>>684
拝読した
小町と美鈴が入れ替わる話

日ごろの怠惰が祟って映姫に睨まれ、「しゃにむに働かねば内勤に異動させる」と脅された小野塚
かたや、楽で暇過ぎる門番の職務にフラストレーションをため、ついに耐えかねて逃走を図った美鈴

出会ってはいけない二人が出会ってしまった時、「職場トレード」という妙案が浮かぶ

小野塚が美鈴に成りすまして紅魔館に就職し
美鈴が小野塚に成りすまして是非曲調に就職するというものである

美鈴に成りすまして紅魔館に潜り込んだ小野塚は、
(映姫と比べれば)ガバガバなレミリアとメイド長相手にサボりと手抜きの限りを尽くす
小野塚に成りすまして是非曲直庁に就職した美鈴は
持て余した体力を存分に生かし、三途の舟渡しをウッキウキでこなしていく

奇しくも天職を手にした二人の間で、仕事の永久トレードが成立した…
かのように見えたが、少なくともメイド長にはバレバレであった

ゆえにメイド長の視点で見れば、
「失踪した美鈴を心配していたら、美鈴のコスプレをしたクソがやって来た」
という次第である。正直たまったものではない

そこでメイド長は一計を案じ、日ごろ取引のある射命丸に頼んで
「おぜう、重体」という安定の誤報を意図的に流してもらう

この報を受けた美鈴は、やっと巡り合った天職と紅魔館から受けた恩義を天秤にかけて葛藤
最終的にはおぜうや咲夜さんへの恩義が勝り、美鈴は紅魔館へとすっとんでいくのであった

紅魔館へと舞い戻った美鈴は、門番のくせにテラスでレミリアとゲームに興じる小野塚と遭遇
眼前で二匹の美鈴が鉢合わせたことで、さしものレミリアも「偽物だったんかい我ェ」と気づく

こうして短いインターンシップは終わり、それぞれの職場へと戻っていくのであった

ストーリー的には非常にシンプルで分かりやすいものである
唯一わからんのは、酔っぱらった早苗が登場した意味だけである

・実は働き者の美鈴、小町の変装をしょっぱなから見抜いているメイド長、
・メイド長ほどではないにしても薄々「変だな」とは勘づいているレミリアなど
紅魔郷の面々が太い信頼関係で結ばれた有能な人たちとして描かれているがゆえに

・どこまでも怠惰なサボり魔である小野塚
・最後の最後まで小野塚が偽物とすり替わっていたことに気づけない映姫など
是非曲調の面々の間抜けさがかえって誇張されているように感じられた

「とりかえばや」系統の話は入れ代わる本人のABにAの知人、Bの知人という外殻を加え
最低4つの「主観」が存在し、物語の基幹に入ってくるという特性があると思う
(『君の名は』などはそのお手本のような作品だと思う)

全部のサイドを「立てる」必要は無いが、そのいずれかにスポットを当てないのは
単純に勿体ないと思う。映姫の心境についてもっと膨らましがあってもよかったと思う