オペラ《長安悲恋(ちょうあんのこい)》初演・演奏会形式 〜 東京藝術大学教授・松下功追悼コンサート〜
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日中国交正常化40周年記念文化行事として、日中合同の歌手・演奏者による初演が2012年の秋、西安と北京で予定されていた。台本も作曲も書き上がり、
制作は順調に進んで行った。スタッフ・作曲家たちは何度も現地に足を運んで準備を進めていた。歌手も練習に入り、舞台美術・衣装の打合わせに入った
夏の終わり、日中間に越年の島を巡る問題が勃発した。政治と文化は切り離すべきとの話も出たが、日本に対する暴動が起こるなど、現地でオペラ上演
ができる雰囲気ではなくなり、やむなく中止となってしまった。制作にかかった費用など膨大な赤字が出て、このオペラはお蔵入りとなってしまっ
た。以来、何度も日中合同で演奏しようという動きが出たが、超えるべき壁が高く、実現に至らず今日に至っている。

このオペラの作曲者、松下功は、この公演の準備がまさに佳境に入ろうとした矢先、突然の大動脈解離でこの世を去った。残された我々は、このオペラを、
なるべく彼の意図に沿った形で上演し、天国の彼に届けたいと思う。