浪人した後は東京の大学に進学して、翌年神戸大学に入学し直しました。
東京での1年間は仮面浪人のようなものだったから
交友関係を広げたり深めたり、といったことは、自分でブレーキをかけてましたね。
好きになる子もいましたけど、伝えるようなこともなかった。

ただ、冬休みに思い切って電話したことがあるんです。
当時は携帯なんてないから実家に電話するしかないでしょう。
すると、まずご両親が最初に電話に出る場合もあるわけですよ。電話するのも決死の覚悟(笑)で
そういうドキドキを味わいながらも、お正月に会おうという話になって。

その時初めて彼女に、実は大学を受け直そうと思ってるという話もしました。
でも2回とも、僕のほうから好意を持っていることを伝えたり
素振りを見せたりする訳でもなく、彼女の実際の気持ちも分からなかった。
優しくしてくれたことだけは、すごく覚えてますけど。

当時の恋は本当に淡いものばかり。
でも、人を好きになる時の最初の気持ちって、幾つになっても変わらないと思うんですよね。
それをどう伝えるのかっていうことは、経験で分かってくるかもしれないけど
そんなことより、最初の気持ちの強さの方が大切な気がする。

18歳の頃経験したことは全部やっておいて良かったと思います。
大学を受験し直したことがそうだったように
役者の仕事もサラリーマンを経たりして遠回りしてるんですけど、僕は全て後悔してないんです。
その時々で自分を見つめ直す時間が持てたから。
それは本当に幸せなことだなって思うんです。