>>466でホイーラーの弁について書きましたが、これがファインマン・ダイアグラムや経路積分の発想のヒントになったことも一部では有名ですね
でも、ホイーラーのアイディアもまた、先行する研究であるマックスウェルの電磁理論がヒントになっているわけです

古典的なマックスウェル方程式の解に、時間を順行する後進波と逆向きに流れる先進波が出てくるのですが、これがホイーラーの量子論的発想に繋がるのです。
つまり要は使い方次第で、古典だから通用しないとか使い物にならないというわけではない、と言えます
まあ、そういう先入観や固定観念から自由な発想を拡げられるところが、天才の天才たるゆえんなのかもしれませんが

ところで、かの有名な二重スリット実験を弱観測してみたらどうなるのか?
という面白いレポートがあります
どうなると思いますか?
https://academic.oup.com/ptep/article/2015/4/043A01/1523687

さて、干渉縞を残した量子の弱値は・・・虚数の波の軌道と一致しました
みなさんの予想通りでしたか?
というか、今まで散々実験された結果通りで、いまさら改めて実験するまでもない、当たり前の結果のように感じるかもしれませんね?

既に自明のことであっても、別の視点から再検討してみるというのは、科学の基本です
未知の新発見も、そういう地道な作業の繰り返しの中から出てくるものです


しかし、このような明確に残された軌道だけを見ると、量子の非実在性は?隠れた変数理論は正しいのでは?という気分にもなるかもしれません
しかしそれは、弱値が結果から逆算して統計的に再現するシステムだから生じることなのです

痕跡を残したという結果が過去を改変し、因果律を調整するように軌道が生成されたという解釈も可能だと思います
量子消しゴムの逆パターンというイメージが、分かりやすいでしょうか?
そうでもないかも?

逆に、痕跡を残していない量子に限って言えば、軌道は相変わらず確率の中にしかなく、厳然たる非実在性の中にあります
例えば途中で逆位相の自分自身に出会ってしまった量子は相殺されてしまい、決して痕跡を残すことはありません。
http://onisci.com/004.html


つまり、私たちが感じている現在とは、過去から積み上げられた結果の上にあるだけではなく、未来から逆算された過程でもあるわけです
どちらか一方なのではなく、どちらも等しく存在しているわけです
視野を広げれば、過去の事実も確定した不変なものではなく、現在の状況次第で改変可能な不確定なものであると言えます

不勉強なので確信はありませんが、おそらく、バシャールもどこかで似たようなことを言っていると思います