まさか…フジ“月9”凋落理由が悲しすぎる!





 ジャニーズ所属Hey! Say! Jump・山田涼介主演のフジテレビ月9ドラマ『カインとアベル』の視聴率が8.8%と月9初回最低を更新したという。
同作は旧約聖書に登場する神話の舞台を現代の東京に置き換え、山田演じる優と桐谷健太演じる兄・隆一を中心に「兄弟の確執」、「愛への渇望」、「父に認められたい」などのテーマを描いた作品。
一見、誰もが向き合う人生の葛藤や愛という真理を追求し、複雑な心理描写を表現し、見応えがあるように思えるが、ネット上では「雰囲気が暗い」、
「韓流や昼ドラみたい。自分に向いてない」、「ってか、月9興味ねえわ」といった声があがっていた。月9はなぜ、こうなってしまったのだろうか。
『東京ラブストーリー』(1991年)が火付け役となり、『101回目のプロポーズ』(同)や『ロングバケーション』(1996年)など、“トレンディドラマ”
と称された恋愛ドラマの金字塔を次々と打ち立て、ブランド化に成功した月9。
ほかにもホームドラマの『ひとつ屋根の下』(1993年)、検事にスポットを当てた『HERO』(2001年)、
音大生の青春を描いた『のだめカンタービレ』(2006年)、
物理学の大学准教授が難事件を解決する『ガリレオ』(2007年)など、幅広い作品群で視聴者を魅了した。
陰りが見えたのは2008年頃だった。月9枠はテレビ朝日系が『ビートたけしのTVタックル』(現在は日曜午前11:55から1時間)
、TBS系はミステリーの2時間ドラマと熟年層を狙った番組が並んでいたが、
日本テレビ系で『人生が変わる1分間の深イイ話』がスタートすると、テレビ朝日、TBS、そしてフジテレビに暗雲が立ち込みはじめた。
2009年4月期ドラマ中居正広(44)、上戸彩(31)主演の『婚カツ!』では、1987年以後の月9枠で史上初の単話1桁台を記録してしまった。同作は厳しい不況にさらされる下町が舞台。
既婚者であることが採用条件の仕事を欲するあまり「結婚の予定がある」と嘘をつき“婚活”を始めることになる、雨宮邦之(中居)を中心に描くラブコメディだ。
佐藤隆太(34)など豪華な共演者を配し、“婚活”、“草食系男子”“リストラ”など当時話題のキーワードをふんだんにまぶしていたが、その分、10代から30代の若い世代をバカにした薄っぺらさが際立ち、裏目に出た結果となってしまった。
尾野真千子(35)主演『極悪がんぼ』(2014年)は、裏社会のトラブルを扱う経営コンサルタントにスカウトされた主人公が、
一筋縄ではいかない無理難題に対処し、どん底からはい上がっていく姿を描いた。
第10話が7.8%、全話の平均視聴率は9.9%を記録。“月9離れ”が顕著になった作品となってしまった。
 月9にトドメを差したのが2012年以降毎年10月-12月期に放送されている米倉涼子(41)主演連ドラ「ドクターX」(テレビ朝日、木曜午後09:00)で、フジの子会社までもが、「ドクターX」の制作に携わり、月9そのものが崩壊した。
 『ガリレオ』『HERO』続編などといったシリーズものでも、米倉『ドクターX』に完敗し、2016年になると月9はマーケットをF1層(20〜34歳)からティーンズ層へと舵を切ったが、
『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016年1月期)は有村架純(24)主演。ほかにも高畑充希(24)、高良健吾、西島隆弘(AAA)、森川葵と今後が期待される若手俳優をキャスティングし、
『東京ラブストーリー』坂元裕二のオリジナル脚本ということで、前評判は高かったが、全話平均視聴率9.7%は月9史上最低視聴率となってしまった。
さらに2016年4月期の『ラヴソング』では全話平均8.5%と最低視聴率を更新してしまった。さらに第6話・第7話の平均視聴率6.8%も最低視聴率。
主演には切り札・福山雅治(47)の登板で、注目度は高かったが惨敗で終わった。年の差が27歳あるヒロインとの恋愛という設定に無理があったのかもしれない。
『いつ恋』ではSNSを一切使わない若者を描き、『ラヴソング』では定宿を持たずに女性の部屋に転がり込む昭和的な主人公が登場。ネット上では“センスが古い”という声もあがっていた。
しかし、いずれも録画数は比較的高かった。『いつ恋』に関しては満足度も高い結果となっている。
今どきの若年層には、仕事の残業などの影響で、月曜夜9時にドラマを見るという視聴習慣がなくなりつつある。
そもそも設定したターゲット層と合致するわけもなく、フジ“月9”というブランドはすでに崩壊しテレ朝“木9”に移行しているのだ。
だが、録画数が高いということは作品の質は悪くない。期待度も高いのである。
まさかとは思うが、フジテレビは“月9ブランド”にただぶら下がったまあまで、マーケティングを怠っているのではないか。そう思わずにはいられないが、……月9の復活を期待する。