>>462
拝聴した。ホモで奏でた東方インストアレンジ集。一部ボーカロイド風も含む

概要
「メイン楽器にホモを使う」という縛りの敷かれたアレンジ曲のメドレーだが
原曲の旋律やリズムが尊重されており、革新より再現に重点があると言えよう
ホモ=汚いという定説からか、音程をわざと歪みある感じに改変しているのも
オリジナル技巧というより、むしろシンボリックな「お家芸」のように感じる

曲として
本作でまず特徴的なのが、複数の作家が制作した曲のメドレーである点だろう
以前ご推薦いただいた「戊辰ヤジューラ」の作者まーごらすさんの企画により
淫ク☆系統のMADアレンジで活躍する方々(多分)の作品が結集したもよう

誰がどんな役割で、どう作ったか特に何の説明もなされておらず推測になるが
まーごらすさんが各協力者に一曲ずつアレンジ曲を提供するようお願いしたか
もしくは公開されている諸楽曲を蒐集し、一つのメドレーに仕上げたのだろう
テンポ、音程、リズムの異なる原作諸楽曲を一つなぎにするだけで大変なのに
その構成パーツを作る人たちが別個というハードルまで、セルフで加えている

以上の前提で見るにつけて、おおよそ滑らかに接合されていると感心する一方
「万年傘」から「ハルトマン」など少々強引さが目立つと思われる部分はある
今般やたらと推薦いただく諸メドレー秀作と比べて…のことではあるけれども

全体的には「メイン楽器がホモ」という一貫性自体が優秀な緩衝となっており
突拍子もない曲も無いため、オールフォーワン精神で相補的に支えあっている
ただ、荘厳にして壮大なOPと「それ以外」の曲との間には少々温度差があり
クソ豪華な額に飾られた落書き的ないびつさも感じた。バンクシーみたいやね

映像として
淫夢MADにありがちな傾向として、果てしない量の素材を盛り込まれている
「素材の素材」やその加工品たる公共財に富むコンテンツという特性を悪用し
繁華街のような喧騒の飽和と氾濫と、サイケデリックな世界観を錬成している
これについても、既成の作品を流用したのか一から本動画のために作ったのか
一切説明が無く不明だが、本動画の為の編集だけでも大変だったろうなと思う
ただ、荘厳にして壮大なOPと「それ以外」の動画の間には少々温度差があり
クソ豪華な額に飾られた落書き的ないびつさも感じた。バンクシーみたいやね

講評
壮大さと重厚感を漂わせた「平安のエイリアン」のアレンジで始まるOPの後
大体いつもの感じで、絡み合うホモ達や野球選手や東方キャラが映し出される
ことOPについては印象的であり、一部のコメントにて指摘されているように
景観を中心とした映像構成やアレンジ曲の雰囲気にも『大河感』が感じられる
というか「風林火山」とか「武田信玄」とか「秀吉」とかのOPを想起すると
大河のOPは「激しい動」「柔らかな静」「激しい動」と変遷する曲が多いが
東方の中でそうした構成をとる代表格こそ、正に「平安のエイリアン」だろう
こうしたところからも、半ば確信犯的な大河感アピールが感じられてならない
ところで「ZUNの首毛」ってなんやねん。そんなミーム、知らなかった

そもそも、本作品のタイトルは「平成」である。文字数少ない。少なくない?
平成を駆け抜けた淫夢、東方(ク☆)らの壮大な歴史に思いを馳せる…という
大変センチメンタルでありがた迷惑な趣旨が暗に敷かれているのは明らかだが
本作の投稿日が、わざわざ平成のみぎわ、2019年4月30日であることや
大河ドラマを意識した壮大な雰囲気(上述)に仕上がっている点から鑑みても
より大きく、時代の変遷に寄せる感慨を表すツールとしても機能したのだろう
気の合う仲間とカウントダウンパーティーをやる感覚と似ているかも知れない

もっとも、淫夢や東方が本格的に世に浸透したのは21世紀以降のことだろう
じゃけん製作者の感慨する「平成」とは、どうあがいても「平成後半」であり
「平成前半」とかは、実質無かったことにされている。ホモは強引なのだ