>>436
とりあえずeramomi1〜19まで拝読した
拉致監禁された東方キャラがセクハラされ、やがて懐柔されていく小説

あらすじ
本作は、いわゆる「一人称多元視点」形式で進行していく物語であるが
便宜的に「三人称単元視点」へと分解・再構成して付記させていただく

A 調教師サイド
東方キャラを性的に従順なペットに調教することを生業とする男がいた
業者から「商材」を仕入れ、適切な人格に加工し再び業者に出荷する…
その延々たるサイクルに従事するため、男は作業所で「商材」と同棲し
ひたすら調教に励むのだ。食事、水道、光熱費その他の経費は業者負担
ある時、男は犬走とかいう白狼天狗を仕入れ「加工」することを決める
理由はお手頃価格だったからだ。そこらで売ってる柴犬とかよりも安い
犬走に接する男の姿勢は、あらゆる「感覚」が麻痺しているようだった
味覚、痛覚、あるいは感情にしても、人間味ある反応を示すことが無い
ゆえに男の中では、作業の進捗に有利かとか商材の価値を高めるかとか
そうした事務的で功利的な思考のみが行動や選択を決定する要素なのだ
だが、調教を開始して10日も経つかどうかの内、犬走の人格や行動が
想定にない振れ幅を見せるようになり、かえって男を混乱させはじめる

B 犬走サイド
目を覚ますと、見知らぬ部屋に繋がれていた。理解不能な状況に狼狽し
思考を錯綜させていると、まるで人間味の失せた目の男が入室してくる
無機質に「これからお前を調教する」と、予告する男に恐怖しながらも
精一杯の虚勢で男に深い裂傷を与え、ハングリーストライキに及ぶ犬走
だが所詮は犬っころ。空腹に耐えかね、遂には男の食事を奪って食べる
食事を貪る犬走を、じっと見つめる傷だらけの男。罪悪感が、芽ばえる
そうこうして、「契約」という形で調教を受け入れた犬走ではあったが
不意に風呂場に連れて行かれそうになった際、焦るあまり男の後頭部に
肘撃ちをお見舞いしてしまう。犬走側の明白な「契約違反行為」だった
大量の出血を伴い昏倒する男。冷静に考えれば千載一遇の逃亡機会だが
犬走のとった行動は男の手当てと看病であった。いくら相手が外道でも
自分に非のある形で殺害を行ったとあれば、寝覚めが悪いと思ったのだ
それから数日後、思索に耽る犬走に、意識を取り戻した男が声をかける
突然のことに驚き、しりもちをつく犬走に男は「大丈夫か?」と尋ねる
自分のせいで死線をさ迷った男が、さっき意識を回復したばかりの男が
他愛もない転倒を心配してくれる。犬走はそれを、何度も反芻していた
だがある日、男が新たな「商材」として犬走の知人、河城を連れてくる
理不尽にこじれあがった感情が、犬走を締めつけ始めた。続きはwebで

講評
単に調教譚と評すより「eratohoの小説化」と言う方が通りが良かろう
ぼくのプレイした中では、YMバリアントに近い印象を受けさせられた
密室の中、あらゆる世事、雑事から解放され、ひたすら調教に励む…。
浮世離れした環境で執り行われる、ある意味とても贅沢な密儀と言える
そも、密室には「共依存」や「ストックホルム症候群」ほか性的搾取に
有利な効果が満載で、古来コミュ弱のロマンを誘うシチュであることは
『完全なる飼育』とかクッソシリーズ化されている点からも明白だろう
諸兄姉とて健全な男(女)の子なら、密室や無人島や核戦争後の未来で
好きな子と二人っきりアダムとイブになれたら…と妄想したことくらい
一度や二度くらいあるだろう?ちなみに、ぼくは一度もない(断言)
YMだと篭絡した東方キャラを「助手」として絡ませることはあっても
篭絡前後のキャラを対置し、嫉妬や友情を煽るという繊細な展開までは
一部イベントを除いては、さすがに表現しきれていなかったと思われる
ゲームで最も表現しにくい所、小説だからできる事を成した作品であり
非常に"よくわかっている作品だな"という印象を随所に抱かさせられた
先に述べた「一人称多元視点」という、わりと特殊な構造とあいまって
クソ失礼を承知で言えば夏目漱石の『こころ』を微妙に想起させられた