2021年「今年の顔」有村架純 28歳の葛藤の先にあるもの
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00362/00042/


──『るろう』では、佐藤健演じる剣心の、後の生き方をつくった雪代巴という女性を演じられて、その完璧な美しさが絶賛されました。

有村 これはドラマ「中学聖日記」が終わって、次の作品だったんですけど、自分の中でまだ、巴という女性を演じるために必要な技術や持ち合わせがなかったんです。
大友啓史監督に呼んでいただいたことは光栄でしたが、10年続いているシリーズの大作ですし、途中参加ですし、もう毎日、プレッシャーに押し潰されそうになりました。

 でもいざ現場に入ってみたら、周りは雪代巴という人物をずっと大切にされてきたスタッフさんばかりでしたし、
その方たちが私の芝居を見て「巴がいる」って言ってくださったんです。そのときには「ああ、ここにいていいんだな」とすごく救われました。
足を引っ張ったら嫌だなとか、色々な不安要素を抱えていたのですが、
自分が台本を読んだときに持った巴の感情を大事にしよう、その一点だけで演じていこうと心が決まりました。

 これまでも「陽」よりは「陰」の、気持ちをあまり見せないような役どころが多かったのですが、自分の表現方法に迷いを感じていた時期でもありました。
隠している気持ちをどこまで出していいのかいけないのか、1ミリでも変わると違ってくるのだろうという繊細なゾーンをずっと演じてきて、悩んだりしていました。
そうやって悩み抜いて演じた結果、原作のファンの方にも受け入れていただけた。
それが本当に幸せだなと思いますし、何より、大友監督しかり、(佐藤)健さんしかり、シリーズ第1作からやってこられた方々が「これで終われる」という気持ちになってくださった。
そのことだけで私は十分満足しているんです。