2021年3月25日
新型コロナウイルスの「二重変異株」がインドで確認された。1つのウイルス内で2つの変異が見られるもので、保健当局が感染力の強さやワクチンの効力などについて調べている。
二重変異株は、インドの18州で集められた計1万787のサンプルの中で見つかった。このサンプルからは、イギリス型の変異株も736、南アフリカ型は34、ブラジル型も1つ、それぞれ確認された。
当局は、最近のインドでの感染者数の急増と変異株には、関連がないとしている。
インドでは24日、新型ウイルスの感染者4万7262人と、死者275人が新たに報告された。1日あたりの人数としては今年最大となった。
ウイルス学者シャヒド・ジャミール博士は、「新型ウイルスのスパイクタンパク質の主要部分で起きた二重変異は、リスクを高め、新型ウイルスが免疫システムから逃れることを可能にするかもしれない」と話した。
政府によると、西部マハラシュトラ州で集められたサンプルで、昨年12月に比べ、「E484QとL452Rの変異が見られるものの割合増加」が認められたという。
保健省は、「そうした(二重の)変異により(新型ウイルスに)免疫逃避(免疫を逃れる能力)がついたり、感染力が増したりする」と声明で説明した。
ジャミール博士は、「L452RとE484Qの変異が同時に起きている新たな株が、インドで発生しているのではないか」と述べた。
インドではこれまでに、新型ウイルスの感染者が1170万人を超え、死者は約16万人に上っている。
今月になって感染がまた急拡大しているが、医療制度は過去1年にわたる新型ウイルスとの闘いで限界状態にある。
各州は、夜間外出禁止や断続的なロックダウンなど、制限措置を再導入している。主要都市のデリーとムンバイは、空港や鉄道駅、ショッピングモールなど多くの人が行き交う場所で、簡易検査をランダムに実施している。
<解説>二重変異は心配すべきか――スミサ・ムンダサド、BBC保健担当記者
「二重変異ウイルス」というのは、怖い言葉だ。要するに、1つの新型ウイルス変異株の別々の部分で、2つの大きな変異(または変化)を、インドの科学者たちが確認したのだ。
それ自体は驚きではない。ウイルスは常に変異しているからだ。それよりも、この二重変異の存在が新型ウイルスの行動を変えるのかが、
問題となる。感染力は強いのか、症状を悪化させるのか、そして現在接種されているワクチンは効くのかなども、大事なポイントだ。
科学者は今後、懸命に解明に取り組むことになる。当局は、二重変異の比率は今のところ低いことから、これが現在のインドにおける感染急拡大の原因ではないとみている。
はっきりしているのは、二重変異はこれまでと違った響きをもつが、公衆衛生上の対策は同じということだ。検査を増やし、
濃厚接触者を追跡し、素早く隔離する。マスクと社会的距離も大事だ。インドのオーバーヒート状態の医療制度から、負担を軽減する必要がある。
ワクチンについては、世界各地の多くの変異株に対して、これまでのところ有効だとされている。ただ、当初対象としていた新型ウイルスへの効果に比べると、有効性が落ちる場合もある。必要となれば、現存するワクチンを新たな変異株に合わせて改良することは可能だと、科学者らは自信を示している。
https://www.bbc.com/japanese/56519674