やはり岸田自民は鉄槌を下されそうだ。26日投開票の静岡県知事選を巡る情勢調査が永田町で出回り、衝撃的な結果に自民党議員らが震撼している。知事選には、自民党推薦の大村慎一元副知事(60)と立憲民主、国民民主両党が推薦する鈴木康友前浜松市長(66)ら6人が出馬。事実上の与野党対決になっている。先月末の衆院3補選で全敗した自民党は、ここで負ければ「4連敗」。大打撃必至だ。

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 永田町で出回っているのは、自民党が実施したとされるA4用紙3枚の調査データ。調査日は、9日の告示後の「5月11~12日」と記され、鈴木氏が44.7%でトップ、大村氏は35.9%で次点だった。その差は8.8ポイントである。

 自民党が実施したとみられる調査結果は、以前、告示前のものが流出。驚くのは、告示前は大村氏がジワジワと鈴木氏を追い上げていたのに、ここへきて差が開いたことだ。

■「情勢調査」で告示後に差が拡大

「自民党が4月中旬から告示直前の5月上旬にかけて3回実施したとされる情勢調査では、当初、大村さんは鈴木さんに十数ポイントも離されていましたが、5月上旬には約7ポイント差にまで詰め寄っていた。自民党本部が大村さんの推薦を決めたのは告示日の2日前ですから、この3回の調査では大村さんはあくまで『党県連推薦』扱いでした。そこで党本部推薦が決定した後の調査結果がどうなるかに注目が集まっていたのですが、フタをあけてみれば、差は8.8ポイントに拡大。『党本部推薦は逆効果ということか……』と自民党関係者は落胆しています」(官邸事情通)

 その原因が裏金事件であることは言うまでもない。今回の自民党の調査結果に、裏金事件の影響がクッキリ表れている。調査データには、県内の小選挙区(静岡1~8区)別の数字も記載されているのだが、裏金事件で離党した塩谷立元文科相の8区の情勢が目も当てられないほどボロボロなのだ。

「重要なのは勝ち方」
 例えば、上川陽子外相の1区では大村氏が鈴木氏を約22ポイント上回っている。細野豪志衆院議員の5区も大村氏が約5ポイントリード。ところが、8区では大村氏は50ポイント以上も鈴木氏に差をつけられているのだ。

「8区は全域が浜松市なので、前市長の鈴木さんが圧倒するのは当然ではあります。でも、ちょっと差が広がりすぎです。告示直前の前回調査の約40ポイント差からさらに拡大してしまっている。塩谷さんは裏金事件の象徴とも言えますから、地元有権者への影響は大きいのでしょう」(県政関係者)

 今後、裏金事件を受けた政治資金規正法改正案を巡る議論が活発化するのは確実。自民党のヤル気のなさが浮き彫りになれば、さらに差が広がっていってもおかしくない。

 ある野党関係者はこう言う。

「最後まで何が起きるか分からないとはいえ、鈴木さんの当選は間違いない。ここまでくると、重要なのは勝ち方だ。2021年の前回知事選では、川勝平太前知事が自民党推薦候補に30万票以上の大差をつけて当選。さすがに、そこまでの圧勝は難しいだろうが、大差であればあるほど夏の都知事選、次期衆院選へ向けたはずみになるだろう」

 自民党本部は敗北を避けるため、ギリギリまで「推薦見送り」を視野に入れていたとされる。岸田首相は今頃、「やっぱり不戦敗にしときゃ良かった」と嘆いているに違いない。

日刊ゲンダイ
24/05/17 06:00
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