>>321
拝聴した
二色蓮花蝶のインストアレンジ

概要
各パートのつなぎ方部分等にオリジナリティは感じられるものの
原曲によく寄り添われた、「正統派」感の溢れるアレンジであり
激しい曲調に仕上がっている。やはりユーロビート風だと感じる

コケさん(製作者)自ら投稿したと思われる曲紹介文においては
「霊夢の持つ理不尽さとカリスマを出せたと思います」とあるが
理不尽を「問答無用の力」にカリスマを「美しさ」に置換すると
曲の特徴が鮮明に浮かび上がってくるように、ぼくには思われる

例えば冒頭にドラム音を置いて数秒後、突然曲が開始する仕様は
意識の虚を突いて「何もない空間から少女が出現する」かの如き
慮外のエンカウントを思わせられる。唐突に割られた易者だとか
赤い通り魔に引き殺された妖精の心境が何となくお察しできよう

突然現れた巫女はしょっぱなから苛烈な弾幕飛礫を浴びせかけて
しかも徐々にPを蓄えることで、攻撃はますます過激化していく
どこまで耐えれば終わるかも分からない、不安と恐怖の嵐である

また、例えば1:05〜1:17を鑑みると、微細に砕かれた音の粒は
まるで粉雪や霧雨の様に、その一撃一撃が決して致命的ではなく
むしろ軽やかであり、それでいてじんわりと包み込むようである
これを霊夢さんの弾幕に置き換えてみるならば、まさに年相応の
弱々しき「抵抗」を尋常ならざる数並べて圧倒しているのである
例えば1ダメージを一瞬に数万個も連ね倒すような圧倒感があり
哀れにも霊夢さんに目を付けられ、その攻撃の餌食となった者は
「イルミネーションの海」や「銀河」にでも絢爛に抱かれながら
お亡くなりになっていく感覚を覚えるのではないだろうかと思う
楽園の素敵な巫女にこれだけ手数をかけて葬っていただけるなら
易者やクソザコ妖精たちも冥利に尽きる……わけないね。南無三

講評
先般推薦を賜った「東方全ボスメドレー 〜All Boss Medley」の
製作者さんの新作であるとお見受けする。制作速度ハンパねえな
本作に感じた魅力は概ね「概要」中で語ってしまった感があるが
もう少しかみ砕いて言うならば「霊夢さんのパーソナリティ」が
とてもよく感じられる作品であると思う

幻想郷において、妖怪的には一番近寄り難い存在である筈なのに
なぜだかその妖怪どもにも、神にも、そして恐らく人間たちにも
霊夢さんは間違いなく好かれている。これこそカリスマ性だろう
ただ本来カリスマは「アウラ」という概念と結びつくものであり
霊的かつ崇高な感情を集団に惹起させる対象のことを言うと思う
かたや霊夢さんは幻想郷において日々淫ピにバカモノと説教され
ぶっちゃけ稗田や早苗さん、里人にも少々見下されてる感のある
愚かで俗物的な存在である。お前らにも女両津とか言われている

そんな霊夢さんが「カリスマ」を纏うためには2つの道があろう
1つは日常の魯鈍さと異変時の威容の格差。ギャップ萌えである
もう1つは、親近感の奥に潜む底知れぬ空亡のような何かである
可憐さや愚かさ。そういう霊夢さんの側面に惹かれ親しむ者こそ
ある意味で、霊夢さんの真の恐ろしさを思い知るのかも知れない

なお、ぼくは「春色小径」こそ最も霊夢さんらしい曲だと思うが
これについては凡そ誰の共感も得られた事が無いので主張しない
https://www.youtube.com/watch?v=2O_xwWRaIbk