テーブルで食事に塩をふりかける習慣のある人は、そうした習慣のない人に比べて寿命が短い可能性がある。

そんな研究結果が、50万人以上の英国成人を対象にした大規模研究から示唆された。食事に塩をかける習慣のある人では、50歳時の余命が平均2年縮むことが示されたという。

米テュレーン大学公衆衛生・熱帯医学分野のLu Qi氏らが実施したこの研究結果は、「European Heart Journal」に2022年7月10日掲載された。

健康の専門家たちは長年にわたり、食事中のナトリウム摂取を制限するように勧めてきた。その主な目的は血圧コントロールのためである。

しかし、ナトリウムの摂取制限により寿命が延長するのか否かについては研究間で一致した見解が得られていない。

Qi氏によると、そうした状況を作り出している原因の一つと考えられるのが、ナトリウム摂取量の測定方法だという。

例えば、一部の研究では、対象者の尿サンプルを使ってナトリウム量を測定しているが、この方法では直近のナトリウム摂取量しか確認できない。

また、別の研究では、対象者の摂取した食事内容からナトリウム摂取量を計算しているが、これも信頼できる推定値とは言いがたい。

これに対して、今回の研究でQi氏らは、食事に塩をふりかける習慣に着目し、
UKバイオバンク参加者のうち食事に塩をかける頻度について回答していた50万1,379人を対象に、塩をかける頻度と早期(75歳未満)死亡リスクとの関連を検討した。

同氏は、「食事のたびに塩をかけるという習慣から、その人の長年にわたる味の好みをうかがい知ることができる」と話している。

中央値で9.0年にわたる追跡期間中に、1万8,474件の早期死亡が生じていた。解析の結果、
塩をかける習慣のない人を1とした場合の早期死亡の調整ハザード比は、塩をかける頻度を「たまに」と答えた人で1.02(95%信頼区間0.99〜1.06)、
「たいてい」と答えた人で1.07(同1.02〜1.11)、「常に」と答えた人で1.28(同1.20〜1.35)であり、
食事のたびに塩をかける人では早期死亡リスクが28%上昇することが示された。

さらに、塩をかける頻度を「常に」と答えた人では、「たまに」や「たいてい」と答えた人に比べて、
50歳時の平均余命が男性で2.28年、女性で1.50年短いことも明らかになった。