順不同ですまんが

>>105
購入した

指から火を出す特技(以下「フィンガーボム」略して「FB」という)を持つもこたんだが、
ある時、急にFB使えなくなるという事案が発生。さらにはそれを原因に心を病んでいく話

大まかなあらすじは

FBが使えなくなったのをきっかけに、不老不死じゃなくなったのではと疑いはじめる
ずっと死にたくても死ねかったから、むしろ好都合だと思う(通常運転)。試しに死のうとする
しかし色々逡巡するうち、死んだらもう2度と復活できないことを再認識。恐怖に駆られだす

死を意識したことで逆にきちんとご飯食べたりするようになる。ご飯食べ過ぎて米が底を尽く
FBが使えない今、餓死or食料を探しに出て妖怪に食われるの二択(どっちも詰み)状態になる

人里で米を得るため、クッソビクビクしつつもタケノコ等の全財産を持って竹林内の自宅から脱出
道中みすちーに遭遇。悲しいほどの虚勢はる。意外と頭のいいみすちーにバレて死にかける。神を恨む

人里に辿り着き食料getするも、重い食料&人里に潜む妖怪にビクビクで疲れ昏睡。目覚めると黄昏時

飛ぶこともできず体力も落ちているので夜道を歩いて帰ることはできず、けーねに泣きつく
けーね、もこたんを出迎えに玄関から外へ出た所で偶然満月直視。きもけーね化。もこたん絶叫&逃亡
友人けーねから逃げたヘタレさと情けなさ心細さから、もこたんついに泣き出す。路地裏で野宿

翌朝、けーねから逃げる際に食料荷物一切を置いてきたことに気づく。けーね宅へ侵入
けーねが保管してくれていた食料らを無事回収。傍らに、もこたんの気遣うけーねのメモがあって泣く

色々あって茫然自失状態で帰宅、そのまま寝込み、輝夜・慧音・岩笠からdisられる悪夢を見る

目を覚ますとけーねが看病に来ていた。不老不死の力を失くしたのか?と問うけーねに、去勢をはる
自分は無事だと証明するためものすごく力んだらFBがまた出るようになる。もこたん大喜び
しかし、直後になんかFBが話しかけて来て、勝手に燃え上がって、もこたん骨も残さず焼死

後日談。もこたんの身に一体何が起きていたかのネタバレ

という感。最後もこたんはちゃんと復活しており、鬱展開ではないので安心めされたい
本作の最大の見どころは、少年〜青年期に誰もが一度は駆られた事があると思われる
「死」に関する客観的空想と、その空想が胸の奥ら辺から連れてくる言いようのない恐怖と不安を
ゆうに1000年以上を生きたもこたんさんの心理体験を借りて描写した点にあると言えよう

もこたんの心理描写は極めて緻密で普遍性を感じさせるものであることから
もこたんを通じてリアルタイムに死の空想の恐怖を楽しむこともできるし、
若干人生に慣れスれた大きなお友達にあっては、「ガッキの頃こんな風に考えたなあ」と、
ある種のノスタルジーをともなって読むことができる作品かもしれない

中盤は能力を失ったもこたんが様々な危険にさらされながら生き延びようとするフェイズなので
サバイバル好きな人もエレクトする作品だと思う。文体は軽快でコメディテイストも冴えていた

惜しむらく、現在流布している多くの二次創作において、
妹紅さんは死などもはや微塵も恐れる事のない人格として描写されることの方がやはり多く
(たぶん小説版『東方儚月抄』で自らを狂人だと語る妹紅のドライな自己分析の影響)
本作のようなある種人間味を残した人格描写の方がマイノリティだという点であろう

一般的に強キャラで豪胆な性格の印象が強いもこたんを、本作の繊細な考察の主体だと認めるためには、
読者の方がいくつものバイアスを脱ぎ捨てる必要があると思った