たしかに我々も、BMW流の秘密のレシピがあるんじゃないかと思ってました。

多田:先程、彼らは図面の段階からすごくエネルギーを使うと言いましたが、分かったのは、クルマの走りなんてものは、
ホイールベースとトレッドを決めた瞬間にほぼ8割9割は素性が決まってしまうということです。

多田:だけど、そんなに大事な要件であるホイールベースを決めるときに、自分たちを振り返ってみると、リア席もいるな、ガソリンタンクをどこに置くんだとか、
じゃあこんな寸法にしかできないなって、そうやって決めてきた。少なくともピュアスポーツを作ろうというときに、それは大間違いだと。とにかく純粋に、
走りのための黄金比、ホイールベースとトレッドを先にきめて、そこからパッケージングしていこうと。
だから2シーターで、ホイールベースは86よりも短いんです。
(*86のホイールベースは2570mm、今回のコンセプトカーの公表値は2470mm)。それを先に決めて、重量配分的にバランスのいいシートの配置を決めて、とやるわけです。

要はスポーツカーの基本の“キ”をしっかりやると
多田:まさにそうです。そこに立ち返ればクルマの動きはまったく違うものになる。そして何よりも「基本に立ち返って考えられるような会社の仕組み」になっていることが大きな要素で、
飛び道具があっていきなりBMWができるわけじゃないということなんです。