企業が希望退職者募集を実施する際に、一般的には「会社に残ってほしい人」を慰留し、「辞めてほしい人」に退職勧奨を行う面談を実施する。

 筆者が入手したある企業の「退職勧奨マニュアル」には「本人に対し、会社側の評価を明確に伝える」と書かれ、以下の3類型が表示されている。

① 残留者(A):厳しさを認識させ、今後、社内での活躍を期待する
② 本人選択(B):厳しさを認識させ、本人の選択に委ねる
③ 退職候補者(C):社外での活躍を促す

 これはABCランクと呼ばれ、対象者全員と面談する。残ってほしい人(残留者)がA、退職してほしい人がCに当たるが、留まるか、退職するかを本人に選択させるBランクの社員こそ、ノーテンダーといえる。

 つまり、Aランクの社員には退職プランの話は出さずに、会社が期待していることを伝える。
Bランクは残ってもいいけど、社外での活躍を希望するのではあれば退職プランもありますよ、と伝える。
おもしろいのは本人が「会社でがんばります」と言ったら「ご苦労様でした」と、たった一言で終わっている。
会社がそれほど期待していないことが透けて見えるようだ。