体験記第9話より抜粋

まるで、長らく何者かに憑依されていたかのようだった。
目の前の光景が突然リアリティーを失った。
自宅の部屋から映像を見ているような感じがした。

狐につままれたような気分だった。

私は一体何故ここにいるのだろう。

わからない。家でゲームしていたはずなのに。

その時、左の方からブォーと汽笛を鳴らしながらこちらへ向かってくる機関車とレールが見えた。電車ではなく機関車だった。
機関車は太陽さんの目の前で止まり、私を下ろしてハイ到着〜と言わんばかりにどこかへ消えて行った。

驚いた私は太陽さんを見上げた。
かなりのアホ面でポカーンとしていたと思う。

確かに自分の車で運転してここまて来た記憶もあるのだが、私は実は見えない力によってここまで運ばれて来たに違いないと思った。

私は何かに取りつかれていたのだ。