日本国内にはいまだ「北朝鮮のスパイ」が多数潜んでいると言われる。一般社会で明るみに出てはならないその存在が、思わぬ形で露呈してしまった。しかもなんと、霞が関で影響力を行使する人物だったのだからその衝撃度は計り知れない。

 北朝鮮と韓国の関係悪化が、思いもよらない形で日本に飛び火した。公安関係者が爆弾証言をする。

「韓国警察が捜索した脱北者団体の事務所から、ある文書が出てきた。そこには1人の日本人の名前が記載されていた」

 事の発端は、韓国・ソウルにある脱北者団体「自由北韓運動連合」が北朝鮮を批判するビラを大量散布したことだった。
この団体は03年以降、毎年のように何百万枚ものビラを大型風船につるして北朝鮮に向けて飛ばし、幾度となく物議を醸してきた。
11年には、同団体の活動家のひとりを北朝鮮の工作員が暗殺しようとする事件も発生している。
この際、工作員が所持していたものの中に、毒針が仕込まれたペンや、弾丸を発射できるペンといったスパイ映画のような暗殺道具が発見されたことが話題を呼んだ。

 あるいは14年の銃撃戦も記憶に残るものだった。北朝鮮軍が機関銃で風船を掃射したところ、その銃弾が韓国領土内に飛び込んでしまったため、韓国軍が応射。突発的な銃撃戦に発展したのだった。

 それぞれが深刻な問題となったが、事態はさらにエスカレート。今年5月31日に、またしても自由北韓運動連合が金正恩体制を激しく批判するビラをまくや、北朝鮮は韓国政府をも非難したうえ、6月16日に両国の交流・融和の象徴であった南北共同連絡事務所を爆破したことはご承知のとおりだ。

 こうした中、韓国は自由北韓運動連合のビラまきを抑制すべく、南北交流協力法などに違反した容疑で、同団体の強制捜査に乗り出したのである。韓国政府の情報機関・国家情報院の関係者が声を潜めて明かす。

「捜索で押収したものの中から『北朝鮮のスパイリスト』とみられるものが出てきました。
中身は学識者や文化人、実業家などとして一般人に紛れて活動している、いわゆる『アンダーカバー(身分を仮装した工作員)』のリスト。
それぞれの活動を調べてみると、慰安婦問題や徴用工問題などをこじらせ、日韓を分断させるよう世論を導く工作や、例えば太陽政策など韓国世論を対北朝鮮融和に向けさせる工作、あるいは脱北者支援をやめさせる工作といったものに関わってきたことがわかったのです」

 北朝鮮を敵視する自由北韓運動連合は敵の工作員を洗い出し、その動向を探っていたとみられるが、そこに韓国の国家情報院も把握していなかった人物が含まれていたのだ。
これが物議を醸すことになる。コトを重大視した国家情報院は米国のカウンターパートであるCIAに情報を提供。関連情報を求めたという。

 国家情報院関係者が続ける。

「日本にはCIA経由で、その中身が伝えられた。同盟国へのフレンドリー情報(友好的関係に基づき提供される情報)のひとつではあったものの、それ以外の目的もあった。
というのも、リストには日本人の学識者の名前があったからです。CIAはその人物が学者の仮装のもと、どんな活動をしていたのか、日本に情報を求めました」

 衝撃の「スパイリスト」に登場するX氏は、筑波大学を卒業後、同大学助手を経て、韓国・霊山大学の講師に就任。
この時、韓国内で活動する北朝鮮工作員に「スカウト」されたという。その後、X氏は日本に戻り、都内の大学の講師に。中国流の共産主義・毛沢東思想を称揚する著作も出版している。公安関係者は、

「調べてみると、Xが文部科学省の教科書調査官として、来年度から中学校で使われる歴史教科書の検定に関わっていたことが判明した。
保守的な教科書とされる『新しい歴史教科書をつくる会』の『新しい歴史教科書』(自由社)が不合格とされて同会が反発を強め、Xを含む教科書調査官を厳しく批判している折、到底、看過できないものだ」

(省略)

 それにしても不可解な点がある。いったいX氏はどのようにして、教科書調査官の座を射止めたのか。誰がどんな審査をして選抜したというのか。公安関係者はその疑問に対し、

「その部分については米国も関心が高く、韓国からは後日、直接の問い合わせが警察当局に入った。現在進行中の捜査もあるため、回答は控えた」

 と煮えきらない。

以下ソース
https://asagei.biz/excerpt/18633