積むことになります
D 修行とは、ある一定の期間、下界にいる誰かの身体を借りて過ごすことをいいます。借りる人間はボスが指定します
E この修行を天使界では「ホームステイ」と呼びます
F ホームステイ中、困ったことがあれば、担当の天使が手助けをします
G 修行がある段階まで進むと、魂は前世の記憶を取り戻します
H 前世で犯した過ちの大きさを自覚できれば、ホームステイは終了し、輪廻のサイクルに戻ることができます
?「なんか理不尽じゃありません?」
メノ^ノ。^リ「そう言われましても、ボスの決定は絶対ですので」 メノ^ノ。^リ「担当は私『メノノリ』がやらせていただきます。担当というと小難しく聞こえますが、言ってみればガイドのようなものですね」
?「あ、よろしくお願いします」
メノ^ノ。^リ「はい、こちらこそよろしくお願いします」
メノ^ノ。^リ「前世の記憶は通常、天使界の都合で預からせていただいてます。管理はきちんとしているので安心してください。まあ記憶が無いという感覚すらもないと思うんだけど」
? (確かに…今言われてやっと記憶が無いことに気がついた…)
メノ^ノ。^リ「それで、他に質問はありませんか?」
?「あの…高海千歌さんってどんな人ですか?」
メノ^ノ。^リ「それはなってからのお楽しみです」 ?「じゃあ…私が千歌さんの身体に入っている間、千歌さんの魂はどうなるんですか?」
メノ^ノ。^リ「その辺は心配ありません。高海千歌は5日前に入水自殺を図った少女で、今は意識不明の状態にあります。腹蔵なく申し上げると、数分後に死にます」
メノ^ノ。^リ「死んだら魂が抜けるので、貴女はその隙に潜り込んでください」
?「自殺っ…、その人の身体を勝手に利用するってことですか…?」
メノ^ノ。^リ「そう重く受け止めずに、ただ少しの間借りるだけです。大丈夫、助け合いの精神はどの世界でも共通にありますから」
メノ^ノ。^リ「ほら、もう着きますからしっかり掴まっててください」 ーーーーーー
「ーーーっ」
誰かの泣き声が聞こえる…
「えっぐ…ヒッ」 「千歌…千歌ぁ」
それも一人じゃないみたいだ…3、4人はいる。なんでだろ…あぁ、そうか、私は高海千歌になったんだった。思えば、ふわふわの魂ではなくて、ずっしりとした身体の感覚がちゃんとある。自殺して、意識不明で…て、ことはここは病院か…目、開けていいのかな
「千歌…」
あ、目が合っちゃった。涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃのショートのお姉さん…
「千歌!!!?」
「嘘っ…千歌ちゃんっ千歌ちゃん!!」
「千歌が生き返った、千歌が生き返った!!!」
千歌「ウェッッ!?」
「そんな馬鹿な…心電図が、動いている…ぁぁあ信じられない!」
「千歌ちゃん!?分かる?聞こえてる!!?」
「ちかッちかちゃっ千歌ちゃんっっオェッ千歌ちゃ…」フラッ ドタンッ
「曜ちゃん!?」
「担架!担架持ってきてください!!」
「千歌ぁぁぁぁぁぁ」
「頑張ったね…よく頑張ったね、千歌…おかえりなさいおかえりなさい」ギュッ
千歌「えっと…ただいま」ギュッ
こんなふうに、誰にどんな声をかけられたかも分からないまま、歓喜に湧いた病室から私のホームステイは始まった 千歌 (病院ってつまらないなぁ…)
千歌 (千歌ちゃんの身体はすっかり元気だし、大事を取っての入院みたいだけど、どうも腑に落ちない)ムゥ
千歌 (入院中の唯一のいいとこといえば…)
志満「昨日、ご近所さんにカステラもらったのよ、食べる?」
千歌「食べたい!」
千歌 (千歌ちゃんの周りの人をひとりひとり把握できることかな)
千歌 (千歌ちゃんはどうやら、なかなかの人気者だったみたい)
千歌 (毎日、家族だけじゃなく大勢の友達がお見舞いに来るし、はやく元気になってと千羽鶴まで用意してくれた)
千歌 (みんなの様子を伺ったところ、千歌ちゃんが自殺しようとしたことは公にはなっていないみたいで…)
千歌 (知っているのは、家族と極小数の友達、学校の先生だけみたいです) ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています