穂乃果「雨の降る世界と」にこ「太陽の下で」 [無断転載禁止]©2ch.net
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穂乃果「……」カチカチ
穂乃果「……」カチカチ
雪穂「……」
穂乃果「……」カチカチ
穂乃果「あ……」ポロ
穂乃果「……」
穂乃果「……」カチカチ
雪穂「あーもー!うるっさーい!!」 穂乃果「えー……?」カチカチ
雪穂「シャーペンの芯カチカチカチカチしないで!!」
穂乃果「だってー……」カチカチ
雪穂「うるさいの!気が散るのっ!!」
穂乃果「そうー……?」カチカチ
雪穂「そう!!」
穂乃果「ごめんー……」カチカチ
雪穂「……やめる気ないでしょ」
穂乃果「そんなことないよー……」カチカチ
雪穂「はぁ……」 穂乃果「……」コロン
雪穂「ん……」
穂乃果「……」ハァー
雪穂「……」
穂乃果「……」ゴソゴソ
雪穂「……?」
穂乃果「……」カチャ
穂乃果「……」カチカチ
雪穂「ボールペンでもおんなじ!うるさい!!」 穂乃果「えー……」カチカチ
雪穂「……もう、勉強するんじゃなかったの?」
穂乃果「そうなんだけど」カチカチ
雪穂「私にはだらけてるようにしか見えない」
穂乃果「うーん……」カチカチ
雪穂「……」ワナワナ
穂乃果「……ゆきほー、お茶ー」カチカチ
雪穂「誰が汲むかー!うるさいって言ってんの!勉強に集中できない!!」 穂乃果「あー……そーだよねー……」カチ…
雪穂「ん……」
穂乃果「……」ゴソゴソ
雪穂「……?」
穂乃果「……」カタ
雪穂「パソコン……?」
穂乃果「……」カチカチ
サムデイ〜イ〜ツノヒカ〜♪
穂乃果「……」
雪穂「はぁ……勉強する気無いんだね……」 穂乃果「うーん……」
雪穂「雨で練習できなくて気分が落ち込むのは分かるけどさ、そういう時は割り切って勉強してなよ」
穂乃果「そうだよねー……」
雪穂「やるって言ったのはお姉ちゃんだよ?」
穂乃果「そうなんだけどねー……」
雪穂「一緒にやろうって言ったのもお姉ちゃん」
穂乃果「そうだったっけ……」
雪穂「〜〜!」
穂乃果「はぁ……」 雪穂「……はぁ。お姉ちゃんがそんなに元気なくすなんて珍しいね」
穂乃果「そんなことないよぉ……」
雪穂「何かあったの……?」
穂乃果「んー……」
雪穂「お姉ちゃん!」
穂乃果「にこちゃん、可愛いなぁ……」
雪穂「はぁ!?///」
タノシミハ〜マダマダマダマダコレカラ〜♪ にこ「にこ♡」
にこ「……」
にこ「はぁ」
にこ「……今日のにこにーポーズもキレッキレねー」
にこ「……」
にこ「はぁー……」
こころ「お姉さまー?」ガチャ
にこ「ん……こころ、どうしたの?」
こころ「3時のおやつの準備ができました!お勉強を中断して、少し休息なさってはいかがですか?」
にこ「あ、うん……ありがと」
こころ「お姉さまの部屋にお運びしましょうか?」
にこ「いいわよ、リビングに行くわ」
こころ「はい!お待ちしてます!」 ……。
ここあ「あ、ねーちゃん!勉強は良いのかー?」
にこ「も、勿論よ……!私の手にかかれば、試験勉強の一つや二つ……!」
こたろう「さすがー」
こころ「当たり前ですわ!我らのお姉さまなんですから!」
にこ「トーゼンね……!」
ここあ「すげぇー!!」パチパチ
にこ「ははは……」
こころ「さぁ、それではおやつの時間にしましょうー♪」
こたろう「おかしー」
こころ「こたろう、ちゃんと手は洗った?」
こたろう「あらったー」
ここあ「雨だから平気だよー!」
こころ「だから汚いんでしょ!ここあは洗ってきて!」
ここあ「ちぇー」 にこ「……雨の日は賑やかね」
ここあ「だって外で遊べないからなー」
こたろう「つまらないー」
にこ「そうよね……」
こころ「……?もしかして、うるさくしてしまいましたか?」
にこ「あ、ううん!そんなことないわよ!」
こころ「それなら、いいのですが……」
にこ「……」ハァー
こころ「……」
ここあ「このチョコ美味しい〜♪」
こたろう「うまいー」 こころ「……ここあ、こたろう、こっちにきて!」コソコソ
ここあ「んー?」
こたろう「なにー?」
こころ「……お姉さま、どことなく元気がないように見えない?」ヒソヒソ
ここあ「あー」
こたろう「あー」
にこ「……」ボー
こころ「……さっきから、ああやって物憂げに遠くを見つめてばかり」
ここあ「そうかー?」
こたろう「おとなっぽいー」
こころ「そう!あれは大人の悩み!」
ここあ「おとなー?なんだそりゃ」
にこ「……」フゥー こころ「ああやってため息ばかりばかりつくのは……」
こころ「きっと、お姉さまが恋をしている証拠!!」バーン
ここあ「こいー?」
こたろう「こいー」
こころ「きっと……想いを胸の内に秘め、外で降りしきる雨を通して、遠くにいる恋人に想いを馳せているのよ……!」
ここあ「よくわかんねーなぁ……」
こたろう「こいのぼりー」
こころ「いいから!私たちにできることは、お姉さまを元気づけることだけ……!」
にこ「……はぁ」コト
にこ「……」ズズ
にこ「……ん?」
にこ「珍し、」 穂乃果「茶柱が立ってる……」
雪穂「あ、ホントだ」
穂乃果「……すごーい」
雪穂「すごい……けど!そうじゃなくて!」
雪穂「ほら、お茶汲んできてあげたんだから!」
穂乃果「ありがとー……」ズズ…
穂乃果「……おいしー」
雪穂「……」
穂乃果「おかわりー」コト
雪穂「じゃなーい!!」バン 穂乃果「わっ」
雪穂「何があったのか話す約束でしょ!」
穂乃果「えーでもー……」
雪穂「でもじゃないし、何のためにお茶汲んできたかわかんない」
穂乃果「そうだよねぇー……」
雪穂「……もう、そんなんじゃこっちまで調子が狂うんだから」
穂乃果「えー……?」
雪穂「お、お姉ちゃんが元気ないと、私まで元気なくなるでしょ!!」
穂乃果「そう……?」
雪穂「そうなの!!……だ、だから」
穂乃果「だから……?」
雪穂「話して!なんで元気ないのか!」
穂乃果「うん……」
雪穂「……」 穂乃果「……雨、なんだよね」
雪穂「雨?」
穂乃果「雨が降ってるんだよ」
雪穂「……いや、そりゃ、雨だからね」
穂乃果「うん……」
雪穂「……?」
穂乃果「雨なんだよねぇ……」ガラ
雪穂「……ちょっと、窓開けたら寒いよ……」
穂乃果「ねぇ」
雪穂「?」
穂乃果「……なんで雨って降るのかな?」
雪穂「はぁ……?」
穂乃果「なんで……」 にこ「雨って降るのかしらね……」
こころ「お姉さま……?」
にこ「雨なんて、降らなければ良いのに……」
こころ「……そう、ですね」
ここあ「ねーちゃんの言うとおりだよなー!雨なんてつまんないもん!」
こたろう「あそべないー」
こころ「ここあ、こたろう!」
ここあ「なんだよー」
にこ「……」クス
にこ「その通りよね、外で思いっきり身体を動かせないのはつまんないわ」
ここあ「なー!ともだちとも遊べなくなるし、いいことないー!」
こたろう「ないー」
にこ「そうね……」 こころ「お姉さま……やはり何か……」
にこ「ん……」
こころ「?」
にこ「大丈夫よ」ポンポン
こころ「あ///」
にこ「あんたたちは心配しなくても……っていうか、心配かけてごめんね」
こころ「いえ……」
ここあ「ねーちゃん、なんかなやみごとでもあるのかー?」
こたろう「にこにー、へんー」
にこ「んー……ちょっとね」
こころ「二人とも!詮索はだめですよ!」
ここあ「えー」
こたろう「えー」 にこ「そんな、詮索されるようなことじゃないわよ」
こころ「しかし……そんな物憂げなお姉さまの表情見たこと……」
こたろう「じー」
こころ「はっ!?私としたことが……!申し訳ありませんお姉さま……!」
にこ「そんなに沈んだ顔してるかしら……」
ここあ「んー、げんきはなさそうだなー」
こたろう「くらいー」
にこ「はっきり言うわね……」
こころ「……でも、心配です。お姉さまの身に何かあったら……!」
にこ「……」フゥ
ピンポーン
にこ「あら?誰かしら……?」 ガチャ…
穂乃果「あ、ことりちゃん!」
ことり「こんにちわ、穂乃果ちゃん♪」
穂乃果「あれ、どうしたの?何も約束……してなかった、よね?」
ことり「うん、してないよ☆」
穂乃果「そ、そうだよね……」
ことり「ふふ」ニコニコ
穂乃果「……え、えっと、じゃあ上がってく?」
ことり「うん、お邪魔させてもらうね♪」
トテトテ… 穂乃果「雨、強くなかった?」
ことり「けっこう濡れちゃったかな?」
穂乃果「タオル持ってこようか?」
ことり「あ、でも大丈夫だよ!平気平気♪」
穂乃果「う、うん……」
ガラ
雪穂「あ、ことりさん」
ことり「雪穂ちゃん、こんにちわ♪」
雪穂「どうしたんですか、急に……?」
ことり「ちょっと用事があったからね、雨の中来ちゃった」 雪穂「用事……?お姉ちゃんにですか?」
ことり「うん♪」
穂乃果「……」
雪穂「……?」チラ
ことり「……」ニコニコ
雪穂「……え、えっと、とりあえず自分の部屋に戻りますね?」アセアセ
ことり「あ、うん、ごめんね?」
雪穂「あ、いえいえ!大丈夫ですよ!」
穂乃果「ごめんねー……」
雪穂「いいって、っしょっと」スク 雪穂「それじゃごゆっくりー」
ことり「ありがとー♪」
パタン
雪穂(……な、なにあの無言の圧力……!?)ガタガタ
雪穂(何!?これから何が始まるの!?)
雪穂(おねーちゃん……!)
雪穂(……)
雪穂(……お姉ちゃん、絶対何かあったし)
雪穂(……心配だしね)ソー こころ(そーっと覗きましょう……!)ソー
ここあ(せまいよー!)
こたろう(みえないー)
こころ(二人とも、あんまり押さないで……!)
にこ「珍しいじゃない……花陽が一人で来るなんて」
花陽「うん……」
にこ「どうしたのよ、急に」
花陽「……どうしても、にこちゃんに伝えたい事があったから」
にこ「伝えたいこと……?」
花陽「……雨、だよね」 にこ「……」
花陽「……」
にこ「……雨、ね」
花陽「にこちゃん、逃げてな……」
にこ「逃げてないッ!」バン
花陽「……」
にこ「……ッ!!」
こころ(お、おおおお、お姉さまが……怒ってらっしゃる……!!)ガクガク
ここあ(あ、あんなねーちゃん……みたことないよ……!)ブルブル
こたろう(にこにーこわいー) にこ「……そんなことを言うためにわざわざ来たの?」
花陽「……うん」
にこ「っ!」キッ
花陽「……怖くないよ」
花陽「花陽は、にこちゃんに、睨まれたって……」ガクガク
にこ「……」
花陽「……っ」フルフル
にこ「……ごめん」ハァ
にこ「あんたに当たったって、しょうがないのに」
花陽「う、ううん……」 にこ「……はぁ」
花陽「……」
にこ「……雨、なのよね」
花陽「……」
にこ「なんで私は、こんなにいじいじしてるのかしらね」
にこ「……私らしく、ないわよね」
花陽「……うん」
にこ「みんなそう思ってるのかしら」
花陽「みんな……かどうかは分からないけど、花陽は……そんなにこちゃんを見たくはない……かな」
にこ「……」 花陽「ねぇ、にこちゃん」
花陽「……そんなに怖いの?」
花陽「穂乃果ちゃんの想いが」
にこ「……」
花陽「穂乃果ちゃんの真っ直ぐな気持ちが、想いが、にこちゃんの心を脅かしてるのかな……?」
にこ「そんなことは……」
花陽「受け入れられない……?」
にこ「ん……」
花陽「穂乃果ちゃんという太陽は、にこちゃんには眩しすぎる……ってことだよね」
にこ「……誰も」
にこ「そんなこと……言ってないでしょ……っ」 にこ「……誰も」
にこ「そんなこと……言ってないでしょ……っ」
花陽「だって……にこちゃんはこの雨を通して、穂乃果ちゃんを見てる」
にこ「っ……」
花陽「雨の向こうの、お日様の下で輝いている花を見ている」
にこ「だから……っ!知ったようなこと言わないでよ……ッ!!」バン
花陽「……ごめんなさい」
にこ「……」ハァハァ
花陽「……」
にこ「……雨は、嫌いよ」
にこ「あいつの顔が、」 穂乃果「……浮かぶから」
ことり「……」
穂乃果「雨が降ると……にこちゃんに怒鳴られた時のこと思い出しちゃうから……」
穂乃果「……」ハァ
ことり「……だから、こんなところでずっとイジイジしてるの?」
穂乃果「こ、こんなところって、ここ穂乃果の部屋……」
ことり「違うよ」
穂乃果「……?」
ことり「穂乃果ちゃんは、たったそれだけのことで、雨の降る世界の中、立ち尽くしているの?」
穂乃果「え……」
ことり「穂乃果ちゃんらしくない」 穂乃果「ほ、穂乃果らしさって、何さ……」
ことり「陽の当たる場所まで、誰かの手を引いて走っていくところ♪」
穂乃果「……」
ことり「それが、穂乃果ちゃん☆」
穂乃果「……そうかな」
ことり「そうだよ」
穂乃果「……」
ことり「私はそんな穂乃果ちゃんが好き♡」
穂乃果「……あ、あまり勝手なこと言わない……でよ……」
穂乃果「……そんなの、いつだって出来るわけじゃ……」
ことり「できるよ」
穂乃果「できないっ!」バン ことり「……」
穂乃果「ほのかには……!にこちゃんの手を引っ張ることなんか……っ!!」
穂乃果「できなかったんだよっ!」
ことり「……」
穂乃果「一緒に……!お日様の当たる場所に出てきて、笑い合いたかったのに……!」
『馴れ馴れしくしないしないでちょうだいっ!』パシ
『いたっ……』
『あっ……!』 穂乃果「なんで……っなんでなのかなぁ……!」
穂乃果「にこちゃん……っ!」
ことり「……」
穂乃果「ううぅ……!」
ことり「穂乃果ちゃんらしく、ない」
穂乃果「……らしいって何なの!!わかんないよっ!!」
ことり「……ことりも分からない」
穂乃果「なにそれ……!」 ことり「ことりも、今の穂乃果ちゃんは分からない」
穂乃果「……」
ことり「分かりたくない」
穂乃果「ぇ……?」
ことり「だって、いつもの穂乃果ちゃんじゃないから」
穂乃果「……」
ことり「でもそれでも……穂乃果ちゃんならできるよ」
穂乃果「なんで……」
ことり「だって、にこちゃんのこと、好きなんでしょ?」 にこ「……っ」
花陽「……そうだよね?」
にこ「違う……」
花陽「だって、そうじゃなきゃ……説明できないよ」
にこ「違う……!」
花陽「穂乃果ちゃんは太陽……にこちゃんとは真逆の存在だから、自然に惹かれ合った……」
にこ「違うって言ってるでしょッ!!」ダン!
花陽「……」
にこ「……」ハァハァ 花陽「……にこちゃんのことを変えてくれそうな、自分の世界から連れ出してくれる存在だから……怖いんだよね」
にこ「私は……ッ!」
にこ「私は……」
花陽「……」
にこ「……っ!」
にこ「……穂乃果の手を取る資格なんて、ない……」 花陽「にこちゃん……」
にこ「何の迷いもなく、屈託の無い笑みを浮かべて、あの子は……私に手を差し伸べた」
にこ「こんなにもどうしようもなく、薄暗い雨の降る世界の私に」
にこ「……でも私は」
にこ「その手を払いのけた」
にこ『馴れ馴れしくしないでちょうだいっ!!』
穂乃果『いたっ……』
にこ『あっ……!』 穂乃果「……あ、だ、大丈夫だよこれくらい!」エヘヘ
にこ「……っ」
穂乃果「あ、そ、その……ごめんね、無理に手を引いちゃって」
にこ「別に……」
穂乃果「い、イヤだったよね、ほのかと練習なんて……」
にこ「そんなこと……」
穂乃果「なんだか、ほのか……ちょっと暴走しちゃった、かな?」
穂乃果「……雨が降ってると、気持ちが沈んじゃうもんね」アハハ
にこ「……」
穂乃果「だから、少しでも元気になれるように〜って思ったんだけど」
にこ「……そうよね」
穂乃果「ぇ……」
にこ「雨が降ってるものね」 穂乃果「……」
にこ「雨の日に、私なんかと一緒にいたってつまらないわよ」
穂乃果「そんなこと……」
にこ「私はね、馴れ合うのが嫌いなの」
にこ「あんたみたいに誰彼構わず声かけるヤツは特に……」
穂乃果「ん……」
にこ「私は雨、好きよ」
穂乃果「……」 にこ「誰にも邪魔されずに、自分のことだけを考えてられる」
にこ「目障りな太陽の光に視界を奪われることもない」
にこ「湿ったその世界が、いつまでも私を微睡ませてくれる」
にこ「……私には、陽の光は眩しすぎるの」
穂乃果「……そんな」
にこ「これだけ言っても分からないの……?」
にこ「私は、あんたのことがキライなのよ……ッ!!!」 穂乃果「……ひっく…んく……ぐす、にこちゃんに……キライって言われたんだもん……!無理だよ……ほのかにはぁ……っ!!」ボロボロ
ことり「……」
穂乃果「えぐ……!んっく……!」ボロボロ
ことり「……こんなに弱い穂乃果ちゃん、ことりははじめてだよ」
穂乃果「だってぇ……だってぇ……!ほのかも……はじめてだもん……!こんなに、好きになったのはぁ……っ!!」ボロボロ
ことり「嫉妬しちゃうよ、にこちゃんに」
穂乃果「ぐす……っ、え……?」
ことり「……やっぱり、穂乃果ちゃんのところへ来て正解だった」
ことり「太陽がこんなにも雲に覆われているんだもん、雨だって降るよ」
ことり「みんなの心の中にだって、雨が降る……」 穂乃果「何……それ……」
ことり「ことりの空は、雨模様。暗い暗い、闇の中」
穂乃果「ことりちゃん……?」
ことり「なんでにこちゃんにお日様を奪われたのか分からない。なんでことりは雨に打たれなければいけないのか、分からない」
穂乃果「何、言ってるの……?」
ことり「……安心して。ことりは同じ空の下にいる穂乃果ちゃんを見れたから……一緒にいられたから、心が晴れた」
ことり「だから、穂乃果ちゃんで良かった」
ことり「……もし、私がにこちゃんの元へ行っていたら……」
穂乃果「こ、ことりちゃん……」
ことり「……」ニコ
ことり「ねぇ、穂乃果ちゃん……」
ことり「私のこと――――」 花陽「――――どう、思いますか?」
にこ「……花陽?」
花陽「穂乃果ちゃんじゃなくて、私のこと……」
にこ「何よ、急に……」
花陽「好き、ですか……?嫌い、ですか……?」
にこ「……き、嫌いな訳ないじゃない」
にこ「あんたは、私の大事な後輩だし……μ'sの仲間でもある。嫌いな訳……」
花陽「……そっか」
にこ「……?」
花陽「……」
花陽「……本当は」
花陽「好きって、言って欲しかったけど……」 花陽「……無理だよね」
にこ「……なんなのよ、それが今、関係あるの……?」
花陽「多分ね、にこちゃんは人の好意に鈍感なだけだと思う」
花陽「私がこうやって手を伸ばしたら、にこちゃんはきっと引いて一緒に歩いてくれる」
花陽「雨の中だって、きっと自分なんか置いといて私に傘を差してくれる優しい人」
にこ「……」
花陽「でも、手を掴まれるのが怖い……誰かに手を引いてもらったことが今まで無かったから」
花陽「ねぇ、にこちゃん……穂乃果ちゃんはね、凄い純粋ににこちゃんのことを想ってくれているんだよ?」
花陽「多分、私なんかより全然」
にこ「……そんな、こと」 花陽「にこちゃん」
花陽「好きっていう気持ちは、恐れる必要ないんだよ」
花陽「にこちゃんが逃げていたって、いつの日か……陽はまた昇る」
花陽「……そこから逃れることは出来ない」
にこ「……っ」
花陽「……太陽が雨に負けることは、無いよ」
にこ「……穂乃果」
花陽「ずっと降り続ける雨なんて、ないんだから」 にこ「……」
にこ「……なんで」
花陽「?」
にこ「そこまで、言ってくれるの……?こんな私の為に」
花陽「それは……」
にこ「そんなこと言うキャラじゃ、なかったでしょ……」
花陽「だって」
花陽「私もにこちゃんのことが好きだから――――」 雪穂「ダメーーーーーーッ!!!」バターン!!
ことり「……雪穂ちゃん?」
穂乃果「雪……穂……?」
雪穂「お、おおおおお姉ちゃん……に手を出したら……!いくらことりさんでも……ゆ、ゆゆ許さないからぁ!!」
ことり「手を、出す?」キョトン
穂乃果「ぇ……」
雪穂「と、とぼけたって……!全部見てたんですからね……っ!!」
ことり「へ……」
穂乃果「ぁ……///」 雪穂「お、お姉ちゃん逃げて……!」
穂乃果「ゆ、雪穂落ち着いて、ことりちゃんは何もしてないよ……」
雪穂「う、嘘だぁ!だって、何か怖いこといってお姉ちゃんに近づいて……!」
ことり「あー……」
ことり「ふふふ……うん、ちょっと怖いことは言ったのは本当かな、反省☆」
雪穂「ほらぁ!!」
穂乃果「あ、でも別に……///」
ことり「穂乃果ちゃんに手を出すわけ無いよ、安心して♪」ニコ
雪穂「ぜ、全然安心できないよ……!」
ことり「……まぁ、別の意味で手を出したいけど……それはやめとくね♪」
穂乃果「……///」
雪穂「お、お姉ちゃん……?」
穂乃果「な、何でも無いよ!何でも!///」
ことり「うふふ♡」 穂乃果「……ことりちゃん、ごめんね」
ことり「謝らないで」
雪穂「っ」ビク
穂乃果「……うん」
ことり「……そう思ってくれるなら……穂乃果ちゃんらしくいて♪」
穂乃果「……分かったよ」
雪穂「お姉ちゃん……」 穂乃果「……」ギュ…
ことり「……怖いよね」
穂乃果「うん……」
ことり「別に、いつもみたいにバカ正直に手を掴めって言ってるわけじゃ無いんだよ」
穂乃果「な、なんかことりちゃんがひどい……」
ことり「ことりはそんな穂乃果ちゃんが好きなんだけど……♡」
穂乃果「うぅ……///」
ことり「日向から日陰に向かって、声をかけてあげるだけでも……いいんじゃないかな」
穂乃果「声を……?」
ことり「穂乃果ちゃんらしさは、その後でも良いと思う♪」
穂乃果「……ん」
……カタ プルルルルル
こころ「ひぅ!?電話!?」
ここあ「びっくりしたぁ……」
こたろう「でるー」
こころ「ちょ、ちょっと、こたろう!私が出るから!」
ここあ「あー、いいところだったのになー」
にこ「へぇ、いいところだったかしら……」ガチャ
ここあ「げ!?ねーちゃん!?」
こたろう「にこにー」
花陽「ここあちゃん達……」 にこ「ずっと覗いてたのかしら……?」
ここあ「ま、ままままっさかぁー!ねーちゃんがおこってたり、花陽ちゃんが告白してたところなんてちっとも……!」
こたろう「みてたー」
ここあ「ばか!こたろう!!」
花陽「……///」
にこ「あんたたちはぁ……!!」
こころ「お、お姉さま……」
にこ「こころ!あとでみんな揃ってお説教よ!!」
こころ「あ、それはその……はい……」
こころ「ではなく!」
にこ「?」
こころ「……穂乃果さんからお電話が……」 にこ「ぇ……」
花陽「……」
にこ「穂乃果、から……?」
こころ「……」コク
にこ「なんで、家に……」
花陽「……きっと、穂乃果ちゃんも怖いんだよ」
にこ「……怖い」
花陽「だって、大好きな人に、キライなんて言われたんだから……当然だよ」
にこ「……」
こころ「お姉さま……」
にこ「……そう……ね」 花陽「……にこちゃん」
にこ「?」
花陽「向こうに行っても、これだけは覚えておいて欲しいの」
にこ「向こうって……」
花陽「にこちゃんは、とっても魅力的な人」
花陽「雨の降るような世界で、ずっと一人ぼっちなんて似合わない」
花陽「……ねぇ?」ポン
ここあ「んー?」
こたろう「ごはんー」 花陽「……こころちゃん、ここあちゃん、こたろうちゃんも、にこちゃんのことが好き」
こころ「……はい♪」
にこ「みんな……」
花陽「……私も、好きだよ♪」
にこ「花陽……」
花陽「……だから、怖がる必要ないの」
花陽「みんな、いるから♪」
にこ「……」
こたろう「にこにー、がんばれー」
にこ「……」クス にこ「……ありがと」
花陽「うん♪」
にこ「貸して」
こころ「はい、お姉さま。頑張ってください……!」
にこ「うん」
ピッ 穂乃果『……も、もしもし、にこちゃん?』
にこ『もしもし、穂乃果……?』
穂乃果『……』
にこ『……』
にこ『あほのか』
穂乃果『ぇ……』 にこ『なんで家電にかけてきてんのよ』
穂乃果『ぁ……えっと……その……』
にこ『電話代もったいないでしょー?LINE使いなさいLINE!』
穂乃果『う、うん……ごめん……』
にこ『……』
穂乃果『……あの……その、ね……にこちゃん……?』
にこ『ごめん』
穂乃果『っ!?』 にこ『……あほのかって言ったりして』
穂乃果『あ、そっち……?』
にこ『……な、なんだと思ったのよ』
穂乃果『いや、えっと……あはは』
にこ『……///』
穂乃果『……』
にこ『……』
穂乃果『……あのね』
にこ『ん……?』
穂乃果『……穂乃果はね、にこちゃんのこと……』
穂乃果『ずっと尊敬してたんだ』 にこ『……突然何よ』
穂乃果『……アイドルのことに対して、ひたすら真剣で、真面目に取り組むにこちゃん』
穂乃果『大きな壁に阻まれても、諦めることをせず……たった一人でも、その壁を登ろうとしていたにこちゃん』
にこ『……』
穂乃果『ほのかはね、一人じゃなんにもできないから……』
穂乃果『周りの人を巻き込んで、迷惑をかけて、一緒に走ることで、可能にしてきただけだから』
穂乃果『全て、一人で背負って頑張ってきたにこちゃんを、凄いなって思うんだ』
にこ『凄くなんか、ないわよ……』
穂乃果『ううん、凄いよ……』 にこ『……わ、私だって、穂乃果のこと尊敬してるわよ』
穂乃果『ほ、ほのかを……?』
にこ『……周りを巻き込まないと、迷惑かけないと何もできないって言ったけど、それは立派な力よ』
にこ『大勢の力を自分のものにすることの大変さを、私は嫌という程知っているから』
にこ『穂乃果のそれは、本当に凄いことだと思う』
穂乃果『そ、そうかな……///』
にこ『でもね、確かに迷惑してる人はいると思う』
穂乃果『っ……』
にこ『良くも悪くも、あんたのペースに巻き込まれる訳だからね』
にこ『全員が全員、その歩幅や世界を共有することはできない』
にこ『歩くのが遅い人もいれば、遠くから眺めてたい人だっている』 穂乃果『にこちゃん……』
にこ『……』
穂乃果『……』
にこ『私はね、』
穂乃果『にこちゃん!』
にこ『……何よ、耳元でうるさいわね』
穂乃果『……ほのかはね』
穂乃果『にこちゃんと歩きたい』 にこ『……』
穂乃果『雨の降る空の下じゃない、オレンジ色に輝いたお日様の下を……一緒に歩きたい』
穂乃果『一緒に……同じ空の先を見ていたい』
穂乃果『……ダメ、かな……』
にこ『……』
にこ『勝手にしなさいよ』 穂乃果『勝手にって……』
にこ『歩きたいなら歩けばいいじゃない、別に止めはしないわよ』
穂乃果『あの、だから……にこちゃんと……その……』
にこ『……私も、勝手について行くから』
穂乃果『ぇ……』
にこ『あんたの後ろを……時には隣合いながら……歩いて行くことにするわよ』
にこ『……文句ある?』
穂乃果『……』
穂乃果『……』クス
穂乃果『……ない、かな』 穂乃果『……よかったぁ』
にこ『何がよ』
穂乃果『ううん、なんでもない』
にこ『……ふぅん』
穂乃果『にこちゃん』
にこ『何?』
穂乃果『明日、晴れると良いね』
にこ『そうね……』 にこ『雨降ってると、練習できないし……お日様の下で練習するのは、さぞ、気持ちが良いでしょうね』
穂乃果『……うん♪』
穂乃果『……私は、好き』
にこ『……私もよ』
穂乃果『あはは……』
にこ『ふふ……』 穂乃果『……』
にこ『……』
にこ『それじゃあね』
穂乃果『また明日……』
ガチャ
ツーツーツー
終わり。 乙乙
>>2 の過去作とかあるなら個人的に気になる ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています