白身魚の繊細な脂の旨味を愛でる海未ちゃん [無断転載禁止]©2ch.net
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そしてタルタルソースたっぷりのフィッシュバーガーを頬張る穂乃果ちゃんだ
これを忘れるでないぞ 穂乃果「ところで海未ちゃん、このお魚のフライ、なんのお魚なんだろうね?」
海未「ホキやメルルーサのようなタラの仲間が多いようですが……ちょっと一口」
穂乃果「あーっ!」
海未「もぐもぐ……ふむ。味が強くて分かりづらいですが、おそらくオヒョウですね」
穂乃果「おひょう? ……お寺?」
海未「それは和尚です。オヒョウはカレイの仲間で、だいたい畳一枚分くらいの大きさのお魚ですね」
穂乃果「へえ〜……え、畳一枚!? でっか!」
海未「でかいのです。だから安く流通するのでしょう」
穂乃果「じゃあなんで普通のハンバーガーより高いの!? 値下げしてもらおう!」
海未「え、ちょっと」
こうじゃ ことり「海未ちゃんはお魚料理だと何が好き?」
海未「そうですね……やはりお刺身でしょうか。もちろん煮付けや塩焼きなども好きですが。ことりは?」
ことり「ことりはね……うーん……あ、鱒寿司!」
海未「し、渋いですね」
ことり「えへへー、ピンクで、きれいにカットされてて、ケーキみたいでカワイイ♡」
海未「ああ……な、なるほど……」
穂乃果「穂乃果はかにぱん!」
海未「カニはお魚じゃないですよ」
ことり「いや、それ以前に……」
こうじゃ http://i.imgur.com/2wJVSbS.jpg
鱒寿司じゃ
自分でやっといて何だけど訳わかんねーしただお腹空いてきただけだコレ ことり「海未ちゃんはどうしてお刺身が好きなの?」
海未「失敗がないから、というのは大きいかもしれません。お魚さえいいものを選べば、私が捌いてもちゃんと美味しいですから。煮付けなどは私が煮ると、どうしても味が薄いか、煮過ぎてパサパサにしてしまうかで……」
にこ「煮付けなら任せなさい!」
海未「そ、その声はにこ! いつの間に!?」
にこ「煮魚の美味しさはまず『霜降り』で決まると言っても過言ではないわ!」
ことり「しもふり? お肉みたいな?」
海未「いえ、魚料理で言う『霜降り』とは、一度魚の身を熱いお湯で洗うことです。これをすると魚の生臭みがとれ、味の含みもよくなります……しかし、それは私もすでに」
にこ「分かってるじゃない。……なら海未、あなたどのタイミングで煮汁に魚を入れてる?」
海未「え、さ、最初から……」
にこ「どぁめどぁめどぁめ〜っ! お魚はぁ、煮汁が沸騰してから入れるも・の♡」
海未「な──!」
にこ「そして大事なのは、たっぷりの煮汁で、短時間煮ること! 海未のことだし、少なめの煮汁で詰まるまで煮てるんでしょう」
海未「すべて……お見通しというわけですね……」
凛「お腹すいたにゃ〜」 ことり「イギリス料理は美味しくないって言うけど、フィッシュアンドチップスは有名だよね」
海未「あれは味付けがセルフですからね。塩、ビネガー、マヨネーズやチリソースなど、好きな味を自分でつけられます」
ことり「なるほどぉ」
海未「そもそもイギリス料理はこういう体系で提供されることが多いようです。ただ茹でただけ、焼いただけ、揚げただけのものを提供し、あとはテーブルに備え付けられている好きなソースをお客さんがかけて食べる、という」
ことり「そうなんだ! それじゃあ、そんなに美味しくない訳じゃないんじゃない?」
海未「……そうでもないのです。この茹でるだけ、焼くだけ、揚げるだけ……を、やりすぎてしまうようなんですね」
ことり「やりすぎる?」
海未「ええ。お肉なら脂が落ち切ってしまうまで焼きますし、野菜なら形がなくなるまで茹でます。お魚も身が崩れるまで煮ますし……それを、塩すらせずに提供するので」
ことり「そ、それは……」
海未「まあ、最近はそうでもないとは思うのですが……如何せん伝統を重んじるお国柄ですから、なんとも……イギリス人が日本のフィッシュアンドチップスを食べていたく感動していた、なんて話もありますし」
ことり「日本の食べ物っておいしいんだねえ……」
なんだこれ? 絵里「近くに回転寿司屋さんができたみたいよ。今度みんなで行きましょう」
希「えりちのことやし、お茶のお湯出るボタン押して「あっつ!」とかやりそうやな〜」
絵里「ええ? 何よそれ、するわけないでしょう……」
海未「いいですね──回転寿司。あのお店は安いのに流通も板前さんもしっかりしていて美味しいと評判ですから、一度行ってみたかったのです」
花陽「お、お米は……銀シャリは一体どこのお米を……」
海未「黄金米の幟が立っているのを見たので、きっと銀シャリも美味しいでしょう」
花陽「すばらしいです!」
海未「お寿司におけるシャリはネタと同等、あるいはそれ以上に重要な部分と言っても過言ではありませんからね。握り具合ひとつで大きく表情が変わります」
真姫「……お寿司の話始めてから海未の目の色が」
海未「楽しみですねえ。いつにしますか? 次の休日?」
真姫「あのね」 天ぷらで一番美味しいと思う魚種ってついて語ってほしい
個人的には自分で釣ったという補正がかかるけどハゼが最高だと思う 前回のラブライブ!
なんやかんや色々あって回転寿司屋さんに来た!
真姫「こぢんまりとしてて、いいお店ね」
絵里「評判って聞いてたから並ぶかと思ったけれど……思ったより空いててよかったわ」
花陽「ほわあぁあ……流れてくる色とりどりのお寿司……!」
にこ「でも五、四で分かれないと座れないわね。どうする、海未──ってもう座ってる!」
ことほのうみのぞりん「ワイワイ!」
にこ「……ま、いいか。座りましょ」
花屋「すみません! イカを……アオリイカを握ってもらえますか!」
真姫「うーん……とりあえず、だし巻き卵かしら」
絵里「生しらす軍艦ですって。おいしそうね」
板前「あいよーっ! アオリイカにだし巻き、生しらすね!」
にこ「ちょっとぉ!」 >>19
穂乃果「なに食べようかなあ……あっ、海未ちゃん、天ぷらとかもあるよ!」
海未「天ぷらですか。お魚の天ぷらはおいしいですからね」
穂乃果「よ、読めないお魚ばっかりだ……」
海未「どれ……これは鱧(ハモ)、こっちは鯒(コチ)……ほう、魴鮄(ホウボウ)ですか! どれもおいしそうです」
希「海未ちゃん、ダジャレみたいになっとる」
海未「た、他意はないのですが……」
ことり「鯛の天ぷらはないの?」
海未「いえ、そうではなく……ああ、でも確かに鯛の天ぷらはないですね。縁起が悪いからでしょうか」
凛「え、鯛って縁起がいいお魚じゃないの? めでタイ! って」
海未「基本的にはそうなのですが、天ぷらとなると話が変わるんです。というのも、家康は鯛の天ぷらを食べて死んだ、という話がありまして」
穂乃果「そうなの!?」
海未「もちろん、諸説あるうちのひとつですけれど。……鯛の天ぷら、おいしいんですが……食中毒を連想させるので、提供を避ける場合もあるとか、ないとか……」
ことり「知らなかったよぉ」
海未「ふふ。さ、お腹もすきましたし注文しましょう。握りはコハダと、天ぷらは……そうですね、鱚にしましょう。好きなんですよね」
穂乃果「キスしましょう!?!?」
ことり「好きなんです!!?」
海未「あのですね」 絵里「天ぷらですって。私たちも何か頼む?」
真姫「天ぷらね……思えばお魚の天ぷらって、ハモくらいしか食べたことないかも」
海未「──もったいないですッ!」
真姫「ゔぇえ!! う、海未!? びっくりさせないで!」
海未「し、失礼しました。つい」
真姫「はあ、もう……じゃあ、オススメはどれ?」
海未「ふむ、時期などもありますが……やはり鉄板でおいしいのはキスでしょうか。ああ、ワカサギやメヒカリもおいしいですね……意外なところでは子持ちシシャモなども……」
真姫「ちょ、ちょっと」
海未「ハゼなどもいいのですが、これは新鮮すぎると天ぷらには難しいお魚でして……キスやハゼのような水っぽいお魚は、一夜干しなどして水気を抜くと旨みが一層引き立って……」
絵里「止まらないわよ、これ」
にこ「立て板に水ね。ステージの上でもこうだといいんだけど」 真姫「はあ、やっと帰って行った……で、結局何がオススメなんだっけ……」
にこ「ま、ここはにこに任せなさい。ん゛んっ──すみませぇん、コハダの……ううん、シンコの天ぷらってできますかぁ?」
板前「──! お、お嬢ちゃん、今なんて……」
にこ「シンコの天ぷら、食べたいなぁって……ダメですかぁ?」
板前「ツウだねェ、お嬢ちゃん! シンコ天一丁ーッ!」
にこ「やーん♡ ありがとうございます♡」
絵里「しんこ……お漬物?」
にこ「それはお新香。シンコってのは、コハダの子供みたいなもんね」
花陽「出世魚なんですね!」
にこ「そ。シンコ、コハダ、ナカズミ、コノシロ、だったかしら」
真姫「そのシンコがどうしてツウなワケ?」
にこ「あんまり天ぷらにしない魚だから、っていうのもあると思うけど……小さくて小骨が多いから、捌くのが難しいのよ。だからツウは、シンコとかコハダを食べて、職人の腕を見るの。ま、にこは腕が分かるほどグルメじゃないけどね。ただ好きなだけ」
絵里「ハラショー……海未もだけど、にこもすごいわね。生き字引ってやつ?」 希「そういえば凛ちゃん、お魚嫌いなんやなかった?」
凛「嫌いっていうか、昔、喉に骨が刺さったことがあって、ちょっと怖いの。だからお刺身とかは食べられるんだけど……」
希「なるほどなあ」
海未「そういえば最近、骨の気にならない焼き魚が現れたらしいですよ」
穂乃果「そんなのあるの?」
ことり「サケとか、カレイとか?」
海未「いえ、骨が少ないとかではなく……なんでも、焼いてから真空パックし、それに強い圧力をかけることで、骨ごと食べられるよう加工しているそうです」
凛「それなら凛も大丈夫かも!」
海未「お魚を丸ごと一尾食べられるわけですから、身体にいいでしょうし、いい試みだと思います。エコですしね」
穂乃果「カルシウムたっぷりだね!」
海未「カルシウムは骨や歯の強化だけでなく、筋肉の収縮──つまり運動能力にまで作用しますし、魚の脂に含まれるDHAは記憶力の向上やストレスの低減といった効果があると言います。好き嫌いはせず、しかし無理もせず──いつかおいしく、焼き魚を食べられるといいですね」
凛「うんっ!」 花陽「ふわあ……アオリイカ、おいしいです……強い旨味、ねっとりもっちりな歯ざわり、そして酢飯の丸い酸味に、抜けていくワサビの香り……やはり夏はアオリイカです……♡」
にこ「分かってるわね。この時期のアオリイカは本当においしいから」
絵里「今が旬なの? あっ、生しらすもおいしいわ」
にこ「剥ぐな剥ぐな、海苔を……ま、確かに今が旬ね。というか、夏になると、イカはアオリイカしか握らないって職人もいるみたい」
絵里「海苔を消化できるのは日本人だけなのよ……しかし、それしか置かないだなんて、よっぽどおいしいのね」
にこ「そりゃあもう。塩で食べたくなるくらいの、暴力的な旨味と甘みよ」
真姫「でも、アオリイカって高級なイメージね」
にこ「アンタが言うか……高級だけど。このお店でもほら、一皿一貫でしょ。スルメイカとかは二貫だけど」
絵里「ほんとね」
にこ「ああ、イカ食べたくなってきたわ。すいませぇん、コウイカ握ってくださぁい」
板前「あいよーっ!」
真姫「正直イカって、あんまり違いがわかんないのよね……」
にこ「メジャーなのはスルメ、アオリ、ヤリにコウイカって感じかしら。違いって言われると難しいけど……スルメは厚みがあって肝がおいしくて、アオリは旨味と甘みが強い、ヤリイカは柔らかくて香りがよくて、コウイカは歯切れがいい感じ」
真姫「へえ……食べ比べてみようかな」
にこ「ブルジョワめ……」 海未「……むっ! こ、このコハダ……!」
穂乃果「わっ、何、どしたの?」
海未「──おいしいです! 実に素晴らしい酢締め具合……しかし脂の旨さも舌によく残ります。ワサビもいいですね、少し多めにつけてくれているのでしょうか……とにかくおいしいです」
希「ふふ、おいしそうに食べるなあ。……ん、炙りエンガワうまー」
ことり「赤貝もおいしっ♡」
海未「やっぱり妙に渋いですよね、ことりの好み……あ、すみません、涙巻きをお願いできますか」
板前「お目が高いッ! 涙巻き一丁ーッ!」
凛「海未ちゃん、なみだまきってなあに?」
海未「ワサビの細巻きです」
凛「……え?」
海未「? ですから、ワサビの細巻き──」
凛「辛いだけだよ! なんでそんなの食べるの!?」
海未「ワサビの辛味と香りで口の中がリセットされますから、合間合間に食べるとネタの味がよく分かるのです。それに先ほどコハダを食べた瞬間、いいワサビを使っていると分かったので……ほら、見てください、カウンターで鮫肌でおろしてくれています」
凛「いみわかんないにゃ……」 金沢で食べたのどぐろの炙りめちゃくちゃ美味かった
いつか書いて欲しい 海未「さて、涙巻きもひとつ頂いたところで、次は……おおっ、アカムツの炙りですか……」
ことり「それはどんなお魚なの?」
海未「スズキの仲間です。最近はノドグロの名の方が有名でしょうか」
穂乃果「あっ、聞いたことある! あのテニスの……」
希「錦織選手やね」
海未「そうですそうです。……脂がよく乗っていて、お刺身でも煮付けでもおいしいのですが……」
ことり「ですが?」
海未「……高いのです。超高級魚ですから……ほら」
凛「ひ、ひぇ……」
希「高ぁ……」
海未「……ほう、夏場は新潟産を仕入れているのですね……それはそれは、さぞおいしいことでしょう……」
凛「い、行くの? 行っちゃうにゃ?」
海未「──すみませんッ! アカムツの炙りをお願いしますッ!!」
穂乃果「行ったーッ!」
板前「ラッキーだね、お嬢ちゃん! 今日のアカムツは特にうまいよ!」
海未「本当ですか! 楽しみです……♡」 板前「へい、お待ちどう! アカムツの炙りねっ!」
海未「き、来ました……おお、炙られた脂がてらてらと輝いて……う、美しい」
穂乃果「おいしそう……」
希「あかんよ穂乃果ちゃん」
穂乃果「し、しないよ横取りなんて!?」
海未「では、まずはそのまま……いただきます」
ことり「どう? おいしい?」
海未「……」
凛「……あれ? 海未ちゃん?」
海未「……」スゥッ
凛「!?」
穂乃果「う、海未ちゃんが……」
希「泣いている……!!」
海未「……私は、これほど、この国に生まれてよかったと思ったことはありません……ああ、素晴らしいです、感動のおいしさです……」
凛「そ、そんなに……凛も食べたくなってきたにゃ……」
海未「口の中でとろける上質な脂を、ほどけたシャリがしっかと受け止め……そして噛むたびに襲い来る旨味の奔流! 炙られた皮の香ばしさとワサビが、におやかに鼻腔から抜けて……くらくらしてしまいます……」
希「作詞家の語彙力よ」
海未「それに……板前さん、これ、コハダや巻き物とはシャリを変えていませんか?」
板前「ほーっ……よく分かるねえ、お嬢ちゃん。確かにシャリを変えてるよ。ちらし寿司に近いかね」
海未「やはり……あれだけ旨味の強い脂を食べたのにシャリの味も強く感じたのは……甘めのお酢を使っていたのですね。それに、心持ち強く握られていた気がします」
板前「それもまた、シャリが負けないための工夫よう! しかし本当に味のわかるお嬢ちゃんだ、気に入った! その握りは俺のオゴリだ!」
穂乃果「えーっ、ずるい!」
板前「むっ……分かった、連れのみんなも一貫ずつ食ってけ!」
ほのりん「やったー!!」
ことり「い、いいんですか……?」
板前「い、い、いいって事よ! 江戸っ子に二言はねえからなっ!!」
板前「……それに、おれの寿司食って泣いてくれたのは、お袋の他にゃ嬢ちゃんだけだ……おりゃ嬉しくってよう!」
希「海未ちゃん、おそるべし……!」 前回のラブライブ!
おいしいお寿司を堪能したμ's! 板前さんの粋な計らいで、お代も安くなっちゃった!
そんな九人は今日も部室でお魚の話──私たち、スクールアイドルだよね!?
絵里「おいしかったわね、昨日のお寿司」
希「もう、えりちそればっかり」
絵里「だ、だって本当においしかったんだもの……いいでしょ」
花陽「イカもお魚も、最後のおみそ汁まで最高でした……♡」
真姫「まあ、確かにおいしかったわ。食べ比べてみてイカの違いも分かったし」
にこ「あれだけ食べたのに一人千円にまでまけてくれたしね。赤字じゃないのかしら……」
ことり「海未ちゃんのおかげかな?」
海未「や、やめてください……あれは本当においしくて」
凛「感動のおいしさです……」
海未「凛!」
凛「にゃはーん」
穂乃果「うう、でも穂乃果、若干の心残りが」
真姫「心残り?」
穂乃果「うん、お魚の名前は忘れちゃったんだけど……昔おとーさんが連れてってくれたお店で食べた白身の握りがとってもおいしくて……なんで忘れちゃったんだろ……」
海未「白身ですか……特徴は?」
穂乃果「えーっと……白くて……白くてね」
海未「迷宮入りですね」
穂乃果「あーん!」 海未「もうちょっと何かあるでしょう……何か乗っていたとか、食べた時期とか」
穂乃果「うーんと……時期は今くらいだったと思う……穂乃果が自転車に乗れるようになった日に、『うまいものでも食いに行こう!』って言って連れてってくれたんだけど……確か、セミが鳴いてた」
海未「夏の魚でしょうか。他には?」
穂乃果「……あっ、すだち! すだちが乗ってた……気がする。あとは……シャリが透けて見えたような」
海未「なるほど。そのお店に生簀はありましたか?」
穂乃果「──あった! 生簀からお魚出して捌いてくれてた!」
海未「ですが、穂乃果のいうそのお魚は、すでにサクになったものを切りつけていたのではありませんか」
穂乃果「そう! どうしてこれだけ泳いでるのじゃないんだろう? って不思議だったんだ」
海未「なるほど、分かりました。それは十中八九──キジハタですね」
穂乃果「あっ……確かにそんな名前だったかも!」
凛「海未ちゃん、もうすごいを通り越してちょっと怖いにゃ……」
希「まるで名探偵やね」
海未「騒ぐんですよ、探偵の血が」
にこ「わかるわ」
絵里「んん?」 海未「キジハタは大変おいしい魚ですが、少し寝かせないと味がしないという不思議な特徴があります。なので、サクにしてから一晩ほど熟成させるんですね」
花陽「なるほど、だから生簀からじゃなかったんだね」
海未「ええ。それに、身の締まりが強い魚ですから、握りにするときは薄く切りつけるんです」
絵里「シャリが透けるほど……フグみたいね」
海未「“夏のアコウに冬のフグ”という言葉があるくらいですからね。アコウというのはキジハタの関西での呼び名です。……しかし、キジハタの握りを出してくれるとは、さすが穂乃果のお父様はいいお店をご存知ですね」
穂乃果「そうなの?」
海未「薄造りの握りなんて、普通やりませんからね。それに関東では、そもそもキジハタの扱いに慣れた職人さんが少ないでしょうから」
ことり「親孝行しないとだよ、穂乃果ちゃんっ」
穂乃果「か、肩もみとかしてあげようかな?」 キジハタの握りまた食いてえなあ……
あともうネタがない
ちょっと飯食ってる間に誰か魚料理っぽいお題ください じゃあとあるコピペのせいで風評被害の激しい今が旬のイサキの最適な食べ方について にこ「そういえば、昨日魚屋さんでイサキが安かったのよね」
海未「ほう、イサキですか。おいしいですよね」
にこ「うん、おいしいのはわかるんだけど、お刺身か塩焼きのイメージしかなくて買うのためらっちゃったのよね。それに塩焼きって妹たちの食いつきもあんまりよくなくて……何かいい食べ方知らない?」
海未「私は塩焼きが一番好きですが、そうですね……ああ、唐揚げにするといいんじゃないでしょうか」
にこ「なるほど、唐揚げね」
海未「はい。三枚におろして、タレに漬け込んで、片栗粉で鱗ごと揚げるとおいしいですよ」
にこ「え、鱗ごと?」
海未「身の方にだけ粉をつけてあげれば、鱗が弾けてパリパリした食感になります。見た目もいいですし、何より楽ですから」
にこ「へえ……盲点だったかも」
海未「甘酢のあんかけにしてもいいかもしれません。子ども好きを考えるとカルパッチョなども……ああ、イサキ、食べたくなってきました」
にこ「……ちょっと今日うち来ていろいろ作ってくれない?」 前回のラブライブ!
なんかアレがアレして釣りにやって来たけど、釣れるのはゴンズイばっかり! 隣の釣り人さんも「外道め……」なんて呟いてどっか行っちゃった! 私たち、これからどうなっちゃうの〜!?
海未「うーん……本当にゴンズイばかりですね」
凛「どうしてこんなに嫌われてるの? よく見ると結構かわいいのに」
海未「あ、触らないでください、毒針がありますから」
凛「にゃ!?」
海未「刺さると泣くほど痛いですから、気をつけてくださいね。堤防に捨てられているものも踏まないように」
ことり「だから嫌われてるの?」
海未「それもありますが、何より釣れすぎるのが原因でしょう。狙った獲物ではなく、黒くてぬめりがあってしかも毒針持ちの魚ばかりかかる……『外道』の呼び名もさもありなんと言ったところでしょうか」
穂乃果「よく見ると、そこらじゅうゴンズイだらけ……」
海未「フグやゴンズイのような外道魚は、釣り人が捨てていってしまうんです。手で触れたくないからと、魚を踏んで竿を引いて針を取る人もいます」
真姫「……ひどいことするわ」
海未「ええ、本当に……釣りも狩猟と同じ、命をいただく行為ですから……外道とはいえ、その命は尊重こそすれ、軽んじていい訳はありません」
絵里「でも、釣れちゃったらどうするの? リリース?」
海未「フグなんかはリリースしますが、ゴンズイは軽く捌いてから持ち帰って食べますよ」
絵里「え゛っ……食べるの?」
海未「ええ。おいしいですよ」
穂乃果「毒があるんじゃ……」
海未「毒があるのはヒレにある毒針だけですから。取り除いてしまえば問題ありません」
花陽「た、たくましいです、海未ちゃん……」
海未「卵を抱えているといいのですが……醤油漬けにしてご飯に乗せると格別なので」
花陽「!! たくさん釣りましょう!!」
海未「花陽?」 ゴンズイは蒲焼き風にしたことしかないな
味噌汁にしてもいいらしいとは聞くけど 海未「いやあ、本当にたくさん釣れましたね。では、軽く処理をして持ち帰りましょう」
希「なんで捌いてから持って帰るん? 生きたまま持って帰った方が新鮮そう」
海未「確かにそうなのですが、毒針でお互いを傷つけてしまう恐れがありますから。なので背ビレと胸ビレだけ除去します」
希「なるほどなあ」
海未「まあ、何か特別なことをするわけでもなく、根元からハサミでチョンですので、すぐ終わります──ああ、手袋の類は忘れないように」
真姫「誰に言ってるのよ」
海未「つい癖で」
にこ「凄まじい手さばきね」
凛「取ったヒレはどうするの?」
海未「海に捨てる人もいますが、切除しても毒は残留するので……ああ、ありました、これです」
凛「……古新聞?」
海未「はい。これでまとめて、袋に入れて持ち帰って捨てます。──さあ、あらかた終わりましたし、帰りましょうか。帰ったらゴンズイ料理ですよ」
花陽「楽しみです……!」 海未「出来ました! 園田流ゴンズイフルコースです!」
一同「おお〜っ!!」
穂乃果「おいしそーっ!」
ことり「いい匂い……♡」
海未「それでは皆様、お手を拝借……せぇの」
一同「いただきまーす!」
希「──うっわ、天ぷらおいし……」
にこ「ほんと……まったりした脂を感じるのに、ふかふかで……アナゴより美味しいんじゃないの?」
ことり「こっちは……お刺身?」
海未「湯引きしてあります。添えてある肝醤油で食べるとより美味しいと思います」
ことり「ん……んふふ、おいひぃ♡」
穂乃果「思ったより柔らかい……けど、もっちりした歯ごたえ……それにこの肝醤油! ゴンズイの甘い脂によく合う……!」
海未「こちらは卵塊の醤油漬け……にするには少々時間が足りなかったので、軽く茹でてだし醤油をまぶしてみました」
花陽「はむ……ふぁ……♡ ぷちぷちねっとり、たまりません……♡ すばらしいです……魚卵♡」
凛「イクラともタラコとも違う感じ……おいしいにゃ〜」
絵里「このおみそ汁……最高ね。だしはゴンズイだけなの?」
海未「はい。野性味がありながらも甘く優しい、すばらしいだしが取れますから」
真姫「蒲焼きもおいしいわ。ほとんどうなぎじゃない……こんなにおいしいのにみんな捨てちゃうのね」
海未「毒魚ですし、可食部も少ないですからね……しかし、ちゃんと調理すればとてもおいしいお魚なので、一度食べてみて欲しいところです」
海未「もし釣って食べる場合は、毒針とその処理にとにかく気をつけてください。それと、よく洗ってぬめりをしっかり取ること。これをしないと生臭いですからね。海未お姉さんとの約束です」 海未「小鮎を頂きました。……新鮮な証拠でしょう、甘い香りがします」
海未「確か英名はスウィート・フィッシュと言うんでしたか。言い得て妙ですね」
海未「……さて。どうやって食べましょうか」
海未「一尾は七輪で塩焼きにでもするとして、あと三尾……新鮮とはいえ、生で食べるのはちょっと気が引けますし……そうだ、あれにしましょう」
──UMI'sキッチン!
海未「まずは鮎を捌いてしまいましょう。……二尾は三枚におろして、もう一尾はフン抜きだけして肝ごと食べましょうか。新鮮ですし」
海未「頭を落として、背骨に沿って包丁を引いて……腹骨を除いたら、氷水で洗います。皮は……剥がさなくていいですね」
海未「フン抜きは肛門に向かってお腹を軽く撫でてやると簡単にできます。強くしすぎると内臓まで出てしまうのでそこだけ注意ですね……ふう」
海未「さて、今回の主役は……お米です! 炊き込みごはんにするので、今日の銘柄はつや姫です。もっちりと粘り気のあるお米の方が炊き込みごはんには向きますね」
海未「すでに研ぎと浸水を済ませたお米を土鍋に入れて、先日のゴンズイだし、お醤油、お塩、お砂糖、みりん、お酒と水を合わせて──鮎と一緒に炊きますっ!」
海未「始めちょろちょろ、中ぱっぱ。じゅうじゅう炊いたら火を引いて、赤子泣いても蓋取るな。そこへばあ様飛んできて、最後にわらしべ一握り、パッと燃え立ちゃ出来上がり──です。今のうちに、七輪の用意をしましょう。ああ、楽しみですねえ……」
海未「……いい匂いがしてきました。湯気も落ち着いて来ましたし、もう火は止めちゃいましょう。あとはしばらく蒸らしですね」
海未「七輪の炭の方もいい具合ですね。通風口を閉じて、じっくり焼きましょう」
海未「丸のままの鮎に焦げ落ちしないようにしっかり塩を打って、あとは七輪に乗せて、時々ひっくり返すだけですね……おや」
ねこ「にゃ〜」
海未「ふふ……随分鼻の利く猫さんですね。まだ焼き始めたばかりですよ」
ねこ「にゃ?」
海未「一緒に待ちましょうか。ほら、おいで」
ねこ「にゃん」
海未「……ああ、いい風が吹きますね」 海未「さて、完成です! うん、いい出来ですね。おこげもバッチリです!」
海未「丸ごと入れた鮎の骨だけ外して……よく混ぜて……よし」
海未「いただきますっ」
海未「もぐもぐ……ふふ」
海未「これは……ふふ、笑ってしまうおいしさですね……鮎の優しい脂がごはんに行き渡って……ほっこり柔らかい身もいい味わいです」
海未「一尾だけ肝ごと炊いたのも正解でしたね。かすかな苦味が深みを与えています……この脂のコクも肝を入れたからこそでしょう」
海未「塩焼きもおいしいです……淡白ながらもしっかりとある旨味……肝も爽やかな苦味でごはんが進みます。やはりお腹周りが特においしいですね」
海未「時期がよかったのでしょうか、骨がとても柔らかいです。小骨が気になりません……それに皮も柔らかくて香りがあります」
ねこ「にゃん」
海未「おや、さっきの……ふふ、ちょっと待ってくださいね」
海未「塩焼きの、あまり塩のついていないところを……よいしょ」
海未「ふう、ふう……さ、どうぞ。おいしいですよ」
ねこ「もぐにゃ〜」
海未「ふふ」
海未「ふう、満喫しました……ごちそうさまでした。余った分はおむすびにでもして、みんなに差し入れましょう」 この時間にちょうどおあつらえ向きのスレを読んでしまった こんなにも海未ちゃんが大和撫子してるスレは久しぶりに見る なんか魚のお題ください
雑魚でも外道でも知ってたらなんとかします 脂ぎったおじさんのおちんぽから出た白身魚の旨味を愛でる海未ちゃんに空目した 希「……エビが食べたい」
海未「はい?」
希「ウチ思ったんよ。最近おいしい海のものたくさん食べたけど、エビは食べてないなあって」
海未「な、なるほど……?」
希「でもエビって買おうとなると高いやん? いつもためらっちゃうんよ」
海未「では、捕まえに行きましょうか」
希「……嘘やろ?」
海未「川エビでもよければいくらでも捕まえられますが……」
希「う、海のエビがいいなあ」
海未「そうですか……残念です」
希「そのバイタリティはどこから湧いて来るん」
海未「最終手段ですが、バッタやカマドウマを食べるという手も」
希「やめよ?」
海未「バッタにもアスタキサンチンが含まれているので、加熱すると赤くなるそうです」
希「やめて」
海未「冗談です」
希「もー! ウチはエビが食べたいのー!」
海未「冷凍のむきエビなら安いですよ」
希「あー……でもあれってどう使っていいかよく分かんないんよね……」
海未「……何か作りに行きましょうか?」
希「いいの? ほんま?」
海未「構いませんよ」
希「やった!」 海未「お邪魔します」
希「いらっしゃーい」
海未「買い物はどうですか?」
希「言われたものはみんな用意したよ。どん! まずはむきエビ1kg!」
海未「1kg……1kg!? いくらなんでも買いすぎでは……」
希「大は小を兼ねるって言うやん? それにこれだけ入って千円しなかったし!」
海未「ウォークイン・クローゼットにリカちゃん人形の服を仕舞うような兼ね方ですが……ま、まあいいでしょう。手を洗って、さっそく取り掛かりますよ」
希「おー!」
海未「では、エビを解凍する間に、肉ダネを作ってしまいましょう。まずニラとキャベツをみじん切りにします。私はニラをやるので、キャベツをお願いできますか」
希「がってん!」
海未「手際がいいですね。料理は結構?」
希「んー、たまにはするけど……普段はあんまりかなあ。めんどうになっちゃって」
海未「一人暮らしだと色々大変そうですしね……あ、終わったらボウルにまとめておいてください」
希「はーい」
海未「それではこの野菜に、ひき肉と調味料を合わせていきます」
希「お肉こんなちょっとでええの?」
海未「メインはエビですから。ごま油、お醤油、塩こしょうに片栗粉──それに隠し味の焼肉のタレと、あとはチューブのにんにくとしょうがくらいでいいでしょう。これをひたすらこねてください」
希「わしわし」
海未「さて、エビは……うん、概ね解凍されてますね。これを細かくちぎります……200gくらいですかね」
希「わしわし」
海未「……ふう、あとはこれを混ぜて餃子の皮で包んで焼くだけです。五十個は作れそうですが……今日焼くのは六つくらいにしておきましょう」
希「え」
海未「包むだけ包んで冷凍しておくんです。日持ちしますし、自炊の手間も省けるでしょう?」
希「……ウチんとこお嫁に来て?」
海未「ふつつかものですが」
希「まじぽん!?」
海未「なんですそれ。もちろん冗談です」 海未「次は炒め物です。今度はエビをダイレクトに食べるので、少し下処理をします」
希「冷凍のでも下処理せなダメなん?」
海未「簡単で大丈夫ですよ。ボウルの中でお酒で洗って、霜降りするだけです」
希「しもふり?」
海未「>>11です。熱いお湯ですすぐ感じですね」
希「なるほど〜」
海未「では私はこちらを進めるので、餃子を包んでおいてください」
希「りょうかい!」
海未「下処理の済んだエビに塩こしょうをして、片栗粉を軽くまぶします。これをすると味馴染みも食感もよくなりますよ」
希「ふむふむ」
海未「次はアスパラです。硬い下3センチばかりの皮をむいて、はかまを取ったら、斜めに切ります」
海未「あとは炒め合わせて味付けするだけです。今回はにんにく風味にしたいので、サラダ油でにんにくを熱して──」
海未「香りが立ってきたらアスパラを入れます。油が馴染んでアスパラが青々としてきたら、エビも入れます」
希「いい匂い〜」
海未「お腹が空きますね。塩こしょうで味を整えたら、ここでカレー粉を──これでもかと入れます!」
希「あ、あかん、お腹鳴りそう」
海未「馴染ませたら火を止めて、マヨネーズを和えます!」
希「そんなん絶対おいしいやん……」 海未「次は……うーん、まだ半分以上ありますね、エビ……」
希「自分で買っといてなんやけど、余らせても使わん気がする」
海未「路線変更です、日持ちするものをたくさん作りましょう。牛乳と……トマト缶はありますか?」
希「牛乳はあるけど……あ、トマト缶もある! 安売りしてたの買ったけど使い道分からんくて置いといたんやった」
海未「上出来です。では、このエビを霜降りして、ミンチにしてください」
希「……全部?」
海未「……半分くらいでいいです。残りはどうにかしましょう」
希「お、おー……半分でも面食らう量やん……」
海未「おいしいご飯のためです。私は野菜の方を進めておきますから」
海未「さて……そうですね、ブロッコリーを下ゆでしておきましょう。その間に玉ねぎをくし切りにします」
海未「鍋に油を引いたら、ミンチにしていないエビを炒めて……色が出てきたら玉ねぎを入れて、軽く塩こしょうします」
海未「玉ねぎがしんなりしてきたら、トマト缶、水、コンソメを入れてしばらく煮ます……さて希、手伝いますよ」
希「」
海未「希?」
希「」
海未「の、希が……希が感情を失っている」
希「……はっ!」
海未「……代わりますよ」
希「あ、ほ、ほんま? ありがとうなあ」
海未「と言ってもあと少しですね。これならすぐ終わりそうです」
希「腕ぱんぱんやわ……」
海未「お疲れさまです……」 海未「……ふう、終わりましたね。ではこのミンチにしたエビも鍋に入れて、少し煮立たせたら牛乳を入れます」
希「トマトシチュー!」
海未「ビスクスープ風にしてみました。有頭エビだともっとそれらしい風味が出るんですが……」
希「それを補うためのミンチやね」
海未「その通りです。食感にもなるので、これはこれで美味しいと思います」
希「これで完成?」
海未「ええ。軽く煮込んで、味を整えたらおしまいです。……しかし、まだ少しだけ余ってますね、エビ」
希「うーん……あ!」
海未「どうしました?」
希「ふっふっーん、海未ちゃん、あとはウチに任せておくのだ」
海未「はい?」
希「昔お母さんに教わった、とびきりおいしいやつ、作ったげる!」
海未「ほう、おふくろの味というやつですね……あれ? そんな素敵なレシピがあるなら、私来なくても──」
希「さ、さー! サクッと作っちゃおうかなー!」
海未「あの」 希「ご、ごめんて……つい今しがた思い出したんよぉ……」
海未「わ、分かりましたから、そう抱きつかないでください、危ないです。お料理しましょう?」
希「うん」
海未「急にスンッてなるのやめてくださいよ」
希「さっきのブロッコリーってまだある?」
海未「テンションの急ハンドルがキツすぎて酔いそうなんですが……ブロッコリーならまだありますよ」
希「おっけー。じゃあこれ小房に分けて、塩茹でしてくれる?」
海未「分かりました」
希「じゃあ、その間にお豆腐をレンジでチンして……出来れば軽く水抜きしたいんやけど、まあ、出来るだけでいいかな」
海未「エビはどうしますか?」
希「うーん……ブロッコリーと一緒に軽く茹でちゃおっか」
海未「ふむ」
レンジ「チーン」
希「ん、お豆腐が……あちち、いい感じやね。軽く重しして置いとこ」
海未「ブロッコリーもいい具合です。茹で汁は……」
希「半分残しといてー」
海未「なるほど、大体分かってきました。ここに味付けと……水溶き片栗粉ですね?」
希「さすが海未ちゃん。味は鶏がらスープの素と、塩こしょうと、あとはごま油やね」
海未「……うん、エビのだしも出ていい味です。もう片栗粉を?」
希「んーん、その前に……じゃん」
海未「これは……卵白ですか」
希「うん、釜玉うどんやったときのあまり。タッパーで取っといてこういう時使うんよ。あとはお味噌汁とか」
海未「なるほど、エコですね」
希「この卵白をおつゆに入れてー……よく混ぜる!」
海未「おお……卵白が薄雲のように……」
希「きれいやろ? そしてここに水溶き片栗粉を入れて、ちょっと崩したお豆腐にかけたら完成!」
海未「おいしそうですね。あんかけも応用が効きそうですし」
希「えへへー。さ、食べよ!」 のぞうみ「いただきますっ」
希「──ん! やっぱこの炒め物うまー♡」
海未「あんかけ豆腐もいい味です……ぷりぷりのエビとつるっとした絹ごし豆腐の間で卵白がなめらかで……調和がありますね」
希「餃子もおいしいわぁ、ちょっとでもお肉入ってるとコクが出るね」
海未「少しだけ入れた焼肉のタレの力もあると思います。あれは万能調味料ですから……コク出しには最適です」
希「焼いたお肉につけるか、炒め物に入れるかしか考えたことなかったなあ……」
海未「うん、シチューもおいしいです。思ったよりエビが前に出てくれていますね」
希「おっ、どれどれ……あちち、ふうー……んふ、んま♡」
海未「まだまだたくさんありますから、しばらくはエビ三昧ですね」
希「餃子もまだまだたくさんあるし……こんなにおいしいものたっぷりで、ウチは果報者やなぁ……」
海未「──希のいいところですね。自分は幸福だと自覚できるのは」
希「ん〜? 悩みがなさそうってこと〜?」
海未「い、いえ、そうではなく……例えばこうしておいしいものを食べて、健康に生きていけること、それを幸福だと思うこと──これが出来る人は、以外と少ないと思います」
希「……そうなんかなあ」
海未「ええ。当たり前を当たり前として消化しない……あたたかで、優しい、希の人柄です」
希「な、なぁに、もう……照れるやん」
海未「ふふ。さあ、冷めないうちに食べましょう?」 冷凍エビ餃子は焼いてもいいけど油で揚げたり鍋の具にしてもうまいのでオススメ
あとみんな卵白は捨てたらいかんぞ 一日二日なら冷蔵庫で大丈夫だと思う
冷凍なら十日くらい
もちろん火通して食べてね 前回のラブライブ!
海に遊びにきた私たちμ's! 海といえば水遊びに砂遊び、スイカ割りに海の家と色々あるけど、海未ちゃんとかよちゃんだけちょっと違う方向に!?
穂乃果「……ぅ海だ〜〜〜っ!!」
海未「はい、海未ですが」
穂乃果「……もしかしてそれ持ちネタにしようとしてる?」
海未「バレましたか」
凛「ほーのーかーちゃーん! こっちこっちー! はーやーくー!」
穂乃果「り、凛ちゃん%£$#€^&)\!!」
にこ「あれはMermaid festa vol.2の謎掛け合い!」
希「いつ聴いても何を言ってるのか分からない!」
真姫「……みんな元気ね」
ことり「あはは……」
絵里「もう、せっかくの海よ? 私たちもはしゃがないと──損、よっ!」
真姫「ゔぇえ!! な、なに!? 水鉄砲!?」
絵里「ことりにも──この前のお返しっ!」
ことり「やーん!」
希「こ、この前……? ウッ頭が」
にこ「深く考えちゃダメ!」
穂乃果「──はれ? かよちゃん何してるの?」
にこ「かよちゃん……? ウッ」
希「にこっち!?」
花陽「ほ、星砂……」
のぞにこ「ウッ!」
花陽「……じゃなくて、貝殻、集めてるの」
のぞにこ「──はっ!」
真姫「あの二人は何を騒いでんのよ……?」 花陽「あっ……この貝殻、ピラミッドみたい……かわいいかも」
海未「ふむ。バテイラですね」
花陽「海未ちゃん。……ばていら?」
海未「ウマのヒヅメにラセンのラで“馬蹄螺”です。お尻が高い貝でしったか貝とも呼ばれますね」
花陽「バテイラ……バッテラみたいでおいしそうです♡」
海未「実際においしいですよ。貝の味が強いので、お醤油で炊いたり、少し油で炒めてやるととてもいい味になります」
花陽「……ごくり」
海未「浅瀬の岩の隙間……潮間帯というのですが、あの辺りにいる雑貝は漁師さんも獲りませんから、少量なら頂いても問題ないでしょう……どうしますか?」
花陽「行きますっ!」
海未「花陽ならそう言ってくれると思いました。早速行きましょう!」
花陽「このへん?」
海未「ええ。満潮時は海中に隠れ、干潮時に顔を出すような……理想的な潮間帯ですね。よく見るとたくさんの貝がいるはずですよ」
花陽「ええと……わっ、ほんとだ! 大きいのもいます……!」
海未「その大きいのは……マツバガイですね。岩に強く吸い付いているので一筋縄では獲れませんし、無理に剥がそうとすると余計に吸い付きます。スパチュラなどがあれば手早く獲れるのですが……」
花陽「そうなんだ……じゃあ違うのを」
海未「いえ、私に任せてください。さっき拾ったこれを使います」
花陽「わあ……おっきい貝殻」
海未「おそらくホンビノス貝です。これを──ぐいっと!」
花陽「おお!」
海未「べりっと!!」
花陽「はわぁあ──!」
海未「……ふっ」
花陽「すごいです……いとも簡単に!」
海未「8cmはありますね……おいしい貝ですが、この大きさになるまで長い年月がかかります。採取は最小限にしましょう」 花陽「あ、海未ちゃん、これは?」
海未「どれ……ふむ、十中八九イボニシですね。貝にはそこまで明るくないので、素人同定ですが」
花陽「しろっ……そ、そうなんだ」
海未「?」
花陽「な、なんでもないよ? それで、この子はどういう貝なの?」
海未「はい、イボニシというのは肉食の貝で──酸性の液体を出して他の貝に穴を開けて捕食します」
花陽「……えっ」
海未「また鰓下腺(さいかせん)という器官を持ち、ここから卵を守ったりするのに使う、神経を麻痺させる分泌液を出します。この液体は紫外線下で酸化すると美しい紫色を呈すので、古来から貝紫染めという染物に使われてきたようです」
花陽「え……ちょ、えぇ……?」
海未「養殖されている貝に被害を出すので……あまり好かれてはいない貝ですね。でも食べるとなかなか美味で」
花陽「え、ま、ま、待って海未ちゃん、酸を出すの? 麻痺させる分泌液? 紫色? それを食べる!?」
海未「ええ。独特の苦味があってクセになりますよ。私は塩茹でが一番おいしいと思います」
花陽「ひえ……」
海未「簡単に獲れますし、いくつかもらっていきましょう」
花陽「さ、触っても平気なの……?」
海未「問題ありませんよ」
花陽「……だ、誰か助けてぇ……」 海未「……いい具合の石がありますね」
花陽「え、い、石?」
海未「ええ。これをひっくり返せば、おそらく──えいっ」
花陽「ぴゃあ」
海未「おおっ、いましたよ花陽──岩裏のダイヤです!」
花陽「い、岩裏のダイヤ!?」
海未「これです、これ……分かりますか」
花陽「……え!? こ、これってアワビじゃあ……!」
海未「当たらずも遠からず、ですね。これはトコブシといいます」
花陽「トコブシ……聞いたことあるかも」
海未「缶詰などで目にした機会もあるかもしれません。小さいアワビのような見た目にたがわず、食味もほとんどアワビです。アワビより旨味が強くておいしいという人もいるくらいです」
花陽「あ、アワビよりも……!」
海未「石の裏によくいるので、すこし探してみましょうか」
花陽「はいっ!」
穂乃果「……あれ? 海未ちゃんと花陽ちゃんは?」
ことり「え? ……確かにいない」
凛「ま、まさか誘拐!?」
絵里「ええ? そんな……あっ、いた! 向こうの岩場の方!」
真姫「……なにしてんの、あれ?」
にこ「石を……ひっくり返して……戻した」
希「地球とオセロでもしとるんかな……?」 海未「思ったよりいましたね。これ以上はやめておきましょう」
花陽「うん、そうだね」
海未「では他の貝を……おや」
花陽「何かいた?」
海未「ええ。あれです……よいしょ」
花陽「ぅわあ……綺麗な貝……」
海未「イシダタミガイですね。本当に石畳のようで……美しいです」
花陽「こういうビーズ細工あったよね」
海未「ああ、ありましたありました。絵里とか好きそうですね」
花陽「ふふ、確かに」
海未「これもまたおいしい貝ですから、すこし頂いていきましょう」
花陽「……わ、わ、海未ちゃん」
海未「はい?」
花陽「見て、ここ……ちっちゃい貝がいっぱい」
海未「おお……本当ですね。これはキサゴ……イボキサゴでしょうか」
花陽「……食べられる?」
海未「イボキサゴは食べたことがありませんが、近い種類のナガラミ──ダンベイキサゴは大変おいしい貝ですから、これもおいしいと思います。……少々食べづらそうですけど」
花陽「ちっちゃいもんね……」
海未「それに、縄文時代の貝塚から大量にイボキサゴの貝殻が出てきたと聞いたことがあります」
花陽「縄文人さんも食べてたんだ」
海未「ええ、なのできっとおいしいはずです。歴史のある貝、大事にいただきましょう」
花陽「うんっ」 魚はいいぞ
最近はスーパーで脂の乗ったマイワシが安く手に入ってありがたい
一人分から手軽に作れるホイル焼きが定番だけど
丸々と肥えたイワシの脂と飴色に透き通ってとろける新玉ねぎの甘みは癖になる ホイル焼きはいいよな
白身魚じゃないが鮭の奴が好きだ 海未ちゃんの白魚のような繊細な指について語るスレかと思ったら全然違った 海未「さて、たくさん集まりましたし、そろそろ──」
穂乃果「おぉ〜〜い!」
海未「おや?」
穂乃果「もう、二人して何してたの? そろそろお昼ごはんだよ」
海未「ああ、もうそんな時間ですか。すみません、貝を集めるのに夢中になっていまして」
穂乃果「貝殻拾ってたの?」
海未「いえ、お昼は海の家で機材を借りてバーベキューと聞いていたので、その時に一緒に食べようかと──ほら」
穂乃果「うわ、たくさん! これみんな食べられるの?」
海未「ええ」
穂乃果「おお……! ありがとう海未ちゃん、花陽ちゃん!」
花陽「えへへ」
海未「では行きましょうか。機材の準備は?」
穂乃果「ああ、うん、それがね──」
にこ「これがこうで、こっちがこうで、あれ、そうするとこれはどこ? あーもうどーなってんのよー!」
真姫「ちょっと、貸してみなさいよ……ええと、ここがこうなってるから、こっちは……あれ?」
絵里「まあまあ、ここは私に任せて。要するにここがこうなればいいんでしょう? ならこれはここに……ここ、に……」
穂乃果「──とまあ、コンロの組み立てにご覧のありさまで」
海未「ええ……? ちょっと見せてください」
絵里「あ、海未」
海未「ふむ……コンロというか立ちかまどに近いんですね。となると……」
凛「おお!」
希「み、見る見るうちに……」
ことり「組み上がって行く!」
海未「ふう。これでここに炭を置いて火をつける、と」
一同「おおーっ!」
海未「コンロを組み立てたくらいでこんなに歓声を浴びるとは予想だにしませんでした」 海未「火つけは……ああ、ジェル着火剤があるんですね。これはありがたいです」
穂乃果「ああ、それ着火剤なんだ。おとーさんが髪につけるやつかと思った」
海未「火ばさみ、軍手、炭、チャッカマンの横に整髪料は脈略がなさすぎるでしょう……確かに似てますけど」
花陽「あれ、そんなにばらばらに並べるの? 井形に重ねるイメージだけど……」
海未「着火剤を用いない、もしくは固形着火剤なのであればそうした方がいいですが、今回はジェル着火剤なので。こうして一つ一つに着火剤をつけて、炭に火がついてから組もうかと」
凛「海未ちゃんは一体何者なの」
真姫「今さら?」
海未「普通の女子高生ですよ……さて、炭が安定するまで多少時間がありますから、先に食材の下ごしらえを済ませてしまいましょうか」
ことり「ことり野菜切る!」
にこ「手伝うわ」
絵里「鉄串があるのね。じゃあ私はいろいろ串に打っていこうかしら」
真姫「テーブル出しておくわね」
花陽「わ、私は椅子と飲み物を……」
希「ウチお皿並べる〜」
穂乃果「ほ、穂乃果は……うたうね!」
凛「凛も!」
海未「結構です」
ほのりん「ひどい!」
海未「……うん、足した炭もそろそろ良さそうですね。さ、もう焼き始めて大丈──」
凛「いっくにゃああああああ!!」
穂乃果「おおおおおおおーーっ!!」
海未「ちょ」
希「い、一瞬で網の上が埋め尽くされた!」
真姫「どんだけお腹減ってたのよ……」 穂乃果「焼けた? もう焼けた?」
凛「わくわく」
海未「……ええ、もう大丈夫だと思います」
穂乃果「わーい! いただきまーす!」
一同「いただきます!」
穂乃果「はむ、はふ……んまいっ!」
真姫「あつ、あちち……」
絵里「Очень вкусно!(めちゃうまい)」
凛「絵里ちゃんが呪文を!?」
にこ「やっぱり炭火で焼くと一味違うわね〜」
ことり「おいしいね、花陽ちゃん♡」
花陽「うんっ♡」
希「久しぶりにお肉食べた気がする……なんだかんだお肉もいいね〜」
海未「……(いそいそ)」
真姫「……? 海未、それなぁに?」
海未「真姫。これは……ホイル焼きを作ろうかと」
真姫「ホイル焼き?」
海未「ええ。お肉やお野菜はみんなが持ってくると聞いていたので、私はお魚を」
真姫「なるほどね。……中、見てもいい?」
海未「ええ、構いませんよ」
真姫「……やっぱりやめとく。焼けてからのお楽しみってことで」
海未「ふふ。そうですか」 海未「よし、包み終わりましたね……穂乃果、ちょっとお肉のけてください」
穂乃果「うん? 海未ちゃんなにそれ?」
海未「ホイル焼きです。家からいろいろ持ってきたので」
穂乃果「おおー!」
希「海未ちゃんお手製とあっては期待大やね〜」
絵里「大きい包みが三つと……小さいのが四つ?」
海未「あともうひとつ、一番大きいのが」
ことり「楽しみ〜♡」
にこ「全部真ん中辺りでいいの?」
海未「ええ。このくらいの火力なら焦げ付くこともないでしょうから」
凛「どのくらいでできる?」
海未「大体十分くらいでできると思いますよ」
真姫「ホイル焼き……初めて食べるかも」
海未「ふふふ。楽しみにしていてください」 凛「もういい? まだ?」
海未「まだ五分くらいしか経ってませんよ……ああ、途中で開けちゃダメですよ。蒸気が必要以上に抜けちゃいますから」
凛「お腹すいたよぅ」
海未「野菜なら横でいい具合に焼けてますが」
凛「凛は動物性たんぱく質を摂らないと死んでしまうのにゃ」
海未「野菜も食べないとそれこそ早死にしますよ……」
絵里「あら……ねえ海未、ホイルの中パチパチいってない?」
海未「おっ……始まりましたか。もうそろそろですかね」
穂乃果「バターの匂いがする!」
真姫「ほんと……」
花陽「こ、この匂い……ズルいです……」
希「ズルい、ズルい、ズルいことは〜」
にこ「しちゃーダメなーのよこーらこら〜」
ことり「その曲かわいいよねぇ」
希「さすが海未ちゃんの詩だよね〜」
海未「その話やめませんか」 今日の晩は船に乗って釣りに行ったイサキの塩焼き
噛み締めると脂がジュワッと溢れてマジで美味しいからオススメ
店売りだと1匹500円以上はするだろうけど値段に見合うだけの旨さがあるぞ 海未「さあ、もういいでしょう。開けますよ──」
凛「わくわく!」
穂乃果「わくわく!!」
海未「まずは小さいものから……うん、いい出来です」
絵里「これは……茄子?」
海未「はい。親戚から泉州の水茄子を頂いたので、丸のまま入れてみました。あとで切り分けますね」
絵里「切ってから焼くのじゃダメだったの?」
海未「水茄子は名の通り水気が多いですから、切ったりせずに皮の中で蒸すイメージで調理するとおいしくなるんです」
凛「これは……きのこ?」
海未「いえ、それはさっき獲ったマツバガイです。かなり大きくて全部は入りきらなかったので、貝から外して切って入れたのですが──」
凛「エリンギみたいにゃ」
海未「言わないでください……」
希「一緒に入ってる殻付きのも同じ貝なん?」
海未「そっちはトコブシという貝です」
希「へえ……それにしても全然縮んでないね。貝やのに」
海未「アルミを三重にして正解でした。貝に限らずですが、必要最低限の加熱がものをおいしく調理するポイントですね」
にこ「この間まで煮付けを煮詰めてた海未が……言うようになったじゃない」
海未「あの日は素晴らしいアドバイスを本当にありがとうございました。あれほどにこが輝いて見えた日はありません」
にこ「スクールアイドル捕まえてそりゃないでしょ……」
ことり「わ、わ……これは……溶けたチーズ!」
海未「ああ、はい。薄切りにしたじゃがいもとベーコンとチーズを重ねて、黒胡椒を振ってみました。ことりが喜ぶと思いまして」
ことり「絶対おいしいよこれ〜〜♡ 海未ちゃんありがとうっ♡」 真姫「あとひとつは……トマト?」
海未「はい。トマトの中身をくり抜いて、ペミカンを詰めてみました」
凛「え、みかん?」
海未「ペミカンです。野菜やドライフルーツなどを動物性の脂で固めた非常食ですね。今回はにんじん、玉ねぎ、ひき肉、しめじをバターとラードで固めてみました」
真姫「……脂っこそう」
海未「具材を多めに作りましたし、そこまで脂っぽくないとは思うんですが……そこは食べてみないと分かりませんね」
希「次この中くらいの開ける?」
海未「そうですね、開けましょう。それは中身はみんな同じなので」
にこ「お魚……イワシかしら」
海未「半分正解です」
にこ「半分? ……あっ!」
花陽「……わはぁぁあ〜〜っ♡」
穂乃果「お腹に……何か詰まってる!」
海未「イワシのお腹に明太子を詰めて、バターで焼いてみました。さっきパチパチ鳴っていたのはおそらくこれの明太子ですね。一包みに三尾入ってるので、一人一尾食べられますよ」
凛「おいしそうな匂い……だけど……」
海未「ふふ。そう言うと思ったので、全て小骨まで除いてあります。一本たりとも見逃していない……はずです」
絵里「ほんとマメね」
穂乃果「ひとりでお魚の骨を取り続ける海未ちゃん……」
にこ「んっふ……やめなさいよ」
海未「ふむ、穂乃果とにこは食べないのですね?」
ほのにこ「ごめんなさぁい!」 しねよ、ゴミ屑絵里アンチ
キャラディスするような奴がss書いてんじゃねえ今すぐ自殺しろ
♒♒🙋「くらえチカ!激臭ワキガアタック!」 [無断転載禁止]©2ch.net
http://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1499866476/
2 名無しで叶える物語(もんじゃ)@無断転載は禁止 sage 2017/07/12(水) 22:40:48.16 ID:T+C3TE6r
一人死んで…… アンチの癖にお人形遊びで適当な台詞喋らせたりどういうつもりでやってんだ?
好きなキャラだけでやってろわざわざ嫌いなキャラだすな
嫌いなら興味もつな関わるな
つーか嫌いなキャラいる時点でしね 明らかにアンチが立てたディススレにノリノリで書き込んで喜ばせてなにがしたいの?
海未推しで害フォンが変なえりうみ書きまくってるからヘイトたまってんのか?
まじで、しんでくれよ
アンチ活動に熱心な奴らも厄介だけどそれに乗せられるおまえみたいなのも同じくらい、やっかいだわ
あるいはアンチ集団の、ひとりか?
どっちみちしんで、きえろ
嫌いなら嫌いで結構だから絵里に関わるのやめろssで変なこと喋らせるな
嫌いなんだから放っといてくれ まじで殺してえなこういう屑アンチ
露骨にやってる奴らとちがってssとかでは普通に喋らせといて都合よくあつかって裏ではディスりまくり普通のアンチより更に陰湿で腹立つ
好きなキャラだけで、やってろよ
同じIDでよく堂々とアンチスレにレスできたな
神経どうなってんだ?信じられねえわ
本気でしねよ対立煽りとかですらなくただディスりたくなったんだろうけどまじで、しね
屑すぎるわ今すぐしね イチャモンがガイジすぎて草はえる
気にせず続けてよ 海未亜里沙推しの絵里アンチゴミss書きか
つーかこいつなっとう芋か?
なんでもいいからはよ、しね
料理の知識好きなjkアイドルに語らせつつ同じメンバー他スレでディスるゴミ屑さん
他のアンチ仲間が続き楽しみにしてるからはやくしんでね
http://hissi.org/read.php/lovelive/20170712/VCtDM1RFNnI.html しね連呼は流石に笑う
今時小学生でももうちょっと頭良さそうな罵倒するよ 海苔苦手設定忘れて軍艦頼ませるとか
そのしわ寄せで軍艦の海苔剥がすマナ悪行為させるとか
ここまではまあまだわかるよ
九人全員のプロフィール把握しながら書くのは大変だろうし
ただこの時点で絵里の事はどうでもいいと思いながら書いてるのも伝わるけど
でも明らかにアンチが立てたディススレで嬉々としてノリノリのレスで2ゲットしてアンチ喜ばせてるのはもうダメだわ
せめてss書いてる間くらい全員好きな体貫けよ
ss内で扱いに差がでるのも話作る以上仕方ないことだけどわざわざアンチ活動しながら書く意味がわからない
海未にヘイト向けたいの?こういうことされても別に海未をディスろうとは思わないけどこの作者は本気で許せない 海未「さて……では、メインの一番大きい包みを……いざ!」
凛「わあ、鮭!」
ことり「ホイル焼きといえば鮭だよね〜」
海未「ふふふ……これはただの鮭ではないのです。見てください、この上質な脂……」
真姫「キラキラね……おいしそう」
にこ「ただの鮭じゃない……まさかトキシラズ!」
海未「さすがにこです!」
絵里「トキシラズ……聞いたことあるわ。確かロシアの母川に遡上していく途中の若い鮭なのよね。……でも、どうしてトキシラズっていうのかしら」
海未「絵里もさすがですね──トキシラズの由来ですが、秋の魚であるはずの鮭が初夏の頃おいに水揚げされるので、時を知らぬ鮭、すなわち『時不知鮭(ときしらず)』と呼ばれています」
絵里「なるほどね……」
穂乃果「夏に獲れると何がいいの?」
海未「もっとも違うのはその脂乗りですね。白子や卵を抱える前の若い鮭ですから、成長につれそちらにまわる栄養が全て身に詰まっています」
花陽「ご飯が欲しくなります……ごくり」
希「あ、ウチおむすびつくってきたよ。のぞみん特性肉みそもあるから、網で焼きおむすびにしてもおいしいのだ」
花陽「……め、女神さま……」
希「うん?」
海未「ふふ。さあ、食べましょう!」 絵里「わ、何これ、茄子がとろける……おいし」
希「貝もおいしいね〜。やっぱりバター醤油って最強やんな……」
真姫「このトマトも……全然脂っぽくないわ。みずみずしくておいしい……」
ことり「チーズとおいも……凶悪な組み合わせだよ〜♡」
にこ「イワシと明太子の組み合わせもヤバいわね……脂の甘味と明太子の辛味、そしてバターの香りが……お家でやってみようかしら」
花陽「んんんん〜〜……♡ 鮭、おいしすぎです……♡ 下に敷かれたえのきにも脂が絡んで……」
凛「うんうん! お醤油もぽん酢も合うね!」
穂乃果「ぜんぶおいしいーっ!」
希「ほんまそれよ……ぜんぶおいしい」
海未「みんな簡単に出来ますから、よかったら試してみてください」
凛「材料の調達が最大の問題にゃ」
海未「そ、それは」
真姫「和木さんに頼んでみようかしら」
にこ「ブルジョワめ……!」
ことり「あはは……」 穂乃果「いやーっ、たくさん食べたねえ!」
花陽「しあわせ……♡」
海未「綺麗に食べてくれてありがとうございます。でも、まだ終わりじゃありませんよ」
絵里「そういえば、さっきから網の上に謎のコッフェルが四つほど……」
海未「サイズの小さいものしか持っていなかったので……全員分作ることを考えると、これくらいは必要かなと」
真姫「重かったでしょうに……わざわざありがと」
海未「いえ。私が食べたくて持って来たようなものですから」
ことり「いい匂い……貝のお出汁?」
海未「はい。小さな巻き貝は焼くよりもこうして食べた方がいいと思ったので、裏でずっと砂を吐かせていたんです……さて、そろそろ頃合いでしょうかね」
希「そのタッパーは……あっ、お味噌?」
海未「バター味のものばかりだったので、汁物……おみおつけが欲しくなるかと。海に入ると身体も冷えますし」
にこ「白味噌なのね」
海未「ええ、シメということでさっぱりした白味噌にしました。赤味噌だとパンチが強いですから……ご飯には合うんですけどね」
凛「貝のお味噌汁ってなんであんなにおいしいんだろ……」
海未「分かります、分かります──さ、出来ましたよ」 希「ん……ふふ、あったまる……」
凛「なんだかほっとするにゃ〜……」
ことり「わ……すっごい強いだしなのに、お味噌で丸くなって……」
にこ「確かにこの味は赤味噌じゃ出ないわね……」
真姫「ちょっと食べづらいけど……貝の身もやわらかいわ」
穂乃果「はぁ、おいしい〜……」
絵里「ほんと……あっ、この貝、ビーズ細工みたいでかわいいわ」
海未「やっぱり」
絵里「うん?」
花陽「ふふ……!」
一同「ごちそうさまでしたーっ!」
穂乃果「味わい尽くしたね、バーベキュー!」
凛「いろんなもの食べられるから楽しいね!」
花陽「お肉も、お魚も、希ちゃんの焼きおにぎりも……すばらしかったですっ」
希「えへへ、ありがと〜」
真姫「……あれ、エリー? 何してるの?」
絵里「ああ、これはね……この燠火で、ちょっとした食後のデザートをね」
ことり「あっ……焼きマシュマロ?」
絵里「当たらずも遠からず、かしら。これはЗефи́р(ゼフィール)っていうロシアのお菓子なの。りんごのピューレにお砂糖と卵白とゼラチンを入れて作るのよ」
ことり「わあ……おいしそうっ♡」
海未「焼きマシュマロ……小さい頃、スヌーピーが食べているのを見て、あまりにおいしそうで……母に「食べたい」とねだったのを思い出します」
真姫「ふふ。かわいいとこあるのね」
穂乃果「……あれ、それ穂乃果も一緒に食べなかった?」
海未「ええ。ことりもいましたね。覚えてますか?」
ことり「うん、思い出した。海未ちゃん家のお庭で、今日みたいにバーベキューしたよね」
海未「懐かしいです……」 絵里「うん、そろそろ焼けたかしら。みんなも食べて食べて」
海未「ありがとうございます。では……あつつ……」
穂乃果「あつ、あちち……んまいっ!」
真姫「うん、おいしいわ……マシュマロよりちょっと硬いのかしら」
花陽「外側のさっくり感と、中のとろとろが……んふふ♡」
ことり「りんごのフルーティな香りがして……おいしいっ♡」
にこ「おいしいものたくさん食べて、食後にはデザートまで……これはしばらくダイエットかしら」
ほのぱな「ゔっ!!」
絵里「ああ、それは大丈夫かも。ゼフィールってマシュマロに比べてカロリー低いのよ」
希「最高の食べ物やん……」
花陽「すごすぎます……」
穂乃果「毎日食べたい……」
凛「おそロシアにゃ……」
絵里「何が恐ろしいの……? あとさすがに毎日はダメ」
ことり「絵里ちゃん、今度作り方教えて?」
絵里「ふふ。ええ、もちろん」 正直もうスレタイ関係ないし俺も着地点がわかんなくなってる 魚介類ならもうなんでも良いんじゃないか
白身魚だけだとネタ提供もかなりきついし 海未「うなぎ……」
真姫「はい?」
海未「うなぎが……食べたいのです」
真姫「……食べればいいじゃない」
海未「そ、そうなのですが……うなぎの漁獲量は年々目減りしていて、うなぎ資源の持続可能性は著しく低いですから……」
真姫「……普段からそんなコト考えてるワケ? というか、そろそろ土用の丑の日じゃない。諦めて食べちゃいなさいよ」
海未「土用の丑の日というのはそもそも、当時余りがちだったうなぎを上手にさばくための販売戦略、言わばキャッチコピーですから……うなぎはさぞ平賀源内を恨んでいることでしょう」
真姫「アレ言い出したの平賀源内なのね」
海未「ええ。浄瑠璃作家としての名を持っていたり、『京都三条糸屋の娘、姉は十八妹は十五、諸国大名弓矢で殺す、糸屋の娘は目で殺す』は彼が書いたという説もありますから、文を弄し人心を収攬するのに長けていたのでしょう」
真姫「ふうん……」
海未「……ああ、うなぎ……」
真姫「──もー! うるっさいわね! いいうなぎ屋さん教えてあげるから食べてきなさいよ!」
海未「し、しかし」
真姫「海未ひとりの食べる食べないくらいじゃ何も変わんないわよ……それにそもそも、海未が食べてあげることで、廃棄されるうなぎが減るって考え方もあるじゃない」
海未「はっ──」
真姫「……はあ、もう、まったく」
海未「ありがとうございます……真姫。私、うなぎ、食べます!」
真姫「そんな高らかに宣言することでもないケドね……行ってらっしゃい」
海未「何を言っているのです。真姫も一緒に行きましょう」
真姫「ゔぇえ!?」
海未「いいお店、教えてくれるのではなかったのですか?」
真姫「べ、別にいいケド……ああ、でもあそこカード使えないのよね。お金下ろして来た方がいいかも」
海未「か、カード? え、あの、ちなみに一人前おいくらくらいの……?」
真姫「へ? さあ、一万円くらい?」
海未「やっぱりうなぎ食べません……」
真姫「はぁ?」 ま、どうしても夏に食わなきゃいかん物でもないよな
秋の方が脂乗ってそう 穂乃果「うーみーちゃん! 遊びに来たよー! ……海未ちゃーん?」
穂乃果「あれ……いないのかな」
海未「──はい、はい、海未ですよ。お待たせしました」
穂乃果「あ、いた! ……ごめんね、何かしてる途中だった?」
海未「え、ええ、まあ……ちょっと晩ごはんの仕込みを」
穂乃果「見ててもいい?」
海未「構いませんよ。どうぞ上がってください」
穂乃果「やっぱりお魚!」
海未「マゴチです。捌きはあらかた終わっているのですが……どう調理したものかと」
穂乃果「穂乃果は唐揚げがいいと思いますっ!」
海未「食べる気まんまんですか……まあ、ゲン担ぎにいいかもですね」
穂乃果「縁起がいいの?」
海未「コチは漢字で魚へんに甬(ヨウ)と書くのですが、これはコチが天敵から飛び跳ねて逃げる様がまるで“踊”っているようだから、という説があります。もしかしたらダンスがうまくなるかもしれませんよ」
穂乃果「こ、こじつけっぽい」
海未「ゲン担ぎなんてそんなもんです……それで、唐揚げでしたね。全部は多いですから、残りはお刺身と……あら汁にでもしましょうか」
穂乃果「やった!」 穂乃果「わぁ……海未ちゃん、やっぱり包丁上手だねえ!」
海未「見とれてくれるのは嬉しいですが、油から目を離さないでください」
穂乃果「えー? 少しくらい平気だよ」
海未「その油断が惨事を招くのです」
穂乃果「はぁい。……えへへ、コチくん、これから君をおいしく食べちゃうぞ」
海未「この大きさなので、十中八九メスですよ」
穂乃果「大きさでわかるの?」
海未「というか、オスが大きくならないんです。成魚と見られる大きさのコチが軒並みメスだったので、かつては性転換する魚だと思われていました」
穂乃果「性転換!」
海未「実際、性転換をする魚ってありふれているんですけどね。だからこそ長らく勘違いされていたんですが」
穂乃果「ありふれたかなーしみー」
海未「ありふーれたーいたーみがー」
穂乃果「なんかすごい「絵里ちゃん!」って感じするよね、この曲」
海未「ソロ曲は各々が作詞してますから、それもあるとは思いますが……やはり真姫の手腕でしょう」
穂乃果「……あ、そ、そうか、ソロとかユニットは、うん、そうだよね」
海未「……関東ではマゴチとヨシノゴチを区別しない、という話をふと思い出しました」
穂乃果「ヨシノ……ゴチ……うっ頭が」
海未「忘れましょう、積極的に」 お店で買う鰤や鯖を自分で塩焼きするとかたくてパサパサになっちゃう
先生お願いします 穂乃果「そういえば、海未ちゃん」
海未「はい」
穂乃果「おかーさんがおいしい塩焼きの焼き方を教えてほしいんだって」
海未「塩焼きですか……焼くお魚にもよるので難しいですが……基本は“表六分の裏四分”ですね。表を六割ほど焼いたらひっくり返して四割です。もちろん片面焼きグリルの場合はですが」
穂乃果「ふむふむ……何回もひっくり返さなくていいんだね?」
海未「その通りです。あと、基本的なことですが……青魚は塩をして一時間ほど置いてから、白身魚は塩をして十分くらいで焼き始めた方がおいしくなります。それから、やはり焼き過ぎないことですね」
穂乃果「ん〜……その焼き過ぎないが難しいよね。どのくらいの時間がちょうどいいのかよく分かんないし」
海未「う、ええと……もちろんお魚の大きさによりますが……サバなどであれば、表を七分、返して五分くらいがちょうどいいように思います。魚焼きグリルの場合は弱火をキープで」
穂乃果「ずっと弱火なの?」
海未「はい。魚焼きグリルは構造上、内部の温度を保つようになっていますから、むやみに火を強くするとすぐ焦げてしまうんです」
穂乃果「だからおかーさんがお魚焼くとエラが焦げてるんだ」
海未「私もよくやります……ああ、細かいところでは、お魚は常温にしてから、強火で数分余熱をしたグリルで焼いた方がいいですね」
穂乃果「めもめも!」
海未「あとは、ひっくり返す際にお酒をふりかけてやるとか、細かい部分はいろいろありますが……これを踏まえて焼けば、失敗はないと思いますよ」
穂乃果「なるほど──ありがとう海未ちゃん! おかーさん喜ぶぞ〜」
海未「……まあ、一番失敗しない方法としては、強火で両面に焦げ目をつけたらあとは電子レンジでですね……」
穂乃果「やめてぇ!」 俺だけじゃなくてみんなも書いて(カレーを食いながら) 海未「堤防釣りに行きましたが……釣果はたくさんのクサフグと、カサゴが一匹だけですか」
海未「……ま、まあ、カサゴはおいしいですからね。いくつクサフグに針を呑まれてハリスをやられたか分かりませんが、カサゴは……」
海未「……くすん。まあいいです。このカサゴをおいしく食べて忘れます……」
海未「さて、どう食べましょうか……あまり大きくないですし、唐揚げにして骨ごと頂きたいところですが……正直面倒なんですよね」
海未「……しかし、変に我慢して中途半端な気持ちで食べるより、手間を惜しまず本当に食べたい方法で食べた方が、ハリス……じゃないです、カサゴくんも浮かばれるでしょう」
海未「よし、では、まずはエラと内臓を除きましょう」
海未「……このサイズですし、包丁よりキッチンばさみの方が楽そうですね。エラの付け根を切り離して……おっと」
海未「針を呑んでいました。危ない危ない……刺さらないように、包丁でうまく内臓ごと引き出しましょう」
海未「──取れました! うん、我ながらなかなか上手です。次は鱗を引きましょうか」
海未「……うーん、やっぱり鱗取りが欲しいですね……あるいはいい出刃が一挺あれば……」
海未「……よし、あらかた取れたでしょうか。ここまで来たら中骨に沿って背開きにして、残った内臓を洗い流せば下処理はおしまいですね」
海未「お腹の皮を破らないように……しかし大胆に……かつ小刻みに」
海未「中骨だけでなく、頭にも油を触れさせたいので……頭も割ってしまいましょう。反対側も同じ要領で切り開いて……」
海未「ふう。あとは塩をすり込んで少し置いて、衣をつけて二度揚げにするだけ……なんですが、これに時間がかかるんですよねえ……」
海未「しかし、おいしい唐揚げのためです。待ち時間もスパイスです。……塩もしましたし、少し読書でもして待ちましょう」 タイマー「ジリリリリ」
海未「ん、時間ですね。よっこいしょ……」
海未「うん、ちゃんと水分が抜けています。余分な塩は流して、改めて塩こしょうをしたら──今日は片栗粉で揚げましょう」
海未「全体にまぶしたら、余分な粉をはたき落として、低温の揚げ油の海へ……いざ!」
海未「ああ──ここからまた、十数分ばかり待機ですね。姿のまま中骨だけ抜くように捌けると時間短縮になるのですが……私にはまだ難しすぎます」
海未「……火を使っている以上、読書などする訳にもいきませんし……甘酢あんかけなどを作ってもいいのですが、今日はお塩で食べたい気分ですし」
海未「退屈ですねえ……油の弾ける音も、なんだか雨音のようで眠くなります」
海未「……いや、眠ってはいけません、いけませんよ眠っては。眠ったら終わりですよ、道場全焼です」
海未「……包丁でも研いでいましょうか。タイマーをかけて……よし」
海未「……」
海未「……」
海未「……んー」
海未「……」
海未「……」
海未「──いや余計眠くなりますってこれ!」
海未「し、しかし、研ぎ始めてしまったものは仕方ありません。カエリを取って、仕上げ砥だけでも」
タイマー「ジリリリリ」
海未「ええ……」
海未「こ、こんなことならおとなしく待っていればよかったです……ああ、早く引き上げないと」
海未「ま、まあいいです。ここからまた数分待機ですし……二度目の揚げもありますから、その間に研ぎも済ませましょう」 海未「紆余曲折ありましたが──なんとか完成しました!」
海未「いやあ、長かった、長かったですねえ……しかしこのこんがりとした揚がり具合! とてもおいしそうです」
海未「では……いただきますっ」
海未「ちょっとお行儀は悪いですが、誰もいませんし、頭から……がぶ」
海未「……うん、よく揚がっています。やはりカサゴはじっくり揚げて丸ごと食べるのがおいしいですね……いろいろあった分、感動もひとしおです」
海未「ぱりぱりとした強い食感とは裏腹に、甘みは柔らかく、脂は優しく、旨味はほのかで、香りは幽か……上品で、どこか色っぽいお味です」
海未「お酒が飲める人は、揚がるのを待ちながら一献傾け、揚げたてを食べながらもう一杯、なんて贅沢が出来るのですね……ちょっと羨ましいです」
海未「もぐもぐ……うん、身よりも骨の方に旨味がある気がしますね。不思議なお魚です」
海未「しかし……こう小ぶりだと、すぐ食べ終わってしまいますね」
海未「……クサフグも持ち帰ればよかったでしょうか」
海未「い、いやいや、いくら個人で食べる分には問題ないとはいえ、何かあったら困りますし……」
海未「……でも、おいしいらしいんですよね」
海未「……ぐぬぬ!」 何げにキャラもかわいいのがこのスレの良いところ
カサゴって頭も食えるのね 海未「お昼はひやむぎでいいですか?」
ことり「うんっ。何か手伝う?」
海未「いえ、お客様の手を煩わせる訳にはいきません」
ことり「手伝わせてくれないとスカート短くしちゃうもん……」
海未「う……で、では、お鍋を見ていてもらえますか。私は薬味の方を準備しますので」
ことり「はーい」
海未「ええと……かいわれ、しょうが、ごま、わさび、おくら……おや、大事なものが足りませんね」
ことり「大事なもの?」
海未「はい。……すみませんが、お鍋をお願いします。もし吹きこぼれそうになったら火を細くしてください。ちょっと庭の方に出てきます」
ことり「え、お庭? ……行っちゃった」 ことり「……」
ことり「……海未ちゃん家ってこんなに薬味入れるんだ」
ことり「……」
ことり「……さみしいなー、すんすーん」
ことり「……」
ことり「──子どものころはいーつーだぁって〜」
ことり「泣き虫だったキーミなーのに〜」
ことり「いつの間にやーら逆転しーたかも──」
ことり「悔しいな、ぷんぷーん」
海未「……」
ことり「……え、う、海未ちゃん?」
海未「──バレましたか。もう少し聴いていたかったのですが」
ことり「も、もー!」
海未「ふふふ──すみません。歌っていることりがかわいらしかったので」
ことり「ごまかされないからね……」 ことり「それで、お庭に何しに行ってたの?」
海未「ああ、ちょっとこれを採りに」
ことり「これは……みょうがと赤じそ! お庭で育ててるの?」
海未「ええ。趣味程度のちょっとした菜園ですが、採れたてなので香りがよくておいしいですよ」
ことり「もういい匂いがする〜♡」
海未「まずはこのしそとみょうがを千切りにします。なるべく細く切った方が食感がよくなりますね」
ことり「そんなに細く千切りにできないよ……」
海未「練習あるのみ、ですね。このしょうがも針しょうがにしてしまいましょう。これも細く切らないと辛いですから、注意ですよ」
ことり「少し水にさらすといいんだよね」
海未「その通りです。では、水にさらしている間に、板ずりしたおくらを小口切りにして……かいわれは三等分くらいに切りましょうか」
ことり「あ……お鍋いい感じかも」
海未「おや、本当ですね。ちょっと試しに一本……うん、いい茹だり具合です」
ことり「流水で洗うんだよね?」
海未「ええ。危ないですからそれは私がやります。ことりは残りの薬味をお願いできますか」
ことり「うん、わかった」
海未「よいしょ……あちち」
ことり「平気?」
海未「はい。鍛えてますから」
ことり「あ、あんまり関係ないような……」 海未「……ふう、あとはしばらく氷水で冷やしておきましょう」
ことり「こっちも切れたよ〜」
海未「ありがとうございます。あとは仕上げですね」
ことり「まだ何かあるの?」
海未「はい。まず今しがた切った野菜を──全て混ぜます!」
ことり「混ぜちゃうんだ!?」
海未「そして、ここに白ごまとお塩をほんの少しだけ入れて、軽く水を抜きます。これでとりあえずOKですね」
ことり「いろんな色があって……きれいかも♡」
海未「夏場はこれをたくさん作って冷蔵庫に置いておくと便利ですよ。ひやむぎやおそうめんはもちろんですが、ひややっこなどに乗せてもおいしいですし──お刺身のツマとしてもいいですね」
ことり「なるほどね〜」
海未「嫌いでなければ、パクチーを入れてもおいしいと思いますよ」
ことり「あ、海未ちゃんパクチー大好きだもんね」
海未「え? いえ、普通ですが……」
ことり「……あ、あれ?」 海未「一束ずつ綺麗に盛り付けて──完成ですっ」
ことり「おー!」
海未「おつゆはこの合わせだしとお醤油、あとはみりんもありますから、お好みで入れてください」
ことり「市販のめんつゆじゃないんだ!」
海未「市販のものもおいしいですが……少し甘すぎる気がして。それにこのだしの味は自分で取らないことにはなかなか出ませんからね」
ことり「合わせだしなんだよね?」
海未「ええ、かつお節にこんぶ、それと干しエビから取っただしを合わせました」
ことり「おいしそう……」
海未「しかし、ひやむぎに少々の薬味だけでは味気ないので……これを入れましょう!」
ことり「これは……煮たお魚?」
海未「先日釣れたアジをぶつ切りにして水煮にしたんです。圧力鍋で炊いたので骨まで柔らかいですよ」
ことり「そういえば、山形の方の人は水煮の缶詰をおそうめんに入れるってテレビで見たかも」
海未「ええ、私もそれを思い出しまして……ずっと試してみたかったのです。さあ、食べましょう!」
ことうみ「いただきますっ!」 ことり「まずはおだしとお醤油だけで……ん! おいしい……!」
海未「よかったです。……うん、いいお味です」
ことり「ほ、ほんとにおだしとお醤油だけ……? シンプルなのにいろんな味がして……す、すごい」
海未「薬味を入れてもおいしいですね。味がうるさくなりそうですが、干しエビのおかげでしょう、調和があります」
ことり「ほんと……香ばしい甘さがあって……そこにこの薬味がきりっと!」
海未「しかしなお舌に残るだしの旨味……いい塩梅ですね。……ではそろそろ、水煮を……えいっ」
ことり「丸ごと入れちゃうの!?」
海未「え、ええ。テレビでは皆さんそうしていたので……これを崩しながら食べるんですね」
ことり「え、ええと、じゃあ、ことりも……えーいっ!」
海未「なかなかどうして、パンチのある見た目ですね……薬味を少し足して──いただきます」
ことり「どう?」
海未「……! こ、これは……おいしいです! 淡白な旨味と食感が加わって、しかしだしの邪魔をしない……身に残る脂がコクを出し、薬味がそのしつこさだけを消すような……と、とにかくおいしいです」
ことり「んん〜〜っ♡ これすごいよ! ほんとに旨味がぐっと増して──強い味なのに薬味のおかげで飽きが来ない感じかも」
海未「これはわさびよりもラー油などの方がおいしいかもしれませんね……」
ことり「ら、ラー油……ここにさらに旨味と辛味が……ごくり」
海未「……ちょっと取ってきますっ!」 昼飯時の更新とはやってくれる
試さずにいられないぜ ラー油はいいぞ
ちぎったレタスや細切りにした大根にラー油とポン酢かければピリ辛サラダになる
茹でてほぐした鶏むね肉とかゆで卵とかその場その場で余ってる食材、オクラ茹でて加えたりトマトぶつ切りにして添えたり、豆腐を葉っぱの下に入れてもいい
めんつゆもゴマだれも飽きて余ったそうめんなんかも水でしめてから野菜の下に仕込めばピリ辛サラダそうめん風になる
夏場は冷たくてサッパリなのにお手軽ピリ辛なラー油ポン酢が便利 食べ物もらえる人間は友人と思ってる豚にとって
なでなでされて安心しきった時にチョンパだもんな
できれば感情のない魚からだけタンパク源摂って生きたいけど難しい 魚だって人間には分からんだけで思うところがあるかもしれないぜ
他の命を頂かなきゃ生きていけないんだから、その辺は割り切るほかないよね 眉唾だけど野菜に電極かなんかくっ付けて観察してたら切られる瞬間に人が痛み感じて叫んだときと同じタイプの反応を示したとか聞く
活アサリなんかもつつくとキューッて身を守ろうと殻閉じるし
まだ死にたくないと思ってる生き物を殺して食べてるんだから食材は大事にしなきゃな 魚介類はなるべく身を残さず食べることを心掛けてます みんな無理して保守しないで落としてくれていいのよ
正直なところ最近クソ忙しくて書いてるヒマないし 戻って来るその日まで気長に待ってるぞ
急かしてるわけじゃないから安心してくれ 絵里「ハーイ、海未。今日は何か釣れた?」
海未「絵里。今日はゴマサバが数匹釣れました。活け締めにしてすぐ持って帰ってきたので、お刺身でも食べられる鮮度ですよ」
絵里「サバのお刺身……九州の方ではよく食べるみたいだけど、こっちでは珍しいわよね。足が早いの?」
海未「ええ。サバは内臓に強いタンパク質分解酵素を持ちます。この酵素は宿主が死ぬとすぐに制御を失うので……自身をも分解してしまうんですね」
絵里「ハラショー……“鯖の生き腐れ”ってやつね」
海未「どこで覚えたんです、そんな言葉……ああ、ちなみに、相撲の決まり手である“鯖折り”の由来も、この足の早さに起因します。釣り上げてすぐに締めて血と内臓を抜きたいので、エラから指を入れて、首の辺りをこう、ボキッと行くんですが」
絵里「お、オーケー、もういいわ、だいたい分かったから」
海未「す、すみません。では捌いてお刺身……は、やめた方がよさそうですね……」
絵里「え、もう傷んでた?」
海未「いえ──これのせいです。分かりますか」
絵里「あっ、何かにょろにょろしたのが……これって、まさか」
海未「はい。アニサキスです」
絵里「へえ、これが」
海未「意外ですね。もっと気味悪がるかと思ったんですが」
絵里「だって、知らず知らずのうちに食べちゃってるんでしょう?」
海未「まあ、そうですね。タラやホッケなどにはほぼ100%いますから」
絵里「なら平気よ。まあ、気持ちのいいものでもないけれど」
海未「剛毅ですね」
絵里「褒め言葉として受け取っておくわ。……ところで、西日本ではスーパーでもお刺身を扱ってるって聞いたけれど……アニサキスはいないのかしら」
海未「いますよ。いますが、種類が違うのです」
絵里「え、アニサキスって何種類もいるの?」
海未「はい。世界中では確か十種類ほどが確認されています。日本ではそのうちの二種類、アニサキス・ピグレフィとアニサキス・シンプレックスが発見されました」
絵里「分かった、片方は無害なのね。それに住んでる海域も違うと」
海未「その通りです。太平洋側と日本海側で分布がほぼ真っ二つに分かれていて、そのうち中毒患者から検出されたのはほぼ太平洋側のもの──シンプレックスの方だそうです」
絵里「何が違うのかしらね?」
海未「ピグレフィは内臓に潜伏するのみですが、シンプレックスは内臓を食い破って肉質部を穿孔します。なので西日本では、内臓を取り除きさえすれば生食してもほぼ問題はないということですね」
絵里「なるほどね……ところで、そのサバはもう生では食べないの?」
海未「目視の限り大丈夫だとは思いますが……何があるか分からないので」
絵里「そう、残念。ちょっと楽しみだったんだけど。……あーあ、残念だな〜?」
海未「……責任は取れませんよ?」 東京刺身ないんか!
二年以上自炊しとんのに気付かんかった…… なんか眉間辺りをぶっ刺すんだっけ
あれってどの魚でもそうなのかな? 魚が生きてる内に、血抜き、神経抜きをして、内臓を除去すればアニサキスは怖くないぞ
そもそも内臓に居て、宿主が死ぬと筋肉(身)の方に住処を移すからな アニサキスに当たるのって宝くじに当たるレベルの運が必要らしいよ
庄司が7匹にやられて学会に発表できるくらいのことっていうのはそういう理由からみたい 海未「さ、できました。こちらは皮のままお刺身に、こちらは皮を引いて塩で締め、お酢で洗ったものです。これは皮目を炙ってタタキにしてみました」
絵里「わあ……綺麗ね」
海未「今アラを炊いていますから、とりあえずお先に──」
えりうみ「いただきます!」
絵里「まずは普通のお刺身から……ん! おいしいわ。思ったよりさっぱりしてるのね」
海未「マサバに比べて脂が少ないですからね。しかしこのもっちりとした歯ざわり……なんとも言えないおいしさです」
絵里「皮目の食感もいいわね。コリコリして……噛むたびにおいしさが溢れてくるみたい」
海未「うん、酢洗いの方もいいお味です」
絵里「どれどれ──うん、おいしい……こっちの方が旨味が強いかしら」
海未「無駄な水分が抜けますからね。締まり具合もいい塩梅です」
絵里「タタキも素晴らしいわ……炙ると香りが出て……薬味とぽん酢がよく合ってる」
海未「炙ったことでにじみ出た脂が、またなんとも……リスクを負ってでも生で食べたい気持ちも分かりますね」
タイマー「ジリリリリ」
絵里「あら」
海未「時間ですね。よっこいしょ……」
絵里「ふふ、おばあちゃんみたい」
海未「え、あ、つい癖で……」 キタ──────/cV^_V^V──────!!! 海未「うん、いい頃合いでしょう」
絵里「あら、真っ白」
海未「先にお酒と水と塩だけで軽く煮ました。こうするとアラ独特の臭みがとれて、食感も良くなるので。ここにお醤油とみりんを足して、もう少し煮たら完成です」
絵里「その間に、この残った一尾を調理する訳ね」
海未「はい。お刺身、酢洗い、タタキにアラ炊きと来たので、ここはやはり塩焼きと、竜田揚げにしようかと」
絵里「素敵ね。何か手伝う?」
海未「いえ、ほとんど準備は済んでますから……そうですね、油の温度を見ていてもらえますか? 170度くらいになったら教えてください」
絵里「オーケー、任せて」
海未「ありがとうございます。では、魚焼きグリルを温めながら……竜田揚げの支度を終わらせましょう。ええと、漬けたものは……」
絵里「そうやって袋で漬けると便利よね。手も汚れないし」
海未「お酒、お醤油、みりんを合わせたものに、生姜の絞り汁を少し──骨を抜いて一口大に切ったサバと一緒に袋に入れて、軽く揉みました。袋で揉むと味の含みもいい気がしますね」
絵里「これも長く漬けないほうがいいの?」
海未「そうですね。鶏もも肉のように脂が強いものは長く漬けた方がいいですが、お魚は軽くでいいと思います」
絵里「ふむ」
海未「もちろん、好みもありますけどね──さて、十分温まったと思うので、塩焼きの方も焼き始めましょう」
絵里「一度塩を打って、それを流して、改めて塩をして……なんとなくもったいない気がするわよね」
海未「ええ、確かに……しかし、塩の浸透圧で水分と一緒に臭みを取るので、塩の方に臭みが移ってしまうんですよね……」
絵里「うまくいかないものねえ……あ、油、いい温度よ」
海未「本当ですね。では先ほどの袋に──卵白を入れて軽く揉んだら、片栗粉を薄くまぶして三分ほど揚げます」
絵里「へえ、卵白……」
海未「こうするとサクッと仕上がりますし、旨味の流出も防げるようです。希に教えてもらいました」
絵里「海未もだけど、希も大概よね」 絵里「ところで、お魚の締め方っていろいろあるわよね」
海未「そうですね。でも、基本はどれも同じですよ」
絵里「というと?」
海未「即死させるのです」
絵里「……なるほど、ね」
海未「……言い方は、悪いですが。命をいただく以上、余計な苦しみを与えないこと──などと言うと、独善的に過ぎるでしょうか」
絵里「ううん。仕方のない……そして大切な事だと思うわ。生き物を殺さずに生きていくなんて土台無理な話だし……大事なのは感謝の気持ちを忘れない事よね」
海未「ええ、本当に。「いただきます」は食材の命を“いただく”ことへの感謝である、というのは俗説のようですが……私はこの考えが好きですね」
絵里「日本人らしい、って言うとありきたりだけど、奥ゆかしい言葉よね。……ごめんね、話が戻るんだけれど、お魚の締め方って例えばどういうのがあるの?」
海未「あ、ええと……小魚の場合は“氷締め”が多いです。釣り上げてすぐに、よく冷えた氷水に入れる方法ですね。真水ではなく海水、氷も塩水を凍らせたものだとなお良いです」
絵里「大きいのだと?」
海未「フィッシングナイフなどで急所を断ちます。具体的には脊椎付近──後頭部の辺りですね。目から親指一本分後ろ、などと言われます。死ぬと痙攣したのちぽっかり口が開くので、それが目印になるでしょう」
絵里「……訊いておいてなんだけど、生々しいわね、やっぱり」
海未「釣りをしていなかったら、今ほど食材に感謝していなかったかもしれません。最初の頃はうまく捌けず、身をボロボロにしてしまって……情けないやら、申し訳ないやらで、涙が出ました」
絵里「今は上手じゃない。それに、泣いちゃうくらい申し訳なく思ったんでしょう? きっとお魚も浮かばれるわ」
海未「……ありがとうございます。絵里は優しいですね」
絵里「私、お魚捌くの苦手だし。尊敬も多分にあるのよ」
海未「頭を落とす、お腹を割いて肝を抜く、そしておろして腹骨を取る、の三工程が主なので、慣れてしまえば難しいものではありませんが……慣れるまでが難しいんですよね」
絵里「コツみたいなものはある?」
海未「そうですね……いろはのいですが、包丁をよく研いでおくことはとても大事です。あとは手先の感覚でしょうか……刃がちゃんと中骨に沿うと、独特の手触りがあります」
絵里「練習あるのみ、ね」
海未「アイ活も同じですね」
絵里「ふふ。もしかしたら得意かも」 補足じゃ
確かに千枚通しみたいなんで脳みそ破壊して締める方法もあるんだけど、あれは慣れてないとなかなか難しいんでオススメはしないでおく
エラブタから中骨の下辺りにナイフ突き立てて、骨ごと後頭部辺りまで割るのが血抜きも出来て簡単、ついでに中のビラビラしたやつ(これがエラじゃ)も付け根から切り離してやるとよいぞ
すぐ持って帰るなら頭落としちゃってもいいと思う
鉄則として、魚に傷をつけたなら、タオルで包むか袋に入れるかして直接水なり氷に触れないように持って帰ること、そして残さずおいしく食べることじゃ
あとクソどうでもいいけど二年前くらいにアニサキスにあたって死ぬほど痛い目見たからみんなは気をつけてください 192だがわかりやすかった!
これ見ながらがんばるわ 更新までに出た話題を拾ってくれるのほんと助かる
腹も減るしとんでもないスレだぜ 某半島で犬を締める(?)時に川で溺れさせて棒で叩くってのを思い出しちまった。
苦しませれば苦しませる程美味しくなるそうで・・・ 焼酎はロックがいいな
俺的にはちょうど良いアルコール度数だからすんごいハマってる 断然エリチだろ、ウォトカでイクラでハラショーする未来しか見えねぇ http://i.imgur.com/pLCXzt5.jpg
´ ̄ ̄ミヽ、_
/ ` 、_rx-―-、
, , -‐/ `マハ \
/ ィ / / /| | V ヽ )
, / | {__{ i | ト、 ト、 i'
. / / 'l「 | l` | } i | ) ノ
. ,゙ ! i l `゙ ト、 li / ハ } |ム イ 凛はチャーシューン!
i 从 ,斗≠ミx リ //` ,! |
| rヘ { 、、、 ` / ィ斗=x, イ} |
lハ { rュ\ , 、、、ソ/ / l l
い、ヾ、」、` r‐ 、 / イ 八_
\ト込,_ 、 ノ 人ノi /
__ ゛ / >-,_ _.. イフ/厶イ
_/ ~ミ={ ´ ィ'´_}ェ‐「ヾへ'^i
「~ ̄¨^''ヽ、」三i ´ィノ ク }-- 、
}‐―- 、 ヾ込 V´ ノi )ェ
く ヽ、 )、 { , 仁{ ,イ }
)´ \/ ハ f―‐‐''´ 人
( | / /‐.} L____,,.イ )
. } |: / / | V { スレにオチをつける意味でもなんか書いてほしい
まだ見てるだろうか みんなほんとありがとう
仕事の原稿の合間にちまちま書いてはいるからもうちょっとだけ待っててほしいのじゃ……ふざけんなクソ死ねって感じなら落としてもらってもよいです 凛「うーん……どうしよ……」
海未「おや、凛。奇遇ですね」
凛「海未ちゃん。また釣り?」
海未「ええ。……ところで、どうかしたのですか? ラーメン屋さんの前で」
凛「あ、うん……ラーメン食べたいなあと思ったんだけど……」
海未「けど?」
凛「おこづかいもあんまりないし……太っちゃうかなって」
海未「ふふ──すっかり女の子ですね、凛?」
凛「なんで笑うのー!」
海未「ごめんなさい。かわいらしいな、と。──お詫びと言ってはなんですが、これからうちに来ませんか? 家にあるものと“これ”で……ローカロリーなラーメンが作れると思うので」
凛「ごちそうしてくれるの?」
海未「ええ。構いませんよ」
凛「やったあ! ありがとう海未ちゃん!」 海未「よく手は洗いましたか?」
凛「はい!」
海未「では始めましょう。まずは“これ”でだしを取ります」
凛「わっ、いかついお魚!」
海未「カサゴです。先日食べたのですが、いささか小ぶりだったので……今日は大物を狙いました」
凛「これは──大きいの?」
海未「……ま、まあまあですかね」
凛「……ちっちゃいんだね」
海未「ち、小さくてもだしは立派です、カサゴは二番だしまで極上ですから」
凛「確かにすんごいだしが出そうな顔してるにゃ」
海未「それに二尾釣れましたから、薄すぎるということはないと思います。さあ、さくっと捌いてしまいましょう」
凛「凛はなにすればいい?」
海未「うーん、そうですね……ああ、お鍋に水を張ってもらえますか。一リットルばかり」
凛「そんなことでいいの?」
海未「……凛に包丁を握らせるのは、なんとなく怖いですし」
凛「ひどいにゃー! 絶対バカにしてる!」
海未「で、ですが、凛のきれいな手指に傷でも出来たら大変ですから……」
凛「……海未ちゃんってそういうとこあるよね」
海未「はい?」 海未「さて、捌けました。身は後で使うので、塩をして“冷凍庫”で寝かせておきます。今回の主役はこのアラです!」
凛「お水入れたよ〜。きっちり一リットル!」
海未「ありがとうございます。では、ここに霜降りしたアラとこんぶを入れて、水から強火で煮出して行きますよ」
凛「煮付けは沸騰してから入れるのに、だしを取るには水からなんだね」
海未「水から炊くと素晴らしいだしが出ますが、それとは畢竟、身の方に旨味が残らないということでもあります。……にこに言われるまで気づきませんでしたが」
凛「にこちゃんって時々すごいよね」
海未「いつもすごいですよ、あの人は。……さて、待つ間に付け合わせの用意をしましょう。まずはこの長ねぎを白髪ねぎにします」
凛「あ、ラー油で和えるやつ!」
海未「その通りです。ラー油、お酢、お塩にお砂糖と、顆粒の鶏ガラスープの素を入れてさっくり和えて、あとは荒く挽いた黒胡椒を少し……これで一つ出来ました」
凛「簡単だね!」
海未「次は、そうですね……ああ、乾燥わかめがありました。これをぬるま湯で戻して……おくらもあるので、軽く茹でて入れてみましょう」
凛「身体によさそうだにゃ」
海未「ん、スープが沸騰しそうですね。これくらいになったらこんぶを除いて、火を細くします」
凛「弱火にしちゃうんだ。豚骨スープとかだと強火でぐらぐら煮るイメージだけど……」
海未「あまり沸かすと灰汁が浮きますからね。お魚の旨味は繊細ですから、灰汁をすくってしまうと旨味まで除いてしまいかねません。なので弱火でコトコト煮出して灰汁は沈殿させ、上澄みを使う感覚です」
凛「生臭くなったりしないの?」
海未「そこは私の腕の見せどころですね。……ええと、カサゴの身の方は……うん、いい冷え具合です」
凛「キンキンに冷えてやがるにゃ……!」
海未「このキンキンに冷えた身を適当な大きさに切ったら──お塩と卵白と一緒に、フードプロセッサーで練ります!」
凛「キンキンにしなくちゃいけないの?」
海未「フードプロセッサーはどうしても摩擦などで熱が生じます。練る段階であまり熱を入れてしまうと、せっかくのお魚の香りが飛んでしまいますから」
凛「……海未ちゃんは鉄人でも目指してるのかにゃ」
海未「なんでも出来る人になりたい、という思いはありますね。……さあ、よく練ったら、板──はないので、お皿の上に形成して、せいろで蒸していきますよ」
凛「かまぼこだ!」
海未「ラーメンと言ったらなるとですから、お魚の練り物が合わない道理はありません」
凛「さすが海未ちゃん話が分かる!」 海未「さあ、せいろもセットできましたし、そろそろ麺を茹でて行きましょう。今日はこれを使います」
凛「そ、それは……マルツネの“龍神の糸・細中華めん”!!」
海未「ほう、知っていましたか……さすがは凛です。おいしいですよね」
凛「乾麺だけど、乾麺らしい良さがあるよね。最近の生麺至上主義には凛はカイギテキだにゃ」
海未「こういう細い麺だと、乾麺独特のつるりとしたなめらかな喉越しを活かせる気がしますね。……さ、麺をたっぷりのお湯で湯がいている間に、スープの味見をば……うん、おいしいです。凛も一口どうぞ」
凛「いただきます! ……わ、え?」
海未「すごいでしょう」
凛「う、うん、すごい……なんの調味料も入れてないのに、この深い甘味と旨味……野性的にガツンと来て、でも穏やかに、優しく去っていく……だし界のバンカラって感じだにゃ」
海未「ば、バンカラ……まあ、顔もいかついですしね……え、ええと、では、お湯を通して温めたどんぶりに、塩、お醤油、味覇とみりんを少し入れて、濾したスープで割ります」
凛「わ、わ……いい匂い!」
海未「この瞬間は心踊りますよね。ちょっと味見してみてください」
凛「ずず……うん、おいしい……けど、ちょっと何か足りない気もする……」
海未「ふむ、確かに……では、少しだけこれを入れてみましょう」
凛「油? わっ、真っ赤っか!」
海未「エビ油です。エビの殻や頭を油でじっくり煮て、香りを移しました。香ばしさとコクを加えるのに最適です……これでどうでしょう」
凛「……! さっきと全然違う……おいしい!」
海未「よかったです。さ、あとは盛り付けですよ!」 海未「真ん中に白髪ねぎ、横にわかめ、小口切りにしたおくら、そしてこのかまぼこを浮かべて、エビ油を少々垂らしたら……」
凛「完成だにゃー!」
海未「うん、思った以上にそれらしいものができましたね。それでは、お手を拝借──」
うみりん「いただきます!」
凛「ずずず……んー! んまいにゃ〜」
海未「本当ですね。強いタレの味に負けないスープ、なめらかなわかめと爽やかなねぎの香り……おくらの粘りのおかげか、味の余韻が長いですね」
凛「全然生臭くなんてないし、このかまぼこも──ふかふかもっちりなのに歯切れがよくて……五百個は食べられるね」
海未「ご、五百ですか。大きく出ましたね」
凛「そしてこの麺! なめらかな喉越しと乾麺特有の旨味、さっくりした歯触りが、澄んだ魚介醤油のスープによく合う……!」
海未「以前アジの水煮入りのひやむぎを食べた時にも思ったのですが、お醤油と小麦の組み合わせにお魚のだしが加わると、それぞれの旨味がさらに助長される気がしますね」
凛「さながらlily whiteだにゃ」
海未「それ私がお魚担当みたいじゃないですか」
凛「だって名前も海未ちゃんだし」
海未「せめてお醤油がいいです……」
凛「謎の感情すぎないかにゃ」 長いこと保守ありがとう
海枯れで釣りネタはもう使えないから、次は未来μ's酒編でも書きたいけど難しいよな〜…… (穂乃果ちゃんはさっぱりしたオレンジ系のカクテル飲むだろ……ことりちゃんはにこにこで甘いカクテルを舐める……
その横で海未ちゃんとぱなよが日本酒をちまちまやりながら肴を旨そうに食べて、凛ちゃんはビールを呷って、真姫ちゃんは多分ワインとかブランデーとか飲むんだけど真っ先に酔って妙に素直になるんだ……
のんたんは多分アブサンみたいないわくつきの怪しい酒をやるし、にこっちはギムレットとか飲みながらレイモンド・チャンドラーとかのうんちくを二、三こぼして、えりちは当然ウォッカをショットでやって……酒μ'sいいな……) やっぱりええなぁ
酒の肴はやっぱり海未ちゃん製だろうか 海未「はあ、ふう……」
にこ「あれ、海未。奇遇ね」
海未「に、にこ。本当ですね」
にこ「でっかいクーラー持って……今日も釣り?」
海未「いえ、今日は夜のうちに仕掛けたカゴ罠を引き揚げに……ふう、重いです」
にこ「カゴ罠……アンタ本気で漁師やるとか言い出さないでしょうね」
海未「さすがにそこまでは……自分の船と船舶免許が欲しいとは思いますが」
にこ「およそスクールアイドルとは思えない発言よね」
海未「そ、そうでしょうか……統堂さんも分かるとおっしゃっていたのですが」
にこ「……え? と、統堂さんって──A-RISEの統堂英玲奈!?」
海未「ええ。先日一緒に波止釣りに行った際に」
にこ「いつの間にそんな仲良くなってんのよ!?」
海未「以前ライブをご一緒した時に連絡先を訊かれまして、それからですね」
にこ「にこ訊かれてないんだけど! というか釣りやるのあの人!?」
海未「何故だか私にしか訊かなかったみたいです……後から知ったことですが。釣りは昔からお好きだったようですよ」
にこ「ま、まあ、確かに気が合いそうな感じはするし、釣り好きも納得できないではないけど……はぁ、まぁ、いいや。それで、カゴ罠? 何か獲物はかかったの?」
海未「ええ、幾許かは。見ますか?」
にこ「どれ……うひっ!?」
海未「……意外ですね。にこはこの手のものは得意だとばかり」
にこ「どういう印象よ……これ、うなぎ……じゃない、あなごね。さすがに何匹もうねってたら面食らうわよ」
海未「まあ、ぬめりがあってにょろにょろしてますし、嫌悪感があるのは分かりますが……ほら、顔はけっこう愛嬌があってかわいらしいですよ」
にこ「う、うーん……しかし、幾許かってレベルじゃないわね」
海未「……確かに獲れすぎてしまいました。小さいものはリリースしたのですが、よもやこれほどかかるとは」
にこ「ひいふうみい……十匹くらいいるかしら」
海未「よければ食べに来てくれませんか? 冷凍などするのも忍びないですし」
にこ「うれしいお誘いだけど、チビ達がいるから」
海未「もちろん、妹さんがたもご一緒に」
にこ「……いいの? 迷惑じゃない?」
海未「来てくれた方がありがたいくらいです。しばらく家にひとりなので、さすがに消費しきれないですし……実ははじめから誰か誘おうと思っていたので」
にこ「それじゃあ、お邪魔しちゃおうかしらね」 にこ「ごめんくださーい」
海未「はい、お待ちしておりました。暑かったでしょう、どうぞ上がってください」
にこ「ありがと。おじゃまします」
こころ「お、おじゃましますっ」
ここあ「──あっ! うみみ!」
うみみ「う、うみみ?」
にこ「ああ……何度言っても何故かうみみー、うみみーって」
うみみ「ゆ、ゆるキャラみたいですね……」
こころ「こ、こころね」
海未「はい?」
こころ「こころ、にこにーが一番すきだけど、うみみもすきっ」
ここあ「ここあも!」
海未「……(くらり)」
にこ「……海未?」
海未「こ、これは……ことりが骨抜きにされるのもさもありなんというか……」
ここあ「うみみあめ玉くれたからすきー♡」
海未「……あ、ああ……そうでしたか……」
にこ「ゲンキンなんだから。誰に似たのかしら」
○
海未「さあ、それでは調理を始めましょう──と、言いたいところなんですが」
こころ「(じー)」
ここあ「(じー)」
海未「う、ううむ……」
にこ「ああやって台所覗くの大好きなのよ」
海未「ああ、そうなんですか。ふふ、かわいらしいですね」
にこ「よく言って聞かせてるから入ってはこないし──高さ的に手元も見えないだろうから、気にしなくて平気よ」
ここあ「しずかにしてるよ」
こころ「おだいどころ、あぶないから」
にこ「えらいえらい♡」
海未「良くできた子たちですねえ……どこぞの幼なじみにも見習ってもらいたいものです」 穂乃果「っくひゅん!!」
雪穂「ちょっと、夏風邪? うつさないでよね」
穂乃果「ん〜……?」 海未「気を取り直して、始めましょう。まずは血抜きを済ませたあなごをまな板に目打ちします」
にこ「立派なまな板ね」
海未「分かりますか、このまな板の良さが」
にこ「一枚板……多分いちょうよね? 飲食店でもなかなか見ないわよ、こんなまな板」
海未「林業を営んでいる親戚がいまして、特別にまな板として切り出してもらいました。一般的に売られているものより少々幅広なので、お魚を捌くのに本当に重宝しています」
にこ「裏面は目打ちの跡らしき穴があるけど……表面はなめらかね。手入れの良さがあらわれてる、本当にいいまな板だわ」
海未「……気のせいでしょうか、さっきからこう、まな板と耳にするたび胸が痛いのですが」
にこ「……」
海未「……」
にこ「……」
海未「……さ、さあ、目打ちも済んだので、捌いていきますよ。胸ビレの辺りから中骨まで刃を入れて、そのまま尾っぽまで引いて背開きにします」
にこ「あなごって基本背開きよね。……まあ、腐肉食(スカベンジャー)だし、内臓傷つけたらまずいんだろうけど」
海未「それも大いにありますが、切腹に通ずる腹開きを江戸っ子が嫌ったため、とも言われますね」
にこ「ははぁ……小粋なもんね」
海未「本当に。──さて、あとはヒレと内臓、頭、骨、そして血合いを除くだけですね」
にこ「簡単そうに言うわねえ」
海未「初めは確かに苦戦しますが、慣れれば簡単ですよ。うなぎは元気なものを捌かなくてはいけない都合上、結構暴れるので難しいんですが……」
にこ「このパンパンに膨らんでるの……胃袋よね」
海未「……ちょっとしたトラウマがあるので、胃・即・斬の元に処理します」
にこ「て、手際いいわね……次私やってみてもいい?」
海未「ええ、もちろん」
○
にこ「よし、これでおしまいね」
海未「ありがとうございます。結局ほとんどにこにやらせてしまいましたね」
にこ「いいのよ。にこがやりたいって言ったんだもん」
海未「さすがの包丁さばきでした。──さあ、ここからは私の仕事ですね」 海未「まず、このいっとう大きな一尾ですが……この子はお刺身にしましょう」
にこ「へえ、お刺身……うなぎは毒があるから生食はできないって聞いたことあるけど、あなごは平気なの?」
海未「あなごにも同じイクシオトキシンという毒素がありますが、うなぎよりずっと少ないとされています。……そもそも毒は血中にしかないので、よく血を抜いて血合いを除けば、うなぎの生色も問題ないとは思うんですけどね」
にこ「ふむ……毒より鮮度の壁が高そうね」
海未「鮮度の問題は確かに大きいですね。ただ、血のついた手で目をこするなどして、失明レベルの被害を被ることが稀にあるそうなので、注意に越したことはありませんが。……さ、皮を引いて、薄く切り付けて──半分は炙りにしましょうか」
にこ「捌いてるときも思ったけど……すごい脂」
海未「これだけ脂が乗るほど大きくなると、蒲焼きや天ぷらには向きませんからね……やはりお刺身か煮付けが最適でしょう」
にこ「ああ……なるほどね。衣つけて揚げると油っぽすぎるし、焼くと脂が落ちすぎちゃう、と。その点煮付けは落ちた脂をツメとして拾えるものね」
海未「その通りです。そのため、大ぶりのあなごはかつて下手物として扱われていたようです──ふう、まず一品できました」
にこ「こうして見るとエンガワみたいね。とびきり上等なやつ」
海未「ああ、確かに。味も近いものがありますね」
にこ「その横に添えたのは……芽ねぎ?」
海未「はい。巻くようにして食べるとおいしいですよ」
にこ「楽しみ♡」 海未「残りのあなごですが、ここはやはり煮付けと天ぷらと……白焼きにしてみましょう。下拵えとして、皮目に熱湯をかけて、白濁したぬめりを包丁でそぎ取ります」
にこ「何か手伝うわ」
海未「ありがとうございます。では……お鍋にお酒と水を同量入れてもらえますか」
にこ「はぁい」
海未「そうしたら、この網で頭と中骨を素焼きにしてください」
にこ「おっけー。焼けたらぬめりとエラを取ればいいのかしら」
海未「さすがにこです!」
にこ「煮あなごのツメと言ったら、素焼きした骨と頭のだしよね」
海未「香ばしく深みのあるだしが取れますからね。甘辛い味付けとよく調和します──よし、やっとぬめりが取れました。……ああ、油を温めておかないと」
にこ「あ……いい匂いがする」
海未「本当ですね……この脂の焼ける匂いはなんとも……」
ここあ「おなかすいた……」
こころ「こころも……」
海未「あああ、ごめんなさい、すぐ作りますからね。にこ、氷水を用意してもらえますか?」
にこ「め、目の色が……え、ええと、氷水ね。天ぷらの衣かしら」
海未「話が早くて助かります」
にこ「このくらいでいい?」
海未「完璧です。──では、この氷水に薄力粉とお酢を入れて、さっくり混ぜます」
にこ「お酢?」
海未「はい。お酢が水と小麦粉の結びつきを阻害するので、グルテンが形成されづらくなります。つまり、衣がもったりと重くなるのを防ぐことができるんですね」
にこ「へえ……あ、マヨネーズ入れるといいって聞いたことあるけど、そういうことだったのね」
海未「ほう、マヨネーズ……油脂も含まれていますし、よさそうですね。さ、適当な大きさに切って、揚げていきましょう!」 にこ「ん、もう焼けたかな。エラを取って……あちち、お鍋に入れちゃっていい?」
海未「はい、お願いします。──ちょっと手が離せないので、火を少し細くして、つどつど灰汁を掬ってもらえると」
にこ「りょーかい」
海未「ラブノベルスみたいでしたね今」
にこ「華やかモデル系ユニット……だったんだけどねえ、ハナからあれじゃね……絵里は酔っ払ってたのかしら……」
海未「だ、ダイヤモンドプリンセスの憂鬱はオシャレでしたし……それにリリホワも最近は昭和だ芸人だと」
にこ「Printempsもヤンデレユニットみたいに言われてるしね……最初の方針からブレるのはアイドル界隈ではよくあることだけど」
海未「やんでれ、はよく分かりませんが、NO EXIT ORIONを初めて聴いたときは若干肝が冷えましたね……」
にこ「全てを捨てて私だけ〜」
海未「それが望みだと言って欲しいの──あれを穂乃果が書いたとは、未だに信じがたいです」
にこ「少女漫画好きとは聞いてたけど……一体何を参考にしたのやら」
海未「『こはるの日々』とかでしょうか」
にこ「なんだってそんな漫画知ってんのよ」
海未「にここそ」 海未「うん、もういいですかね。バットにあけて、食べる直前に二度揚げにしましょう」
にこ「だしの方もいい具合よ」
海未「本当ですね。では一度濾して……だしのみで軽く炊きます」
にこ「味は後からつけるの?」
海未「そうですね。と言っても、すぐで大丈夫です。二分くらい炊いてから調味した方がふっくら仕上がりますし、味が入りすぎることもなくなりますから」
にこ「煮魚とは勝手が違うのね」
海未「魚の方がデリケートな気はしますけどね。──さ、そろそろ白焼きも焼き始めましょう。金串を縫うように打って、さっきの網で軽く焼きます」
にこ「軽くでいいんだ」
海未「うなぎは自身の脂で表面が揚がるくらい焼きますが、あなごで同じことをするとどうしてもパサパサになってしまうので。強火の遠火で、中まで火が入ったら上げてしまいます」
にこ「表面に焼き目つけて、あとはせいろで蒸すってやり方もあるみたいね」
海未「一度試したんですが、とてもふっくら仕上がりましたね。私は焼くことで少し締まるあの歯ごたえが好きなので、少し物足りなく感じましたが」
にこ「あんまりふかふかでも食べ応えないものね。柔らかすぎる枕だと逆に眠れない感じ?」
海未「私、そば殻の枕好きなんですよね。もしかしたら関係あるかもしれません」
にこ「……自分で言っといてなんだけど、関係はないと思う」
海未「……ですね」 海未「そろそろ焼き上がりでしょうか。煮付けもいい塩梅なので、あとは煮汁をツメに仕上げて、完成ですね!」
こころ「おー!」
ここあ「わーい!」
にこ「盛り付けて運ぶわね」
海未「お願いします。……さて、煮詰めを進めている間に、薬味を用意して──あとは天ぷらの二度揚げでしたね」
海未「きゅうりを細切りにして、炙った海苔を砕いて……“コレ”も叩いておきます」
海未「あとは……そうだ、冷蔵庫に切り干し大根の炊いたのがあったはずなので、あれも添えましょう」
海未「……汁物に肝吸い、と思ったんですが、やはりあなごでは小さいですね……小さな子もいますし、今日はよしておきますか」
にこ「準備おっけーよ」
海未「ありがとうございます。煮付けの方も盛れましたよ」
にこ「きゅうりの細切りに切り干し大根……いい付け合わせね。さっぱりするし、食感もあるし」
海未「緑があると心持ち目に爽やかですしね。……さあ、こころちゃん、ここあちゃん、お待たせしました」
こころあ「おいしそーっ!」
海未「ふふ。では皆さま、お手を拝借──」
一同「いただきます!」
にこ「まずはお刺身から……ん、んん!? うん……んんん?」
海未「ど、どうしました? 埋没骨でも噛みましたか」
にこ「いや、それは大丈夫だったけど……なんというか、見た目と味とが妙にちぐはぐでびっくりしちゃった。でもおいしいわねこれ」
海未「お醤油をつけずに食べると驚きますよね。──うん、芽ねぎがよく合います」
にこ「もっちりした歯ごたえにさらさらした甘い脂……エンガワとかと似ているようで、でも明確に何かが違う……不思議な感じ」
海未「白焼きもおいしいです。噛みしめるたびにじんわり溢れる旨味の強い脂を、柚子胡椒が爽やかにまとめ上げて……」
にこ「脂の甘みが塩で引き立つわね。柚子胡椒もいいけど、にこはわさびの方が好きかな」
海未「わさびで食べるとよりさっぱりする気がしますね。──こころちゃん、ここあちゃん、お味はどうですか?」
こころあ「おいひいー!」
にこ「こーら、お行儀悪いぞ〜」
海未「ふふ。よかったです」 にこ「うん、天ぷらもおいしい……この間のゴンズイ天もおいしかったけど、こうして改めて食べ比べると、やっぱり別物ね。ゴンズイの方が締まった歯ごたえな感じ」
海未「ゴンズイも不思議な魚ですよね。印象はあなごに近いですが、味はメゴチやナマズを思い出させます」
にこ「へえ、ナマズね。確か近縁種なんだっけ──わ、煮付けおいし」
海未「よく知ってますねえ……うん、いいお味です」
にこ「ふわふわほぐれる身に甘辛いツメ、少しつけた花山椒で脂の旨味がより深く──甘みは感じるけど、お店とかで食べるのより鹹味(かんみ)が強いかしら」
海未「大ぶりのものが多かったので、甘みは脂で補って砂糖やみりんを控えました。あまり甘すぎても食べ飽きるので、このくらいがいい塩梅かと思いまして」
にこ「完璧。白ごまがまたいい香りで……切り干し大根と一緒に食べると格別ね」
ここあ「きゅうりおいしい〜」
こころ「ね〜」
海未「な、謎のきゅうり人気……」
炊飯器「ピーッピーッ」
海未「おや」
にこ「今のは……炊飯器?」
海未「はい。あなごの煮付けを作ったとくれば、やはり──“アレ”でしょう!」
にこ「ま、まさか……“アレ”が出てしまうというの……!?」
○
海未「お待たせしました──煮あなご丼と、イシガニのおみおつけです」
にこ「うわー絶対おいしい……絶対おいしいやつ……」
こころ「わあ……」
ここあ「かにさん!」
海未「帰る際に岸の方に出てみたのですが、何匹かとことこ歩いていたので。つい二杯ほど捕まえちゃいました」
にこ「つい、で捕まえられるのがすごいわ」
海未「イシガニは結構簡単に捕まりますよ。さあ、冷めないうちにいただきましょう!」 ちょっと待って埋めたてですかーめっちゃ出るわ、これ以上削れないぞ
言いたいこともあるのに にこ「あーほらやっぱり……やっぱりおいしい……」
海未「このタレの染みたご飯が嫌いな人、この世に存在するんでしょうか……」
にこ「焼き海苔の香り、ふくよかなタレ、脂の旨味に、ご飯のさっぱりした甘味……DNAに刻まれたおいしさって気がする」
海未「言い得て妙ですね。大脳の奥の奥、古皮質に直接響くような」
にこ「はあ、おみそ汁もおいしい……人はお米とおみそ汁から離れては生きられないのよ……」
海未「シータですか。……無作法ですが、飲み終えたら是非、手づかみで身を食べたいところですね。──おっと、忘れるところでした、よければ“コレ”を」
にこ「こ、これって……たたき梅!」
海未「はい。長物と梅干しは食べ合わせが悪いと言われますが、むしろその逆、梅干しが胃酸濃度を高めますから胃もたれの予防になりますし、何より脂と酸味がとてもよく合います」
にこ「合食禁(がっしょくきん)いわく、本当にダメなのはうなぎとぎんなんだっけ」
海未「……本当になんでもよく知っていますねえ。おみそれしました」
こころ「うみみ、にこにーすごい?」
海未「はい。とってもすごいです」
こころあ「えへへー♡」
にこ「……そういえば、銀杏(ぎんなん)がダメって、銀杏(いちょう)のまな板はセーフなのかしらね」
海未「えっ……いや、さすがにセーフだと思いますけど……」
にこ「ご、ごめん、ちょっと言ってみたかっただけだから!」 よかった書けた
>>1のクソもんじゃです。
今さらですがはっと思っていろいろ調べてみたところ、カゴ罠を使っての水産動植物の採捕は基本的に“許可されていない”ようです。
そのためカニカゴなどを用いた漁法は、仮に漁業権が指定されていない場所での使用であっても、漁業調整規則の違反となり、科料の罰則が適用されます。有り体に言えば、密漁です。
無知でした。思いっきり使ってました。
釣具屋などでレジャー商品として普通に販売されているという点から黙認してくれる漁業関係者の方も多いようですが、思わぬトラブルを生む可能性が非常に高いため、いかなる場合でも許可のない使用は避けてください。
遊漁で使用が認可されている漁具・漁法は、手釣り・竿釣り、トローリング、たも網・さで網、投網、やす、は具、徒手での採取に限られます。
地域によっては上記のものでも制限される場合があるようなので、レジャーで遊漁を楽しみたいのであれば、各都道府県ごとの漁業調整規則に必ず目を通してください。
無知ゆえに無責任な記述をしてしまったこと、猛省しております。大変申し訳ありませんでした。
書き切っちゃったので載せましたが、海未ちゃんはあなごをカゴ罠で獲ったのではなく、釣り上げたものと変換してご覧ください。
石は僕にだけ投げてください。
海未ちゃんゴメン……。 埋め立てですかーは長文の連投が続くと出るから
エラーが出たら短いレス、例えば「あ」だけのレスを挟めば回避できるよ >>319
ああそうなんだ、どうもありがとう
文章長すぎだから削れ系の書き込み見て削ったりしてたわ いかな海未ちゃんといえど高校生だからね
知らなくても無理はない ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています