クルマの価格が全般的に高まった

一方、セダン/クーペ/SUVなどは、今では主に北米や中国などの海外向けに開発されている。
日本は副次的な市場になり、3ナンバー車が圧倒的に増えて、内外装のデザインなども国内向けとはいえない。
国産のセダンやクーペが日本のユーザーから離れたことも、軽自動車やコンパクトカーの需要を加速させた。

クルマの価格が全般的に高まったことも見逃せない。
1990年ごろは排気量1.8〜2Lエンジンを積んだ4ドアセダンが200万円以下でも用意されたが、
今は安全装備の充実や環境性能の向上に伴って値上がりし、230万〜250万円に達する。
ヴォクシーやセレナなど背の高いミドルサイズのミニバンとなれば、280万〜340万円が売れ筋だ。
日本車の価格は、この20年ほどの間に20〜50%も値上げされた。

それなのにサラリーマンの平均給与(年収)は、1990年代の後半以降は下降を続け、今でも20年前の水準に戻っていない。
クルマが値上げされて給与が下がれば、必然的に軽自動車など小さなクルマに乗り替えるユーザーが増える。
「ダウンサイジング」などと体裁の良い表現も聞かれるが、ユーザーの現実はもっと深刻だ。