善子「本当の願い」 [無断転載禁止]©2ch.net
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〜7月7日の夕方、善子の部屋〜
善子「Aqoursで短冊書いたじゃない」
花丸「うん」
善子「本音と建て前ってあるわよね」
花丸「……まあ」
善子「そりゃあみんなに見られてもいいように無難な内容を書くわよね、全員」 花丸「みんなラブライブ優勝! とか廃校阻止を成し遂げる! とか、そういう内容だったね」
花丸「だけど、これは」
善子「まあ、Aqoursの一員としての願い事なら間違っちゃいないしね」
善子「第一、これは建前なんかじゃなくて本音だし」
花丸「その通りずら! 善子ちゃん」 善子「ただし、数ある願い事の内の1つではあるわよね。数ある本音の内の1つともいえる」
花丸「……みんな他の願い事も持ってるし、他の人に見せなくない本音もある、か……」
善子「そこで! 私たち2人でもう1枚、短冊に願いを書きましょう!」
花丸「善子ちゃん、欲張りずら」
善子「いいの! Aqoursとしての願いだけじゃなくて、個人的な願いがあってもいいじゃない!」 花丸「『もっとダンスが上手くなりたい』とか、そういう願いだったらその両方を併せ持つけどね」
善子「それがアンタの願い?」
花丸「まあ、そういう想いもあるけど。マル、もっと頑張らなくちゃ」
善子「他の願いを書きなさいよ。それは自力で成し遂げなさい」
花丸「うん、いいよ……でも」
花丸「書いたやつ、どこに飾るの?」
善子「私の部屋」 花丸「……マルの書いたものは持ち帰ってマルの部屋に飾るよ」
善子「何よそれ!」
花丸「それだとお互い見せ合わなくても善子ちゃんだけマルのを見れるじゃん!」
善子「え? 何? 見られたら困ることでも書くの?」ニヤニヤ
花丸「そういう趣旨でやらせようとしてるでしょ!」 善子(へぇ……やっぱり花丸にもそういう願い事、あるんだ……)
善子「じゃあこうしましょう。お互い願いを書いた短冊を交換して、それを自室に飾りましょう」
花丸「なっ! /// なんて小っ恥ずかしいことを! ///」
善子「じゃあさっそく用意するから」
花丸「ぇえ……」 〜〜〜〜〜〜
善子「……」カキカキ
花丸(善子ちゃん、迷いなく書き始めてる……)
花丸(え? どうすればいいの? そのまま本音を書けばいいの?)
花丸(……物事は何も0か100だけではない……本音だけ、建前だけ、という2択だけではない)
花丸(本音と建て前を融合させて……ぅう……///) 善子「できた!」
花丸「早いね、善子ちゃん」
花丸(……「結ばれますように」は直球……交換することでもはやラブレターと化す)
花丸(そもそもこういうことを願い事に頼るのは間違ってる気がする)
花丸(逆に考えて「好きです」……だとさらに直球だけど、これはもはや願い事ではない、ただの告白) 花丸(建前を付与して「ずっと友達」だとモヤモヤ……ならば「ずっと一緒に」……)
花丸(ちょっぴり遠回し……悪くない……でもなんか重い……さらに遠回しに……)
花丸(「善子ちゃんに私の想いが届きますように……」)
花丸(……自分で行動を起こさないと無意味な気がする……実際に想いを届ける必要性がある……)
花丸(しかし! これを見せるということ自体が想いを届けるという行動につながるのでは……!?) 善子「ずら丸、まだ?」
花丸「急かさないで。善子ちゃん、どうせ本音100パーセントじゃないでしょ」
善子「本音100パーセントよ」
花丸「リスクが少なそうだね」
善子「……秘密」 花丸(結局リスクを回避した本音の1つがベストなのかな)
花丸(……決めた。これにしよう。数ある本音の内の1つ)カキカキ
善子「……」
花丸「書けたよ」
善子「じゃあ交換ね」
花丸「うん」 善子「……」サッ
花丸「……」サッ
『花丸の願い事が絶対に叶いますように』
『善子ちゃんの願いが必ず叶いますように』
善子「……なにこれ」
花丸「……」 善子「……、う、う〜ん……」
善子(何よこれぇ! 締まらないじゃないのぉぉぉ!!)モヤモヤ
花丸「……ありがとう、善子ちゃん」
善子「……」
花丸「そう願ってくれただけで、マルは……」 善子「アンタ随分と時間が掛かったわね」
花丸「!」
善子「これも本音の1つでしょうけど、直感で思い浮かんだのを排除したわね」
花丸「……そのお願い事を書くのに随分時間が掛かっちゃってごめんなさい」
善子「そこを攻めてるんじゃなくて……よし、お互い書き直しましょう」 花丸「書き直し?」
善子「お互いがお互いの願い事を叶うように祈っても、肝心の内容が存在しないんじゃ意味ないじゃない」
花丸「……それもそうだけど」
善子「どんな願いであれ、お互いがお互いの願いを叶うように願ってる。さっきより勇気を出して書けるはずよ」
花丸「……分かったずら」
善子「私もちゃんと書き直すから」 〜〜〜〜〜〜
善子「……」カキカキ
花丸(正直、善子ちゃんだってあの内容はずるいと思うけど……、躊躇わずに書いたのだって、前もって考えてたり……)
花丸(ううん、きっと善子ちゃんは天性の善い子ずら。こんな風に疑うマルなんかより、よっぽど……)
善子「書けたわ」
花丸(……そうだ。一番の願いって、きっと……)カキカキ 善子「……」
花丸「書けたずら!」
善子「じゃあ交換しましょ」
花丸「いいよ」
『花丸の願い事を全力で応援したい』
『善子ちゃんが幸せになれますように』
善子「……」
花丸「あはは……ありがとう」
花丸「さっきと同じような内容だけど、さっきより嬉しいかも」
善子「……分かった。応援する」
花丸「……」 善子「私が幸せになれるよう、私自身が応援する」
善子「そして、アンタも……」
花丸「マルはそこに書かれてる通り、善子ちゃんの幸せを願ってるよ」
善子「じゃあ協力してくれるわよね?」
花丸「もちろん!」 〜その夜、就寝前〜
善子(……結局、ヨハネはずるい子だった)
善子(花丸の本音を引き出すためにこんなことを計画して、自分の他の本音は隠した)
善子(でもやっぱり、そう上手くは……いや)チラッ
『善子ちゃんが幸せになれますように』
善子(これを花丸が書き記してくれただけで……。そう、あいつが願ってくれるなら、私は……幸せ者だ)
善子(そしてヨハネは、ヨハネを幸せにするために全力を出す必要がある)
善子(それにはあいつの協力が必要不可欠だ)
善子「だって……私の本当の願いは……」
――私の幸せが、花丸の幸せとなってくれるなら……
そう願って、私の願いを叶えるための一歩を踏み出そう――
おわり ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています