0593ファンクラブ会員番号774
2019/05/10(金) 00:41:26.97ID:xhKRRy6Xでも『出来る女』を演じるのが好きだった。
35歳だから、それなりに事務仕事は出来るだろうと考えていたけど、
両面&縮小&拡大コピーが出来ない。エクセル・ワードもぼちぼち。
電話応対&敬語が変。
そのくせ、全てにおいてオーバーアクション。
一度にコピーを撮ればいいのに数回に分けてバタバタ走り回る。
電話を取れば耳と肩に受話器を挟んで、何故か自分のスケジュール帳
みたいなやつにメモ。
皆アントンには急ぎの仕事や重要な仕事は廻さないようにしてた。
だけど、アントンは常に忙しそう。
電話をとっても早口で乱暴。PCのキーボードはガンガンドスドス。
引き出しを閉めるのはバーンバーン。
いつもアントンの周りでは色んな音がしていた。
そんなある日、アントンがとうとう
や ら か し た。
いつものように設計の出来ないアントンはFAXを送るよう指示されてた。
不貞腐れながらもFAXを送り、また喫煙室へ消えていった。
最近では、アントンの行動にも皆慣れてきて普通の光景だった。
しばらく経つと、FAXを送ったA社から電話がかかってきた。
「電話番号にFAX送ってない?何回もコール鳴るから取り消してよ」と
苦情の電話。
そこへアントン登場。
設計さんが「電話番号にFAXしてるらしいからやり直して」と書類を渡すと、
「間違ってません。」と一言。
苦情の電話がきた事を話しても「間違ってません」とまだ引かない。
とりあえずもう一回送るようにと言われ、舌打ちをしながらFAXを送りにいった。
さすがに今度は喫煙室へは行かなかった。
ドスンという音と共に椅子に座ると、ガンガンドスドス始めた。
設計さんもちょっとイラッとしてたし、周りも凍りついて
ガンガンドスドスだけが響いていた。