>>932
そこまで話してクリケットさんは突如思い出し、両膝をついたまま身を起こして背筋を伸ばし、きょろきょろして、 
「そう言えば、あの子はどこ?! わたしの赤ちゃんは?」
後ろを振り向いて両腕を差し伸ばし、血相を変えて涙を流し、
「わたしの赤ちゃんは?!! どこォ〜〜!!!」
と絶叫した
見ている俺達もはらはらし、隣にいるサマルトに、俺は (どうすんですか、その赤ちゃんを呼ぶんですか、今その赤ちゃんとやらはどこにいるんですか、第一呼べるんですか?) と心で聞いた
するとサマルトは、「あっち」と言って右向こうを指差した
その先には……

ミントさんと、キャロンが座っていた

……俺は、
「へ?」
とどんぐりまなこになり、
「…あ、あの、もしかして、あの、……二人が、………」
サマルトは平然として、
「そうじゃよ 悪いかね?」

ミントさんとキャロンは、確かに古代はイスラエルで一人の魂でマルコだった
その後は、転生して桃太郎のモデルの吉備津彦命だったと聞いた
そして、その次は……戦国時代の古西行長だが、その前に……、源義経と静御前の間に生まれた、男の子だったというのか?!!
俺の頭に、昔イブの妹が死産で生まれて、母の大グレースが大変嘆き悲しんでしばらく落ち込まれた、という話が思い出された
…それと、同じではないか?
…この、生まれてすぐに強制的になくなった男の子の話とは、………
…そして、どちらもミントさんとキャロンが1つになった魂の赤ちゃんが受けた、過酷な運命だった……