さて、定年を迎えるときにAさんは分岐点に立つことになりそうだという。
選択肢の1つは、70歳まで勤務可能な現在の職場で引き続き仕事に打ち込むこと。
もう1つは、早期退職を含めた退職後に、老親の面倒を見るため実家に帰ること。

前者の場合、老後への備えのためには、たとえ収入が減っても働くメリットは大きい。
「年金の繰り下げ受給」を選択することも可能になるからだ。
繰り下げによる増額率は、「繰り下げ月×0.7%」なので70歳からの受給にすれば「42%」もの増額となる。
「81歳10カ月にならないと、通常の65歳から受給するケースと比べ累計受給総額は上回らない」との見方もあるが、「長生きリスク」に備える意味では、繰り下げは有望な選択肢の1つ
42%の増額がこの世を去るまで続くのだから。